1 00:00:32,678 --> 00:00:35,714 <雲霧仁左衛門と その一党は➡ 2 00:00:35,714 --> 00:00:40,553 藤堂家江戸家老 磯部主膳に 取り入る御用商人から➡ 3 00:00:40,553 --> 00:00:45,024 鮮やかな手口で 金を盗み出した。 これによって➡ 4 00:00:45,024 --> 00:00:50,696 藤堂和泉守の老中就任のための 金脈は断たれた。➡ 5 00:00:50,696 --> 00:00:54,366 仁左衛門への報復に燃える 磯部は➡ 6 00:00:54,366 --> 00:01:00,239 剣客 関口雄介を放ち 新たな襲撃を画策する。➡ 7 00:01:00,239 --> 00:01:04,376 一方 火付盗賊改 安部式部は➡ 8 00:01:04,376 --> 00:01:09,048 雲霧召し捕りに 執念を燃やしていた> 9 00:01:09,048 --> 00:01:20,348 ♬~ 10 00:01:27,066 --> 00:01:30,402 (大久保)富の市 おかね この両名は➡ 11 00:01:30,402 --> 00:01:35,674 昨今 世間を騒がせておる雲霧の 一味の者ではなかったのか。 12 00:01:35,674 --> 00:01:39,345 (式部)さようにござりまする。 13 00:01:39,345 --> 00:01:46,218 しからば この両名共に 死罪に処するが相当と思われるが。 14 00:01:46,218 --> 00:01:49,021 仰せのとおりにござりまするが➡ 15 00:01:49,021 --> 00:01:53,359 此度は 何とぞ 遠島のお裁きを下されたく➡ 16 00:01:53,359 --> 00:01:55,359 お願い申し上げます。 17 00:01:57,696 --> 00:02:03,035 罪一等を減じて 遠島にせよと申すか。 18 00:02:03,035 --> 00:02:05,371 はっ。 19 00:02:05,371 --> 00:02:07,671 存念を聞こう。 20 00:02:12,244 --> 00:02:16,982 聞いたかい? 雲霧一味の者が 遠島になるそうだぜ。 21 00:02:16,982 --> 00:02:21,387 遠島? は~ 信じられねえな。 打ち首じゃねえのかい。 22 00:02:21,387 --> 00:02:25,724 それが 遠島らしいんだよ。 10両盗んでも➡ 23 00:02:25,724 --> 00:02:28,627 首が飛ぶってえのによ。 まったくだ。 24 00:02:28,627 --> 00:02:31,997 お上にも 情けがあるってところかね。 25 00:02:31,997 --> 00:02:36,669 殺さず犯さず 盗まれて困る者には 難儀はかけず。 26 00:02:36,669 --> 00:02:39,572 雲霧は そういう盗人だからなあ。 27 00:02:39,572 --> 00:02:42,541 ところで 島送りになったら どうなるんだい? 28 00:02:42,541 --> 00:02:45,344 遠くの島へ捨てられるって事さ。 29 00:02:45,344 --> 00:02:49,644 てめえで 小屋をこしらえて 島の百姓の手伝いをして…。 30 00:02:51,217 --> 00:02:55,020 仰せのとおり 噂は町じゅうに広めておりやす。 31 00:02:55,020 --> 00:02:58,524 うむ ご苦労だったな。 へい。 32 00:02:58,524 --> 00:03:03,362 しかし 長官 これは あまりにも 大きな賭けではございませぬか。 33 00:03:03,362 --> 00:03:06,662 当たり前の事をしていては 埒は明かぬ。 34 00:03:08,234 --> 00:03:12,234 いつでも 腹を切る覚悟はできておる。 35 00:03:28,387 --> 00:03:32,658 (熊五郎)いよいよ 富の市と おかねを乗せた流人船が➡ 36 00:03:32,658 --> 00:03:35,358 出立するそうだ。 37 00:03:39,331 --> 00:03:42,668 でも 2人で力を合わせれば➡ 38 00:03:42,668 --> 00:03:45,170 島でも なんとか やっていけるんじゃ…。 39 00:03:45,170 --> 00:03:50,370 2人が 同じ島に送られる事は まず ないんだよ。 40 00:03:53,345 --> 00:03:58,017 しかしよ ずっと 小伝馬の牢に とどめておいて➡ 41 00:03:58,017 --> 00:04:02,017 どうして この時期に 遠島の刑に処されたんだ? 42 00:04:03,889 --> 00:04:09,361 ひょっとして 我ら雲霧が動き出すのを➡ 43 00:04:09,361 --> 00:04:12,061 待っていたのかもしれません。 44 00:04:15,234 --> 00:04:20,973 富の市とおかねが 死罪ではなく 遠島になるのは ありえぬ事だ。 45 00:04:20,973 --> 00:04:25,711 その上 このような話が ちまたで噂になるとは➡ 46 00:04:25,711 --> 00:04:28,380 どうも 解せん。 47 00:04:28,380 --> 00:04:33,652 遠島に処するには 一旦 牢から外へ出し➡ 48 00:04:33,652 --> 00:04:36,989 船に乗せねばなりません。 (お千代)その間に➡ 49 00:04:36,989 --> 00:04:40,659 取り返せるものなら 来てみよと。 50 00:04:40,659 --> 00:04:45,531 盗賊改が勝負をかけてきたと? 51 00:04:45,531 --> 00:04:49,001 罠かもしれん。 52 00:04:49,001 --> 00:04:52,338 罠? うっかり乗ると➡ 53 00:04:52,338 --> 00:04:55,338 危ない賭けだ。 54 00:05:02,981 --> 00:05:05,281 お頭。 55 00:05:13,625 --> 00:05:16,325 そうさな…。 56 00:05:18,030 --> 00:05:20,699 せっかく 盗賊改が 遠島にして➡ 57 00:05:20,699 --> 00:05:26,572 富の市とおかねの命を助けてやる と言ってくれてるんだ。 58 00:05:26,572 --> 00:05:33,872 その厚情には 応えねばなるまい。 59 00:05:36,181 --> 00:05:38,650 フフフフフ…。 60 00:05:38,650 --> 00:05:47,650 ♬~ 61 00:05:49,294 --> 00:05:51,997 (伝次郎)流人船に乗せられる 囚人たちは➡ 62 00:05:51,997 --> 00:05:54,900 まず牢獄で 刑を申し渡される。 63 00:05:54,900 --> 00:06:01,200 武州無宿 富の市 八丈島への遠島を申し渡す。 64 00:06:03,342 --> 00:06:10,642 武州無宿 かね。 三宅島への遠島を申し渡す。 65 00:06:16,355 --> 00:06:22,027 (伝次郎)そして 翌朝 永代橋へ 唐丸かごで送られる。➡ 66 00:06:22,027 --> 00:06:24,727 この道中を狙う。 67 00:06:29,701 --> 00:06:35,307 (伝次郎)襲うのは 高砂町の源兵衛長屋の前だ。➡ 68 00:06:35,307 --> 00:06:39,178 ここで富の市とおかねを かごから助け出し➡ 69 00:06:39,178 --> 00:06:43,182 煙玉で煙幕を張る。➡ 70 00:06:43,182 --> 00:06:49,321 そこから 長屋の路地の 突き当たりにある空井戸へ。➡ 71 00:06:49,321 --> 00:06:53,659 これには かねてから 横穴が掘ってあり➡ 72 00:06:53,659 --> 00:06:56,659 船着き場につながっている。 73 00:06:58,530 --> 00:07:02,668 (式部)永代橋に着けば そこからは船だ。➡ 74 00:07:02,668 --> 00:07:07,539 いかな雲霧とはいえ 海の上では 御船手組にかなわぬと➡ 75 00:07:07,539 --> 00:07:09,541 心得ていよう。 76 00:07:09,541 --> 00:07:14,012 よいか そこまでの道中が勝負だ。 77 00:07:14,012 --> 00:07:16,012 (一同)はっ! 78 00:07:17,883 --> 00:07:20,686 おお~。 行列が来たぞ。 79 00:07:20,686 --> 00:08:08,686 ♬~ 80 00:08:19,678 --> 00:08:23,015 (治平)これは なかなか いい女じゃないか。 81 00:08:23,015 --> 00:08:26,885 いい年して 何言ってんだよ。 この女 澄まし顔して➡ 82 00:08:26,885 --> 00:08:30,689 何人 男をだましたか しれないよ。 83 00:08:30,689 --> 00:08:33,689 (笑い声) 84 00:08:37,963 --> 00:08:40,866 (おかね)お前さん いるかい! (富の市)え? 85 00:08:40,866 --> 00:08:43,468 道端に おかしなのがいるから 気を付けなよ! 86 00:08:43,468 --> 00:08:45,404 静かにせぬか! 87 00:08:45,404 --> 00:09:15,534 ♬~ 88 00:09:15,534 --> 00:09:18,670 (伝次郎) 江戸市中においての襲撃は➡ 89 00:09:18,670 --> 00:09:22,007 瞬時に 事を運ばねばならねえ。➡ 90 00:09:22,007 --> 00:09:27,346 少しでも手間取れば 命取りとなる。 91 00:09:27,346 --> 00:09:45,631 ♬~ 92 00:09:45,631 --> 00:09:47,631 おっ父! 93 00:09:50,502 --> 00:09:55,307 おっ父! おっ父! 94 00:09:55,307 --> 00:09:57,976 平太! 止まれ~! 95 00:09:57,976 --> 00:10:00,879 やだよ! 96 00:10:00,879 --> 00:10:03,315 おい 下がれ! すまねえ 平太! 97 00:10:03,315 --> 00:10:06,985 おっ父! 98 00:10:06,985 --> 00:10:09,321 下がれ! 平太! 99 00:10:09,321 --> 00:10:13,191 (泣き声) 100 00:10:13,191 --> 00:10:15,661 すまねえ…。 101 00:10:15,661 --> 00:10:18,661 (泣き声) 102 00:10:29,207 --> 00:10:31,209 (定七)や~っ! 103 00:10:31,209 --> 00:10:37,683 ♬~ 104 00:10:37,683 --> 00:10:40,352 出立! 105 00:10:40,352 --> 00:10:43,255 (泣き声) 106 00:10:43,255 --> 00:10:45,691 おっ父! 107 00:10:45,691 --> 00:10:48,391 おっ父! 108 00:10:55,367 --> 00:10:59,037 来るなら今日かと 思うておりましたが…。 109 00:10:59,037 --> 00:11:02,908 あらかじめ 役人一人一人の身元も 厳しく検めましたが➡ 110 00:11:02,908 --> 00:11:06,545 内通している者は おりませんでした。 111 00:11:06,545 --> 00:11:11,416 いや 此度に限っては 長官の読みに反して➡ 112 00:11:11,416 --> 00:11:14,720 雲霧は 動かぬつもりでは…。 113 00:11:14,720 --> 00:11:19,591 いや 機が熟さぬ折は耐え➡ 114 00:11:19,591 --> 00:11:25,063 いざとなれば 大胆不敵な動きを見せる。 115 00:11:25,063 --> 00:11:27,966 中でも 配下の者が捕らえられた時は➡ 116 00:11:27,966 --> 00:11:31,503 何としても助け出す。 117 00:11:31,503 --> 00:11:34,172 それが雲霧だ。 118 00:11:34,172 --> 00:11:36,672 仰せのとおりにて。 119 00:11:38,343 --> 00:11:43,014 永代橋を出た船は 鉄砲洲の 船手番所に到着したのだな? 120 00:11:43,014 --> 00:11:48,353 はい。 そこで1日とどまって 親類縁者と別れを惜しんだ後➡ 121 00:11:48,353 --> 00:11:51,353 船を乗り換えて 浦賀へ参ります。 122 00:11:57,696 --> 00:12:02,696 浦賀で風待ちをして いよいよ八丈島か…。 123 00:12:04,569 --> 00:12:09,708 鉄砲洲 浦賀。 124 00:12:09,708 --> 00:12:13,408 雲霧は このいずれかに きっと現れる。 125 00:12:33,899 --> 00:12:36,668 よし 通っていいぞ。 126 00:12:36,668 --> 00:12:47,312 ♬~ 127 00:12:47,312 --> 00:12:49,247 ここだ。 128 00:12:49,247 --> 00:13:03,547 ♬~ 129 00:13:05,697 --> 00:13:24,049 ♬~ 130 00:13:24,049 --> 00:13:26,384 (泣き声) 131 00:13:26,384 --> 00:13:29,721 ≪お前さん?➡ 132 00:13:29,721 --> 00:13:32,021 お前さん! 133 00:13:33,592 --> 00:13:36,328 おかね…。 134 00:13:36,328 --> 00:13:40,628 その声は おかねか? 135 00:13:44,202 --> 00:13:49,674 ≪お前さん 私は ここだよ。 136 00:13:49,674 --> 00:13:51,674 おかね! 137 00:13:56,348 --> 00:13:59,348 体は どこも悪くないかい? 138 00:14:01,686 --> 00:14:05,557 お前さんこそ。 139 00:14:05,557 --> 00:14:09,027 お前の手だ。 140 00:14:09,027 --> 00:14:14,027 俺の手を引いてくれた お前の手…。 141 00:14:15,901 --> 00:14:19,037 そうだよ。 142 00:14:19,037 --> 00:14:24,337 俺は 八丈に送られる。 143 00:14:26,378 --> 00:14:30,048 私は三宅島だそうだ。 144 00:14:30,048 --> 00:14:35,048 八丈から 泳いで行けねえかな? ん? 145 00:14:36,855 --> 00:14:39,155 ばかだよ…。 146 00:14:41,660 --> 00:14:44,360 本当に ばかだよ…。 147 00:14:47,999 --> 00:14:50,669 通れ。 148 00:14:50,669 --> 00:14:52,604 ああっ…。 おっ…。 149 00:14:52,604 --> 00:14:55,006 大丈夫かい? 気を付けてな。 150 00:14:55,006 --> 00:14:58,306 すまなかったね。 ありがとう。 151 00:15:00,679 --> 00:15:02,679 さあ。 152 00:15:06,351 --> 00:15:09,020 何だ この小刀は!? えっ? あ…。 153 00:15:09,020 --> 00:15:11,356 こんな かみそりを忍ばせて どうするつもりだった!? 154 00:15:11,356 --> 00:15:14,259 いや 何の事だか…! 何かの間違いです! 155 00:15:14,259 --> 00:15:16,695 ええい 2人とも詮議致す! 156 00:15:16,695 --> 00:15:18,995 身に覚えがねえ! 何かの間違いだ! 157 00:15:20,565 --> 00:15:22,865 (戸が開く音) 158 00:15:26,705 --> 00:15:29,374 お前に会いたいという者が 来ておるぞ。 159 00:15:29,374 --> 00:15:31,977 あっしにですかい? 160 00:15:31,977 --> 00:15:36,648 本所の八五郎という桶屋の女房で なつとか。 161 00:15:36,648 --> 00:15:40,148 八五郎さんとこの なつさん。 162 00:15:42,320 --> 00:15:46,825 ハハッ おなつさん 痛くないかい? 163 00:15:46,825 --> 00:15:50,996 ああ! あの おなつさん。 164 00:15:50,996 --> 00:15:56,334 そうですかい それは ありがとうごぜえます。 165 00:15:56,334 --> 00:15:58,634 さあ。 166 00:16:01,206 --> 00:16:06,011 おなつさん こんな俺に 会いに来てくれたのかい? 167 00:16:06,011 --> 00:16:11,349 富の市さんは命の恩人だからね。 168 00:16:11,349 --> 00:16:17,689 甘いもん 食べておくれ。 ありがとよ。 169 00:16:17,689 --> 00:16:21,559 おなつさんも達者でよかった。 170 00:16:21,559 --> 00:16:27,032 隣にいるのは 女房のおかねだ。 171 00:16:27,032 --> 00:16:31,636 ああ… おかねさん。 172 00:16:31,636 --> 00:16:38,977 いろいろ あったんだろうね。 でも 離れ離れになっても➡ 173 00:16:38,977 --> 00:16:45,316 千代に八千代に 添い遂げておくれよ。 174 00:16:45,316 --> 00:16:48,820 ありがとうございます。 175 00:16:48,820 --> 00:16:55,593 「千代に八千代に」か。 ハハハ 難しい言葉を知ってるんだね。 176 00:16:55,593 --> 00:16:58,593 なつとやら それぐらいで いいだろう。 177 00:17:00,999 --> 00:17:05,336 そんなら 私は…。 178 00:17:05,336 --> 00:17:41,172 ♬~ 179 00:17:41,172 --> 00:17:43,641 もう行くよ。 180 00:17:43,641 --> 00:17:51,983 ♬~ 181 00:17:51,983 --> 00:17:54,983 ありがとよ~! 182 00:17:56,654 --> 00:17:59,557 離れ離れになっても➡ 183 00:17:59,557 --> 00:18:06,998 千代に八千代に 添い遂げてみせますよ! 184 00:18:06,998 --> 00:18:11,698 なあ おかね! ええ! 185 00:18:13,338 --> 00:18:15,638 (戸が閉まる音) 186 00:18:17,208 --> 00:18:19,511 いい天気だ。 187 00:18:19,511 --> 00:18:22,013 流人船が鉄砲洲を出るのは➡ 188 00:18:22,013 --> 00:18:24,516 今日 午の刻。 189 00:18:24,516 --> 00:18:31,316 この天気が続けば 八丈の出船は すぐの事になりそうですが。 190 00:18:33,224 --> 00:18:37,924 いや 風が変わる。 191 00:19:19,337 --> 00:19:23,208 (式部)浦賀の番所で 最後の検めをした後➡ 192 00:19:23,208 --> 00:19:28,046 風待ちをして船は出る。 193 00:19:28,046 --> 00:19:33,851 だが この風は強すぎる。 船は しばらく出せまい。 194 00:19:33,851 --> 00:19:36,621 …となりますと 流人たちは しばし➡ 195 00:19:36,621 --> 00:19:40,291 浦賀番所の牢内に 留め置かれる事になります。 196 00:19:40,291 --> 00:19:43,194 うむ。 197 00:19:43,194 --> 00:19:46,965 雲霧にとっては ますます好都合という訳だ。 198 00:19:46,965 --> 00:19:50,635 (高瀬)しかし ここに 我らが出張っている事など➡ 199 00:19:50,635 --> 00:19:55,974 雲霧は百も承知のはず。 まこと 襲ってくるのでしょうか。 200 00:19:55,974 --> 00:19:58,643 手下が島送りになるのを➡ 201 00:19:58,643 --> 00:20:01,980 雲霧が 指をくわえて 見ているとは思えぬ。 202 00:20:01,980 --> 00:20:05,850 どんな手を使ってでも 奴は来る。 203 00:20:05,850 --> 00:20:08,650 ここは根比べだ。 204 00:20:21,332 --> 00:20:23,835 名主さんに言われて お手伝いに参りました。 205 00:20:23,835 --> 00:20:26,504 おお よう来てくれたな。 206 00:20:26,504 --> 00:20:30,341 何分 15人もの流人が 一度に来たものゆえ➡ 207 00:20:30,341 --> 00:20:33,011 手が足りんのでな。 おい! 208 00:20:33,011 --> 00:20:35,711 はい! こっちだよ。 はい! 209 00:20:37,348 --> 00:20:39,648 ここで水をくんでおくれ。 はい。 210 00:20:43,688 --> 00:20:45,988 よいしょ。 211 00:20:49,027 --> 00:20:53,364 まあ いつも流人船が出る頃は 大変でございますねえ。 212 00:20:53,364 --> 00:20:55,700 ああ 気が張る仕事だからな。 213 00:20:55,700 --> 00:20:58,603 罪を犯しても こうやって➡ 214 00:20:58,603 --> 00:21:02,303 おまんまに ありつけるんですから まあ 結構な話で。 215 00:21:11,049 --> 00:21:13,384 あ? 216 00:21:13,384 --> 00:21:15,720 お茶が入りました。 217 00:21:15,720 --> 00:21:19,720 うむ ちと一息入れよう。 は。 218 00:21:22,593 --> 00:21:25,396 どうぞ。 219 00:21:25,396 --> 00:21:28,299 まあ 風が早く落ち着いて➡ 220 00:21:28,299 --> 00:21:31,202 船が出れば よろしゅうございますね。 221 00:21:31,202 --> 00:21:33,838 ああ そうなってもらいたいが➡ 222 00:21:33,838 --> 00:21:36,874 こればかりは どうしようもないからのう。 223 00:21:36,874 --> 00:21:40,011 あらっ 肩でも おもみ致しましょうか。 224 00:21:40,011 --> 00:21:42,347 おお そうか。 はい。 頼む。 225 00:21:42,347 --> 00:21:45,047 失礼致します。 うむ。 226 00:21:47,018 --> 00:21:52,357 う~ん そなたのいれる茶は 熱すぎず ぬるすぎず➡ 227 00:21:52,357 --> 00:21:55,026 実に うまいのう。 駄目ですよ➡ 228 00:21:55,026 --> 00:21:59,897 私を口説こうったって。 ん? おいおい➡ 229 00:21:59,897 --> 00:22:02,900 お前も島流しにしてやろうか。 230 00:22:02,900 --> 00:22:05,670 あらっ。 (笑い声) 231 00:22:05,670 --> 00:22:07,970 (お松)嫌ですよ もう ご冗談を。 232 00:22:10,041 --> 00:22:16,714 (雷鳴) 233 00:22:16,714 --> 00:22:23,588 ♬~ 234 00:22:23,588 --> 00:22:28,059 お頭 待っておくんなせえ! 235 00:22:28,059 --> 00:22:30,728 お願えでございます! 236 00:22:30,728 --> 00:22:33,331 お頭 あっしの命に代えて➡ 237 00:22:33,331 --> 00:22:36,000 この女の命を 助けてやっておくんなせえ! 238 00:22:36,000 --> 00:22:38,336 お願えでごぜえやす! 239 00:22:38,336 --> 00:22:46,210 ♬~ 240 00:22:46,210 --> 00:22:49,680 ああ… お頭! 241 00:22:49,680 --> 00:23:28,980 ♬~ 242 00:23:31,289 --> 00:23:38,196 浦賀番所を出て街道へ出るには➡ 243 00:23:38,196 --> 00:23:40,896 道は一つ。 244 00:23:54,545 --> 00:23:57,348 こんな夜更けに いかが致した? 245 00:23:57,348 --> 00:24:01,018 おかしな男が 隣のうちに 立て籠もっております。 246 00:24:01,018 --> 00:24:03,921 何だと? へい。 大きな物音がして➡ 247 00:24:03,921 --> 00:24:07,358 外に出てみると 隣から 聞き慣れねえ声がしたんです。 248 00:24:07,358 --> 00:24:10,261 それで 耳を澄ましてみると➡ 249 00:24:10,261 --> 00:24:15,700 「着物と金と船を用意しろ。 さもねえと娘の命はねえぞ。➡ 250 00:24:15,700 --> 00:24:18,035 これは脅しじゃねえ。➡ 251 00:24:18,035 --> 00:24:22,907 蝮の作藏といやあ 泣く子も黙る兇状持ちよ。➡ 252 00:24:22,907 --> 00:24:25,710 人を殺すなんて訳もねえ」などと。 253 00:24:25,710 --> 00:24:29,380 それで 2人で 怖くなって ここまで駆けてきたんです。 254 00:24:29,380 --> 00:24:33,251 今は 流人が 風待ちをしていると聞きました。 255 00:24:33,251 --> 00:24:35,987 で その作藏という男が➡ 256 00:24:35,987 --> 00:24:38,656 この牢から 抜け出したというのか? 257 00:24:38,656 --> 00:24:41,993 そうではねえかと…。 258 00:24:41,993 --> 00:24:47,665 ハハハハハハハ… 夢でも見たのであろう。 ん? 259 00:24:47,665 --> 00:24:50,334 そんな男は この中にはおらぬ! 260 00:24:50,334 --> 00:24:52,670 そもそも 流人が 名乗りを上げるはずがない! 261 00:24:52,670 --> 00:24:57,008 でも 頭に血が上って 思わず 口から出たのかもしれません。 262 00:24:57,008 --> 00:25:00,878 とにかく お調べ願います! ばかな事を申すな。 帰れ 帰れ。 263 00:25:00,878 --> 00:25:02,880 お願い致します! お願い致します! 264 00:25:02,880 --> 00:25:05,880 どうか お願い致します! お願い致します! 265 00:25:07,652 --> 00:25:12,023 ≪(岩間)まったく 面倒を持ち込みおって。 266 00:25:12,023 --> 00:25:14,358 あ~ もう。 267 00:25:14,358 --> 00:25:18,058 しょうがないですな。 作藏など聞いた覚えがないわ。 268 00:25:23,034 --> 00:25:25,937 どうしました? 269 00:25:25,937 --> 00:25:28,539 これに作藏の名がある。 270 00:25:28,539 --> 00:25:31,309 何ですと!? お前が行ってくれ! 271 00:25:31,309 --> 00:25:34,211 拙者が? おう お前が行け。 272 00:25:34,211 --> 00:25:36,647 うう…。 行け! 273 00:25:36,647 --> 00:25:41,519 待て待て! その作藏のところに案内せえ。 274 00:25:41,519 --> 00:25:43,521 へい! 275 00:25:43,521 --> 00:25:47,221 あちらでございます! 276 00:25:49,994 --> 00:25:51,929 ああ…。 ああっ! 277 00:25:51,929 --> 00:25:54,865 ど… どうした!? そこに 作藏が! 278 00:25:54,865 --> 00:25:57,565 何だと? 279 00:26:00,338 --> 00:26:03,007 何だ どこにも…。 あっ! いない…。 280 00:26:03,007 --> 00:26:04,942 ああっ! 281 00:26:04,942 --> 00:26:13,242 ♬~ 282 00:26:16,020 --> 00:26:18,356 作藏を捜せ! はっ! 283 00:26:18,356 --> 00:26:21,025 こちらにはおりません! こちらにもいません! 284 00:26:21,025 --> 00:26:23,325 しっかり捜せ! (牢番たち)はっ! 285 00:26:36,507 --> 00:26:38,509 おっ! 286 00:26:38,509 --> 00:26:42,313 おい! しっかりしろ! 287 00:26:42,313 --> 00:26:44,248 で… で… 出た! 288 00:26:44,248 --> 00:26:46,651 作藏か? へえ! 289 00:26:46,651 --> 00:26:49,987 お役人様が 後を追って浜の方へ! 290 00:26:49,987 --> 00:26:53,858 さては 用意させた船に乗って 逃げる魂胆だな! 291 00:26:53,858 --> 00:26:57,662 皆の者 続け! (牢番たち)おう! 292 00:26:57,662 --> 00:27:05,002 ♬~ 293 00:27:05,002 --> 00:27:07,672 (伝次郎 岩間の声色で) わしだ 早く開けぬか。 294 00:27:07,672 --> 00:27:10,174 えっ… さっき 浜へ向かわれたのでは? 295 00:27:10,174 --> 00:27:14,374 ≪でたらめであったのだ。 早く開けよ。 はい。 296 00:27:39,970 --> 00:27:52,316 ♬~ 297 00:27:52,316 --> 00:27:54,985 お頭? 298 00:27:54,985 --> 00:28:20,211 ♬~ 299 00:28:20,211 --> 00:28:22,213 お頭! 300 00:28:22,213 --> 00:28:31,288 ♬~ 301 00:28:31,288 --> 00:28:33,988 お… お頭! 302 00:28:39,163 --> 00:28:43,634 話は後だ。 303 00:28:43,634 --> 00:28:54,278 ♬~ 304 00:28:54,278 --> 00:28:56,647 お前さん! 305 00:28:56,647 --> 00:28:59,647 おい ゆっくりしてらんねえ。 急ぐぜ。 306 00:29:03,988 --> 00:29:07,858 (足音) 307 00:29:07,858 --> 00:29:10,327 貴様ら 何者だ!? 盗賊改だ。 308 00:29:10,327 --> 00:29:13,230 こちらに雲霧一党が入り込んだ との知らせを受けて来た。 309 00:29:13,230 --> 00:29:15,199 速やかに 探索に ご協力願いたい。 310 00:29:15,199 --> 00:29:18,002 ここは盗賊改の持ち場ではない! よいから通すのだ! 311 00:29:18,002 --> 00:29:20,905 ええい 下がれ! 下がれ! 下がれ! 312 00:29:20,905 --> 00:29:26,677 ♬~ 313 00:29:26,677 --> 00:29:29,013 通さぬか! どけい! 314 00:29:29,013 --> 00:29:31,916 待て! 315 00:29:31,916 --> 00:29:33,851 さあ! 316 00:29:33,851 --> 00:29:48,966 ♬~ 317 00:29:48,966 --> 00:29:50,901 おのれ…! 318 00:29:50,901 --> 00:29:53,637 いよいよ仕掛けてきたか。 319 00:29:53,637 --> 00:29:56,140 手はずどおり 私は先に参ります。 320 00:29:56,140 --> 00:29:58,976 頼んだぞ。 はっ。 321 00:29:58,976 --> 00:30:01,645 (いななき) 322 00:30:01,645 --> 00:30:14,658 ♬~ 323 00:30:14,658 --> 00:30:16,594 ああっ。 大丈夫かい? 324 00:30:16,594 --> 00:30:51,028 ♬~ 325 00:30:51,028 --> 00:30:53,364 行くぞ。 326 00:30:53,364 --> 00:31:05,943 ♬~ 327 00:31:05,943 --> 00:31:08,913 雲霧が来る。 ここで待ち伏せるぞ。 328 00:31:08,913 --> 00:31:22,393 ♬~ 329 00:31:22,393 --> 00:31:26,263 ここから 道を外れる。 330 00:31:26,263 --> 00:31:28,732 へい。 331 00:31:28,732 --> 00:31:31,168 七松 明かりを消せ。 332 00:31:31,168 --> 00:31:33,468 (七松)へい。 333 00:31:45,349 --> 00:31:47,284 これは…。 334 00:31:47,284 --> 00:31:50,020 雲霧の足跡。 335 00:31:50,020 --> 00:31:54,320 程なく 山田様たちと挟み撃ちだ。 336 00:32:16,046 --> 00:32:19,046 足跡が消えております。 337 00:32:20,718 --> 00:32:24,718 まさか こちらの動きを 読まれている訳では…。 338 00:32:31,662 --> 00:32:34,565 思惑どおり。 木村。 はっ。 339 00:32:34,565 --> 00:32:37,334 1人連れて 藤兵衛のもとへ参れ。 かしこまりました。 340 00:32:37,334 --> 00:32:40,671 これより脇道へ入り 三杉村へ参る。 341 00:32:40,671 --> 00:32:44,341 そこで一網打尽にしてくれるわ。 (一同)はっ! 342 00:32:44,341 --> 00:33:00,891 ♬~ 343 00:33:00,891 --> 00:33:04,591 くまなく探索しておりますが まだ どこにも。 344 00:33:06,363 --> 00:33:09,063 まさか そんなはずが…。 345 00:33:23,914 --> 00:33:26,683 藤兵衛 あの小屋は? 346 00:33:26,683 --> 00:33:29,887 はあ 九兵衛という老人の 窯だそうで。 347 00:33:29,887 --> 00:33:34,087 以前から ここに籠もって 茶わんを焼いているそうです。 348 00:33:53,677 --> 00:33:55,977 (戸が開く音) 349 00:34:01,018 --> 00:34:03,921 なかなかの茶わんじゃの。 350 00:34:03,921 --> 00:34:06,221 これは…。 351 00:34:07,891 --> 00:34:13,030 手を止めてすまぬが 御用の向きで ここを検めるぞ。 352 00:34:13,030 --> 00:34:15,699 何事でございますか? 353 00:34:15,699 --> 00:34:20,370 この辺りに 追い求めている男が 逃げ込んだようでな。 354 00:34:20,370 --> 00:34:23,273 かような所にでございますか? 355 00:34:23,273 --> 00:34:26,243 物好きな奴でな。 356 00:34:26,243 --> 00:34:29,379 どうぞ お捜し下さい。 357 00:34:29,379 --> 00:34:57,541 ♬~ 358 00:34:57,541 --> 00:35:04,014 物好きとは どのような男でございます? 359 00:35:04,014 --> 00:35:06,683 生涯の仇じゃ。 360 00:35:06,683 --> 00:35:12,556 ほう 不倶戴天の 敵でござりまするな。 361 00:35:12,556 --> 00:35:17,694 フフッ それが 面白い事に 立場が違えば➡ 362 00:35:17,694 --> 00:35:21,565 肝胆相照らす仲と なれたかもしれぬ男でな。 363 00:35:21,565 --> 00:35:27,871 ほう… 生涯の仇が 肝胆相照らす仲に。 364 00:35:27,871 --> 00:35:34,311 恐ものながら 一度 お目に かかりたいものでござります。 365 00:35:34,311 --> 00:35:37,648 いや 出会うたが最後➡ 366 00:35:37,648 --> 00:35:39,948 命取りじゃ。 367 00:35:42,319 --> 00:35:44,819 どこにも見当たりません。 368 00:35:47,991 --> 00:35:50,491 さようか。 369 00:35:58,635 --> 00:36:01,338 邪魔をしたな。 370 00:36:01,338 --> 00:36:03,338 (物音) 371 00:36:16,520 --> 00:36:43,020 ♬~ 372 00:36:44,581 --> 00:36:46,581 (戸が閉まる音) 373 00:37:33,297 --> 00:37:36,997 (カラスの鳴き声) 374 00:37:57,487 --> 00:38:00,187 (せきこみ) 375 00:38:03,660 --> 00:38:28,352 ♬~ 376 00:38:28,352 --> 00:38:30,687 もう よかろう。 377 00:38:30,687 --> 00:38:37,887 ♬~ 378 00:38:44,234 --> 00:38:49,172 盗賊改の長官も見抜けぬとは➡ 379 00:38:49,172 --> 00:38:53,310 この盗人宿も なかなかのものだのう。 380 00:38:53,310 --> 00:38:57,981 フフフ また一つ 借りができましたな。 381 00:38:57,981 --> 00:39:00,981 暁の星右衛門殿。 ハハハ。 382 00:39:03,320 --> 00:39:07,020 (戸の開閉音) 383 00:39:11,194 --> 00:39:14,931 お頭! 384 00:39:14,931 --> 00:39:16,867 お頭! 385 00:39:16,867 --> 00:39:18,869 申し訳ございませんでした! 386 00:39:18,869 --> 00:39:22,005 なぜでございます!? おいらが しくじって➡ 387 00:39:22,005 --> 00:39:24,341 とんでもねえ迷惑を かけてしまったのに➡ 388 00:39:24,341 --> 00:39:27,244 どうして あっしと おかねのために➡ 389 00:39:27,244 --> 00:39:29,944 ここまでして下さるんですか! 390 00:39:31,948 --> 00:39:37,648 捕らえられてこのかた 何度も苦渋をなめたであろう。 391 00:39:47,297 --> 00:39:53,170 それが 我らへの償いと思えばいい。 392 00:39:53,170 --> 00:40:03,313 ♬~ 393 00:40:03,313 --> 00:40:05,982 お頭! 394 00:40:05,982 --> 00:40:10,654 あっしは… あっしは ありがたすぎて➡ 395 00:40:10,654 --> 00:40:15,325 夢を見ているような心地で ございます! 396 00:40:15,325 --> 00:40:20,997 もう二度と お頭の前には出られない。 397 00:40:20,997 --> 00:40:24,334 そう思っておりました。 398 00:40:24,334 --> 00:40:28,839 それが また こうして➡ 399 00:40:28,839 --> 00:40:38,014 この人と 皆さんと 一緒にいられる日が来るなんて…。 400 00:40:38,014 --> 00:40:40,314 お頭! 401 00:40:41,885 --> 00:40:46,690 このご恩返しは 必ず きっと。 402 00:40:46,690 --> 00:40:50,026 あっしと おかねの命は➡ 403 00:40:50,026 --> 00:40:54,726 改めて お頭に お渡し致します! 404 00:41:00,370 --> 00:41:03,670 富の市 おかね。 405 00:41:09,045 --> 00:41:11,882 忙しくなるぞ。 406 00:41:11,882 --> 00:41:34,382 ♬~ 407 00:41:37,007 --> 00:41:39,676 我ら暁一党と組んで➡ 408 00:41:39,676 --> 00:41:42,012 お盗めを 手伝ってもらいたいんです。 409 00:41:42,012 --> 00:41:45,048 頂くのは1万両。 お盗めの日取りが➡ 410 00:41:45,048 --> 00:41:47,884 早すぎるんじゃ…。 ただの盗めではないのだ。 411 00:41:47,884 --> 00:41:51,688 危ねえのは 満月の夜と 急ぎ働きよ。 412 00:41:51,688 --> 00:41:54,591 雲霧は 他のしくみとは組まぬはず。 413 00:41:54,591 --> 00:41:57,561 わしの奥の手じゃ。 414 00:41:57,561 --> 00:42:00,697 雲霧と暁。 415 00:42:00,697 --> 00:42:03,366 どれほど美しき花でも➡ 416 00:42:03,366 --> 00:42:06,036 いつかは 必ず枯れるもの。 417 00:42:06,036 --> 00:43:25,036 ♬~