1 00:00:02,202 --> 00:00:09,276 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:09,276 --> 00:01:06,567 ♬~ 3 00:01:08,936 --> 00:01:11,238 (マリ子)行ってまいりま~す。 4 00:01:12,806 --> 00:01:18,312 <火事場騒ぎがあって しばらくした ある日のことでした> 5 00:01:20,547 --> 00:01:22,482 信彦さん…。 6 00:01:22,482 --> 00:01:26,486 (信彦)こんにちは。 こんにちは。 7 00:01:26,486 --> 00:01:32,159 あっ 先日は 妹に 結構なものを どうも ありがとうございました。 8 00:01:32,159 --> 00:01:35,062 茜君の所へ行くんですか? はい。 9 00:01:35,062 --> 00:01:38,932 だったら 1時間でいい その前に あなたの時間を僕に下さい。 10 00:01:38,932 --> 00:01:41,635 はい でも…。 聞いていただきたいことがあるんです。 11 00:01:41,635 --> 00:01:43,637 是非。 12 00:01:45,973 --> 00:01:49,309 は はい… でも あいにく 今日は 誰もいないものですから。 13 00:01:49,309 --> 00:01:54,448 場所は どこでも構いません。 僕の気持ちを聞いてほしいんだ。 14 00:01:54,448 --> 00:01:57,351 はい それでしたら あの この先に…。 15 00:01:57,351 --> 00:02:00,854 僕が持ちます。 いえ 結構です。 16 00:02:14,267 --> 00:02:17,104 すいません こんな所で。 17 00:02:17,104 --> 00:02:19,606 (信彦)実は 茜のことなんです。 えっ? 18 00:02:19,606 --> 00:02:22,509 彼女に会わせてもらえませんか? でも…。 19 00:02:22,509 --> 00:02:25,412 (信彦)このところ 何度 電話をしても 会いたくないの一点張りで➡ 20 00:02:25,412 --> 00:02:28,782 それならと押しかけていっても ドアを開けない。 21 00:02:28,782 --> 00:02:31,418 僕は このままだと 何をしだすか…➡ 22 00:02:31,418 --> 00:02:35,956 自分で 自分が恐ろしくてならないんです。 23 00:02:35,956 --> 00:02:38,291 愛しているんです。➡ 24 00:02:38,291 --> 00:02:42,796 今はもう 恥も外聞もなく 彼女を愛してるんだ。はい。 25 00:02:42,796 --> 00:02:46,633 だから 先日 伺ったのも 彼女が心変わりをして➡ 26 00:02:46,633 --> 00:02:49,436 ほかの男と つきあっているのかどうか➡ 27 00:02:49,436 --> 00:02:52,806 あなたに会えば 様子が分かるんではないかと思って。 28 00:02:52,806 --> 00:02:55,642 みっともないのを承知で お邪魔したんだけど➡ 29 00:02:55,642 --> 00:02:57,577 皆さんが おいでになったので。 30 00:02:57,577 --> 00:03:00,147 ごめんなさい 私 ちっとも気が付かないで。 31 00:03:00,147 --> 00:03:02,082 そんな 君のせいであるもんか。 32 00:03:02,082 --> 00:03:05,952 でも 心変わりと おっしゃいましたね。 ああ。 33 00:03:05,952 --> 00:03:08,388 ということは お二人は…。 34 00:03:08,388 --> 00:03:11,091 恋人同士だった。 35 00:03:11,091 --> 00:03:13,593 そう受け取ってもらって結構です。 36 00:03:13,593 --> 00:03:16,396 そうだったんですか…。 37 00:03:18,098 --> 00:03:22,269 いいえ 茜さんに限って そんなことは絶対にありません。 38 00:03:22,269 --> 00:03:25,605 会った時は いつも 今描いてる絵のことばかりで➡ 39 00:03:25,605 --> 00:03:28,942 それに ほかの男の人の話なんか 何も言いませんし➡ 40 00:03:28,942 --> 00:03:30,977 第一 見たこともないんです。 41 00:03:30,977 --> 00:03:33,113 正直に言ってくれていいんだよ。 42 00:03:33,113 --> 00:03:35,949 私 正直だけが取り柄ですから。 43 00:03:35,949 --> 00:03:37,884 あ すまない…。 44 00:03:37,884 --> 00:03:41,288 それより ご自分に お心当たりはないんですか? 45 00:03:41,288 --> 00:03:43,290 例えば けんかしたみたいな。 46 00:03:43,290 --> 00:03:46,626 それは あのとおり 気の強い女だからね。 47 00:03:46,626 --> 00:03:49,529 会えば いつでも口げんか程度はするさ。 48 00:03:49,529 --> 00:03:54,501 でも 僕らは 愛し合ったことのある仲なんだ。➡ 49 00:03:54,501 --> 00:03:59,973 頼む。 気に障ったことがあったんなら 直接教えてほしいんだ。 50 00:03:59,973 --> 00:04:04,377 なんとか もう一度 会ってくれるように 君から 口をきいてもらえないだろうか? 51 00:04:04,377 --> 00:04:06,913 ええ…。 目下 彼女にとって➡ 52 00:04:06,913 --> 00:04:09,816 君が 一番の友達であることを 僕が認める。 53 00:04:09,816 --> 00:04:14,020 だから 力になってほしいんだ。 このとおりです。 54 00:04:17,924 --> 00:04:20,594 分かりました。 55 00:04:20,594 --> 00:04:24,264 それじゃあ…。 そのかわり 一日待ってください。 56 00:04:24,264 --> 00:04:26,199 磯野君。 57 00:04:26,199 --> 00:04:29,936 私 今日 茜さんのうちに行くの やめます。 (信彦)なぜ? 58 00:04:29,936 --> 00:04:33,406 だって こういう話し合いって 初めてなんですもの。 59 00:04:33,406 --> 00:04:36,276 また行って かえって ややこしくしてしまうようで➡ 60 00:04:36,276 --> 00:04:38,211 自信がないんです。 だったら…。 61 00:04:38,211 --> 00:04:40,614 ねっ? 明日 ご一緒しましょう。 62 00:04:40,614 --> 00:04:45,285 今夜 私 よく考えてきますから 信彦さんも考えてきてください。 63 00:04:45,285 --> 00:04:47,788 僕に考える余地なんてありませんよ。 64 00:04:47,788 --> 00:04:53,660 でも もっと考えるべきです! 本当に愛していらっしゃるんだったら。 65 00:04:53,660 --> 00:04:59,132 ごめんなさい。 でも お二人が仲直りできるんだったら➡ 66 00:04:59,132 --> 00:05:03,570 私 明日 喜んで お役に立つつもりです。 67 00:05:03,570 --> 00:05:06,373 分かった。 68 00:05:06,373 --> 00:05:09,576 どうも ありがとう。 69 00:05:09,576 --> 00:05:12,379 よろしくお願いします。 70 00:05:12,379 --> 00:05:14,447 確かに。 71 00:05:14,447 --> 00:05:34,935 ♬~ 72 00:05:34,935 --> 00:05:37,771 <私の東京。➡ 73 00:05:37,771 --> 00:05:45,579 マリ子の中で その一つが 今 甘く切なく溶けていきました> 74 00:05:48,114 --> 00:05:50,617 (三吉)マリ子さ~ん! あっ 三ちゃん。 75 00:05:50,617 --> 00:05:52,552 (三吉)電話ですよ 電話。 76 00:05:52,552 --> 00:05:54,788 今 マチ子さんから うちの店へ電話があって➡ 77 00:05:54,788 --> 00:05:58,625 すぐに田河先生の所へ来てくださいって。 田河先生の所へ? 78 00:05:58,625 --> 00:06:01,361 マチ子さん 一体 何をしたんでしょうか? 79 00:06:01,361 --> 00:06:04,564 それで マチ子 どんな様子だった? 泣いていた? 電話口で。 80 00:06:04,564 --> 00:06:08,235 いや うちじゃ おかみさんが取ったもんだから。 81 00:06:08,235 --> 00:06:12,239 そう… どうも ありがとう。 じゃあね! 82 00:06:19,246 --> 00:06:21,181 ⚟(均)は~い! 83 00:06:21,181 --> 00:06:24,084 あの…。 (均)アハッ どうぞ どうぞ。 84 00:06:24,084 --> 00:06:26,386 お待ちしておりました。 申し訳ございません。 85 00:06:26,386 --> 00:06:30,257 大変 ご迷惑をおかけいたしました。 はあ? 86 00:06:30,257 --> 00:06:33,159 (水泡)もう一枚。 はい はい。 87 00:06:33,159 --> 00:06:38,398 あれ~! ま~たか もう! 88 00:06:38,398 --> 00:06:41,768 (マチ子)はい 5個。 5個ね。 なくなっちゃうよ 僕の。 89 00:06:41,768 --> 00:06:44,404 ⚟(順子)さあ どうぞ。 もう一回。 90 00:06:44,404 --> 00:06:46,940 (順子)あなた お姉さんがお見えですよ。 91 00:06:46,940 --> 00:06:50,277 いらっしゃい。 いや もう僕は コテンコテンですよ。 92 00:06:50,277 --> 00:06:54,281 はあ? マチ子さんは 本当にトランプ強いね。 93 00:06:54,281 --> 00:06:56,783 いくら 僕がね 僕が師匠だよと脅かしたって➡ 94 00:06:56,783 --> 00:06:58,818 この人 全然 手加減なしですからね。 95 00:06:58,818 --> 00:07:01,354 だって 勝負の世界は厳しいんです! 96 00:07:01,354 --> 00:07:03,723 (笑い声) 97 00:07:03,723 --> 00:07:06,760 マチ子! さあ いいから お掛けになって。 98 00:07:06,760 --> 00:07:11,598 今日はね いいお話があるんですよ。 ねえ あなた ほら。 99 00:07:11,598 --> 00:07:14,434 あっ そうだ。 あの マリ子さんに来ていただいたのは➡ 100 00:07:14,434 --> 00:07:17,270 トランプのことじゃなかったんだよ。 はい。 101 00:07:17,270 --> 00:07:20,573 あのね 今度 「少女倶楽部」でね➡ 102 00:07:20,573 --> 00:07:25,245 天才少女のグラビア特集ってのを 組むことになったんだよ。 はあ。 103 00:07:25,245 --> 00:07:29,749 そいでね あの子役スターの片峰秀子さん 知ってるだろ? 104 00:07:29,749 --> 00:07:32,585 それから あの バイオリンの山本りえこさん。 105 00:07:32,585 --> 00:07:35,622 でね もう一人 誰がいいかって 編集部から 僕に相談があったの。 106 00:07:35,622 --> 00:07:40,093 僕は ためらわずね うちのマチ子さんをね 推薦したってわけ。 107 00:07:40,093 --> 00:07:44,397 マチ子って… 妹のマチ子が天才少女ですか? 108 00:07:44,397 --> 00:07:49,102 そうだよ。 マチ子さんは もう立派な天才少女だよ。 109 00:07:49,102 --> 00:07:51,771 でも…。 110 00:07:51,771 --> 00:07:53,807 どう思う? マー姉ちゃんは。 111 00:07:53,807 --> 00:07:58,111 そりゃあ 小さい頃は いたずらの天才だと思ったけど…。 112 00:07:58,111 --> 00:08:01,014 そうだよ。 そのくらいのね 人間じゃなきゃ➡ 113 00:08:01,014 --> 00:08:04,718 漫画家として大成しないの。 はあ。 114 00:08:07,554 --> 00:08:11,424 (水泡)ほらね ああいう平均的なのは まず駄目なんだ。 115 00:08:11,424 --> 00:08:15,128 はあ? ううん 別のお話。 116 00:08:17,230 --> 00:08:22,736 マリ子さん お茶をどうぞ。 117 00:08:22,736 --> 00:08:26,239 どうも すいません。 118 00:08:26,239 --> 00:08:29,909 (水泡)均ちゃん。 はい。何揺れてんだよ。 119 00:08:29,909 --> 00:08:34,080 (水泡)僕のお茶は? あら お召し上がりになるんですか? 120 00:08:34,080 --> 00:08:38,752 お召し上がりになりますよ。 はい 早速用意しますんで。 121 00:08:38,752 --> 00:08:41,788 僕のこと すぐ忘れちゃうんだから。 122 00:08:41,788 --> 00:08:44,624 何をソワソワしてんだ あいつ。 フフフフフ。 123 00:08:44,624 --> 00:08:47,427 えっ? ねえ。 フフフフ。 124 00:08:50,096 --> 00:08:55,402 <さあ それから その晩が大変でした> 125 00:08:55,402 --> 00:08:59,939 ⚟(はる)なぜでしょう。 私には どうしても分かりませんわ。 126 00:08:59,939 --> 00:09:01,908 ⚟(大造)ですからね 奥さん。 127 00:09:01,908 --> 00:09:07,213 (はる)いいえ 田河先生が マチ子の才能を 認めてくださったことに対しては➡ 128 00:09:07,213 --> 00:09:11,551 感謝の限りでもございません。 でも だからといって➡ 129 00:09:11,551 --> 00:09:14,354 雑誌に写真を載せる必要はない と思うんですのよ。 130 00:09:14,354 --> 00:09:16,723 (大造)ですから それは あちらさんが 望んでることでね➡ 131 00:09:16,723 --> 00:09:19,225 奥さんが 断るいわれのもんじゃないでしょう。 132 00:09:19,225 --> 00:09:22,729 その辺のところが どうしても分かりませんの 私。 133 00:09:22,729 --> 00:09:24,664 困った人だな~。 134 00:09:24,664 --> 00:09:28,601 あんたね 自分の子供が 全国に天才少女だって紹介されるのが➡ 135 00:09:28,601 --> 00:09:30,904 うれしくないんですか? 別に。 136 00:09:30,904 --> 00:09:33,940 私は鼻が高いね。 どうしてですか? 137 00:09:33,940 --> 00:09:39,245 どうしてって… 有名になるじゃないですか。 138 00:09:39,245 --> 00:09:43,583 有名になったからといって 漫画が上手になるとでしょうか? 139 00:09:43,583 --> 00:09:48,922 あ~ いや もう これは選手交代だ。 頼むよ 写真屋さん。 140 00:09:48,922 --> 00:09:51,124 (智正)そうですね~…。 141 00:09:52,792 --> 00:09:56,396 マチ子さんは どのように考えていますか? 142 00:09:56,396 --> 00:10:00,100 私は やや お母様に似た意見です。 143 00:10:00,100 --> 00:10:02,135 ほう。 と言いますと? 144 00:10:02,135 --> 00:10:04,604 その時 一緒に 漫画を2ページ出してくれるのは➡ 145 00:10:04,604 --> 00:10:06,539 とても うれしいんだけど➡ 146 00:10:06,539 --> 00:10:09,476 だけど 何だか 大騒ぎされるのが嫌で…。 147 00:10:09,476 --> 00:10:11,478 しかし 大騒ぎをしているのは 向こうの方で➡ 148 00:10:11,478 --> 00:10:14,114 別に マチ子さんが騒がなければ 構わないんじゃありませんか? 149 00:10:14,114 --> 00:10:16,416 ねえ マリ子さん? え… ええ。 150 00:10:16,416 --> 00:10:18,351 そうですよ そのとおりですよ。 151 00:10:18,351 --> 00:10:21,120 お母さん。 お母さんは➡ 152 00:10:21,120 --> 00:10:23,623 マチ子さんが 将来 漫画家として 身を立てていくことに➡ 153 00:10:23,623 --> 00:10:25,558 別に反対なさらないわけでしょう? 154 00:10:25,558 --> 00:10:31,364 もちろんです。 子供たちが それぞれ 自分の道を 自分の力で歩いてくれたら➡ 155 00:10:31,364 --> 00:10:34,267 こんなに幸せなことはない と思っております。 156 00:10:34,267 --> 00:10:37,971 としたらですね これは一つのチャンスと考えてください。 157 00:10:37,971 --> 00:10:40,440 チャンス? はい そうです。 158 00:10:40,440 --> 00:10:45,812 チャンスの神様には 前髪しかない。 ご存じですか? 159 00:10:45,812 --> 00:10:50,450 チャンスの神様にはね 前の方にしか髪の毛がないんですよ。 160 00:10:50,450 --> 00:10:53,153 まあ 私 ちっとも存じませんでしたわ。 161 00:10:53,153 --> 00:10:56,823 そしてね チャンスの神様というのは いつも不意に現れるんだそうです。 162 00:10:56,823 --> 00:11:01,094 ですから チャンスの神様と出会ったら 迷わず 前髪をつかむこと。 163 00:11:01,094 --> 00:11:03,029 そうでないと 後ろの方に髪の毛がありませんから➡ 164 00:11:03,029 --> 00:11:05,932 つるりと滑ってしまうんですね。 ですから 擦れ違ってしまうと➡ 165 00:11:05,932 --> 00:11:08,768 手の中から チャンスは 永久に消えてしまうわけです。 166 00:11:08,768 --> 00:11:10,803 なるほどね~。 167 00:11:10,803 --> 00:11:13,606 (智正)まあ 今度の場合ですね➡ 168 00:11:13,606 --> 00:11:17,477 田河先生が マチ子さんの才能に対して 与えてくださった➡ 169 00:11:17,477 --> 00:11:20,780 これは チャンスだと思うんですよ。 ええ それは…。 170 00:11:20,780 --> 00:11:24,651 としたら マチ子さんは そのチャンスを しっかりと自分のものにして➡ 171 00:11:24,651 --> 00:11:27,287 そして 田河水泡先生のご期待に添っていく。 172 00:11:27,287 --> 00:11:30,189 それが 今後のあなたの課題じゃありませんか? 173 00:11:30,189 --> 00:11:33,159 はい。 マチ子さんが 今後も➡ 174 00:11:33,159 --> 00:11:36,629 三吉さんたちのために 楽しい漫画を 描いていきたいと思うんだったら➡ 175 00:11:36,629 --> 00:11:41,134 雑誌社というのは その作品を発表する 大切な場なんですよ。 176 00:11:41,134 --> 00:11:43,970 今 その場を作るためにも➡ 177 00:11:43,970 --> 00:11:48,141 私は 今度の特集には 応じた方がいいと思いますね。 178 00:11:48,141 --> 00:11:51,811 いやいや 何も 殊更 こっちが騒ぎ立てることはないんですよ。 179 00:11:51,811 --> 00:11:56,516 言うならば 向こうが作ってくれた お膳立てに乗りゃあいいんですよ。 180 00:11:59,152 --> 00:12:01,754 分かりました。 181 00:12:01,754 --> 00:12:05,258 それでは マチ子の写真を撮らせましょう。 182 00:12:05,258 --> 00:12:08,261 (大造)あ~ よかった よかった。➡ 183 00:12:08,261 --> 00:12:10,396 いや お手数かけましたね。 184 00:12:10,396 --> 00:12:13,299 しかし 大学出の人は やっぱり言うことが違う。 185 00:12:13,299 --> 00:12:17,604 いや… 僕は中途退学です。 186 00:12:22,942 --> 00:12:25,612 <チャンスの神に出会いながら➡ 187 00:12:25,612 --> 00:12:29,949 そのチャンスを つかむことのできなかった人のように➡ 188 00:12:29,949 --> 00:12:33,286 マリ子には なぜか 写真屋さんこと➡ 189 00:12:33,286 --> 00:12:38,958 三郷智正が 思われてならなかったのです。➡ 190 00:12:38,958 --> 00:12:44,297 それは 昼間 信彦のあまりにショッキングな告白を➡ 191 00:12:44,297 --> 00:12:46,966 聞いたからだったのでしょうか?> 192 00:12:46,966 --> 00:12:49,869 (大造)なあ マリ子さん。 え… あ はい。 193 00:12:49,869 --> 00:12:52,839 (大造)やっぱりさ 全国の人の目に触れるんだからね➡ 194 00:12:52,839 --> 00:12:55,308 床屋に連れていった方が いいんじゃないの?アハハ。 195 00:12:55,308 --> 00:12:57,243 (大造) それからさ 着るものはどうなってるの? 196 00:12:57,243 --> 00:13:00,146 あっ そうだ マチ子。 この前 麻布の伯母様から➡ 197 00:13:00,146 --> 00:13:02,915 作っていただいたワンピース あれ どうかしらね? お母様。 198 00:13:02,915 --> 00:13:06,586 そうね それじゃあ 向こうのお部屋の お引き出し 2番目のとこに入ってるから。 199 00:13:06,586 --> 00:13:09,489 はい。 すみません 写真屋さん➡ 200 00:13:09,489 --> 00:13:12,458 写りがいいかどうか 見てあげてください。 はいはい 承知いたしました。 201 00:13:12,458 --> 00:13:15,762 (大造)そうだ あんた 本職だったんだ! (笑い声) 202 00:13:15,762 --> 00:13:19,399 あれ? 空っぽ このたんすの中! えっ!? 203 00:13:19,399 --> 00:13:21,334 ということは 泥棒!? 204 00:13:21,334 --> 00:13:24,103 いけない 忘れとりました。 205 00:13:24,103 --> 00:13:26,139 その中のものは差し上げたんだったわ。 206 00:13:26,139 --> 00:13:28,775 誰に? ほら この間 火事があったでしょ? 207 00:13:28,775 --> 00:13:32,412 あの時 焼け出された方々に。 そんな~…。 208 00:13:32,412 --> 00:13:34,781 どうしようもねえな もう…。 209 00:13:34,781 --> 00:13:39,585 よかじゃないですか 天才少女なんだから制服でも。 210 00:13:43,790 --> 00:13:49,295 <その翌日 マリ子の役目は チャンスの神ではなく➡ 211 00:13:49,295 --> 00:13:52,298 キューピッドだったのです> 212 00:13:52,298 --> 00:13:55,101 (茜)信彦が あなたの所へ? 213 00:13:55,101 --> 00:13:57,804 茜さんに会って 直接 お話がしたいって。 214 00:13:57,804 --> 00:13:59,739 (茜)ばかばかしい。 なぜですか? 215 00:13:59,739 --> 00:14:02,775 (茜) だって マリ子さんにご迷惑じゃないの。 216 00:14:02,775 --> 00:14:05,611 迷惑どころか 私からも そうお願いしたくて。 217 00:14:05,611 --> 00:14:07,613 なぜ? 218 00:14:07,613 --> 00:14:12,452 私にとっての東京は 初めは茜さんと信彦さんのお二人でした。 219 00:14:12,452 --> 00:14:15,588 そのお二人が結ばれることは とても うれしいし➡ 220 00:14:15,588 --> 00:14:19,258 それに あの人は真剣だったんです。 221 00:14:19,258 --> 00:14:21,928 お願いです あの人に会ってください。 222 00:14:21,928 --> 00:14:24,597 会って あの人の気持ちを 受け止めてあげてください。 223 00:14:24,597 --> 00:14:28,267 このとおりです お願いします。 224 00:14:28,267 --> 00:14:30,203 あなたっていう人は…。 225 00:14:30,203 --> 00:14:32,138 (ドアが開く音) 226 00:14:32,138 --> 00:14:34,140 茜! (茜)信彦…。 227 00:14:34,140 --> 00:14:36,776 ひどい…。 えっ? 228 00:14:36,776 --> 00:14:39,612 信彦さんです! どうして 私が 声をかけるまで➡ 229 00:14:39,612 --> 00:14:43,416 待っていてくださらなかったんですか!? すまない しかし…。 230 00:14:43,416 --> 00:14:45,351 あんまりです…。 231 00:14:45,351 --> 00:14:53,559 (泣き声)