1 00:02:11,107 --> 00:02:31,127 ♬~ 2 00:02:31,127 --> 00:02:51,147 ♬~ 3 00:02:51,147 --> 00:03:11,100 ♬~ 4 00:03:11,100 --> 00:03:31,120 ♬~ 5 00:03:31,120 --> 00:03:41,120 ♬~ 6 00:04:29,111 --> 00:04:32,114 (一刀)大五郎 菊の花だ 7 00:04:32,114 --> 00:04:37,119 ≪(重之)素浪人 どけどけ! その乳母車! 8 00:04:37,119 --> 00:04:39,119 (玄蕃)邪魔立ていたすと 容赦はせぬぞ 9 00:04:42,124 --> 00:04:44,124 (玄蕃)どかぬか! 10 00:04:46,128 --> 00:04:48,128 (兵吾)おっ! (玄蕃)何者だ 貴様 11 00:04:55,137 --> 00:04:57,137 拝一刀 12 00:04:59,075 --> 00:05:01,075 御用があれば承ろう 13 00:05:06,082 --> 00:05:12,088 「腕貸し 子貸し 拝一刀」 フッ ふざけたやつだ 14 00:05:12,088 --> 00:05:14,088 ≪(お牧)おやめなされ 15 00:05:24,100 --> 00:05:27,103 無礼なやつ! このまま放置しては➡ 16 00:05:27,103 --> 00:05:31,103 お牧の方 ひいては 我らが藩主のお名に関わります 17 00:05:33,109 --> 00:05:36,112 (お牧)1年ぶりの里帰りです 18 00:05:36,112 --> 00:05:42,112 その親子の命を わらわの 親御の寿命に加えましょう 19 00:06:00,069 --> 00:06:05,069 訳は 聞かぬ 懐剣を収めて去るがよい 20 00:06:21,090 --> 00:06:41,110 ♬~ 21 00:06:41,110 --> 00:06:55,124 ♬~ 22 00:06:55,124 --> 00:06:57,059 (男性)《おう 寄るんじゃねえ》 23 00:06:57,059 --> 00:07:00,059 (お市)《藤枝勇之進の 家の者です》 (男性)《何…》 24 00:07:06,068 --> 00:07:09,071 (お市)《兄上!》 (女性)《勇之進 一体!》 25 00:07:09,071 --> 00:07:11,073 (男性)《ほれ 触れてはならん》➡ 26 00:07:11,073 --> 00:07:13,075 《お改めがあるまで 触れてはならん》 27 00:07:13,075 --> 00:07:18,075 (泣き声) 28 00:07:21,083 --> 00:07:27,089 (玄蕃)《これは 心中ではないか 勇之進も ばかなことを!》➡ 29 00:07:27,089 --> 00:07:30,092 《この女は何者だ》 30 00:07:30,092 --> 00:07:34,096 (重之)《おお これは 越後屋の… きぬではないか》 31 00:07:34,096 --> 00:07:37,099 (兵吾)《確かにそうだ》➡ 32 00:07:37,099 --> 00:07:40,102 《お牧の方の 付き添い女中のおきぬだ》 33 00:07:40,102 --> 00:07:43,105 (玄蕃) 《女中の分際で 武士に懸想し➡ 34 00:07:43,105 --> 00:07:46,108 あまつさえ 無理心中を仕掛けるとは》 35 00:07:46,108 --> 00:07:51,113 (重之)《しかし 藤枝勇之進ともあろう者が➡ 36 00:07:51,113 --> 00:07:54,116 婚約相手の使用人と 通じておったとは》 37 00:07:54,116 --> 00:07:56,118 (兵吾)《藤枝家も…》 38 00:07:56,118 --> 00:08:10,065 ♬~ 39 00:08:10,065 --> 00:08:12,065 ≪(越後屋) 《お待ちくださりませ!》 40 00:08:14,069 --> 00:08:16,071 (越後屋)《あの え… 越後屋でございます》 41 00:08:16,071 --> 00:08:18,073 (さわ) 《おきぬの母でございます》 42 00:08:18,073 --> 00:08:21,076 (玄蕃)《女中の分際で 侍に無理心中を仕掛けたとは➡ 43 00:08:21,076 --> 00:08:23,078 もっての外だ》 44 00:08:23,078 --> 00:08:27,082 (重之)《藤枝家は 貴様たちの 娘のために お取り潰しだ!》 45 00:08:27,082 --> 00:08:29,084 《お取り潰し!?》 (お市)《母上》 46 00:08:29,084 --> 00:08:32,087 (越後屋)《いや これは 何かの間違いでございます➡ 47 00:08:32,087 --> 00:08:35,090 うちの娘に限ってそのようなことは 決してございません》 48 00:08:35,090 --> 00:08:40,095 《おきぬは 間もなく 嫁に行くはずでございました》 49 00:08:40,095 --> 00:08:44,099 《そのために 工藤様のお屋敷に➡ 50 00:08:44,099 --> 00:08:47,099 行儀見習いに 出したのでございます》 51 00:08:51,106 --> 00:08:53,108 《お牧様》 52 00:08:53,108 --> 00:09:11,060 ♬~ 53 00:09:11,060 --> 00:09:13,060 《四十九日か》 54 00:09:15,064 --> 00:09:18,064 (重之)《早いものよのう》 55 00:09:21,070 --> 00:09:24,070 (兵吾)《お市殿 いかがなされた》 56 00:09:31,080 --> 00:09:34,083 (重之)《母者か いかがなされた》 57 00:09:34,083 --> 00:09:41,090 (お市) 《母は お家お取り潰しを悲しみ➡ 58 00:09:41,090 --> 00:09:46,090 兄の四十九日の今朝 自害いたしました》 59 00:10:03,045 --> 00:10:07,049 《それにしても 勇之進は 親不孝者よのう》 60 00:10:07,049 --> 00:10:12,054 《心中などという愚行を犯して 家を滅ぼし➡ 61 00:10:12,054 --> 00:10:14,054 母者を死に追いやるとは》 62 00:10:16,058 --> 00:10:19,061 (お市) 《玄蕃様 お願いでございます》➡ 63 00:10:19,061 --> 00:10:22,064 《その… 訳を 教えてくださいまし》➡ 64 00:10:22,064 --> 00:10:26,068 《私には どうしても ふに落ちません》 65 00:10:26,068 --> 00:10:31,068 《なぜ 兄は 越後屋のきぬ殿と心中など》 66 00:10:33,075 --> 00:10:38,080 (お市)《兄は お牧様とは 固く 言い交わした仲でございます》 67 00:10:38,080 --> 00:10:44,086 《それは 皆様も御存じのことでは ございませぬか》➡ 68 00:10:44,086 --> 00:10:50,092 《しかも 兄の死のあと お牧様は たちまち殿の御側室》 69 00:10:50,092 --> 00:10:54,092 《私には どうしても ふに落ちません》 70 00:10:58,033 --> 00:11:05,040 《お市殿 我ら 3人 訳は全て存じておる》 71 00:11:05,040 --> 00:11:07,042 (玄蕃)《察しのとおり➡ 72 00:11:07,042 --> 00:11:12,047 殿に見初められた お牧の方は 立身栄達を望んだ》 73 00:11:12,047 --> 00:11:16,051 《勇之進が 邪魔者になったのだ》 74 00:11:16,051 --> 00:11:20,055 (重之)《そして 仕組まれたのが 2人を別々に誘い出し➡ 75 00:11:20,055 --> 00:11:24,059 無理心中に見せかけて 殺すことだった》 76 00:11:24,059 --> 00:11:28,063 (兵吾)《全ては お牧の方の指図》 77 00:11:28,063 --> 00:11:31,063 (重之)《それを実行したのは…》 78 00:11:40,075 --> 00:11:42,075 《お察しのとおりだ》 79 00:11:46,081 --> 00:11:49,084 《これほどの大事を 打ち明けたからには➡ 80 00:11:49,084 --> 00:11:53,088 そなたの口を 封じなければならぬ》 81 00:11:53,088 --> 00:11:58,093 (重之) 《藤枝家は 既に お取り潰し》 82 00:11:58,093 --> 00:12:02,093 (兵吾) 《残るは お市殿 ただ一人》 83 00:12:13,108 --> 00:12:15,108 《何をなされます》 84 00:12:21,116 --> 00:12:26,121 《あ… あなた方は… 誰でも》 85 00:12:26,121 --> 00:12:42,137 ♬~ 86 00:12:42,137 --> 00:12:44,139 《助け… 無礼者!》 87 00:12:44,139 --> 00:12:57,085 ♬~ 88 00:12:57,085 --> 00:13:01,089 《恨むのなら お牧の方を恨め》 89 00:13:01,089 --> 00:13:17,105 ♬~ 90 00:13:17,105 --> 00:13:19,105 (清吉)お市 お市! 91 00:13:22,110 --> 00:13:25,110 (清吉) 何 ぼやぼやしてんだ ちぇっ 92 00:13:33,121 --> 00:13:36,124 (工藤) 1年ぶりだな 娘に会えるのも 93 00:13:36,124 --> 00:13:38,126 (女性)本当に 94 00:13:38,126 --> 00:13:41,126 (工藤)おお 来た来た 95 00:13:46,134 --> 00:13:50,138 あなた 娘を どう呼べばよろしいんですか? 96 00:13:50,138 --> 00:13:54,142 ああ 娘とはいえ 殿の御側室だ 97 00:13:54,142 --> 00:13:58,142 お牧の方様とでも 呼ばねばなるまい (女性)アハハッ 98 00:14:09,091 --> 00:14:13,095 お牧の方様 道中 何事もなく お着きでござる 99 00:14:13,095 --> 00:14:15,095 (工藤)お役目 御苦労でござる 100 00:14:21,103 --> 00:14:26,108 お父上 母上 お久しぶりにございまする 101 00:14:26,108 --> 00:14:29,111 (女性)お牧… の方様➡ 102 00:14:29,111 --> 00:14:33,115 本当に見違えるように きれいにおなりじゃ 103 00:14:33,115 --> 00:14:35,117 殿の御機嫌はどうじゃ 104 00:14:35,117 --> 00:14:39,121 (お牧) はい 毎日毎日 それは麗しく➡ 105 00:14:39,121 --> 00:14:42,124 観菊の会 是非とのことでしたが➡ 106 00:14:42,124 --> 00:14:46,128 1年ぶりの里帰り 親子水入らずの邪魔はせぬとか 107 00:14:46,128 --> 00:14:50,128 (女性)アハハッ さあさあ 108 00:14:53,135 --> 00:14:56,138 (兵吾)ろうぜき者! (重之)おのれ 無礼者! 控え! 109 00:14:56,138 --> 00:15:00,075 (越後屋)娘 きぬの敵! (重之)無礼者! 控え! 110 00:15:00,075 --> 00:15:03,078 (お牧)越後屋 (重之・兵吾)控え! 控え! 111 00:15:03,078 --> 00:15:07,082 (兵吾)おのれ この うつけ者めが! 座れ! 112 00:15:07,082 --> 00:15:11,086 わらわを狙うとは 殿に やいばを向けるのも同然じゃ 113 00:15:11,086 --> 00:15:15,090 玄蕃 生かしておくことはなりませぬ 114 00:15:15,090 --> 00:15:17,092 心得ております 115 00:15:17,092 --> 00:15:20,095 越後屋のたわけ者めが! (お牧)お父上 母上 116 00:15:20,095 --> 00:15:24,099 慮外者のことは お気になさいますな 117 00:15:24,099 --> 00:15:26,099 これを供えておやり 118 00:15:28,103 --> 00:15:30,105 ちきしょう! 119 00:15:30,105 --> 00:15:34,109 (玄蕃)貴様 何の恨みがあって 殿の御側室を狙った 120 00:15:34,109 --> 00:15:37,112 (越後屋)む… 娘を返せー! 121 00:15:37,112 --> 00:15:40,115 (重之) この男 「娘 きぬの敵」と叫んだな 122 00:15:40,115 --> 00:15:42,117 あの女中の親だ 123 00:15:42,117 --> 00:15:46,121 娘を返せー! 124 00:15:46,121 --> 00:15:48,121 (越後屋)ああーっ! 125 00:16:03,071 --> 00:16:07,071 (兵吾)よし ここらでよかろう 126 00:16:30,098 --> 00:16:32,098 (戸の開く音) 127 00:17:02,063 --> 00:17:08,069 <東海道五十三次のうち 金谷の宿は 江戸より 53里9丁➡ 128 00:17:08,069 --> 00:17:10,071 京へは 72里の所にあった> 129 00:17:10,071 --> 00:17:13,074 (とめ)お泊まりよ! きく屋でござんすよ! 130 00:17:13,074 --> 00:17:18,079 (すみ)お寄りんして! お侍さん どうぞ➡ 131 00:17:18,079 --> 00:17:21,079 いい湯が沸いてやんすよ! 132 00:17:23,084 --> 00:17:26,087 (すみ) お泊まりや! お泊まりやんし➡ 133 00:17:26,087 --> 00:17:31,092 あら! お客さん お泊まりやんしてよ (三次)ヘッ 134 00:17:31,092 --> 00:17:35,096 (とめ)けちね! ねえ お泊まりやんし 135 00:17:35,096 --> 00:17:38,099 (三次)お前 ここの女かい? (お市)ええ 136 00:17:38,099 --> 00:17:41,102 よーし 一丁 今日は ここで沈没するか! 137 00:17:41,102 --> 00:17:43,102 (お市)はい どうぞ 138 00:17:46,107 --> 00:17:50,111 (とめ)女は器量か (すみ)体と面は 違うんだがね 139 00:17:50,111 --> 00:17:52,111 何言ってんだ お前 140 00:17:55,116 --> 00:17:58,053 <このころ 道中 駅宿で➡ 141 00:17:58,053 --> 00:18:03,058 泊まり客の足をそそいでやる 女たちのことを 「足洗女」といった> 142 00:18:03,058 --> 00:18:08,063 <この女たち 宿場の飯盛り女と 何ら変わることなく➡ 143 00:18:08,063 --> 00:18:12,067 客を相手に 春をひさいでいたので 「出女」という異名もあった> 144 00:18:12,067 --> 00:18:15,067 (女性)お客さん お部屋へどうぞ (客)おう 145 00:18:24,079 --> 00:18:27,082 (三次)なかなか うぶじゃねえか➡ 146 00:18:27,082 --> 00:18:30,085 器量も なかなかなもんだぜ➡ 147 00:18:30,085 --> 00:18:34,089 なすがまま ハッ 嫁入りの晩か 148 00:18:34,089 --> 00:18:37,092 (女性)はい どうぞ (清吉)いらっしゃいませ➡ 149 00:18:37,092 --> 00:18:40,095 どうぞ お部屋の方へ お早い お着きで いらっしゃいませ どうぞ 150 00:18:40,095 --> 00:18:43,098 それじゃ 後で しっぽりとな 151 00:18:43,098 --> 00:18:45,098 ハハハ… (清吉)あの お部屋の方へ 152 00:18:56,111 --> 00:18:59,111 (女性)お侍さん どうぞ 153 00:19:21,069 --> 00:19:23,069 お泊まりなすって 154 00:19:26,074 --> 00:19:29,077 あ… すいません なぜ わびるのだ 155 00:19:29,077 --> 00:19:32,080 (お市)どうぞ お泊まりください 156 00:19:32,080 --> 00:19:37,080 大五郎 たまには はたごに泊まるか 157 00:19:39,087 --> 00:19:41,087 (大五郎)うん 158 00:19:48,096 --> 00:19:51,099 (清吉)まぬけ! 相手をよく見て 呼び込むんだよ 159 00:19:51,099 --> 00:19:55,103 あんな ガキ連れの こじき浪人を泊めて どうすんだよ 160 00:19:55,103 --> 00:19:59,040 うちはな もともと脇本陣を務める 由緒ある 上はたごなんだぞ 161 00:19:59,040 --> 00:20:01,042 でも… 162 00:20:01,042 --> 00:20:03,044 はたご代を 踏み倒されたうえに➡ 163 00:20:03,044 --> 00:20:06,044 段平でも振り回されてみろ! どうするんだい 164 00:20:14,055 --> 00:20:20,061 あの 誠に申し訳ございませんが 今も怒ってきたんですが➡ 165 00:20:20,061 --> 00:20:24,065 部屋は 全部 塞がっておりますので 166 00:20:24,065 --> 00:20:28,069 これを預かっておけ 167 00:20:28,069 --> 00:20:32,069 ハハッ いや これは お察しのいいことで 恐れ入ります 168 00:20:49,090 --> 00:20:51,092 少し 長とう留さしてもらうぞ 169 00:20:51,092 --> 00:20:53,094 ヘヘヘッ それはもう 170 00:20:53,094 --> 00:20:57,032 で… あの 長とう留と申しますと どのぐらいで? 171 00:20:57,032 --> 00:21:01,036 いや あの ふだんなら こんなこと お聞きしないんですが➡ 172 00:21:01,036 --> 00:21:03,038 まだ ないしょなんでございますが➡ 173 00:21:03,038 --> 00:21:08,043 この7日 観菊会が この きく屋で行われます 174 00:21:08,043 --> 00:21:10,045 当家の庭は 由緒があるのか? 175 00:21:10,045 --> 00:21:13,048 へい 先代が 菊作りの名人でございまして➡ 176 00:21:13,048 --> 00:21:15,050 屋号も それまで 梅屋といっていたのを➡ 177 00:21:15,050 --> 00:21:18,053 きく屋と 変えたぐらいでございます 178 00:21:18,053 --> 00:21:22,057 そのころの菊の株が 今では 内庭いっぱい 179 00:21:22,057 --> 00:21:27,062 しかも どういうわけか 時々 黄色に混じって 真っ赤な花が…➡ 180 00:21:27,062 --> 00:21:31,066 ぼけの花みたいな色をしたやつが 咲くのでございます➡ 181 00:21:31,066 --> 00:21:34,069 それが 今年は また 一段と赤いのが咲きまして➡ 182 00:21:34,069 --> 00:21:37,072 人の血でも 吸っているのではないかと➡ 183 00:21:37,072 --> 00:21:41,076 大変な評判 これが城中にも 伝わったんですかね➡ 184 00:21:41,076 --> 00:21:45,080 内々に 観菊会を催したいと お知らせがございます 185 00:21:45,080 --> 00:21:48,083 なるほど 殿のお忍びというわけか 186 00:21:48,083 --> 00:21:53,088 いえ 御側室のお牧の方の お忍びです 187 00:21:53,088 --> 00:21:56,091 それが 7日か (清吉)へい 188 00:21:56,091 --> 00:21:58,093 それまでに たとう 189 00:21:58,093 --> 00:22:00,095 そう願えれば 願ったりかなったりでございます 190 00:22:00,095 --> 00:22:03,098 これは 確かに お預かりします 191 00:22:03,098 --> 00:22:05,098 さあ… お市! 御案内 御案内! 192 00:22:07,102 --> 00:22:27,122 ♬~ 193 00:22:27,122 --> 00:22:47,142 ♬~ 194 00:22:47,142 --> 00:23:01,089 ♬~ 195 00:23:01,089 --> 00:23:05,089 御酒も 御膳も 召し上がらないのですか? 196 00:23:09,097 --> 00:23:12,100 余計なことを申し上げました 197 00:23:12,100 --> 00:23:15,100 忙しいのであろう ここは かまわずとよい 198 00:23:25,113 --> 00:23:28,113 あの… 私は 刺客だ 199 00:23:32,120 --> 00:23:34,120 金を取って 人を斬る 200 00:23:39,127 --> 00:23:41,129 (三次) ったく もう 頭にきやがったな➡ 201 00:23:41,129 --> 00:23:48,136 どこ行きやがったんだろうな もう ああ いらいらするな ちくしょう 202 00:23:48,136 --> 00:23:50,138 おい 203 00:23:50,138 --> 00:23:52,140 おい! 204 00:23:52,140 --> 00:23:54,142 (障子の開く音) 205 00:23:54,142 --> 00:23:56,144 おや? お市のやつ いませんね 206 00:23:56,144 --> 00:23:59,080 1杯だけついで どっかへ行きやがったよ 207 00:23:59,080 --> 00:24:01,082 番頭! 回しは 許さねえぞ 208 00:24:01,082 --> 00:24:03,084 へい へい それはもう じきに連れてまいります 209 00:24:03,084 --> 00:24:08,084 なに おおかた かわやか どっかでしょう ハハハ… 210 00:24:21,102 --> 00:24:25,106 横になったと思ったら もう寝息 211 00:24:25,106 --> 00:24:29,110 よっぽど疲れていたんでしょう 212 00:24:29,110 --> 00:24:34,110 野宿であれ どこであれ この子は いつでも よく眠る 213 00:24:40,121 --> 00:24:44,121 観菊会まで 御とう留でございますか? 214 00:24:53,134 --> 00:24:56,134 ≪(清吉)あの 恐れ入りますが 215 00:24:58,072 --> 00:25:04,078 恐れ入ります お市 さっきのお客が うるさいんだよ 216 00:25:04,078 --> 00:25:06,078 (お市)はい 217 00:25:10,084 --> 00:25:25,099 ♬~ 218 00:25:25,099 --> 00:25:27,101 失礼します 219 00:25:27,101 --> 00:25:47,121 ♬~ 220 00:25:47,121 --> 00:25:51,125 ♬~ 221 00:25:51,125 --> 00:25:54,128 《あの人は 昼間の出来事について➡ 222 00:25:54,128 --> 00:25:58,066 何も 聞こうとは してくださらない》 223 00:25:58,066 --> 00:26:05,073 《私が なぜ 側室お牧の方を 狙っていたか 何も聞こうとは》 224 00:26:05,073 --> 00:26:10,078 《出女に身を落としたゆえか あるいは》 225 00:26:10,078 --> 00:26:30,078 ♬~ 226 00:26:34,102 --> 00:26:36,102 早くしねえか! おい 227 00:27:00,061 --> 00:27:04,065 (すみ)あらよっと (とめ)ヘヘッ ざまあ見ろだ 228 00:27:04,065 --> 00:27:08,069 (すみ)駄目だね こりゃ (とめ)いいのがねえじゃねえかよ➡ 229 00:27:08,069 --> 00:27:10,071 ええい もったいねえな 230 00:27:10,071 --> 00:27:13,074 (一同)アハハ… 231 00:27:13,074 --> 00:27:15,074 おっと! 232 00:27:18,079 --> 00:27:21,082 しかしよ 急に 不景気になってきやがったな➡ 233 00:27:21,082 --> 00:27:23,084 変なんじゃないかよ (すみ)お茶をひかずに➡ 234 00:27:23,084 --> 00:27:26,087 花札引くなんてな しゃれにもなんねえよ 235 00:27:26,087 --> 00:27:30,091 おっ これ 駄目じゃねえかよ ほら (すみ)何だよ いいじゃねえかよ 236 00:27:30,091 --> 00:27:36,097 (とめ)おい! おい お市よ お前のほら あの 子連れのほら➡ 237 00:27:36,097 --> 00:27:39,100 あの客 どうなんだい しつこいかい? えっ? 238 00:27:39,100 --> 00:27:42,100 (女性たち)アハハ… 239 00:27:45,106 --> 00:27:47,108 (すみ)あんたが気に入ったんで とう留してんだろ? 240 00:27:47,108 --> 00:27:52,108 (とめ)そうだよ 決まってるよ アハハ… 241 00:27:57,051 --> 00:28:01,055 (とめ)どうだい! エヘヘッ あっ ちきしょう 242 00:28:01,055 --> 00:28:03,055 (すみ) アハッ いいのが入ってくれたね 243 00:28:20,074 --> 00:28:22,074 それは? 244 00:28:32,086 --> 00:28:38,092 位はいの持ち主は 返り討ちに遭ったようだな 245 00:28:38,092 --> 00:28:43,097 お前 何か狙っているのか? 246 00:28:43,097 --> 00:28:48,102 一たび死んだ者は 二度と帰らぬ 247 00:28:48,102 --> 00:28:52,106 わしは いずこへ流れるともしれぬ身 248 00:28:52,106 --> 00:28:57,106 これを お前に預けておこう 249 00:29:00,047 --> 00:29:04,051 拝様 訳をお聞きくださいませ 250 00:29:04,051 --> 00:29:06,053 聞きたくない 251 00:29:06,053 --> 00:29:08,055 聞かずともよい 252 00:29:08,055 --> 00:29:28,075 ♬~ 253 00:29:28,075 --> 00:29:41,075 ♬~ 254 00:30:38,079 --> 00:30:43,084 ≪(とめ・すみ)アハハ… 255 00:30:43,084 --> 00:30:45,086 ≪(すみ)何やってんだよ ≪(とめ)アハハ… 256 00:30:45,086 --> 00:30:47,088 (とめ)昨日のさ あの客さ➡ 257 00:30:47,088 --> 00:30:51,092 にんにく食ってやがって まあ 本当に臭いったらありゃしない 258 00:30:51,092 --> 00:30:53,094 ハハッ そういうときはさ あんたも食っとくんだよ 259 00:30:53,094 --> 00:30:57,031 おあいこだ アハッ (とめ)うまいこといくもんか➡ 260 00:30:57,031 --> 00:31:02,036 よいしょ (すみ)ああ… 261 00:31:02,036 --> 00:31:06,036 よう こいこいでもすっか? (とめ)ああ 262 00:31:08,042 --> 00:31:11,045 フッ 何だい 気取りやがって 263 00:31:11,045 --> 00:31:15,049 元 お侍の娘たってね こんなとこじゃ通用しないんだよ 264 00:31:15,049 --> 00:31:17,049 ハハハッ (とめ)フフッ 265 00:31:35,069 --> 00:31:48,082 ♬~ 266 00:31:48,082 --> 00:31:51,085 お牧 死ね 267 00:31:51,085 --> 00:31:54,085 越後屋の恨みを晴らしてやる 268 00:31:56,090 --> 00:32:00,094 そうか おなかに 殿のややこが (お牧)はい 269 00:32:00,094 --> 00:32:02,096 男子を産めば… 270 00:32:02,096 --> 00:32:05,099 わらわは お世継ぎの母になるのです 271 00:32:05,099 --> 00:32:09,103 (工藤)お牧 いや お牧の方 でかしたぞ! 272 00:32:09,103 --> 00:32:13,107 (女性)死んだ勇之進殿には 申し訳ないが➡ 273 00:32:13,107 --> 00:32:16,110 お牧の方のためには 274 00:32:16,110 --> 00:32:20,114 そうだ よくぞ きぬと心中してくれた 275 00:32:20,114 --> 00:32:26,120 (お牧)わらわの目を盗んで 女中風情と無理心中 276 00:32:26,120 --> 00:32:30,120 いかにも あの男に ふさわしゅうございました 277 00:32:32,126 --> 00:32:34,128 (勇之進) 《なぜだ ほうばいのお主ら➡ 278 00:32:34,128 --> 00:32:36,130 なぜ わしを斬る!》 279 00:32:36,130 --> 00:32:39,133 《何をする! 何をする!》➡ 280 00:32:39,133 --> 00:32:41,135 《貴様!》 281 00:32:41,135 --> 00:32:44,138 《玄蕃!》 282 00:32:44,138 --> 00:32:46,140 《あーっ!》 283 00:32:46,140 --> 00:32:58,085 ♬~ 284 00:32:58,085 --> 00:33:01,088 (きぬ)《あっ! 何を 何を…》➡ 285 00:33:01,088 --> 00:33:04,091 《キャーッ!》➡ 286 00:33:04,091 --> 00:33:06,093 《あーっ!》 287 00:33:06,093 --> 00:33:24,093 ♬~ 288 00:33:38,125 --> 00:33:52,125 ♬~ 289 00:34:00,080 --> 00:34:05,085 (玄蕃)明日の観菊会のため 我々 3名 先乗りに参った 290 00:34:05,085 --> 00:34:07,085 (清吉)へい 291 00:34:09,089 --> 00:34:12,092 (玄蕃)おう 見事な菊じゃのう 292 00:34:12,092 --> 00:34:17,097 (重之)おい 酒だ それから 分かっとるな? 293 00:34:17,097 --> 00:34:21,101 へい あの お酒は すぐに お持ちいたしますが 294 00:34:21,101 --> 00:34:25,105 何! 酒だけか (清吉)へい それが➡ 295 00:34:25,105 --> 00:34:27,107 あしたの会のために➡ 296 00:34:27,107 --> 00:34:29,109 出女どもは もう休ませておりまして 297 00:34:29,109 --> 00:34:32,109 上玉を探せ! (清吉)へい 298 00:34:42,122 --> 00:34:46,126 (清吉)お市 お市 299 00:34:46,126 --> 00:34:50,130 ちょっと頼まれてくれねえかな 300 00:34:50,130 --> 00:34:53,130 相手のできんのは お前しかいねえんだよ 301 00:35:05,079 --> 00:35:07,079 ≪(清吉)ごめんくださいまし 302 00:35:12,086 --> 00:35:15,086 当はたご きっての 上玉でございます 303 00:35:38,112 --> 00:35:40,114 お久しぶりでございます 304 00:35:40,114 --> 00:35:44,118 (玄蕃)お市殿 お元気かな? 305 00:35:44,118 --> 00:35:47,121 御覧のとおりでございます 306 00:35:47,121 --> 00:35:49,123 これはこれは 皆様方 307 00:35:49,123 --> 00:35:51,125 この お市を 御存じでございましたか 308 00:35:51,125 --> 00:35:54,125 では ひとつ よろしく ほら お酌 お酌 309 00:36:03,070 --> 00:36:05,072 さあ どうぞ 310 00:36:05,072 --> 00:36:09,076 (重之)このような所で 働いているとは 意外なこと 311 00:36:09,076 --> 00:36:13,076 助けを頼みに来れば 我々も相談に乗ったものを 312 00:36:17,084 --> 00:36:21,088 実はな お牧の方様だ (玄蕃)黒木 313 00:36:21,088 --> 00:36:24,091 お牧の方様が➡ 314 00:36:24,091 --> 00:36:27,094 この度 当きく屋にて 観菊の会を催される➡ 315 00:36:27,094 --> 00:36:31,098 その下見に参ったと こういうわけだ 316 00:36:31,098 --> 00:36:33,098 そうでしたか 317 00:36:48,115 --> 00:36:52,115 まだ お牧の方様を恨んでおるか 318 00:36:55,122 --> 00:37:00,060 いや 恨んでおろう (お市)フフッ 319 00:37:00,060 --> 00:37:04,064 恨みなんてのは まともな人が持つもの 320 00:37:04,064 --> 00:37:10,070 私のごとき 出女に落ちた女に 何の恨みがございましょう 321 00:37:10,070 --> 00:37:13,070 さあ お流れを (玄蕃)うむ 322 00:37:24,084 --> 00:37:44,104 ♬~ 323 00:37:44,104 --> 00:37:56,116 ♬~ 324 00:37:56,116 --> 00:38:00,054 さすがに あの女には 手を出す気にはなれなかったな 325 00:38:00,054 --> 00:38:03,057 驚いたな 326 00:38:03,057 --> 00:38:07,061 あの女が ここにいるとは➡ 327 00:38:07,061 --> 00:38:09,063 出来すぎだ 328 00:38:09,063 --> 00:38:13,067 あしたの菊見を知らぬわけがない 329 00:38:13,067 --> 00:38:16,070 あの女 うそをついている➡ 330 00:38:16,070 --> 00:38:20,074 人の恨みは 意外な所に宿り続けるもの➡ 331 00:38:20,074 --> 00:38:23,074 お主 あの女の目を見たか? 332 00:38:25,079 --> 00:38:27,081 恨みを持った人間の目だ 333 00:38:27,081 --> 00:38:32,086 あの女 なかなか出女などに 落ちておらんぞ 334 00:38:32,086 --> 00:38:35,089 先日の越後屋の例もある 335 00:38:35,089 --> 00:38:37,091 (重之)お牧の方様に 万一のことがあれば➡ 336 00:38:37,091 --> 00:38:40,091 一体 何のための先乗りか 分からなくなる 337 00:39:05,052 --> 00:39:07,052 母上 338 00:39:09,056 --> 00:39:12,059 兄上 339 00:39:12,059 --> 00:39:16,063 間もなく お市も➡ 340 00:39:16,063 --> 00:39:19,066 おそばに参ります 341 00:39:19,066 --> 00:39:21,068 (障子の開く音) 342 00:39:21,068 --> 00:39:41,088 ♬~ 343 00:39:41,088 --> 00:39:47,094 フッ 女郎の身に落ちてまで 敵を討ちたかったのか 344 00:39:47,094 --> 00:39:50,097 その恨みも これまでだ 345 00:39:50,097 --> 00:40:03,043 ♬~ 346 00:40:03,043 --> 00:40:05,043 (お市)ああっ 347 00:40:13,053 --> 00:40:16,056 (お市)ああっ!➡ 348 00:40:16,056 --> 00:40:18,058 ああーっ! 349 00:40:18,058 --> 00:40:20,058 おい 誰か来たぞ 350 00:40:48,088 --> 00:40:54,094 兄の敵 母の敵… 351 00:40:54,094 --> 00:40:57,030 お… お願いします 352 00:40:57,030 --> 00:41:02,035 その兄の名は 藤枝勇之進 353 00:41:02,035 --> 00:41:05,038 はい 354 00:41:05,038 --> 00:41:09,038 みんな お牧の差し金 355 00:41:11,044 --> 00:41:17,044 あの女のために 藤枝家は お取り潰し 356 00:41:20,053 --> 00:41:26,053 あ… あの女… 何とぞ 357 00:41:30,063 --> 00:41:36,063 明日は 兄が殺されて一周忌 358 00:41:38,071 --> 00:41:40,071 お頼み申します 359 00:41:44,077 --> 00:41:50,077 このまま死んでは 何のために 出女になり… 360 00:41:54,087 --> 00:41:58,087 娘の敵を討ちたいと 願うた母がいる 361 00:42:07,100 --> 00:42:27,120 ♬~ 362 00:42:27,120 --> 00:42:47,120 ♬~ 363 00:43:17,104 --> 00:43:21,108 死ね 死ぬのだ 364 00:43:21,108 --> 00:43:41,128 ♬~ 365 00:43:41,128 --> 00:44:01,081 ♬~ 366 00:44:01,081 --> 00:44:16,081 ♬~ 367 00:44:48,128 --> 00:44:50,130 見事じゃ 368 00:44:50,130 --> 00:44:52,132 今年は まるで➡ 369 00:44:52,132 --> 00:44:55,135 お牧の方様の御覧くださるのを 喜ぶかに➡ 370 00:44:55,135 --> 00:44:58,135 一段と 美しく咲いております 371 00:45:22,095 --> 00:45:25,098 おのれ! 372 00:45:25,098 --> 00:45:27,100 (侍)無礼者! (侍)無礼者め! 373 00:45:27,100 --> 00:45:31,100 刺客 子連れ狼 374 00:45:40,113 --> 00:45:42,115 斬れ! 斬れ! 375 00:45:42,115 --> 00:45:56,129 ♬~ 376 00:45:56,129 --> 00:45:58,064 (お牧)誰か! 377 00:45:58,064 --> 00:46:18,084 ♬~ 378 00:46:18,084 --> 00:46:38,104 ♬~ 379 00:46:38,104 --> 00:46:48,114 ♬~ 380 00:46:48,114 --> 00:47:01,061 ♬~ 381 00:47:01,061 --> 00:47:03,063 わらわ… 382 00:47:03,063 --> 00:47:05,065 キャーッ! 383 00:47:05,065 --> 00:47:25,085 ♬~ 384 00:47:25,085 --> 00:47:35,095 ♬~ 385 00:47:35,095 --> 00:47:37,097 <その日の夕暮れ> 386 00:47:37,097 --> 00:47:42,102 <越後屋の墓地で 1人の女が 自ら命を絶った> 387 00:47:42,102 --> 00:47:45,105 <それが 刺客依頼のさわであることを➡ 388 00:47:45,105 --> 00:47:49,109 一刀は 確かめるまでもなかった> 389 00:47:49,109 --> 00:47:52,112 <恨みを抱いた者 抱かれた者> 390 00:47:52,112 --> 00:47:57,050 <一件に関わった者の全てが 死んだのである> 391 00:47:57,050 --> 00:48:00,053 <非情の世界に生きる親子は➡ 392 00:48:00,053 --> 00:48:05,053 また あてどない さすらいの旅を 続けるのであった>