1 00:02:11,105 --> 00:02:31,125 ・~ 2 00:02:31,125 --> 00:02:51,145 ・~ 3 00:02:51,145 --> 00:03:11,098 ・~ 4 00:03:11,098 --> 00:03:31,118 ・~ 5 00:03:31,118 --> 00:03:51,138 ・~ 6 00:03:51,138 --> 00:04:11,092 ・~ 7 00:04:11,092 --> 00:04:31,112 ・~ 8 00:04:31,112 --> 00:04:51,132 ・~ 9 00:04:51,132 --> 00:05:11,085 ・~ 10 00:05:11,085 --> 00:05:31,105 ・~ 11 00:05:31,105 --> 00:05:51,125 ・~ 12 00:05:51,125 --> 00:06:03,070 ・~ 13 00:06:03,070 --> 00:06:08,075 <再び 父と はぐれた大五郎は 一刀の姿を求めて・ 14 00:06:08,075 --> 00:06:13,075 ここ 下野の国 大田原領まで さまよっていた> 15 00:06:16,083 --> 00:06:22,089 <一刀もまた 大五郎を求めて 同じ領内に入っていたが・ 16 00:06:22,089 --> 00:06:25,092 神ならぬ身の二人は 別の道をたどって・ 17 00:06:25,092 --> 00:06:30,097 この領内へ来ていることを 知る由もなかった> 18 00:06:30,097 --> 00:06:44,111 ・~ 19 00:06:44,111 --> 00:06:46,113 (一刀)大五郎 20 00:06:46,113 --> 00:07:01,061 ・~ 21 00:07:01,061 --> 00:07:06,061 (馬のひづめの音) 22 00:07:13,073 --> 00:07:18,073 (ふさ)あっ 危ない! あき あき! 23 00:07:25,085 --> 00:07:28,085 (ふさ)あき! (あきの泣き声) 24 00:07:31,091 --> 00:07:33,091 (あき)怖いよ! 25 00:07:37,097 --> 00:07:41,101 (香苗)浪人 何か 言いたげな顔つきじゃのう 26 00:07:41,101 --> 00:07:45,105 謝れと言うのか この私に 27 00:07:45,105 --> 00:07:49,109 (飯田)姫がおられたぞ! (村瀬)姫様! 28 00:07:49,109 --> 00:07:51,109 (飯田)香苗様! 29 00:07:53,113 --> 00:07:55,115 (村瀬)姫! (石川)香苗様 30 00:07:55,115 --> 00:07:57,051 (飯田)あっ 姫様 おけがは? 31 00:07:57,051 --> 00:08:01,055 (香苗)浪人 おのれ なぜ 私のあぶみを斬った?・ 32 00:08:01,055 --> 00:08:03,057 私を振り落とそうと謀ったな? 33 00:08:03,057 --> 00:08:06,060 かん馬を止める いとまがなかったゆえ・ 34 00:08:06,060 --> 00:08:08,062 やむをえなかった (香苗)ええい 申すな!・ 35 00:08:08,062 --> 00:08:12,066 おのれが 私のあぶみさえ斬らねば 私は 立派に馬を止めた 36 00:08:12,066 --> 00:08:14,068 それを おのれは! 37 00:08:14,068 --> 00:08:18,072 既に 馬ていにかけられようとした 子のあることを お忘れあるな 38 00:08:18,072 --> 00:08:23,077 おのれの馬攻めの未熟さを 他のことで 糊塗されるな 39 00:08:23,077 --> 00:08:26,080 何… 未熟? おのれ! 40 00:08:26,080 --> 00:08:31,085 (飯田)姫様! こちらは 当領地 大田原藩 御城代 御息女・ 41 00:08:31,085 --> 00:08:36,085 香苗様である 失礼であろう 謝罪されい! 42 00:08:38,092 --> 00:08:41,095 (村瀬)それに見たところ 浪々の身のようだが・ 43 00:08:41,095 --> 00:08:45,099 何用あって 当領地におる 何か この百姓どもと 44 00:08:45,099 --> 00:08:47,101 何の関わりもない 45 00:08:47,101 --> 00:08:52,106 (石川)ええい 謝れと申したら 謝らぬか!・ 46 00:08:52,106 --> 00:08:55,109 四の五の言わず・ 47 00:08:55,109 --> 00:08:57,109 おのれ! 48 00:09:01,048 --> 00:09:04,048 (飯田)この野郎! 49 00:09:07,054 --> 00:09:10,057 (飯田)おのれ 小郡長助 何だ その顔は! 50 00:09:10,057 --> 00:09:13,060 (長助)御無体なのは あなた様方でございますぞ 51 00:09:13,060 --> 00:09:17,064 (飯田)な… 何! 52 00:09:17,064 --> 00:09:19,066 (長助) 馬ていに かけられようとした・ 53 00:09:19,066 --> 00:09:24,071 あの子を救い あなた様まで あの かん馬から救われた 54 00:09:24,071 --> 00:09:27,074 (長助)礼を言うてこそ 当たり前 それを あなた様方は 55 00:09:27,074 --> 00:09:30,077 (香苗)黙れ! おのれごとき 百姓連れが 何を言う! 56 00:09:30,077 --> 00:09:34,081 (長助)黙りません! 民を民とも思わず・ 57 00:09:34,081 --> 00:09:37,084 百姓どもの命を 雑草小石の類いにしか・ 58 00:09:37,084 --> 00:09:39,086 考えられぬ あなた様方だからこそ・ 59 00:09:39,086 --> 00:09:43,090 今日の大田原の窮状を 招いたのでございますぞ 60 00:09:43,090 --> 00:09:46,093 おのれ 言わしておけば! (村瀬)香苗様 61 00:09:46,093 --> 00:09:48,095 (飯田)姫様! (香苗)離せ 離さぬか! 62 00:09:48,095 --> 00:09:51,098 ええい 離せ! 武士たる者が このような百姓浪人どもに・ 63 00:09:51,098 --> 00:09:53,100 後ろを見せるのか! あの浪人どもに 64 00:09:53,100 --> 00:09:56,103 (飯田)この場は ひとまず ひとまず… (香苗)離せ!・ 65 00:09:56,103 --> 00:10:00,103 離せ! (石川)とにかく 姫様 66 00:10:13,053 --> 00:10:18,058 (香苗)その方の名は? 名は 何という・ 67 00:10:18,058 --> 00:10:22,058 その方のこと よく覚えておくぞ 68 00:10:29,069 --> 00:10:32,072 (ふさ)お侍様 ありがとうございました・ 69 00:10:32,072 --> 00:10:35,075 ありがとうございました (長助)お侍様・ 70 00:10:35,075 --> 00:10:38,078 失礼とは存じますが 心ばかりのお礼に・ 71 00:10:38,078 --> 00:10:40,080 せめて 一夜の宿なりとも・ 72 00:10:40,080 --> 00:10:42,082 どうか お立ち寄りくださいませぬか 73 00:10:42,082 --> 00:10:44,084 それには及ばぬ 74 00:10:44,084 --> 00:10:47,087 お侍様 この先 大田原領を抜けるまで・ 75 00:10:47,087 --> 00:10:50,090 丸一昼夜の道のりがございます 76 00:10:50,090 --> 00:10:54,094 その間 米麦はおろか ひえあわに至るまで・ 77 00:10:54,094 --> 00:11:00,094 食するものは 何一つございませぬ 芋の茎すらも 78 00:11:03,036 --> 00:11:06,039 (長助)ですから 心ばかりの お夕食なりとも 79 00:11:06,039 --> 00:11:11,044 1日 2日の飢えには慣れておる また そのような事情を聞けば・ 80 00:11:11,044 --> 00:11:15,048 なおのこと お主たちの食物を 授かるわけにはまいらぬ 81 00:11:15,048 --> 00:11:17,050 (一同)お侍様! 82 00:11:17,050 --> 00:11:20,053 (長助)お侍様 何とぞ お立ち寄りくださいませ・ 83 00:11:20,053 --> 00:11:26,059 私は 大田原四十六ヶ村の惣名主 小郡長助と申す者でございます 84 00:11:26,059 --> 00:11:30,063 何とぞ 我らの願い お聞き届けくださいませ・ 85 00:11:30,063 --> 00:11:33,066 先ほど お見かけいたしました お手並みといい・ 86 00:11:33,066 --> 00:11:36,069 なみなみならぬ お方様と お見受けいたしました・ 87 00:11:36,069 --> 00:11:41,074 何とぞ 手前ども百姓たちの願い お聞き届け賜りとう存じます 88 00:11:41,074 --> 00:11:45,078 (一同)お侍様!・ 89 00:11:45,078 --> 00:11:49,082 お願いいたしますだ・ 90 00:11:49,082 --> 00:11:52,085 お侍様!・ 91 00:11:52,085 --> 00:11:54,087 お願いいたしますだ 92 00:11:54,087 --> 00:11:56,089 その願いというのは? 93 00:11:56,089 --> 00:12:00,093 (長助) 大田原四十六ヶ村 7, 800余名 94 00:12:00,093 --> 00:12:06,093 その百姓たちの 明日に迫った 死活の問題にございます 95 00:12:20,113 --> 00:12:22,115 (あき) おっかあ 白まんま! 白まんま! 96 00:12:22,115 --> 00:12:24,115 (ふさ)あき! 97 00:12:31,124 --> 00:12:35,128 (長助)何もございませんが お召し上がりくださいませ 98 00:12:35,128 --> 00:12:38,131 まず 話を伺おう 99 00:12:38,131 --> 00:12:41,134 (長助)では 召し上がりながらでも いや 話を 100 00:12:41,134 --> 00:12:43,136 (長助)さようでございますか 101 00:12:43,136 --> 00:12:49,142 では 何から お話し申し上げてよろしいのか 102 00:12:49,142 --> 00:12:53,146 とにかく この大田原領は 4年に渡る 凶作続きで・ 103 00:12:53,146 --> 00:12:57,084 ある者は 子を売り ある者は 娘を売ってまで・ 104 00:12:57,084 --> 00:13:01,088 飢えをしのいでいる 始末でございます 105 00:13:01,088 --> 00:13:03,090 それにつれて 藩の財政も・ 106 00:13:03,090 --> 00:13:05,092 もう ぎりぎりのところまで 参っているのは・ 107 00:13:05,092 --> 00:13:08,095 間違いございませぬが 108 00:13:08,095 --> 00:13:12,099 藩を預かる 城代家老の平林外記は・ 109 00:13:12,099 --> 00:13:16,103 更に 私どもに 3割増しの年貢を強い・ 110 00:13:16,103 --> 00:13:21,108 あまつさえ この時期に 国境の那珂川 箒川から・ 111 00:13:21,108 --> 00:13:26,113 用水堀を引く 人夫差し出しを 押しつけてくるありさまで・ 112 00:13:26,113 --> 00:13:29,116 私たちは もう 生き死にの瀬戸際まで・ 113 00:13:29,116 --> 00:13:32,116 追い詰められてしまったので ございます 114 00:13:40,127 --> 00:13:42,127 (子供)わーい わーい… 115 00:13:52,139 --> 00:13:55,142 (長助)かくなりましては 江戸へ出て かご訴に及ぶか・ 116 00:13:55,142 --> 00:14:02,082 一揆をもって 御城代と対決するか 2つに1つしかございませぬ・ 117 00:14:02,082 --> 00:14:06,086 ところが 御城代は 私どもの動きを察しましたのか・ 118 00:14:06,086 --> 00:14:12,092 突然 この私と 談合いたしたき旨 申し入れてまいったのでございます 119 00:14:12,092 --> 00:14:15,095 (利吉)わしは それを わなと思うておりますだ 120 00:14:15,095 --> 00:14:18,098 (萬造)談合と偽って 惣名主様を誘い出し・ 121 00:14:18,098 --> 00:14:20,100 有無を言わず ひっ捕らえて・ 122 00:14:20,100 --> 00:14:22,102 わしらの動きを 封ずるに違いないのじゃ 123 00:14:22,102 --> 00:14:25,105 (茂作)そ… そうじゃ 今 惣名主様が 談合に応ずれば・ 124 00:14:25,105 --> 00:14:27,107 惣名主様のお命は… 125 00:14:27,107 --> 00:14:30,110 (長助)もちろん 私には 死ぬ覚悟はできている・ 126 00:14:30,110 --> 00:14:32,112 だが 御城代からの申し入れを・ 127 00:14:32,112 --> 00:14:36,116 むげに 断るわけにはいかぬではないか・ 128 00:14:36,116 --> 00:14:38,118 お侍様・ 129 00:14:38,118 --> 00:14:43,123 私どもは 戦うすべも知らぬ 百姓の集まりでございます・ 130 00:14:43,123 --> 00:14:49,129 だが 御城代様の談合を断って 力と力の戦いになれば・ 131 00:14:49,129 --> 00:14:54,134 城方の思いどおりになるのは 目に見えているのでございます・ 132 00:14:54,134 --> 00:14:58,071 私は むやみに 血を流したくはございませぬ 133 00:14:58,071 --> 00:15:03,076 もし 御城代が 真に 私どもとの談合を望み・ 134 00:15:03,076 --> 00:15:07,080 事態が 話し合いで解決するのであれば・ 135 00:15:07,080 --> 00:15:11,084 私は この話し合いに応じようと 思うのでございます 136 00:15:11,084 --> 00:15:16,089 で… このわしに どうせよと申される 137 00:15:16,089 --> 00:15:21,094 その談合の席に 手前の介添え人として・ 138 00:15:21,094 --> 00:15:25,098 御臨席 賜りたいのでございます 139 00:15:25,098 --> 00:15:28,101 その談合に 同席せよと? 140 00:15:28,101 --> 00:15:31,104 (長助)はい もし その話し合いの席上で・ 141 00:15:31,104 --> 00:15:35,108 手前の身に 何か起こりましても あなた様なれば・ 142 00:15:35,108 --> 00:15:40,113 城方の囲みを破って逃げることも できるやもしれませぬ・ 143 00:15:40,113 --> 00:15:43,116 また そうした事態を この者たちに・ 144 00:15:43,116 --> 00:15:47,120 お伝えくださることも できるやも・ 145 00:15:47,120 --> 00:15:54,127 誠に 手前勝手なるお願いにて しかし 何の力も持ちませぬ私ども 146 00:15:54,127 --> 00:15:58,065 わらにもすがる思いにて お話し申し上げました 147 00:15:58,065 --> 00:16:03,070 何とぞ この願い お聞き届けくださいますよう 148 00:16:03,070 --> 00:16:08,075 (一同)お願いします お侍様! 149 00:16:08,075 --> 00:16:11,078 わしは 拝一刀と申す 150 00:16:11,078 --> 00:16:16,083 また 子連れ狼とも言われ 刺客をなりわいといたしておる 151 00:16:16,083 --> 00:16:22,089 されば 刺客の依頼ではないが 仕事を頼まれるなら・ 152 00:16:22,089 --> 00:16:26,093 その引き受け料は 500両 153 00:16:26,093 --> 00:16:30,093 (萬造)5… 500両!? (長助)500両!? 154 00:16:35,102 --> 00:16:40,107 この米 一粒一粒は お手前方の血にもひとしく・ 155 00:16:40,107 --> 00:16:45,112 その値は 1粒 1両にも匹敵しよう 156 00:16:45,112 --> 00:16:47,114 (男性)お侍様 (長助)お侍様 157 00:16:47,114 --> 00:16:54,114 この 1粒 1両をかみしめて ちそうになる 158 00:17:08,068 --> 00:17:28,088 ・~ 159 00:17:28,088 --> 00:17:48,108 ・~ 160 00:17:48,108 --> 00:18:00,053 ・~ 161 00:18:00,053 --> 00:18:03,056 (男性)おっ 雨だ! (一同)雨だ 雨だ! 162 00:18:03,056 --> 00:18:08,061 (茂作)ちきしょう この雨が もっと早く降ってくれたらよう 163 00:18:08,061 --> 00:18:11,064 (与助)そうよ こんな談合を ぶつこともなかったんだ 164 00:18:11,064 --> 00:18:13,064 (長助)全く 165 00:18:15,068 --> 00:18:19,068 この雨が もうふたつきも前にさえ 降ってくれたなら 166 00:18:25,078 --> 00:18:27,078 (大五郎)ちゃん 167 00:18:42,095 --> 00:18:47,100 (外記)おのれらには まだ 今が どういうときか分からぬのか!・ 168 00:18:47,100 --> 00:18:52,105 わしが この期に 惣名主との 話し合いを望んでおるのは・ 169 00:18:52,105 --> 00:18:55,108 事を穏やかに運びたいためぞ!・ 170 00:18:55,108 --> 00:18:59,045 その大事の前には 百姓たちとの いらざる摩擦は・ 171 00:18:59,045 --> 00:19:03,049 厳に 慎まねばならぬものを! 172 00:19:03,049 --> 00:19:07,053 (外記)それを うぬらは 馬攻めなどを行い・ 173 00:19:07,053 --> 00:19:11,057 いたずらに 百姓どもを 刺激するとは もっての外だ 174 00:19:11,057 --> 00:19:13,057 愚か者めらが! 175 00:19:16,062 --> 00:19:18,064 飯田 (飯田)はっ 176 00:19:18,064 --> 00:19:23,069 香苗は 浪人に馬を止められたとき 振り落とされたと申したな 177 00:19:23,069 --> 00:19:25,071 (飯田)はい 178 00:19:25,071 --> 00:19:30,076 その浪人と口論の途中 小郡たちが現れたと申すのだな 179 00:19:30,076 --> 00:19:34,076 (飯田)はい (外記)で… その浪人は? 180 00:19:36,082 --> 00:19:41,087 それが いずこの者とも分かりませず 181 00:19:41,087 --> 00:19:44,090 (外記) 香苗は その浪人をどうした・ 182 00:19:44,090 --> 00:19:48,094 あの気性ゆえ むざむざ 見捨てたとは思えぬが 183 00:19:48,094 --> 00:19:52,098 (村瀬)はっ 姫様は その… 184 00:19:52,098 --> 00:19:57,098 (外記)どうした お主たちも その浪人を見逃したのか 185 00:20:03,043 --> 00:20:08,048 (飯田)あっ (外記)飯田! おのれは! 186 00:20:08,048 --> 00:20:12,052 おのれらも 刀を抜けい! 抜かぬか! 187 00:20:12,052 --> 00:20:18,058 (石川)申し訳も… いや 面目次第もございませぬ 188 00:20:18,058 --> 00:20:21,061 ばか者! 189 00:20:21,061 --> 00:20:25,065 おのれらは 刀を無残に へし折られながら・ 190 00:20:25,065 --> 00:20:27,067 みすみす 戻ってまいったのか! 191 00:20:27,067 --> 00:20:29,069 (飯田)はっ (石川・飯田・村瀬)ははあ 192 00:20:29,069 --> 00:20:35,075 ばか者が! もし 万一 百姓が その浪人を雇い入れて・ 193 00:20:35,075 --> 00:20:38,078 一揆に加担させたら何とする! 194 00:20:38,078 --> 00:20:42,082 その浪人ばかりではない 世に食い詰めた浪人も多い 195 00:20:42,082 --> 00:20:46,086 その大方が 一朝事あることを 念じておる この時期に・ 196 00:20:46,086 --> 00:20:49,089 もし 百姓たちが 食い詰めた浪人たちを・ 197 00:20:49,089 --> 00:20:54,094 雇い入れたら何とする! ばか者めらが! 198 00:20:54,094 --> 00:20:56,096 香苗を呼べ! 199 00:20:56,096 --> 00:20:59,032 (飯田)はっ! (外記)よい!・ 200 00:20:59,032 --> 00:21:04,032 わしが行く! 全く おのれらは 201 00:21:22,055 --> 00:21:28,061 おのれ あの素浪人めが! 今に 思い知らせてくれる 202 00:21:28,061 --> 00:21:30,063 今に… 203 00:21:30,063 --> 00:21:33,066 (障子の開閉音) 204 00:21:33,066 --> 00:21:36,069 (外記)どうじゃ 傷の具合は (玄庵)はい・ 205 00:21:36,069 --> 00:21:41,074 幸い 大したこともございませず 御壮健なる姫様のこと・ 206 00:21:41,074 --> 00:21:46,079 数日もすれば お手 おみ足の 腫れも引きましょうかと 207 00:21:46,079 --> 00:21:48,081 (外記)香苗!・ 208 00:21:48,081 --> 00:21:51,081 お前のじゃじゃ馬ぶりにも あきれ果てたぞ 209 00:21:53,086 --> 00:21:55,088 (外記)琴を弾くなど・ 210 00:21:55,088 --> 00:21:58,091 もそっと 女子らしゅう 振る舞ったら どうなのじゃ 211 00:21:58,091 --> 00:22:02,095 香苗は 遊芸の道などには 心が向きませぬ 212 00:22:02,095 --> 00:22:05,098 (外記)香苗! 213 00:22:05,098 --> 00:22:08,101 父上… 父上は 二言目には・ 214 00:22:08,101 --> 00:22:10,103 女子らしゅう 女子らしゅうと 申されますが・ 215 00:22:10,103 --> 00:22:12,105 女子は なぜ 刀 やりを習い・ 216 00:22:12,105 --> 00:22:14,107 馬攻めをしてはならんので ございます 217 00:22:14,107 --> 00:22:16,109 (外記)何? 218 00:22:16,109 --> 00:22:19,112 女子は うちに閉じこもっていろと 申されるのですか 219 00:22:19,112 --> 00:22:23,116 この香苗には ただただ 男にかしずき・ 220 00:22:23,116 --> 00:22:26,119 おとなしゅうしていることなど 到底 我慢ができませぬ・ 221 00:22:26,119 --> 00:22:33,126 現に 私は 藩の誰と立ち合おうと 後れを取ったことがございますか 222 00:22:33,126 --> 00:22:35,128 たとえ 女子に生まれようとも 武士の娘 223 00:22:35,128 --> 00:22:37,130 一朝 事あるときに備えて・ 224 00:22:37,130 --> 00:22:40,133 武芸に励むことが なぜ いけないのでございます 225 00:22:40,133 --> 00:22:42,135 (外記)いかんとは言わん 226 00:22:42,135 --> 00:22:45,138 しかし たまたま 藩中に かなう者がいなかったとて・ 227 00:22:45,138 --> 00:22:49,142 慢心するのも いいかげんにせい! 228 00:22:49,142 --> 00:22:51,144 聞けば 名も知れぬ浪人に 馬を止められ・ 229 00:22:51,144 --> 00:22:54,147 無残に 振り落とされたと 申すではないか 230 00:22:54,147 --> 00:22:58,084 いえ あれは 不意に あぶみを切られたからです 231 00:22:58,084 --> 00:23:00,086 言うな! 232 00:23:00,086 --> 00:23:03,089 それほどの腕で 何が武芸じゃ 233 00:23:03,089 --> 00:23:05,091 思い上がるのも 大概にせぬと! 234 00:23:05,091 --> 00:23:08,094 とにかく 惣名主との 話し合いが済むまでは・ 235 00:23:08,094 --> 00:23:10,096 一切 この城から出ることはならぬ 236 00:23:10,096 --> 00:23:13,099 いや この部屋から 一歩もじゃ 237 00:23:13,099 --> 00:23:15,101 なぜでございます (外記)この上 百姓と・ 238 00:23:15,101 --> 00:23:19,105 事を構えるようなことがあっては ならんからじゃ 239 00:23:19,105 --> 00:23:21,105 この旨 しかと申し伝えたぞ 240 00:23:23,109 --> 00:23:26,109 父上! 父上… 241 00:23:30,116 --> 00:23:33,119 (外記)《聞けば 名も知れぬ浪人に 馬を止められ・ 242 00:23:33,119 --> 00:23:35,121 無残に 振り落とされたと 申すではないか》 243 00:23:35,121 --> 00:23:37,123 《既に 馬ていに かけられようとした・ 244 00:23:37,123 --> 00:23:40,126 子のあることを お忘れあるな》 245 00:23:40,126 --> 00:23:45,131 《おのれの馬攻めの未熟さを 他のことで 糊塗されるな》 246 00:23:45,131 --> 00:23:48,131 (玄庵)姫様 (香苗)もうよい! 247 00:24:02,081 --> 00:24:04,081 (石川)申し上げます! 248 00:24:10,089 --> 00:24:15,094 その浪人は 昨日 その方らが 会うた浪人だと申すのだな 249 00:24:15,094 --> 00:24:17,096 (村瀬・石川)はっ (村瀬)確かに 250 00:24:17,096 --> 00:24:20,099 (香苗)何! あの浪人が 百姓どもと? 251 00:24:20,099 --> 00:24:24,099 (飯田)はい ただいま 数人を従え 表門橋へ 252 00:24:34,113 --> 00:24:37,116 (長助)さあさあ お前たちは もう帰れ・ 253 00:24:37,116 --> 00:24:40,119 そうせぬと 他の者までが 詰めかけてくる 254 00:24:40,119 --> 00:24:42,121 (ざわめき) (長助)よいよい・ 255 00:24:42,121 --> 00:24:46,121 わしには 拝様が ついていてくださるのだ 256 00:24:52,131 --> 00:24:56,135 (飯田)小郡長助 御城代様が お待ちである・ 257 00:24:56,135 --> 00:24:58,135 入れ! 258 00:25:01,074 --> 00:25:03,076 (飯田)待て! 259 00:25:03,076 --> 00:25:05,078 おのれは 何用あって この者と 260 00:25:05,078 --> 00:25:10,083 (長助)こちら様は 私の介添え人でございます 261 00:25:10,083 --> 00:25:12,085 (飯田)介添え人? 262 00:25:12,085 --> 00:25:15,088 誰が そのような者の同道を許した! 263 00:25:15,088 --> 00:25:17,090 ならん! 264 00:25:17,090 --> 00:25:20,093 おのれは 城内に入ることを まかりならん! 265 00:25:20,093 --> 00:25:22,095 なぜかな (飯田)何! 266 00:25:22,095 --> 00:25:28,101 本日の談合は 大田原四十六ヶ村 惣名主 小郡長助殿と・ 267 00:25:28,101 --> 00:25:31,104 御城代の談合のはず 268 00:25:31,104 --> 00:25:35,108 戦場に例えれば 両軍の軍使の会見にも等しかろう 269 00:25:35,108 --> 00:25:40,113 それに 介添え役がつくのは 戦場の倣い 270 00:25:40,113 --> 00:25:42,113 これを見られい 271 00:25:45,118 --> 00:25:48,121 これは 戦場刀の胴太貫 272 00:25:48,121 --> 00:25:53,126 それがしの髪を切り このとおり 封印を施しておる 273 00:25:53,126 --> 00:25:59,065 この戦場の作法 お主らは 御存じないのか? 274 00:25:59,065 --> 00:26:15,081 ・~ 275 00:26:15,081 --> 00:26:17,083 (石川)皆の者は引けい!・ 276 00:26:17,083 --> 00:26:22,088 御城代様には 介添え人ともども お会いになると申されておる・ 277 00:26:22,088 --> 00:26:24,090 一同 引けい! 278 00:26:24,090 --> 00:26:40,106 ・~ 279 00:26:40,106 --> 00:26:45,111 (外記)小郡長助 その方の介添え人の名は? 280 00:26:45,111 --> 00:26:47,113 名乗りましても 詮なきこと 281 00:26:47,113 --> 00:26:51,117 小郡殿とは 行きずりに会うた 無縁の者 282 00:26:51,117 --> 00:26:56,122 一介の浪人ゆえに お見捨て置きいただきたい 283 00:26:56,122 --> 00:27:00,059 (外記)名乗れぬと申すのだな? 284 00:27:00,059 --> 00:27:03,062 今どき 胴太貫を帯びておる その方 285 00:27:03,062 --> 00:27:06,062 並の素性の者とは思えぬが 286 00:27:08,067 --> 00:27:13,072 (外記)そうか 言えぬとなれば 強いては問うまい 287 00:27:13,072 --> 00:27:16,075 (外記)さて 長助・ 288 00:27:16,075 --> 00:27:21,080 その方も 介添え人を 連れてまいるほどのことなれば・ 289 00:27:21,080 --> 00:27:27,086 本日の談合 よくよく覚悟を 決めてのことであろうな? 290 00:27:27,086 --> 00:27:29,088 はい 291 00:27:29,088 --> 00:27:36,095 大田原四十六ヶ村 7, 800余名の 百姓どもの総代として・ 292 00:27:36,095 --> 00:27:39,098 今日こそは 何としても 御城代様に・ 293 00:27:39,098 --> 00:27:43,102 本年貢の免除は もちろんのこと・ 294 00:27:43,102 --> 00:27:46,105 雑租 運上冥加金など・ 295 00:27:46,105 --> 00:27:51,110 これらの年貢を ことごとく 免除していただきたく 296 00:27:51,110 --> 00:27:57,049 それと共に 用水堀 さつ堀人夫 差し出しの一件につきましても 297 00:27:57,049 --> 00:27:59,051 (外記)黙れ 長助! 298 00:27:59,051 --> 00:28:02,054 藩はな いたずらに その方らばかりに・ 299 00:28:02,054 --> 00:28:04,056 年貢を課しているのでは ないのだぞ 300 00:28:04,056 --> 00:28:06,058 町方の者も 同様 301 00:28:06,058 --> 00:28:11,063 いや 町方の者の租税は 倍増しとなり・ 302 00:28:11,063 --> 00:28:15,067 我らとて 知行は 半知 家禄を半分に減らしてでも・ 303 00:28:15,067 --> 00:28:18,070 この時期を 切り抜けようとしているのだ・ 304 00:28:18,070 --> 00:28:21,073 それが たかだか その方ら 百姓らに課せられた・ 305 00:28:21,073 --> 00:28:26,073 3割増しの年貢が なぜ 納められぬと申すのだ 306 00:28:51,103 --> 00:28:56,108 (外記)長助 おのれは これほど申しても分からぬか?・ 307 00:28:56,108 --> 00:28:58,044 その方の申すように・ 308 00:28:58,044 --> 00:29:01,047 一時逃れに 年貢を免ずれば どうなる・ 309 00:29:01,047 --> 00:29:05,051 用水堀作成の資金は いかがする・ 310 00:29:05,051 --> 00:29:08,054 その方ら 百姓の差し出す年貢は・ 311 00:29:08,054 --> 00:29:10,056 直ちに 用水堀 さつ堀の資金となり 312 00:29:10,056 --> 00:29:13,059 それは 私にも分かっております 313 00:29:13,059 --> 00:29:15,061 しかし それを なぜ・ 314 00:29:15,061 --> 00:29:17,063 この凶作の年に やらねばならんのか・ 315 00:29:17,063 --> 00:29:20,066 それを 伺っているのでございます 316 00:29:20,066 --> 00:29:23,069 (外記)長助 おのれは 豊作のときにこそ・ 317 00:29:23,069 --> 00:29:25,071 やれとるる申すが・ 318 00:29:25,071 --> 00:29:30,076 来る年が また 次の年が 豊作である保証が どこにある 319 00:29:30,076 --> 00:29:33,079 このように 凶作が続いたればこそ・ 320 00:29:33,079 --> 00:29:35,081 今年は 地獄の苦しみを味わおうとも・ 321 00:29:35,081 --> 00:29:40,086 将来の布石を敷くために 断じて 今 やらねばならんのだ 322 00:29:40,086 --> 00:29:43,089 今 やらねば 大田原に 明日はないのだぞ! 323 00:29:43,089 --> 00:29:46,092 (長助)その 明日という日を 築いていくのは・ 324 00:29:46,092 --> 00:29:49,095 御城代様方ばかりでは ございませぬ 325 00:29:49,095 --> 00:29:52,098 百姓とても 同様 326 00:29:52,098 --> 00:29:58,037 その百姓が疲弊し 飢え死にして 明日という日がございますのか 327 00:29:58,037 --> 00:30:00,039 (外記)ええい! 328 00:30:00,039 --> 00:30:03,039 おのれは これほど申しても… 329 00:30:05,044 --> 00:30:09,048 この上は もはや 問答は無用じゃ 330 00:30:09,048 --> 00:30:12,051 これほど ことわりを申しても 分からんとあらば・ 331 00:30:12,051 --> 00:30:15,054 後の手だては 力ずくじゃ・ 332 00:30:15,054 --> 00:30:17,056 その方の首をはね・ 333 00:30:17,056 --> 00:30:20,059 力に任せてでも 百姓たちを従わせてみせるぞ! 334 00:30:20,059 --> 00:30:23,062 (長助)御城代様!・ 335 00:30:23,062 --> 00:30:28,067 それが 御城代様のお考えならば 致し方はございませぬ・ 336 00:30:28,067 --> 00:30:35,074 首をはねられて死ぬるのも 飢え死にするのも同じこと 337 00:30:35,074 --> 00:30:40,079 しかし そうなれば 四十六ヶ村の百姓ども 338 00:30:40,079 --> 00:30:43,082 かなわぬまでも お手向かいいたしまする 339 00:30:43,082 --> 00:30:48,087 たとえ 私が死のうとも 7, 800余の百姓どもは! 340 00:30:48,087 --> 00:30:51,087 (外記)ええい! 長助を捕らえい! 341 00:30:57,029 --> 00:30:59,031 (外記)立てい 342 00:30:59,031 --> 00:31:01,031 (飯田)えい! (石川)立てい! 343 00:31:06,038 --> 00:31:09,041 (外記)おのれ! 手向かいいたすか 344 00:31:09,041 --> 00:31:12,044 それがしの役目は この場の仕儀を とくと見届け・ 345 00:31:12,044 --> 00:31:14,046 村で待つ人々に 伝えることにある 346 00:31:14,046 --> 00:31:19,051 よって 小郡殿が斬られようとも 手向かえはせぬが・ 347 00:31:19,051 --> 00:31:22,054 この場のありさまは とくと見届けさせていただく 348 00:31:22,054 --> 00:31:26,058 ええい! こざかしいことを! 349 00:31:26,058 --> 00:31:29,058 降りかかる火の粉は 払わねばならぬ 350 00:31:32,064 --> 00:31:34,064 (外記)斬れい! 351 00:31:40,072 --> 00:31:43,075 (香苗)刀を引け! 引かねば おのれ… 352 00:31:43,075 --> 00:31:47,079 香苗 御息女か 353 00:31:47,079 --> 00:31:51,083 先ほどから この場の仕儀は お分かりでござろう 354 00:31:51,083 --> 00:31:53,085 (香苗)何! 355 00:31:53,085 --> 00:31:57,089 (外記)香苗! 何をためろう この慮外者を突け!・ 356 00:31:57,089 --> 00:32:01,093 わしのことなど 懸念いたすな 突け! 何をしておる 357 00:32:01,093 --> 00:32:03,093 斬れ! 斬らぬか! 358 00:32:05,097 --> 00:32:09,101 わしを突けば 御城代も死ぬ 長助殿も 命を失おう 359 00:32:09,101 --> 00:32:16,108 後は 7, 800の百姓と 1万2, 000石の大田原藩 360 00:32:16,108 --> 00:32:20,108 血で血を洗う戦いとなるのだぞ 361 00:32:23,115 --> 00:32:29,121 何を好んで 双方が 命を奪い合うことがある 362 00:32:29,121 --> 00:32:35,127 御城代 なぜ その目で 確かめようとはなさらぬのだ 363 00:32:35,127 --> 00:32:37,129 何! わしは この地には・ 364 00:32:37,129 --> 00:32:40,132 行きずりの無縁の者 だからこそ・ 365 00:32:40,132 --> 00:32:46,138 領民の苦衷も分かれば また 城方の考えも分かり申す 366 00:32:46,138 --> 00:32:49,141 その目で 確かめられい! 367 00:32:49,141 --> 00:32:51,143 百姓たちと 話し合われれば・ 368 00:32:51,143 --> 00:32:55,147 お互いの苦衷を 知ることもできよう 369 00:32:55,147 --> 00:32:58,084 お立ちいただこう 370 00:32:58,084 --> 00:33:01,087 御城代 自ら 御先導賜りたい 371 00:33:01,087 --> 00:33:03,089 (侍たち)おのれ! (石川)御城代に向かって! 372 00:33:03,089 --> 00:33:08,094 刀を引けい! 引かぬと そのままにはしておかぬぞ・ 373 00:33:08,094 --> 00:33:11,097 長助はおろか 百姓どもは 皆殺しに! 374 00:33:11,097 --> 00:33:14,100 (外記)騒ぐな!・ 375 00:33:14,100 --> 00:33:19,105 この者の申すことにも 理がある (飯田)何を仰せられます!・ 376 00:33:19,105 --> 00:33:21,107 この者は そうして 御城代を誘い出し 377 00:33:21,107 --> 00:33:23,107 うろたえるな! 378 00:33:27,113 --> 00:33:32,118 (外記)長助 その方も来い 379 00:33:32,118 --> 00:33:36,122 (長助) 御城代様 ありがとうございます 380 00:33:36,122 --> 00:33:42,128 百姓どもの実情 つぶさに御覧いただきたく 何とぞ 381 00:33:42,128 --> 00:33:45,131 父上! 香苗も参ります 382 00:33:45,131 --> 00:33:47,133 (外記)香苗 これは 政なのじゃ・ 383 00:33:47,133 --> 00:33:51,137 女子のその方が 出るところではない 384 00:33:51,137 --> 00:33:54,140 わしは 村々の百姓と 話をするのだ 385 00:33:54,140 --> 00:33:57,076 仰々しくすればするほど 百姓は 恐れよう 386 00:33:57,076 --> 00:34:00,079 だから わし一人で行くのじゃ 387 00:34:00,079 --> 00:34:03,079 引け! 刀を引け! 388 00:34:19,098 --> 00:34:39,118 ・~ 389 00:34:39,118 --> 00:34:42,121 ・~ 390 00:34:42,121 --> 00:34:44,121 ちゃん… 391 00:34:57,069 --> 00:35:01,069 (萬造)おっ! 御城代様だぞ (男性たち)御城代様… 392 00:35:03,075 --> 00:35:07,079 (長助)これ 御城代様が 改めて わしらと話し合い・ 393 00:35:07,079 --> 00:35:11,083 つぶさに 村々の様子を 御覧になりたいと仰せられた 394 00:35:11,083 --> 00:35:13,085 (利吉)それは 本当でございますか 395 00:35:13,085 --> 00:35:17,089 (長助)さあ すぐに御案内だ 誰か 早く村の衆に 396 00:35:17,089 --> 00:35:20,092 (茂作)は… はい すぐに行くぞ 397 00:35:20,092 --> 00:35:25,097 (飯田)香苗様 やはり いかに 御城代様の仰せとはいえ・ 398 00:35:25,097 --> 00:35:28,100 このままにしておきましては (石川)そうだ…・ 399 00:35:28,100 --> 00:35:31,103 もし 万一のことが 御城代様にあれば 取り返しが… 400 00:35:31,103 --> 00:35:33,105 黙りゃ! 401 00:35:33,105 --> 00:35:36,105 ならば なぜ あの浪人者を この場で 斬り伏せなんだ 402 00:35:38,110 --> 00:35:40,112 父上は申された 403 00:35:40,112 --> 00:35:42,114 私のような 女子の出るところではないとな 404 00:35:42,114 --> 00:35:44,116 (石川)いや しかし! 405 00:35:44,116 --> 00:35:47,119 お前たちは 大田原の侍ではないか! 406 00:35:47,119 --> 00:35:50,122 それなのに あのような 氏 素性も知れぬ浪人者に・ 407 00:35:50,122 --> 00:35:54,126 手も足も出ず むざむざ 父上を連れ去られるとは! 408 00:35:54,126 --> 00:35:56,126 これが 合戦ならば 何とするのじゃ! 409 00:35:58,063 --> 00:36:03,068 しかし あの浪人者は 一体… 410 00:36:03,068 --> 00:36:07,072 なぜ 百姓どもに加担したのか なぜじゃ! 411 00:36:07,072 --> 00:36:10,075 金目当てか フッ 412 00:36:10,075 --> 00:36:13,078 それとも 食えぬ者同士の れんびんからか 413 00:36:13,078 --> 00:36:15,078 なぜなのじゃ! 414 00:36:17,082 --> 00:36:22,087 しかし あの浪人者 並の男ではない 415 00:36:22,087 --> 00:36:25,090 お前たちも 少しは見習うのだな 416 00:36:25,090 --> 00:36:27,092 何か 先ほどのありさまは! 417 00:36:27,092 --> 00:36:29,094 あれほど 寄ってたかって 押し進みながら・ 418 00:36:29,094 --> 00:36:32,094 一太刀も浴びせることが できぬとは! 419 00:36:34,099 --> 00:36:37,102 だが この香苗は 負けはせぬぞ 420 00:36:37,102 --> 00:36:40,105 必ず あの浪人者を 足元に ひれ伏せさせてみせる 421 00:36:40,105 --> 00:36:44,105 フッ 誰が あのような浪人者に 422 00:36:46,111 --> 00:36:50,115 誰ぞ… 琴を持て! 423 00:36:50,115 --> 00:36:53,118 琴? 琴と申しますと… 424 00:36:53,118 --> 00:36:55,118 十三絃じゃ 425 00:37:16,075 --> 00:37:19,078 そうか 村の者たちは・ 426 00:37:19,078 --> 00:37:23,082 娘 子供まで売って 飢えをしのいでおったのか 427 00:37:23,082 --> 00:37:26,082 それほどまでにのう 428 00:37:28,087 --> 00:37:30,089 ・ ちゃーん! 429 00:37:30,089 --> 00:37:33,089 (子供たち)わーい 430 00:37:38,097 --> 00:37:41,097 (子供たち)わーい 431 00:37:43,102 --> 00:37:47,106 (外記)どうされた いや 大五郎が… 432 00:37:47,106 --> 00:37:49,108 大五郎? 433 00:37:49,108 --> 00:37:52,111 それがしの子でござる 434 00:37:52,111 --> 00:37:54,113 (外記)と… 御家内と御一緒か? 435 00:37:54,113 --> 00:37:56,113 いや… 436 00:38:06,058 --> 00:38:26,078 ・~ 437 00:38:26,078 --> 00:38:38,090 ・~ 438 00:38:38,090 --> 00:38:40,092 打ち根を 439 00:38:40,092 --> 00:39:00,045 ・~ 440 00:39:00,045 --> 00:39:20,065 ・~ 441 00:39:20,065 --> 00:39:22,067 ・~ 442 00:39:22,067 --> 00:39:25,070 (家臣たち)おお! 443 00:39:25,070 --> 00:39:28,073 よし! すぐに 誰か・ 444 00:39:28,073 --> 00:39:30,075 私が 父上に会いたいと 申していると 伝えてまいれ 445 00:39:30,075 --> 00:39:32,077 (飯田)はっ! 446 00:39:32,077 --> 00:39:36,081 娘ならば 父の安否を気遣うのも 当然のこと 447 00:39:36,081 --> 00:39:38,083 身の回りの世話もしよう 448 00:39:38,083 --> 00:39:41,086 百姓との談合にて お疲れであろう 449 00:39:41,086 --> 00:39:44,089 琴など弾いて お慰めしたいとな 450 00:39:44,089 --> 00:39:47,092 (飯田)はっ! (石川)はっ 451 00:39:47,092 --> 00:39:52,097 よいか あの浪人をしとめるには これしかない 452 00:39:52,097 --> 00:39:56,101 私が 必ず あやつの喉笛をしとめてみせる! 453 00:39:56,101 --> 00:40:00,038 フフフ… 必ず あやつの! 454 00:40:00,038 --> 00:40:04,042 もし 差し支えなくば 姓名を聞かせていただきたいが 455 00:40:04,042 --> 00:40:09,047 それがしは 拝一刀と申す 拝一刀 456 00:40:09,047 --> 00:40:13,051 拝一刀と申さば 元 公儀介しゃく人の 457 00:40:13,051 --> 00:40:16,054 今は 一介の浪人にすぎぬ 458 00:40:16,054 --> 00:40:19,057 どうか お忘れいただきたい 459 00:40:19,057 --> 00:40:24,062 お主が 拝一刀殿だったのか 460 00:40:24,062 --> 00:40:44,082 ・~ 461 00:40:44,082 --> 00:40:57,029 ・~ 462 00:40:57,029 --> 00:40:59,031 何かあるんじゃあるめえかのう (一同)うん 463 00:40:59,031 --> 00:41:02,034 あの箱車の御浪人さんによ… (男性)おい・ 464 00:41:02,034 --> 00:41:05,037 行ってみるべじゃねえか (男性)行ってみるか 465 00:41:05,037 --> 00:41:19,037 ・~ 466 00:41:32,064 --> 00:41:35,064 (飯田)御城代は こちらだな (男性)へい 467 00:41:57,089 --> 00:42:14,106 ・~ 468 00:42:14,106 --> 00:42:16,106 ・(家臣)御城代 469 00:42:26,118 --> 00:42:28,120 そのような心遣いは 無用と言え 470 00:42:28,120 --> 00:42:31,123 香苗には 城を出てはならぬと 申し伝えてあるはずじゃ 471 00:42:31,123 --> 00:42:34,123 (家臣)しかし 香苗様は… ・(香苗)父上! 472 00:42:40,132 --> 00:42:43,135 父上の身が 心配のあまり それと・ 473 00:42:43,135 --> 00:42:47,139 せめて 拙い琴などをお聞かせして お慰めできたらと・ 474 00:42:47,139 --> 00:42:49,141 取るものも取りあえず 475 00:42:49,141 --> 00:42:52,144 香苗! (長助)御城代様 476 00:42:52,144 --> 00:42:55,147 談合の見通しも ほぼ つきましたことですし・ 477 00:42:55,147 --> 00:42:58,083 せっかく こうして 香苗様が… (萬造)そうじゃ 478 00:42:58,083 --> 00:43:01,086 わしらは 琴などという物 聞いたこともねえ 479 00:43:01,086 --> 00:43:05,090 せめて 語りぐさに お聞かせ願えたら のう? 皆の衆 480 00:43:05,090 --> 00:43:09,094 (男性)お願いしますだ (男性)お聞かせくださいまし 481 00:43:09,094 --> 00:43:15,100 フフッ 香苗が琴を弾いてくれるか 珍しいこと 482 00:43:15,100 --> 00:43:17,102 雪でも降らねばよいがのう 483 00:43:17,102 --> 00:43:23,102 フッ 父上 香苗とて 女子でございます では 484 00:43:51,136 --> 00:43:54,139 (香苗)では 485 00:43:54,139 --> 00:43:59,077 (琴) 486 00:43:59,077 --> 00:44:19,097 ・~ 487 00:44:19,097 --> 00:44:39,117 ・~ 488 00:44:39,117 --> 00:44:59,070 ・~ 489 00:44:59,070 --> 00:45:19,090 ・~ 490 00:45:19,090 --> 00:45:32,103 ・~ 491 00:45:32,103 --> 00:45:35,106 ちゃん! 492 00:45:35,106 --> 00:45:37,106 (風を切る音) 493 00:45:47,118 --> 00:45:49,118 ええい! 494 00:46:07,072 --> 00:46:10,072 琴を続けられい 495 00:46:13,078 --> 00:46:15,078 (外記)手出しはするな! 496 00:46:18,083 --> 00:46:20,083 (外記)拝殿 497 00:46:33,098 --> 00:46:38,098 (泣き声) 498 00:46:59,057 --> 00:47:01,059 拝様… (萬造)おけがは・ 499 00:47:01,059 --> 00:47:03,059 大丈夫でごぜえますか? 500 00:47:06,064 --> 00:47:10,068 (男性たち) ありがとうございました 501 00:47:10,068 --> 00:47:15,073 (女性)ありがとうございました (男性)ありがとうございました 502 00:47:15,073 --> 00:47:17,075 (萬造)さあ お前らも来るんだ 503 00:47:17,075 --> 00:47:19,077 (男性)ありがとうごぜえました (男性)さあさあ・ 504 00:47:19,077 --> 00:47:21,079 みんな お見送りするだぞ 505 00:47:21,079 --> 00:47:24,079 (男性たち) ありがとうございました 506 00:47:29,087 --> 00:47:35,093 <この年 大田原領の年貢は 免租され 百姓たちも また・ 507 00:47:35,093 --> 00:47:39,097 用水堀 さつ堀の 人夫差し出しに応じて・ 508 00:47:39,097 --> 00:47:43,101 事は 血を見ることなく収まった> 509 00:47:43,101 --> 00:47:48,106 <しかし このことを 一刀親子は 知ることもなかった> 510 00:47:48,106 --> 00:47:51,109 <それは 柳生に追われる親子が・ 511 00:47:51,109 --> 00:47:56,114 二度と この地を 訪れることがなかったからである> 512 00:47:56,114 --> 00:48:08,114 ・~ 513 00:48:11,062 --> 00:48:15,066 <拝一刀に 手痛い打撃を受けた烈堂は・ 514 00:48:15,066 --> 00:48:20,071 諸藩の大名 および 代官所へ 柳生回状を行き渡らせた> 515 00:48:20,071 --> 00:48:24,075 <更に しょう腹の子 鞘香に 秘術 お手玉の剣を授けて・ 516 00:48:24,075 --> 00:48:27,078 宿敵 一刀を倒さんと謀る> 517 00:48:27,078 --> 00:48:32,083 <鞘香は 今は亡き兄の仇敵 一刀との尋常の勝負に挑む> 518 00:48:32,083 --> 00:48:35,083 <秘術 お手玉の剣とは 次回…>