1 00:00:08,141 --> 00:00:15,115 <新潟県中蒲原郡亀田町の大地主で 酒造業を営む田乃内家の嫡男 意造が➡ 2 00:00:15,115 --> 00:00:20,287 賀穂と結婚したのは 明治38年であった。➡ 3 00:00:20,287 --> 00:00:24,157 しかし 生まれる子は いずれも早産 死産。➡ 4 00:00:24,157 --> 00:00:29,296 結婚15年目に ようやく生まれた子は 強く生き抜くようにと➡ 5 00:00:29,296 --> 00:00:31,999 烈と名付けられた> 6 00:00:35,969 --> 00:00:40,307 賀穂は病がちのため 妹 佐穂が 田乃内家に入り➡ 7 00:00:40,307 --> 00:00:43,810 烈の世話をすることになった> 8 00:00:47,981 --> 00:00:54,454 <烈が6歳の時 次第に視力を失う病に かかっていることが分かった。➡ 9 00:00:54,454 --> 00:00:57,157 治療法はないという> 10 00:00:57,157 --> 00:01:00,761 (意造)治してやる。 11 00:01:00,761 --> 00:01:03,096 <失意の田乃内家に 追い打ちをかけるように➡ 12 00:01:03,096 --> 00:01:06,934 酒蔵に雑菌が入り 大打撃を受けた> 13 00:01:06,934 --> 00:01:08,869 腐造だと!? 14 00:01:08,869 --> 00:01:15,275 <賀穂は 烈の目が治るようにと 観音参りの巡礼の旅に出たが➡ 15 00:01:15,275 --> 00:01:17,945 無理がたたって 旅先で倒れ➡ 16 00:01:17,945 --> 00:01:24,818 烈の幸せを願いながら 39歳の若さで その生涯を終えた> 17 00:01:24,818 --> 00:01:26,954 (烈)おっ母様! 18 00:01:26,954 --> 00:02:36,423 ♬~ 19 00:02:36,423 --> 00:02:39,292 (お半)あ~ いかったいね。 20 00:02:39,292 --> 00:02:41,962 せきにも 面倒見てくれるお人ができて。 21 00:02:41,962 --> 00:02:46,667 (昌枝)お半ねえさんのおかげだいね。 22 00:02:48,301 --> 00:02:51,304 (かしわ手) 23 00:02:54,174 --> 00:02:57,978 (お半)んだども せきも 見かけによらねえ。 24 00:02:57,978 --> 00:02:59,913 しっかりしてるわのう。 25 00:02:59,913 --> 00:03:03,750 自分で 田乃内の旦那に 話をつけるとはのう。 26 00:03:03,750 --> 00:03:09,056 (昌枝)ほんに 玉の輿だがね。 ほんになあ! 27 00:03:10,924 --> 00:03:13,960 (むら)ちっと話がある。 なあ 意造…。 28 00:03:13,960 --> 00:03:17,597 そんげな話は まだ… まだ 早えがの。 29 00:03:17,597 --> 00:03:23,470 早えも遅えも 佐穂さは身内ら。 仏に 遠慮はいらねえわの。 30 00:03:23,470 --> 00:03:28,241 ちっと待ってくんなせえや。 せめて 一周忌が済むまでは…。 31 00:03:28,241 --> 00:03:32,412 そんなら 意造。 佐穂さだけには 明かしておいてもいいかの? 32 00:03:32,412 --> 00:03:35,115 いや そら 困るわの! 33 00:03:35,115 --> 00:03:37,150 こっちの腹が まだ 決まらねえがんに➡ 34 00:03:37,150 --> 00:03:39,953 そんげに先走られても困るてえ。 35 00:03:39,953 --> 00:03:44,291 んだども こんことは 賀穂さんの遺言ら。 36 00:03:44,291 --> 00:03:46,960 おめえの書き置きにも あったように➡ 37 00:03:46,960 --> 00:03:49,863 おらにも 賀穂さは言うたった。 38 00:03:49,863 --> 00:03:56,136 万一のことがあったら 佐穂さを 後添いになおしてくれって。 39 00:03:56,136 --> 00:04:03,744 そん気持ちを考えるとのう おら 泣けてくるがね…。 40 00:04:03,744 --> 00:04:07,080 何としても 聞き届けてやらねばなんねえ。 41 00:04:07,080 --> 00:04:10,917 分かってるども 今すぐ どうのって言われても➡ 42 00:04:10,917 --> 00:04:13,920 そら 困るのう。 43 00:04:16,256 --> 00:04:22,929 いいか? 意造。 烈を 佐穂さと 切り離すことは できねえんだぞ。 44 00:04:22,929 --> 00:04:27,601 おらだって 死に水は 佐穂さに 取ってもろうことに決めてるすけの。 45 00:04:27,601 --> 00:04:30,504 分かってるて。 分かってるども! 46 00:04:30,504 --> 00:04:33,774 祝言は先にするとしても➡ 47 00:04:33,774 --> 00:04:36,276 佐穂さを この家のおっ母様として➡ 48 00:04:36,276 --> 00:04:39,179 家事の取りしきり一切は 佐穂さに任すすけの。 49 00:04:39,179 --> 00:04:42,082 いいか? う… うん。 それでいいわの。 50 00:04:42,082 --> 00:04:44,017 佐穂さなら 間違いねえろう。 51 00:04:44,017 --> 00:04:56,530 ♬~(「さくら さくら」) 52 00:04:58,298 --> 00:05:04,571 <その年の10月の終わり 経験豊かな杜氏の平山 晋をはじめ➡ 53 00:05:04,571 --> 00:05:08,074 やる気満々の野積の蔵人たちが やって来た> 54 00:05:08,074 --> 00:05:14,247 (晋)旦那。 野積の組の者でっせ。 よろしゅう頼みますいの! 55 00:05:14,247 --> 00:05:16,183 (一同)よろしゅうお願いします! 56 00:05:16,183 --> 00:05:29,262 ♬~(「洗い場唄」) 57 00:05:29,262 --> 00:05:34,601 <蔵は 再び活気を取り戻し 生き生きと動き始めた> 58 00:05:34,601 --> 00:06:10,237 ♬~ 59 00:06:10,237 --> 00:06:16,109 ええもんですなあ! 蔵の音が聞こえるがは…。 60 00:06:16,109 --> 00:06:20,247 (佐穂)あっ おめえさん方 明日から 蔵じゃ 仕込みが始まるすけ➡ 61 00:06:20,247 --> 00:06:23,750 夜は 本揃えの祝いら。 賄いの方 手伝うてやってくんなせの。 62 00:06:23,750 --> 00:06:26,753 (使用人たち)へえ。 63 00:06:28,622 --> 00:06:42,769 ♬~ 64 00:06:42,769 --> 00:06:47,641 ああ よう踊ってるのう! 65 00:06:47,641 --> 00:06:52,112 ♬~ 66 00:06:52,112 --> 00:06:58,418 ありがてえこって 旦那さんの おかげで こん子が師範学校に…。 67 00:06:58,418 --> 00:07:00,420 ああ それは いかった! 68 00:07:00,420 --> 00:07:04,557 ほれ 旦那さんに ちゃんと ご挨拶しろ! 69 00:07:04,557 --> 00:07:08,428 ありがてえごぜえました。 学資 よろしゅうお願えします! 70 00:07:08,428 --> 00:07:10,897 まあ しっかりやんなせえや。 71 00:07:10,897 --> 00:07:16,403 ありがとうございます。 だば これで。 72 00:07:20,373 --> 00:07:22,309 どれほど 喜んでるこってしょのう。 73 00:07:22,309 --> 00:07:26,179 いかったこと。 74 00:07:26,179 --> 00:07:32,118 佐穂さ… 今夜にでも 部屋来てくんなせえ。 75 00:07:32,118 --> 00:07:35,622 ちと 話が…。 あい…。 76 00:07:39,392 --> 00:07:44,764 意造も いよいよ その気になったと見えるのう…。 77 00:07:44,764 --> 00:07:47,267 だろも そんげな話かどうか…。 78 00:07:47,267 --> 00:07:52,939 そうでねえなら 何のための増築ら? 79 00:07:52,939 --> 00:07:59,412 あそこも 来月には出来上がるろう。 80 00:07:59,412 --> 00:08:06,219 そうせば 内々で祝いをして…。 81 00:08:06,219 --> 00:08:08,722 なあ 佐穂さ。 82 00:08:08,722 --> 00:08:11,057 おめえたちの祝言を 見ねえことには➡ 83 00:08:11,057 --> 00:08:15,261 おらも あの世で 賀穂さに会わせる顔がねえがのう。 84 00:08:18,798 --> 00:08:23,303 あっ 叔母様 きれいだ! 85 00:08:32,445 --> 00:08:36,950 兄様…。 あ? ああ 佐穂さ。 86 00:08:43,123 --> 00:08:47,327 まあ… 座ってくれや。 87 00:08:51,398 --> 00:08:53,333 こんころは おらも忙しゅうて➡ 88 00:08:53,333 --> 00:08:58,271 ゆっくり 話をする暇もなかったども…。 89 00:08:58,271 --> 00:09:02,075 実は 賀穂が亡うなってから➡ 90 00:09:02,075 --> 00:09:05,912 いろいろと こん家の将来のことを考えてたった。 91 00:09:05,912 --> 00:09:11,351 そんで ここの増築を 思い立ったんだども。 92 00:09:11,351 --> 00:09:16,556 はい。出来上がったら 若え子を 入れようと思うての。 93 00:09:16,556 --> 00:09:20,360 野積の在の漁師の娘ら。 いいえの 兄様。 94 00:09:20,360 --> 00:09:22,295 そんげにしていただかねえでも➡ 95 00:09:22,295 --> 00:09:26,166 私の世話は おつまが ようしてくれますすけ➡ 96 00:09:26,166 --> 00:09:32,739 新しい子は要りませんがね。 いや… そうじゃねえんだわ。 97 00:09:32,739 --> 00:09:38,545 おら この家の空気を 変えてえんだわ。 98 00:09:38,545 --> 00:09:40,914 ほんに そんとおりですいね。 99 00:09:40,914 --> 00:09:44,250 私も もっと 家ん中を 明るうするよう 努めますわの。 100 00:09:44,250 --> 00:09:49,122 いや 佐穂さ… そうじゃねえんだわ。 101 00:09:49,122 --> 00:09:54,961 おらが言うがは その若え子を後添いにもろうて➡ 102 00:09:54,961 --> 00:10:00,100 新しい家づくりを してえってことだがね。 103 00:10:00,100 --> 00:10:06,406 まあ 烈は烈で 目を患いながらも 丈夫に育ってほしいと願うてる。 104 00:10:06,406 --> 00:10:12,278 だども… 烈に養子を取るわけにも いかねえだろうし➡ 105 00:10:12,278 --> 00:10:22,422 こん家の将来のことを考えると… こん家は 跡が途絶えるだすけの。 106 00:10:22,422 --> 00:10:26,626 佐穂さには ほんに苦労をかけた。 107 00:10:26,626 --> 00:10:30,430 烈のことでは どんげん感謝してるか しれやしねえ。 108 00:10:30,430 --> 00:10:38,805 賀穂の遺言もあるども… おらも 考えに考えてのことだ。 109 00:10:38,805 --> 00:10:43,143 分かってくれねえかの? 110 00:10:43,143 --> 00:10:48,014 佐穂さのことは 本当の妹のように思うてるし➡ 111 00:10:48,014 --> 00:10:52,318 これからも そん思いは 変わりゃしねえ。 112 00:10:52,318 --> 00:10:58,825 妹として 大事にするすけのう。 113 00:11:03,396 --> 00:11:08,201 そんお嫁さは いくつでやんす? 114 00:11:10,270 --> 00:11:16,276 この正月で 18になった。 115 00:11:16,276 --> 00:11:18,978 18…。 116 00:11:20,947 --> 00:11:23,616 古町で芸者してるろも➡ 117 00:11:23,616 --> 00:11:28,121 花柳界のアカには染まらねえ 素人っぽい子でのう。 118 00:11:28,121 --> 00:11:35,628 子ども産めば た~んと乳の出そうな体してる。 119 00:11:35,628 --> 00:11:39,432 そいがですか…。 120 00:11:39,432 --> 00:11:43,303 佐穂さ おかしいかの? 121 00:11:43,303 --> 00:11:49,642 32も年の違う若え子に おらが 狂うたと思うかもしんねえども➡ 122 00:11:49,642 --> 00:11:53,646 佐穂さには 分かってもらいてえ。 123 00:11:57,517 --> 00:12:05,925 分かります。 兄様は 健やかなお子が欲しいんだわの。 124 00:12:05,925 --> 00:12:09,128 分かってくれるかのう? 佐穂さ。 125 00:12:10,797 --> 00:12:17,537 実はの これからが おらの 真からの願えだども…➡ 126 00:12:17,537 --> 00:12:24,611 佐穂さには ずっと この家にいてほしいがな…。 127 00:12:24,611 --> 00:12:28,281 後添いが来ても すぐに この家を 仕切れるもんではねえし➡ 128 00:12:28,281 --> 00:12:36,155 烈のためにも こん家んためにも… 佐穂さには いてほしいがら。 129 00:12:36,155 --> 00:12:40,293 のう? 佐穂さ…。 130 00:12:40,293 --> 00:12:45,498 おらにとっても 佐穂さは必要なんら。 131 00:12:47,634 --> 00:12:53,973 ひでえことを…。 何を言わっしゃる…。 132 00:12:53,973 --> 00:12:57,777 兄様 あんまり欲張り! 133 00:12:59,445 --> 00:13:01,381 佐穂さ! 134 00:13:01,381 --> 00:13:10,590 ♬~ 135 00:13:10,590 --> 00:13:29,609 (泣き声) 136 00:13:29,609 --> 00:13:37,350 ♬~ 137 00:13:37,350 --> 00:13:41,954 佐穂さ 待ってくれの! おらが 意造に きちんと話を…! 138 00:13:41,954 --> 00:13:45,291 お願えですけ 行かないでくれ! 139 00:13:45,291 --> 00:13:48,961 お… おばば様 勘弁してくんなせ。 佐穂さ! 140 00:13:48,961 --> 00:13:52,265 勘弁してくんなせの! 佐穂さ! 141 00:13:57,303 --> 00:14:04,110 ♬~ 142 00:14:04,110 --> 00:14:11,250 叔母様 どこ行ったが!? 叔母様 どこ行ったが! 143 00:14:11,250 --> 00:14:23,763 ♬~ 144 00:14:23,763 --> 00:14:29,635 意造! おめえは それでも正気かや!? 145 00:14:29,635 --> 00:14:35,775 50にもなって 18の芸者を引かせて 女房にするとは何事ら!? 146 00:14:35,775 --> 00:14:40,279 この田乃内の家に 泥を塗るつもりかの! 147 00:14:40,279 --> 00:14:46,085 何とか言いなせ! 何とか! おっ母様…。 148 00:14:46,085 --> 00:14:51,290 おら 若え時から 親に背いたことはねかった。 149 00:14:51,290 --> 00:14:55,161 田乃内の家んためなら 何でも 我慢してやってきた。 150 00:14:55,161 --> 00:14:59,999 今度のことも こん家のことを考えた上でのことだ。 151 00:14:59,999 --> 00:15:03,569 そら おっ母様には 気に入らねえかもしんねえども➡ 152 00:15:03,569 --> 00:15:07,907 どうぞ 耐えてくんなせえや このことは…。 153 00:15:07,907 --> 00:15:11,778 おめえは むげえ父親だのう。 154 00:15:11,778 --> 00:15:18,551 そんげな若え継母が来ても 烈と うまくいくわけがあるめえ! 155 00:15:18,551 --> 00:15:22,455 佐穂さと引き離されて 烈は どんげになる!? 156 00:15:22,455 --> 00:15:27,927 哀れとは思わねえがんか! 烈は おらが きちんと教育するが。 157 00:15:27,927 --> 00:15:48,247 ♬~ 158 00:15:48,247 --> 00:16:18,744 (読経) 159 00:16:18,744 --> 00:16:22,081 賀穂… 許せや! 160 00:16:22,081 --> 00:16:27,253 <この家には まだ 賀穂の霊魂が さまよっているのかと➡ 161 00:16:27,253 --> 00:16:32,458 意造は疑った> 162 00:16:40,800 --> 00:16:48,274 烈… これを見てみれ。 「北越雪譜」って本ら。 163 00:16:48,274 --> 00:16:52,144 これはの お父っつぁまが まだ 小せえ頃に➡ 164 00:16:52,144 --> 00:16:54,947 じい様から もろうた本ら。 165 00:16:54,947 --> 00:16:58,417 鈴木牧之っていう 江戸時代のお方が➡ 166 00:16:58,417 --> 00:17:01,320 40年もかけて書いた本ら。 167 00:17:01,320 --> 00:17:07,894 越後の気候 地理 歴史が よ~う分かるように書いてある。 168 00:17:07,894 --> 00:17:12,231 それに 面白え話 不思議な話も いっぺえ 書いてあるすけ➡ 169 00:17:12,231 --> 00:17:14,901 烈も興味が持てるろう。 170 00:17:14,901 --> 00:17:21,073 まあ 烈はのう 目が不自由だすけ 耳から聞いたこと➡ 171 00:17:21,073 --> 00:17:26,579 一つ一つ 忘れねえように 頭に刻み込んでおくがら。 172 00:17:26,579 --> 00:17:30,750 いいか? まず お父っつぁまが読むすけ➡ 173 00:17:30,750 --> 00:17:38,391 そのあと 繰り返して言うてみれ。 いいか? 174 00:17:38,391 --> 00:17:44,931 「一つ 地気。 雪と成る弁。➡ 175 00:17:44,931 --> 00:17:51,270 およそ 天より 形をなして 下すもの。➡ 176 00:17:51,270 --> 00:18:00,713 雨 雪 あられ みぞれ ひょうなり」。 177 00:18:00,713 --> 00:18:03,549 ほれ! 178 00:18:03,549 --> 00:18:06,886 嫌ら! こんげな本は嫌ら! 179 00:18:06,886 --> 00:18:16,362 何する? 大事な教科書ぞ。 拾え。 拾え! 180 00:18:16,362 --> 00:18:21,067 烈は 叔母様に教えてもらうがら。 叔母様でねえと嫌ら! 181 00:18:21,067 --> 00:18:23,002 叔母様は 新発田に帰った。 182 00:18:23,002 --> 00:18:24,937 これからは お父っつぁまが 勉強の相手ら。 183 00:18:24,937 --> 00:18:28,374 連れ戻してくんなせ 叔母様を! 184 00:18:28,374 --> 00:18:32,578 それは できねえのう。 なんして? 185 00:18:32,578 --> 00:18:36,782 さあ 本 拾うて 真面目に「北越雪譜」勉強しれ! 186 00:18:39,085 --> 00:18:41,387 拾えと言うがに! 187 00:18:43,589 --> 00:18:49,095 おめえは 親の言うことに 刃向がうのか? 188 00:18:49,095 --> 00:18:53,265 そんげなことは許さねぞ! 189 00:18:53,265 --> 00:18:59,605 烈は新発田へ行く。 叔母様を呼んでくる! 190 00:18:59,605 --> 00:19:02,808 おつま! おつま! 191 00:19:04,877 --> 00:19:06,812 ⚟おつま! おつま! 192 00:19:06,812 --> 00:19:09,715 (おつま)烈様! 旦那様のお許しがねえがに➡ 193 00:19:09,715 --> 00:19:13,552 やめてくんなせのう 烈様! 行くがら 汽車に乗って! 194 00:19:13,552 --> 00:19:21,293 烈! 行くなら 一人で行け。 一人で 新発田まで行ってみれ。 195 00:19:21,293 --> 00:19:24,897 ああ 行くいの。 一人だって平気ら! 196 00:19:24,897 --> 00:19:26,932 放っとけ! 197 00:19:26,932 --> 00:19:32,371 あん強情者が…。 みんなして構い過ぎる。 おつま! 198 00:19:32,371 --> 00:19:43,015 ♬~ 199 00:19:43,015 --> 00:19:50,523 烈様! 烈様… 烈様! 200 00:19:52,258 --> 00:19:56,095 烈様 危ねえですがね! 201 00:19:56,095 --> 00:20:00,299 烈様 待って! さあ 烈様。 202 00:20:01,901 --> 00:20:04,603 烈様 待って! 203 00:20:04,603 --> 00:20:28,828 ♬~ 204 00:20:28,828 --> 00:20:33,632 (八重)どうも ありがとうございましたいの。 205 00:20:33,632 --> 00:20:41,807 あの~ 佐穂様 おいででやんすか? 206 00:20:41,807 --> 00:20:45,010 どうしたが? おめえ様方。 207 00:20:53,419 --> 00:20:57,990 烈ちゃん…。 叔母様! 208 00:20:57,990 --> 00:21:00,960 烈ちゃん! 叔母様! 209 00:21:00,960 --> 00:21:04,797 烈ちゃん よう来たのう! 210 00:21:04,797 --> 00:21:07,399 叔母様 烈を置いていったら嫌ら! 211 00:21:07,399 --> 00:21:09,768 烈は 一人じゃ 生きていけねえがん! 212 00:21:09,768 --> 00:21:14,106 叔母様がいねば 生きていけねえがん! 213 00:21:14,106 --> 00:21:16,942 (泣き声) 214 00:21:16,942 --> 00:21:24,150 烈ちゃん! 悪かったのう。 ごめんのう。 215 00:21:31,791 --> 00:21:38,297 <酒蔵の全ての仕事が片づいて 一段落した4月の吉日。➡ 216 00:21:38,297 --> 00:21:44,170 意造は せきとの祝言を 敢行した。➡ 217 00:21:44,170 --> 00:21:48,641 むらは この一件で寝込んでしまい➡ 218 00:21:48,641 --> 00:21:52,812 佐穂も烈も 新発田の家から戻らぬままで➡ 219 00:21:52,812 --> 00:21:58,117 祝言は 形ばかりの ささやかなものとなった> 220 00:22:02,488 --> 00:22:22,675 ♬~(歌声) 221 00:22:32,284 --> 00:22:34,787 ちょっと ちょっと ちょっと! 222 00:22:34,787 --> 00:22:39,124 これ おめえさん方で…。 223 00:22:39,124 --> 00:22:42,962 (たね)悪いですなあ。 いいえ。 224 00:22:42,962 --> 00:22:46,298 ⚟(たね)おせき様! 225 00:22:46,298 --> 00:22:50,636 お客様ですがねえ。 226 00:22:50,636 --> 00:22:57,142 (せき)あっ おっか様! いい部屋でねえか せき。 227 00:22:57,142 --> 00:22:59,979 よう来てくんなさったの おっか様! 228 00:22:59,979 --> 00:23:04,250 おせき様。 お客様 長ういなさるようだったら➡ 229 00:23:04,250 --> 00:23:07,586 昼の用意もしますすけ そう言うてくんなせや。 230 00:23:07,586 --> 00:23:12,758 あい。どうぞ。 どうも どうも。 231 00:23:12,758 --> 00:23:16,262 どうぞ。 どうも。 232 00:23:17,930 --> 00:23:22,768 旦那とは どうら? うめえこといってるがんか? 233 00:23:22,768 --> 00:23:27,606 そうか。 年だすけ 心配していたろも…➡ 234 00:23:27,606 --> 00:23:31,410 あっちの方は 大丈夫ながか? 235 00:23:31,410 --> 00:23:34,613 そりゃもう! 236 00:23:34,613 --> 00:23:39,785 それが肝心だいね! 237 00:23:39,785 --> 00:23:44,423 下女や下男が おめえに どんげん つろうあたろうと➡ 238 00:23:44,423 --> 00:23:46,358 おらが ちょくちょく来て➡ 239 00:23:46,358 --> 00:23:48,961 飴玉 しゃぶらせて 手なずけておくすけ➡ 240 00:23:48,961 --> 00:23:53,632 どうってことはねえ。 それよりも 何よりも まず➡ 241 00:23:53,632 --> 00:23:58,504 旦那に かわいがってもらうよう 努めることだいねえ。 242 00:23:58,504 --> 00:24:05,911 大体 そんげん素顔はよくねえ。 おめえ 化粧道具は? 243 00:24:05,911 --> 00:24:11,383 あるども…。 出してみなせえ。へえ。 244 00:24:11,383 --> 00:24:16,255 財布を握っていなさるがは 旦那だすけのう。 245 00:24:16,255 --> 00:24:18,257 「おせきさ おせきさ」と かわいがってもらえば➡ 246 00:24:18,257 --> 00:24:22,127 おめえ 着物も増えるしの! 247 00:24:22,127 --> 00:24:26,765 どれ 手伝ってやるすけ もう化粧しれ。 248 00:24:26,765 --> 00:24:28,701 へえ。 249 00:24:28,701 --> 00:24:48,954 ♬~ 250 00:24:48,954 --> 00:24:50,989 これはこれは 兄様。 251 00:24:50,989 --> 00:24:58,197 この度は ほんに おめでとうごぜえます。いいや。 252 00:25:01,233 --> 00:25:03,235 兄様が? へえ。 253 00:25:03,235 --> 00:25:07,539 後で顔を出すようにと 言うていなさるけんの。 254 00:25:12,945 --> 00:25:21,253 叔母様。 芸者のおっ母様なんて どんげな人らろ? 255 00:25:21,253 --> 00:25:23,922 さあのう…。 256 00:25:23,922 --> 00:25:27,593 (武郎)兄様 人の一生を懸けた 遺言てもんは➡ 257 00:25:27,593 --> 00:25:30,629 何よりも大事なもんと おら 心得ていますいの。 258 00:25:30,629 --> 00:25:34,933 そん遺言を 兄様は 見事に覆してしもた。 259 00:25:34,933 --> 00:25:38,804 あんまりじゃねえですか! それはのう…➡ 260 00:25:38,804 --> 00:25:44,410 弁護士の立ち会いの下で きちっと 書面にした遺言なら別だろうも➡ 261 00:25:44,410 --> 00:25:48,614 賀穂は ただ おらと おふくろに 個人的に伝えただけだでの。 262 00:25:48,614 --> 00:25:52,951 んだども 死を覚悟の 最後の姉の願いですて。 263 00:25:52,951 --> 00:25:55,854 それを無視してもいいもんでは ねえですろう! 264 00:25:55,854 --> 00:26:01,226 うん。 実はのう おらも このままでは➡ 265 00:26:01,226 --> 00:26:04,229 賀穂が成仏できねえんでは ないかと心配だすけ➡ 266 00:26:04,229 --> 00:26:08,100 必死になって 位牌に 両手 合わしているいの。 267 00:26:08,100 --> 00:26:10,736 そんなら 言わしてもらうども…➡ 268 00:26:10,736 --> 00:26:14,907 おらちの佐穂を 本妻として 入籍してくんなせ! 269 00:26:14,907 --> 00:26:17,376 うん? そん古町の おせきさんとやらは➡ 270 00:26:17,376 --> 00:26:20,913 まだ 入籍してねえんですろ? ああ まだだろも…。 271 00:26:20,913 --> 00:26:27,085 そうせば おせきさんを 妾にしてくんなせや!妾? 272 00:26:27,085 --> 00:26:30,956 ええ。 まして 相手は 古町芸者ではねえですか。 273 00:26:30,956 --> 00:26:33,258 もし 妾に いい子が生まれたら➡ 274 00:26:33,258 --> 00:26:37,129 その子を跡継ぎにしたって いいでねえですか! 275 00:26:37,129 --> 00:26:41,600 武郎さ… そこまで言うか。 276 00:26:41,600 --> 00:26:45,471 お前も なかなか しぶとい男になったわのう! 277 00:26:45,471 --> 00:26:52,277 だども 兄様 これが 普通 男の考える道理ですやろ! 278 00:26:52,277 --> 00:26:55,614 (昌枝)本当はのう せき。➡ 279 00:26:55,614 --> 00:26:59,418 旦那から おめえを 引かせるって話があった時➡ 280 00:26:59,418 --> 00:27:03,422 おら てっきり妾にするがとばかり 思うていたったんら。 281 00:27:03,422 --> 00:27:08,127 ところが 本妻に据えるて言うすけ おら びっくりして…。 282 00:27:08,127 --> 00:27:11,363 やめた方がいいと言うたがに。 283 00:27:11,363 --> 00:27:14,733 旦那さんは きちんとしたお人だすけ。 284 00:27:14,733 --> 00:27:17,069 だろも おめえだって➡ 285 00:27:17,069 --> 00:27:20,906 町なかに こぢんまりとした家でも 造ってもろて➡ 286 00:27:20,906 --> 00:27:24,776 時々 訪ねてくる旦那を迎えて のんきに暮らした方が…。 287 00:27:24,776 --> 00:27:27,679 もう こんげん 人が いっぺえいて➡ 288 00:27:27,679 --> 00:27:30,616 面倒くせえ 地主のうちなんかの 嫁んなるよりは➡ 289 00:27:30,616 --> 00:27:35,387 もう よっぽど 気楽で いいんではねえがか? 290 00:27:35,387 --> 00:27:39,258 おら… やっぱり 本妻の方がいい。 291 00:27:39,258 --> 00:27:42,160 妾では 人に自慢はできねえども➡ 292 00:27:42,160 --> 00:27:46,031 本妻なら どこへ出ても 大威張りだすけのう。 293 00:27:46,031 --> 00:27:50,269 そんなら よっぽど本腰入れて かからんばなんねえぞ。 294 00:27:50,269 --> 00:27:53,939 同じ屋根ん下に 敵は 一人だけでねえ。 295 00:27:53,939 --> 00:27:57,609 継子に小姑… 鬼1万匹ら! 296 00:27:57,609 --> 00:28:02,347 負けちゃいらんねえぞ。 へえ! 297 00:28:02,347 --> 00:28:05,551 妾なんて 人道上 許されることではねえんら。 298 00:28:05,551 --> 00:28:09,354 そんな 腐ったマネ 絶対 できねえすけの! 299 00:28:09,354 --> 00:28:12,057 そんなら どうするんでやんすか!? 300 00:28:12,057 --> 00:28:14,960 烈ちゃんは あのとおり 佐穂に ぴったり くっついて離れねえ。 301 00:28:14,960 --> 00:28:18,230 もし 佐穂と烈ちゃんを 生木を 引き裂くように切り離せば➡ 302 00:28:18,230 --> 00:28:20,732 そこから 烈ちゃんの不幸も 始まるわの。 303 00:28:20,732 --> 00:28:22,768 何が 烈ちゃんの幸せか…。 304 00:28:22,768 --> 00:28:25,904 まして あの子は 普通の子ではねえんですぜ! 305 00:28:25,904 --> 00:28:28,574 そんげなこと おめえに言われんでも よう分かっとる。 306 00:28:28,574 --> 00:28:32,377 そうせば 話は簡単ら。 筋道は たった一つ。 307 00:28:32,377 --> 00:28:35,914 佐穂を入籍して 烈ちゃんと一緒に くっつけて➡ 308 00:28:35,914 --> 00:28:37,849 田乃内に帰すしか ねえですろう? 309 00:28:37,849 --> 00:28:42,588 ほかに どんげん方法があると 言いなさるんですか? 310 00:28:42,588 --> 00:28:46,458 こんげな大事なことは 今すぐ 決められることではねえすけ➡ 311 00:28:46,458 --> 00:28:50,462 家ん帰って みんなと相談して…。 誰に相談するんでやんすか! 312 00:28:50,462 --> 00:28:54,199 兄様が 自分で決断すれば いいことでねえですか! 313 00:28:54,199 --> 00:28:56,935 今 ここで決めてくんなせや! 314 00:28:56,935 --> 00:28:59,771 烈ちゃんのためにも それが肝心ら。 315 00:28:59,771 --> 00:29:02,207 佐穂を 妻として入籍する。 316 00:29:02,207 --> 00:29:05,110 古町の女は妾として 別に住まわせる。 317 00:29:05,110 --> 00:29:09,715 そうでねえと 佐穂を 田乃内に帰すわけにはいかねえ! 318 00:29:09,715 --> 00:29:11,650 返事をしてくんなせ! 319 00:29:11,650 --> 00:29:16,588 さあ すぐに ここで 佐穂を 入籍すると約束してくんなせえ! 320 00:29:16,588 --> 00:29:18,590 武郎! 321 00:29:21,426 --> 00:29:24,563 なんて あさましいこと 言うがんかね おめえは!? 322 00:29:24,563 --> 00:29:29,067 姉様!つい 立ち聞きして しもうたども➡ 323 00:29:29,067 --> 00:29:31,003 どこの世界に➡ 324 00:29:31,003 --> 00:29:33,939 妻でもねえ女を入籍させるような ムチャが通るがかね!? 325 00:29:33,939 --> 00:29:37,743 だども 姉様! 黙りなせえ! 326 00:29:40,078 --> 00:29:45,951 兄様。 弟が ご無礼なことばっかり 申し上げまして➡ 327 00:29:45,951 --> 00:29:48,587 申し訳ごぜえません。 328 00:29:48,587 --> 00:29:53,091 どうか 水に流してくだせえ。 329 00:29:56,261 --> 00:30:03,402 兄様には ご挨拶もしねえで 帰ってまいりましたども…➡ 330 00:30:03,402 --> 00:30:08,240 こんげに 私の後を追いかけてくれる 烈ちゃんを見て➡ 331 00:30:08,240 --> 00:30:12,144 私も 気持ちが変わりましたいね。 332 00:30:12,144 --> 00:30:19,284 生涯を懸けて… 烈ちゃんを守り抜きますいね。 333 00:30:19,284 --> 00:30:22,954 烈ちゃんと離れねえで ずっと一緒に 暮らしていかれれば➡ 334 00:30:22,954 --> 00:30:27,292 それが 私の幸せです。 335 00:30:27,292 --> 00:30:31,163 ご心配をかけましたども…➡ 336 00:30:31,163 --> 00:30:35,801 烈ちゃんと一緒に 亀田に帰ります。 337 00:30:35,801 --> 00:30:39,004 佐穂さ…。 338 00:30:41,306 --> 00:30:48,647 ありがとうのう。 ほんに ありがとうのう! 339 00:30:48,647 --> 00:30:54,519 どうぞ これから先も 烈のこと 頼むでえ。 340 00:30:54,519 --> 00:30:58,223 こんとおりら! 341 00:31:02,194 --> 00:31:04,930 お父っつぁま! 342 00:31:04,930 --> 00:31:08,767 お父っつぁま! ああ 烈…。 343 00:31:08,767 --> 00:31:11,803 帰ろう! 叔母様と一緒に帰ろう! 344 00:31:11,803 --> 00:31:18,777 ああ 烈。 いかった いかった! うん? いかったのう! 345 00:31:18,777 --> 00:31:22,948 これじゃ 何のために強談判したか 分からねえわの…。 346 00:31:22,948 --> 00:31:26,284 (おつま)お帰りなせえまし! (たね)お帰りなさいませ! 347 00:31:26,284 --> 00:31:31,423 ようまあ お帰りになりましたのう 佐穂様も 烈様も!➡ 348 00:31:31,423 --> 00:31:35,427 みんなで お待ちしておりましたわの! 349 00:31:37,129 --> 00:31:40,799 (使用人たち)お帰りなさいまし。 お帰りなさいまし。 350 00:31:40,799 --> 00:31:43,301 やっぱり うちが いっち いいのう! 351 00:31:43,301 --> 00:31:46,304 (せき)お帰りなさいませ。 352 00:31:50,175 --> 00:31:54,179 お帰りなさいませ。 353 00:31:55,881 --> 00:32:03,622 あっ こっちが せきら。 烈 おめえのおっ母さんら。 354 00:32:03,622 --> 00:32:11,263 せき… せき!え? へえ。 佐穂さに挨拶しれ。 355 00:32:11,263 --> 00:32:16,134 せきでごぜえます。 よろしゅうお願えいたします。 356 00:32:16,134 --> 00:32:19,438 こっちこそ よろしゅうに。 357 00:32:27,612 --> 00:32:30,415 おめえたちがいねえ間は➡ 358 00:32:30,415 --> 00:32:35,253 こん広い家ん中が まるで 墓場みてえだったわのう。 359 00:32:35,253 --> 00:32:39,424 今日は 古町のせきの母親が 来ていたったと見えて➡ 360 00:32:39,424 --> 00:32:47,165 化粧の匂いが プンプンしてのう 息苦しいてなんねえ。 361 00:32:47,165 --> 00:32:51,803 おばば様にも ご心配かけて すまねえことでしたども➡ 362 00:32:51,803 --> 00:32:58,977 これからは こん家に 烈ちゃんと一緒に ず~っと いますすけのう。 363 00:32:58,977 --> 00:33:02,781 ありがてえのう…。 364 00:33:04,783 --> 00:33:08,653 な~して あの人 あんげん 化粧するんだろうか。 365 00:33:08,653 --> 00:33:14,759 顔に 絵の具 塗り付けたみてえで 気持ち悪い。 366 00:33:14,759 --> 00:33:20,632 烈 あんげな女を おっ母様と呼ぶことはねえぞ。 367 00:33:20,632 --> 00:33:25,403 おめえの おっ母様は… 佐穂さんだすけの。 368 00:33:25,403 --> 00:33:28,206 うん! 369 00:33:32,777 --> 00:33:36,648 いかった いかった! 370 00:33:36,648 --> 00:33:40,352 あっ ありがとう。 371 00:33:50,795 --> 00:33:54,432 これからはのう こうして 家族みんなが➡ 372 00:33:54,432 --> 00:33:59,738 顔を合わせて食事するように しようのう。 のう? 373 00:34:02,240 --> 00:34:09,247 烈ちゃん ごはん出して。 ハラコ 載せてあげるわの。 374 00:34:15,387 --> 00:34:19,257 のう! せき このハラコ うめえだろ? 375 00:34:19,257 --> 00:34:21,259 佐穂さん実家から➡ 376 00:34:21,259 --> 00:34:26,031 土産に もろうてきたら。 あい…。 377 00:34:26,031 --> 00:34:29,901 おせきさは 好き嫌えは? え? 378 00:34:29,901 --> 00:34:32,404 食べるもんで 好き嫌えは ねえがんかね? 379 00:34:32,404 --> 00:34:37,409 あっ いえ ねえども…。 380 00:34:39,110 --> 00:34:41,413 ごちそうさま! 381 00:34:41,413 --> 00:34:44,783 烈 まだ ごはん 残ってるがんに。 382 00:34:44,783 --> 00:34:47,686 へえ いい。 食べたくねえ! 383 00:34:47,686 --> 00:34:50,689 烈! 384 00:34:55,794 --> 00:34:59,664 あの…。 何ら? 385 00:34:59,664 --> 00:35:03,535 烈ちゃんは目が悪いと 聞いたったども…。 386 00:35:03,535 --> 00:35:06,237 うん。 目が悪いすけ➡ 387 00:35:06,237 --> 00:35:10,108 学校も行かねえで ず~っと 家ん中で育った。 388 00:35:10,108 --> 00:35:14,112 まあ 初めての人には 慣れにくいところがあるすけ➡ 389 00:35:14,112 --> 00:35:17,849 せきの方からも なるべく 寄り添うてやれ。 な? 390 00:35:17,849 --> 00:35:19,784 あい。 391 00:35:19,784 --> 00:35:24,589 あっ お漬物 もろうてきますいの。 392 00:35:31,763 --> 00:35:39,104 のう 佐穂さ。 せきのことも頼むわのう。 393 00:35:39,104 --> 00:35:41,940 せきに こん家の勝手や 奥向きの差配➡ 394 00:35:41,940 --> 00:35:43,975 すぐに回せんのは これは無理だすけ➡ 395 00:35:43,975 --> 00:35:48,613 当面は 佐穂さが…。 396 00:35:48,613 --> 00:35:53,118 若え嫁だすけのう。 397 00:35:53,118 --> 00:36:02,327 せきの面倒 見てくれねえかのう? 頼むわのう。 のう? 398 00:36:10,068 --> 00:36:14,372 どうぞ。 ん? うん。 399 00:36:17,575 --> 00:36:21,446 <意造が 田乃内家に せきを後妻に入れてから➡ 400 00:36:21,446 --> 00:36:24,649 3か月がたった> 401 00:36:27,585 --> 00:36:29,587 (おつま)烈様。 402 00:36:35,927 --> 00:36:42,700 わあ 上手に雑巾が! 今月から縫い物を始めたが。 403 00:36:42,700 --> 00:36:44,636 佐穂様に習えば 今に 烈様も➡ 404 00:36:44,636 --> 00:36:47,939 着物だって 縫えるようになりますがね。 405 00:36:50,475 --> 00:36:57,615 あの… 烈様の手鏡のことだどもの。 手鏡が どうしたがん? 406 00:36:57,615 --> 00:37:03,421 へえ。 この前から ねえねえって 捜しておいでだったども…➡ 407 00:37:03,421 --> 00:37:09,727 おせき様の部屋にありますがね。 せきの部屋に!? 408 00:37:09,727 --> 00:37:14,899 烈様! おらが 取ってきてあげますがの。 409 00:37:14,899 --> 00:37:17,402 いや 自分で取り戻してくる! 烈様! 410 00:37:19,738 --> 00:37:26,077 まあ これは お嬢様。 お邪魔いたしておりますわのう。➡ 411 00:37:26,077 --> 00:37:31,883 後で ご挨拶にあがろうかと 思うていましたところでのう。 412 00:37:31,883 --> 00:37:38,089 せき。 こん鏡は どうしたがん? どこから 手に入れたがん? 413 00:37:38,089 --> 00:37:42,393 え? それは あの… あっ おらが 古町いた時に➡ 414 00:37:42,393 --> 00:37:46,931 旦那様が 研ぎ屋があったら 研ぎに出してくれと持ってきなさって…。 415 00:37:46,931 --> 00:37:50,401 そいで 自分のもんにしたがんか? いいえの! 416 00:37:50,401 --> 00:37:53,271 そのまま 旦那様も 何ともおっしゃらねえすけ➡ 417 00:37:53,271 --> 00:37:56,941 おらが 荷物と一緒に こっちに持ってきましたわの。 418 00:37:56,941 --> 00:38:03,348 勝手に持ってきて使うてれば 泥棒でねえかね。 419 00:38:03,348 --> 00:38:06,251 そうだろうの 泥棒だろ! 420 00:38:06,251 --> 00:38:11,055 お嬢様 ちっと待ってくんなせ! せきも うかつでした。 421 00:38:11,055 --> 00:38:16,761 せきさ ここは ひとまず お嬢様に おわびを言いなせ。 422 00:38:18,363 --> 00:38:22,734 どうも すまねえことを…。 勘弁してくんなせ。 423 00:38:22,734 --> 00:38:25,436 これからは 気を付けてのう。 424 00:38:29,908 --> 00:38:33,912 なんとまあ かわいげのねえ尼っ子らこと! 425 00:38:36,781 --> 00:38:43,254 そうだったが。 お父様が 研ぎに出して そのまんまに…。 426 00:38:43,254 --> 00:38:48,593 こん鏡はね おっ母様も使うてたし 烈も使うてたった。 427 00:38:48,593 --> 00:38:55,266 それを お父っつぁまが せきに使わせていたなんて… 嫌ら! 428 00:38:55,266 --> 00:39:00,471 せきには こん家のもん 何も触ってもらいとうねえわね! 429 00:39:04,943 --> 00:39:12,684 おお 常石先生。 どんげな具合かのう? せきは。 430 00:39:12,684 --> 00:39:14,619 そら…。 431 00:39:14,619 --> 00:39:17,522 (泣き声)おめえも 水商売 くぐってきた女なら➡ 432 00:39:17,522 --> 00:39:20,225 こんくれえのことで 音を上げるんじゃねえ! 433 00:39:20,225 --> 00:39:23,895 今に 敵を取ってやる日が きっと来るすけの! 434 00:39:23,895 --> 00:39:26,798 おうおう おうおう! 435 00:39:26,798 --> 00:39:30,568 寄せてもらってますいのう。 おお おっかさん よう来たのう! 436 00:39:30,568 --> 00:39:35,740 おっかさんが来ると こん家が にぎやかでのう。 437 00:39:35,740 --> 00:39:40,245 どうした? 何かあったんか? 旦那様。 438 00:39:40,245 --> 00:39:44,916 こんげなこと 私が申しますのは 差し出がましいことですども➡ 439 00:39:44,916 --> 00:39:47,819 こんままでは あんまり せきが むごい。 440 00:39:47,819 --> 00:39:52,790 むごすぎますわの! ん? 441 00:39:52,790 --> 00:39:57,629 何があったんか知んねえども 泣くことはねえ。 せき! 442 00:39:57,629 --> 00:40:02,934 おめえ 病気でねかったんら。 おめでたら。 443 00:40:02,934 --> 00:40:07,272 3か月ら。 来年の春には産まれるぞ。 444 00:40:07,272 --> 00:40:10,775 産まれる? せきに 子が産まれる!? 445 00:40:10,775 --> 00:40:18,650 ああ。 おめえは もともと丈夫だし 安産ら。 元気な子が産まれるで! 446 00:40:18,650 --> 00:40:22,787 いかったいねえ せき! やってくれたのう! 447 00:40:22,787 --> 00:40:26,958 ああ でかしたのう せき! これで おめえも大威張りだいね! 448 00:40:26,958 --> 00:40:32,964 でかした でかした! でかしたのう せき! 449 00:40:35,133 --> 00:40:37,802 <亀田も 秋になり➡ 450 00:40:37,802 --> 00:40:43,141 野積から 杜氏の平山 晋と 蔵人たちがやって来て➡ 451 00:40:43,141 --> 00:40:49,647 蔵も活気づき そして 雪の季節となった> 452 00:41:11,602 --> 00:41:14,105 せき! 453 00:41:14,105 --> 00:41:20,611 せき 何してるんら? うん? 危ねえでねえか。 454 00:41:20,611 --> 00:41:22,647 足 滑らしたら どうするんら? 455 00:41:22,647 --> 00:41:27,285 千両 取ろうたっと思うたすけ。 千両 欲しけりゃ➡ 456 00:41:27,285 --> 00:41:31,289 お啓にでも 誰でも言って 取らせればいいでねえか。 457 00:41:34,959 --> 00:41:41,299 せき ドジョウの頭 残したら駄目ら。 丸ごと食えや。 458 00:41:41,299 --> 00:41:45,636 うんだども 頭 硬うて…。 459 00:41:45,636 --> 00:41:50,441 こんげなドジョウぐらい 頭から食えねえでどうする? 460 00:41:50,441 --> 00:41:55,279 腹ん子が食うと思うて いっぺえ食うて 栄養つけねばの。 461 00:41:55,279 --> 00:41:59,817 へえ。 これも食え。 462 00:41:59,817 --> 00:42:03,121 ほれ。 へえ。 463 00:42:09,093 --> 00:42:13,965 (番頭)旦那さん 飯が済んだら 蔵の方にと呼んでいますすけ。 464 00:42:13,965 --> 00:42:16,601 醪の出来具合を見てほしいと。 465 00:42:16,601 --> 00:42:19,637 おお へえ 出来たか! へえ! 466 00:42:19,637 --> 00:42:25,777 ああ 今年は 搾りの頃には 子が産まれそうだし➡ 467 00:42:25,777 --> 00:42:30,415 こりゃ 家も蔵も大忙しらて! 468 00:42:30,415 --> 00:42:34,719 せき 頭 食うだど。 469 00:42:43,795 --> 00:42:47,298 おせきさ どうだろう? 470 00:42:47,298 --> 00:42:51,302 おめえさんも へえ すぐ 母親になるんだすすけ…➡ 471 00:42:51,302 --> 00:42:55,807 化粧の具合を もうちっと 控えなさった方がのう➡ 472 00:42:55,807 --> 00:43:00,778 こん家の おっ母様としての貫禄も つくと思うども。 のう? 473 00:43:00,778 --> 00:43:05,483 旦那様は この方がいいと 言うてくださってるわね。 474 00:43:05,483 --> 00:43:08,453 まあ そうかね…。 475 00:43:08,453 --> 00:43:12,924 佐穂さなんかには 男の気持ちは分からねえわね。 476 00:43:12,924 --> 00:43:16,427 一遍も嫁に行ったこともねえ女子に。 477 00:43:19,797 --> 00:43:24,102 うん。 うまかった! 478 00:43:27,772 --> 00:43:30,575 はあ~! 479 00:43:32,610 --> 00:43:38,282 (昌枝)ハハハッ その調子だいね! 子どもさえ 産めば➡ 480 00:43:38,282 --> 00:43:42,153 おめえは 押しも押されもしねえ この家のおっ母様で➡ 481 00:43:42,153 --> 00:43:47,792 おらは お世継ぎのおばあ様ら! アハハハハハハッ! 482 00:43:47,792 --> 00:43:53,131 ⚟(笑い声) 483 00:43:53,131 --> 00:43:58,803 (むら)あれは 誰ら? あれは…。 484 00:43:58,803 --> 00:44:03,574 あれは 古町だろう。 485 00:44:03,574 --> 00:44:08,746 あんげな 財産目当ての女を寄せつけては➡ 486 00:44:08,746 --> 00:44:13,084 田乃内家も危ねえ。 487 00:44:13,084 --> 00:44:16,120 それが 気がかりで…。 488 00:44:16,120 --> 00:44:18,956 おばば様…。 489 00:44:18,956 --> 00:44:21,792 気がかりで…。 490 00:44:21,792 --> 00:44:36,274 ♬~ 491 00:44:36,274 --> 00:44:38,276 <年を越した その冬に➡ 492 00:44:38,276 --> 00:44:43,614 むらは 78歳の生涯を終えた。➡ 493 00:44:43,614 --> 00:44:54,258 そして 間もなく 昭和2年の2月 せきは 元気な男の子を産んだ。➡ 494 00:44:54,258 --> 00:44:58,429 丈一郎と名付けられた その子は すくすくと成長し➡ 495 00:44:58,429 --> 00:45:02,433 意造は 片ときも そばから離そうとしなかった> 496 00:45:02,433 --> 00:45:07,638 丈一郎 面白えか? ん? 497 00:45:10,374 --> 00:45:13,744 <昭和6年 丈一郎は4歳になり➡ 498 00:45:13,744 --> 00:45:17,582 端午の節句を迎えた> 499 00:45:17,582 --> 00:45:21,452 (おえい)丈一郎坊様と遊んでると ヘトヘトになりますいね!➡ 500 00:45:21,452 --> 00:45:25,756 へえ! もう腕白で 力が有り余って…。 501 00:45:25,756 --> 00:45:29,627 男ん子は腕白でねえと。 のう? 丈や。 502 00:45:29,627 --> 00:45:33,264 おめえ 大きゅうなったら 何になる?(丈一郎)兵隊さん! 503 00:45:33,264 --> 00:45:39,403 ハハッ 兵隊さんか。 おめえを戦地に送り出して➡ 504 00:45:39,403 --> 00:45:42,306 敵の弾よけにするわけには いかんわのう。 505 00:45:42,306 --> 00:45:47,144 たった一人の跡取りなんだすけ。 学問しねばなんねえ。 のう? 506 00:45:47,144 --> 00:45:53,284 立派な男にならねばなんねえのう。 のう? 丈や。うん! 507 00:45:53,284 --> 00:45:57,154 これ 丈… 口 拭いて。 ほら。 508 00:45:57,154 --> 00:46:01,559 (おつま)旦那様 新潟から 写真屋さんが来ましたすけ。 509 00:46:01,559 --> 00:46:08,332 おう 来たか! 丈 写真撮るすけの。 510 00:46:08,332 --> 00:46:17,375 ♬~ 511 00:46:17,375 --> 00:46:19,910 (写真屋)こっち 向いてくんなせえ! 512 00:46:19,910 --> 00:46:23,114 (シャッター音) じゃあ 撮りますすけ。 513 00:46:25,082 --> 00:46:27,585 うん。 もう一息ら。 514 00:46:27,585 --> 00:46:30,888 あとは 袖つけるだけでいいの。 うん。 515 00:46:34,258 --> 00:46:39,930 烈の目は あと どれだけ見えるだろうか…。 516 00:46:39,930 --> 00:46:43,768 えっ あと どれだけて? 517 00:46:43,768 --> 00:46:47,271 薬も ず~っと休まねえで のんでるし➡ 518 00:46:47,271 --> 00:46:50,775 なるべく メガネも かけるようにしてるがんに…➡ 519 00:46:50,775 --> 00:46:57,114 効き目はねえすけ。 だんだん悪うなる。 520 00:46:57,114 --> 00:46:59,150 そんげなことねえわね。 521 00:46:59,150 --> 00:47:02,353 烈ちゃんは こんげに 上手に お針もできるし➡ 522 00:47:02,353 --> 00:47:06,724 ますます 上達してるでねっか…。 523 00:47:06,724 --> 00:47:11,362 目が悪うなると その分だけ 勘が働くがん。 524 00:47:11,362 --> 00:47:16,067 勘が どんどん ようなって ここと思うたところに針を刺すと➡ 525 00:47:16,067 --> 00:47:19,103 間違うことはねえなってる…。 526 00:47:19,103 --> 00:47:23,407 そう 勘で…。 527 00:47:25,242 --> 00:47:30,581 今んうちだいね。 丈に 浴衣を縫ってやれるのは。 528 00:47:30,581 --> 00:47:35,920 目が 全然 見えねえなれば 縫い物なんて できねえなるわね。 529 00:47:35,920 --> 00:47:40,624 烈ちゃん…。 早う仕上げて 丈に着せてやろ。 530 00:47:44,595 --> 00:47:48,466 ♬~(ラジオ) 531 00:47:48,466 --> 00:47:53,104 これ。 丈に着せてやってくんなせ。 532 00:47:53,104 --> 00:47:57,942 どうしたがら? これ。 私が 丈のために縫うたが。 533 00:47:57,942 --> 00:48:01,712 へえ 烈さがのう! 534 00:48:01,712 --> 00:48:09,587 ♬~(ラジオ) 535 00:48:09,587 --> 00:48:12,223 こんラジオはのう➡ 536 00:48:12,223 --> 00:48:16,894 旦那様が 丈一郎のために 買うてくださったもんだすけのう。 537 00:48:16,894 --> 00:48:18,929 烈さが いくら聴きとうても➡ 538 00:48:18,929 --> 00:48:23,768 年がら年中 かけておくわけには いかねえわね。 539 00:48:23,768 --> 00:48:28,072 あっ 姉様ら! 丈! 540 00:48:29,907 --> 00:48:33,577 ま~た こんげなところに 大きなコブ こしらえてら! 541 00:48:33,577 --> 00:48:37,081 遊ぼう 遊ぼう! 姉様 遊ぼう! 542 00:48:37,081 --> 00:48:40,951 丈。 烈さはのう 病院に行かねばなんねえすけ➡ 543 00:48:40,951 --> 00:48:43,754 遊ばれねえんだと。 遊ぼう! 544 00:48:43,754 --> 00:48:48,092 ほんなら 奥に行こうね。 丈 おいで! 545 00:48:48,092 --> 00:48:53,397 丈!? これ 丈! 546 00:48:55,833 --> 00:49:00,204 あんげな目の悪い子に 丈を任せられねえがね! 547 00:49:00,204 --> 00:49:02,139 おえいさ? へえ! 548 00:49:02,139 --> 00:49:04,542 見張っててけれ! へえ! 549 00:49:04,542 --> 00:49:08,846 万が一 ケガでもさせられたら 大ごとら! 550 00:49:12,716 --> 00:49:15,419 ここ。 551 00:49:17,555 --> 00:49:19,557 うん 上手 上手! 552 00:49:27,231 --> 00:49:31,068 あっ お帰りなさいませ。 これ 繕っておきましたども…。 553 00:49:31,068 --> 00:49:33,370 ああ すまねえのう。 554 00:49:33,370 --> 00:49:37,241 せきに任しといたら ほったらかしたまんまで…。 555 00:49:37,241 --> 00:49:39,176 やっぱり こんげんことは➡ 556 00:49:39,176 --> 00:49:41,912 佐穂さでねえと 目が届かねえすけのう。 557 00:49:41,912 --> 00:49:45,583 まあ しかたねえわのう。 558 00:49:45,583 --> 00:49:49,453 ⚟(笑い声) 559 00:49:49,453 --> 00:49:55,092 んだども こん家も どうにか収まってきた。 560 00:49:55,092 --> 00:49:58,128 まあ せきは あんとおり 不調法な女だども➡ 561 00:49:58,128 --> 00:50:02,967 佐穂さのおかげで…。 私は 何も。 562 00:50:02,967 --> 00:50:05,803 ⚟(笑い声) 563 00:50:05,803 --> 00:50:09,406 姉弟も みんな 仲ようて…。 564 00:50:09,406 --> 00:50:14,245 おら どんげ うれしいか しれやしねえ。 565 00:50:14,245 --> 00:50:19,416 まあ いずれは 丈一郎が こん家を継ぐことになろうも…➡ 566 00:50:19,416 --> 00:50:25,789 佐穂さ… おめえさんのことは ちゃんとするすけのう。 567 00:50:25,789 --> 00:50:29,093 そんげなことは…。 568 00:50:34,131 --> 00:50:36,433 はっけよ~い のこった! 569 00:50:41,805 --> 00:50:48,812 <季節は巡って 9月を迎えた> 570 00:50:50,814 --> 00:50:58,322 丈一郎!坊様! 丈一郎坊様! 571 00:50:58,322 --> 00:51:03,594 ピヨ おいで! 572 00:51:03,594 --> 00:51:07,932 丈一郎は どこ行ったが? 知らねえ。 573 00:51:07,932 --> 00:51:10,601 知らねえはずないろがね! 574 00:51:10,601 --> 00:51:12,937 丈一郎はのう おめえさの行くとこなら➡ 575 00:51:12,937 --> 00:51:14,872 どこへだって 付け回って行くすけの! 576 00:51:14,872 --> 00:51:16,807 (たね)お帰りなさいませ。 577 00:51:16,807 --> 00:51:19,710 いや~ 今年も 一人の入れ替えもねえで➡ 578 00:51:19,710 --> 00:51:22,112 野積の衆が 来てくれることになってのう。 579 00:51:22,112 --> 00:51:26,116 あ~ いかった いかった! 580 00:51:28,285 --> 00:51:31,956 どうかしたがんか? へえ…。 581 00:51:31,956 --> 00:51:34,425 あ? 何かあったんか。 582 00:51:34,425 --> 00:51:38,796 旦那様 みんなで 手分けして捜していますども➡ 583 00:51:38,796 --> 00:51:42,433 お昼から 丈一郎坊様が どこにも見えねえんですいね。➡ 584 00:51:42,433 --> 00:51:46,303 蔵ん中にも いねえんですて! 585 00:51:46,303 --> 00:51:48,806 何!? 586 00:51:48,806 --> 00:51:54,979 丈一郎坊様! 坊様!坊様! 丈一郎坊様! 587 00:51:54,979 --> 00:51:59,817 丈一郎! 丈一郎! 588 00:51:59,817 --> 00:52:04,655 旦那様! 裏門とこさ すぐ来てくんなせ! 589 00:52:04,655 --> 00:52:21,939 ♬~ 590 00:52:21,939 --> 00:52:24,942 丈一郎! 591 00:52:27,277 --> 00:52:30,280 丈一郎! 592 00:52:32,616 --> 00:52:36,120 丈… 丈! 593 00:52:36,120 --> 00:52:41,291 丈一郎! 丈一郎! 594 00:52:41,291 --> 00:52:47,164 生き返れ。 物 言うてみれ。 丈一郎! 595 00:52:47,164 --> 00:52:50,300 丈! 596 00:52:50,300 --> 00:52:54,171 あっ 先生! 先生 助けてくんなせ! 597 00:52:54,171 --> 00:52:59,977 お金は いくらでも出すすけ お願いします! 助けてくんなせ! 598 00:52:59,977 --> 00:53:03,847 助けてくんなせ! 599 00:53:03,847 --> 00:53:07,785 (泣き声) 600 00:53:07,785 --> 00:53:12,923 (常石)気の毒だども… へえ 手遅れら。 601 00:53:12,923 --> 00:53:26,270 (泣き声) 602 00:53:26,270 --> 00:53:29,606 こん阿呆! 603 00:53:29,606 --> 00:53:34,478 親がついていながら こげな死なせ方させて! 604 00:53:34,478 --> 00:53:36,480 こん…! 兄様 やめて! 605 00:53:36,480 --> 00:53:39,116 やめてくんなせ 兄様! 606 00:53:39,116 --> 00:53:42,152 (泣き声) 607 00:53:42,152 --> 00:53:48,292 な~してら… な~して こんげなことに! 608 00:53:48,292 --> 00:54:08,612 ♬~ 609 00:54:08,612 --> 00:54:16,920 (晋)蔵を閉めるって… 旦那 本気で そんげなことを!? 610 00:54:16,920 --> 00:54:22,726 せっかく 今年も こうして みんなに来てもろたども…➡ 611 00:54:22,726 --> 00:54:27,397 去年は豊作すぎて 米の値段が大暴落ら。 612 00:54:27,397 --> 00:54:30,934 今年は今年で 米は不作ときてる。 613 00:54:30,934 --> 00:54:32,970 おらちの田んぼでも➡ 614 00:54:32,970 --> 00:54:38,675 こっちの立見を 小作が 素直に受け付けねえようになった。 615 00:54:38,675 --> 00:54:41,945 こうなったら 争議になるしかねえ。 616 00:54:41,945 --> 00:54:50,120 この際 酒造りはやめて 争議の収拾に力を入れねば…➡ 617 00:54:50,120 --> 00:54:54,424 地主は 成り立っていかねえなるんだわ。 618 00:54:54,424 --> 00:54:58,295 分かってくんねえかの。 619 00:54:58,295 --> 00:55:00,731 のう 旦那…。 620 00:55:00,731 --> 00:55:07,070 おらたち 蔵の者が力を合わせれば 酒造りは できまっせえ。 621 00:55:07,070 --> 00:55:09,006 しばらく 旦那は➡ 622 00:55:09,006 --> 00:55:12,943 小作の方に かかりっきりに なってもらって いいですすけ。 623 00:55:12,943 --> 00:55:17,080 それじゃ おらの気が済まねえ。 624 00:55:17,080 --> 00:55:21,585 分かってくれや…。 625 00:55:21,585 --> 00:55:26,924 今年の給金は払うすけ…➡ 626 00:55:26,924 --> 00:55:33,230 いっとき 蔵は閉鎖っちゅうことに。 627 00:55:37,634 --> 00:55:41,471 旦那さ~ん 待ってくだされ! 待ってくだされや! 628 00:55:41,471 --> 00:55:44,274 お願いだ~! 629 00:55:44,274 --> 00:55:48,612 おららはの 一年中 泥田ん中につかりながら➡ 630 00:55:48,612 --> 00:55:55,118 胸までつかりながら 米作りだ! そこんとこをのう…。 631 00:55:55,118 --> 00:55:58,789 よう分かっとる! んだども 今年は 大豊作が裏目ん出て➡ 632 00:55:58,789 --> 00:56:01,358 米の値段が急暴落したことは 知ってるだろう! 633 00:56:01,358 --> 00:56:03,427 番頭さんじゃ 話になんねえ! 何でだ! 634 00:56:03,427 --> 00:56:06,897 旦那さんに 小作法案のことで お願いがあって…! 635 00:56:06,897 --> 00:56:08,832 おい 駄目だ 駄目だ! みんな お願いしろって! 636 00:56:08,832 --> 00:56:13,370 (番頭)文句あんなら おらを先に! やめれ。 637 00:56:13,370 --> 00:56:18,909 やめねえか! 和田村みてえになりてえか? 638 00:56:18,909 --> 00:56:21,245 やめろと言うてるでねえか! 639 00:56:21,245 --> 00:56:25,916 (おつま)佐穂様! 旦那様が… 旦那様が! 640 00:56:25,916 --> 00:56:29,253 どうしたがね? 旦那様が 小作と話し合いの最中➡ 641 00:56:29,253 --> 00:56:33,590 お倒れになって 今…。 え!? 642 00:56:33,590 --> 00:56:36,093 大戸を開けれ! 643 00:56:41,765 --> 00:56:45,102 医者 呼べ! 電話 電話! 644 00:56:45,102 --> 00:56:48,005 ほれ 上がれ! 645 00:56:48,005 --> 00:57:04,354 ♬~ 646 00:57:04,354 --> 00:57:08,725 兄様? おお 気が付いたかのう。 647 00:57:08,725 --> 00:57:12,229 佐穂さん 頑張ったのう。 648 00:57:12,229 --> 00:57:19,736 この1週間 帯も解かずに 佐穂さんが看病してくんなすった。 649 00:57:19,736 --> 00:57:33,250 ♬~ 650 00:57:33,250 --> 00:57:38,755 <せきは なぜか 倒れた意造の世話は 佐穂に任せっきりで➡ 651 00:57:38,755 --> 00:57:43,927 丈一郎の思い出に ふけっているようだった> 652 00:57:43,927 --> 00:57:49,232 大丈夫ですかの? 大丈夫ら。 653 00:57:52,269 --> 00:57:54,204 あ~! 654 00:57:54,204 --> 00:58:00,210 ちっと休みましょうかの? いや…。 655 00:58:27,571 --> 00:58:36,913 ♬~(ラジオ) 656 00:58:36,913 --> 00:58:39,583 (ラジオ) 「我らが関東軍の活躍により➡ 657 00:58:39,583 --> 00:58:42,486 満州国が設立されて はや2か月。➡ 658 00:58:42,486 --> 00:58:44,755 晴れ渡る青い空の下➡ 659 00:58:44,755 --> 00:58:48,925 広大な大地に 希望を胸に 降り立った分村移民の数➡ 660 00:58:48,925 --> 00:58:51,261 次第に増加し 満州の地も➡ 661 00:58:51,261 --> 00:58:54,765 活気あふれる豊かな土地に 変わっていきつつあります。➡ 662 00:58:54,765 --> 00:58:59,102 かつては 豊作飢饉による 米価の大暴落に悩まされ➡ 663 00:58:59,102 --> 00:59:02,706 更には 昨年の凶作によって 大打撃を受け➡ 664 00:59:02,706 --> 00:59:05,609 経営困難に陥った農家の人々も➡ 665 00:59:05,609 --> 00:59:09,579 この満州では 自分の土地を持ち 自分で耕し➡ 666 00:59:09,579 --> 00:59:15,085 そして 自分の収入となる 自作農によって 豊かな生活を…」。 667 00:59:40,444 --> 00:59:43,747 烈ちゃん…! 668 00:59:43,747 --> 00:59:47,084 叔母様…。 669 00:59:47,084 --> 00:59:54,958 烈ちゃん 目が… 目が見えねえがかね? 670 00:59:54,958 --> 00:59:58,695 とうとう来たが…。 671 00:59:58,695 --> 01:00:01,631 え!? 672 01:00:01,631 --> 01:00:07,471 3日前から とうとう…。 3日前から? 673 01:00:07,471 --> 01:00:15,946 いつか必ず 昼間も見えねえなると お医者様が言うたったろう? 674 01:00:15,946 --> 01:00:19,783 その日が とうとう来たが…。 675 01:00:19,783 --> 01:00:23,286 そんで 部屋から出ねえで? 676 01:00:23,286 --> 01:00:27,124 誰にも 知られとうねえすけ。 677 01:00:27,124 --> 01:00:29,059 (鳥の鳴き声) 678 01:00:29,059 --> 01:00:34,998 3日前の… 小鳥の鳴く声で 目を覚ましたが。 679 01:00:34,998 --> 01:00:40,303 だども 暗え灰色だ。 680 01:00:40,303 --> 01:00:45,642 こんげん暗え時に な~して 鳴き騒ぐんだろかと思うて…➡ 681 01:00:45,642 --> 01:00:49,146 ドキッとした。 682 01:00:49,146 --> 01:00:56,019 何の明るみでもいいすけ… 見つからねえかと思ったども➡ 683 01:00:56,019 --> 01:01:01,725 分厚い灰色が 烈の周りに来てしもうて…! 684 01:01:03,393 --> 01:01:06,930 おっかなかった…。 685 01:01:06,930 --> 01:01:09,399 いつかは来ると思うて➡ 686 01:01:09,399 --> 01:01:14,771 それが 何よりも おっかなかったども…➡ 687 01:01:14,771 --> 01:01:19,109 とうとう 来てしもうたがん。 688 01:01:19,109 --> 01:01:26,283 烈ちゃん…。 ちっとでもいいがに➡ 689 01:01:26,283 --> 01:01:29,286 薄ぼんやりと見えるだけでも いいがに…➡ 690 01:01:29,286 --> 01:01:34,791 全然 見えねえなるなんて! 691 01:01:34,791 --> 01:01:37,294 烈は こんげん罰を 受けんばなんねえほど➡ 692 01:01:37,294 --> 01:01:39,229 悪い子だったろかと思う。 693 01:01:39,229 --> 01:01:42,165 のう? 叔母様! 694 01:01:42,165 --> 01:01:46,002 違う! 違うて! 695 01:01:46,002 --> 01:01:51,641 烈ちゃんは 小せえ時とは違うて わがまま 言わねえなったし➡ 696 01:01:51,641 --> 01:01:56,313 何でも よう我慢するように なったが…。 697 01:01:56,313 --> 01:01:59,649 それだがに…。 698 01:01:59,649 --> 01:02:05,388 悔しいのう! 叔母様には 何もできねえ。 699 01:02:05,388 --> 01:02:12,762 こうして 一緒に泣くことしか できねえわね…。 700 01:02:12,762 --> 01:02:19,970 ごめんのう! 勘弁して! 701 01:02:21,471 --> 01:02:28,111 叔母様。 烈が 何も見えねえなったこと➡ 702 01:02:28,111 --> 01:02:30,413 誰にも言わねえでの。 703 01:02:30,413 --> 01:02:35,251 せきには 絶対 言わねえでの。 704 01:02:35,251 --> 01:02:42,025 だども お父様には お知らせしねばのう。 705 01:02:42,025 --> 01:02:49,766 お父っつぁま せっかく 体がようなったがに…。 706 01:02:49,766 --> 01:02:57,807 烈の目のこと 知れば また がっくり来るかもしんねえのう。 707 01:02:57,807 --> 01:03:09,619 ♬~ 708 01:03:18,094 --> 01:03:22,899 ああ 烈。 座れ。 709 01:03:24,601 --> 01:03:29,773 のう 烈。 お父っつぁまと もう一度 東京へ行って➡ 710 01:03:29,773 --> 01:03:33,943 いい医者に診てもらわねか? 711 01:03:33,943 --> 01:03:37,280 あれから へえ 8年もたってるすけ➡ 712 01:03:37,280 --> 01:03:41,284 日本の医学も ちっとは進んでっかもしんねえ。 713 01:03:41,284 --> 01:03:44,154 へえ 手遅れだぜね お父っつぁま。 714 01:03:44,154 --> 01:03:48,625 まるっきり 見えねえなった今 何をしても 無駄だがねえ。 715 01:03:48,625 --> 01:03:52,128 そんなことは 医者に 診てもらわねんば 分がんねえ。 716 01:03:52,128 --> 01:03:57,801 いいが。 烈の目のことはいいが。 そんげに心配しねえでも➡ 717 01:03:57,801 --> 01:04:02,072 烈は うちのことなら 大抵 一人でやれるわね。 718 01:04:02,072 --> 01:04:05,108 これからは やれることは 一人でやる。 719 01:04:05,108 --> 01:04:10,246 夜も 叔母様とは別に 一人で寝る。 720 01:04:10,246 --> 01:04:13,750 そんげんこと 言うたら 叔母様は 烈ちゃんにしてやれることが➡ 721 01:04:13,750 --> 01:04:16,653 何にも のうなるわね。 722 01:04:16,653 --> 01:04:19,556 今までは 夜は目が見えなかったすけ➡ 723 01:04:19,556 --> 01:04:23,393 叔母様と一緒に寝ていたども…➡ 724 01:04:23,393 --> 01:04:29,766 甘えていたら きりがねえ。 きちんとせんば なんねえわね! 725 01:04:29,766 --> 01:04:45,248 ♬~ 726 01:04:45,248 --> 01:04:47,951 (たね)あれ 古町のおっか様。 727 01:04:47,951 --> 01:04:51,621 おせきさは 昨日 里帰りして いなさらねえですども? 728 01:04:51,621 --> 01:04:56,626 いいえの。 今日は 旦那様に用があって来ましたいの。 729 01:04:58,294 --> 01:05:01,564 お体は まだ 元どおりでは ございませんかねえ? 730 01:05:01,564 --> 01:05:08,905 何ら 特別の用事でも? 旦那様。 今日は へえ➡ 731 01:05:08,905 --> 01:05:14,377 洗いざらい 何でも聞いてもろう つもりで来ましたわね。 732 01:05:14,377 --> 01:05:19,749 実は 昨日 せきが うちに参りましてのう➡ 733 01:05:19,749 --> 01:05:22,385 「おっか様 もう一度➡ 734 01:05:22,385 --> 01:05:26,256 古町で働かしてもらいてえ」って 言うがです。 735 01:05:26,256 --> 01:05:28,191 ほう。 736 01:05:28,191 --> 01:05:32,762 せきは 野積に里帰りするって 言うたったがにのう…。 737 01:05:32,762 --> 01:05:37,267 そうが。 女将んとこへ行ったがんか…。 738 01:05:37,267 --> 01:05:44,140 こちらでは 随分ようしてもろて… 何の不足もないども➡ 739 01:05:44,140 --> 01:05:47,610 じっとしてても 丈一郎のことを思い出すし➡ 740 01:05:47,610 --> 01:05:50,280 代わりの子どもが できればいいども➡ 741 01:05:50,280 --> 01:05:54,784 旦那様も 病に お倒れになって その望みもねえ。➡ 742 01:05:54,784 --> 01:05:59,422 そんなら いっそ お暇をもろて もとの古町に戻り➡ 743 01:05:59,422 --> 01:06:03,226 キリキリ 働いてみてえって 言うんですども。➡ 744 01:06:03,226 --> 01:06:05,562 無理もねえ話だと思うて。 へえ。 745 01:06:05,562 --> 01:06:09,232 女将 その話は➡ 746 01:06:09,232 --> 01:06:13,570 せきが おらに話してくれと 言っただがね? 747 01:06:13,570 --> 01:06:16,906 そういうことですわね。 748 01:06:16,906 --> 01:06:23,680 旦那様も そんげなお体では へえ せきは必要ではないでしょうがね。 749 01:06:23,680 --> 01:06:26,916 去り状を頂けば どっちも好都合。 750 01:06:26,916 --> 01:06:29,586 そこんとこ よ~う考えて➡ 751 01:06:29,586 --> 01:06:33,456 頂くもんの高を 決めてくんなせまし。 752 01:06:33,456 --> 01:06:35,925 突然のお願えですども➡ 753 01:06:35,925 --> 01:06:42,098 どうか こん家から出して どうか 自由にさしてくんなせ! 754 01:06:42,098 --> 01:06:45,602 このとおり お願いでございますわねえ! 755 01:06:45,602 --> 01:06:51,107 せきはのう 田乃内家に後添いとして入って➡ 756 01:06:51,107 --> 01:06:53,943 田乃内せきになったんら。 757 01:06:53,943 --> 01:06:56,846 離縁なんぞ するつもりはねえ。 758 01:06:56,846 --> 01:07:01,684 そうせば せきは 一生 こん家に縛られたまんまで!? 759 01:07:01,684 --> 01:07:05,588 了見違えも いい加減にしれ! 760 01:07:05,588 --> 01:07:10,827 田乃内家が 針の筵であろうが 何であろうが➡ 761 01:07:10,827 --> 01:07:13,363 一旦 嫁に入ったからには➡ 762 01:07:13,363 --> 01:07:18,902 辛抱して いいおっ母様になるがが 女の道ら。 763 01:07:18,902 --> 01:07:21,738 おばば様も おっ母様も➡ 764 01:07:21,738 --> 01:07:28,511 前のお母も みんな じ~っと耐えてきたのら。 765 01:07:28,511 --> 01:07:36,085 今更 古町に帰る? 絶対 許さね。 766 01:07:36,085 --> 01:07:43,893 首に縄つけても 引っ張り返す。 そう言うとけ。 767 01:07:45,762 --> 01:07:50,600 <年を重ねて 再び秋がやって来た> 768 01:07:50,600 --> 01:08:10,086 ♬~ 769 01:08:10,086 --> 01:08:13,723 ほんに 桃割れが よう似合うて! 770 01:08:13,723 --> 01:08:16,626 烈ちゃん へえ どっから見ても➡ 771 01:08:16,626 --> 01:08:18,895 立派な娘っ子だわね! 772 01:08:18,895 --> 01:08:21,364 そんげんかねえ? 773 01:08:21,364 --> 01:08:28,071 きれいら…。 ほんに きれいら! 774 01:08:29,739 --> 01:08:32,241 (使用人たち)行ってらっしゃいませ。 775 01:08:32,241 --> 01:08:36,079 <佐穂は 気分が変わるからと➡ 776 01:08:36,079 --> 01:08:41,951 烈を 北山の分家の披露宴に 出かけるように勧めた> 777 01:08:41,951 --> 01:08:56,099 ♬~ 778 01:08:56,099 --> 01:09:04,540 (にぎわい) 779 01:09:04,540 --> 01:09:08,344 田乃内さんよ こんげなお嬢さんが➡ 780 01:09:08,344 --> 01:09:10,880 おめえさんとこには いたったかのう? 781 01:09:10,880 --> 01:09:16,052 なんと きれいなこったいのう! 782 01:09:16,052 --> 01:09:19,722 烈といいますがの。 おいくつだの? 783 01:09:19,722 --> 01:09:22,558 15になりますども。 784 01:09:22,558 --> 01:09:25,228 いや 花嫁のいる席だども➡ 785 01:09:25,228 --> 01:09:28,898 この場で いっち 器量よしだわのう! 786 01:09:28,898 --> 01:09:32,568 そうだろのう? 征義。 787 01:09:32,568 --> 01:09:40,276 (にぎわい) 788 01:09:47,083 --> 01:09:52,955 そんじゃ 意造さ 今の話 真剣に考えといてくんなせや。 789 01:09:52,955 --> 01:09:56,959 いいの? ああ まあ…。 790 01:09:58,694 --> 01:10:00,630 ああ いい いい! 791 01:10:00,630 --> 01:10:03,933 送らねえでいいわの。 また来るすけ。 792 01:10:03,933 --> 01:10:09,439 それまでに きちんと返事を。 いいの? 793 01:10:16,646 --> 01:10:21,117 北山の正博さん お帰りなさったですかね。 794 01:10:21,117 --> 01:10:27,990 佐穂さ… 何だか 信じられねえ話だども➡ 795 01:10:27,990 --> 01:10:33,296 烈に 縁談が舞い込んだわのう。 796 01:10:33,296 --> 01:10:39,969 縁談?こん前 正博んとこの息子の 結婚式に呼ばれた時➡ 797 01:10:39,969 --> 01:10:45,842 烈に 一目ぼれした 若え者がおったらしい…。 798 01:10:45,842 --> 01:10:51,581 どこのお人ですいの? 花嫁の遠縁にあたる家で➡ 799 01:10:51,581 --> 01:10:57,987 柏崎で 北斗屋っていう 海運業やってるとこの息子だ。 800 01:10:57,987 --> 01:11:03,760 いくつ? 24で オヤジの手伝いしてるそげだ。 801 01:11:03,760 --> 01:11:05,695 まあ 次男坊だすけ➡ 802 01:11:05,695 --> 01:11:10,199 養子に出しても 構わねえっていう話だ。 803 01:11:11,934 --> 01:11:16,272 烈ちゃんの目のことは承知で? 804 01:11:16,272 --> 01:11:20,610 うん。 見えねえってことを 知った上で➡ 805 01:11:20,610 --> 01:11:27,116 どうしても 烈のことが 忘れられねえっていう話だわ。 806 01:11:27,116 --> 01:11:33,289 だども… 信じていいもんかどうか。 807 01:11:33,289 --> 01:11:38,161 目の見えねえ娘 からこうてるような気もするし➡ 808 01:11:38,161 --> 01:11:42,365 本気にしていいがかのう? 809 01:11:45,301 --> 01:11:49,172 佐穂さ? 810 01:11:49,172 --> 01:11:54,977 兄様 世の中ん人は➡ 811 01:11:54,977 --> 01:11:59,849 ちゃ~んと 烈ちゃんを 人並みの女として 見てくれてるんですわね。 812 01:11:59,849 --> 01:12:06,088 私らは 烈ちゃんは目が悪うて 大変だと思うばっかりだども…➡ 813 01:12:06,088 --> 01:12:09,959 世間の目は そればっかじゃねえ ってことじゃねえですろか。 814 01:12:09,959 --> 01:12:11,961 そうかのう…。 815 01:12:11,961 --> 01:12:17,266 兄様 悪いことばっかりは 続かねえて。 816 01:12:17,266 --> 01:12:22,138 田乃内の家は きっと 烈ちゃんが もり立ててってくれますわね。 817 01:12:22,138 --> 01:13:40,016 ♬~