1 00:00:02,202 --> 00:00:08,609 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:08,609 --> 00:01:06,300 ♬~ 3 00:01:08,402 --> 00:01:12,272 <漫画界の大御所 田河水泡氏の紹介状は➡ 4 00:01:12,272 --> 00:01:16,777 確かに 神通力を発揮しました。➡ 5 00:01:16,777 --> 00:01:22,416 しかし 雑誌の連載というものは 一つの区切りというのがあって➡ 6 00:01:22,416 --> 00:01:24,952 現在担当している挿絵家と➡ 7 00:01:24,952 --> 00:01:28,422 首を すげ替えてもらう というわけにはいきません。➡ 8 00:01:28,422 --> 00:01:33,627 となれば 流動的なカットでも何でも もらえる仕事は➡ 9 00:01:33,627 --> 00:01:37,297 慣れないながら 貪欲に 食いついていかなければならない➡ 10 00:01:37,297 --> 00:01:40,133 マリ子とマチ子でした> 11 00:01:40,133 --> 00:01:43,971 ⚟(朝男)こんちは~! いるかい? べっぴんさんたちは。 12 00:01:43,971 --> 00:01:45,906 (マチ子)天海さんだ! (マリ子)いますよ~! 13 00:01:45,906 --> 00:01:50,444 べっぴんさんが2人 よりどりみどりで そろってま~す! 14 00:01:50,444 --> 00:01:53,347 いらっしゃい! (朝男)よう! ハハッ よう よう よう! 15 00:01:53,347 --> 00:01:55,816 気にはなってたんだがな このところ やれ見合いだ➡ 16 00:01:55,816 --> 00:01:59,152 婚礼だって時期でさ めっぽう忙しくて参っちゃった。 17 00:01:59,152 --> 00:02:02,055 商売繁盛で結構じゃないの。 うん 結構なんだけどさ➡ 18 00:02:02,055 --> 00:02:06,259 ほれ 明日 福岡行くだろ? ねっ? それでさ この トミ子さんへの祝いと➡ 19 00:02:06,259 --> 00:02:08,195 お千代ねえやに 持ってってもらいたいものがあってね➡ 20 00:02:08,195 --> 00:02:11,098 間 抜けて やって来たんだ。 ほい! うん それがね…。 21 00:02:11,098 --> 00:02:13,934 行けなくなっちゃったの。 22 00:02:13,934 --> 00:02:18,271 どうして また…。 うん そのことでね 相談があるの。 23 00:02:18,271 --> 00:02:21,174 お手間は取らせないから 聞いてもらえないかしら? 24 00:02:21,174 --> 00:02:24,144 聞きましょう。 じゃあ 台所から上がるわ。 25 00:02:24,144 --> 00:02:27,614 あの 足汚れてっから。 じゃあ 雑巾。 26 00:02:27,614 --> 00:02:31,284 驚いたね。 と思います。 27 00:02:31,284 --> 00:02:34,287 そんなふうになってるたぁ 夢にも思わなかったよ。 28 00:02:34,287 --> 00:02:36,790 私たちだって そうだったんですもん。 29 00:02:36,790 --> 00:02:40,494 まるで火の車だ。 本当に。 30 00:02:42,662 --> 00:02:44,665 はあ…。 31 00:02:55,142 --> 00:02:57,444 どうだい? この際ね➡ 32 00:02:57,444 --> 00:03:01,915 思い切って引っ越してこないかい? 俺んちのそばへさ。 33 00:03:01,915 --> 00:03:05,752 どん底まで落ちた時は 気分を一新して出直す。 34 00:03:05,752 --> 00:03:08,388 こいつが一番だよ。 ええ…。 35 00:03:08,388 --> 00:03:11,758 で そのさ あんたたちは この 出版社が相手だ。 36 00:03:11,758 --> 00:03:15,395 世田谷は ちょいと遠いかもしれねえ。 しかし ねっ そこは若さで乗り切ってさ。 37 00:03:15,395 --> 00:03:17,764 大丈夫 体力なら自信があるし。 38 00:03:17,764 --> 00:03:19,700 (朝男)そうだろ? じゃあ 問題は おっ母さんだけだ。 39 00:03:19,700 --> 00:03:24,271 うん あの~ 事と次第によっては 私がお母様に ちゃんと話します。 40 00:03:24,271 --> 00:03:28,775 そうかい。 じゃあね あの 実は その 手ごろなうちがさ 貸家が➡ 41 00:03:28,775 --> 00:03:31,678 うちのそばにあるんだよ。 へえ~ どんなうち? 42 00:03:31,678 --> 00:03:36,116 ああ? ここよりは ちょいと広くてね あの まあ 家賃は ただみたいなもんだ。 43 00:03:36,116 --> 00:03:39,152 えっ ただ!? おう。 44 00:03:39,152 --> 00:03:41,922 だけど ちょっとね 難があることはあるんだ。 45 00:03:41,922 --> 00:03:43,857 そりゃあ 難がない方がおかしいわよ。 46 00:03:43,857 --> 00:03:46,426 だって ここより安くて 広いんだもん。 47 00:03:46,426 --> 00:03:50,630 そうよ 多少の難だったら 私たち 絶対 我慢します。 48 00:03:52,299 --> 00:03:55,969 あ~…。  オート三輪で来てるんでしょ? 49 00:03:55,969 --> 00:03:58,638 ああ…。 だったら 「善は急げ」。 50 00:03:58,638 --> 00:04:02,075 今 お母様 買い物に出かけてるから 帰ってきたら 一緒に出かけましょうよ。 51 00:04:02,075 --> 00:04:05,112 いや しかしさ お宅 女ばかりだろ? 52 00:04:05,112 --> 00:04:07,247 泥棒が入りやすいってこと? 53 00:04:07,247 --> 00:04:10,150 いやいや 泥棒だったらさ 隣 俺だから キャ~って声出してくれりゃあ➡ 54 00:04:10,150 --> 00:04:13,754 てんびん棒で ダダ~ンって一発… そういうんじゃねえんだよ。 55 00:04:13,754 --> 00:04:19,259 だから 何なのよ? いずれ分かることなんだけどさ…。 56 00:04:19,259 --> 00:04:23,130 いいかい? いいかい? 57 00:04:23,130 --> 00:04:27,400 腰を抜かさないで 頼みますよ。 うん。 58 00:04:27,400 --> 00:04:30,403 (時計の時報の音) 59 00:04:33,607 --> 00:04:40,113 <天海青年が気にするほどの 一体 どんな難点があったかは知りませんが➡ 60 00:04:40,113 --> 00:04:44,985 マリ子とマチ子のきょうだいは ただでもいいという家賃に引かれて➡ 61 00:04:44,985 --> 00:04:49,990 世田谷・新町の その家を 早速 偵察に及んだのです> 62 00:04:53,660 --> 00:04:56,129 2階からの見晴らしも なかなかいいじゃないの。 63 00:04:56,129 --> 00:04:58,798 うん これからは どんどん 仕事するつもりだしさ➡ 64 00:04:58,798 --> 00:05:01,768 描きながらの気分転換には最高だわ。 65 00:05:01,768 --> 00:05:03,770 それじゃあ 本当に構わないんだね? 構いません。 66 00:05:03,770 --> 00:05:05,906 だって 下だって こんなに広いんだもん。 67 00:05:05,906 --> 00:05:09,376 壁でもさ 塗り替えれば とっても明るくなると思うもん。 68 00:05:09,376 --> 00:05:13,914 ぜいたくよ。 今は模様替えになんか お金をかけてる余裕はありません。 69 00:05:13,914 --> 00:05:15,849 そうか。 70 00:05:15,849 --> 00:05:18,084 じゃあ 天海さん 大家さんとこに お願いします。 71 00:05:18,084 --> 00:05:21,922 よし じゃあ行くか。 なっ。 72 00:05:21,922 --> 00:05:25,225 うわ~! ううっ! 73 00:05:27,394 --> 00:05:31,898 何だか 本当に陰気なうちだな ここは。 74 00:05:35,936 --> 00:05:45,412 ♬~ 75 00:05:45,412 --> 00:05:49,282 (前島ウララ)さあ どうぞ。 (前島マドカ)さあ どうぞ。 76 00:05:49,282 --> 00:05:51,218 どうも ありがとうございます。 77 00:05:51,218 --> 00:05:53,620 それでは いらしていただけるわけですのね? 78 00:05:53,620 --> 00:05:57,123 わけですのね? はい よろしくお願いします。 79 00:05:57,123 --> 00:06:00,560 あの~… あの うちのことは…。 80 00:06:00,560 --> 00:06:03,597 あっ あの それは天海さんに みんな聞きました。 81 00:06:03,597 --> 00:06:08,068 まあ それじゃあ それをご承知の上で? はい 承知しております。 82 00:06:08,068 --> 00:06:12,372 まあ よかったわ お姉様。 本当に。 83 00:06:12,372 --> 00:06:15,909 閉めきっておきますと うちが傷みますしね。 84 00:06:15,909 --> 00:06:18,245 いらしていただければ 家賃は いらないからと➡ 85 00:06:18,245 --> 00:06:21,081 天海さんにも お願いしてあったんざますけど➡ 86 00:06:21,081 --> 00:06:23,383 変なうわさを立てる人もございまして。 87 00:06:23,383 --> 00:06:28,755 いえ 私どもは みんな現実主義ですので そういう うわさには 一向 平気です。 88 00:06:28,755 --> 00:06:32,926 (マドカ)まあ うれしい。 こちらは お妹さん? 89 00:06:32,926 --> 00:06:36,596 ええ こちらはね 妹のマチ子ちゃん。 こちらが 姉上のマリ子ちゃん。 90 00:06:36,596 --> 00:06:39,933 どうぞ よろしくお願いします。 こちらこそ よろしく。 91 00:06:39,933 --> 00:06:44,104 私は姉の前島ウララ。 こちらが 妹のマドカ。 92 00:06:44,104 --> 00:06:47,140 2人で暮らしておりますのよ。 2人で暮らしておりますのよ。 93 00:06:47,140 --> 00:06:49,776 あの それで 家賃のことなんですけど。 94 00:06:49,776 --> 00:06:52,279 それは ですから あなた…。 95 00:06:52,279 --> 00:06:54,948 いえ お借りする以上 ただってわけにもいきませんし➡ 96 00:06:54,948 --> 00:06:57,851 かといって 磯野さんの方でも 安い方がいいってんで➡ 97 00:06:57,851 --> 00:07:01,755 どうでしょう? 月5円ということで。 そんな 安すぎるわよ! 98 00:07:01,755 --> 00:07:04,557 いいえ そんなことございませんのよ。 99 00:07:04,557 --> 00:07:07,594 まあ お隣に 若い人たちが来てくださるだけで➡ 100 00:07:07,594 --> 00:07:11,231 どんなに楽しいことでしょう。 どんなに楽しいことでしょう。 101 00:07:11,231 --> 00:07:13,166 じゃあ そういうことで お手を拝借! 102 00:07:13,166 --> 00:07:15,235 はあ? あの 何か運ぶんですか? 103 00:07:15,235 --> 00:07:18,104 いえいえ 手締めだよ 手締め。 手締め? 104 00:07:18,104 --> 00:07:20,907 両手を こういうふうに出してね シャシャシャン シャシャシャン➡ 105 00:07:20,907 --> 00:07:25,245 シャシャシャン シャンと 3つずつ 3回打って 1つ打って締める。 106 00:07:25,245 --> 00:07:27,914 いいですね? いよ~! 107 00:07:27,914 --> 00:07:30,817 シャシャシャン シャシャシャン シャシャシャン シャン! 108 00:07:30,817 --> 00:07:33,586 はい もう一つ! シャシャシャン シャシャシャン➡ 109 00:07:33,586 --> 00:07:37,090 シャシャシャン シャン! はい おめでとうございました! 110 00:07:37,090 --> 00:07:39,025 ああ これで決まりだ。 よかったな。 111 00:07:39,025 --> 00:07:42,762 よかったわ。 アハハハハッ! 112 00:07:42,762 --> 00:07:45,265 (ウララとマドカの笑い声) 113 00:07:46,933 --> 00:07:49,769 (朝男)それじゃあ。 お邪魔しました。 114 00:07:49,769 --> 00:07:52,272 (タマ)ちょいと! こら 朝男! 115 00:07:52,272 --> 00:07:54,207 何だ 何だ ちょいとの間だろ? 116 00:07:54,207 --> 00:07:57,143 一人で店番できないのかよ? しらばっくれるんじゃないよ。 117 00:07:57,143 --> 00:07:59,145 人に店の留守番 押しつけといて。 118 00:07:59,145 --> 00:08:02,549 あたしゃね 今 お向かいの奥さんから 聞いて びっくりさ。 119 00:08:02,549 --> 00:08:05,885 お前 お嬢さん方を このうちへ ご案内したんだって? 120 00:08:05,885 --> 00:08:08,722 そうです。 どうも ありがとうございました。 121 00:08:08,722 --> 00:08:11,358 ありがとうって あなた このうちは…。 122 00:08:11,358 --> 00:08:14,060 聞いてます。 でも 私たち 気に入ったんです。 123 00:08:14,060 --> 00:08:17,897 (タマ)じゃあ 首つりのこと…。 はい 承知の上です。 124 00:08:17,897 --> 00:08:20,567 分かってるんですか? 本当に…。 125 00:08:20,567 --> 00:08:24,371 <そうです。 安いはずです。➡ 126 00:08:24,371 --> 00:08:27,073 首つりがあったのです> 127 00:08:27,073 --> 00:08:31,578 いいじゃありませんか。 だって 別に 私たちが つらせたわけじゃないんだし。 128 00:08:31,578 --> 00:08:35,915 そりゃ そうだけど… 朝男…。 129 00:08:35,915 --> 00:08:38,218 ハハハハハハハッ。 130 00:08:40,754 --> 00:08:45,592 <花も嵐も踏み越えて 少々の難があろうと➡ 131 00:08:45,592 --> 00:08:50,764 よしとなれば 直ちに実行魔となるのが この一家の特徴です> 132 00:08:50,764 --> 00:08:53,266 ⚟(大造)ごめんよ! ちょいと 奥さん!➡ 133 00:08:53,266 --> 00:08:55,268 マリ子さん! は~い! あっ いらっしゃい! 134 00:08:55,268 --> 00:08:57,771 あら おじ様! あっ おばあちゃんまで! 135 00:08:57,771 --> 00:09:00,206 (大造)俺は聞いてないよ! 何にも聞いてないよ! 136 00:09:00,206 --> 00:09:02,208 (はる)それは どうも申し訳ございません。 137 00:09:02,208 --> 00:09:06,546 先ほど ご挨拶に伺いましたんですけど ちょうど お留守でございましたので。 138 00:09:06,546 --> 00:09:09,215 (ウメ)そうですよ あんた いきなり あんた➡ 139 00:09:09,215 --> 00:09:13,219 今度 引っ越すようになりましたからって 帰っちゃうんだもの。 140 00:09:13,219 --> 00:09:17,557 あれから みんな てんやわんやで 大造の行く先 探してさ。 141 00:09:17,557 --> 00:09:20,460 教えてくださいよ! 一体 どこが気に入らなかったんですよ! 142 00:09:20,460 --> 00:09:24,431 いいえ 気に入らないどころか ここは住み心地がよすぎまして…。 143 00:09:24,431 --> 00:09:26,566 それじゃあ 理由にならないじゃないですか! 144 00:09:26,566 --> 00:09:30,737 ですから このままでは ご迷惑をおかけするばかりですので。 145 00:09:30,737 --> 00:09:34,908 私たちは かけてもらいたいからこそ 今まで お世話してきたんですよ。 146 00:09:34,908 --> 00:09:40,380 そうとも! 俺たちはね はなっから 妹の加津子からしっかりと頼まれたんだ! 147 00:09:40,380 --> 00:09:43,917 そりゃあね ヨウ子ちゃんは 女学校へ行くようになったし➡ 148 00:09:43,917 --> 00:09:46,953 マチ子さんの所には 雑誌社の人たちが 出入りするようになったから➡ 149 00:09:46,953 --> 00:09:49,789 まあ 手狭にはなったなとは 気にはしてたんですぜ。 150 00:09:49,789 --> 00:09:52,392 (はる) はい まあ そういうこともございます。 151 00:09:52,392 --> 00:09:54,928 だったら 建て増しすりゃあいいじゃないですか! 152 00:09:54,928 --> 00:09:58,765 水くせえじゃねえですか。 なぜ ひと言 言ってくれなかったんですよ! 153 00:09:58,765 --> 00:10:02,101 本当に ご心配かけて 申し訳ございませんでした。 154 00:10:02,101 --> 00:10:06,940 私たちは 責めに来たんじゃない。 引き止めに来たんですからね。 155 00:10:06,940 --> 00:10:11,111 (均)まあまあ… これにはね いろいろと事情がございまして…。 156 00:10:11,111 --> 00:10:13,046 事情だ!? (均)はい。 157 00:10:13,046 --> 00:10:15,982 この野郎 また 親戚みたいな面しやがって! 158 00:10:15,982 --> 00:10:20,286 俺の知らねえ事情を 何で おめえさんが知ってるんだ この! 159 00:10:20,286 --> 00:10:23,790 そう興奮しないでください…。 バカ野郎 これが興奮せずにいられるか! 160 00:10:23,790 --> 00:10:27,126 この薄情者! 薄情!? 薄情とは…! 161 00:10:27,126 --> 00:10:30,029 あ~! 待ってください 大宗さん。 おじさんも待って! 162 00:10:30,029 --> 00:10:32,932 実は これには訳があるんです。 マー姉ちゃん。 163 00:10:32,932 --> 00:10:36,302 (大造) いや 本当の訳を聞こうじゃないですか。 164 00:10:36,302 --> 00:10:38,972 それを聞かせてもらえなかったらね 私は 明日っから➡ 165 00:10:38,972 --> 00:10:41,307 お天道様の下を 大きな顔して歩けないよ! 166 00:10:41,307 --> 00:10:44,644 すみません 頼まれてしまったんです。 頼まれたって 誰に? 167 00:10:44,644 --> 00:10:48,314 大家さんにです。 それが お気の毒な お年寄りで…。 168 00:10:48,314 --> 00:10:51,818 年寄り? ええ。 お年を召した おばあさんで➡ 169 00:10:51,818 --> 00:10:55,655 2人で暮らしてらっしゃるんですけど それが何かと ご不自由な様子で…。 170 00:10:55,655 --> 00:10:58,324 てやんでえ! 家作の一軒も持ってんだったら➡ 171 00:10:58,324 --> 00:11:01,761 ねえやを雇えばいいじゃないか! それは 確かに そうなんですけど…。 172 00:11:01,761 --> 00:11:04,664 ええ そのとおりだよ! そういうことだったらね➡ 173 00:11:04,664 --> 00:11:08,268 粋のいい 働き者の娘をね すぐにでも捜してやるよ! 174 00:11:08,268 --> 00:11:10,770 そうとも お願いしようと 考えたんですけど➡ 175 00:11:10,770 --> 00:11:13,806 私たちが お隣に住むことによって お慰めできれば➡ 176 00:11:13,806 --> 00:11:16,943 それが一番いいことだと思いまして。 177 00:11:16,943 --> 00:11:20,280 ふだんから 「お年寄りは国の宝だ」 って言ってる母でしょう。 178 00:11:20,280 --> 00:11:23,283 その… お年寄りを大事にする 母の願いだったら➡ 179 00:11:23,283 --> 00:11:27,053 それに従うのが 私たちの親孝行だと思ったんです。 180 00:11:27,053 --> 00:11:28,988 お願いします 分かってもらえないでしょうか➡ 181 00:11:28,988 --> 00:11:31,491 おじさん。 いや それは…。 182 00:11:33,826 --> 00:11:36,129 そうなんだよね。 183 00:11:36,129 --> 00:11:38,798 世の中に ここの奥さんほど➡ 184 00:11:38,798 --> 00:11:43,303 年寄り 大事に考える人は いないんだもの。 185 00:11:43,303 --> 00:11:47,607 <と てんやわんやの一幕があって…> 186 00:11:54,914 --> 00:11:59,619 あ~あ このアトリエとも お別れなんだな…。 187 00:12:03,590 --> 00:12:08,261 <アトリエだけでなく 油絵そのものとも 別れなければならない➡ 188 00:12:08,261 --> 00:12:11,598 磯野家の現状でした> 189 00:12:11,598 --> 00:12:14,400 (智正)よろしいですか? あっ はい。 190 00:12:14,400 --> 00:12:16,769 (智正)疲れたんでしょう。 さあ どうぞ 座っていてください。 191 00:12:16,769 --> 00:12:18,805 言ってくだされば 私が荷造りをしますから。 192 00:12:18,805 --> 00:12:20,940 いえ 大丈夫です。 193 00:12:20,940 --> 00:12:24,277 ああ この部屋は 大事なものばかりなんですね。 194 00:12:24,277 --> 00:12:26,212 ええ。 (智正)ハハッ。 195 00:12:26,212 --> 00:12:29,148 大丈夫ですよ 気を付けてやりますから 安心してください。 196 00:12:29,148 --> 00:12:31,951 はい でも…。 はい? 197 00:12:31,951 --> 00:12:34,988 新しく入ってきた人 この部屋 何に使うのかしら? 198 00:12:34,988 --> 00:12:38,124 う~ん そうですね~…➡ 199 00:12:38,124 --> 00:12:40,793 でも 男の子がいたら 遊ぶには もってこいだな~。 200 00:12:40,793 --> 00:12:44,964 頑丈に出来ているし 床は板張りだし。 そうですね。 201 00:12:44,964 --> 00:12:47,634 でも 今度の世田谷のお宅は もっと広いんでしょう? 202 00:12:47,634 --> 00:12:52,305 マリ子さん 大作に取りかかるには ちょうどよいのではないですか? ええ。 203 00:12:52,305 --> 00:12:54,240 さて やりますか? 204 00:12:54,240 --> 00:12:56,643 それとも この部屋 一番最後にしますか? 205 00:12:56,643 --> 00:13:00,513 いえ やってしまいます。 お願いします。 206 00:13:00,513 --> 00:13:04,384 ハハハハハハハッ! よかった よかった! 207 00:13:04,384 --> 00:13:08,254 しかしさ そこへだよ この俺が顔出したら大変だっただろうな。 208 00:13:08,254 --> 00:13:11,157 その炭屋の親子と つかみ合いの大げんかになってたぞ。 209 00:13:11,157 --> 00:13:13,593 嫌よ そんな物騒な。 210 00:13:13,593 --> 00:13:19,098 いや~ マリ子さんが人を傷つけずに 見事に切り抜けられた。 211 00:13:19,098 --> 00:13:22,769 僕は もう感心して見てるだけでしたよ。 当たり前でしょう。 212 00:13:22,769 --> 00:13:26,272 うちが貧乏になったから 安いお家賃の うちへ移るなんて言ったら➡ 213 00:13:26,272 --> 00:13:28,608 あのおじさんのことだもん ただでいいから ここにいろって➡ 214 00:13:28,608 --> 00:13:30,543 言うに決まってるもん。 215 00:13:30,543 --> 00:13:36,482 <写真屋さんにとっては 貯金ゼロの事実は 全く初耳でした> 216 00:13:36,482 --> 00:13:40,219 本当に この辺の皆さんは いい方たちばっかりだったわね。 217 00:13:40,219 --> 00:13:42,789 いやいや 奥さん 向こうにだって いい人はいますよ。 218 00:13:42,789 --> 00:13:45,291 まあ この辺とは ちょいと この 気風は違いますがね。 219 00:13:45,291 --> 00:13:47,627 まあまあ… あんまり心配することありませんよ。 220 00:13:47,627 --> 00:13:49,562 僕も ちょくちょく伺いますから。 221 00:13:49,562 --> 00:13:51,798 何と言ったって このあっしがついてますからね。 222 00:13:51,798 --> 00:13:54,701 心配といえば それが一番の心配なんだ。 何? 223 00:13:54,701 --> 00:13:58,671 (はる)三郷さん 三郷さんも どうぞ あちらの方に お立ち寄りの節は➡ 224 00:13:58,671 --> 00:14:01,474 今までどおり どうぞ お寄りくださいましね。 225 00:14:01,474 --> 00:14:04,444 はい ありがとうございます。 ヨウ子は本当に 三郷さんに➡ 226 00:14:04,444 --> 00:14:07,080 よくしていただいたものね。 (ヨウ子)ええ。 227 00:14:07,080 --> 00:14:09,749 あの それで 一つお願いがあるんですが。 (はる)はい。 228 00:14:09,749 --> 00:14:12,785 あの蓄音機ですが あれを お譲り願えませんか? 229 00:14:12,785 --> 00:14:15,388 えっ? いえいえ あの手の品を欲しいと➡ 230 00:14:15,388 --> 00:14:18,925 人に頼まれておりまして もし ご無理なお願いでなければ➡ 231 00:14:18,925 --> 00:14:21,761 それなりのお値段で 引き取らせていただきたいんですが。 232 00:14:21,761 --> 00:14:23,796 三郷さん…。 233 00:14:23,796 --> 00:14:26,933 (朝男)そうだよ いい値段で売ってもらいなよ。➡ 234 00:14:26,933 --> 00:14:29,268 そうすりゃあさ 半月ぐらいの軍資金になるじゃねえか。➡ 235 00:14:29,268 --> 00:14:31,204 ええ? マリちゃん! いいえ➡ 236 00:14:31,204 --> 00:14:34,941 うちで さんざん使ったものですから そんなに必要という方が…。 237 00:14:34,941 --> 00:14:40,613 いいえ! お願いします。 どうぞ お願いします。 238 00:14:40,613 --> 00:14:42,648 はい 承知しました。 239 00:14:42,648 --> 00:14:47,787 できるだけの値段で買ってもらえるよう 僕も 一生懸命 頑張ります! 240 00:14:47,787 --> 00:14:51,290 (朝男)ハハハハハッ よかった よかった!