1 00:00:02,202 --> 00:00:06,073 ♬「トントン 唐辛子 唐辛子は 辛いよ」 2 00:00:06,073 --> 00:00:08,976 (お順)おじさ~ん! へい。 3 00:00:08,976 --> 00:00:11,278 1つ ください。 毎度。 4 00:00:11,278 --> 00:00:13,981 3文 頂戴します。 5 00:00:15,949 --> 00:00:19,286 はい どうぞ。 うわ~。 6 00:00:19,286 --> 00:00:25,092 ⚟♬「トントン 唐辛子 ピリリと辛いは山椒の粉」 7 00:00:28,428 --> 00:00:31,798 母上~! 8 00:00:31,798 --> 00:00:34,835 はい 買ってきました。 ご苦労さま。 9 00:00:34,835 --> 00:00:38,572 唐辛子を切らすと 父上は 召し上がってくれませんからね。 10 00:00:38,572 --> 00:00:42,142 わがままな病人で 困ったものです。 11 00:00:42,142 --> 00:00:45,946 まあ ウフフフフ。 12 00:00:48,315 --> 00:00:54,454 <小吉は 昨年から体調を崩し 寝たり起きたりの日が続いていました。➡ 13 00:00:54,454 --> 00:00:57,157 医者の見立ては 江戸患い。➡ 14 00:00:57,157 --> 00:00:59,660 つまり 脚気です> 15 00:00:59,660 --> 00:01:02,095 お昼の支度ができましたよ。 16 00:01:02,095 --> 00:01:05,933 か~っ また そばが来たよ。 17 00:01:05,933 --> 00:01:08,268 いいかげん飽きちまったぜ。 18 00:01:08,268 --> 00:01:12,105 江戸患いには そばが効くと言いますから。 19 00:01:12,105 --> 00:01:15,142 へっくしょん あ~。 あら いけない。 20 00:01:15,142 --> 00:01:17,277 ったく お前… へっくしょん。 ああ~。 21 00:01:17,277 --> 00:01:23,150 (笑い声) 22 00:01:23,150 --> 00:01:35,429 ♬~ 23 00:01:35,429 --> 00:01:39,967 (銀次)まだ 少し むくんでますね。 どうにも しびれちまっていけねえや。 24 00:01:39,967 --> 00:01:42,636 長兵衛が 目利きの刀 持ってきてくれたぞ。 25 00:01:42,636 --> 00:01:45,539 お世話かけます。 (長兵衛)あっ いえいえ。 26 00:01:45,539 --> 00:01:48,141 いやあ 殿様の目利きのおかげで➡ 27 00:01:48,141 --> 00:01:50,978 損を出さずに済んでおりますよ。 28 00:01:50,978 --> 00:01:54,648 まっ そのお礼と 言っちゃあなんですが➡ 29 00:01:54,648 --> 00:01:58,151 ウナギを 白焼きにして 持ってまいりました。 30 00:01:58,151 --> 00:02:00,087 あら まあ。 31 00:02:00,087 --> 00:02:02,589 ウナギは 江戸患いの薬って 言いやすからね~。 32 00:02:02,589 --> 00:02:05,258 ありがてえや 毎日 そばばっか食わされて➡ 33 00:02:05,258 --> 00:02:07,260 総身から脂っ気が抜けちまったよ。 34 00:02:07,260 --> 00:02:09,763 また そんなことを。 35 00:02:09,763 --> 00:02:13,934 すいません 頂きます。 (長兵衛)はい。 36 00:02:13,934 --> 00:02:16,970 早く よくなっておくんなさいまし。 37 00:02:16,970 --> 00:02:21,274 殿様が おいででないと 市の者が みんな寂しがります。 38 00:02:21,274 --> 00:02:23,276 旦那がいねえと つまらなくってねえ。 39 00:02:23,276 --> 00:02:26,613 まあ じきに治るさ。 でねえと ウナギに悪いからな。 40 00:02:26,613 --> 00:02:32,953 (笑い声) 41 00:02:32,953 --> 00:02:39,626 <脚気は ビタミンB1の不足で起きる 疾患ですが 当時は原因不明。➡ 42 00:02:39,626 --> 00:02:45,932 悪化すれば 命を落とすこともある 恐ろしい病でした> 43 00:02:48,335 --> 00:02:53,807 横になりますか? 布団 敷きましょうか。 44 00:02:53,807 --> 00:02:57,978 なあ お信。 45 00:02:57,978 --> 00:03:01,782 桜はもう 散っちまったな…。 46 00:03:06,253 --> 00:03:10,123 (稽古の掛け声) 47 00:03:10,123 --> 00:03:12,826 (麟太郎)とりゃ~! 48 00:03:21,601 --> 00:03:24,504 とお~っ! 49 00:03:24,504 --> 00:03:26,940 よし! ここまで。 50 00:03:26,940 --> 00:03:29,976 まだまだ。 もう一本 お願いします。 51 00:03:29,976 --> 00:03:32,112 うわあ~! 52 00:03:32,112 --> 00:03:36,983 <天保12年 時代は 大きく動いていました。➡ 53 00:03:36,983 --> 00:03:42,622 長年 幕府の実権を握っていた大御所 徳川家斉が➡ 54 00:03:42,622 --> 00:03:46,126 閏1月に亡くなったのです> 55 00:03:52,132 --> 00:03:55,168 父上は まだ伏せっておいでか。 56 00:03:55,168 --> 00:03:57,637 寝たり起きたりです。 57 00:03:57,637 --> 00:04:01,908 こんな時こそ 私がしっかりしなければ。 58 00:04:01,908 --> 00:04:04,945 それで むきになって 打ちかかってきたのだな。 59 00:04:04,945 --> 00:04:08,381 いえ それは…。 60 00:04:08,381 --> 00:04:12,919 島田先生 清国が エゲレス相手に 苦戦しているというのは➡ 61 00:04:12,919 --> 00:04:15,255 まことでしょうか。 62 00:04:15,255 --> 00:04:18,759 ああ そのようだな。 63 00:04:18,759 --> 00:04:21,595 清ほどの大国が…。 64 00:04:21,595 --> 00:04:26,399 エゲレスとは どれほど強い国なのでしょうか。 65 00:04:26,399 --> 00:04:32,939 <前年 中国清朝とイギリスの間で アヘン戦争が勃発。➡ 66 00:04:32,939 --> 00:04:39,813 清の艦隊が撃破されたとの知らせは 日本にも大きな衝撃をもたらしました> 67 00:04:39,813 --> 00:04:42,282 皆が噂しています。 68 00:04:42,282 --> 00:04:49,422 大御所様の四十九日が明け いよいよ 内輪もめが始まるだろうと…。 69 00:04:49,422 --> 00:04:53,627 今朝は 橋のたもとに 落首が貼られていました。 70 00:04:53,627 --> 00:04:59,132 「本荘の 石は墓所で むだになり」…。 71 00:04:59,132 --> 00:05:05,372 本荘の石とは 本所の中野碩翁への当てこすりか。 72 00:05:05,372 --> 00:05:08,275 大御所派の追い落としが 始まるかもしれぬな。 73 00:05:08,275 --> 00:05:12,913 異国の船は 日本の近海にも 姿を見せているというのに…。 74 00:05:12,913 --> 00:05:18,251 こんな時に 足の引っ張り合いなど 愚かなことです。 75 00:05:18,251 --> 00:05:22,088 無役とはいえ 私も幕臣の端くれ。 76 00:05:22,088 --> 00:05:27,294 なすべきことが 何かあるはずです。 77 00:05:29,829 --> 00:05:36,102 (碩翁) 「本荘の 石は墓所で むだになり」…。 78 00:05:36,102 --> 00:05:43,109 ハッ 役に立たぬ石か… フッ。 79 00:05:45,278 --> 00:05:49,616 (忠篤)越前守は 油断のならぬ男。 80 00:05:49,616 --> 00:05:54,788 我らの失脚を企てているに相違ござらぬ。 81 00:05:54,788 --> 00:05:59,292 こちらも早々 策を練らねばなりませぬ。 82 00:06:08,235 --> 00:06:10,170 (秋村)申し上げます。 うむ。 83 00:06:10,170 --> 00:06:12,239 美濃守様から使いが参りました。 84 00:06:12,239 --> 00:06:15,575 武蔵屋の離れ座敷に お越し願いたいとのこと。 85 00:06:15,575 --> 00:06:19,913 そうか すぐに伺うと伝えなさい。 はっ。 86 00:06:19,913 --> 00:06:22,382 されば お駕籠の支度を。 あっ いや➡ 87 00:06:22,382 --> 00:06:27,254 隠居のブラブラ歩きじゃ 供も駕籠もいらん。 88 00:06:27,254 --> 00:06:32,058 なれど…。 大御所様の 忌みが明けたばかりじゃ。 89 00:06:32,058 --> 00:06:36,263 人目に立たぬよう 慎まねばならぬ。 90 00:06:36,263 --> 00:06:40,767 では お着替えを…。 ああ~ 美濃守殿とは➡ 91 00:06:40,767 --> 00:06:45,105 長年 大御所様にお仕えした者同士じゃ。 92 00:06:45,105 --> 00:06:50,977 気遣いはいらん。 うん フフッ よっ。 93 00:06:50,977 --> 00:07:11,064 ♬~ 94 00:07:11,064 --> 00:07:16,569 あやつら 何を仕掛けてくるか…。 95 00:07:22,375 --> 00:07:28,081 おや あれは…。 96 00:07:28,081 --> 00:07:30,984 どちらがよいか…。 97 00:07:30,984 --> 00:07:32,952 こちらにお決めなせえやし。 98 00:07:32,952 --> 00:07:36,389 ほら 花が大ぶりで ようございますよ。 99 00:07:36,389 --> 00:07:40,093 そうですね。 でも 色はこちらが…。 100 00:07:40,093 --> 00:07:44,397 (碩翁)枝が太くて どっしりした方を選びなさい。 101 00:07:44,397 --> 00:07:46,466 あっ 白鬚様。 102 00:07:46,466 --> 00:07:52,472 座れば牡丹とは よく言ったものだ。 103 00:07:55,041 --> 00:08:00,914 なるほど。 えっ… フッ。 104 00:08:00,914 --> 00:08:07,554 いや まさに眼光鋭く 刀の目利きをするがごとくでしたな。 105 00:08:07,554 --> 00:08:13,059 真剣勝負ですから 値のはる買い物で しくじるわけにはいきません。 106 00:08:13,059 --> 00:08:17,731 では 見事値切られたのは お手柄でした。 107 00:08:17,731 --> 00:08:20,233 はい。 108 00:08:20,233 --> 00:08:24,237 端数は まけて 2百文かっきりになりませんか? 109 00:08:24,237 --> 00:08:26,573 無茶言わねえでおくんなせえ。 110 00:08:26,573 --> 00:08:30,443 そこをなんとか。 111 00:08:30,443 --> 00:08:33,913 弱ったねえ どうも。 112 00:08:33,913 --> 00:08:36,583 (笑い声) なるほど ハッハッハ。 113 00:08:36,583 --> 00:08:39,386 軍資金が少ないのですもの。 114 00:08:39,386 --> 00:08:43,923 おかげさまで 病人のよい慰めになります。 115 00:08:43,923 --> 00:08:46,960 家に ご病人が? 116 00:08:46,960 --> 00:08:49,796 夫が 江戸患いに…。 117 00:08:49,796 --> 00:08:56,403 じっとしているのが つらそうで せめて 目を楽しませるものをと。 118 00:08:56,403 --> 00:09:00,874 それは さぞ ご心配でしょう。 119 00:09:00,874 --> 00:09:06,746 ああ ならば 病気平癒の ご祈願をなされてはいかがかな。 120 00:09:06,746 --> 00:09:10,049 ああ 私がご案内しましょう。 121 00:09:10,049 --> 00:09:15,555 でも… どこか お出かけになるところだったのでは? 122 00:09:15,555 --> 00:09:18,224 いや どうも気が進まぬ…。 123 00:09:18,224 --> 00:09:20,226 えっ…? あっ いやいや➡ 124 00:09:20,226 --> 00:09:24,364 ほんの野暮用で 遅れてもかまわぬのですよ。 125 00:09:24,364 --> 00:09:27,167 さっ 参りましょう。 126 00:09:28,902 --> 00:09:34,073 <三囲稲荷から 大川沿いを 少し行ったところにある牛の御前は➡ 127 00:09:34,073 --> 00:09:40,380 本所一帯の総鎮守として 古くから崇敬を集めていました> 128 00:09:44,584 --> 00:09:48,922 まずは 体の悪いところをさすり➡ 129 00:09:48,922 --> 00:09:52,759 それから なで牛の同じ箇所をさする。 130 00:09:52,759 --> 00:09:56,262 すると 病が治ると申しますぞ。 131 00:09:56,262 --> 00:09:59,599 私がなでて 夫の病に効くのでしょうか? 132 00:09:59,599 --> 00:10:05,305 念ずれば通ず です。 さあ どうぞ。 133 00:10:14,614 --> 00:10:19,486 一日も早く 旦那様の病が よくなりますように。 134 00:10:19,486 --> 00:10:24,791 脚の痛みが 消えますように…。 135 00:10:24,791 --> 00:10:26,826 ⚟モ~ッ。 136 00:10:26,826 --> 00:10:28,962 おっ。 えっ! 137 00:10:28,962 --> 00:10:33,800 今 鳴きましたね! 鳴きました。 138 00:10:33,800 --> 00:10:37,637 モ~ッ。 139 00:10:37,637 --> 00:10:41,508 な~んだ。 こら いたずら坊主。 140 00:10:41,508 --> 00:10:44,511 お参りする人を からかってはいかん。 141 00:10:44,511 --> 00:10:46,513 へへっ。 142 00:10:49,315 --> 00:10:54,821 あ~ 驚いた。 てっきり なで牛が鳴いたのかと。 143 00:10:54,821 --> 00:11:01,261 正体見たりですな。ええ。 (笑い声) 144 00:11:01,261 --> 00:11:06,099 あら 消えた。 ああ もういない。 145 00:11:06,099 --> 00:11:09,002 ひょっとして…➡ 146 00:11:09,002 --> 00:11:15,608 今の子は 牛の御前様のお使い? 147 00:11:15,608 --> 00:11:22,815 旦那様が 早くよくなりますように。 148 00:11:35,428 --> 00:11:39,132 お待たせしました。 どうぞ。 149 00:11:39,132 --> 00:11:44,637 まあ よい香り。おお。 150 00:11:44,637 --> 00:11:47,974 いや もう少し早ければ➡ 151 00:11:47,974 --> 00:11:52,312 この辺りは 花の見頃なんですがな…。 152 00:11:52,312 --> 00:11:58,985 まっ せめて桜餅で 春の名残を惜しむといたしましょうか。 153 00:11:58,985 --> 00:12:01,187 はい。 154 00:12:03,389 --> 00:12:07,594 これは 土産に持って帰ることにいたします。 155 00:12:07,594 --> 00:12:10,396 桜餅は お嫌いですか? 156 00:12:10,396 --> 00:12:14,767 いいえ。 主人が甘いものが好きなので。 157 00:12:14,767 --> 00:12:19,272 今年は 花見もできなかったと 寂しがっていましたから。 158 00:12:19,272 --> 00:12:22,175 では 土産の分は 別に買えば…。 159 00:12:22,175 --> 00:12:27,614 フフッ とうとう軍資金が底をつきました。 160 00:12:27,614 --> 00:12:31,484 すいません。はい。 これ 包んでもらえますか? 161 00:12:31,484 --> 00:12:34,787 はい。 ああ では これも一緒に。 162 00:12:34,787 --> 00:12:38,124 いけません。 白鬚様は どうぞ召し上がってください。 163 00:12:38,124 --> 00:12:42,629 あ~ いやいや 実は 私はな こっちの方で。 164 00:12:42,629 --> 00:12:44,964 甘いものは とんと苦手じゃ。 165 00:12:44,964 --> 00:12:49,836 まあ。 だから これは お子たちへのお土産に。 166 00:12:49,836 --> 00:12:53,139 ありがとうございます。 では 遠慮なく。はい。 167 00:12:53,139 --> 00:12:57,944 これもお願いします。 はい。 168 00:13:07,654 --> 00:13:13,459 ああ こりゃいかん。 とんだ粗相を。 いいえ ご心配なく。 169 00:13:13,459 --> 00:13:17,096 いやいや あの 染みになるといけない。 奥で 手水を借りましょう。 170 00:13:17,096 --> 00:13:21,601 でも…。 いやいや。 すまん ちょっとすまん。 171 00:13:21,601 --> 00:13:26,406 もう~ 殿はどこに行かれたのだ。 172 00:13:26,406 --> 00:13:28,908 あ~ う~っ。 173 00:13:34,947 --> 00:13:39,419 フッ 許せよ…。 174 00:13:39,419 --> 00:13:45,291 ああ。 おかげさまで よい土産も出来ました。 175 00:13:45,291 --> 00:13:49,629 では これで 失礼します。 176 00:13:49,629 --> 00:13:52,131 あの…。 177 00:13:52,131 --> 00:13:54,967 に… 庭を…。 えっ? 178 00:13:54,967 --> 00:13:58,304 いや 庭をご覧になりませぬか。 179 00:13:58,304 --> 00:14:01,574 近くに よいところがあるんです。 180 00:14:01,574 --> 00:14:05,078 庭… でも そろそろ戻らないと。 181 00:14:05,078 --> 00:14:11,284 いやいや すぐ近くです。 ちょっと のぞいてごらんなさい。 182 00:14:13,586 --> 00:14:25,932 ♬~ 183 00:14:25,932 --> 00:14:28,768 プハハハハ ハハハハ! 184 00:14:28,768 --> 00:14:30,703 また私の勝ちです。 185 00:14:30,703 --> 00:14:34,407 くそっ これで10連敗だ。 お順は めっぽう強いなあ。 186 00:14:34,407 --> 00:14:36,476 父上が弱いだけです。 187 00:14:36,476 --> 00:14:39,612 こいつ ますます おばば様に似てきやがった…。 188 00:14:39,612 --> 00:14:42,415 よし もうひと勝負だ。 189 00:14:46,119 --> 00:14:53,626 まあ なんて見事な楓なんでしょう。 はあ~。 190 00:14:56,295 --> 00:14:58,631 でも よいのですか? 191 00:14:58,631 --> 00:15:03,603 どなたのお屋敷か存じませんが 断りもなくお庭を拝見したりして。 192 00:15:03,603 --> 00:15:10,076 あ~ かまいません。 ここはな 私が手がけた庭ですから。 193 00:15:10,076 --> 00:15:12,912 あっ やっと分かった! 194 00:15:12,912 --> 00:15:18,084 はっ? 白鬚様は 植木屋のご隠居様なのですね。 195 00:15:18,084 --> 00:15:21,587 えっ? どうりで 植木の見分け方を➡ 196 00:15:21,587 --> 00:15:24,257 よくご存じのはずです。 フフフフッ。 197 00:15:24,257 --> 00:15:27,093 私ったら 勝手に白鬚様だなんて…。 198 00:15:27,093 --> 00:15:30,763 あ いや 白鬚で結構です。 199 00:15:30,763 --> 00:15:35,268 神様の名前で呼ばれるのは 悪い気はしませんからな。 200 00:15:35,268 --> 00:15:40,139 ハハハハ…。 さあ さあ 奥の方を どうぞご覧なさい。 201 00:15:40,139 --> 00:15:42,942 はい。 202 00:15:42,942 --> 00:15:47,113 あっ あれは何でしょう? 203 00:15:47,113 --> 00:15:49,782 珍しいお花ですね。 204 00:15:49,782 --> 00:15:53,419 あれは あんじゃべる。 205 00:15:53,419 --> 00:15:59,959 いや 麝香ナデシコとも申しましてな オランダから来た花ですよ。 206 00:15:59,959 --> 00:16:02,562 麝香ナデシコ…。 はい。➡ 207 00:16:02,562 --> 00:16:08,067 もうひと月ほどすると よい香りのする花が咲きます。 208 00:16:08,067 --> 00:16:13,940 この株 早咲きのようですね。 ほら つぼみが もう。 209 00:16:13,940 --> 00:16:15,942 ⚟(秋村)殿! 210 00:16:15,942 --> 00:16:20,079 ああ よかった ここに おいででしたか。 211 00:16:20,079 --> 00:16:25,251 いや お越しがないが いかがされたのかと 武蔵屋から使いの者が来て…。 212 00:16:25,251 --> 00:16:28,154 こちらのお殿様が どうかなさいましたか? 213 00:16:28,154 --> 00:16:32,592 はっ? あ~ 武蔵屋と申すと➡ 214 00:16:32,592 --> 00:16:36,095 あっ そうそう 小梅村の花作りでしたな。 215 00:16:36,095 --> 00:16:38,030 な… 何を仰せです? 216 00:16:38,030 --> 00:16:41,400 (小声で)いいから いいから いいから。 217 00:16:41,400 --> 00:16:45,771 アハハハハ…。 お取り込みのようでしたら 私はこれで。 218 00:16:45,771 --> 00:16:51,644 こちらは どなた様で? あっ さる お旗本の奥方様でな➡ 219 00:16:51,644 --> 00:16:54,413 懇意にしていただいております。 220 00:16:54,413 --> 00:16:56,782 信と申します。 221 00:16:56,782 --> 00:17:00,653 今日はな この植木をお買い求めになった その帰りに➡ 222 00:17:00,653 --> 00:17:03,055 こちらに お連れいたしました。 223 00:17:03,055 --> 00:17:07,226 はあ… ああ 美濃守様のことは どうなさるのです! 224 00:17:07,226 --> 00:17:12,732 美濃紙… 美濃… ああ 障子でも破けましたか。 225 00:17:12,732 --> 00:17:15,768 いかん いかん いかん 陽気のせいで おかしくなられたか。 226 00:17:15,768 --> 00:17:19,071 お約束をお忘れですか 殿…。 227 00:17:19,071 --> 00:17:23,242 痛い~ 痛い…。 あっ お前様には➡ 228 00:17:23,242 --> 00:17:25,244 痛風の持病がございましたな。 229 00:17:25,244 --> 00:17:29,115 (小声で)気は確かじゃ。 わしは今 植木屋の隠居 よいな。 230 00:17:29,115 --> 00:17:32,251 はい? あの…。 231 00:17:32,251 --> 00:17:35,087 あ~ 何でもございませぬ。 232 00:17:35,087 --> 00:17:38,591 通風が ちょっと痛いそうで。 あ~ 通風が痛い…。 233 00:17:38,591 --> 00:17:42,461 あっ ちょっと これを お預かり願えませんでしょうか。 234 00:17:42,461 --> 00:17:46,265 (小声で)向こうには すぐに行くと申しておけ。 よいな。 235 00:17:46,265 --> 00:17:49,936 では 奥の方を見てまいりましょう。 236 00:17:49,936 --> 00:17:55,608 ハッ ハハハ… ではな。 ハハハ…。 237 00:17:55,608 --> 00:17:58,110 どうか お急ぎを…。 238 00:17:59,779 --> 00:18:05,051 (小鳥の鳴き声) 239 00:18:05,051 --> 00:18:08,054 (小鳥の鳴き声) 愛らしい声! 240 00:18:12,792 --> 00:18:19,065 「花は根に 鳥は古巣に帰るなり➡ 241 00:18:19,065 --> 00:18:23,936 春のとまりを 知る人ぞなき」。 242 00:18:23,936 --> 00:18:30,576 春が過ぎれば 花は根に 鳥は巣に帰っていく。 243 00:18:30,576 --> 00:18:36,749 けれど 春がどこに帰るのかを 知る人はいない…。 244 00:18:36,749 --> 00:18:40,620 崇徳院の御製ですね。 確か 「千載和歌集」。 245 00:18:40,620 --> 00:18:43,522 ほう よくご存じで。 246 00:18:43,522 --> 00:18:50,096 保元の乱に敗れて 流された讃岐で詠んだ歌ですね。 247 00:18:50,096 --> 00:18:54,900 行く春に 帰るとこなどあるのかと…。 248 00:19:02,208 --> 00:19:06,712 そろそろ おいとましなければ… 家の者が待っています。 249 00:19:06,712 --> 00:19:10,216 あっ では その辺りまで お送りしましょう。 250 00:19:10,216 --> 00:19:12,151 一人で大丈夫です。 251 00:19:12,151 --> 00:19:17,156 あっ すみません 長いこと預かっていただいて。 252 00:19:21,360 --> 00:19:25,231 お屋敷の殿様に よろしくお伝えくださいまし。 253 00:19:25,231 --> 00:19:28,734 よいものを拝見させていただきました。 254 00:19:28,734 --> 00:19:34,907 承知しました。 確かに 伝えましょう。 255 00:19:34,907 --> 00:19:39,078 おお 気を付けてお帰りください。 256 00:19:39,078 --> 00:19:41,280 はい。 257 00:20:01,934 --> 00:20:05,604 使いの者が 催促に参っております。 どうか お急ぎを。 258 00:20:05,604 --> 00:20:10,910 分かった。 駕籠の支度をせい。 はっ。 259 00:20:15,781 --> 00:20:19,952 行く春を惜しんでも➡ 260 00:20:19,952 --> 00:20:22,955 もはや詮なきことか。 261 00:20:34,433 --> 00:20:36,368 ただいま戻りました! 262 00:20:36,368 --> 00:20:40,573 シ~ッ 父上がお休みですよ。 263 00:20:42,174 --> 00:20:45,978 あれ 牡丹か。 きれいだなあ。 264 00:20:45,978 --> 00:20:49,448 向島で買い求めてきました。 265 00:20:49,448 --> 00:20:53,319 麟太郎 よい牡丹の見分け方を 知っていますか? 266 00:20:53,319 --> 00:20:55,654 いえ…。 267 00:20:55,654 --> 00:21:01,093 枝がしっかりして 落ち着いて 座っているように見えるのがよいのです。 268 00:21:01,093 --> 00:21:04,930 ほら 座れば牡丹と言うでしょう? 269 00:21:04,930 --> 00:21:06,866 えっ…。 270 00:21:06,866 --> 00:21:12,271 というのは 白鬚様の受け売りですけど。 白鬚様? 271 00:21:12,271 --> 00:21:17,143 昔 犬にかまれて けがをしたことがありましたね。 272 00:21:17,143 --> 00:21:21,614 ああ… はい。 273 00:21:21,614 --> 00:21:25,484 その時 よいお薬を 届けてくださったお方ですよ。 274 00:21:25,484 --> 00:21:29,355 今日 三囲稲荷の前で ばったり会って。 275 00:21:29,355 --> 00:21:33,225 ふ~ん。 それから 一緒に牛の御前に。 276 00:21:33,225 --> 00:21:38,797 父上の病が早くよくなるように なで牛に お願いしてきました。 277 00:21:38,797 --> 00:21:42,134 フフッ フフフフッ…。 何です? 278 00:21:42,134 --> 00:21:45,437 なで牛が 「モ~ッ」と鳴いたのです。 279 00:21:45,437 --> 00:21:49,308 石の牛が? ハハハハ… まさか。 280 00:21:49,308 --> 00:21:54,146 フフフ… 立派なお屋敷のお庭にも 連れていっていただいたのですよ。 281 00:21:54,146 --> 00:21:57,049 珍しい花や木が たくさんあって…。 282 00:21:57,049 --> 00:21:59,018 どなたのお屋敷ですか? 283 00:21:59,018 --> 00:22:02,254 さあ… 白鬚様のお出入り屋敷です。 284 00:22:02,254 --> 00:22:08,127 やっと分かりました。 あのお方の正体は 植木屋のご隠居様。 285 00:22:08,127 --> 00:22:12,765 あっ いけない。 また お名を聞きそびれた…。 286 00:22:12,765 --> 00:22:15,601 向島なら 探してみましょうか? 287 00:22:15,601 --> 00:22:22,942 そうですねえ…。 でも きっとまた すぐ会えますよ。 288 00:22:22,942 --> 00:22:27,246 昔から 不思議なご縁がありますから。 289 00:22:31,650 --> 00:22:36,288 そうか…。 これでよいのか。 290 00:22:36,288 --> 00:22:39,124 何がですか? 291 00:22:39,124 --> 00:22:41,627 ずっと 考えていたのです。 292 00:22:41,627 --> 00:22:45,497 世の中は 今に大きく変わる。 293 00:22:45,497 --> 00:22:49,368 私は 何をすればよいのかと。 294 00:22:49,368 --> 00:22:51,303 簡単なことでした。 295 00:22:51,303 --> 00:22:57,176 母上が笑って暮らせる毎日が ずっと続くようにすればよいのです。 296 00:22:57,176 --> 00:23:01,113 笑って? はい。 297 00:23:01,113 --> 00:23:05,751 それを物差しにして 事の善しあしを測れば➡ 298 00:23:05,751 --> 00:23:08,954 大きく間違うことはありません。 299 00:23:12,925 --> 00:23:17,096 あっ そうそう 桜餅がありますよ。 300 00:23:17,096 --> 00:23:19,999 長命寺の? あれはうまい。 301 00:23:19,999 --> 00:23:21,967 ⚟お~い お信! 302 00:23:21,967 --> 00:23:26,171 あっ 目が覚めたようです。 一緒に 頂きましょう。 303 00:23:33,646 --> 00:23:41,954 <大御所 家斉の忌み明けから ひとつきもたたない 4月16日のこと…> 304 00:23:41,954 --> 00:23:45,291 越前殿。 305 00:23:45,291 --> 00:23:49,295 それがしに 何か御用か? 306 00:23:51,630 --> 00:23:54,433 上意である。 控えよ。 307 00:23:54,433 --> 00:23:57,803 ははっ。 308 00:23:57,803 --> 00:24:00,773 (忠邦)ご沙汰を申し聞かす。 309 00:24:00,773 --> 00:24:06,245 その方儀 勤め方 尊慮にかなわず。 310 00:24:06,245 --> 00:24:09,248 お役御免を仰せつけらる。 311 00:24:09,248 --> 00:24:11,750 なんと…! 312 00:24:13,585 --> 00:24:21,093 上意じゃ! 直ちに この場を立ち去りませいっ。 313 00:24:21,093 --> 00:24:24,897 さっ…。 立つぞ。 314 00:24:28,400 --> 00:24:30,336 バカな…! 315 00:24:30,336 --> 00:24:32,771 <水野美濃守忠篤。➡ 316 00:24:32,771 --> 00:24:38,277 御側御用取次として 碩翁と共に 大御所の治世を支えてきた高官は➡ 317 00:24:38,277 --> 00:24:43,582 一日にして その座を追われました。 そして…> 318 00:24:47,619 --> 00:24:49,555 何用かな。 319 00:24:49,555 --> 00:24:52,124 中野碩翁。 320 00:24:52,124 --> 00:24:57,796 不届きの儀あるにつき 登城を禁ずる。 321 00:24:57,796 --> 00:25:02,634 直ちに屋敷へ戻り 沙汰を待たれよ。 さっ。 322 00:25:02,634 --> 00:25:04,603 痛っ! 323 00:25:04,603 --> 00:25:09,408 お城を下がるのに 人の手は借りぬ。 324 00:25:11,243 --> 00:25:16,749 委細 承知つかまつった。 325 00:25:22,955 --> 00:25:29,628 <この日を境に 老中首座 水野忠邦が権力を掌握。➡ 326 00:25:29,628 --> 00:25:32,097 亡き大御所に仕えた者たちは➡ 327 00:25:32,097 --> 00:25:36,935 ことごとく その地位を 追われることとなったのです。➡ 328 00:25:36,935 --> 00:25:39,838 それから ひとつきの後…> 329 00:25:39,838 --> 00:25:47,646 これより 御政事の儀は 享保 寛政の御改革を手本とし➡ 330 00:25:47,646 --> 00:25:55,320 質素倹約に励み 綱紀を粛正する。 331 00:25:55,320 --> 00:26:04,363 皆の者 いずれも よくよく心得 相勤むべし。 332 00:26:04,363 --> 00:26:06,665 (重臣たち)ははっ。 333 00:26:10,069 --> 00:26:13,572 <天保の改革の始まりでした。➡ 334 00:26:13,572 --> 00:26:16,909 町方にも 改革の開始が告げられ➡ 335 00:26:16,909 --> 00:26:24,583 以後 芝居小屋の移転 寄席の削減 高価な品物の売買禁止など➡ 336 00:26:24,583 --> 00:26:31,457 178件にも及ぶ町触が 次々と出されたのです。➡ 337 00:26:31,457 --> 00:26:38,597 町奉行所には 市中取締掛が新設され 厳しい監視が行われました> 338 00:26:38,597 --> 00:26:42,101 あっ お見回り ご苦労さまにございます。 339 00:26:42,101 --> 00:26:46,405 金銀の細工物 鼈甲 絹物 箔を使った品などは➡ 340 00:26:46,405 --> 00:26:48,340 扱っておらぬだろうな。 341 00:26:48,340 --> 00:26:53,545 はい お触れに背く品は 一切置いておりません。 342 00:27:03,355 --> 00:27:08,160 ぜいたく品を売り買いすれば 容赦なく しょっぴくぞ! 343 00:27:11,230 --> 00:27:13,432 お前ら こそこそするな! 344 00:27:17,569 --> 00:27:21,273 べ~だっ。 345 00:27:22,908 --> 00:27:28,080 <碩翁には 過酷な処分が待っていました。➡ 346 00:27:28,080 --> 00:27:33,385 家屋敷を没収され 逼塞を言い渡されたのです> 347 00:27:34,953 --> 00:27:40,259 殿。 人足どもが参りました。 348 00:27:40,259 --> 00:27:42,194 そうか。 349 00:27:42,194 --> 00:27:46,899 取りかかっても よろしゅうございましょうか。 350 00:27:49,768 --> 00:27:56,275 長年 丹精込めて作られたお庭を…。 言うな。 351 00:27:56,275 --> 00:27:59,778 このまま人手に渡るより➡ 352 00:27:59,778 --> 00:28:05,050 己の手で さら地にした方がよい。 353 00:28:05,050 --> 00:28:09,254 では 始めさせまする。 354 00:28:22,367 --> 00:28:24,436 あれは何でしょう? 355 00:28:24,436 --> 00:28:29,241 麝香ナデシコとも申しましてな オランダから来た花ですよ。 356 00:28:29,241 --> 00:28:31,376 麝香ナデシコ…。 357 00:28:31,376 --> 00:28:37,382 (碩翁)もうひとつきほどすると よい香りのする花が咲きます。 358 00:28:42,120 --> 00:28:46,391 今度は 祭りの山車や 鳴り物を 禁ずるというお触れが出やした。 359 00:28:46,391 --> 00:28:51,930 はあ… 三味線や太鼓も駄目なのですか? 360 00:28:51,930 --> 00:28:56,401 それでは お祭りになりませんね。 361 00:28:56,401 --> 00:28:58,937 (銀次)旦那の具合はどうです? 362 00:28:58,937 --> 00:29:04,743 まだ… 町の様子が耳に入って 気が ふさぐようです。 363 00:29:04,743 --> 00:29:07,546 道具市も 客足は さっぱりで。 364 00:29:07,546 --> 00:29:10,882 せめて 旦那がいてくれたらなあ…。 365 00:29:10,882 --> 00:29:13,785 ⚟(お順)母上~! 366 00:29:13,785 --> 00:29:16,555 これを渡してほしいと頼まれました。 367 00:29:16,555 --> 00:29:20,559 どなたから? さあ… 知らない人。 368 00:29:22,894 --> 00:29:24,830 うわあ~ きれい! 369 00:29:24,830 --> 00:29:28,767 いい匂いですねえ! 370 00:29:28,767 --> 00:29:32,571 これ あのお庭の…。 371 00:29:40,746 --> 00:29:43,749 白鬚様…。 372 00:29:48,086 --> 00:29:50,756 きれいだなあ 何て花だい? 373 00:29:50,756 --> 00:29:53,792 麝香ナデシコです。 いい匂いがしますよ。 374 00:29:53,792 --> 00:29:58,597 ほう。 どれ よいしょ。 375 00:30:00,399 --> 00:30:04,102 旦那様 気を付けて。 おう。 376 00:30:05,771 --> 00:30:09,574 よ~し お水やるか。 はい。 377 00:30:19,618 --> 00:30:26,291  心の声  「花は根に 鳥は古巣に帰るなり➡ 378 00:30:26,291 --> 00:30:34,166 春のとまりを 知る人ぞなき」…。 379 00:30:34,166 --> 00:30:40,172 白鬚様 どこに帰られたのかしら。 380 00:30:41,840 --> 00:30:45,310 (お順)見て見て。 381 00:30:45,310 --> 00:30:47,245 きれいな虹。 382 00:30:47,245 --> 00:30:50,549 おお 久しぶりに見たな。 383 00:30:59,458 --> 00:31:03,328 <碩翁からの贈り物が 勝家に明るさを届け➡ 384 00:31:03,328 --> 00:31:09,768 小吉の病も 少しずつ 快方に向かっていきました。➡ 385 00:31:09,768 --> 00:31:13,772 ところが その秋のこと> 386 00:31:21,113 --> 00:31:24,116 鳥居様 これを。 387 00:31:30,822 --> 00:31:36,294 岡野のことは 2年前に沙汰なしと決めたであろう。 388 00:31:36,294 --> 00:31:38,964 片づいたのは 岡野の方だけ。 389 00:31:38,964 --> 00:31:42,434 借地人の勝が 騒ぎに乗じて江戸を離れた件は➡ 390 00:31:42,434 --> 00:31:45,337 詮議が済んでおりませぬ。 391 00:31:45,337 --> 00:31:49,641 無法に関所を破ったに相違なく 綱紀粛正の折➡ 392 00:31:49,641 --> 00:31:53,645 かかる不届きものこそ 取り締まるべきかと。 393 00:32:06,391 --> 00:32:09,294 <2年前の摂津行きが蒸し返され➡ 394 00:32:09,294 --> 00:32:14,099 下された処分は 重いものでした…。➡ 395 00:32:14,099 --> 00:32:20,405 勝家は 本所を追われ 虎ノ門に押込と決まったのです> 396 00:32:29,648 --> 00:32:33,418 随分 長いこと拝んでいましたね。 397 00:32:33,418 --> 00:32:37,289 おばば様に 謝ってたんだ。 398 00:32:37,289 --> 00:32:40,125 バカを尽くしたあげく➡ 399 00:32:40,125 --> 00:32:46,431 とうとう本所を追ん出されることに なっちまった。 400 00:32:46,431 --> 00:32:50,969 あの世で さぞ怒ってるだろうなあ。 401 00:32:50,969 --> 00:32:56,308 「そなた やはり 勝家を潰しに来たのだな」って。 402 00:32:56,308 --> 00:32:59,978 勝家は 潰れてなどいませんよ。 403 00:32:59,978 --> 00:33:03,949 麟太郎がいるではありませんか。 404 00:33:03,949 --> 00:33:07,252 命まで取られるわけじゃなし。 405 00:33:07,252 --> 00:33:12,257 みんな そろって暮らせるのですから きっと なんとかなりますよ。 406 00:33:13,925 --> 00:33:16,261 こんなことで気落ちしていたら➡ 407 00:33:16,261 --> 00:33:21,399 それこそ おばば様が あの世で角を出します。 408 00:33:21,399 --> 00:33:23,335 ん? 409 00:33:23,335 --> 00:33:25,270 婿殿! 410 00:33:25,270 --> 00:33:28,773 チッ やっぱり おばば様の孫だな。 411 00:33:28,773 --> 00:33:30,709 よく似てるよ。 412 00:33:30,709 --> 00:33:34,412 ウフフッ。 お前は のんきだね。 413 00:33:34,412 --> 00:33:37,716 はい。 ⚟(多賀)小吉殿! 414 00:33:43,788 --> 00:33:47,425 ああっ どうしましょう。 415 00:33:47,425 --> 00:33:54,199 岡野の家を助けてくださったばっかりに こんなことに…。 416 00:33:54,199 --> 00:33:57,102 (光江)おばあ様。 417 00:33:57,102 --> 00:34:00,005 2年もたってから処分を下すとは…。 418 00:34:00,005 --> 00:34:02,574 ご公儀は あんまり非道だ。 419 00:34:02,574 --> 00:34:08,446 何もかも 岡野の不始末から 起きたこと…。 420 00:34:08,446 --> 00:34:10,916 (泣き声) 421 00:34:10,916 --> 00:34:14,252 お多賀様 もう その話は。 422 00:34:14,252 --> 00:34:18,089 口出しするなと約束して 俺が勝手にやったことだ。 423 00:34:18,089 --> 00:34:21,760 お前様たちのせいじゃ ありませんよ。 424 00:34:21,760 --> 00:34:23,962 ⚟(お順)お客さんですよ。 425 00:34:25,597 --> 00:34:27,632 旦那! おう 銀次。 426 00:34:27,632 --> 00:34:29,768 どうしたい 市で何かあったのかい? 427 00:34:29,768 --> 00:34:31,703 どうしたもねえもんだ。 428 00:34:31,703 --> 00:34:33,638 旦那が 本所から 追ん出されるって聞いて➡ 429 00:34:33,638 --> 00:34:35,941 慌てて飛んできたんですぜ。 430 00:34:35,941 --> 00:34:38,843 (長兵衛)大勢押しかけて 騒ぎになってもいけませんから➡ 431 00:34:38,843 --> 00:34:40,812 我々だけで来ましたが➡ 432 00:34:40,812 --> 00:34:44,282 市の者たちは 皆 案じておりますよ。 433 00:34:44,282 --> 00:34:46,284 旦那が どんな悪いことしたってんですよ。 434 00:34:46,284 --> 00:34:48,954 何が御改革だい ちきしょう 本当に! 435 00:34:48,954 --> 00:34:50,889 これ お清さん…。 436 00:34:50,889 --> 00:34:55,293 やっぱり おととしの 摂津行きが たたったんですかい? 437 00:34:55,293 --> 00:34:59,297 (泣き声) 438 00:34:59,297 --> 00:35:02,734 お多賀様。 バカ! 余計なこと言ってんじゃねえや。 439 00:35:02,734 --> 00:35:07,238 俺の身性が悪いんで とうから目ぇつけられてただけだろうが。 440 00:35:07,238 --> 00:35:10,742 旦那…。 しみったれた顔すんな。 441 00:35:10,742 --> 00:35:13,645 なんてこたあねえ 川の向こうに ちょいと引っ越しするだけさ。 442 00:35:13,645 --> 00:35:17,515 殿様がいなけりゃ 道具市は おしまいでございます。 443 00:35:17,515 --> 00:35:21,386 情けねえ。 市は みんなのものだろ。 444 00:35:21,386 --> 00:35:23,321 みんなで守らなくて どうするんでえ。 445 00:35:23,321 --> 00:35:25,757 けど 今でせえ お取り締まりが厳しくて➡ 446 00:35:25,757 --> 00:35:28,593 息を殺すようにして 商売してるんですぜ。 447 00:35:28,593 --> 00:35:32,931 銀次さん それも しばらくの辛抱ですよ。 448 00:35:32,931 --> 00:35:38,603 今にきっと 元のにぎやかな道具市に戻りますから。 449 00:35:38,603 --> 00:35:40,538 奥様…。 450 00:35:40,538 --> 00:35:42,941 やけに自信たっぷりじゃねえか。 451 00:35:42,941 --> 00:35:47,612 はい。 ご公儀のなさることでも➡ 452 00:35:47,612 --> 00:35:52,417 人情とかけ離れていたのでは 長く続くはずがありませんもの。 453 00:35:52,417 --> 00:35:56,788 フッ 聞いたかい。 いい卦が出たぜ。 454 00:35:56,788 --> 00:36:01,559 うちのお信は 大した易者だ。 455 00:36:01,559 --> 00:36:03,895 まあ 人をからかって。 456 00:36:03,895 --> 00:36:06,364 お前が言ってるのが 道理だ。 457 00:36:06,364 --> 00:36:09,734 みんな 口をつぐんでいるだけだ。 458 00:36:09,734 --> 00:36:12,237 ご妻女は度胸がいいのだ。 459 00:36:12,237 --> 00:36:15,740 2年前は すりこ木 一本で ゴロツキに立ち向かっていたっけ。 460 00:36:15,740 --> 00:36:18,943 よしてください そんな話。 461 00:36:20,578 --> 00:36:22,514 お下がりなさい! 462 00:36:22,514 --> 00:36:25,450 武士の家に 勝手に上がり込むとは 無礼な。 463 00:36:25,450 --> 00:36:28,753 すりこ木 持たせりゃ 俺でも かなわねえや。 464 00:36:28,753 --> 00:36:33,625 フッ ウフフ…。 光江様まで。 465 00:36:33,625 --> 00:36:36,261 (笑い声) 466 00:36:36,261 --> 00:36:39,931 もうっ。 (笑い声) 467 00:36:39,931 --> 00:36:45,403 驚いたな。 励ますつもりで来たが 無用であったらしい。 468 00:36:45,403 --> 00:36:47,472 はい…。 469 00:36:47,472 --> 00:36:50,775 何をしているのです? こんなところに集まって。 470 00:36:50,775 --> 00:36:52,711 伯母上。 471 00:36:52,711 --> 00:36:55,513 門の外まで笑い声が。 472 00:36:57,949 --> 00:36:59,984 あれは ちょっとした勘違いで…。 473 00:36:59,984 --> 00:37:01,920 ちょっとじゃねえよ とんでもねえ…。 474 00:37:01,920 --> 00:37:04,355 さぞ 力を 落としているだろうと思ったら…。 475 00:37:04,355 --> 00:37:08,560 お信さん いつもと ちっとも変わらない。 476 00:37:08,560 --> 00:37:11,062 (笑い声) ひど~い! 477 00:37:11,062 --> 00:37:13,898 慌てず 騒がず…。 478 00:37:13,898 --> 00:37:17,769 勝家で一番落ち着いているのは 母のようです。 479 00:37:17,769 --> 00:37:21,239 まことに…。 480 00:37:21,239 --> 00:37:28,379 麟太郎 ふた親が のんき者なのですから そなたが しっかりせねばなりませんよ。 481 00:37:28,379 --> 00:37:32,250 勝家の命運は そなたにかかっているのです。 482 00:37:32,250 --> 00:37:36,254 はい。 心得ております。 483 00:37:36,254 --> 00:37:45,396 (笑い声) 484 00:37:45,396 --> 00:37:47,932 (せきこみ) 485 00:37:47,932 --> 00:37:52,403 起きていなさると お体に障りますよ。 486 00:37:52,403 --> 00:37:56,207 いやいや 世話をかけるな。 487 00:38:01,880 --> 00:38:06,551 ああ よいよい。 開けといてくれ。 488 00:38:06,551 --> 00:38:10,889 けど 風に当たっては 体に毒ですから。 489 00:38:10,889 --> 00:38:15,760 いや 今日はのう 日ざしが温かい。 490 00:38:15,760 --> 00:38:20,365 ハハ… しばらく そのままに。 491 00:38:20,365 --> 00:38:24,569 さようですか それなら…。 492 00:38:24,569 --> 00:38:29,073 おや 寒牡丹に つぼみが。 493 00:38:29,073 --> 00:38:33,244 花が咲いたら さぞ きれいでしょうねえ。 494 00:38:33,244 --> 00:38:36,247 (碩翁)牡丹か…。 495 00:38:39,751 --> 00:38:44,389 わしの一生も➡ 496 00:38:44,389 --> 00:38:50,195 そう悪いものではなかった。 497 00:39:03,341 --> 00:39:05,410 おい お信 先行くぞ! 498 00:39:05,410 --> 00:39:07,879 ⚟は~い。 499 00:39:07,879 --> 00:39:11,549 <小吉一家が 住み慣れた本所の家を離れたのは➡ 500 00:39:11,549 --> 00:39:15,253 暮れも近い ある日のことです> 501 00:39:17,222 --> 00:40:34,966 ♬~ 502 00:40:34,966 --> 00:40:40,305 ああ 楽しかった…。 503 00:40:40,305 --> 00:40:52,016 ♬~ 504 00:40:52,016 --> 00:40:54,319 ⚟(麟太郎 お順)母上~! 505 00:40:54,319 --> 00:40:57,655 ⚟おい お信 何やってんだ。 行くぞ! 506 00:40:57,655 --> 00:41:01,459 は~い 今参ります。 507 00:41:09,267 --> 00:41:12,570 よし 出立! 508 00:41:20,278 --> 00:41:23,114 待て! 手荒なまねは よしなさい。 ありがとうござんした。 509 00:41:23,114 --> 00:41:26,017 澄んだ瞳といい 名馬じゃ 名馬。 馬。 510 00:41:26,017 --> 00:41:28,619 西洋の書物は 知識の宝庫だ。 511 00:41:28,619 --> 00:41:30,655 鳥居は 大の蘭学嫌えだそうです。 512 00:41:30,655 --> 00:41:33,958 人の役に立つことを禁ずるなんざ バカのするこった。 513 00:41:33,958 --> 00:41:35,893 ポナ パルテ? フランス王 ナポレオン➡ 514 00:41:35,893 --> 00:41:37,829 フレイヘイドの世を 打ち立てようとした男だ。 515 00:41:37,829 --> 00:41:40,298 フレイヘイド フレイヘイドです。 516 00:41:40,298 --> 00:42:10,294 ♬~ 517 00:42:10,294 --> 00:42:15,767 ♬~ 518 00:42:15,767 --> 00:42:55,273 ♬~