1 00:02:10,088 --> 00:02:12,090 <小高い丘の 城跡の・ 2 00:02:12,090 --> 00:02:15,093 崩れかけた あずまやで・ 3 00:02:15,093 --> 00:02:19,097 その子は 父を待っていた> 4 00:02:19,097 --> 00:02:21,099 <この日の 朝には・ 5 00:02:21,099 --> 00:02:23,101 帰るはずの父であった> 6 00:02:23,101 --> 00:02:28,106 <それが 3つ目の朝となり 4つ目の夜が来て・ 7 00:02:28,106 --> 00:02:31,109 5つ目の朝が雨だった> 8 00:02:31,109 --> 00:02:51,129 ・~ 9 00:02:51,129 --> 00:03:11,082 ・~ 10 00:03:11,082 --> 00:03:31,102 ・~ 11 00:03:31,102 --> 00:03:51,122 ・~ 12 00:03:51,122 --> 00:03:56,122 ・~ 13 00:04:09,074 --> 00:04:13,078 <再び 相目見え 雌雄を決せんと・ 14 00:04:13,078 --> 00:04:17,082 無言のうちに 約した 一刀 烈堂は・ 15 00:04:17,082 --> 00:04:22,082 ここ 八丁河岸で 宿命の対決に 決着をつけようとしていた> 16 00:04:24,089 --> 00:04:28,093 <だが 2人の腕は まさに互角> 17 00:04:28,093 --> 00:04:32,097 <その決着は いつ果てるともしれなかった> 18 00:04:32,097 --> 00:04:36,101 <しかも 両者の刀には 頼母の毒薬が・ 19 00:04:36,101 --> 00:04:39,104 塗り付けられていることを 知らなかった> 20 00:04:39,104 --> 00:04:59,057 ・~ 21 00:04:59,057 --> 00:05:01,059 ・~ 22 00:05:01,059 --> 00:05:07,059 (頼母)くそ… 腹が減ったな 喉も 23 00:05:09,067 --> 00:05:11,069 それにしても・ 24 00:05:11,069 --> 00:05:15,073 昼から始まったというに 既に夕暮れ 25 00:05:15,073 --> 00:05:21,079 魔物か 鬼か とてものことに 人間業とは… 26 00:05:21,079 --> 00:05:25,079 くそ せっかく 傷が付いたというのに 27 00:05:30,088 --> 00:05:32,090 (頼母)くそ! よりによって・ 28 00:05:32,090 --> 00:05:38,096 毒の塗っておらぬ切っ先が かすめるとは 何ということだ!・ 29 00:05:38,096 --> 00:05:41,099 満遍なく 毒を塗ったつもりでおったのに・ 30 00:05:41,099 --> 00:05:45,103 どうして 引き抜いて 切っ先に塗らなんだのか! 31 00:05:45,103 --> 00:05:47,105 切っ先が 土に埋もれておったことを・ 32 00:05:47,105 --> 00:05:51,105 忘れておったとは わしとしたことが! 33 00:05:56,114 --> 00:06:01,052 (頼母)ええい! 毒の塗られておる所で 斬り合え! 34 00:06:01,052 --> 00:06:04,055 ええい! 何をしておる 何をしておるのか! 35 00:06:04,055 --> 00:06:07,058 死ね 烈堂 死ねい! 36 00:06:07,058 --> 00:06:12,063 ああ それにしても あのガキも ガキじゃ・ 37 00:06:12,063 --> 00:06:18,069 身じろぎもせず 一歩も動こうともせず 立っておる 38 00:06:18,069 --> 00:06:24,075 (頼母)くそ! ああ 何とも分からぬ 不可思議だ 39 00:06:24,075 --> 00:06:30,075 ああ 寒い ああ… 寒いな 40 00:06:43,094 --> 00:06:49,100 <確かに 両者は いや 3人は 人ではなかった> 41 00:06:49,100 --> 00:06:54,105 <人間ならば 既に 体力 気力 共に使い果たし・ 42 00:06:54,105 --> 00:06:58,042 この 荒涼たる野辺に 倒れていたであろう> 43 00:06:58,042 --> 00:07:02,046 <3人は 全く 風と同じであった> 44 00:07:02,046 --> 00:07:05,049 <天地静寂の大自然と融合し・ 45 00:07:05,049 --> 00:07:11,055 一切の念を払い 己を無と化し 風たらんとする> 46 00:07:11,055 --> 00:07:17,061 <これは古来 あらゆる剣客が 求め続けた境地であった> 47 00:07:17,061 --> 00:07:20,064 <ただ 驚くべきことは・ 48 00:07:20,064 --> 00:07:26,070 この子も 父と共に無となり 風となり得ていることだった> 49 00:07:26,070 --> 00:07:28,070 <それ故にこそ…> 50 00:07:31,075 --> 00:07:33,075 (大五郎)ちゃん! 51 00:07:48,092 --> 00:07:51,092 (烈堂)柳生 むら雲! 52 00:07:54,098 --> 00:07:56,098 ちゃん! 53 00:08:05,043 --> 00:08:09,043 (一刀)水鴎流 捨身 54 00:08:11,049 --> 00:08:13,049 (頼母)おお! かすり傷だ 55 00:08:21,059 --> 00:08:23,061 (烈堂)仙沙天! 56 00:08:23,061 --> 00:08:37,075 ・~ 57 00:08:37,075 --> 00:08:43,075 (頼母)おお いいぞ! もっとやれ もっと傷つけ! 58 00:08:47,085 --> 00:08:51,089 (頼母)ああ! 待ってくれ 降らないでくれ! 59 00:08:51,089 --> 00:08:57,028 雨が降れば 毒が流れてしまう! 効き目が 弱くなってしまうのだ! 60 00:08:57,028 --> 00:09:03,028 いま少しというところで… 待ってくれ! 降らないでくれ! 61 00:09:24,055 --> 00:09:28,055 (頼母)うわーっ! 危ない! 62 00:09:33,064 --> 00:09:40,064 ああ 頼む 降るでない 毒が溶けて 効き目が… 63 00:10:06,030 --> 00:10:26,050 ・~ 64 00:10:26,050 --> 00:10:46,070 ・~ 65 00:10:46,070 --> 00:11:05,022 ・~ 66 00:11:05,022 --> 00:11:07,022 (烈堂)落空 67 00:11:14,031 --> 00:11:17,034 無想返し 68 00:11:17,034 --> 00:11:29,046 ・~ 69 00:11:29,046 --> 00:11:31,048 まだ! 70 00:11:31,048 --> 00:11:43,060 ・~ 71 00:11:43,060 --> 00:11:46,063 ど… 毒じゃ 72 00:11:46,063 --> 00:11:49,066 誰が… 73 00:11:49,066 --> 00:11:53,070 だが 負けぬ 負けぬぞ! 74 00:11:53,070 --> 00:12:13,090 ・~ 75 00:12:13,090 --> 00:12:33,110 ・~ 76 00:12:33,110 --> 00:12:36,113 烈堂! 77 00:12:36,113 --> 00:12:40,117 立ち合え! 烈堂! 78 00:12:40,117 --> 00:12:44,121 おう! 一刀! 79 00:12:44,121 --> 00:13:04,075 ・~ 80 00:13:04,075 --> 00:13:21,075 ・~ 81 00:13:47,118 --> 00:14:07,071 ・~ 82 00:14:07,071 --> 00:14:10,071 ちゃん! ちゃん! 83 00:14:14,078 --> 00:14:16,080 ちゃん! 84 00:14:16,080 --> 00:14:36,100 ・~ 85 00:14:36,100 --> 00:14:56,120 ・~ 86 00:14:56,120 --> 00:15:02,059 ・~ 87 00:15:02,059 --> 00:15:04,061 ちゃん! 88 00:15:04,061 --> 00:15:24,081 ・~ 89 00:15:24,081 --> 00:15:31,088 ・~ 90 00:15:31,088 --> 00:15:35,092 (烈堂) 《そなたは 刀を見たはずじゃ》・ 91 00:15:35,092 --> 00:15:42,099 《それは 侍の約束事 それには 2つの意味がある》・ 92 00:15:42,099 --> 00:15:44,101 《一つは・ 93 00:15:44,101 --> 00:15:48,105 再び あの刀を引き抜くときが 来るまでは 争わぬ》・ 94 00:15:48,105 --> 00:15:50,107 《そして 一つは・ 95 00:15:50,107 --> 00:15:54,111 命あるかぎり あの場所へ立ち戻り・ 96 00:15:54,111 --> 00:15:59,111 再び 刀を取って 雌雄を決するという約束じゃ》 97 00:16:10,061 --> 00:16:12,061 ちゃん 98 00:16:14,065 --> 00:16:16,065 大五郎 99 00:16:18,069 --> 00:16:21,069 お前が… 100 00:16:31,082 --> 00:16:47,098 ・~ 101 00:16:47,098 --> 00:16:49,098 大五郎 102 00:16:56,107 --> 00:16:58,042 (馬の鼻息) 103 00:16:58,042 --> 00:17:14,058 ・~ 104 00:17:14,058 --> 00:17:19,063 刀を立てたるは うぬか? 105 00:17:19,063 --> 00:17:21,065 いや 106 00:17:21,065 --> 00:17:23,065 では その子か 107 00:17:25,069 --> 00:17:27,071 さすがよのう 108 00:17:27,071 --> 00:17:31,075 いま一度 立ち合うか? 烈堂 109 00:17:31,075 --> 00:17:35,075 それは たやすい だが… 110 00:17:41,085 --> 00:17:44,088 毒が いまだ体内に 111 00:17:44,088 --> 00:17:47,091 それを 知ればこそ その子は・ 112 00:17:47,091 --> 00:17:53,091 いや 我らに ひとときの和睦を勧めるために 113 00:17:55,099 --> 00:17:59,099 その子のためにも 日を改め 114 00:18:02,039 --> 00:18:04,039 待て 一刀 115 00:18:06,043 --> 00:18:08,045 なぜ 馬を 116 00:18:08,045 --> 00:18:12,045 しびれた体で歩くのは つらかろう 117 00:18:18,055 --> 00:18:23,055 一刀 我が屋敷に来て その子ともども 養生せい 118 00:18:26,063 --> 00:18:29,066 我が屋敷は 無人 119 00:18:29,066 --> 00:18:34,071 それに うぬには 門弟を弔うてもろうた借りもある 120 00:18:34,071 --> 00:18:36,071 どうじゃ 121 00:18:38,075 --> 00:18:42,079 薬を与えねば その子は死ぬぞ 122 00:18:42,079 --> 00:18:44,081 それも 命運 123 00:18:44,081 --> 00:18:49,086 敵の手を借りねば ともすことのできぬ命なら・ 124 00:18:49,086 --> 00:18:53,086 ここで 絶ゆるも同じこと 125 00:19:00,030 --> 00:19:02,032 (烈堂)怪異 126 00:19:02,032 --> 00:19:06,036 こやつ 我らの白刃に毒を塗り・ 127 00:19:06,036 --> 00:19:10,040 この上から 見守っていたのであろう 128 00:19:10,040 --> 00:19:15,045 武士にして 武士の心を持たぬ小心者 129 00:19:15,045 --> 00:19:18,045 しかし その執念だけは… 130 00:19:30,060 --> 00:19:36,066 (烈堂)一刀 我らの勝負は こやつのために邪魔された・ 131 00:19:36,066 --> 00:19:41,071 しかも 我らの五体を しびれさせたのも また こやつ・ 132 00:19:41,071 --> 00:19:45,075 これらの始末を つけさせねばなるまいて 133 00:19:45,075 --> 00:19:58,022 ・~ 134 00:19:58,022 --> 00:20:03,027 気が付いたようじゃの ここは 地獄ではない 135 00:20:03,027 --> 00:20:06,030 えっ? 地獄ではない? 136 00:20:06,030 --> 00:20:09,033 (烈堂) うぬも 我らも まだ生きておる 137 00:20:09,033 --> 00:20:14,038 生きている!? 生きているということは! 138 00:20:14,038 --> 00:20:17,041 (烈堂)うぬが毒のために 我らの五体は しびれ・ 139 00:20:17,041 --> 00:20:20,044 刀を握ることすら おぼつかぬゆえ・ 140 00:20:20,044 --> 00:20:24,048 しばしの和を結び うぬを拾うてきたのじゃ 141 00:20:24,048 --> 00:20:26,050 ここは 我が屋敷ぞ 142 00:20:26,050 --> 00:20:28,052 (頼母)げっ!・ 143 00:20:28,052 --> 00:20:30,054 ああ! 痛い痛い… 144 00:20:30,054 --> 00:20:33,057 たわけ! 145 00:20:33,057 --> 00:20:39,063 怪異 この しびれを治す薬物を すぐさま しつらえい! 146 00:20:39,063 --> 00:20:45,069 (頼母)ああ しかし それには いろいろと 薬草がなければ・ 147 00:20:45,069 --> 00:20:49,073 とてものことには… (烈堂)ここは 柳生屋敷ぞ 148 00:20:49,073 --> 00:20:52,076 おのれに劣らず あらかたのものは そろうておるわ 149 00:20:52,076 --> 00:20:54,078 早う しつらえい! 150 00:20:54,078 --> 00:20:57,078 大五郎の薬もじゃ! 151 00:21:00,017 --> 00:21:06,023 (頼母)くそ… あれほどの手傷を負いながら・ 152 00:21:06,023 --> 00:21:12,029 しびれくらいで治まるとは 命冥加な 153 00:21:12,029 --> 00:21:15,032 くそ! 154 00:21:15,032 --> 00:21:21,038 それにしても 自分で毒を作り・ 155 00:21:21,038 --> 00:21:24,041 その薬で しびれさせ・ 156 00:21:24,041 --> 00:21:31,048 しかも 更に その 解毒の薬を作らされるとは 157 00:21:31,048 --> 00:21:36,048 一体 わしは 何を… くそ! 158 00:21:38,055 --> 00:21:41,055 お毒味を 159 00:22:06,083 --> 00:22:12,089 (頼母)《訳が分からぬ 何で この虎と おおかみが》・ 160 00:22:12,089 --> 00:22:15,092 《それに わしまで こうして ここに》・ 161 00:22:15,092 --> 00:22:20,097 《これは 呉越同舟どころか…》 162 00:22:20,097 --> 00:22:23,100 (烈堂)何を ほうけたように 口を開いておる 163 00:22:23,100 --> 00:22:27,104 次は この子じゃ この子の傷を早う! 164 00:22:27,104 --> 00:22:32,109 この子の傷なら 先ほども見たが・ 165 00:22:32,109 --> 00:22:38,115 この子の傷は 破傷風 もう 手遅れかもしれませぬぞ 166 00:22:38,115 --> 00:22:40,115 (烈堂)何!? 167 00:22:44,121 --> 00:22:48,125 (頼母)ほれ この手・ 168 00:22:48,125 --> 00:22:52,129 この足の傷・ 169 00:22:52,129 --> 00:22:59,069 特に この両手の傷が ひどうござってな 170 00:22:59,069 --> 00:23:02,072 その方には 治せぬというのか? 171 00:23:02,072 --> 00:23:04,074 分かりませぬ 172 00:23:04,074 --> 00:23:09,079 この 阿部頼母は 人を死に至らしめる薬・ 173 00:23:09,079 --> 00:23:15,085 また その毒を解く薬を 作ったことはござりまするが・ 174 00:23:15,085 --> 00:23:20,090 病人の熱を下げ 傷口を癒やすような薬は・ 175 00:23:20,090 --> 00:23:24,090 作った覚えはありませぬでな 176 00:23:27,097 --> 00:23:30,100 しかし こうして 傷口から入り・ 177 00:23:30,100 --> 00:23:36,106 手足を もがんばかりに 腐らそうとしているのも毒 178 00:23:36,106 --> 00:23:39,109 毒には 毒を 179 00:23:39,109 --> 00:23:46,116 そうした毒ならば 作りえぬことも フフフッ・ 180 00:23:46,116 --> 00:23:50,120 しかし 何分にも 相手は子供・ 181 00:23:50,120 --> 00:23:54,124 そうした毒に 耐えうるやどうか 182 00:23:54,124 --> 00:23:57,060 逆に あまりの毒の強さに・ 183 00:23:57,060 --> 00:24:04,067 この子の指が ぽろりぽろりと 落ちてしまうやもしれぬ 184 00:24:04,067 --> 00:24:08,067 いかがなされますかな? 拝殿 185 00:24:10,073 --> 00:24:13,076 お頼み申す 186 00:24:13,076 --> 00:24:17,076 そこまで わしを信じると仰せかな? 187 00:24:19,082 --> 00:24:24,087 (頼母)わざと あしき方へ 導くやもしれぬ このわしを 188 00:24:24,087 --> 00:24:30,093 この子の手は 小さきながら戦う 侍の手 189 00:24:30,093 --> 00:24:34,097 その手を失うも 失わぬも・ 190 00:24:34,097 --> 00:24:39,102 全ては この子の武運でござる 191 00:24:39,102 --> 00:24:41,104 武運!? 192 00:24:41,104 --> 00:24:47,104 さよう この子は 武士の子でござる 193 00:24:53,116 --> 00:24:55,118 侍の手か 194 00:24:55,118 --> 00:25:00,057 小さくても 侍の手か… 195 00:25:00,057 --> 00:25:05,062 だが 侍が何だ 196 00:25:05,062 --> 00:25:10,067 侍が それほど偉いのか 197 00:25:10,067 --> 00:25:14,071 侍が それほど 198 00:25:14,071 --> 00:25:20,077 <阿部頼母は 将軍家お毒味役 阿部監物の子ではなかった> 199 00:25:20,077 --> 00:25:33,090 ・~ 200 00:25:33,090 --> 00:25:37,094 <頼母の母は 狂っていた> 201 00:25:37,094 --> 00:25:41,098 <それは 頼母を産み落とす 1年ほど前からであり・ 202 00:25:41,098 --> 00:25:43,100 突然 屋敷をさまよい出て・ 203 00:25:43,100 --> 00:25:47,100 帰ったときは 頼母を みごもっていたという> 204 00:25:49,106 --> 00:25:53,110 (監物)《あれほど ここへ 近寄るなと申すに・ 205 00:25:53,110 --> 00:25:56,110 まだ 分からぬのか!》 206 00:26:02,052 --> 00:26:06,052 <頼母は 食事のときが いちばん怖かった> 207 00:26:08,058 --> 00:26:12,058 (監物)《食わぬか 早う!》 208 00:26:21,071 --> 00:26:37,087 ・~ 209 00:26:37,087 --> 00:26:39,089 (監物)《たわけ!》・ 210 00:26:39,089 --> 00:26:43,093 《そのようなことで お唇役が 務まるか》・ 211 00:26:43,093 --> 00:26:46,096 《毒は 何に入っておるか分からぬ》・ 212 00:26:46,096 --> 00:26:50,096 《わんや 箸に 塗られておるかも しれんのだぞ》 213 00:26:52,102 --> 00:26:54,104 (監物) 《それを 一口毒味しただけで・ 214 00:26:54,104 --> 00:26:57,040 察知せずして何とする!》・ 215 00:26:57,040 --> 00:27:03,046 《毒を知れ! その口と体で あらゆる毒を知らずして・ 216 00:27:03,046 --> 00:27:06,046 上様の命を 守り抜けると思うのか!》 217 00:27:10,053 --> 00:27:15,058 《たとえ どこの誰の子とも知れぬ うぬであろうとも・ 218 00:27:15,058 --> 00:27:22,065 阿部家は 由緒ある 御公儀 毒味お唇役の家柄じゃ!》 219 00:27:22,065 --> 00:27:29,072 《跡継ぎらしく 武士の子らしく 修業せい!》 220 00:27:29,072 --> 00:27:34,077 《侍の子らしく 武士の子らしく》 221 00:27:34,077 --> 00:27:38,081 <やがて 頼母は あらゆる毒を知り尽くした> 222 00:27:38,081 --> 00:27:40,083 <いや それどころか・ 223 00:27:40,083 --> 00:27:44,087 父 監物が 毒味してさえ分からぬ毒を・ 224 00:27:44,087 --> 00:27:47,087 作れるようになったのである> 225 00:27:54,097 --> 00:27:56,099 (頼母)《フハハ…》・ 226 00:27:56,099 --> 00:28:00,036 《何が侍じゃ! アハハ…》・ 227 00:28:00,036 --> 00:28:04,040 《何が武士じゃ! アハハ…》・ 228 00:28:04,040 --> 00:28:10,040 《何が侍じゃ! ハハハ…》 229 00:28:13,049 --> 00:28:18,054 どうせ わしは 真から侍の子ではない 230 00:28:18,054 --> 00:28:20,056 だから どうだというのだ 231 00:28:20,056 --> 00:28:25,061 侍が その力で 人の上に立つは 当たり前 232 00:28:25,061 --> 00:28:29,065 だから わしは この手で天下を握り・ 233 00:28:29,065 --> 00:28:31,067 侍の上に立ち・ 234 00:28:31,067 --> 00:28:36,072 きゃつらを思うように 使うてやりたいのじゃ ハハハ… 235 00:28:36,072 --> 00:28:42,078 虫けらのようにな! アハハ… 236 00:28:42,078 --> 00:28:47,083 ・ ひと塗り ふた塗り さんに塗り 237 00:28:47,083 --> 00:28:51,087 ・ 死塗りで 天下は わしのものじゃ 238 00:28:51,087 --> 00:28:55,087 フフフ… 239 00:28:57,027 --> 00:29:17,047 ・~ 240 00:29:17,047 --> 00:29:23,053 ・~ 241 00:29:23,053 --> 00:29:28,053 うむ まさしく 柳生封廻状 242 00:29:37,067 --> 00:29:56,086 ・~ 243 00:29:56,086 --> 00:29:59,022 そうか 244 00:29:59,022 --> 00:30:06,029 虫食い文字による隠し文とは さすがに… 245 00:30:06,029 --> 00:30:13,029 うむ しかし この虫食い文字は 一体 何の虫かな 246 00:30:19,042 --> 00:30:23,046 そうか! これは あれだ 247 00:30:23,046 --> 00:30:25,048 蚕だ! 248 00:30:25,048 --> 00:30:32,055 そうか 蚕に食わせた跡の文字が 柳生封廻状とは 249 00:30:32,055 --> 00:30:36,059 柳生烈堂め 恐ろしいやつだ 250 00:30:36,059 --> 00:30:40,059 しかも この文面は! 251 00:30:45,068 --> 00:30:47,070 フハハ… 252 00:30:47,070 --> 00:30:50,073 これが わしの手に 入ったからには アハハ…・ 253 00:30:50,073 --> 00:30:54,077 これを 上様にお見せさえすれば ウハハ… 254 00:30:54,077 --> 00:30:59,015 烈堂めは たちどころにして失脚 腹を切らねばならなくなるぞ 255 00:30:59,015 --> 00:31:01,017 ワハハ… 256 00:31:01,017 --> 00:31:05,021 あっ 痛てて… ヘヘヘ… 257 00:31:05,021 --> 00:31:08,024 よしよし… これさえあれば・ 258 00:31:08,024 --> 00:31:13,029 わしは 労せずして 幕府の陰の実権を 259 00:31:13,029 --> 00:31:18,034 フハハ… まさに 天佑神助とは このこと 260 00:31:18,034 --> 00:31:24,040 運否天賦は このわしに ウハハ… 261 00:31:24,040 --> 00:31:27,043 だが 待てよ 262 00:31:27,043 --> 00:31:33,049 これほどの物を手中にしながら なぜ 拝一刀は… 263 00:31:33,049 --> 00:31:36,052 これを しかるべき筋に 差し出しさえすれば・ 264 00:31:36,052 --> 00:31:41,057 柳生の死命を 制することができように 265 00:31:41,057 --> 00:31:43,059 なぜ 266 00:31:43,059 --> 00:31:46,062 戦わずして 勝つことができるというのに・ 267 00:31:46,062 --> 00:31:49,065 どうしてじゃ! 268 00:31:49,065 --> 00:31:55,065 分からぬ! きゃつらの 考えておることが このわしには 269 00:31:57,073 --> 00:31:59,075 かゆが出来た 参れ 270 00:31:59,075 --> 00:32:02,078 フッ はいはい… ただいま ただいま アハハッ 271 00:32:02,078 --> 00:32:07,083 いや 今 阿部の怪異が 秘術を尽くし 精魂を傾けまして・ 272 00:32:07,083 --> 00:32:11,087 練り上げましたる 破傷風止め 潰瘍こう 273 00:32:11,087 --> 00:32:16,092 これさえ塗れば あしたの朝には 必ず 効き目が現われましょうぞ 274 00:32:16,092 --> 00:32:21,092 いや 全く ヒヒヒ… 275 00:32:40,116 --> 00:32:43,119 (頼母)あ痛! 痛… 痛てて… 大五郎! 276 00:32:43,119 --> 00:32:46,122 熱は 下がったようじゃの 277 00:32:46,122 --> 00:32:50,126 いや 全く恐ろしいガキ… いや あ… お子じゃ 278 00:32:50,126 --> 00:32:54,130 ああ 痛てて (烈堂)傷の方は? 279 00:32:54,130 --> 00:33:00,070 よいか わしが そなたを治療したのじゃぞ 280 00:33:00,070 --> 00:33:05,075 もう かんだりしては… ヘヘヘッ 281 00:33:05,075 --> 00:33:11,081 さあ もう大丈夫じゃ ほれ このとおり腫れも引いておる 282 00:33:11,081 --> 00:33:18,088 後は この薬を塗り続けさえすれば もう大丈夫 283 00:33:18,088 --> 00:33:22,092 御安心召され 拝殿 284 00:33:22,092 --> 00:33:24,094 かたじけない 285 00:33:24,094 --> 00:33:26,096 なになに ヘヘッ 286 00:33:26,096 --> 00:33:32,102 さて ヘッ これ以上 御用がなければ・ 287 00:33:32,102 --> 00:33:36,106 わしは もう 帰ってもよろしいかな? 288 00:33:36,106 --> 00:33:41,111 まさか わしを 殺すなどというようなことは 289 00:33:41,111 --> 00:33:45,115 わしは 武士ではござらぬからのう 290 00:33:45,115 --> 00:33:49,119 ヘヘヘ… いつぞやは わしのような者を斬れば・ 291 00:33:49,119 --> 00:33:53,123 刀の汚れになると申された ヘヘッ 292 00:33:53,123 --> 00:33:56,126 されば おいとましても よろしゅうござろうな? 293 00:33:56,126 --> 00:34:02,065 (烈堂)おのれめ ひどく 急いでおるが 何をたくらんでおる 294 00:34:02,065 --> 00:34:04,067 (頼母)め… めっそうもない 295 00:34:04,067 --> 00:34:08,071 (烈堂)おのれのことゆえ 一筋縄ではゆくまいが 296 00:34:08,071 --> 00:34:11,074 まあ よいわ 297 00:34:11,074 --> 00:34:14,077 二度と我らの前に その顔を見せるな 298 00:34:14,077 --> 00:34:19,082 お毒味唇役として 御用を大事に 御奉公せい 299 00:34:19,082 --> 00:34:22,085 よいか? (頼母)はっ 300 00:34:22,085 --> 00:34:27,090 うぬが 私利私欲の一部始終を したためた血書は ここにある 301 00:34:27,090 --> 00:34:30,093 そのことを忘れるな (頼母)はい! 302 00:34:30,093 --> 00:34:34,097 (烈堂)これからは あらぬ野心を抱くなよ 303 00:34:34,097 --> 00:34:38,101 行けい 命を大事にせい 304 00:34:38,101 --> 00:34:40,101 (頼母)ヒャーッ! 305 00:34:48,111 --> 00:34:52,111 ハハッ アハハ… 306 00:35:12,068 --> 00:35:14,068 (頼母)よいしょ 307 00:35:17,073 --> 00:35:19,073 (頼母)くそ 308 00:35:24,080 --> 00:35:26,080 (頼母)よいしょ 309 00:35:30,086 --> 00:35:32,088 (頼母)くそ 310 00:35:32,088 --> 00:35:34,088 (侍たち)おはようござる 311 00:35:39,095 --> 00:35:42,095 (侍)お… おはようございまする (侍)おはようございまする 312 00:35:47,103 --> 00:35:51,103 ・(家臣)上様 おなりー! 313 00:36:05,054 --> 00:36:07,056 (公方)何者じゃ 314 00:36:07,056 --> 00:36:11,060 (頼母)上様 阿部頼母にござりまする・ 315 00:36:11,060 --> 00:36:15,064 お見苦しき姿をお目にかけ 面目次第もござりませぬ 316 00:36:15,064 --> 00:36:19,064 (公方)頼母じゃと? 面を上げい 317 00:36:21,070 --> 00:36:25,074 (公方)アハハ… 318 00:36:25,074 --> 00:36:28,077 いかがした頼母 その頭は ハハハ… (家臣)上様 319 00:36:28,077 --> 00:36:33,082 (頼母)はっ 子連れ狼こと 拝一刀は・ 320 00:36:33,082 --> 00:36:36,085 尋常一様の手段では 倒せませぬゆえ・ 321 00:36:36,085 --> 00:36:42,091 このように 坊主に成り済まし 近づきましてござりまする 322 00:36:42,091 --> 00:36:45,094 うむ で… 葬り去ったのだな? (頼母)はっ それが… 323 00:36:45,094 --> 00:36:48,097 たわけ! しくじったのか! 324 00:36:48,097 --> 00:36:50,099 申し訳もございませぬ 325 00:36:50,099 --> 00:36:54,103 (公方)烈堂は いかがした (頼母)はっ それにつきまして・ 326 00:36:54,103 --> 00:36:57,040 申し上げたきことがござりまする (公方)申せ! いかがした 327 00:36:57,040 --> 00:37:00,043 (頼母)お人払いを 何とぞ (公方)かまわぬ! 申せ 328 00:37:00,043 --> 00:37:06,049 (頼母)それが… 驚天動地のことに ござりますれば・ 329 00:37:06,049 --> 00:37:10,049 何とぞ お人払いを願わしゅう 何とぞ! 330 00:37:32,075 --> 00:37:34,077 (頼母)お召し上がりくださりませ 331 00:37:34,077 --> 00:37:40,083 ああ よい 申してみよ 何事じゃ 332 00:37:40,083 --> 00:37:43,086 (頼母)ははっ・ 333 00:37:43,086 --> 00:37:48,091 上様… 上様には この頼母を・ 334 00:37:48,091 --> 00:37:51,094 今もって お信じくださりましょうや 335 00:37:51,094 --> 00:37:53,096 何を 愚にもつかぬことを 336 00:37:53,096 --> 00:37:58,034 (頼母)何とぞ! 何とぞ お言葉を賜りたく・ 337 00:37:58,034 --> 00:38:01,037 柳生烈堂様と それがしを はかりに掛けて・ 338 00:38:01,037 --> 00:38:07,043 御裁断を仰ぎますことに なるやもしれず 何とぞ! 339 00:38:07,043 --> 00:38:12,048 毒味唇役のそちを信ぜずして いかで 余が 食を取れるぞ 340 00:38:12,048 --> 00:38:17,053 (頼母)ははっ 変わらぬ 上様のお言葉を賜り・ 341 00:38:17,053 --> 00:38:22,058 この頼母 身に余る喜び 恐悦至極 342 00:38:22,058 --> 00:38:26,058 (公方)申さぬか 何事じゃ (頼母)ははっ! 343 00:38:35,071 --> 00:38:42,078 (頼母)蚕でございまする (公方)蚕? あの繭を作る蚕か? 344 00:38:42,078 --> 00:38:46,082 (頼母)さようにございまする (公方)その蚕が いかに 345 00:38:46,082 --> 00:38:52,088 上様 奥右筆組頭 中川市兵衛殿を これに お召し願いたく・ 346 00:38:52,088 --> 00:38:55,088 まげて お願い申し上げまする 347 00:39:00,029 --> 00:39:06,035 (頼母)中川殿 貴殿のお役目を 改めて 言上願いたい 348 00:39:06,035 --> 00:39:08,037 (市兵衛)はっ? 349 00:39:08,037 --> 00:39:13,042 何を今更と思われようが 改めて いま一度 350 00:39:13,042 --> 00:39:19,048 (市兵衛)はっ それがしのお役目は…・ 351 00:39:19,048 --> 00:39:22,051 奥右筆組頭にてござりますれば 352 00:39:22,051 --> 00:39:24,053 (頼母) その お役目の主なるものは? 353 00:39:24,053 --> 00:39:29,058 (市兵衛)それは 将軍家における 秘中の秘なる文書・ 354 00:39:29,058 --> 00:39:31,060 その御文書を守り・ 355 00:39:31,060 --> 00:39:35,064 お預かり申し上げる お役目にござりまする 356 00:39:35,064 --> 00:39:37,066 その秘密の御文書とは・ 357 00:39:37,066 --> 00:39:41,070 いずれより参るものを 指されておるのかな? 358 00:39:41,070 --> 00:39:45,074 (市兵衛)京都所司代 大坂御城代をはじめとして・ 359 00:39:45,074 --> 00:39:51,080 駿府御城代 京都大坂 両町奉行 その他 長崎 山田・ 360 00:39:51,080 --> 00:39:57,019 堺 佐渡 新潟 伏見 奈良 日光の各奉行・ 361 00:39:57,019 --> 00:40:04,026 および 甲府勤番支配 更に! 天下六十余州の各藩より・ 362 00:40:04,026 --> 00:40:07,029 上様に宛てられましたる 御文書にでござりまする 363 00:40:07,029 --> 00:40:09,031 (頼母)して それなる御文書は・ 364 00:40:09,031 --> 00:40:13,035 いかなる手はずにて 運ばれてまいるのかな? 365 00:40:13,035 --> 00:40:16,038 (市兵衛) それは 御公儀御状箱として・ 366 00:40:16,038 --> 00:40:18,040 何を差し置いても 夜を日に継いで 367 00:40:18,040 --> 00:40:23,045 (頼母)その御状箱を開き 御文書を読まれる御方は? 368 00:40:23,045 --> 00:40:28,050 (市兵衛)京都所司代 大坂御城代 駿府御城代よりの御文書は・ 369 00:40:28,050 --> 00:40:30,052 上様 ただ御一人・ 370 00:40:30,052 --> 00:40:34,056 その他の御文書は 上様 御老中・ 371 00:40:34,056 --> 00:40:38,060 おそば用人様のみにて ござりまする 372 00:40:38,060 --> 00:40:42,064 (頼母)他に御文書を お読みになる方はござらぬのだな 373 00:40:42,064 --> 00:40:44,066 (市兵衛)ござりませぬ! 374 00:40:44,066 --> 00:40:46,068 それがしとても ただ守り・ 375 00:40:46,068 --> 00:40:49,071 お預かり申し上げるばかりにて ござりまする 376 00:40:49,071 --> 00:40:53,075 (頼母)その御文書じゃが いかようにして守り・ 377 00:40:53,075 --> 00:40:57,013 お預かり申し上げておるのかな? 378 00:40:57,013 --> 00:41:00,016 特に これを残しおけとの 御下命のないかぎり・ 379 00:41:00,016 --> 00:41:05,021 中2日を置いて 御老中様 お立ち会いの下に焼き捨てます 380 00:41:05,021 --> 00:41:09,025 いずれを残し いずれを焼却したのか・ 381 00:41:09,025 --> 00:41:14,030 御文書差し出しの御方 到着日などを書き控え・ 382 00:41:14,030 --> 00:41:20,036 別に保存してございまするが (頼母)では 昨日も どこぞより 383 00:41:20,036 --> 00:41:23,039 (市兵衛)はっ 384 00:41:23,039 --> 00:41:27,043 (公方)大坂城代から参っておるが それが いかがした 385 00:41:27,043 --> 00:41:31,047 では 上様は その御文書をお読みに 386 00:41:31,047 --> 00:41:33,049 (公方)無論 目を通しておる 387 00:41:33,049 --> 00:41:41,049 何とぞ その御文書をこれへ 伏して お願い申し上げまする 388 00:41:43,059 --> 00:41:46,062 頼母が このように申しておる 昨日 来た物をこれへ 389 00:41:46,062 --> 00:41:48,062 (市兵衛)ははっ 390 00:41:56,072 --> 00:42:01,077 (頼母) 上様 この御文書をそれがしに… 391 00:42:01,077 --> 00:42:04,080 いや 今 上様の御前にて・ 392 00:42:04,080 --> 00:42:07,083 お目にかけたきものが ございますれば 393 00:42:07,083 --> 00:42:09,085 (公方)何を見せるというのじゃ 394 00:42:09,085 --> 00:42:12,088 どうせ焼き捨てる物ゆえ かまわぬが 395 00:42:12,088 --> 00:42:15,088 (頼母) ありがたき幸せにござりまする 396 00:42:20,096 --> 00:42:39,115 ・~ 397 00:42:39,115 --> 00:42:41,117 ・~ 398 00:42:41,117 --> 00:42:43,117 うん? 399 00:42:52,128 --> 00:42:58,067 (頼母)上様 古今東西に 密書と 呼ばれる物は 数ありますれど・ 400 00:42:58,067 --> 00:43:04,073 虫に食わして なぞらえる密書とは それがし 初めてでございまする 401 00:43:04,073 --> 00:43:07,073 頼母 これは? 402 00:43:15,084 --> 00:43:18,087 御覧くださりませ 403 00:43:18,087 --> 00:43:23,092 (公方) 「まきのと ときが みつやく」・ 404 00:43:23,092 --> 00:43:28,097 「つぎのろうじゅうに ときを」 これは? 405 00:43:28,097 --> 00:43:33,102 (頼母)上様 若年寄 牧野越中守様は・ 406 00:43:33,102 --> 00:43:39,108 上方に下向中 恐らく 大坂御城代 土岐美濃守様と・ 407 00:43:39,108 --> 00:43:44,113 密約を交わされ 次の御老中には 土岐様を 408 00:43:44,113 --> 00:43:48,117 誰が このような… 何のために 虫食い文字に細工して 409 00:43:48,117 --> 00:43:52,121 (頼母)上様 これが 柳生封廻状にござりまするぞ 410 00:43:52,121 --> 00:43:54,123 (公方)柳生封廻状? 411 00:43:54,123 --> 00:44:00,062 (頼母)世に この一通あれば 天下を覆すという 柳生封廻状 412 00:44:00,062 --> 00:44:04,066 諸国の大名 いや 心ある幕閣の方々さえ・ 413 00:44:04,066 --> 00:44:10,072 ひそかに 眉をひそめられる 裏柳生 秘密の廻状でござります・ 414 00:44:10,072 --> 00:44:15,077 柳生は 天下に放ちたる 草といわれる里入り忍者 415 00:44:15,077 --> 00:44:19,081 それは 諸家諸藩の至る所に 既に食い込み・ 416 00:44:19,081 --> 00:44:24,086 全ての動きを 江戸表に伝えておりまする 417 00:44:24,086 --> 00:44:30,092 しかしながら それを受けるは 柳生総帥 烈堂様 ただ一人 418 00:44:30,092 --> 00:44:33,095 (公方)待て! それは違う 419 00:44:33,095 --> 00:44:36,098 余も 老中も 烈堂からの知らせは聞いておる 420 00:44:36,098 --> 00:44:38,100 (頼母)しかしながら・ 421 00:44:38,100 --> 00:44:43,105 果たして 全てを上様方に お伝え申しておりましょうや 422 00:44:43,105 --> 00:44:47,109 それは 皆 烈堂様の胸三寸にあり・ 423 00:44:47,109 --> 00:44:51,113 柳生は 居ながらにして 天下国家の動きを知り・ 424 00:44:51,113 --> 00:44:56,118 また 諸藩の秘密を握り それによって 天下六十余州に・ 425 00:44:56,118 --> 00:44:59,054 にらみを利かしておるので ござりまするぞ・ 426 00:44:59,054 --> 00:45:03,058 まさに 裏柳生こそは 活殺自在の剣をもって・ 427 00:45:03,058 --> 00:45:09,064 天下をへいげいし 陰の将軍として その権勢をほしいままに! 428 00:45:09,064 --> 00:45:13,068 この お状箱に 私信を託せば・ 429 00:45:13,068 --> 00:45:16,071 密書としては無事 これに 過ぎるものはなく・ 430 00:45:16,071 --> 00:45:21,076 しかも いかなる他の手はずよりも 早く 江戸表に届きます 431 00:45:21,076 --> 00:45:28,083 この利点に目を付け 柳生は その秘密を虫食い文字に託し… 432 00:45:28,083 --> 00:45:34,083 これだけでは ござりませぬぞ これを… 何とぞ御覧くださりませ 433 00:45:40,095 --> 00:45:43,098 (頼母)「くさぐさには かわり阿り ふるきくさは かれ・ 434 00:45:43,098 --> 00:45:47,102 あたらしき くさにつくもの ふたり」・ 435 00:45:47,102 --> 00:45:50,105 「よすけぐさは はつしごとにて しょしだいを・ 436 00:45:50,105 --> 00:45:54,109 びょうしと みせかけ しまつ いたすべく」 437 00:45:54,109 --> 00:45:56,111 (公方)これは… これは! 438 00:45:56,111 --> 00:45:59,048 (頼母)上様 過ぐる年・ 439 00:45:59,048 --> 00:46:03,052 所司代 板倉様 にわかの御発病にて 御他界 440 00:46:03,052 --> 00:46:06,052 これは 烈堂めの策謀にござりまするぞ 441 00:46:08,057 --> 00:46:13,062 それなる 柳生封廻状は 拝一刀が 入手せし物 442 00:46:13,062 --> 00:46:16,065 それを 苦心の末に 手に入れましたるも・ 443 00:46:16,065 --> 00:46:19,068 全ては 上様をないがしろにし・ 444 00:46:19,068 --> 00:46:23,072 天下の諸藩の秘密を一手に握り 邪魔なる者は ひそかに殺し・ 445 00:46:23,072 --> 00:46:28,077 将軍家に代わって 天下を押さえんとする 柳生の陰謀 446 00:46:28,077 --> 00:46:31,080 それを お知り願いたきために ござりまする・ 447 00:46:31,080 --> 00:46:37,086 上様! 何とぞ この頼母の心境 おくみ取りいただき! 448 00:46:37,086 --> 00:46:41,090 (公方)おのれ 烈堂め!・ 449 00:46:41,090 --> 00:46:45,094 中川! おのれは このことを知っておったな? 450 00:46:45,094 --> 00:46:50,099 いや おのれも 草か! 答えい 中川! 451 00:46:50,099 --> 00:47:03,045 ・~ 452 00:47:03,045 --> 00:47:08,050 頼母! 烈堂めを召し出せ 即刻じゃ! 453 00:47:08,050 --> 00:47:11,050 (頼母)ははっ! 454 00:47:17,059 --> 00:47:22,064 <そのころ 一刀 烈堂は・ 455 00:47:22,064 --> 00:47:27,069 僅かな 和睦のときを過ごしていた> 456 00:47:27,069 --> 00:47:31,073 <また この 3者の命運は どう変わるのか> 457 00:47:31,073 --> 00:47:38,073 <知る由もない 虎とおおかみ その子であった> 458 00:47:46,088 --> 00:47:50,092 <拝一刀は 烈堂と 3たび 相目見えんことを約束して別れた> 459 00:47:50,092 --> 00:47:53,095 <しかし 烈堂は 柳生封廻状の秘密を・ 460 00:47:53,095 --> 00:47:57,032 将軍家から糾弾され 江戸城内に 閉じ込められてしまった> 461 00:47:57,032 --> 00:48:00,035 <一方 八丁河岸に待つ 一刀親子の元へ・ 462 00:48:00,035 --> 00:48:02,037 烈堂は 死んでまいるとの知らせが入った> 463 00:48:02,037 --> 00:48:07,042 <烈堂は 再び拝一刀と 相目見ゆることができるか> 464 00:48:07,042 --> 00:48:09,042 <次回 「子連れ狼」…>