1 00:00:06,549 --> 00:00:08,926 (加倉井隼人) 上野が 燃えてしもうた… 2 00:00:09,009 --> 00:00:12,930 <上野戦争は 新政府軍の圧勝に終わった> 3 00:00:13,013 --> 00:00:16,934 (勝) あまりにも非道じゃねぇか! (大村) 道義を違えたなどとは→ 4 00:00:17,017 --> 00:00:20,938 ひとっつも思っちょりゃあせん 説得の一つもできんのかね! 5 00:00:21,021 --> 00:00:22,940 ふむ… 6 00:00:23,023 --> 00:00:27,945 (六兵衛の妻) 主人の勤めは 主人の勤め 7 00:00:28,028 --> 00:00:29,947 (加倉井しずゑ) たとえ 戻らずに死んでも→ 8 00:00:30,030 --> 00:00:35,953 かまわぬとおっしゃいますか? (六兵衛の妻) それが宿命なれば 9 00:00:36,036 --> 00:00:38,956 <六兵衛の正体についても 重要な証言が> 10 00:00:39,039 --> 00:00:42,960 (淀屋) 五千両でいかが? 11 00:00:43,043 --> 00:00:44,962 (勝) 土用のうなぎも 食いそびれたからな 12 00:00:45,045 --> 00:00:47,965 <一方 半年間 握り飯のみだった六兵衛は→ 13 00:00:48,048 --> 00:00:51,969 加倉井の情にほだされ うなぎを食らうが→ 14 00:00:52,052 --> 00:00:54,972 直後に なんと 将軍の御座所である→ 15 00:00:55,055 --> 00:00:58,058 黒書院に入ってしまう> 16 00:00:58,058 --> 00:01:02,062 ♪~ 17 00:01:02,062 --> 00:01:05,983 <しかし その夜 六兵衛に異変が> 18 00:01:06,066 --> 00:01:09,904 <うなぎが原因で 重篤な状態となる> 19 00:01:09,987 --> 00:01:15,993 <かたくなに 薬を拒む六兵衛 果たして その命運は…> 20 00:01:17,995 --> 00:01:23,000 (長太郎) ハァ ハァ ハァ… 21 00:01:28,005 --> 00:01:30,925 (しずゑ) 長太郎… 22 00:01:31,008 --> 00:01:33,928 長太郎 23 00:01:34,011 --> 00:01:39,016 長太郎 ハァ ハァ… 長太郎 24 00:01:42,019 --> 00:01:47,024 (しずゑ) ハァ ハァ ハァ… 25 00:01:47,024 --> 00:01:57,034 ♪~ 26 00:01:57,034 --> 00:02:00,955 (しずゑ) ハァ ハァ ハァ ハァ… 27 00:02:01,038 --> 00:02:03,040 長太郎 28 00:02:07,962 --> 00:02:10,923 \(足音) \(小源太) お頭! 29 00:02:10,965 --> 00:02:13,926 六兵衛が倒れたと聞いたでござる 30 00:02:13,968 --> 00:02:15,928 (的矢六兵衛)〔ンン…〕 (隼人)〔アッ…〕 31 00:02:15,970 --> 00:02:17,930 〔六兵衛~!〕 32 00:02:17,972 --> 00:02:19,974 (的矢)〔ンンッ!〕 33 00:02:21,976 --> 00:02:25,938 (隼人) わしを払いのけて 厠へ行きおった 34 00:02:25,980 --> 00:02:29,942 万が一 これで 六兵衛が死んだとあらば→ 35 00:02:29,984 --> 00:02:33,988 わしが 毒を盛ったようなもの… 36 00:02:35,990 --> 00:02:38,993 責任を取らねばならぬ 37 00:02:42,997 --> 00:02:46,959 (町医者) 薬が効いたようです もう大丈夫でしょう 38 00:02:47,001 --> 00:02:51,964 (しずゑ) 夜分 本当に ありがとうございました 39 00:02:52,006 --> 00:02:55,009 さあ 帰りましょうね 40 00:03:03,017 --> 00:03:07,897 お一人で帰られるのですか? 41 00:03:07,980 --> 00:03:11,901 (しずゑ) 主人は 勤めに出ておりますゆえ >> アァ… 42 00:03:11,984 --> 00:03:13,986 (しずゑ) ありがとうございました >> うむ 43 00:03:26,999 --> 00:03:29,001 (的矢) ンンッ… (隼人) おい 44 00:03:29,001 --> 00:03:34,006 ♪~ 45 00:03:34,006 --> 00:03:36,008 {\an8}(隼人) アアッ 46 00:03:36,008 --> 00:03:39,011 ♪~ 47 00:03:39,011 --> 00:03:42,932 (小源太) なぜ のまん!? (福地) いいかげんにしたまえ! 48 00:03:43,015 --> 00:03:46,018 (隼人) 死んでしまうぞ 六兵衛! 49 00:03:46,018 --> 00:04:12,962 ♪~ 50 00:04:15,965 --> 00:04:18,926 {\an8}(天璋院) 眠れないのでございますか? 51 00:04:18,968 --> 00:04:23,931 {\an8}(家達) お江戸も しまいなのかと思いましたら… 52 00:04:23,973 --> 00:04:26,934 {\an8}上様… 53 00:04:26,976 --> 00:04:31,939 お城を出たあとも 皆々は変わらず→ 54 00:04:31,981 --> 00:04:35,943 予を敬い 尽くしてくれました 55 00:04:35,985 --> 00:04:39,947 それは 開城してから数か月 上様が 立派に→ 56 00:04:39,989 --> 00:04:42,950 お勤めあそばされたからに ございましょう 57 00:04:42,992 --> 00:04:47,955 父上も喜んでくださるでしょうか 58 00:04:47,997 --> 00:04:50,958 <僅か御年6歳にて→ 59 00:04:51,000 --> 00:04:54,962 徳川宗家 十六代に祭り上げられた家達> 60 00:04:55,004 --> 00:05:00,009 <この幼君には 実父と養父 二人の父がいた> 61 00:05:00,009 --> 00:05:05,014 ♪~ 62 00:05:05,014 --> 00:05:08,892 <家達が 十六代目を 相続するにあたり→ 63 00:05:08,976 --> 00:05:10,894 養子に入ったことで→ 64 00:05:10,978 --> 00:05:14,898 実父の田安候は 家達の臣下となり→ 65 00:05:14,982 --> 00:05:17,901 養父とされる 前の将軍家は→ 66 00:05:17,985 --> 00:05:20,904 駿府に移り 謹慎となった> 67 00:05:20,988 --> 00:05:23,907 <つまり 家達にとって 二人の父は→ 68 00:05:23,991 --> 00:05:27,911 いまや 亡きも同然である> 69 00:05:27,995 --> 00:05:31,915 夜分に畏れ入りまする 70 00:05:31,999 --> 00:05:35,002 天璋院様 お城で ちと… 71 00:05:49,016 --> 00:05:53,937 {\an8}(本多) 的矢殿は天罰でござろう 72 00:05:54,021 --> 00:05:56,940 黒書院を汚してはならん 73 00:05:57,024 --> 00:05:58,942 引きずり出しましょうぞ! 74 00:05:59,026 --> 00:06:01,945 (幕臣たち) 引きずり出せ 引きずり出せ! 75 00:06:02,029 --> 00:06:04,948 (勝) 静かにしろい! 76 00:06:05,032 --> 00:06:09,870 力ずくはならんと 西郷さんと 約束したと言ったろう! 77 00:06:09,953 --> 00:06:11,872 (幕臣) 西郷殿の申しつけがなんじゃ! 78 00:06:11,955 --> 00:06:14,875 政も返上し お城も江戸も明け渡したうえ→ 79 00:06:14,958 --> 00:06:16,877 こうまで へつらわねばならんのか! 80 00:06:16,960 --> 00:06:18,879 (幕臣) しかし 六兵衛の意思というのもあろう! 81 00:06:18,962 --> 00:06:20,881 (幕臣) そうじゃ 今 追い出すというのは→ 82 00:06:20,964 --> 00:06:22,883 あまりにも非情ではないか! (幕臣) 何を言うておる! 83 00:06:22,966 --> 00:06:25,886 あやつが何者かは知らぬが 将軍様の御座所を→ 84 00:06:25,969 --> 00:06:27,888 これ以上 汚させるわけにはいかぬ! 85 00:06:27,971 --> 00:06:30,891 (幕臣) 戦じゃ! (幕臣) そうじゃ 戦じゃ! 86 00:06:30,974 --> 00:06:35,896 (騒ぎ声) 87 00:06:35,979 --> 00:06:37,898 (勝) バカ者! 88 00:06:37,981 --> 00:06:40,901 (天璋院) 一同 お静まりなされよ! 89 00:06:40,984 --> 00:06:43,904 (本多) 天璋院様! 90 00:06:43,987 --> 00:06:46,907 何故 こちらに? 91 00:06:46,990 --> 00:06:51,995 (天璋院) 六兵衛が 生死の境にいると伺いました 92 00:06:57,000 --> 00:07:00,921 (天璋院) 体の具合を これ幸いと引きずり出すのは→ 93 00:07:01,004 --> 00:07:03,006 卑怯です 94 00:07:05,008 --> 00:07:09,888 (勝) まあ どちらにしろ なんとかせんと死んでしまう 95 00:07:09,930 --> 00:07:11,890 誰か いい策はないか? 96 00:07:11,932 --> 00:07:15,894 (一同) ンン… (官軍将校) ひとつ ここは→ 97 00:07:15,936 --> 00:07:17,896 徳川宗家をお継ぎになられた→ 98 00:07:17,938 --> 00:07:22,901 家達公の心積もりを 聞きんしゃったらどうじゃろうか 99 00:07:22,943 --> 00:07:27,906 家達公にとって 六兵衛は 家来にあたるはずじゃけぇ 100 00:07:27,948 --> 00:07:31,910 上様に そこ退けと 下知させるおつもりか? 101 00:07:31,952 --> 00:07:34,955 (官軍将校) グッ… ハァー 102 00:07:37,958 --> 00:07:41,920 (隼人) どうすればいいんじゃ? 103 00:07:41,962 --> 00:07:45,924 (天璋院) 上様 (一同) オッ… 104 00:07:45,966 --> 00:07:47,926 (天璋院) 屋敷でお待ちいただくよう→ 105 00:07:47,968 --> 00:07:50,929 申し上げたはずです 106 00:07:50,971 --> 00:07:52,973 (家達) 戦はなりません 107 00:07:54,975 --> 00:07:58,979 的矢には しかと申しつくるゆえ 108 00:07:58,979 --> 00:08:02,983 ♪~ 109 00:08:05,986 --> 00:08:08,864 (隼人) 上様 しばらく! >> 誰か? 110 00:08:08,947 --> 00:08:12,868 (隼人) 尾張家中 加倉井隼人と申しまする 111 00:08:12,951 --> 00:08:17,873 それがしの不行き届きにより かくなる次第と相成りました 112 00:08:17,956 --> 00:08:23,879 上様におかせられましては お関わりなさりませぬよう 113 00:08:23,962 --> 00:08:29,885 なれど このままでは 戦になってしまう 114 00:08:29,968 --> 00:08:32,888 もし 江戸が→ 115 00:08:32,971 --> 00:08:35,974 上野のお山みたいに 焼けてしまったら→ 116 00:08:37,976 --> 00:08:41,980 権現様に申し訳ないもの 117 00:08:41,980 --> 00:09:05,003 ♪~ 118 00:09:05,003 --> 00:09:06,922 (配下たち) アッ… 119 00:09:17,933 --> 00:09:21,895 (隼人) 上様 あちらが 将軍家の御座所にござりまする 120 00:09:21,937 --> 00:09:23,897 お運びくださりませ 121 00:09:23,939 --> 00:09:27,901 もはや 将軍家のものではない 122 00:09:27,943 --> 00:09:31,905 あれなるは 天朝様の玉座ゆえ→ 123 00:09:31,947 --> 00:09:34,950 座ってはならぬ 124 00:09:45,961 --> 00:09:50,966 (家達) 苦しゅうない 面を上げよ 125 00:09:56,972 --> 00:10:00,976 お前に 子はあるのかな? 126 00:10:05,981 --> 00:10:10,986 ねえ 答えてよ 的矢に 子はあるの? 127 00:10:13,989 --> 00:10:16,950 (的矢) ウウッ… ウッ… 128 00:10:16,992 --> 00:10:19,995 ウゥ… 129 00:10:27,002 --> 00:10:30,964 (的矢) ウゥ… >> 分かった 130 00:10:31,006 --> 00:10:33,967 だったら お薬をのんでよ 131 00:10:34,009 --> 00:10:39,014 お前が死んでしまったら 子が かわいそうだよ 132 00:10:41,016 --> 00:10:45,020 ♪~ 133 00:10:45,020 --> 00:10:47,981 (家達) ててなし子は かわいそうだよ 134 00:10:48,023 --> 00:10:50,025 だから 死なないで 135 00:10:50,025 --> 00:11:02,037 ♪~ 136 00:11:02,037 --> 00:11:04,998 (隼人) 上様のおっしゃるとおりじゃ! 137 00:11:05,040 --> 00:11:08,919 お主には 妻と子供がおるであろう! 138 00:11:09,002 --> 00:11:11,922 お主が どこで何をしようと もはや かまわぬが→ 139 00:11:12,005 --> 00:11:15,008 死ぬことは 断じて許さぬ! 140 00:11:15,008 --> 00:11:23,016 ♪~ 141 00:11:23,016 --> 00:11:25,936 (隼人) のんでくれ 142 00:11:26,019 --> 00:11:28,021 六兵衛! 143 00:11:28,021 --> 00:12:15,986 ♪~ 144 00:12:15,986 --> 00:12:17,988 よかった 145 00:12:17,988 --> 00:12:35,005 ♪~ 146 00:12:35,005 --> 00:12:39,926 (お勢) 時代は変われど 私どもの主人は戻らず…→ 147 00:12:40,010 --> 00:12:43,930 でございますね 148 00:12:44,014 --> 00:12:47,934 (しずゑ) うちの主人が 勤めを果たさぬせいで… 149 00:12:48,018 --> 00:12:49,936 なんと申し上げてよいやら… (お勢) しずゑ様→ 150 00:12:50,020 --> 00:12:52,939 そんなつもりでは… ほら もしや→ 151 00:12:53,023 --> 00:12:56,943 元号が変われば 六兵衛様も 時代とともに→ 152 00:12:57,027 --> 00:13:00,947 立ち去るのではございませぬか? (女性) きっと そうですよ 153 00:13:01,031 --> 00:13:04,034 (しずゑ) そうだとよいのですが… 154 00:13:33,980 --> 00:13:35,982 (隼人) ゆっくり休まれよ 155 00:13:48,995 --> 00:14:06,012 ♪~ 156 00:14:06,012 --> 00:14:11,893 {\an8}<徳川慶喜が 駿府で謹慎を始め ひと月余り> 157 00:14:11,977 --> 00:14:16,982 {\an8}<追うように移った家達は 駿府藩主となる> 158 00:14:16,982 --> 00:14:22,988 ♪~ 159 00:14:22,988 --> 00:14:26,908 <そして この日 「慶応」は「明治」に改元され→ 160 00:14:26,992 --> 00:14:30,912 江戸時代は幕を閉じた> 161 00:14:30,996 --> 00:14:33,915 <だが…> 162 00:14:33,999 --> 00:14:36,918 (隼人) 六兵衛 163 00:14:37,002 --> 00:14:40,922 本日をもって 改元がなされた 164 00:14:41,006 --> 00:14:46,011 新しき元号は 「明治」と称する 165 00:15:01,026 --> 00:15:05,947 (隼人) 来る十月十三日 京都の御所より→ 166 00:15:06,031 --> 00:15:08,950 天朝様が こちらに ご到着あそばされる 167 00:15:13,955 --> 00:15:17,917 (隼人) さすれば→ 168 00:15:17,959 --> 00:15:21,963 旗本である お主の役目は 終わったのではないか? 169 00:15:26,968 --> 00:15:28,928 (隼人) まったく… 170 00:15:28,970 --> 00:15:32,932 \(足音) 171 00:15:32,974 --> 00:15:36,936 (本多) そやつの狙いが とうとう分かったぞ! 172 00:15:36,978 --> 00:15:38,938 (隼人) 何を今更… 173 00:15:38,980 --> 00:15:42,942 (本多) 天朝様と共に→ 174 00:15:42,984 --> 00:15:45,945 多くのお偉方が やってくるであろう 175 00:15:45,987 --> 00:15:51,951 その機に乗じて 新政府の顕官に 取り入ろうとしておるのだ 176 00:15:51,993 --> 00:15:54,954 (隼人) いいかげんにしてくだされ 177 00:15:54,996 --> 00:15:59,959 しからば なぜ 六兵衛は 大村様の誘いを断ったのですか? 178 00:16:00,001 --> 00:16:02,962 (本多) 大村殿は武官じゃ 179 00:16:03,004 --> 00:16:06,883 武官である大村殿に付けば→ 180 00:16:06,966 --> 00:16:10,887 イギリスと 戦うはめになるかもしれん 181 00:16:10,970 --> 00:16:16,893 座っておるだけのこやつに そんな勇気はなかろう 182 00:16:16,976 --> 00:16:19,896 (隼人) 自分を棚に上げて どの口が言いなさる 183 00:16:19,979 --> 00:16:21,898 (本多) なんじゃと? 184 00:16:21,981 --> 00:16:26,986 (隼人) 其処許こそ 新政府の役職に 就こうと思ってるのではないか? 185 00:16:26,986 --> 00:16:30,990 ♪~ 186 00:16:32,992 --> 00:16:39,999 (本多) 沈没する船もろとも 江戸前に沈むわけにはゆかぬ 187 00:16:42,001 --> 00:16:48,007 それがしにも 妻や子があるのじゃ 188 00:16:53,012 --> 00:16:56,933 (長太郎) い~ち… (しずゑ) ふた~つ み~っつ… ワアー 189 00:16:57,016 --> 00:16:59,936 フフフッ 190 00:17:00,019 --> 00:17:01,938 (隼人) しずゑ 191 00:17:02,021 --> 00:17:04,023 今 帰った 192 00:17:06,025 --> 00:17:08,862 (しずゑ) おかえりなさいませ (隼人) うむ 193 00:17:08,945 --> 00:17:10,947 長らく留守にして すまなんだ 194 00:17:12,949 --> 00:17:15,869 天朝様が来るまでには 出てゆけと言うたんじゃが→ 195 00:17:15,952 --> 00:17:19,956 あやつ 仏像になったようでのう ハハハッ 196 00:17:24,961 --> 00:17:29,883 (隼人) ん? どうした? 197 00:17:29,966 --> 00:17:32,886 六兵衛のように 腹でも下したか? 198 00:17:32,969 --> 00:17:35,889 (しずゑ) ハァ… 199 00:17:35,972 --> 00:17:38,892 久方ぶりに帰ったというのに→ 200 00:17:38,975 --> 00:17:42,896 六兵衛様の話ばかりで ございますね 201 00:17:42,979 --> 00:17:45,899 (隼人) ん? (しずゑ) 旦那様がおらぬ間→ 202 00:17:45,982 --> 00:17:49,903 長太郎が どれだけ寂しがっていることか 203 00:17:49,986 --> 00:17:51,988 (隼人) アッ… 204 00:17:55,992 --> 00:17:58,912 (隼人) 長太郎 205 00:17:58,995 --> 00:18:00,914 すまんのう 206 00:18:00,997 --> 00:18:02,916 すまんのう (長太郎) うん 207 00:18:02,999 --> 00:18:05,919 (隼人) すまんのう 208 00:18:06,002 --> 00:18:09,881 フフッ すまんのう~ 209 00:18:09,923 --> 00:18:13,885 (しずゑ) 先日 私 六兵衛様のお宅へ伺いました 210 00:18:13,927 --> 00:18:17,889 (隼人) はあ? (しずゑ) 奥様に会い お話をしました 211 00:18:17,931 --> 00:18:20,892 (隼人) なぜ そのようなまねを? 212 00:18:20,934 --> 00:18:24,896 (しずゑ) 旦那様が だらしないからでございましょう 213 00:18:24,938 --> 00:18:26,898 (隼人) 余計なことをせんでくれ 214 00:18:26,940 --> 00:18:28,900 わしは わしで 精いっぱいやっておる! 215 00:18:28,942 --> 00:18:30,902 (しずゑ) 精いっぱいでございますか? (隼人) そうじゃ 216 00:18:30,944 --> 00:18:32,904 食いぶちを得られるように→ 217 00:18:32,946 --> 00:18:35,907 毎日 毎日 必死に勤めておるのじゃ! 218 00:18:35,949 --> 00:18:38,910 (しずゑ) 旦那様 お給金さえ持ってくればいいと→ 219 00:18:38,952 --> 00:18:40,912 お思いではございませぬか! (隼人) なぬ? 220 00:18:40,954 --> 00:18:42,914 (しずゑ) 旦那様は 何も分かっておりません 221 00:18:42,956 --> 00:18:46,918 (隼人) 分かっとらんのは そっちじゃ (しずゑ) ハァー 222 00:18:46,960 --> 00:18:50,964 つべこべ言わず 早く お勤めを終えてくださいまし 223 00:18:53,967 --> 00:18:55,969 (隼人) もう知らぬわ 224 00:19:00,974 --> 00:19:02,976 (隼人) 勝手にせぇ! 225 00:19:06,938 --> 00:19:09,858 (長太郎) とと様は? 226 00:19:09,941 --> 00:19:12,861 (福地) ふむ… なるほど 227 00:19:12,944 --> 00:19:16,865 独り身の僕には分からぬ 苦労があるようだな 228 00:19:16,948 --> 00:19:19,868 しかし 単身 的矢家に乗り込むとは→ 229 00:19:19,951 --> 00:19:23,955 おびえて逃げた加倉井さんより 男気があるではないか 230 00:19:25,957 --> 00:19:29,878 (隼人) なあ 福地殿 もう一度 的矢家を訪ねてみんか? 231 00:19:29,961 --> 00:19:32,881 (福地) ん? なんの心変わりだ? 232 00:19:32,964 --> 00:19:36,885 (隼人) いや あやつのご家族なら 心を動かせるかもしれぬ 233 00:19:36,968 --> 00:19:39,888 (福地) うん… 234 00:19:39,971 --> 00:19:41,973 (隼人) よし… (福地) ん? 235 00:19:55,987 --> 00:19:57,989 (隼人) アッ 236 00:20:02,994 --> 00:20:04,913 (清右衛門) 何用か? 237 00:20:04,996 --> 00:20:08,917 (隼人) 拙者 加倉井隼人と申しまする 238 00:20:09,000 --> 00:20:14,005 的矢六兵衛殿の近況を 伝えに参りました 239 00:20:20,011 --> 00:20:22,931 入りなされよ 240 00:20:23,014 --> 00:20:25,016 江戸も終わった 241 00:20:27,018 --> 00:20:32,023 すべて話すときが 来たのかもしれぬ 242 00:20:32,023 --> 00:20:38,029 ♪~ 243 00:20:38,029 --> 00:20:40,949 (清右衛門) この的矢という家→ 244 00:20:41,032 --> 00:20:45,954 旗本の家という看板が 残っているだけでござる 245 00:20:46,037 --> 00:20:48,957 (隼人) ん? それは どういう意味でございますか? 246 00:20:49,040 --> 00:20:55,046 実は それがし この家の生まれではないのだ 247 00:20:57,048 --> 00:21:02,971 母は 的矢に捨てられた女で→ 248 00:21:03,054 --> 00:21:05,974 貧しい長屋育ち 249 00:21:06,057 --> 00:21:09,936 そもそも それがしは→ 250 00:21:09,978 --> 00:21:13,982 旗本を継ぐべき人間ではなかった 251 00:21:15,984 --> 00:21:21,948 しかし 本家の兄上が 早くに亡くなり→ 252 00:21:21,990 --> 00:21:23,950 跡継ぎもおらず→ 253 00:21:23,992 --> 00:21:28,955 それがしは 的矢の体面を保つため→ 254 00:21:28,997 --> 00:21:34,002 とりあえず 迎えられたのでござるよ 255 00:21:36,004 --> 00:21:37,964 (隼人) そうであったのですか… 256 00:21:38,006 --> 00:21:45,013 (清右衛門) それから 一昨年に この家を去った→ 257 00:21:47,015 --> 00:21:49,976 借金をこさえていた六兵衛… 258 00:21:50,018 --> 00:21:52,979 (元の六兵衛)〔無理を承知で お願い申し上げまする〕 259 00:21:53,021 --> 00:21:55,982 〔父 母だけは…→ 260 00:21:56,024 --> 00:21:58,985 なんとかならぬでしょうか?〕 261 00:21:59,027 --> 00:22:01,988 あやつは→ 262 00:22:02,030 --> 00:22:06,909 みどもらとは血縁のない 養子でござった 263 00:22:06,993 --> 00:22:08,911 (隼人) 養子? 264 00:22:08,995 --> 00:22:15,001 それがしどもの本当の子は 早くに亡くなったのでござる 265 00:22:21,007 --> 00:22:27,930 (清右衛門) それから先 子は できなかったのだが→ 266 00:22:28,014 --> 00:22:34,937 的矢の家を 絶やすわけにはいかぬゆえ→ 267 00:22:35,021 --> 00:22:37,940 養子をもらい受けたのでござる 268 00:22:38,024 --> 00:22:41,944 その養子が 旗本として ふさわしくない→ 269 00:22:42,028 --> 00:22:44,947 とんでもない人間だったわけですか 270 00:22:45,031 --> 00:22:51,954 (清右衛門) いや… それがしどもの罪でござる 271 00:22:52,038 --> 00:22:56,959 (はる) 養子とはいえ できた子供が かわいくて→ 272 00:22:57,043 --> 00:23:00,046 甘やかしすぎたのでございます 273 00:23:03,049 --> 00:23:05,968 そんなときでござった 274 00:23:06,052 --> 00:23:10,890 淀屋に 旗本株を買いたいという男を→ 275 00:23:10,973 --> 00:23:12,975 紹介されたのは 276 00:23:14,977 --> 00:23:18,898 もし 男に無礼あらば→ 277 00:23:18,981 --> 00:23:22,985 刺し違えて 死ぬる覚悟にござった 278 00:23:22,985 --> 00:23:43,005 ♪~ 279 00:23:43,005 --> 00:23:50,012 (六兵衛の妻)〔私どもの 父 母になってくださいまし〕 280 00:23:52,014 --> 00:23:55,935 〔お心遣いは ありがたいがの→ 281 00:23:56,018 --> 00:24:00,940 お主らの 誠の親御どのを差し置いて→ 282 00:24:01,023 --> 00:24:05,027 我らが 親になどなれようか〕 283 00:24:05,027 --> 00:24:11,951 ♪~ 284 00:24:11,951 --> 00:24:18,958 〔主人も私も 生まれついて 親を知りませぬ〕 285 00:24:32,972 --> 00:24:38,936 〔お主 一体 何をしてきた?〕 286 00:24:38,978 --> 00:24:42,940 〔親の顔すら知らぬ二人が→ 287 00:24:42,982 --> 00:24:45,985 どうやって ここまで来た?〕 288 00:24:54,994 --> 00:24:59,957 〔やめおけ 幕府は しまいじゃ〕 289 00:24:59,999 --> 00:25:06,881 〔そうとなれば 旗本とて 一文の値打ちもない〕 290 00:25:06,964 --> 00:25:13,971 〔これまでの苦労を 水の泡にしてはなるまいぞ〕 291 00:25:24,982 --> 00:25:29,904 (清右衛門)「さればこそ」 292 00:25:29,987 --> 00:25:33,991 重いひと言でござった 293 00:25:35,993 --> 00:25:40,915 そのあと 的矢の事情を話した 294 00:25:40,998 --> 00:25:46,003 すると あの男 自ら言いだしたのじゃ 295 00:25:48,005 --> 00:25:52,927 的矢六兵衛を名乗りたいと… 296 00:25:53,010 --> 00:25:56,931 (隼人) 六兵衛殿は 一体 なぜ 旗本になったのでございますか? 297 00:25:57,014 --> 00:25:59,934 >> 知らぬ (隼人) えっ? 298 00:26:00,017 --> 00:26:03,938 あの男の生まれも本名も→ 299 00:26:04,021 --> 00:26:06,899 何も知らぬ 300 00:26:06,941 --> 00:26:11,904 (福地) しかし 素性の分からぬ者と 一緒に暮らすなど… 301 00:26:11,946 --> 00:26:13,906 フッ… 302 00:26:13,948 --> 00:26:18,953 素性を知ることに なんの意味があろう 303 00:26:20,955 --> 00:26:27,920 家柄だ 血筋だと こだわり続けるうちに→ 304 00:26:27,962 --> 00:26:33,968 天下の旗本にふさわしい武士は 一人もいなくなった 305 00:26:35,970 --> 00:26:38,973 それが すべてではござらんか? 306 00:26:38,973 --> 00:26:43,978 ♪~ 307 00:26:43,978 --> 00:26:48,941 武士の時代 最後のときを迎えて→ 308 00:26:48,983 --> 00:26:56,991 我らは 的矢六兵衛という 一閃の光芒を見た 309 00:26:56,991 --> 00:27:08,961 ♪~ 310 00:27:08,961 --> 00:27:11,964 それでいいではござらんか 311 00:27:11,964 --> 00:27:44,997 ♪~ 312 00:27:44,997 --> 00:27:47,917 (六兵衛の妻) ご苦労さまでございました 313 00:27:48,000 --> 00:27:53,005 (隼人) アッ… 六兵衛殿は 随分と 腹をくくってらっしゃる 314 00:27:56,008 --> 00:28:00,012 (福地) しかし あなたは それでよいのですか? 315 00:28:02,014 --> 00:28:05,017 (六兵衛の妻) かまいませぬ 316 00:28:09,939 --> 00:28:12,858 (隼人) ところで 先日→ 317 00:28:12,942 --> 00:28:15,945 女房が訪ねたと聞いた 318 00:28:17,947 --> 00:28:22,868 その折は 大変 失礼いたした 319 00:28:22,952 --> 00:28:25,871 失礼なことなど 何もござりませぬ 320 00:28:25,955 --> 00:28:29,875 (隼人) いや ぶしつけなところも あったでござろう 321 00:28:29,959 --> 00:28:35,881 それもこれも お城勤めを果たされている→ 322 00:28:35,965 --> 00:28:39,885 加倉井様を 思ってのことでござりましょう 323 00:28:39,969 --> 00:28:41,887 (隼人) なんじゃと? 324 00:28:41,971 --> 00:28:44,890 私が→ 325 00:28:44,974 --> 00:28:50,896 主人が死んで 戻らずともかまわぬと申したら→ 326 00:28:50,980 --> 00:28:54,900 こんなことを おっしゃっておりました 327 00:28:54,984 --> 00:28:58,904 (しずゑ)〔たとえ 戻らずに死んでも かまわぬとおっしゃいますか?〕 328 00:28:58,988 --> 00:29:02,992 〔それが宿命なれば〕 329 00:29:06,912 --> 00:29:09,874 (しずゑ)〔承知いたしました〕 330 00:29:09,915 --> 00:29:12,877 〔ですが→ 331 00:29:12,918 --> 00:29:16,922 私は 主人が死んで戻ることは 許しませぬ〕 332 00:29:18,924 --> 00:29:23,888 〔どんなことがあっても 生き抜いて→ 333 00:29:23,929 --> 00:29:29,935 私と息子を 幸せにしてもらいますゆえ〕 334 00:29:29,935 --> 00:29:43,949 ♪~ 335 00:29:43,949 --> 00:29:46,911 (しずゑ) 狙って… 336 00:29:46,952 --> 00:29:48,913 惜しい 337 00:29:48,954 --> 00:29:51,916 ヨッ 338 00:29:51,957 --> 00:29:53,918 オッ アアー! 339 00:29:53,959 --> 00:29:57,963 当たった フフフッ 340 00:29:57,963 --> 00:30:04,970 ♪~ 341 00:30:08,974 --> 00:30:10,976 (隼人) すまなんだ! 342 00:30:12,978 --> 00:30:14,980 (しずゑ) 旦那様… 343 00:30:23,989 --> 00:30:26,992 (隼人) わしは 大バカ者じゃった 344 00:30:28,994 --> 00:30:31,956 お主が いかなる気持ちで 家を守っていてくれたか→ 345 00:30:31,997 --> 00:30:35,960 考えが及ばんかった 346 00:30:36,001 --> 00:30:41,006 わしは 一介の御徒組頭じゃ 347 00:30:43,008 --> 00:30:48,973 遊んで暮らせるような 大金を稼ぐなど まずなかろう 348 00:30:49,014 --> 00:30:51,976 この先 世が変わるなかで→ 349 00:30:52,017 --> 00:30:56,981 つらく苦しい思いを させてしまうかもしれん 350 00:30:57,022 --> 00:31:00,025 じゃが これだけは約束する 351 00:31:02,027 --> 00:31:06,031 お主と長太郎のことは 必ずや守ってみせる! 352 00:31:07,992 --> 00:31:14,999 それが わしの人生で 最も大切な使命じゃ 353 00:31:14,999 --> 00:31:23,007 ♪~ 354 00:31:23,007 --> 00:31:25,009 (隼人) しずゑ→ 355 00:31:28,012 --> 00:31:30,931 長太郎→ 356 00:31:31,015 --> 00:31:34,935 お城での勤めを果たすまで→ 357 00:31:35,019 --> 00:31:40,024 もうしばし待っていてくれ 358 00:31:40,024 --> 00:31:50,034 ♪~ 359 00:31:50,034 --> 00:31:53,037 (しずゑ) お顔を上げてくださいまし 360 00:31:53,037 --> 00:31:57,041 ♪~ 361 00:31:57,041 --> 00:32:01,962 (しずゑ) 旦那様は 加倉井家の主でございますゆえ 362 00:32:02,046 --> 00:32:03,964 主! 363 00:32:04,048 --> 00:32:06,967 (しずゑ) フフッ (隼人) フフッ フッ 364 00:32:08,969 --> 00:32:11,930 <明治元年九月二十日> 365 00:32:11,972 --> 00:32:14,933 <明治天皇を乗せた御鳳輦は→ 366 00:32:14,975 --> 00:32:19,938 京都御所より東京へ向けて 行幸に発った> 367 00:32:19,980 --> 00:32:24,943 <九月二十二日 会津若松城が落城> 368 00:32:24,985 --> 00:32:29,948 <翌月九日 盛岡藩が 新政府に降伏し→ 369 00:32:29,990 --> 00:32:32,951 東北戦争は終結> 370 00:32:32,993 --> 00:32:36,997 <こうして 江戸の時代は 姿を消してゆく> 371 00:32:36,997 --> 00:32:43,003 ♪~ 372 00:32:43,003 --> 00:32:45,005 (隼人) 六兵衛よ→ 373 00:32:47,007 --> 00:32:51,011 あさってには 天朝様が ご到着あそばされる 374 00:32:55,015 --> 00:32:57,976 (隼人) それでな→ 375 00:32:58,018 --> 00:33:04,024 儀式は ここ… 黒書院で行われる予定なんじゃ 376 00:33:06,985 --> 00:33:09,905 じゃが→ 377 00:33:09,988 --> 00:33:12,991 お主が ここに居座っていては それが かなわぬ 378 00:33:15,994 --> 00:33:18,914 お城の中にいるのはよい 379 00:33:18,997 --> 00:33:23,001 せめて ここから出てくれぬか? 380 00:33:31,009 --> 00:33:34,930 事と次第によっては わしも お主も→ 381 00:33:35,013 --> 00:33:38,016 腹を切ることになるかもしれん 382 00:33:43,021 --> 00:33:45,023 動く気はないか? 383 00:33:49,027 --> 00:33:50,946 (福地) フゥー 384 00:33:51,029 --> 00:33:54,950 おい 別れの挨拶に来たぞ 385 00:33:55,033 --> 00:33:57,953 (福地) 駿府ですか? (勝) おうよ 386 00:33:58,036 --> 00:34:01,957 上様方がおるのでな 387 00:34:02,040 --> 00:34:06,962 で 結局 俺よりも居残ったか 388 00:34:09,965 --> 00:34:11,884 大した風格だ 389 00:34:11,967 --> 00:34:17,890 もはや 本物の将軍のようだな 390 00:34:17,973 --> 00:34:20,893 で どうした? 391 00:34:20,976 --> 00:34:24,897 (隼人) 天朝様を迎え入れるにあたり やはり こやつを どうかせんと 392 00:34:24,980 --> 00:34:28,901 アアー それなんだがね 置き土産に 一つ 案を考えてきた 393 00:34:28,984 --> 00:34:31,904 (福地) オッ (隼人) なんと 394 00:34:31,987 --> 00:34:35,908 (勝) 出ないのならば この黒書院を 板戸で塞ぎ→ 395 00:34:35,991 --> 00:34:37,910 廊下に 見張りでも立たしとけ 396 00:34:37,993 --> 00:34:39,912 (福地) オッ それは… (勝) そうすりゃ→ 397 00:34:39,995 --> 00:34:42,915 外からは ただの座敷に見えるし 直訴もできん 398 00:34:42,998 --> 00:34:45,918 (隼人) いや しかし もろもろの儀式は ここで行われると… 399 00:34:46,001 --> 00:34:48,921 そんなもん 大広間にでも 変更すりゃいいんだよ! 400 00:34:49,004 --> 00:34:52,925 (隼人) いや しかし… >> 俺が 話をつけといてやる 401 00:34:53,008 --> 00:34:55,928 なっ じゃあ 頼んだぞ (隼人) アッ… 402 00:34:56,011 --> 00:34:59,014 (勝) じゃあ 福地君 元気でな (福地) はい 403 00:35:06,939 --> 00:35:09,900 さすが 無理筋を通してきた人だ 404 00:35:09,942 --> 00:35:12,945 (小源太) どうなさいますか? 405 00:35:15,948 --> 00:35:17,950 (隼人) やるしかあるまい 406 00:35:17,950 --> 00:35:25,958 ♪~ 407 00:35:25,958 --> 00:35:28,919 (福地) 守神のお社を作ってる気分だな 408 00:35:28,961 --> 00:35:32,923 (小源太) しかし 結局 こやつ 何者なのでございましょうか? 409 00:35:32,965 --> 00:35:35,926 (隼人) もはや 何者でもよい 410 00:35:35,968 --> 00:35:38,929 こやつの生まれが 何であろうと 名が 何であろうと→ 411 00:35:38,971 --> 00:35:41,932 そこに 意味などござらん 412 00:35:41,974 --> 00:35:46,937 武士として生きることに 家柄や血筋など関係ないのだ 413 00:35:46,979 --> 00:35:51,942 己の道を信じ 意思を貫く一人の旗本 414 00:35:51,984 --> 00:35:54,987 それでよいではないか 415 00:35:54,987 --> 00:36:03,996 ♪~ 416 00:36:04,079 --> 00:36:07,958 <この日 江戸の街から人が消えた> 417 00:36:08,041 --> 00:36:10,961 <江戸の 人々は 新たな支配者である→ 418 00:36:11,044 --> 00:36:12,963 天皇についての知識を→ 419 00:36:13,046 --> 00:36:14,965 持ち合わせておらず→ 420 00:36:15,048 --> 00:36:17,968 <むげに 占領されるのではないかと→ 421 00:36:18,051 --> 00:36:19,970 恐れていたからである> 422 00:36:20,053 --> 00:36:22,973 <皆 恐れや困惑にとらわれ→ 423 00:36:23,056 --> 00:36:27,060 ただ 息を潜めるのみであった> 424 00:36:27,060 --> 00:36:33,066 ♪~ 425 00:36:33,066 --> 00:36:37,988 <一方の江戸城 城内は 静寂に包まれ→ 426 00:36:38,071 --> 00:36:41,992 幕府始まって以来 二六〇有余年の→ 427 00:36:42,075 --> 00:36:47,080 栄華と喧騒は もはや みじんも感じられなかった> 428 00:37:06,016 --> 00:37:09,937 (隼人) 六兵衛 入るぞ 429 00:37:38,966 --> 00:37:40,968 (隼人) お主のじゃ 430 00:37:42,970 --> 00:37:45,931 いくら封禁されておるとはいえ→ 431 00:37:45,973 --> 00:37:49,977 その格好で 天朝様を お迎えするわけにもいくまい 432 00:38:43,989 --> 00:38:45,991 (隼人) ンン… 433 00:38:51,997 --> 00:38:53,915 (隼人) フゥー 434 00:38:53,999 --> 00:38:57,002 お主が飲まんでも わしは飲むぞ 435 00:39:02,007 --> 00:39:05,010 (隼人) アァ… 436 00:39:08,930 --> 00:39:10,932 (隼人) ンン… 437 00:39:13,935 --> 00:39:19,858 ここは 今でも 江戸が続いとるようじゃのう 438 00:39:19,941 --> 00:39:26,865 花のお江戸も 随分 廃れてしまった 439 00:39:26,948 --> 00:39:32,871 お大名は どなたも お国元に引き揚げてしもうたし→ 440 00:39:32,954 --> 00:39:36,875 旗本御家人の多くは 自ら 逼塞しおるか→ 441 00:39:36,958 --> 00:39:41,963 さもなくば… 行方知れずじゃ 442 00:39:45,967 --> 00:39:52,891 じゃが 天朝様がいらっしゃれば また 空気も変わるじゃろう 443 00:39:52,974 --> 00:39:54,976 うん 444 00:39:57,979 --> 00:39:59,981 (隼人) アァ… 445 00:40:07,989 --> 00:40:11,993 (隼人) 思えば 実に 足かけ八月 446 00:40:14,996 --> 00:40:21,002 お主とは 長い月日を共にしたのう 447 00:40:25,006 --> 00:40:30,929 あれは まだ 桜も咲かぬ 底冷えする時期じゃったのう 448 00:40:31,012 --> 00:40:34,933 虎の間に居座る お主を見たときは→ 449 00:40:35,016 --> 00:40:38,019 どうしたもんかと思うたもんじゃ 450 00:40:40,021 --> 00:40:44,943 握り飯を食うた姿は 今でも よう覚えとる 451 00:40:45,026 --> 00:40:51,032 あんなに うまそうに食らうやつは 生まれて初めて見たのう 452 00:40:53,034 --> 00:40:58,957 あれ以来 わしらも 食事の作法を 気にするようになったもんじゃ 453 00:40:59,040 --> 00:41:02,961 虎の間を立ったお主は→ 454 00:41:03,044 --> 00:41:06,965 大広間の武者隠しに向こうたのう 455 00:41:08,967 --> 00:41:13,972 それで 風呂に入ったと思うたら 帝鑑の間じゃ 456 00:41:15,974 --> 00:41:19,936 何を思うて 場所を移ったかは分からぬが→ 457 00:41:19,978 --> 00:41:22,981 そのつど 肝を冷やしたものじゃ 458 00:41:24,983 --> 00:41:28,987 お主の脇差しを 取ろうとしたときは… 459 00:41:31,990 --> 00:41:34,993 生きた心地がせんかったわ 460 00:41:36,995 --> 00:41:41,958 こんなことを言うと 笑われるかもしれんがのう→ 461 00:41:42,000 --> 00:41:46,963 武士の魂でもある脇差しを わしに渡してくれたとき→ 462 00:41:47,005 --> 00:41:52,010 少し 心が通じ合った気がしたもんじゃ 463 00:41:55,013 --> 00:41:57,974 (隼人) あのとき→ 464 00:41:58,016 --> 00:42:00,977 こやつは 無益に人を殺したりせんと→ 465 00:42:01,019 --> 00:42:03,021 ふっと感じてな 466 00:42:06,024 --> 00:42:07,901 まあ→ 467 00:42:07,984 --> 00:42:11,988 お主が わしのことを どう思っとるかは分からぬがな 468 00:42:11,988 --> 00:42:15,992 ♪~ 469 00:42:15,992 --> 00:42:17,994 (隼人) アァ… 470 00:42:17,994 --> 00:42:21,998 ♪~ 471 00:42:21,998 --> 00:42:27,921 (隼人) 西郷様に 大村様 472 00:42:28,004 --> 00:42:32,008 お主の前に どんなお偉方が現れても… 473 00:42:32,008 --> 00:42:36,012 ♪~ 474 00:42:36,012 --> 00:42:40,016 (隼人) お主は 誰にも媚びへつらわんかった 475 00:42:43,019 --> 00:42:45,939 (隼人) あまりに堂々としておるゆえ→ 476 00:42:46,022 --> 00:42:49,025 上様かと思ってしまったほどじゃ 477 00:42:49,025 --> 00:42:53,029 ♪~ 478 00:42:53,029 --> 00:42:54,948 (隼人) ハァー 479 00:42:55,031 --> 00:43:00,036 その度胸 分けてほしいものよ 480 00:43:00,036 --> 00:43:06,042 ♪~ 481 00:43:06,042 --> 00:43:09,963 (隼人) ところで お主… 482 00:43:09,963 --> 00:43:14,968 ♪~ 483 00:43:14,968 --> 00:43:17,971 (隼人) やはり 上様ではあるまいな? 484 00:43:19,973 --> 00:43:21,975 (的矢) フゥ… 485 00:43:23,977 --> 00:43:27,981 (隼人) ハハッ 冗談じゃ 486 00:43:27,981 --> 00:43:32,986 ♪~ 487 00:43:32,986 --> 00:43:36,990 (隼人) 大廊下の上之御部屋に 溜間 488 00:43:38,992 --> 00:43:43,955 世間が 時代の変化に大騒ぎすれど→ 489 00:43:43,997 --> 00:43:47,959 お主は 戦国の世から そこにおるように変わらなかった 490 00:43:48,001 --> 00:43:49,961 お主を見る度→ 491 00:43:50,003 --> 00:43:53,965 どっしりとした安心すら 感じるようになっておった 492 00:43:54,007 --> 00:43:56,968 あまりに お主のことを気にしたせいで→ 493 00:43:57,010 --> 00:44:00,013 女房に 叱られてしもうたんじゃぞ! 494 00:44:00,013 --> 00:44:05,018 ♪~ 495 00:44:05,018 --> 00:44:09,898 (隼人) お主の奥方も 大層 気が強そうじゃ 496 00:44:09,981 --> 00:44:13,985 こっぴどく 叱られるのではござらぬか? 497 00:44:15,987 --> 00:44:18,907 そうか 分かったぞ 498 00:44:18,990 --> 00:44:23,912 怒られるのが怖くて 帰れぬのじゃな? 499 00:44:23,995 --> 00:44:25,997 ハハハッ 500 00:44:25,997 --> 00:44:31,002 ♪~ 501 00:44:31,002 --> 00:44:35,006 (隼人) うなぎのせいで 死なんでよかったわい 502 00:44:35,006 --> 00:44:42,013 ♪~ 503 00:44:44,015 --> 00:44:47,018 まだ 何も語ってくれぬか? 504 00:44:54,025 --> 00:44:56,027 よい 505 00:45:01,032 --> 00:45:06,037 いつか お主と 笑って 酒を酌み交わしたいものじゃ 506 00:45:09,958 --> 00:45:14,963 のう 六兵衛と申す者よ 507 00:45:22,971 --> 00:45:24,973 (隼人) アァ… 508 00:45:27,976 --> 00:45:30,979 (隼人) しかし まさか→ 509 00:45:32,981 --> 00:45:35,900 将軍様の御座所→ 510 00:45:35,984 --> 00:45:40,989 ここ… 黒書院まで上るとは思わなんだ 511 00:45:45,994 --> 00:45:50,915 (隼人) 幕府は滅び 江戸はなくなり→ 512 00:45:50,999 --> 00:45:54,919 上様も駿府におられる今→ 513 00:45:55,003 --> 00:45:58,923 お主は まるで→ 514 00:45:59,007 --> 00:46:01,926 代々の将軍様に代わって→ 515 00:46:02,010 --> 00:46:06,014 天朝様をお迎えするようじゃな 516 00:46:10,935 --> 00:46:14,898 (隼人) お主→ 517 00:46:14,939 --> 00:46:16,941 今 何を思うておる? 518 00:46:20,945 --> 00:46:24,908 (隼人) よもや→ 519 00:46:24,949 --> 00:46:27,952 初めから お迎えするつもりで居座った…→ 520 00:46:29,954 --> 00:46:32,957 ということはあるまいな? 521 00:46:32,957 --> 00:46:41,966 ♪~ 522 00:46:41,966 --> 00:46:43,968 (杯を置く音) 523 00:46:46,971 --> 00:46:48,973 (隼人) おい 六兵衛 524 00:46:51,976 --> 00:46:54,938 死を覚悟することはかまわぬ 525 00:46:54,979 --> 00:46:58,942 じゃが→ 526 00:46:58,983 --> 00:47:02,987 本当に死するつもりであれば…→ 527 00:47:05,990 --> 00:47:07,951 許さぬ 528 00:47:10,954 --> 00:47:12,956 (隼人) 六兵衛 529 00:47:17,961 --> 00:47:21,881 新しい時代を→ 530 00:47:21,965 --> 00:47:25,969 共に生きようぞ 531 00:47:25,969 --> 00:47:29,973 ♪~ 532 00:47:29,973 --> 00:47:31,975 よいな? 533 00:47:31,975 --> 00:47:36,980 ♪~ 534 00:47:36,980 --> 00:47:39,983 男と男の約束じゃ 535 00:47:39,983 --> 00:47:55,498 ♪~ 536 00:47:56,124 --> 00:47:59,043 (西郷) 力ずくは いけもはん! 537 00:47:59,127 --> 00:48:01,045 (木戸) 大不敬の罪により→ 538 00:48:01,129 --> 00:48:05,049 首を はねられるだけじゃ 539 00:48:05,133 --> 00:48:09,012 (女官) 徳川幕府の怨念 540 00:48:09,053 --> 00:48:12,015 (しずゑ) 武士の魂は 忘れてはなりませんよ 541 00:48:12,056 --> 00:48:15,018 (慶喜) その方には 話してもよいかもしれぬ 542 00:48:15,059 --> 00:48:17,061 (隼人) なりませぬ! 543 00:48:19,063 --> 00:48:21,024 (男性) 的矢六兵衛… (男性) 的矢殿! 544 00:48:21,065 --> 00:48:23,067 (隼人) 六兵衛! 545 00:48:25,069 --> 00:50:00,123 ♪~