1 00:00:33,229 --> 00:00:35,965 (おたえ)よいしょっと。 (おちか)手伝おうか? 2 00:00:35,965 --> 00:00:38,301 大丈夫だよ ハハッ。 3 00:00:38,301 --> 00:00:40,236 (ため息) 4 00:00:40,236 --> 00:00:42,639 おっかさん あたいたちがやるから 休んでて。 5 00:00:42,639 --> 00:00:45,308 本当かい? じゃあ 頼んだよ。 6 00:00:45,308 --> 00:00:49,646 あっ 偉いね。 7 00:00:49,646 --> 00:00:53,316 そろそろだね おたえさん。 6人目だもの➡ 8 00:00:53,316 --> 00:00:57,016 慣れたもんでしょ。 そうだ。 9 00:00:59,656 --> 00:01:05,528 アハッ おまんじゅう よかったら 皆さんも召し上がれ。 10 00:01:05,528 --> 00:01:09,332 アハハ あら 悪いわね。 11 00:01:09,332 --> 00:01:13,002 いつも すいません。 子どもが喜びます。 12 00:01:13,002 --> 00:01:14,938 どうも。 13 00:01:14,938 --> 00:01:19,342 ねえねえ ねえねえ あの人 近頃 よく来るわね。 14 00:01:19,342 --> 00:01:21,277 おぶんちゃん。 15 00:01:21,277 --> 00:01:24,013 あれっ おぶんちゃん! 16 00:01:24,013 --> 00:01:26,349 あんた ちょっと。 17 00:01:26,349 --> 00:01:29,686 先生の事 ちゃんと見張っときなさいよ! 18 00:01:29,686 --> 00:01:33,686 (おぶん) いや 私 先生を見張るなんて…。 19 00:01:40,296 --> 00:01:43,199 (信兵衛) いやいや おめえの気持ちは よ~く分かる。 20 00:01:43,199 --> 00:01:46,169 そりゃ お前だって ちゃんと同じもの食いてえだろう。 21 00:01:46,169 --> 00:01:48,972 だがな 鶴坊 おめえ まだ ちょこっとしか➡ 22 00:01:48,972 --> 00:01:51,875 歯が生えてないんだから これは駄目 ぶうだ。 23 00:01:51,875 --> 00:01:53,843 (鶴之助の声) 24 00:01:53,843 --> 00:01:58,314 もう~ しょうがねえな。 ちょっとだけだぞ。 25 00:01:58,314 --> 00:02:01,651 言っとくがな これは くれぐれも➡ 26 00:02:01,651 --> 00:02:04,320 おぶんのおばちゃんには 内緒に…。 (おぶん)先生! 27 00:02:04,320 --> 00:02:07,357 もう~ 軟らかいものじゃなきゃ 駄目だって言ってるのに。➡ 28 00:02:07,357 --> 00:02:09,826 おなかにさわったら どうするんです? 29 00:02:09,826 --> 00:02:13,663 すいません。 鶴坊 残念だったな。 ぶう。 30 00:02:13,663 --> 00:02:16,566 あ~ 分かった 分かった。 ちゃんが悪かったよ。 31 00:02:16,566 --> 00:02:19,536 今度は お前のために こさえて 食わせてやるから。 32 00:02:19,536 --> 00:02:22,338 鶴之助殿は 今 何と? 33 00:02:22,338 --> 00:02:25,008 先生ったら 鶴坊が 「ぶう」って言っただけで➡ 34 00:02:25,008 --> 00:02:27,677 何て言ってるのか もう すっかり分かるんですって。 35 00:02:27,677 --> 00:02:31,014 ハハハハ いや 「ぶう」だけじゃねえ 「ばあ」ってのもあるぞ。 36 00:02:31,014 --> 00:02:35,618 「ぶう ばあばあ あっ ぶう」 ってなもんだよ。 37 00:02:35,618 --> 00:02:37,954 (美玖)はあ…。 おいで 鶴坊。 38 00:02:37,954 --> 00:02:40,254 はい だっこ だっこ。 39 00:02:44,294 --> 00:02:46,629 美玖さん はい。 40 00:02:46,629 --> 00:02:48,965 はい ほら。 41 00:02:48,965 --> 00:02:51,301 こうやって➡ 42 00:02:51,301 --> 00:02:55,171 こうやって しっかり お尻を支えて。 43 00:02:55,171 --> 00:02:58,641 それで ちゃんと 目を見てやって下さい。 44 00:02:58,641 --> 00:03:02,312 うん。 こうですか? 45 00:03:02,312 --> 00:03:05,982 「私が おっかさんよ」って そういう気持ちで抱くんです。 46 00:03:05,982 --> 00:03:09,282 そうしたら 鶴坊も安心しますから。 47 00:03:10,854 --> 00:03:17,994 鶴之助殿 私が そなたの そなたの…。 48 00:03:17,994 --> 00:03:21,331 ≪お~い 市中引き回しが来るぞ! 49 00:03:21,331 --> 00:03:23,266 ええ? ≪(いななき) 50 00:03:23,266 --> 00:03:27,003 (ざわめき) 51 00:03:27,003 --> 00:03:28,938 おい 道を空けろ! 52 00:03:28,938 --> 00:03:37,947 ♬~ 53 00:03:37,947 --> 00:03:40,850 <俺は松村信兵衛。➡ 54 00:03:40,850 --> 00:03:47,290 木挽町の裏長屋に住む 貧乏浪人だ。➡ 55 00:03:47,290 --> 00:03:54,163 長屋のみんなの手を借りて 男手一つで子育てに奮闘中。➡ 56 00:03:54,163 --> 00:03:58,363 おう 鶴坊 今日も ご機嫌だね> 57 00:04:15,985 --> 00:04:18,321 (どよめき) 58 00:04:18,321 --> 00:04:22,659 あの野郎だよ。 阿修羅の駒太郎っつったらさ➡ 59 00:04:22,659 --> 00:04:25,995 盗みに入って 一人残らず皆殺しにしちゃう➡ 60 00:04:25,995 --> 00:04:28,331 鬼のような盗賊でしょう? (源吉)ああ。 61 00:04:28,331 --> 00:04:31,000 やつが捕まって 商人たちは みんな➡ 62 00:04:31,000 --> 00:04:34,604 胸をなで下ろしてますよ。 本当 見るからに➡ 63 00:04:34,604 --> 00:04:36,940 恐ろしい顔してるわね。 64 00:04:36,940 --> 00:04:38,875 いっちょ 石でも投げてやるか。 65 00:04:38,875 --> 00:04:41,811 やめてくれよ とっつぁん 榎戸の旦那を➡ 66 00:04:41,811 --> 00:04:44,614 困らせねえでやってくれよ。 (重助)ああ そうか。 67 00:04:44,614 --> 00:04:46,649 (竹造)あ~あ あんなに しゃっちょこばっちゃって。 68 00:04:46,649 --> 00:04:49,285 (常)あれじゃ てめえに 石が当たっても 気付かねえや。 69 00:04:49,285 --> 00:04:51,955 (吉)あっ 旦那だ! 旦那! こっち こっち! 70 00:04:51,955 --> 00:04:54,290 (万平) 早くしねえと行っちまうよ! 71 00:04:54,290 --> 00:04:56,793 おうおう。 72 00:04:56,793 --> 00:04:58,828 (悲鳴) 73 00:04:58,828 --> 00:05:01,965 おうおう どうした どうした!? 74 00:05:01,965 --> 00:05:05,665 (飯塚)阿修羅の一味だ! 構わん 斬り捨てい! 75 00:05:08,304 --> 00:05:10,640 みんな 下がってろ! 76 00:05:10,640 --> 00:05:12,575 親分! 親分! 77 00:05:12,575 --> 00:05:14,875 (悲鳴) 78 00:05:16,980 --> 00:05:18,980 榎戸! 79 00:05:20,650 --> 00:05:22,650 坊ちゃん! 80 00:05:24,320 --> 00:05:26,620 美玖さん 早く! 81 00:05:30,193 --> 00:05:32,493 (榎戸)飯塚様! 大丈夫か!? 82 00:05:35,264 --> 00:05:37,200 待ちやがれ! 83 00:05:37,200 --> 00:05:45,900 ♬~ 84 00:05:47,610 --> 00:05:50,279 (榎戸)イタタタタタタ。 (道仙)おとなしくしてろ。 85 00:05:50,279 --> 00:05:53,616 ようやく捕らえた駒太郎を 奪い去られるとは➡ 86 00:05:53,616 --> 00:05:55,916 なんたる無念! 87 00:05:57,487 --> 00:06:01,958 目の前で 与力の飯塚様が 斬り殺されて➡ 88 00:06:01,958 --> 00:06:04,627 重手を負った者たちも…。 89 00:06:04,627 --> 00:06:07,296 (ため息) 90 00:06:07,296 --> 00:06:10,199 あれは血の通った剣じゃねえ。 91 00:06:10,199 --> 00:06:16,305 何か ゾッと背筋の寒くなるような 冷てえ剣に 俺には見えた。 92 00:06:16,305 --> 00:06:22,178 親分 阿修羅の一味は 押し込んだ先の家人を➡ 93 00:06:22,178 --> 00:06:26,315 皆殺しにしやがるんだったな。 さようで。 94 00:06:26,315 --> 00:06:28,985 あの侍に そっちを任せて➡ 95 00:06:28,985 --> 00:06:32,588 てめえたちは 盗みに精を出すってやり口か。 96 00:06:32,588 --> 00:06:37,460 顔を見た者は 片っ端から 殺されちまったもんだから➡ 97 00:06:37,460 --> 00:06:41,297 これまで さっぱり 正体をつかめなかったんでさあ。 98 00:06:41,297 --> 00:06:45,935 うん それがまた どうして 頭だけ お縄に? 99 00:06:45,935 --> 00:06:49,272 たれ込みがあったんです。 たれ込み? 100 00:06:49,272 --> 00:06:54,610 駒太郎は 湯島に女を囲ってて 三日にあげず通ってるって。➡ 101 00:06:54,610 --> 00:06:57,310 それで 張り込みを仕掛けて…。 102 00:06:59,482 --> 00:07:01,782 確かに。 よし。 それ! 103 00:07:05,955 --> 00:07:08,858 阿修羅の駒太郎だな! ええい ひっ捕らえろ! 104 00:07:08,858 --> 00:07:11,058 (榎戸)おとなしくしろ! 105 00:07:12,729 --> 00:07:15,631 一体 誰が そんな たれ込みを…。 106 00:07:15,631 --> 00:07:19,302 内輪もめじゃねえかって噂も あったんですが➡ 107 00:07:19,302 --> 00:07:22,972 子分どもが 束んなって 奪い返したってとこ見ると➡ 108 00:07:22,972 --> 00:07:25,875 どうやら そういうこっちゃねえようで。 109 00:07:25,875 --> 00:07:27,844 う~ん…。 110 00:07:27,844 --> 00:07:30,313 頼みの頭を取り戻して➡ 111 00:07:30,313 --> 00:07:33,583 また好き放題暴れ回るつもりに 違いない。 112 00:07:33,583 --> 00:07:36,419 今度こそ 一網打尽にしなければ。 113 00:07:36,419 --> 00:07:41,591 せっかく助かった命だ。 無鉄砲なまねするんじゃねえぞ。 114 00:07:41,591 --> 00:07:43,526 北町奉行所の威信が 懸かっているんです。 115 00:07:43,526 --> 00:07:47,930 自分の命など 惜しんではいられません。 116 00:07:47,930 --> 00:07:49,866 ごめん。 あっしも行ってめえりやす。 117 00:07:49,866 --> 00:07:53,566 源さん 薬だ のましてやりな。 ありがとうございやす。 118 00:07:56,272 --> 00:07:58,207 ばか! 119 00:07:58,207 --> 00:08:01,611 命はいらねえだと? 何を言ってやがんでい。 120 00:08:01,611 --> 00:08:05,948 一番大事なのは な 鶴坊 命だよな。 121 00:08:05,948 --> 00:08:10,286 おお… これか? はい。 122 00:08:10,286 --> 00:08:14,157 一番大事なのは 命だよな。 (鶴之助の声) 123 00:08:14,157 --> 00:08:16,457 あっ そうか そうか。 よし よし よし。 124 00:08:21,898 --> 00:08:24,898 (駒太郎)てめえら よくも…。 125 00:08:26,836 --> 00:08:33,509 (猿渡)死出の旅路より 救い出されて ぬか喜びしたか。 126 00:08:33,509 --> 00:08:39,248 めでたい事だな 阿修羅の頭。 127 00:08:39,248 --> 00:08:44,587 さて どうしてくれようか。 128 00:08:44,587 --> 00:08:46,923 わ~! ああ ほら 危ない! 129 00:08:46,923 --> 00:08:50,793 走んじゃないよ ほら。 いや だけどさ➡ 130 00:08:50,793 --> 00:08:53,696 せっかく捕まえたもん 逃がしちまうなんて➡ 131 00:08:53,696 --> 00:08:56,599 だらしないね お役人連中も。 ねえ! 132 00:08:56,599 --> 00:08:58,534 みんなも 戸締まりには 気を付けてちょうだいよ。 133 00:08:58,534 --> 00:09:02,471 こんな ぼろ長屋に入る盗人も いねえだろう。 134 00:09:02,471 --> 00:09:05,608 ん? 悪うござんしたね ぼろ長屋で。 135 00:09:05,608 --> 00:09:07,944 いや どう致しまして。 136 00:09:07,944 --> 00:09:09,879 (戸が開く音) 137 00:09:09,879 --> 00:09:12,281 あっ あら? おっかさんは? 138 00:09:12,281 --> 00:09:14,217 お産婆さんのとこ。 139 00:09:14,217 --> 00:09:17,153 赤ちゃん もうすぐだから いっぺん 診てもらうって。 140 00:09:17,153 --> 00:09:21,624 そう。 大丈夫かしら あんな大きな おなか抱えて。 141 00:09:21,624 --> 00:09:26,295 心配いらないよ 私なんてね 赤ん坊の頭が出てきても➡ 142 00:09:26,295 --> 00:09:29,632 まだ ここで洗濯してたんだから。 143 00:09:29,632 --> 00:09:31,901 (笑い声) そうだった! 144 00:09:31,901 --> 00:09:34,804 はいはい ほら 貸してみな。 はい こっち座って。 145 00:09:34,804 --> 00:09:37,573 ほら こうやって入れて。 おい。 146 00:09:37,573 --> 00:09:42,245 おう 旦那。 あいつら あれだけの騒ぎを起こしといて➡ 147 00:09:42,245 --> 00:09:45,915 すぐまた 押し込みに入るって事は ねえだろうな? 148 00:09:45,915 --> 00:09:48,584 ああ ちょいと番屋のぞいて 様子 聞いてくるわ。 149 00:09:48,584 --> 00:09:50,519 ああ 頼むわ。 150 00:09:50,519 --> 00:09:52,455 洗って 洗って。 おう 行こう 行こう。 151 00:09:52,455 --> 00:09:54,455 先生! 152 00:09:59,595 --> 00:10:01,595 ハッ ほい。 153 00:10:03,266 --> 00:10:05,266 はい はい はい。 154 00:10:07,937 --> 00:10:11,807 榎戸の旦那 おけがの具合は? 155 00:10:11,807 --> 00:10:14,810 うん。 まあ けがの方は➡ 156 00:10:14,810 --> 00:10:18,281 じっとしてりゃ じきに よくなるだろうが➡ 157 00:10:18,281 --> 00:10:22,581 今回のしくじりは 相当 こたえてるみてえだな。 158 00:10:25,621 --> 00:10:28,958 おぶんちゃんが心配してたって 言っとくよ。 159 00:10:28,958 --> 00:10:30,893 あ…。 160 00:10:30,893 --> 00:10:33,296 さあ 行こう 鶴坊。 161 00:10:33,296 --> 00:10:36,632 先生。 ん? 162 00:10:36,632 --> 00:10:39,669 うんと幸せになって下さいね。 163 00:10:39,669 --> 00:10:43,469 鶴坊と美玖さんと3人で。 164 00:10:45,308 --> 00:10:47,308 うん…。 165 00:10:51,647 --> 00:10:54,317 これから先 どんな暮らしをさせるのが➡ 166 00:10:54,317 --> 00:10:57,820 鶴坊にとって一番なのか➡ 167 00:10:57,820 --> 00:11:02,992 俺にも 正直 答えが分からねえんだ。 168 00:11:02,992 --> 00:11:13,336 ただ 子どもには やっぱり 女親が要るんじゃねえかなって。 169 00:11:13,336 --> 00:11:18,336 分かっています。 私じゃ駄目だって事は。 170 00:11:20,843 --> 00:11:23,512 あっ 私 おたえさん 迎えに行ってきます。 171 00:11:23,512 --> 00:11:26,012 ああ…。 172 00:11:31,020 --> 00:11:35,858 旦那 ちょっと休んだ方が…。 余計な事を言うな。 行くぞ。 173 00:11:35,858 --> 00:11:38,828 親分! 174 00:11:38,828 --> 00:11:41,128 旦那 こちらです! ああ。 175 00:11:48,504 --> 00:11:52,975 この刀傷 例の腕っこきの浪人者が➡ 176 00:11:52,975 --> 00:11:55,311 手にかけたもんじゃ ねえでしょうか。 177 00:11:55,311 --> 00:11:58,611 殺すなら どうして助け出したんだ? 178 00:12:01,650 --> 00:12:05,988 何のために あそこまでして…。 179 00:12:05,988 --> 00:12:19,001 ♬~ 180 00:12:19,001 --> 00:12:20,936 (おたえ)ふう~。 181 00:12:20,936 --> 00:12:24,636 おたえさん 大丈夫? ちょいと息が切れちまって。 182 00:12:28,677 --> 00:12:31,280 (同心)阿修羅の一味だな! 183 00:12:31,280 --> 00:12:33,580 神妙にしろ! 184 00:12:35,951 --> 00:12:38,287 御用だ! 御用だ! 御用だ! 185 00:12:38,287 --> 00:12:40,222 ああっ! 186 00:12:40,222 --> 00:12:42,958 そいつらを こっちへ渡してもらおうか。 187 00:12:42,958 --> 00:12:47,830 いけませんよ 旦那方 こいつの言う事なんか聞いちゃ。 188 00:12:47,830 --> 00:12:50,633 威勢がいいな。 あたしゃね➡ 189 00:12:50,633 --> 00:12:53,969 こう見えても 木挽町の源吉親分の女房なんだ。 190 00:12:53,969 --> 00:12:55,905 なめられて たまるもんかい! 191 00:12:55,905 --> 00:12:57,840 ならば死んでもらおう。 ああっ! 192 00:12:57,840 --> 00:13:00,840 おせいさん! 女将さんを助けてあげて! 193 00:13:04,313 --> 00:13:06,613 さあ 来い! お前らもだ! 194 00:13:09,985 --> 00:13:13,285 やめて! おたえさんには赤ちゃんが! 195 00:13:28,337 --> 00:13:30,337 ああっ…! 196 00:13:46,288 --> 00:13:53,588 父は 私が女である事から 目をそらせてばかり。 197 00:13:56,932 --> 00:14:04,632 私は そんな父を 長い事 恨んでまいりました。 198 00:14:07,309 --> 00:14:15,184 でも 今 この道場で 皆さんと稽古をしていると➡ 199 00:14:15,184 --> 00:14:21,857 おのずから 父への感謝の思いが 湧いてくるのです。 200 00:14:21,857 --> 00:14:27,630 ならば ずっと ここに おられたら よろしい。 201 00:14:27,630 --> 00:14:35,471 無理をして 松村の嫁になどならずとも➡ 202 00:14:35,471 --> 00:14:39,171 このまま 某のそばに…。 203 00:14:40,943 --> 00:14:44,280 美玖殿 どちらへ!? 204 00:14:44,280 --> 00:14:49,618 父の墓参へ。 何やら急に 父と話したくなりました。 205 00:14:49,618 --> 00:14:58,618 ♬~ 206 00:15:00,629 --> 00:15:02,965 阿修羅の一味が 人質をとって 立て籠もったって! 207 00:15:02,965 --> 00:15:05,301 木挽町の丸源だそうだ! 208 00:15:05,301 --> 00:15:11,173 ♬~ 209 00:15:11,173 --> 00:15:13,175 旦那! とっつぁん! 210 00:15:13,175 --> 00:15:16,312 おぶんが大変な事に。 え!? うちのかかあも一緒でさ。 211 00:15:16,312 --> 00:15:18,981 おっかさん。 おっかさん。 212 00:15:18,981 --> 00:15:20,916 おい 一体 何があった? 213 00:15:20,916 --> 00:15:22,851 どうして 阿修羅のやつらが 立て籠もりを? 214 00:15:22,851 --> 00:15:25,854 ここで連中を見つけて 捕らえようとしたみたいなんです。 215 00:15:25,854 --> 00:15:28,991 そしたら ちょうど 通りかかった おぶん殿と おたえさん➡ 216 00:15:28,991 --> 00:15:32,861 それに…。 うちの女房も 人質にとられやした。 217 00:15:32,861 --> 00:15:35,264 女どもを巻き込んでる? 218 00:15:35,264 --> 00:15:38,601 頭の駒太郎が殺された事は? 219 00:15:38,601 --> 00:15:41,503 子分どもがやったのに 間違いねえようだな。 220 00:15:41,503 --> 00:15:45,474 とにかく 女 子どもは 長屋に戻った方がいい。 221 00:15:45,474 --> 00:15:48,944 おかつさん おちかさん 鶴坊を頼む。 222 00:15:48,944 --> 00:15:51,280 あいよ ほら。 皆を助けてやって。 223 00:15:51,280 --> 00:15:53,616 お願いしますよ! 224 00:15:53,616 --> 00:15:56,416 はい あんたたちも行くよ。 大丈夫…。 225 00:15:59,488 --> 00:16:03,626 チクショー おい! うちのかかあは身重なんだ! 226 00:16:03,626 --> 00:16:05,926 頼むから 俺と代わらせてくれ! 227 00:16:10,499 --> 00:16:13,302 ≪(竹造)おたえ! おたえ 大丈夫か! 228 00:16:13,302 --> 00:16:15,638 お前さん! (宗六)動くな! お願い! 229 00:16:15,638 --> 00:16:19,308 おたえさんだけは帰してあげて! (紋次)黙れ! 騒ぐと ぶっ殺すぞ。 230 00:16:19,308 --> 00:16:21,977 だったら せめて 横にならせてあげて。 231 00:16:21,977 --> 00:16:23,912 逆らわない方がいいよ おぶんちゃん。 232 00:16:23,912 --> 00:16:26,315 私は 大丈夫だから。 だって…。 233 00:16:26,315 --> 00:16:29,818 肝っ玉が ちっちゃいねえ。 あんたたちだって みんなね➡ 234 00:16:29,818 --> 00:16:33,318 おっかさんの ここから 生まれてきたんじゃないかい! 235 00:16:35,924 --> 00:16:39,261 好きにしろ。 236 00:16:39,261 --> 00:16:41,597 さあ おたえさん。 237 00:16:41,597 --> 00:16:43,897 どいとくれよ。 238 00:16:47,269 --> 00:16:49,605 お奉行から お達しが? 239 00:16:49,605 --> 00:16:52,274 「これ以上 盗人どもに 愚弄されてはならぬ。➡ 240 00:16:52,274 --> 00:16:55,611 手勢を集めて すぐに踏み込め」 との仰せじゃ。 241 00:16:55,611 --> 00:16:58,280 それでは 人質の命が…。 242 00:16:58,280 --> 00:17:01,617 手はずが整うまで 動かずに待て。 よいな。 243 00:17:01,617 --> 00:17:03,617 おい。 244 00:17:05,287 --> 00:17:08,190 冗談じゃねえ! 3人が殺されてもいいってのか! 245 00:17:08,190 --> 00:17:12,628 仲間を見捨てる お上なんぞ こっちから願い下げだ! 246 00:17:12,628 --> 00:17:15,130 捕り方連中が来る前に おぶんちゃんも おたえさんも➡ 247 00:17:15,130 --> 00:17:18,033 おせいさんも あっしらが この手で助けてみせらあ! 248 00:17:18,033 --> 00:17:21,303 こいつらの言うとおり ここは 俺たちの力で➡ 249 00:17:21,303 --> 00:17:23,972 どうにかするしかねえ。 しかし…。 250 00:17:23,972 --> 00:17:28,972 おめえは奉行所の人間だ。 手を貸せとは言わねえ。 251 00:17:31,580 --> 00:17:38,580 そうはまいりません。 私だって 皆さんの仲間です! 252 00:17:43,926 --> 00:17:46,829 よし。 それじゃ まず分からねえのは➡ 253 00:17:46,829 --> 00:17:50,099 やつらの狙いだ。 なんだって やつら➡ 254 00:17:50,099 --> 00:17:52,134 こんな所を うろうろしてやがったのか。 255 00:17:52,134 --> 00:17:56,271 そもそもの話 何だって 連中は せっかく取り返した頭を➡ 256 00:17:56,271 --> 00:17:58,607 殺しちまったんです? 257 00:17:58,607 --> 00:18:03,112 ほっときゃな 小塚原で さらし首だったのにな。 258 00:18:03,112 --> 00:18:07,783 あの侍が 頭に取って代わろうと 何か仕組んだって事でしょうか。 259 00:18:07,783 --> 00:18:13,589 私 その浪人者に 心当たりがございます。 260 00:18:13,589 --> 00:18:16,291 美玖さん! 261 00:18:16,291 --> 00:18:23,632 かつて 父の下で 剣術の修行を していた人に違いありません。 262 00:18:23,632 --> 00:18:27,503 10年ほど前 門人同士の小競り合いで➡ 263 00:18:27,503 --> 00:18:31,503 相手を死なせてしまい 破門になったのです。 264 00:18:33,242 --> 00:18:37,942 猿渡さん! あなたは猿渡さんでしょう!? 265 00:18:39,581 --> 00:18:45,281 私は 本郷又右衛門の娘 美玖です! 266 00:18:47,256 --> 00:18:50,092 どうする気だ? お三方を解き放ってくれるよう➡ 267 00:18:50,092 --> 00:18:54,763 説得します。 猿渡さん 私を中へ入れて下さい! 268 00:18:54,763 --> 00:18:57,266 おい やめるんだ! 269 00:18:57,266 --> 00:18:59,266 (戸が開く音) 270 00:19:01,136 --> 00:19:06,275 入ってこい。 猿渡の旦那が そう おっしゃってる。 271 00:19:06,275 --> 00:19:08,575 参ります。 272 00:19:21,290 --> 00:19:23,990 美玖さん どうして? 273 00:19:34,837 --> 00:19:41,577 よもやと思いましたが やはり あなたでしたか。 274 00:19:41,577 --> 00:19:45,914 死んだに等しい者を よくぞ覚えていたものだ。 275 00:19:45,914 --> 00:19:49,214 私 あなたを 尊敬しておりましたもの。 276 00:19:50,786 --> 00:19:54,923 女の私が いくら稽古したところで➡ 277 00:19:54,923 --> 00:20:00,262 あなたのような強い剣を 身につける事はできない。 278 00:20:00,262 --> 00:20:07,962 その事に気付いた時は 悔しくて 夜通し泣きました。 279 00:20:10,606 --> 00:20:13,306 父は世を去りました。 280 00:20:15,944 --> 00:20:21,817 まだ恨んでいるのですか? 父に破門された事を。 281 00:20:21,817 --> 00:20:26,588 思い出話をするために 来た訳ではあるまい。 282 00:20:26,588 --> 00:20:30,292 人質には私がなります。 283 00:20:30,292 --> 00:20:34,992 代わりに あの3人を 放してやって下さい。 284 00:20:37,966 --> 00:20:39,902 (ため息) 285 00:20:39,902 --> 00:20:41,837 遅いな。 286 00:20:41,837 --> 00:20:45,841 榎戸 大丈夫か? 何ともありません。 287 00:20:45,841 --> 00:20:48,677 熱があるんじゃねえか? ちょっと見せ…。 平気です! 288 00:20:48,677 --> 00:20:50,979 ああ~っ! 289 00:20:50,979 --> 00:20:52,915 旦那! 坊ちゃん! 290 00:20:52,915 --> 00:20:54,915 ゆっくりな ゆっくり。 291 00:20:56,652 --> 00:20:59,988 落ちた時 背中を打ったな? 292 00:20:59,988 --> 00:21:03,325 そんな事を言っていられません。 命に代えても➡ 293 00:21:03,325 --> 00:21:05,994 3人を助けなければ。 294 00:21:05,994 --> 00:21:10,666 人の命を守るのは てめえの命を 守ってからにするこった。 295 00:21:10,666 --> 00:21:14,002 先生。 退くべき時には退く。 296 00:21:14,002 --> 00:21:16,905 それが 本当の勇気ってもんだ。 297 00:21:16,905 --> 00:21:19,675 おい 診療所へ運んでくれ。 へい! 298 00:21:19,675 --> 00:21:22,675 行くぞ! せ~の よいしょ! 299 00:21:26,014 --> 00:21:29,014 旦那。 うん。 ちょいと こいつを見て下せえ。 300 00:21:30,686 --> 00:21:34,686 小判じゃねえか。 堀の底に沈んでたみてえで。 301 00:21:36,291 --> 00:21:38,591 何だって? 302 00:21:42,631 --> 00:21:44,967 (一同)おお~! 303 00:21:44,967 --> 00:21:49,304 盗んだ金を あんなとこに隠してたのか。 304 00:21:49,304 --> 00:21:52,207 よりによって 親分の店の目の前に。 305 00:21:52,207 --> 00:21:54,977 チクショーめ ふてえ野郎だ。 306 00:21:54,977 --> 00:22:00,277 なるほど こいつを引き上げなきゃ 江戸を離れられねえ訳ですよ。 307 00:22:01,850 --> 00:22:04,987 これで おおかた からくりが知れた。 308 00:22:04,987 --> 00:22:07,322 からくりってのは? 309 00:22:07,322 --> 00:22:12,661 やつら 頭から お宝の隠し場所を 聞かされてなかったって事さ。 310 00:22:12,661 --> 00:22:16,331 それで 獄門にかかる前に➡ 311 00:22:16,331 --> 00:22:19,631 あんな 大ばくちを打つ事に? ああ。 312 00:22:21,203 --> 00:22:24,206 ≪(折笠)美玖殿~! 313 00:22:24,206 --> 00:22:26,842 あ~っ 美玖殿が たった一人で➡ 314 00:22:26,842 --> 00:22:29,344 悪漢どもと掛け合っている というのは まことでござるか!? 315 00:22:29,344 --> 00:22:33,949 (小声で)し~っ! 316 00:22:33,949 --> 00:22:36,618 何が し~っ! 美玖殿とて かよわき女子。 317 00:22:36,618 --> 00:22:38,954 男連中が こんなに がん首そろえていながら➡ 318 00:22:38,954 --> 00:22:41,289 何ゆえに! (戸が開く音) 319 00:22:41,289 --> 00:22:44,192 あっ 美玖殿~! ああ~! 320 00:22:44,192 --> 00:22:46,628 美玖さん 無事か? はい。 321 00:22:46,628 --> 00:22:48,563 うちのかかあは? おぶんは どうしました? 322 00:22:48,563 --> 00:22:50,499 皆さん ご無事です。 323 00:22:50,499 --> 00:22:52,968 親分のおかみさんも 気丈に。 324 00:22:52,968 --> 00:22:54,903 えっ おお…。 325 00:22:54,903 --> 00:22:57,839 だてに 岡っ引きの女房を やってる訳じゃありやせんや。 326 00:22:57,839 --> 00:23:01,977 これは? 堀の底から見つかった。 327 00:23:01,977 --> 00:23:05,647 では 一足先に 見つかったのですね。 328 00:23:05,647 --> 00:23:07,582 そりゃ どういうこった? 329 00:23:07,582 --> 00:23:10,519 堀のどこかに 隠し金が沈んでいる。 330 00:23:10,519 --> 00:23:14,322 そのお金を探して引き渡せば 女たちを解き放つ。 331 00:23:14,322 --> 00:23:16,658 猿渡さんは そう言っているのです。 332 00:23:16,658 --> 00:23:19,958 (どよめき) なるほどな。 333 00:23:22,531 --> 00:23:25,333 美玖さん すまねえが もういっぺん➡ 334 00:23:25,333 --> 00:23:28,670 使いを頼まれてくれるか。 えっ では また店の中へ? 335 00:23:28,670 --> 00:23:32,541 もちろんです。 親分 舟を用意してくれ。 336 00:23:32,541 --> 00:23:36,278 3艘ありゃ 十分だ。 合点だ。 337 00:23:36,278 --> 00:23:38,613 うん。 338 00:23:38,613 --> 00:23:44,313 一か八か やってみようじゃねえか。 339 00:23:48,957 --> 00:23:50,992 明け方まで待てだと? 340 00:23:50,992 --> 00:23:53,628 どこにあるか 見当もつかないものを➡ 341 00:23:53,628 --> 00:23:56,298 夜陰に探し出すのは至難の業。 342 00:23:56,298 --> 00:23:59,634 まして 水の中は 真っ暗で どうしようもありません。 343 00:23:59,634 --> 00:24:02,537 (仁蔵)それを どうにかしろと 言ってるんだよ! 344 00:24:02,537 --> 00:24:05,307 朝までなんて 待てる訳がねえ。 345 00:24:05,307 --> 00:24:10,178 かりかりしたって始まらない。 長丁場になりそうだし➡ 346 00:24:10,178 --> 00:24:13,648 あっ 腹ごしらえでもしませんか? ね! 347 00:24:13,648 --> 00:24:15,984 飯か…。 348 00:24:15,984 --> 00:24:19,284 おなかがすくとね 気が立つもんですよ。 349 00:24:20,856 --> 00:24:22,856 旦那。 350 00:24:24,993 --> 00:24:26,928 よかろう。 351 00:24:26,928 --> 00:24:29,865 しっかり 舟と舟を くくってくれよ。 352 00:24:29,865 --> 00:24:32,801 おう ちゃんと寄せてくれ。 353 00:24:32,801 --> 00:24:37,272 お待ち遠さん! ほら みんな おなかすいただろ。 354 00:24:37,272 --> 00:24:40,175 ほら 食べて 食べて。 はいはい はいはい。 355 00:24:40,175 --> 00:24:44,446 ほらほらほら。 頂きましょう 頂きましょう。 356 00:24:44,446 --> 00:24:46,481 おう すまねえな おちかさん。 357 00:24:46,481 --> 00:24:51,219 ああ 私らだってね 気持ちじゃ 男連中には負けてませんよ。 358 00:24:51,219 --> 00:24:54,956 うん。 旦那 鶴坊 いい子にしてますよ。 359 00:24:54,956 --> 00:24:58,627 ああ そうか。 あいつは女に囲まれてる時は➡ 360 00:24:58,627 --> 00:25:00,962 大抵 機嫌がいいんだ。 ハハハッ。 361 00:25:00,962 --> 00:25:04,299 けどさ おぶんちゃんの事 探してたよね。 362 00:25:04,299 --> 00:25:06,334 え? そう 確かに呼んだよ。 363 00:25:06,334 --> 00:25:09,171 「おぶんちゃ~ん」って。 364 00:25:09,171 --> 00:25:11,471 「ぶう」って 言ったんじゃねえのかい? 365 00:25:14,476 --> 00:25:16,676 ぶん… たん。 366 00:25:22,984 --> 00:25:26,984 お待たせしましたね。 さあさあ 召し上がって下さいよ。 367 00:25:30,659 --> 00:25:34,959 私たちも 頂いて構いませんね? 368 00:25:40,468 --> 00:25:43,238 おふくろが こせえた むすびみてえだ。 369 00:25:43,238 --> 00:25:47,943 金さえ手に入りゃ 俺たちだって まっとうな暮らしに戻れる。 370 00:25:47,943 --> 00:25:50,278 あと一息だ。 371 00:25:50,278 --> 00:25:55,617 逃げおおせたところで 罪を なかった事にはできません。 372 00:25:55,617 --> 00:25:58,617 あなたたちは 人を殺し過ぎました。 373 00:26:02,290 --> 00:26:07,796 俺は ただ 金をもらって 言われた事をするだけだ。 374 00:26:07,796 --> 00:26:09,996 あ~っ ああっ! 375 00:26:12,634 --> 00:26:16,304 私には信じられません。 376 00:26:16,304 --> 00:26:22,177 あなたの あの剣を そのような邪な道に使うなんて。 377 00:26:22,177 --> 00:26:26,648 過ちを犯せば報いを受ける。 378 00:26:26,648 --> 00:26:29,551 父は 身をもって あなたに知ってもらうために➡ 379 00:26:29,551 --> 00:26:32,551 あえて破門にしたのですよ。 380 00:26:37,259 --> 00:26:42,559 あんたの父親は 俺に目をかけてくれていた。 381 00:26:44,132 --> 00:26:48,432 いつか あんたと夫婦になって 本郷道場を継ぐ。 382 00:26:50,272 --> 00:26:54,609 それが俺の望みだった。 383 00:26:54,609 --> 00:27:01,483 私も そういう日が 来るのではないかと➡ 384 00:27:01,483 --> 00:27:04,286 思い描いた事がございます。 385 00:27:04,286 --> 00:27:24,973 ♬~ 386 00:27:24,973 --> 00:27:30,312 同じ望みを持つ者は 俺一人ではなかった。 387 00:27:30,312 --> 00:27:32,914 そのあげく…。 388 00:27:32,914 --> 00:27:43,558 ♬~ 389 00:27:43,558 --> 00:27:47,262 あなた一人の咎では なかったとしても➡ 390 00:27:47,262 --> 00:27:49,962 罪は罪です。 391 00:27:52,600 --> 00:27:58,940 その罪を悔い改めようとせず もっと深い闇へと落ちていった。 392 00:27:58,940 --> 00:28:02,610 剣客の魂を捨てた 今のあなたは➡ 393 00:28:02,610 --> 00:28:06,281 阿修羅の駒太郎と 何ら変わりはありません。 394 00:28:06,281 --> 00:28:11,281 俺たちにとっちゃ 旦那と頭は まるっきり違う。 395 00:28:12,954 --> 00:28:16,624 俺たちは 頭のやり方に たまりかねてた。 396 00:28:16,624 --> 00:28:19,961 だから いっその事 お縄にしてもらおうと➡ 397 00:28:19,961 --> 00:28:23,298 番屋へ たれ込みの文を 投げ込んだんだ。➡ 398 00:28:23,298 --> 00:28:26,634 うめえ事 頭が捕まったまでは よかったが➡ 399 00:28:26,634 --> 00:28:30,972 独り占めにしていたお宝が どこを探しても見つからねえ。 400 00:28:30,972 --> 00:28:32,907 (紋次)そしたら 旦那が➡ 401 00:28:32,907 --> 00:28:36,207 金の在りかを 吐かせてやろうじゃねえかって。 402 00:28:37,779 --> 00:28:40,248 分かった 話す。 403 00:28:40,248 --> 00:28:43,151 話すから 助けてくれ。 404 00:28:43,151 --> 00:28:46,588 金は どこだ? 405 00:28:46,588 --> 00:28:48,523 うっ! 406 00:28:48,523 --> 00:28:53,523 木挽町の… 木挽町の堀の中に…。 407 00:29:02,937 --> 00:29:22,637 ♬~ 408 00:29:24,626 --> 00:29:27,295 (仁蔵) 旦那が 先に立ってくれなきゃ➡ 409 00:29:27,295 --> 00:29:30,595 俺たちは ただ 泣き寝入りするよりなかったんだ。 410 00:29:32,567 --> 00:29:34,502 う… ううっ。 411 00:29:34,502 --> 00:29:37,906 どうしたの? おたえさん。 412 00:29:37,906 --> 00:29:40,575 さっきから おなかが…。 413 00:29:40,575 --> 00:29:43,244 始まったよ。 生まれるんだよ 赤ちゃんが。 414 00:29:43,244 --> 00:29:46,147 でも まだ 4~5日は先だって。 ねらったとおりには➡ 415 00:29:46,147 --> 00:29:48,583 いかないもんなんだよ お産ってのはさ。 416 00:29:48,583 --> 00:29:51,252 まして こんな目に遭ったんじゃ…。 417 00:29:51,252 --> 00:29:53,922 外に出してもらおう。 あの人なら➡ 418 00:29:53,922 --> 00:29:56,257 ちゃんと話せば 分かってくれるかも。 419 00:29:56,257 --> 00:30:01,596 待って下さい。 今 動いたら 表の様子が知られてしまいます。 420 00:30:01,596 --> 00:30:04,499 表の様子って? 松村様たちが➡ 421 00:30:04,499 --> 00:30:08,269 皆さんを救い出す策を 講じておられるのです。 422 00:30:08,269 --> 00:30:11,569 だから なんとか もう少しだけ。 423 00:30:14,943 --> 00:30:19,643 今はまだ 痛みの間が遠いから…。 424 00:30:41,636 --> 00:30:44,305 やあ~! 425 00:30:44,305 --> 00:30:46,305 伏せて! 426 00:30:59,854 --> 00:31:02,323 先生! みんな 無事か!? 427 00:31:02,323 --> 00:31:05,160 おたえさん 大丈夫か? 428 00:31:05,160 --> 00:31:07,360 やあ~っ! 429 00:31:10,665 --> 00:31:15,537 猿渡さん もう終わったのです! 430 00:31:15,537 --> 00:31:17,537 諦めなさい! 431 00:31:19,340 --> 00:31:22,010 おめえだって 最初は てめえの心を磨くように➡ 432 00:31:22,010 --> 00:31:24,846 剣の腕を磨いてたんだろう? 433 00:31:24,846 --> 00:31:29,017 道を踏み違えたばっかりに 血まみれにされて➡ 434 00:31:29,017 --> 00:31:31,717 大事な刀が泣いてるぜ! 435 00:31:33,788 --> 00:31:36,624 御託を並べるな。 436 00:31:36,624 --> 00:31:40,295 剣など 人殺しの道具にすぎん。 437 00:31:40,295 --> 00:32:04,986 ♬~ 438 00:32:04,986 --> 00:32:07,655 来るな! 旦那! 439 00:32:07,655 --> 00:32:09,591 旦那! 440 00:32:09,591 --> 00:32:23,004 ♬~ 441 00:32:23,004 --> 00:32:24,939 や~っ! 442 00:32:24,939 --> 00:32:34,239 ♬~ 443 00:33:10,518 --> 00:33:12,518 うわ~っ! 444 00:33:16,991 --> 00:33:19,327 だあ~っ! 445 00:33:19,327 --> 00:33:22,664 松村氏 これを! 446 00:33:22,664 --> 00:33:24,599 うん! 447 00:33:24,599 --> 00:33:39,147 ♬~ 448 00:33:39,147 --> 00:33:42,016 (悲鳴) 449 00:33:42,016 --> 00:33:43,985 おぶん! 450 00:33:43,985 --> 00:33:45,985 とっつぁん! 451 00:33:48,623 --> 00:33:50,623 おぶんちゃん! 452 00:33:56,497 --> 00:34:02,170 この人たちを 解き放って あげたかったんですよね? 453 00:34:02,170 --> 00:34:04,470 阿修羅のお頭から。 454 00:34:06,174 --> 00:34:11,846 おたえさんが つらそうだったら 横になっても構わないって。 455 00:34:11,846 --> 00:34:16,546 おなかがすいたら 私たちも おまんまを食べていいって。 456 00:34:19,587 --> 00:34:24,525 今まで やってきた事は 何があっても許せない。 457 00:34:24,525 --> 00:34:31,825 でも 私 心の奥には そういう 優しい思いがある人だって…。 458 00:34:37,605 --> 00:34:40,508 あんたが言ったとおりだ。 459 00:34:40,508 --> 00:34:44,479 俺は駒太郎と 何一つ 変わりはしない。 460 00:34:44,479 --> 00:34:47,281 やつに手を貸しながら➡ 461 00:34:47,281 --> 00:34:51,152 やつの醜さに へどが出る思いだった。 462 00:34:51,152 --> 00:34:57,291 薄汚れた欲と憎しみに凝り固まり 人を人とも思わない。 463 00:34:57,291 --> 00:35:00,194 あれは俺だ。 464 00:35:00,194 --> 00:35:03,494 駒太郎は 俺そのものだった。 465 00:35:06,300 --> 00:35:09,203 だから斬った。 466 00:35:09,203 --> 00:35:15,203 俺は ただ 俺の中に棲む駒太郎を 殺したかっただけだ。 467 00:35:17,311 --> 00:35:22,183 心の中に棲む醜い阿修羅が 死んだなら➡ 468 00:35:22,183 --> 00:35:26,483 残っているのは もともとの 優しい気持ちだけでしょう? 469 00:35:33,795 --> 00:35:36,798 もう 許してあげて下さい。 470 00:35:36,798 --> 00:35:39,098 ご自分の事。 471 00:36:04,625 --> 00:36:11,299 猿渡 俺はな➡ 472 00:36:11,299 --> 00:36:16,999 すぐそこの長屋で 赤ん坊を育ててるんだ。 473 00:36:20,641 --> 00:36:26,314 ハハハ …っていったって 一人で育ててる訳じゃねえ。 474 00:36:26,314 --> 00:36:31,614 そこにいる男連中みんなが おとっつぁんみてえなもんだ。 475 00:36:33,588 --> 00:36:38,926 もちろん おっかあだって 何人もいる。 476 00:36:38,926 --> 00:36:43,264 けど そのたくさんいる おっかさんの中で➡ 477 00:36:43,264 --> 00:36:51,138 その赤ん坊が… 鶴坊が➡ 478 00:36:51,138 --> 00:36:56,138 飛びっきり大好きなのが…。 479 00:37:03,584 --> 00:37:07,284 その おぶんちゃんなんだ。 480 00:37:11,626 --> 00:37:13,626 先生…。 481 00:37:21,636 --> 00:37:29,310 鶴坊に おっかさんを返してやってくれ! 482 00:37:29,310 --> 00:37:55,469 ♬~ 483 00:37:55,469 --> 00:37:58,272 このとおりだ。 484 00:37:58,272 --> 00:38:36,577 ♬~ 485 00:38:36,577 --> 00:38:38,913 ああ…。 おぶん! 486 00:38:38,913 --> 00:38:40,848 おぶんちゃん! 487 00:38:40,848 --> 00:38:43,584 大丈夫か? 488 00:38:43,584 --> 00:38:46,253 よかった。 よかった よかった。 489 00:38:46,253 --> 00:38:49,924 あっ 美玖殿! ご無事でござるか! 490 00:38:49,924 --> 00:38:52,827 ああ よかった! よかった! よかっ…。 491 00:38:52,827 --> 00:38:55,596 ああ…。 しっかりなさいませ! 492 00:38:55,596 --> 00:38:57,932 すまぬ 腰が急に…。 493 00:38:57,932 --> 00:39:01,268 お前さん! よかった! 494 00:39:01,268 --> 00:39:03,604 (うめき声) どうした!? 495 00:39:03,604 --> 00:39:05,904 生まれる! 496 00:39:12,613 --> 00:39:17,485 なんたって 今度の一番手柄は 榎戸の旦那だよな。 497 00:39:17,485 --> 00:39:20,488 そう 旦那が 堀へ落っこちなきゃ➡ 498 00:39:20,488 --> 00:39:24,225 隠してあった お宝は 見つからなかったんですからね。 499 00:39:24,225 --> 00:39:26,961 皮肉を言わないで下さい。 (泣き声) 500 00:39:26,961 --> 00:39:30,631 肝心なところで 役に立たねえんだから➡ 501 00:39:30,631 --> 00:39:33,234 お主らしいや。 502 00:39:33,234 --> 00:39:36,570 面目ない限りです。 503 00:39:36,570 --> 00:39:41,242 おぶん殿 さぞ恐ろしい思いを した事だろうね。 504 00:39:41,242 --> 00:39:44,145 あら おぶんちゃんだけ? 505 00:39:44,145 --> 00:39:46,113 そりゃないわよね~。 506 00:39:46,113 --> 00:39:48,582 (笑い声) 507 00:39:48,582 --> 00:39:50,582 全くだ。 508 00:39:53,454 --> 00:40:00,454 私も 鶴之助殿のおっかあの一人に 加えて頂けるでしょうか? 509 00:40:02,129 --> 00:40:04,598 そりゃ もちろん。 510 00:40:04,598 --> 00:40:10,298 でも 私が あの子の たった一人の母親になる事は…。 511 00:40:12,940 --> 00:40:15,776 美玖さん すまなかった。 512 00:40:15,776 --> 00:40:22,550 私と同じで あなた様も 無理をなさろうとしたのでしょ? 513 00:40:22,550 --> 00:40:24,485 無理? 514 00:40:24,485 --> 00:40:30,291 鶴之助殿のために 母親が欲しい。 515 00:40:30,291 --> 00:40:34,291 ならば ちょうどよさそうなのが ここに。 516 00:40:35,963 --> 00:40:41,263 ああ それ言われちゃ 身も蓋もねえ。 517 00:40:42,837 --> 00:40:46,974 松村様と鶴之助殿にとって➡ 518 00:40:46,974 --> 00:40:51,312 江戸中の どこよりも この長屋が快いように➡ 519 00:40:51,312 --> 00:40:57,485 私にとっても 居心地のよい場所は きっと どこかに…。 520 00:40:57,485 --> 00:41:01,655 お~い おい! 松村氏! おう。 521 00:41:01,655 --> 00:41:04,325 おう おう 美玖殿も来ておられたか。 522 00:41:04,325 --> 00:41:06,994 これ 赤子の祝いの品じゃ。 すまねえな。 523 00:41:06,994 --> 00:41:11,294 お~い 皆の衆 おめでとう おめでとう! 524 00:41:17,004 --> 00:41:19,340 おう 鶴坊。 525 00:41:19,340 --> 00:41:22,243 ヘヘッ お前は 十六店の鶴坊だ。 526 00:41:22,243 --> 00:41:25,679 この長屋で育った事はな きっと おめえの➡ 527 00:41:25,679 --> 00:41:28,349 すっげえ でっけえ誇りになるぞ。 528 00:41:28,349 --> 00:41:32,219 アハハハハ! ほら! 529 00:41:32,219 --> 00:41:37,625 ♬~ 530 00:41:37,625 --> 00:41:39,560 おい 鶴坊! う~ん! 531 00:41:39,560 --> 00:41:54,560 ♬~ 532 00:41:56,310 --> 00:42:25,339 ♬~ 533 00:42:25,339 --> 00:43:11,318 ♬~ 534 00:43:11,318 --> 00:43:25,318 ♬~