1 00:00:02,202 --> 00:00:09,276 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:09,276 --> 00:01:06,967 ♬~ 3 00:01:10,237 --> 00:01:12,606 (マリ子) ちょっと お待ちなさい マリ子さん。 4 00:01:12,606 --> 00:01:15,409 貴婦人や貴公子たちと 一緒に お勉強するんですからね。 5 00:01:15,409 --> 00:01:19,279 ⚟(はる)まあ アトリエをですか? アトリエ!? 6 00:01:19,279 --> 00:01:21,949 (大造)そういうんじゃねえんですかい? 絵を描く部屋のことを。 7 00:01:21,949 --> 00:01:24,618 そうです アトリエです! 8 00:01:24,618 --> 00:01:26,553 (大造)いや~ いらしたんですか。 9 00:01:26,553 --> 00:01:29,289 いや マリ子さんがね 絵をお描きなさると聞いたら➡ 10 00:01:29,289 --> 00:01:31,291 うちのばあさんが やいのやいのと うるさくてね。 11 00:01:31,291 --> 00:01:33,794 (棟梁)な~に そういう大将だって➡ 12 00:01:33,794 --> 00:01:37,130 今日は日がいいから 土台だけでもいいから据えろと➡ 13 00:01:37,130 --> 00:01:39,066 こわ談判だったじゃねえですか。 14 00:01:39,066 --> 00:01:43,437 (はる)まあ どうも申し訳ございません。 私どもは何にも存じませんで。 15 00:01:43,437 --> 00:01:45,505 いえ 言ってみりゃあね こっちだって好きでやってるんですから➡ 16 00:01:45,505 --> 00:01:47,808 気にしないでくださいよ。 でも 感激です! 17 00:01:47,808 --> 00:01:49,843 自分のアトリエが出来るなんて…。 18 00:01:49,843 --> 00:01:56,149 あ… それは どうも困りましたな 弱りましたな…。何がですか? 19 00:01:56,149 --> 00:02:02,956 こちとら アトリエなんて こう… 横文字の造作ものは初めてなんでね➡ 20 00:02:02,956 --> 00:02:06,593 いや~ 使い勝手は 保証の限りじゃありませんぜ。 21 00:02:06,593 --> 00:02:08,528 そんなことは構いません。 22 00:02:08,528 --> 00:02:12,766 油絵で お座敷を汚さない場所があれば それが アトリエなんですから。 23 00:02:12,766 --> 00:02:15,102 何だ それなら大丈夫です。 24 00:02:15,102 --> 00:02:18,405 (はる) どうぞ よろしゅうお願いいたします。 25 00:02:18,405 --> 00:02:22,275 ありがとうございます。 いや 弱ったな~。 26 00:02:22,275 --> 00:02:28,782 いや 何ね 何かしてあげたくって 大将 うずうずしてんだから。 27 00:02:28,782 --> 00:02:32,419 さあ マリ子 もうお時間でしょう? はい。 28 00:02:32,419 --> 00:02:34,354 じゃあ 行ってまいります。 行ってらっしゃい。 29 00:02:34,354 --> 00:02:36,790 (乙松) お嬢さん これから 絵の勉強ですかい? 30 00:02:36,790 --> 00:02:39,426 はい だって アトリエを造っていただくんだもの。 31 00:02:39,426 --> 00:02:41,795 頑張らなくっちゃ! (粂吉)じゃあ 張り切って 行ってらっしゃい! 32 00:02:41,795 --> 00:02:44,131 はい 行ってきます! 行ってらっしゃい! 33 00:02:44,131 --> 00:02:49,636 どうぞ。 (棟梁)いずれは女流画家ってんですかね? 34 00:02:49,636 --> 00:02:52,139 楽しみがおあんなさって いいですね。 35 00:02:52,139 --> 00:02:55,442 さあ まだ海のものとも山のものとも 分からないんですけど➡ 36 00:02:55,442 --> 00:02:58,812 もし才能があるのなら その才能を伸ばしてやるのが➡ 37 00:02:58,812 --> 00:03:00,747 親の役目ですから。 38 00:03:00,747 --> 00:03:04,918 いや~ しかし そのために 東京へ出てくるなんざ 勇気があると➡ 39 00:03:04,918 --> 00:03:08,255 さすがの うちの いじわるばばあが 感心してた。 40 00:03:08,255 --> 00:03:12,592 未知への戦いを恐れてはいけません。 へえ。 41 00:03:12,592 --> 00:03:16,263 一度 みんなで横浜へ参りましょうか。 えっ 横浜? 42 00:03:16,263 --> 00:03:18,765 (はる)ええ。 これからの建築家が➡ 43 00:03:18,765 --> 00:03:21,401 アトリエぐらいで驚いていては 困りますでしょう? 44 00:03:21,401 --> 00:03:24,604 横浜には 本物の西洋館が たくさんございます。 45 00:03:24,604 --> 00:03:26,640 本物をこそ見ておくべきですわ。 46 00:03:26,640 --> 00:03:28,942 (棟梁)へえ そりゃ まあ そうですがね…。 47 00:03:28,942 --> 00:03:33,413 そうだわ ちょっと足をのばして 京都 奈良も勉強になりますわね。 48 00:03:33,413 --> 00:03:35,348 京都!? (はる)ええ。 49 00:03:35,348 --> 00:03:38,118 棟梁は この間 箱根より向こうは 行ったことがないって➡ 50 00:03:38,118 --> 00:03:40,053 言ってらっしゃいましたでしょう? 51 00:03:40,053 --> 00:03:43,423 建築家ならば 一度は京都 奈良へ 行っておくべきです。 52 00:03:43,423 --> 00:03:48,128 とは思いますがね 先立つものと 暇がねえもんでやんす。 53 00:03:48,128 --> 00:03:51,031 (はる)暇の方は どうぞ あなた方でご算段くだされば➡ 54 00:03:51,031 --> 00:03:53,433 費用は 全て 私に持たせていただきます。 55 00:03:53,433 --> 00:03:55,802 いえ 奥さん! (はる)いいんですのよ。➡ 56 00:03:55,802 --> 00:03:58,638 これは アトリエを 造っていただくということと➡ 57 00:03:58,638 --> 00:04:02,075 引っ越してまいりましてからの 皆様のご親切に対する➡ 58 00:04:02,075 --> 00:04:04,377 私の感謝の気持ちなんですの。 59 00:04:04,377 --> 00:04:07,080 いやいや と… とは言いましてもですな…。 60 00:04:07,080 --> 00:04:10,584 (はる)お手本は 全て本物でなくてはなりません。 61 00:04:10,584 --> 00:04:13,086 国宝級の建物やお庭を見ずして➡ 62 00:04:13,086 --> 00:04:16,757 何で ひとかどの職人と言えましょうか。➡ 63 00:04:16,757 --> 00:04:20,627 ものを学ぶのに 遅すぎるということはありません。 64 00:04:20,627 --> 00:04:26,133 ものを創造する人間こそ 一番 勇気を持つべきなのです。 65 00:04:30,937 --> 00:04:32,873 <はるが 棟梁たちに➡ 66 00:04:32,873 --> 00:04:36,610 とんでもない約束をしているとは つゆ知らず➡ 67 00:04:36,610 --> 00:04:44,284 マリ子は 一心不乱の画学生と共に 真剣に デッサンの勉強をしていました> 68 00:04:44,284 --> 00:04:48,121  心の声 酒田のおじ様に アトリエまで 造っていただいたんだもの。➡ 69 00:04:48,121 --> 00:04:50,624 頑張らなくっちゃ! 70 00:04:53,293 --> 00:04:56,963  心の声 そうよ 喫茶店に誘われても➡ 71 00:04:56,963 --> 00:04:59,100 今日は 断固遠慮しよう。➡ 72 00:04:59,100 --> 00:05:04,704 だって うちは 絵の勉強に 上京したんだもの。 73 00:05:04,704 --> 00:05:08,608 (植辰)ヨッ ヨッ ヨッ! 大将! ヨッ 大将よ! 74 00:05:08,608 --> 00:05:11,378 今 あの 棟梁んとこの乙松に 聞いたんだけどよ➡ 75 00:05:11,378 --> 00:05:14,748 桜木町の奥さんがよ 俺たちも 京都へ連れてってくれるって話➡ 76 00:05:14,748 --> 00:05:17,651 あれ 本当か? ねえ 大将! 77 00:05:17,651 --> 00:05:20,620 ああ 本当だい。 (栄一)うわ~ やった お父っつぁん! 78 00:05:20,620 --> 00:05:22,622 バカ野郎! だからだといって➡ 79 00:05:22,622 --> 00:05:25,458 そんな話を真に受けるやつが どこにいるんだ! 80 00:05:25,458 --> 00:05:27,460 へっ? 「へっ?」じゃないよ。 81 00:05:27,460 --> 00:05:29,596 だけどさ…。 (大造)大体 おめえは➡ 82 00:05:29,596 --> 00:05:32,933 あの人たちのこと 何だと思ってんだ! さあ? 83 00:05:32,933 --> 00:05:36,403 後家さんだぞ。 そりゃあ 娘に 絵を習わせるぐらいだから➡ 84 00:05:36,403 --> 00:05:38,338 小金は持ってるだろうよ。 85 00:05:38,338 --> 00:05:41,942 けどな 一家の働き手に死なれて これから先➡ 86 00:05:41,942 --> 00:05:44,611 あの小せえ ヨウ子ちゃんを 嫁にやるまで➡ 87 00:05:44,611 --> 00:05:47,514 その小金を食い潰していく 身の上なんだぞ。 88 00:05:47,514 --> 00:05:51,384 その財布に寄ってたかって 京都へ連れていってくれますかなんて➡ 89 00:05:51,384 --> 00:05:54,120 よくも聞けたな。 近頃の江戸っ子は➡ 90 00:05:54,120 --> 00:05:56,957 随分と情けなくなったもんだな。 ええ? おい! 91 00:05:56,957 --> 00:05:59,993 そら そうだよな。 考えてみりゃ 話がうますぎだよ。 92 00:05:59,993 --> 00:06:01,928 (大造)てやんでえ! 奥さんの方は本気なんだぞ。 93 00:06:01,928 --> 00:06:04,064 だったら なにも 大将…。 94 00:06:04,064 --> 00:06:07,367 ああ 「本物を見ずして ひとかどの職人になれるか」と➡ 95 00:06:07,367 --> 00:06:10,070 奥さんは おっしゃったんだ。 96 00:06:10,070 --> 00:06:13,106 ひとかどの職人になりたかったら てめえで行きゃあいい。 97 00:06:13,106 --> 00:06:15,242 てめえで 自前でよ。 98 00:06:15,242 --> 00:06:19,112 だけどさ 俺たちは 何も そんな無理してまで行くことねえんだよ。 99 00:06:19,112 --> 00:06:22,115 カッ 情けねえやつらだな。 100 00:06:22,115 --> 00:06:24,384 こっちだって 向こうに無理させたくねえから➡ 101 00:06:24,384 --> 00:06:27,921 今 うちのご意見番を 意見させにやったよ。 102 00:06:27,921 --> 00:06:30,257 (ウメ)まあ そういうわけでね➡ 103 00:06:30,257 --> 00:06:34,127 今度の話は なかったことに していただきたいんですよ。 104 00:06:34,127 --> 00:06:38,765 まあ 困りましたわね。 私 もう お約束してしまったんですのよ。 105 00:06:38,765 --> 00:06:40,700 あら そんな約束だなんて➡ 106 00:06:40,700 --> 00:06:43,103 あの連中に そんなことしたら 切りがないんです。 107 00:06:43,103 --> 00:06:47,274 第一 身が… いえ 金庫の中身が持ちません。 108 00:06:47,274 --> 00:06:52,112 ああ お金のことでしたら なくなる時には なくなるもんです。 109 00:06:52,112 --> 00:06:56,283 同じ使うのでしたら 私は有意義に使いたいと思いますわ。 110 00:06:56,283 --> 00:07:00,887 有意義だなんて… お金 ドブ捨てるようなもんですよ。 111 00:07:00,887 --> 00:07:04,224 (はる)まあ そんなふうに 物事を決めつけてはいけませんですよ。 112 00:07:04,224 --> 00:07:06,159 でもね…。 113 00:07:06,159 --> 00:07:10,363 私は 人の可能性を 信じたいと思っておりますの。➡ 114 00:07:10,363 --> 00:07:13,733 あの方たちが もし本当の職人さんでしたら➡ 115 00:07:13,733 --> 00:07:16,236 きっと 一流のお寺や お庭を見て➡ 116 00:07:16,236 --> 00:07:19,239 何か ものを感じないわけがないんですもの。 117 00:07:19,239 --> 00:07:22,375 なるほど。 でしょう? 118 00:07:22,375 --> 00:07:27,080 だったら お金をドブに捨てることには ならないと思いますわ。 119 00:07:27,080 --> 00:07:29,115 で… ですがね 奥さん あの…。 120 00:07:29,115 --> 00:07:31,952 (はる)さあ どうぞ お茶を。 121 00:07:31,952 --> 00:07:35,588 <この女性 我が子と他人の区別なく➡ 122 00:07:35,588 --> 00:07:38,391 隠れた才能を 世に引き出すことを➡ 123 00:07:38,391 --> 00:07:42,262 使命のごとく考えているムキが ありました。➡ 124 00:07:42,262 --> 00:07:47,767 だから 使命のためなら金は惜しくない という論法なのです> 125 00:07:53,974 --> 00:07:57,277 (信彦)磯野さん。 はい。 126 00:08:00,547 --> 00:08:04,050 (信彦)磯野さん… でしたね? 127 00:08:04,050 --> 00:08:07,721 はい 磯野マリ子です。 128 00:08:07,721 --> 00:08:10,623 (信彦)今日は もう お帰りですか? はい。 129 00:08:10,623 --> 00:08:14,227 ちょうどよかった。 じゃあ 駅まで ご一緒しましょう。 130 00:08:14,227 --> 00:08:16,162 はい でも…。 131 00:08:16,162 --> 00:08:19,899 (信彦)福岡新聞主催の展覧会で 金賞を お取りになったそうですね。 132 00:08:19,899 --> 00:08:22,936 はい。 でも…。 133 00:08:22,936 --> 00:08:25,372 上の連中から聞きました。 134 00:08:25,372 --> 00:08:30,243 すばらしいじゃないですか。 はい。 135 00:08:30,243 --> 00:08:34,914 よかったら 是非 その話を 聞かせていただけませんか? 136 00:08:34,914 --> 00:08:37,584 はい。 137 00:08:37,584 --> 00:08:40,253 鉢巻き? はい。 つまり その➡ 138 00:08:40,253 --> 00:08:43,156 芸術か風紀かの問題で論争がありまして。 139 00:08:43,156 --> 00:08:48,128 それは失敬だよ 作者に対する最大の侮辱だ。 はい。 140 00:08:48,128 --> 00:08:51,398 しかし すばらしいな。 君のような若さで➡ 141 00:08:51,398 --> 00:08:54,267 伝統ある福岡新聞の金賞を取るなんて。 142 00:08:54,267 --> 00:08:56,603 いえ あれは 本当のまぐれです。 143 00:08:56,603 --> 00:08:59,506 いや 絵の世界に まぐれなどありません。 144 00:08:59,506 --> 00:09:03,209 あれは 君の本当の実力ですよ。 145 00:09:03,209 --> 00:09:05,512 そうでしょうか。 146 00:09:14,821 --> 00:09:16,756 茜さん! 147 00:09:16,756 --> 00:09:20,059 ああ~! あっ どうしよう! 148 00:09:20,059 --> 00:09:23,363 すいません 私 そそっかしいもんだから! いいんですよ こんなもの。 149 00:09:23,363 --> 00:09:25,899 ブチになっちゃった でも! すいません。 150 00:09:25,899 --> 00:09:28,735 本当に心配しないでください。 僕らだって よくあることなんだから。 151 00:09:28,735 --> 00:09:32,572 はい。 どうしよう…。 152 00:09:32,572 --> 00:09:36,076 (茜)ちょっと あちら見てあげて。 (女給)はい。 153 00:09:39,746 --> 00:09:42,082 (ヨウ子) 逆さま! おじちゃま 逆さまに見える! 154 00:09:42,082 --> 00:09:45,118 (智正)ええ~ どれどれ? 155 00:09:45,118 --> 00:09:47,954 本当だ 逆さまだ! 156 00:09:47,954 --> 00:09:51,091 どうして壊れてしまったの? この写真機。 157 00:09:51,091 --> 00:09:53,927 ハハハハハッ 写真機というものはね➡ 158 00:09:53,927 --> 00:09:56,963 全部 こういうふうに 逆さまに写ってしまうもんなんです。 159 00:09:56,963 --> 00:09:59,098 どうして? つまりね 写真機には➡ 160 00:09:59,098 --> 00:10:02,602 ほら レンズというのがついてるでしょ? このレンズというのはね➡ 161 00:10:02,602 --> 00:10:06,406 外から入ってくる光線を屈折させる それを屈折…。 162 00:10:06,406 --> 00:10:08,475 これ ちょっと難しすぎますね。 163 00:10:08,475 --> 00:10:10,610 いや 大丈夫ですよ。 ヨウ子ちゃんが大きくなったら➡ 164 00:10:10,610 --> 00:10:12,946 こういうことは 学校で ちゃんと教えてくれます。 165 00:10:12,946 --> 00:10:17,617 しかしね 写真機というのはね こういうふうに 逆さまに写ってないと➡ 166 00:10:17,617 --> 00:10:20,653 写真になったものが 逆さまになってしまうんですよ。 167 00:10:20,653 --> 00:10:23,490 ふ~ん。 え~…。 168 00:10:23,490 --> 00:10:26,960 (マチ子)またお邪魔してるのね ヨウ子は。 あっ お姉ちゃま! 169 00:10:26,960 --> 00:10:29,295 どうも いつも すいません。 (智正)あ~ いやいや。➡ 170 00:10:29,295 --> 00:10:32,632 僕もね ヨウ子ちゃんが来るのを 楽しみにしてるんですよ。 171 00:10:32,632 --> 00:10:36,803 実は それで 私も お願いがあるんです。 (智正)はい 何でしょうか? 172 00:10:36,803 --> 00:10:38,738 是非 聞いていただきたいんです。 173 00:10:38,738 --> 00:10:41,975 (智正)そりゃあ 僕にできることだったら 喜んで お引き受けしますよ。 174 00:10:41,975 --> 00:10:45,278 実は…。 (智正)はい。 175 00:10:48,648 --> 00:10:52,819 アハハハハハッ! 分かりました。 176 00:10:52,819 --> 00:10:57,323 よろしくお願いします! (智正)ハハハハハハハッ! 177 00:10:57,323 --> 00:11:01,194 お安いご用です。 ハハハハハハッ! 178 00:11:01,194 --> 00:11:04,764 アトリエを!? へえ~ すごいじゃなかね! 179 00:11:04,764 --> 00:11:07,600 ねっ マー姉ちゃん! うん…。 180 00:11:07,600 --> 00:11:10,637 どうしたの? ううん どうもせんよ。 181 00:11:10,637 --> 00:11:12,772 うん それならいいけど。 182 00:11:12,772 --> 00:11:14,807 少し緊張のし過ぎじゃないの? 183 00:11:14,807 --> 00:11:18,278 上野を狙う塾生さんばかりだそうだから。 184 00:11:18,278 --> 00:11:21,781 そうなんです。しっかりしなさいよ マー姉ちゃんらしくもない。 185 00:11:21,781 --> 00:11:24,284 大丈夫よ 任しといて! 186 00:11:24,284 --> 00:11:26,619 人と争う必要はありませんよ。 187 00:11:26,619 --> 00:11:29,422 自分のために 自分が努力すればいいんですからね。 188 00:11:29,422 --> 00:11:31,791 はい。 でもね…。 189 00:11:31,791 --> 00:11:33,793 ごちそうさま。 190 00:11:36,429 --> 00:11:39,432 あら もうおしまい? はい。 191 00:11:51,911 --> 00:11:54,647 しっかりしてよ マー姉ちゃん! 192 00:11:54,647 --> 00:11:59,319 駄目よ… 絶望した 自分の意志の弱さに。 193 00:11:59,319 --> 00:12:01,921 大げさなんだってば マー姉ちゃんのは。 194 00:12:01,921 --> 00:12:05,391 そんなことない! アトリエまで造ってもらえるとに➡ 195 00:12:05,391 --> 00:12:09,262 喫茶店に寄り道しないって 絶対 心に誓ったとに。 196 00:12:09,262 --> 00:12:12,932 よっぽど誘惑的だったんね ロシア民謡の誘い方が。 197 00:12:12,932 --> 00:12:16,402 そういうわけじゃないけどさ…。 じゃあ どういうわけね? 198 00:12:16,402 --> 00:12:19,305 福岡新聞の金賞のこと。 199 00:12:19,305 --> 00:12:24,777 本当に関心を示してくれたのは あの人だけだったんだもん。 200 00:12:24,777 --> 00:12:29,282 あの入選のおかげで お母様は 東京へ行く決心をなさったんだし➡ 201 00:12:29,282 --> 00:12:34,120 そのために マチ子だって 苦労してるんでしょう? 学校で。 202 00:12:34,120 --> 00:12:36,155 いいのよ この際 私のことは。 203 00:12:36,155 --> 00:12:38,791 ううん ヨウ子だって 幸い➡ 204 00:12:38,791 --> 00:12:41,427 写真屋さんと仲よくなれたから よかったものの➡ 205 00:12:41,427 --> 00:12:46,132 あれが 変な人に捕まってごらん。 今頃 どうなっとるか分からんとよ。 206 00:12:46,132 --> 00:12:49,802 マー姉ちゃん。 つまりね あの入選で➡ 207 00:12:49,802 --> 00:12:52,639 みんなが しなくてもいい いろんな思いをしてるとに➡ 208 00:12:52,639 --> 00:12:56,309 画塾の人たちは あの金賞を 鼻にもかけんとよ。 209 00:12:56,309 --> 00:12:59,212 あの人をのぞいて 全部…。 210 00:12:59,212 --> 00:13:02,582 それじゃあ それでよかじゃなかね。 211 00:13:02,582 --> 00:13:05,485 ようはなかよ。 どうして? 212 00:13:05,485 --> 00:13:10,757 だって 関心示してくれて うれしかったんでしょう?うん。 213 00:13:10,757 --> 00:13:14,627 だったら マー姉ちゃんは 正直すぎる人なんだもん。 214 00:13:14,627 --> 00:13:18,498 喫茶店 行くぐらい 当然だと思うけどな。 215 00:13:18,498 --> 00:13:24,771 だって 東京だもん よそ見したって へっちゃらだよ! 216 00:13:24,771 --> 00:13:29,108 ばって 罰が当たったとよ。 何ばしたとね? 217 00:13:29,108 --> 00:13:33,980 あの人のルパシカに ソーダ水かけちゃったと。 218 00:13:33,980 --> 00:13:39,819 おまけに 茜さんには見られるし もう… 合わす顔がなか~。 219 00:13:39,819 --> 00:13:44,657 何だ 何だ それが悲しゅうて しょんぼりしてたとか。 220 00:13:44,657 --> 00:13:48,428 そうじゃないけどさ。 だったら よかじゃなかね。 221 00:13:48,428 --> 00:13:52,965 相手は華族さんなんでしょ? そんな服の1枚や2枚。 222 00:13:52,965 --> 00:13:56,002 そうかな? そうよ。 223 00:13:56,002 --> 00:13:59,138 でも 水をさすようだけど➡ 224 00:13:59,138 --> 00:14:01,107 うちは そんな華族さんたちより➡ 225 00:14:01,107 --> 00:14:05,912 酒田のおじ様や おばあちゃんや 植辰さんの方が ずっと好きたい。 226 00:14:05,912 --> 00:14:07,847 そりゃあ うちだって。 227 00:14:07,847 --> 00:14:09,782 だったら 何も気に病むことはなかじゃなかね。 228 00:14:09,782 --> 00:14:13,653 アトリエだって出来ることだし。 うん。 229 00:14:13,653 --> 00:14:16,622 頑張れ 頑張れ! 230 00:14:16,622 --> 00:14:18,624 頑張る 頑張る! 231 00:14:18,624 --> 00:14:27,433 (笑い声) 232 00:14:29,769 --> 00:14:32,572 <マリ子は頑張りました> 233 00:14:36,409 --> 00:14:42,949 <とはいえ 身近で暇を持て余している人物となれば➡ 234 00:14:42,949 --> 00:14:47,653 この「モナ・リザ」のほかに モデルはおりませんでした>