1 00:02:11,111 --> 00:02:31,131 ♬~ 2 00:02:31,131 --> 00:02:51,151 ♬~ 3 00:02:51,151 --> 00:03:11,104 ♬~ 4 00:03:11,104 --> 00:03:31,124 ♬~ 5 00:03:31,124 --> 00:03:41,124 ♬~ 6 00:03:43,136 --> 00:04:03,089 ♬~ 7 00:04:03,089 --> 00:04:23,109 ♬~ 8 00:04:23,109 --> 00:04:43,129 ♬~ 9 00:04:43,129 --> 00:04:52,138 ♬~ 10 00:04:52,138 --> 00:04:57,077 <中山道は 江戸時代の五街道の一つである> 11 00:04:57,077 --> 00:05:01,081 <その道筋は 江戸から木曽を経由して➡ 12 00:05:01,081 --> 00:05:07,087 近江の草津に至るために 一名 木曽路といわれていた> 13 00:05:07,087 --> 00:05:12,087 <一刀は今 その木曽路を 西へ道をとっていた> 14 00:05:20,100 --> 00:05:24,104 <そのころ 宿敵 柳生烈堂は➡ 15 00:05:24,104 --> 00:05:30,104 左眼を失い その上 老いの病に伏していた> 16 00:05:45,125 --> 00:05:50,130 (尺八) 17 00:05:50,130 --> 00:06:10,083 ♬~ 18 00:06:10,083 --> 00:06:13,086 ♬~ 19 00:06:13,086 --> 00:06:15,086 (烈堂)来たか 20 00:06:33,106 --> 00:06:36,109 (烈堂)御苦労だった 21 00:06:36,109 --> 00:06:39,112 大和も秋であろうな (庄兵衛)はい 22 00:06:39,112 --> 00:06:42,112 (烈堂)庄兵衛の他は 面を上げい 23 00:06:49,122 --> 00:06:54,127 大きゅうなったのう 鞘香 いくつになった 24 00:06:54,127 --> 00:06:58,064 (鞘香)はい 18になりましてございます 25 00:06:58,064 --> 00:07:02,068 そうか 18か 26 00:07:02,068 --> 00:07:05,071 早いものよのう 27 00:07:05,071 --> 00:07:10,076 さて 庄兵衛 (庄兵衛)はっ 28 00:07:10,076 --> 00:07:16,082 その方を 柳生の里より召し出した いわれは分かっておろうの? 29 00:07:16,082 --> 00:07:19,085 (庄兵衛)はい 30 00:07:19,085 --> 00:07:24,090 備前を討たれ 更に 蔵人 軍兵衛までも 31 00:07:24,090 --> 00:07:27,093 更にまた 黒くわの おもだった者まで➡ 32 00:07:27,093 --> 00:07:29,095 ことごとく討たれた 今となっては➡ 33 00:07:29,095 --> 00:07:36,102 拝一刀を倒すのは その方をおいて他にないからじゃ 34 00:07:36,102 --> 00:07:38,104 だが 心得違いをいたすな 35 00:07:38,104 --> 00:07:42,108 その方に 柳生の全てを任せるのではない 36 00:07:42,108 --> 00:07:48,114 あくまでも 喰代の者だけで 一刀を葬るのじゃ 37 00:07:48,114 --> 00:07:51,117 よいな (庄兵衛)はい➡ 38 00:07:51,117 --> 00:07:55,121 そのことは お召し出しの 書状を頂きましたときから➡ 39 00:07:55,121 --> 00:07:59,058 よく 心に定めてございます➡ 40 00:07:59,058 --> 00:08:02,061 しかし お館様➡ 41 00:08:02,061 --> 00:08:06,065 備前 蔵人 軍兵衛 亡き今となっては➡ 42 00:08:06,065 --> 00:08:08,067 お館様の血を継ぐ者は➡ 43 00:08:08,067 --> 00:08:12,071 それがしと この妹の鞘香の他にございませぬ 44 00:08:12,071 --> 00:08:16,075 (烈堂)庄兵衛 備前様と呼べ! 45 00:08:16,075 --> 00:08:19,078 蔵人も 軍兵衛に対してもじゃ 46 00:08:19,078 --> 00:08:24,083 (庄兵衛)お館様! たとえ めかけ腹とはいえ➡ 47 00:08:24,083 --> 00:08:28,087 それがしも 鞘香も お館様の子でございます➡ 48 00:08:28,087 --> 00:08:34,093 それ故にこそ お館様を父と呼び 備前たちを弟と呼び➡ 49 00:08:34,093 --> 00:08:37,096 それがしは 柳生筆頭の嫡男として➡ 50 00:08:37,096 --> 00:08:42,101 拝一刀と 雌雄を決したく存じます➡ 51 00:08:42,101 --> 00:08:44,103 お願いでございます➡ 52 00:08:44,103 --> 00:08:51,110 せめて それがし 死に際だけには 柳生の姓を名乗り お館様を父と 53 00:08:51,110 --> 00:08:55,114 (烈堂)ならぬ! 決してならぬ (庄兵衛)なぜでございます 54 00:08:55,114 --> 00:09:00,053 (烈堂)庄兵衛 わしはな➡ 55 00:09:00,053 --> 00:09:04,057 その方らを 子と思うたことは 一度もない 56 00:09:04,057 --> 00:09:07,060 露ほども 毛ほどもじゃ 57 00:09:07,060 --> 00:09:10,063 (庄兵衛)では… では それがしは 58 00:09:10,063 --> 00:09:17,070 (烈堂)お前は 柳生の別派 出淵流 喰代の頭領 それだけの者 59 00:09:17,070 --> 00:09:21,074 だから お前は 柳生庄兵衛ではなく あくまでも➡ 60 00:09:21,074 --> 00:09:23,076 出淵庄兵衛にすぎんのだ 61 00:09:23,076 --> 00:09:26,079 (庄兵衛)しかし お言葉を 返すようではございますが➡ 62 00:09:26,079 --> 00:09:29,082 ではなぜ その それがしが 柳生の家門を背負って➡ 63 00:09:29,082 --> 00:09:31,084 命を懸けねば ならないのでございます 64 00:09:31,084 --> 00:09:34,087 庄兵衛! 65 00:09:34,087 --> 00:09:39,092 お前の出淵流は おそらく 拝一刀の上を行く 66 00:09:39,092 --> 00:09:44,097 剣を取っては 天下無双の使い手 それだけは 認めて遣わす 67 00:09:44,097 --> 00:09:49,102 だからこそ お前は 決して死ぬことはない 68 00:09:49,102 --> 00:09:54,107 だが 心得違いをいたすなと 申したはずだ 69 00:09:54,107 --> 00:09:57,043 誰が 柳生の家門を背負えと申したのだ 70 00:09:57,043 --> 00:10:00,046 お前は 柳生のために➡ 71 00:10:00,046 --> 00:10:05,051 一刀を倒せば それでよい それのみでよいのだ 72 00:10:05,051 --> 00:10:08,054 (庄兵衛) されば お尋ね申し上げます➡ 73 00:10:08,054 --> 00:10:14,060 されば もし 継ぐ者なき 柳生の跡を立てる者は 一体 74 00:10:14,060 --> 00:10:17,060 (烈堂) だからこそ 鞘香を召し出しておる 75 00:10:19,065 --> 00:10:24,070 鞘香には わしの子を産ませる➡ 76 00:10:24,070 --> 00:10:27,073 その子に 柳生の跡を継がせるのだ➡ 77 00:10:27,073 --> 00:10:33,079 庄兵衛 面を下げい! 誰が 顔を上げることを許したのだ 78 00:10:33,079 --> 00:10:37,083 (庄兵衛)しかし お館様➡ 79 00:10:37,083 --> 00:10:43,089 鞘香は お館様の実の子でございますぞ➡ 80 00:10:43,089 --> 00:10:45,091 その鞘香に 81 00:10:45,091 --> 00:10:49,095 (烈堂)お前らを 子と思うたことは 一度もないと申したはずだ➡ 82 00:10:49,095 --> 00:10:55,101 これ以上 わしに言葉を返すなら 柳生一門の命に逆らう者として➡ 83 00:10:55,101 --> 00:11:00,101 喰代の者 ことごとくを 死罪に決するが それでよいか! 84 00:11:03,042 --> 00:11:09,048 (庄兵衛)では お館様 せめて➡ 85 00:11:09,048 --> 00:11:13,052 死出の旅に参るやも分からぬ それがしに➡ 86 00:11:13,052 --> 00:11:19,058 せめて ただ一度だけ はっきりと お館様を 87 00:11:19,058 --> 00:11:24,063 ならぬ! お前の顔を見るなど 虫ずが走るわ 88 00:11:24,063 --> 00:11:27,066 寿命の縮む思いがするわ 89 00:11:27,066 --> 00:11:30,069 (庄兵衛)お館様! (烈堂)ならぬ! 90 00:11:30,069 --> 00:11:35,074 障子を閉めい 早く閉めんか! 91 00:11:35,074 --> 00:11:40,079 ≪(烈堂)よいか 直ちに 拝一刀を討ち取れ!➡ 92 00:11:40,079 --> 00:11:44,079 柳生封廻状を取り戻すことも 忘れるでない! 93 00:11:47,086 --> 00:11:50,089 ≪(烈堂)答えぬか 庄兵衛! 94 00:11:50,089 --> 00:11:52,089 (庄兵衛)はい 95 00:12:00,099 --> 00:12:06,105 (庄兵衛)お館様 かしこまりましてございます 96 00:12:06,105 --> 00:12:09,108 ≪(烈堂)よし 即刻たて➡ 97 00:12:09,108 --> 00:12:13,112 お前が 首尾よく帰るまでは 鞘香の体には 手を触れぬ➡ 98 00:12:13,112 --> 00:12:17,112 そのことだけは この烈堂が守ってやる 99 00:12:27,126 --> 00:12:29,126 鞘香 100 00:12:32,131 --> 00:12:34,133 お前は 残るのだ 101 00:12:34,133 --> 00:12:40,139 兄上 何を言われます 102 00:12:40,139 --> 00:12:45,139 兄上は 私に あんな父の元に 残れと言うのですか? 103 00:12:47,146 --> 00:12:49,146 あれは 父ではない 104 00:12:51,150 --> 00:12:53,150 鞘香の父ではありません 105 00:12:56,155 --> 00:13:00,092 鞘香 父はな➡ 106 00:13:00,092 --> 00:13:03,095 わしが 一刀に後れを取らぬよう 気を奮い立たせるために➡ 107 00:13:03,095 --> 00:13:06,095 あのようなことを 申されたのだろう 108 00:13:08,100 --> 00:13:13,100 誰が 実の子に 本心から あのようなことを言う者がいる 109 00:13:15,107 --> 00:13:20,112 父は わしのことを思って申されたのだ 110 00:13:20,112 --> 00:13:26,118 兄上! 兄上は あんな父のことを かばい過ぎます 111 00:13:26,118 --> 00:13:29,121 私たちを柳生の里に置き➡ 112 00:13:29,121 --> 00:13:32,124 今日まで 捨て子同然に 顧みようともしなかった父を➡ 113 00:13:32,124 --> 00:13:34,126 なぜ 兄上は そのように かばうのです 114 00:13:34,126 --> 00:13:37,129 しかし 鞘香 115 00:13:37,129 --> 00:13:41,133 あれほど 父に会いたいと 言っていたのは お前ではないか➡ 116 00:13:41,133 --> 00:13:44,136 その父の元に しばらくは おれるのだ➡ 117 00:13:44,136 --> 00:13:47,136 おそばにさえおれば きっと 優しくもしてくれよう 118 00:13:54,146 --> 00:13:58,084 せめて お前だけは実の子らしく➡ 119 00:13:58,084 --> 00:14:02,088 一度は 父に甘えてくれ 120 00:14:02,088 --> 00:14:05,091 やっと その思いをかなえるために➡ 121 00:14:05,091 --> 00:14:08,091 はるばる 大和から来たのではないか 122 00:14:14,100 --> 00:14:16,100 お前は 残るのだ 123 00:14:20,106 --> 00:14:24,106 せめて お前だけは 124 00:14:28,114 --> 00:14:30,114 ≪(飯田)庄兵衛様 125 00:14:34,120 --> 00:14:36,122 拝の所在が分かったか (飯田)はい➡ 126 00:14:36,122 --> 00:14:39,125 黒くわの知らせによれば 拝一刀は 中山道を➡ 127 00:14:39,125 --> 00:14:41,127 西へ流れている様子➡ 128 00:14:41,127 --> 00:14:44,130 我らの足で追えば 相手は 子供連れのこと➡ 129 00:14:44,130 --> 00:14:47,133 2日を待たずして 追いつけるものと 130 00:14:47,133 --> 00:14:50,133 (庄兵衛)よし ゆけ! (飯田)はっ! 131 00:14:58,077 --> 00:15:00,077 鞘香 132 00:15:04,083 --> 00:15:08,087 わしは きっと戻ってくる 133 00:15:08,087 --> 00:15:21,100 ♬~ 134 00:15:21,100 --> 00:15:25,100 兄上! 鞘香は 待っております 135 00:15:27,106 --> 00:15:29,106 御無事を 136 00:15:31,110 --> 00:15:34,113 首尾よう… 137 00:15:34,113 --> 00:15:36,115 (鞘香のすすり泣き) 138 00:15:36,115 --> 00:15:38,117 <この彼らこそ➡ 139 00:15:38,117 --> 00:15:42,121 公儀 刺客御用を承る 裏柳生の一翼であり➡ 140 00:15:42,121 --> 00:15:46,125 その実力は 柳生にあって柳生にあらず> 141 00:15:46,125 --> 00:15:52,131 <つまりは 柳生以上と目される 恐るべき暗殺集団である> 142 00:15:52,131 --> 00:15:57,069 <彼らは 刺客御用を務めるとき 黒い天蓋をかぶるために➡ 143 00:15:57,069 --> 00:16:00,072 黒押し出しと異名をとった> 144 00:16:00,072 --> 00:16:04,076 <そして人々は 彼らをこう呼んだ> 145 00:16:04,076 --> 00:16:06,076 <「黒押出死」と> 146 00:16:22,094 --> 00:16:27,099 (天海)いかんな やはり 医者を呼んだ方が 147 00:16:27,099 --> 00:16:29,099 (一刀)御迷惑をおかけいたす 148 00:16:32,104 --> 00:16:34,104 これしきの熱で 149 00:16:37,109 --> 00:16:41,113 お前は そんな弱い子だったのか 150 00:16:41,113 --> 00:16:44,113 そのような子は 父の子ではない 151 00:16:51,123 --> 00:16:56,128 (天海)おお 出来たようじゃ 少し飲ませるといい➡ 152 00:16:56,128 --> 00:17:00,128 ちと 口には苦いかもしれぬがの 153 00:17:02,067 --> 00:17:05,067 (天海)さあ かたじけない 154 00:17:08,073 --> 00:17:11,076 大五郎 起きろ 155 00:17:11,076 --> 00:17:14,079 (天海)さあ 飲むとよい 飲めば楽になる 156 00:17:14,079 --> 00:17:18,083 体が ほかほかと あったまってな 157 00:17:18,083 --> 00:17:23,088 (かねの音) 158 00:17:23,088 --> 00:17:31,096 ♬~ 159 00:17:31,096 --> 00:17:36,096 はて この辺りに今頃 寒念仏とは 160 00:17:40,105 --> 00:17:43,108 和尚 しばらく この子をお頼み申す 161 00:17:43,108 --> 00:17:46,111 何? 拙者が ここにおっては➡ 162 00:17:46,111 --> 00:17:51,111 この寺に 御迷惑がかかります お頼み申す 163 00:17:55,120 --> 00:17:57,120 (大五郎)ちゃん! 164 00:18:01,060 --> 00:18:03,060 一緒に行くか? 165 00:18:24,083 --> 00:18:29,088 まだ よく熱も冷めぬというのに せめて もう一晩 泊まられては 166 00:18:29,088 --> 00:18:32,091 先ほども 申しましたとおり➡ 167 00:18:32,091 --> 00:18:35,094 私どもが ここにおりましては さようか 168 00:18:35,094 --> 00:18:40,099 訳を聞いても言われぬゆえ あえて聞くことは御遠慮するが 169 00:18:40,099 --> 00:18:45,104 何か よほどのことが おありのようじゃの 170 00:18:45,104 --> 00:18:49,108 ああ 坊 大丈夫か? 気をつけてゆくのだぞ 171 00:18:49,108 --> 00:18:52,111 うん そうか そうか ハハッ 172 00:18:52,111 --> 00:18:57,049 やはり 父御と一緒の方が いいと見える 173 00:18:57,049 --> 00:19:00,052 ではまた いつでも お寄りくだされ➡ 174 00:19:00,052 --> 00:19:05,052 気兼ねなくのう かたじけない 175 00:19:30,082 --> 00:19:36,088 (うちわ太鼓) 176 00:19:36,088 --> 00:19:56,108 ♬~ 177 00:19:56,108 --> 00:20:16,061 ♬~ 178 00:20:16,061 --> 00:20:25,061 ♬~ 179 00:20:28,073 --> 00:20:34,079 (うちわ太鼓) 180 00:20:34,079 --> 00:20:47,092 ♬~ 181 00:20:47,092 --> 00:20:49,094 あっ 182 00:20:49,094 --> 00:21:09,048 ♬~ 183 00:21:09,048 --> 00:21:29,068 ♬~ 184 00:21:29,068 --> 00:21:32,068 ♬~ 185 00:21:34,073 --> 00:21:54,093 ♬~ 186 00:21:54,093 --> 00:22:14,113 ♬~ 187 00:22:14,113 --> 00:22:34,133 ♬~ 188 00:22:34,133 --> 00:22:54,153 ♬~ 189 00:22:54,153 --> 00:23:04,096 ♬~ 190 00:23:04,096 --> 00:23:06,096 大五郎 191 00:23:11,103 --> 00:23:13,103 おのれ 一刀 192 00:23:15,107 --> 00:23:20,107 だが うぬの運命は 既に尽きたぞ 193 00:23:22,114 --> 00:23:26,118 我ら 黒押し出しの➡ 194 00:23:26,118 --> 00:23:30,118 手を逃れることは… 195 00:23:39,131 --> 00:23:59,084 ♬~ 196 00:23:59,084 --> 00:24:08,084 ♬~ 197 00:24:33,118 --> 00:24:36,121 (みゆき) お館様が お呼びでございます 198 00:24:36,121 --> 00:24:39,121 (鞘香)お館様が? (みゆき)はい 199 00:24:52,137 --> 00:24:58,076 そなたの母親は 行儀作法を 教えなかったとみえるな 200 00:24:58,076 --> 00:25:03,081 行儀作法 そのようなもの 201 00:25:03,081 --> 00:25:07,085 母が 私に教えたのは 氷のように冷ややかな➡ 202 00:25:07,085 --> 00:25:10,085 鬼のような 男のことだけでございます 203 00:25:12,090 --> 00:25:19,097 その男は 母の いまわの際にも 訪ねてはこなかった 204 00:25:19,097 --> 00:25:25,103 ただ来たのは 子供たちを 喰代の庄へ預けよという書状だけ 205 00:25:25,103 --> 00:25:28,106 でも 兄と私は それでも 206 00:25:28,106 --> 00:25:33,111 「それでも」? どうしたというのかな 207 00:25:33,111 --> 00:25:37,115 父と思えばこそ お会いしたいとも思いました 208 00:25:37,115 --> 00:25:42,120 でも 今は違う (烈堂)ほう どう違う 209 00:25:42,120 --> 00:25:46,120 兄を あのように辱め 私にさえ あのような 210 00:25:49,127 --> 00:25:53,131 父上 なぜ なぜ ひと言でもいい➡ 211 00:25:53,131 --> 00:25:56,134 父親らしい言葉を 掛けてはくれませぬ➡ 212 00:25:56,134 --> 00:25:59,071 なぜ それほど 兄や私が憎いのです➡ 213 00:25:59,071 --> 00:26:01,073 それは 行きずりに知り合うた➡ 214 00:26:01,073 --> 00:26:05,077 身分の低い 郷士の娘に 生まれた子ゆえでございますか➡ 215 00:26:05,077 --> 00:26:08,080 めかけ腹の子ゆえで ございますか?➡ 216 00:26:08,080 --> 00:26:11,083 もし めかけ腹というなら 父上でさえ➡ 217 00:26:11,083 --> 00:26:15,087 めかけ腹の子ではございませんか それをなぜ!➡ 218 00:26:15,087 --> 00:26:18,090 十兵衛三厳 友矩 それと 表柳生を継がれた➡ 219 00:26:18,090 --> 00:26:21,093 宗冬などの叔父とは違い めかけ腹ゆえに➡ 220 00:26:21,093 --> 00:26:24,096 日の目を見なかった お恨みからでございますか?➡ 221 00:26:24,096 --> 00:26:27,099 もし そうならば 同じ道を歩んでいる私たちを➡ 222 00:26:27,099 --> 00:26:32,099 いとしいと思ってくださるのが 尋常のはず それをなぜ! 223 00:26:36,108 --> 00:26:38,110 (鞘香)やはり➡ 224 00:26:38,110 --> 00:26:43,110 身分の低い女に生まれた子ゆえで ございますか? 225 00:26:50,122 --> 00:26:54,122 でも母は 一つだけ教えてくださいました 226 00:26:56,128 --> 00:26:58,128 それは 私が生まれたとき 227 00:27:00,065 --> 00:27:03,065 覚えておいででございましょうか 父上 228 00:27:11,076 --> 00:27:17,082 父上は 私のために これを➡ 229 00:27:17,082 --> 00:27:21,082 これを 父上が 私に作ってくださったと 230 00:27:24,089 --> 00:27:27,089 母は それだけを宝物のように 231 00:27:29,094 --> 00:27:32,097 いまわの際まで申されて➡ 232 00:27:32,097 --> 00:27:37,102 その父上が どうして このように私たちに➡ 233 00:27:37,102 --> 00:27:40,105 兄が あのようになりましたのは 誰のせいでもない➡ 234 00:27:40,105 --> 00:27:45,110 ただ 不運だったからでは ございませんか➡ 235 00:27:45,110 --> 00:27:48,113 父上 お願いでございます➡ 236 00:27:48,113 --> 00:27:50,115 たとえ 私は 烈堂の子と呼ばれずとも➡ 237 00:27:50,115 --> 00:27:54,119 兄だけは それだけに思いをかけて 生きてきた兄だけは➡ 238 00:27:54,119 --> 00:27:56,119 お願いでございます 239 00:27:59,057 --> 00:28:02,060 父上 240 00:28:02,060 --> 00:28:06,064 たとえ 今は 喰代の頭領と あがめられようと➡ 241 00:28:06,064 --> 00:28:10,068 日陰者として生きてきました 兄の無念を➡ 242 00:28:10,068 --> 00:28:13,068 どうしても お分かりいただけませぬか 243 00:28:21,079 --> 00:28:26,084 かかってくるがいい 鞘香 (鞘香)父上! 244 00:28:26,084 --> 00:28:29,087 (烈堂) まだまだ お前には わしは斬れぬ 245 00:28:29,087 --> 00:28:36,094 いや その方では 拝一刀など とても斬れぬ 246 00:28:36,094 --> 00:28:39,094 拝一刀… 247 00:28:42,100 --> 00:29:02,053 ♬~ 248 00:29:02,053 --> 00:29:13,064 ♬~ 249 00:29:13,064 --> 00:29:15,066 あっ (女性)あっ➡ 250 00:29:15,066 --> 00:29:19,070 大丈夫? 痛くないわね?➡ 251 00:29:19,070 --> 00:29:22,073 よいしょと 252 00:29:22,073 --> 00:29:42,093 ♬~ 253 00:29:42,093 --> 00:30:02,047 ♬~ 254 00:30:02,047 --> 00:30:11,047 ♬~ 255 00:30:28,073 --> 00:30:32,073 さすがに 毒はぶの効き目は すさまじいな 256 00:31:16,054 --> 00:31:36,074 ♬~ 257 00:31:36,074 --> 00:31:56,094 ♬~ 258 00:31:56,094 --> 00:32:16,114 ♬~ 259 00:32:16,114 --> 00:32:36,134 ♬~ 260 00:32:36,134 --> 00:32:56,154 ♬~ 261 00:32:56,154 --> 00:33:16,107 ♬~ 262 00:33:16,107 --> 00:33:36,127 ♬~ 263 00:33:36,127 --> 00:33:49,127 ♬~ 264 00:33:56,147 --> 00:34:01,085 (尺八) 265 00:34:01,085 --> 00:34:21,105 ♬~ 266 00:34:21,105 --> 00:34:41,125 ♬~ 267 00:34:41,125 --> 00:34:53,125 ♬~ 268 00:35:12,090 --> 00:35:14,092 拝一刀 269 00:35:14,092 --> 00:35:17,092 喰代柳生 見参 270 00:35:22,100 --> 00:35:27,105 一刀 柳生封廻状は どこにある 271 00:35:27,105 --> 00:35:32,105 返答いかんによっては 子供の命は 助けてやってもよい 272 00:35:37,115 --> 00:35:39,115 (庄兵衛)柳生封廻状は? 273 00:35:44,122 --> 00:35:46,122 (庄兵衛)それが答えか 274 00:35:58,069 --> 00:36:01,072 ひと言 尋ねる 275 00:36:01,072 --> 00:36:04,075 その方らは 武士か? (庄兵衛)何! 276 00:36:04,075 --> 00:36:08,079 これは 果たし合いか それとも 闇討ちか 277 00:36:08,079 --> 00:36:10,081 闇討ちならば それもよし 278 00:36:10,081 --> 00:36:13,084 無頼のやからに討たれて 死ぬも定め それもよかろう 279 00:36:13,084 --> 00:36:16,087 (庄兵衛)おのれ 武士は死するに 名を惜しむもの 280 00:36:16,087 --> 00:36:19,090 ならば 弓矢を射かけるに際しても➡ 281 00:36:19,090 --> 00:36:23,094 まず 自ら名乗って 戦いを挑むのが定法 282 00:36:23,094 --> 00:36:26,097 無頼ならば 名乗らずともよいが➡ 283 00:36:26,097 --> 00:36:31,102 もし その方が武士ならば 284 00:36:31,102 --> 00:36:35,106 無頼か 武士か 285 00:36:35,106 --> 00:36:39,110 ほざくな 一刀! 既に 我々は喰代柳生と名乗り! 286 00:36:39,110 --> 00:36:45,116 「喰代柳生」 そのような名前 聞いたこともないな 287 00:36:45,116 --> 00:36:48,119 一刀! なるほど 大和柳生の里に➡ 288 00:36:48,119 --> 00:36:50,121 喰代なる一族がいることは 知っている 289 00:36:50,121 --> 00:36:55,126 そのあるじが 出淵庄兵衛であることもな 290 00:36:55,126 --> 00:36:59,063 しかし その出淵庄兵衛は 柳生と異なり➡ 291 00:36:59,063 --> 00:37:04,068 出淵流なる独立の流派を立てて その剣名をはせている 292 00:37:04,068 --> 00:37:09,073 その出淵が なぜ 柳生の名を借りる必要がある 293 00:37:09,073 --> 00:37:14,078 よしんば 柳生烈堂に命じられて わしを討とうとするにしても➡ 294 00:37:14,078 --> 00:37:18,082 あくまでも 出淵を名乗ることが 武士の作法 295 00:37:18,082 --> 00:37:25,089 それとも 柳生を名乗らねばならぬ いわれが何かあるのか 296 00:37:25,089 --> 00:37:27,091 武士ならば 誠の名を名乗れ 297 00:37:27,091 --> 00:37:33,097 ましてや 毒矢を射かけねば討てぬほど➡ 298 00:37:33,097 --> 00:37:38,102 わしの水鴎流が 恐ろしいか 299 00:37:38,102 --> 00:37:42,102 庄兵衛 返答は 300 00:37:53,117 --> 00:37:55,119 一刀 301 00:37:55,119 --> 00:38:01,059 おのれを討つに 武士の作法などとは笑止だが➡ 302 00:38:01,059 --> 00:38:05,059 それほど望むなら いかにも 尋常の勝負をして遣わそう 303 00:38:42,100 --> 00:38:48,100 出淵流 出淵庄兵衛 304 00:39:14,065 --> 00:39:19,070 水鴎流 拝一刀 305 00:39:19,070 --> 00:39:39,090 ♬~ 306 00:39:39,090 --> 00:39:59,043 ♬~ 307 00:39:59,043 --> 00:40:19,063 ♬~ 308 00:40:19,063 --> 00:40:30,063 ♬~ 309 00:40:32,076 --> 00:40:44,076 ♬~ 310 00:40:47,091 --> 00:41:00,091 ♬~ 311 00:41:02,039 --> 00:41:05,042 (庄兵衛)一刀➡ 312 00:41:05,042 --> 00:41:09,042 なぜ わしが 柳生の姓を名乗ったかを尋ねたな 313 00:41:15,052 --> 00:41:21,058 うぬに斬られし 兵庫 軍兵衛 蔵人たちは➡ 314 00:41:21,058 --> 00:41:23,058 我が弟だ 315 00:41:28,065 --> 00:41:30,065 庄兵衛殿 316 00:41:43,080 --> 00:41:48,085 庄兵衛殿 許されい 317 00:41:48,085 --> 00:41:51,088 お手前を面罵して 尋常の勝負に 持ち込まんとしたは➡ 318 00:41:51,088 --> 00:41:58,095 我ら親子 何としてでも 生きねばならぬ悲願あり 319 00:41:58,095 --> 00:42:01,095 承知している 320 00:42:06,103 --> 00:42:13,110 わしとても この世に残しては死ねぬ➡ 321 00:42:13,110 --> 00:42:18,110 固い願いがある 322 00:42:21,118 --> 00:42:24,121 死… 死ねぬ! 323 00:42:24,121 --> 00:42:31,128 その願いを残しては… 324 00:42:31,128 --> 00:42:51,148 ♬~ 325 00:42:51,148 --> 00:42:59,148 ♬~ 326 00:43:03,094 --> 00:43:07,098 (門弟たち)庄兵衛様! (門弟)頭! 327 00:43:07,098 --> 00:43:10,098 (庄兵衛)追うな! 追うでない! 328 00:43:13,104 --> 00:43:17,104 わしを… わしを! 329 00:43:22,113 --> 00:43:27,118 (庄兵衛)い… 急げ! 急げ! 330 00:43:27,118 --> 00:43:47,138 ♬~ 331 00:43:47,138 --> 00:43:52,143 ♬~ 332 00:43:52,143 --> 00:43:57,143 (門弟たち)開門! 御開門! 333 00:44:14,098 --> 00:44:16,098 (物音) 334 00:44:18,102 --> 00:44:20,102 (戸をたたく音) 335 00:44:31,115 --> 00:44:36,115 なりませぬ 父上 鞘香は… 336 00:44:41,125 --> 00:44:43,127 兄上! 兄上➡ 337 00:44:43,127 --> 00:44:48,132 兄上 何をなさいます 兄上 338 00:44:48,132 --> 00:44:55,139 鞘香 父は そなたに おのが子を成させて➡ 339 00:44:55,139 --> 00:44:58,075 柳生一門の 跡継ぎにすると申したな 340 00:44:58,075 --> 00:45:00,077 兄上 341 00:45:00,077 --> 00:45:03,077 だが そうはさせぬ そうはさせぬ 342 00:45:06,083 --> 00:45:12,089 (庄兵衛)父に疎まれた わしならば 最後まで その父に疎まれてやる 343 00:45:12,089 --> 00:45:14,091 嫌! 344 00:45:14,091 --> 00:45:18,091 誰が何と言おうと 柳生一門の総領は わしだ! 345 00:45:27,104 --> 00:45:32,104 (庄兵衛) そなたに わしの子を産ませ… 346 00:45:34,111 --> 00:45:37,114 その子に➡ 347 00:45:37,114 --> 00:45:42,119 我が子に 柳生の一門を! 348 00:45:42,119 --> 00:45:45,119 あ… 兄上… 349 00:45:49,126 --> 00:45:55,132 それが 父に対する➡ 350 00:45:55,132 --> 00:46:01,132 わしの… わしの… 351 00:46:03,073 --> 00:46:05,073 (庄兵衛)鞘! 352 00:46:16,086 --> 00:46:28,098 ♬~ 353 00:46:28,098 --> 00:46:31,098 庄兵衛 お前は! 354 00:46:34,104 --> 00:46:36,104 庄兵衛 355 00:46:39,109 --> 00:46:45,115 庄兵衛 何ということを 356 00:46:45,115 --> 00:46:48,118 何ということを➡ 357 00:46:48,118 --> 00:46:54,118 お前には 分からなかったのか 358 00:46:59,063 --> 00:47:05,069 (烈堂)お前には 柳生の家門の 重さを背負わせたくなかった 359 00:47:05,069 --> 00:47:11,075 そっとしておいてやりたかった わしの心が 愚か者め! 360 00:47:11,075 --> 00:47:17,075 遠く離れていても お前のことを 361 00:47:19,083 --> 00:47:21,083 鞘香! 362 00:47:23,087 --> 00:47:29,087 わしは 一日たりとも 忘れたことはなかった 363 00:47:32,096 --> 00:47:36,096 (烈堂)おのれ 拝一刀! 364 00:47:38,102 --> 00:47:44,108 <喰代柳生を破り 出淵庄兵衛をも倒した拝一刀は➡ 365 00:47:44,108 --> 00:47:48,112 再び 中山道を西に向かった> 366 00:47:48,112 --> 00:47:52,116 <その向こうに 待ち受けているものは何か> 367 00:47:52,116 --> 00:47:58,116 <冥府魔道の道は 暗く 果てしなく続いていた> 368 00:48:10,067 --> 00:48:13,070 <「黒南風」 梅雨時に吹く南風のこと> 369 00:48:13,070 --> 00:48:16,073 <これが吹くと 豊作だといわれる> 370 00:48:16,073 --> 00:48:18,075 <ここ 釜無領では➡ 371 00:48:18,075 --> 00:48:21,078 毎年 氾濫する川に 堤防を築くため➡ 372 00:48:21,078 --> 00:48:23,080 村の男という男が駆り出された> 373 00:48:23,080 --> 00:48:26,083 <作業を指揮する 橋奉行の むごい仕打ちに➡ 374 00:48:26,083 --> 00:48:30,087 疲れきった男たちは 次々と倒れていった> 375 00:48:30,087 --> 00:48:32,089 <黒南風が吹くように➡ 376 00:48:32,089 --> 00:48:34,089 突然 村に現れた拝一刀 一子 大五郎 次週…>