1 00:00:02,202 --> 00:00:08,942 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:08,942 --> 00:01:07,401 ♬~ 3 00:01:07,401 --> 00:01:11,705 (朝男)よいしょ! ほい 曲がるよ。 (智正)はい 大丈夫です。 4 00:01:14,174 --> 00:01:18,612 <またしても あれよあれよという間に 磯野一家の新居は➡ 5 00:01:18,612 --> 00:01:22,816 世田谷・新町へと決まってしまいました> 6 00:01:24,418 --> 00:01:26,486 (朝男)お~い ちょっと ちょっと! どこ どこ? このたんす。 7 00:01:26,486 --> 00:01:28,956 (マリ子)あのね その奥にお願いします。 奥ね。 8 00:01:28,956 --> 00:01:31,959 三郷さん 奥だってよ。 (智正)はい 承知しました。 9 00:01:33,827 --> 00:01:36,630 (マチ子)あっ それ 私のだから 2階へ お願いできますか? 10 00:01:36,630 --> 00:01:39,666 (均)あっ 2階かい? 違う 違う! 2階は植辰さんの方! 11 00:01:39,666 --> 00:01:42,135 (植辰)俺の方かい? はい! すいません 大宗さん➡ 12 00:01:42,135 --> 00:01:46,974 それ 隅の方 置いてください。 そこへ。 了解 了解。 13 00:01:46,974 --> 00:01:50,811 おっとっとっと…! ああ~! 14 00:01:50,811 --> 00:01:53,647 (はる)さあ皆さん お茶にしましょうか。 は~い! 15 00:01:53,647 --> 00:01:55,582 ちょうど 喉が渇いてたんだ。 テーブルは? 16 00:01:55,582 --> 00:01:58,151 あ~ テーブルはいい いい! 邪魔になるから 後でいい 後でいい。 17 00:01:58,151 --> 00:02:00,087 そうそう お盆でも構わないよね ヨウ子ちゃん。 18 00:02:00,087 --> 00:02:02,923 おい 随分なれなれしいな。 (均)何か気に障ったかい? 19 00:02:02,923 --> 00:02:05,826 何を! どうしたのよ 2人とも。 変よ! 20 00:02:05,826 --> 00:02:08,395 なに なに。いやいや。 ⚟(ウララ)ごめんあそばせ。 21 00:02:08,395 --> 00:02:11,932 ⚟(マドカ)ごめんあそばせ。 (ウメ)へいへい。 22 00:02:11,932 --> 00:02:16,103 (マドカ)おにぎやかな お引っ越しで 本当に すてきでございますわ。 23 00:02:16,103 --> 00:02:18,405 (はる) まあ お騒がせして申し訳ございません。 24 00:02:18,405 --> 00:02:22,275 (ウララ)とんでもございません。 私ども お手伝いすることがないか➡ 25 00:02:22,275 --> 00:02:25,612 と思いまして伺いましたのよ。 伺いましたのよ。 26 00:02:25,612 --> 00:02:29,116 あ~ あの… 手は足りておりますので どうも ありがとうございます。 27 00:02:29,116 --> 00:02:33,420 そうですか。 それでは 皆様に召し上がっていただこうと➡ 28 00:02:33,420 --> 00:02:35,789 アップルパイを焼きましたの。 29 00:02:35,789 --> 00:02:39,292 (ウメ)ア… アップルペって 何ですか そりゃあ…。 30 00:02:39,292 --> 00:02:42,796 (はる)リンゴのお菓子ですのよ。 まあ それは どうも ありがとうございます。 31 00:02:42,796 --> 00:02:46,667 いいえ ほんのお口汚しでございますのよ。 32 00:02:46,667 --> 00:02:50,537 (ウララとマドカの笑い声) 33 00:02:50,537 --> 00:02:55,142 あ… あの それじゃあ お箸しかないから いいですね? お箸で。 34 00:02:55,142 --> 00:02:58,645 あ あの… 箸なら 表の箱ん中だ。 35 00:02:58,645 --> 00:03:00,914 ええ 私 分かってっからね 取ってくる。 36 00:03:00,914 --> 00:03:04,751 どうも すみません。 どうも すみません おばあちゃま。 37 00:03:04,751 --> 00:03:07,587 (ウメ)ああ この箱ん中だ。 ええ これだ これだ。 38 00:03:07,587 --> 00:03:12,092 下の方 見てご覧。 ああ~…。 39 00:03:12,092 --> 00:03:14,594 あら いいお天気でござんすね。 40 00:03:14,594 --> 00:03:18,465 (年子)あの このうちへ お引っ越しなすっていらしたんですの? 41 00:03:18,465 --> 00:03:23,103 私は手伝いなんですけどね 知り合いの者が。(年子)まあ。 42 00:03:23,103 --> 00:03:25,405 あの どうぞ よろしくお願いしますね。 43 00:03:25,405 --> 00:03:28,108 (年子)とんでもございません! あの このうちのこと➡ 44 00:03:28,108 --> 00:03:31,144 ご存じじゃございませんの? えっ? このうちのことって? 45 00:03:31,144 --> 00:03:38,285 (年子)お気の毒に… 首つりがございましたのよ 3年前に。 46 00:03:38,285 --> 00:03:40,620 首つり…。 (年子)ええ。 ですからね➡ 47 00:03:40,620 --> 00:03:43,423 夜になると 誰かの すすり泣きが聞こえるって。➡ 48 00:03:43,423 --> 00:03:48,128 だから 私など あんまり この辺 通らないようにしているんですけどね。 49 00:03:48,128 --> 00:03:50,964 (三吉)ああ! ご隠居さん! しっかりしてください ご隠居さん! 50 00:03:50,964 --> 00:03:52,999 (年子)あらまあ どうしましょう! (三吉)誰か あの…。 51 00:03:52,999 --> 00:03:56,136 マチ子さん! 来てください! ご隠居さんが! 52 00:03:56,136 --> 00:03:58,438 マチ子さ~ん! 53 00:04:03,243 --> 00:04:06,246 おいおい 静かにできんのかい? 病人がいるんだからよ。 54 00:04:06,246 --> 00:04:09,049 あれ? 言いたくないけど あんた 逆じゃないの? これ。 55 00:04:09,049 --> 00:04:12,752 ええ? そうか…。 56 00:04:25,499 --> 00:04:28,468 なんまいだぶ なんまいだぶ…。 57 00:04:28,468 --> 00:04:33,273 何の酔狂で こんなうちへ 引っ越しする気になったんだろうね…。 58 00:04:33,273 --> 00:04:36,143 ううっ なんまいだぶ…。 59 00:04:36,143 --> 00:04:40,413 どうですか? おばあちゃま。 帰ろう… 帰ろうよ。 60 00:04:40,413 --> 00:04:44,284 ねっ? 桜木町へ帰ろうよ 一緒に。 ねっ? 61 00:04:44,284 --> 00:04:47,187 大丈夫。 幽霊なんか この世の中にいないんだから。 62 00:04:47,187 --> 00:04:50,157 いや いるともさ。 私は ちゃんと見たんだから。 63 00:04:50,157 --> 00:04:53,627 ええ? どこでだよ おばあちゃん 日暮里でかい? 64 00:04:53,627 --> 00:04:56,129 いや 芝居で見たんだ。 65 00:04:56,129 --> 00:05:00,967 こんなふうにしてさ うう~… うう~…! 66 00:05:00,967 --> 00:05:04,371 大丈夫 幽霊だって もともとは人間なんだから。 67 00:05:04,371 --> 00:05:07,073 そうですよ。 人間の方が よっぽど怖いって➡ 68 00:05:07,073 --> 00:05:10,110 田河先生も言ってましたよ。 たまにはいいこと言うじゃねえか。 ええ? 69 00:05:10,110 --> 00:05:12,245 あっしのうちもね 隣だけど すすり泣きなんか➡ 70 00:05:12,245 --> 00:05:15,582 一度も聞いたことねえから。 (栄一)そら あんたみたいな人ん所には➡ 71 00:05:15,582 --> 00:05:17,517 あちらさんも ちょっと出にくいよね。 (植辰)違えねえや。 72 00:05:17,517 --> 00:05:20,387 (笑い声) ちぇっ! とにかくさ マッちゃん➡ 73 00:05:20,387 --> 00:05:23,256 怖がらねえことだよ。 怖がるやつには見えるんだから。 なっ? 74 00:05:23,256 --> 00:05:26,760 うん 大丈夫。 だって 私たち何の因縁もないんだもん。 75 00:05:26,760 --> 00:05:30,397 怖がるいわれがないもん。 そう そのとおりですよ マリ子さん。 76 00:05:30,397 --> 00:05:34,100 はい。あの 何なら 僕が 先生の許可を得てですね➡ 77 00:05:34,100 --> 00:05:37,971 泊まり込みに来てもいいんですよ。 そっちの方が よっぽど怖いんだよ。 78 00:05:37,971 --> 00:05:39,973 失礼だな 君は! 79 00:05:39,973 --> 00:05:43,610 (ヨウ子)マー姉ちゃん 車が。 おっ 来たかい。 俺が呼んだんだよ。 80 00:05:43,610 --> 00:05:45,545 おばあちゃん 車来たってよ。 81 00:05:45,545 --> 00:05:48,114 あの~ 俺が送ってやるからよ 一緒に帰ろうよ。 82 00:05:48,114 --> 00:05:50,050 あれ? でも まだ2階が残ってるんですよ。 83 00:05:50,050 --> 00:05:51,985 (智正)あっ あの~ 大丈夫ですよ。➡ 84 00:05:51,985 --> 00:05:53,987 あの~… 僕が まだ しばらく残ってますからね➡ 85 00:05:53,987 --> 00:05:55,989 あの おばあちゃんの方 お願いします。 (植辰)そうですか? 86 00:05:55,989 --> 00:05:58,425 (均)僕も まだ しばらく残りますから。 あら。 87 00:05:58,425 --> 00:06:01,428 (栄一)そんじゃあ ご隠居さん。 おい おばあちゃん 大丈夫かい? 88 00:06:01,428 --> 00:06:05,198 立てるかい? バカにするんじゃないよ。 89 00:06:05,198 --> 00:06:08,235 腰が抜けたわけじゃないんだよ。 ただ目がちょっと…➡ 90 00:06:08,235 --> 00:06:11,104 目の前が暗くなっただけなんだ。 91 00:06:11,104 --> 00:06:14,374 三吉 三吉! ⚟(三吉)へい! 92 00:06:14,374 --> 00:06:17,744 あらまあ おばあちゃま もう お起きになってよろしいんですか? 93 00:06:17,744 --> 00:06:20,580 (ウメ)あんた 人のことよりもね ご自分のこと➡ 94 00:06:20,580 --> 00:06:24,384 もう少し 心配してくださいよ。 はあ? 95 00:06:24,384 --> 00:06:29,923 あのね 電気はね パ~ッと つけっ放しで寝た方がようござんすよ。 96 00:06:29,923 --> 00:06:36,396 幽霊なんてやつは やっぱり こう 明るいと出にくいってはずですからね。 97 00:06:36,396 --> 00:06:39,699 はい そういたしますわ。 98 00:06:42,202 --> 00:06:44,271 (はる)まあまあ おばあちゃま お気を付けになって。 99 00:06:44,271 --> 00:06:46,773 あんたたちもですよ。 はいはい。 100 00:06:46,773 --> 00:06:50,610 ちゃんと枕元に ほうきと物差し置いて寝ますから。 101 00:06:50,610 --> 00:06:53,513 何はね 足がないんだから➡ 102 00:06:53,513 --> 00:06:58,351 足音立てずに やって来るんだから そのつもりで おいでなさいよ。 103 00:06:58,351 --> 00:07:02,722 大丈夫 私がついてるんだから。 おじさんに よろしくね。 104 00:07:02,722 --> 00:07:04,658 さあ おばあちゃん 行こう。 お気を付けになって。 105 00:07:04,658 --> 00:07:10,363 <こうして 植辰親子に連れられて ウメと三吉が帰っていったあと> 106 00:07:14,901 --> 00:07:18,571 やあ。 2階からの眺めは すばらしいですね。 107 00:07:18,571 --> 00:07:20,507 気分が清々しますよ。 108 00:07:20,507 --> 00:07:22,442 どうも ありがとうございます 三郷さん。 109 00:07:22,442 --> 00:07:24,444 いや~ それにしても いわくつきの おうちであることを➡ 110 00:07:24,444 --> 00:07:26,446 承知の上で 引っ越しなさったとは➡ 111 00:07:26,446 --> 00:07:29,749 いや あなた方の度胸に 改めて感心させられました。 112 00:07:29,749 --> 00:07:34,254 ぜいたく言ってる余裕はないし それに 私も この2階からの眺めが➡ 113 00:07:34,254 --> 00:07:36,189 一目で気に入ってしまったんです。 114 00:07:36,189 --> 00:07:38,758 武蔵野の雑木林なんです。 115 00:07:38,758 --> 00:07:42,395 ほら あの辺り 完全に その面影を残してるでしょう。 116 00:07:42,395 --> 00:07:44,464 武蔵野の雑木林ですか。 117 00:07:44,464 --> 00:07:49,102 ええ 学生時代 この雑木林の風景が大好きでしてね➡ 118 00:07:49,102 --> 00:07:51,771 この辺りから 府中の方まで 歩いたもんですよ。 119 00:07:51,771 --> 00:07:54,674 この辺はね 足の便は ちょっと不自由ですが➡ 120 00:07:54,674 --> 00:07:58,645 絵をなさるには とてもよい環境だと 僕は思います。はい。 121 00:07:58,645 --> 00:08:01,047 空気がおいしいって気がするでしょう? 122 00:08:01,047 --> 00:08:04,551 福岡では 海でした。 123 00:08:04,551 --> 00:08:10,890 福岡の家の2階からですと すぐその前が 松林で浜辺でした。 124 00:08:10,890 --> 00:08:13,727 百道の海岸っていって➡ 125 00:08:13,727 --> 00:08:20,500 砂は白く 松は あくまでも緑で 本当に心が洗われました。 126 00:08:20,500 --> 00:08:23,436 …と言っても その本当のよさが分かるのは➡ 127 00:08:23,436 --> 00:08:25,739 そこを離れてからなんですね。 128 00:08:25,739 --> 00:08:30,076 うん そういうことかもしれませんね。 129 00:08:30,076 --> 00:08:32,379 あの…。 はい? 130 00:08:32,379 --> 00:08:35,281 お話って何でしょう? ああ いけない。 131 00:08:35,281 --> 00:08:38,585 眺めに見とれて すっかり忘れるところでした。 132 00:08:46,593 --> 00:08:50,463 マリ子さん これ 心ばかりですが 引っ越しのお祝いです。 133 00:08:50,463 --> 00:08:53,466 本当に おめでとう。 三郷さん…。 134 00:08:53,466 --> 00:08:56,269 それからですね これは➡ 135 00:08:56,269 --> 00:08:58,772 引き取らせていただいた 蓄音機の代金です。 136 00:08:58,772 --> 00:09:03,343 でも あれは…。 大丈夫です。 すぐに売れますから。 137 00:09:03,343 --> 00:09:07,047 本当に すいません。 (智正)とんでもないですよ。 138 00:09:07,047 --> 00:09:10,550 私たちの方こそ さんざん面倒見ていただいて➡ 139 00:09:10,550 --> 00:09:12,485 本来だったら これは 奥様に➡ 140 00:09:12,485 --> 00:09:14,421 お渡ししなければ いけないんですけれどもね。 141 00:09:14,421 --> 00:09:16,723 でも それは…。 いいえ。 142 00:09:16,723 --> 00:09:19,759 私たちが いい気になって 甘えてばかりいた結果だと➡ 143 00:09:19,759 --> 00:09:21,895 本当 申し訳なく思ってるんです。 144 00:09:21,895 --> 00:09:24,931 そんなことありません。 あれは 母の病気なんですから。 145 00:09:24,931 --> 00:09:29,369 マリ子さん そんなふうに おっしゃっちゃいけないな。 146 00:09:29,369 --> 00:09:34,908 はい。 考えてみたら 私たちも うかつだったんです。 147 00:09:34,908 --> 00:09:37,243 通帳が空になったよって言われるまで➡ 148 00:09:37,243 --> 00:09:39,913 全く それまで うちには どれくらいお金があったのか➡ 149 00:09:39,913 --> 00:09:44,384 考えてみたこともなかったんですもの。 ハハハッ 無理もありませんよ。 150 00:09:44,384 --> 00:09:48,588 お母様の あの なさり方を見ていたら 誰だって つい安心してしまいます。 151 00:09:48,588 --> 00:09:53,092 そのとおりなんです。 子供たちより 神様の方が大事なのかしらって➡ 152 00:09:53,092 --> 00:09:57,964 恵まれない人たちに 次から次へと 大切なものを運ぶ時なんか➡ 153 00:09:57,964 --> 00:10:01,401 正直言って マチ子と 文句言ったこともありましたけど➡ 154 00:10:01,401 --> 00:10:05,271 母のすることだからと思って 信用してたっていうか➡ 155 00:10:05,271 --> 00:10:08,174 あの人任せだったんですよね。 156 00:10:08,174 --> 00:10:10,944 本当に いい勉強になりました。 157 00:10:10,944 --> 00:10:13,780 (智正)いい言葉ですね。 えっ? 158 00:10:13,780 --> 00:10:19,586 いえ 私なんかもね この年になっても まだ勉強ばかりです。 159 00:10:19,586 --> 00:10:25,291 痛い思いをしないと 身にしみて覚えない方のたちなんですね。 160 00:10:25,291 --> 00:10:29,295 悔しいこと 情けないこともありました。 161 00:10:29,295 --> 00:10:33,800 でもね これが勉強だと思うと 前へ進むことができるんです。 162 00:10:33,800 --> 00:10:36,703 はい。 あっ いえいえいえ! 163 00:10:36,703 --> 00:10:41,674 今のは 私が 私自身に対する言葉なんですよ。➡ 164 00:10:41,674 --> 00:10:45,311 でもね あなた方は 本当に すばらしいですよ。 165 00:10:45,311 --> 00:10:48,815 いいえ 自分でも変なのばっかり そろったと思ってますもの。 166 00:10:48,815 --> 00:10:50,850 それでいいんですよ それでいいんです。 167 00:10:50,850 --> 00:10:55,989 既成の考え方に とらわれないで 独自の生き方を見つけていかなければ➡ 168 00:10:55,989 --> 00:11:00,960 自分がなくなってしまう そんな時代になるでしょうからね。 169 00:11:00,960 --> 00:11:05,265 あっ 正直言ってね 私は あなた方が羨ましいんです。 170 00:11:05,265 --> 00:11:08,601 羨ましいって 私たちのどこがですか? 171 00:11:08,601 --> 00:11:11,938 (智正)そうですね え~ 例えばですね➡ 172 00:11:11,938 --> 00:11:14,774 この いわくつきの おうちでも ご自分の現状次第では➡ 173 00:11:14,774 --> 00:11:16,709 何の抵抗も感じていらっしゃらない。 174 00:11:16,709 --> 00:11:21,648 そこへいくと 私たちは 世間の常識から 逃れることはできないんです。 175 00:11:21,648 --> 00:11:23,950 でも あまり 褒められたことじゃないでしょう。 176 00:11:23,950 --> 00:11:28,288 お家賃の安さに釣られただなんて。 いえ その実質主義で行くべきです。 177 00:11:28,288 --> 00:11:30,957 そこへいくと その お母様は とっても偉いと思うんです。 178 00:11:30,957 --> 00:11:33,793 頑張ってください。 はい。 179 00:11:33,793 --> 00:11:39,299 まあ当分 あなたは 挿絵をなさると思うんですが➡ 180 00:11:39,299 --> 00:11:45,805 必ず チャンスを見つけて 立派な絵を描いてくださいね。 181 00:11:45,805 --> 00:11:49,976 あなたの成功はですね 私の夢でもあるんですから。 182 00:11:49,976 --> 00:11:52,645 まあ。 アハハハハッ! 183 00:11:52,645 --> 00:11:56,316 いや 自分の夢を他人に託しちゃ もうおしまいですね。 184 00:11:56,316 --> 00:11:58,985 いや 私も頑張ります。 ウフフッ はい。 185 00:11:58,985 --> 00:12:02,589 でも おばさんに伺いましたけど 今度 おじ様の会社では➡ 186 00:12:02,589 --> 00:12:04,624 写真出版もなさるんですってね。 はい。 187 00:12:04,624 --> 00:12:08,461 畑違いですが 同じ出版関係です 負けませんぞ!はい! 188 00:12:08,461 --> 00:12:11,598 頑張りましょう!はい! (笑い声) 189 00:12:11,598 --> 00:12:13,533 思わぬ長話になってしまった。 あっ! 190 00:12:13,533 --> 00:12:15,468 下へ行って ひと片づけやりましょう! はい! 191 00:12:15,468 --> 00:12:17,770 さあ 行きましょう! ハハハハハッ! 192 00:12:20,273 --> 00:12:22,208 はあ。 (智正)いや どうも➡ 193 00:12:22,208 --> 00:12:24,611 いろいろと ごちそうさまでした。 いいえ こちらこそ➡ 194 00:12:24,611 --> 00:12:27,280 遅くまで ありがとうございました。 195 00:12:27,280 --> 00:12:29,215 (均)お休みなさい。 お休み~。 196 00:12:29,215 --> 00:12:31,618 あの 田河先生と奥様に どうぞ よろしく。 197 00:12:31,618 --> 00:12:33,553 はい 伝えますよ。 198 00:12:33,553 --> 00:12:36,789 あっ それから 戸締まりには十分気を付けてくださいね。 199 00:12:36,789 --> 00:12:39,425 大丈夫だよ この俺が残ってんだからな。 200 00:12:39,425 --> 00:12:41,961 (タマ)だからって ちゃんと戸締まりしておくにね➡ 201 00:12:41,961 --> 00:12:44,430 こしたことはないんだよ。 ほら 見ろ! 202 00:12:44,430 --> 00:12:47,800 (朝男)何だと!? じゃあ 私たちも失礼しようか。 203 00:12:47,800 --> 00:12:50,136 だってさ まだ台所の棚が…。 204 00:12:50,136 --> 00:12:53,039 いいじゃないか 明日は明日のことにして。 205 00:12:53,039 --> 00:12:56,643 皆さんだってね 朝早くから お疲れだよ。 206 00:12:56,643 --> 00:12:59,312 本当に疲れた? ううん まだ元気だけど➡ 207 00:12:59,312 --> 00:13:02,081 今日は このぐらいにして。 そうか。 208 00:13:02,081 --> 00:13:05,952 じゃあさ 俺も… 明日 河岸から帰ったら また 顔出すわ。 209 00:13:05,952 --> 00:13:08,755 はい お願いします。 はい じゃあ お休みなさい。 210 00:13:08,755 --> 00:13:11,090 ヨウ子ちゃん お休みなさい。 (ヨウ子)おば様に よろしく。 211 00:13:11,090 --> 00:13:13,993 はい じゃあ さようなら。 皆さん お休みなさい。 212 00:13:13,993 --> 00:13:16,763 (一同)お休みなさい。 213 00:13:16,763 --> 00:13:19,966 失礼します。 おっ母も 早く出た 出た。 214 00:13:21,601 --> 00:13:26,406 <みんなが帰るや マリ子とマチ子は 早速に仕事です。➡ 215 00:13:26,406 --> 00:13:30,276 「皇国の興廃 この一戦にあり」。➡ 216 00:13:30,276 --> 00:13:32,612 とにかく 磯野家の命運は➡ 217 00:13:32,612 --> 00:13:36,916 2人の この細腕に しっかりと かかってきていたのです> 218 00:13:41,287 --> 00:13:45,158 マー姉ちゃん お茶。 あっ ありがとう。 219 00:13:45,158 --> 00:13:49,028 ここまで描いちゃうから ちょっと そこ置いといて。 はい。 220 00:13:49,028 --> 00:13:53,100 ねえ お母様 何していらっしゃる? 明日の朝のお支度。 221 00:13:53,100 --> 00:13:57,637 どうやら 心 入れ替えたらしいわね。 マチ子。 222 00:13:57,637 --> 00:13:59,972 だって 娘2人が稼ぐんだもの。 223 00:13:59,972 --> 00:14:04,243 それぐらいのことは 母親として当然の務めでしょ。 224 00:14:04,243 --> 00:14:06,179 もっと ほかに言い方ないの? 225 00:14:06,179 --> 00:14:10,750 ない。 一片の同情もないくらいに ない。 226 00:14:10,750 --> 00:14:14,387 だけど ごめんね ヨウ子。 何のこと? 227 00:14:14,387 --> 00:14:19,258 学校 遠くなっちゃったでしょう? 大丈夫よ そんなこと。 228 00:14:19,258 --> 00:14:21,594 マッちゃんと一緒に バリバリ働いたら➡ 229 00:14:21,594 --> 00:14:24,097 今度 また便利な所に 引っ越せばいいもんね。 230 00:14:24,097 --> 00:14:28,601 ううん お二階があって 何だか福岡のうちみたいな感じで➡ 231 00:14:28,601 --> 00:14:30,636 私は好き。 232 00:14:30,636 --> 00:14:35,942 そう。 それなら よかった。 233 00:14:35,942 --> 00:14:40,613 静かでいいわ。 234 00:14:40,613 --> 00:14:42,648 本当。 235 00:14:42,648 --> 00:14:45,785 都落ちっていうのも まんざらじゃないわね。 236 00:14:45,785 --> 00:14:47,720 うん。 237 00:14:47,720 --> 00:14:54,227 <さて 一家は この家で どんな暮らしを始めるのでしょうか?>