1 00:00:02,202 --> 00:00:08,942 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:08,942 --> 00:01:06,633 ♬~ 3 00:01:09,903 --> 00:01:16,109 <秋が来る頃には 原稿なしの挿絵も 描けるようになりましたが➡ 4 00:01:16,109 --> 00:01:21,615 マリ子には また新しい悩みが生まれておりました> 5 00:01:21,615 --> 00:01:33,226 ♬~ 6 00:01:33,226 --> 00:01:36,964 (ヨウ子)ねえ どうかしたの? (マチ子)何が? 7 00:01:36,964 --> 00:01:39,100 マー姉ちゃん 声をかけても ぼんやりしてるみたいで。 8 00:01:39,100 --> 00:01:43,737 (はる)そういえば 帰ってきた時から 元気がなかったみたいね。 9 00:01:43,737 --> 00:01:47,140 元気なんてもの あるわけないわよ。 どこか悪いの? 10 00:01:47,140 --> 00:01:50,644 いいえ おやつはペロリと頂きましたよ。 11 00:01:50,644 --> 00:01:54,448 そこが困るのよね あの人は。 どこが? 12 00:01:54,448 --> 00:01:57,351 悩みがあるくせに 食欲には 全く関係ないんだから。 13 00:01:57,351 --> 00:02:00,253 まあ 一体 どんな悩みがあるというの? 14 00:02:00,253 --> 00:02:02,589 それは いろいろとね。 15 00:02:02,589 --> 00:02:06,760 あなたたち なんということでしょう。 それでも きょうだいなの? 16 00:02:06,760 --> 00:02:09,796 えっ? (はる)マリ子に悩みがあるのなら➡ 17 00:02:09,796 --> 00:02:12,632 どうして その悩みを 分かち合おうとしないんですか? 18 00:02:12,632 --> 00:02:16,103 だけど それは…。 (はる)それはも これはも ありません。➡ 19 00:02:16,103 --> 00:02:19,006 一家4人で力を合わせれば どんな垣根だって➡ 20 00:02:19,006 --> 00:02:22,876 乗り越えられないことはないんですよ。 そう言ったって こればっかりは。 21 00:02:22,876 --> 00:02:25,278 嫌だというんですか? 分かち合うのが。 22 00:02:25,278 --> 00:02:28,949 いや そういうことじゃないんです。 (はる)じゃあ 一体 どういうことなの? 23 00:02:28,949 --> 00:02:34,621 だから それは つまり… 芸術上というか 職業上というか…。 24 00:02:34,621 --> 00:02:37,424 職業上? ええ まあ。 25 00:02:37,424 --> 00:02:40,127 (はる)はっきりと おっしゃいよ。 26 00:02:40,127 --> 00:02:44,798 つまり その… 色気がないと言われたんですって。 27 00:02:44,798 --> 00:02:47,434 色気? 28 00:02:47,434 --> 00:02:50,637 どうして そんなものが 職業上 必要なんですか!? 29 00:02:50,637 --> 00:02:54,975 お酒の席に はべる職業なら ともかく マリ子は挿絵家ですよ。 30 00:02:54,975 --> 00:02:58,645 挿絵家に 一体どうして どんな色気が必要だというの! 31 00:02:58,645 --> 00:03:02,382 いえ マー姉ちゃんそのものに 色気がないっていうんじゃなくて。 32 00:03:02,382 --> 00:03:05,252 じゃあ 一体 どういうことなの? 33 00:03:05,252 --> 00:03:07,254 だから その つまり…➡ 34 00:03:07,254 --> 00:03:10,123 今 ご一緒に仕事をしている 増田先生が➡ 35 00:03:10,123 --> 00:03:14,928 マー姉ちゃんの描いている絵には 色気がないと。 36 00:03:14,928 --> 00:03:17,964 一体 あの子は どんな絵を描いとるのかしら? 37 00:03:17,964 --> 00:03:21,401 その増田なにがしという人の小説 持ってらっしゃい ヨウ子。 38 00:03:21,401 --> 00:03:23,336 全部ですよ はよ。 はい。 39 00:03:23,336 --> 00:03:26,940 ごはんは? お食事は? 40 00:03:26,940 --> 00:03:29,776 「人間 パンのみにて 生くるものにあらず」。 41 00:03:29,776 --> 00:03:32,079 そんなものは あと! 42 00:03:36,550 --> 00:03:43,123 <というわけで 時ならぬ はるの検閲チェックが開始されました> 43 00:03:43,123 --> 00:03:53,633 ♬~ 44 00:03:56,136 --> 00:03:58,171 こんな不潔な仕事は すぐに おやめなさい! 45 00:03:58,171 --> 00:04:01,108 お母様…。 何ですか。 46 00:04:01,108 --> 00:04:03,744 夫ある身で 若い男に言い寄られたり➡ 47 00:04:03,744 --> 00:04:06,646 妻子ある男の影の女で 甘んじようですって。 48 00:04:06,646 --> 00:04:09,249 そんな不倫が許されていいと思うとるの!? 49 00:04:09,249 --> 00:04:12,752 でも 私は別に…。 (はる)せっぷんは せっぷんです。➡ 50 00:04:12,752 --> 00:04:15,789 それを どうして こんなに長々と 書かなければいけないんです。➡ 51 00:04:15,789 --> 00:04:20,627 やれ 唇の格好が どうのこうの 心臓の音が聞こえるようだ。 52 00:04:20,627 --> 00:04:24,097 心臓の音が聞こえなかったら 人間 おしまいでしょう!➡ 53 00:04:24,097 --> 00:04:28,769 それに何ですか! そのせっぷんは甘い果実の味がした。➡ 54 00:04:28,769 --> 00:04:30,704 冗談ではありませんよ。➡ 55 00:04:30,704 --> 00:04:33,273 せっぷんというのは 味わうものではありまっしぇん! 56 00:04:33,273 --> 00:04:35,609 でも 小説ですから。 57 00:04:35,609 --> 00:04:38,411 小説というのは 人生を語るものである。 58 00:04:38,411 --> 00:04:41,314 菊池先生も ちゃんと そう おっしゃいましたね。 59 00:04:41,314 --> 00:04:44,117 ところが この男ときたら➡ 60 00:04:44,117 --> 00:04:49,289 女の肌は すべすべしていて 美しいのどうの 大きなお世話ですよ。 61 00:04:49,289 --> 00:04:52,192 マリ子 あなた こんな小説と関わっていたら➡ 62 00:04:52,192 --> 00:04:54,427 自分が堕落するだけではなく➡ 63 00:04:54,427 --> 00:04:59,966 純真な青少年に汚す害毒を流す その片棒を担ぐことになるんですよ! 64 00:04:59,966 --> 00:05:04,738 <すぐれた官能描写で 自他ともに許す有名作家も➡ 65 00:05:04,738 --> 00:05:07,641 この人にあっては 形なしです> 66 00:05:07,641 --> 00:05:10,243 そんなことは当たり前です。 67 00:05:10,243 --> 00:05:12,746 以後 明朗なる仕事をなさい! 68 00:05:12,746 --> 00:05:16,383 自分に恥じぬ 明朗なる仕事を! 69 00:05:16,383 --> 00:05:18,318 勝手すぎるわよ。 70 00:05:18,318 --> 00:05:22,589 今まで 娘たちが描いたものに 何の興味も示さなかったくせに。 71 00:05:22,589 --> 00:05:26,459 何さ 自分だけが 汚れを知らない人間みたいなこと言って。 72 00:05:26,459 --> 00:05:31,298 でも あそこまで言われたら やっぱり 続けていくわけには…。 73 00:05:31,298 --> 00:05:33,767 まさか マー姉ちゃん。 うん。 74 00:05:33,767 --> 00:05:37,404 連載物として引き受けたんだし やっぱり 途中で➡ 75 00:05:37,404 --> 00:05:40,273 やめさせてもらうわけにはいかない と思うけど。 76 00:05:40,273 --> 00:05:44,778 けど どうするつもりなの? 明朗なる仕事をするほかないんじゃない。 77 00:05:44,778 --> 00:05:46,713 冗談じゃないわよ! 78 00:05:46,713 --> 00:05:51,117 三角関係や せっぷんもない小説なんて 子供物しかないじゃないの。 79 00:05:51,117 --> 00:05:53,620 うん。 マー姉ちゃん! 80 00:05:53,620 --> 00:05:56,656 どうして あなたは そう お母様のおっしゃることには忠実なの? 81 00:05:56,656 --> 00:06:00,727 それは 私が長女だから。 (ヨウ子)マー姉ちゃん…。 82 00:06:00,727 --> 00:06:04,364 あなたたちは 思うように 自分の思うところを伸ばしたらいいわ。 83 00:06:04,364 --> 00:06:07,067 でも 私は 磯野家の長女として➡ 84 00:06:07,067 --> 00:06:11,571 お母様の おっしゃることを 無視できないのよ。そんな! 85 00:06:11,571 --> 00:06:16,276 いいの。 私は そっちの方が むしろ気が楽なんだもん。 86 00:06:22,749 --> 00:06:25,051 (均)ご苦労さん。 87 00:06:30,090 --> 00:06:35,896 ごめんください 大宗です。 ⚟は~い! 88 00:06:35,896 --> 00:06:38,398 あっ 何だ 今日はマッちゃんが玄関番? 89 00:06:38,398 --> 00:06:40,934 うん お母様が ちょっと 出かけちゃったもんだから。 90 00:06:40,934 --> 00:06:44,604 ああ そう。 いや 今日は 実はね 先生に頼まれて➡ 91 00:06:44,604 --> 00:06:47,274 いいものを持ってきたんだ。 いいもの? 92 00:06:47,274 --> 00:06:50,110 舶来の絵の具。 うわ~! 93 00:06:50,110 --> 00:06:53,780 近頃 とんと手に入りにくくなったしね。 今は 挿絵やってるけども➡ 94 00:06:53,780 --> 00:06:56,416 そのうち マリ子さんも 油をやるようになるだろうから➡ 95 00:06:56,416 --> 00:06:58,351 これを持っていってあげろ って言われてね。 96 00:06:58,351 --> 00:07:00,420 どうも ありがとう。 97 00:07:00,420 --> 00:07:03,189 実は そのことで ちょっと聞いてほしいことがあるの。 98 00:07:03,189 --> 00:07:05,191 僕に? 99 00:07:12,232 --> 00:07:14,734 ⚟(均)失礼します。 100 00:07:14,734 --> 00:07:18,071 マリ子さん 大宗です。 101 00:07:18,071 --> 00:07:21,374 あっ はい。 マリ子です。 102 00:07:24,244 --> 00:07:28,114 まあ すっかり ご無沙汰してしまって。 あの マチ子 おりませんでした? 103 00:07:28,114 --> 00:07:32,118 いえ 今 そのマチ子さんに 話を聞いてきたところなんです。 104 00:07:32,118 --> 00:07:35,822 いいですか? ええ あっ どうぞ。 105 00:07:38,792 --> 00:07:42,796 あっ どうも これは すいません。 106 00:07:45,932 --> 00:07:49,803 あなたの一生のことなんです。 よ~く考えてくださいよ。 はい。 107 00:07:49,803 --> 00:07:52,605 僕は反対です。 大宗さん。 108 00:07:52,605 --> 00:07:56,776 それは 無理して 官能描写が売り物の 作品に つきあうことはありません。 109 00:07:56,776 --> 00:08:01,047 でもね かれこれ1年 あなたは着実に挿絵家として➡ 110 00:08:01,047 --> 00:08:02,983 階段を上がってきたじゃありませんか。 111 00:08:02,983 --> 00:08:05,352 でも 私 別に挿絵をやめるわけじゃ…。 112 00:08:05,352 --> 00:08:08,054 しかし 児童物に 転向しようっていうんでしょう? 113 00:08:08,054 --> 00:08:10,357 はい。 (均)なぜですか?➡ 114 00:08:10,357 --> 00:08:12,892 成人物だって 作品を選べばいいじゃありませんか。 115 00:08:12,892 --> 00:08:15,562 それは そうなんですけど…。 (均)だったら悪いことは言いません。➡ 116 00:08:15,562 --> 00:08:19,899 続けてくださいよ。 自分で自分の才能を 摘み取るバカが どこにいますか。 117 00:08:19,899 --> 00:08:21,935 私に そんな初めから才能なんか…。 118 00:08:21,935 --> 00:08:25,705 (均)いや なければ 今日まで 一家を支えてこられないでしょう? 119 00:08:25,705 --> 00:08:28,241 それは お金が欲しい一心で…。 120 00:08:28,241 --> 00:08:32,112 お金なら 僕だって欲しいですよ。 人並みにね 名声だって欲しいんだ。 121 00:08:32,112 --> 00:08:35,749 だから こうやって田河家で 万年書生と言われながら➡ 122 00:08:35,749 --> 00:08:38,585 その一心で いまだに修業を続けています。 123 00:08:38,585 --> 00:08:44,391 でも 才能のない者は ないんだよね。 そんな…。 124 00:08:44,391 --> 00:08:47,761 あなたは このうちの長女で うちのことを考えざるをえない。 125 00:08:47,761 --> 00:08:49,696 そういう つらい気持ちは よく分かります。 126 00:08:49,696 --> 00:08:53,099 でも マチ子さんがいるじゃありませんか。 127 00:08:53,099 --> 00:08:56,770 なぜ 彼女と協力して 今まで1年 築いてきた地盤に➡ 128 00:08:56,770 --> 00:08:58,705 踏みとどまろうとしないんですか? 129 00:08:58,705 --> 00:09:02,542 何で 自分の夢を そう簡単に捨てることができるんですか? 130 00:09:02,542 --> 00:09:05,044 そりゃあね お母さんの反対を無視なさるのは➡ 131 00:09:05,044 --> 00:09:09,883 とても つらいことでしょう。 でも それも いっときの辛抱ですよ。 132 00:09:09,883 --> 00:09:12,919 初めはね お母さんの意にそぐわない仕事でも➡ 133 00:09:12,919 --> 00:09:17,223 あなたが力をつけ あなた自身の 美の世界をつくり出すことによって➡ 134 00:09:17,223 --> 00:09:21,094 いくらでも解消できることなんです。 135 00:09:21,094 --> 00:09:26,733 僕はね あなたに もっと自分を大事にしてもらって➡ 136 00:09:26,733 --> 00:09:28,668 この道 極めてもらいたいんだ。 137 00:09:28,668 --> 00:09:31,371 あなたには それだけの才能があるんだから。 138 00:09:31,371 --> 00:09:34,240 すいません ご心配かけまして。 139 00:09:34,240 --> 00:09:39,078 いやいや 僕は あなたのためだったら どんな心配だってします。 140 00:09:39,078 --> 00:09:41,981 頑張ってくださいよ。 しっかりとね。 141 00:09:41,981 --> 00:09:44,584 すみません。 142 00:09:44,584 --> 00:09:47,253 それじゃあ 僕はこれで。 143 00:09:47,253 --> 00:09:50,090 大宗さん。 はあ。 144 00:09:50,090 --> 00:09:54,394 本当に どうも ありがとうございました。 いや…。 145 00:09:54,394 --> 00:09:58,765 あっ そうだ 忘れるところだった。 146 00:09:58,765 --> 00:10:01,267 フランスの絵の具です。 まあ! 147 00:10:01,267 --> 00:10:04,938 田河先生からの贈り物。 頑張ってくださいよ。 148 00:10:04,938 --> 00:10:06,873 大宗さん…。 149 00:10:06,873 --> 00:10:09,409 いつか 油に戻られるんでしょう? 150 00:10:09,409 --> 00:10:12,779 僕は期待してますからね。 はい。 151 00:10:12,779 --> 00:10:17,283 あなたの展覧会の時には 僕が 受付やりますよ。 152 00:10:17,283 --> 00:10:20,286 いつ そんな日が来るか…。 いや 構いませんよ。 153 00:10:20,286 --> 00:10:23,089 たとえ 僕の腰が曲がってても➡ 154 00:10:23,089 --> 00:10:26,960 マリ子さんの展覧会の受付は ほかの誰にも譲りませんからね。 155 00:10:26,960 --> 00:10:30,964 はい その時は どうぞ よろしくお願いします。 156 00:10:32,765 --> 00:10:36,436 どうも お邪魔しました。 はい。 157 00:10:36,436 --> 00:10:40,306 <大宗 均の真情あふれる説得に対して➡ 158 00:10:40,306 --> 00:10:46,112 新八郎の反応は また一風変わったものでした> 159 00:10:46,112 --> 00:10:49,315 (新八郎)僕はだね 児童物であろうと何であろうと➡ 160 00:10:49,315 --> 00:10:52,819 マリ子さんが 抵抗なく描ける仕事が 一番いいと思うな。 161 00:10:52,819 --> 00:10:55,321 無責任なのね 東郷さんって。 162 00:10:55,321 --> 00:10:57,657 (新八郎)だって 最後には やっぱり油をやりたいんだろ?➡ 163 00:10:57,657 --> 00:11:01,528 だったら それに戻るためにも 無駄な神経 遣うことないじゃないか。 164 00:11:01,528 --> 00:11:04,397 無駄な神経 遣わずに お金の頂ける仕事なんか➡ 165 00:11:04,397 --> 00:11:06,766 ないんじゃないですか? (新八郎)いや 情勢的に見てだ。➡ 166 00:11:06,766 --> 00:11:10,637 今はむきになっても しかたがないと思う。 情勢って 何の情勢? 167 00:11:10,637 --> 00:11:13,106 紙だよ。 紙の統制。 168 00:11:13,106 --> 00:11:15,041 紙? ああ。 169 00:11:15,041 --> 00:11:18,778 いくら いい腕持っててもね 紙がなかったら絵は描けないじゃないか。 170 00:11:18,778 --> 00:11:22,949 それ どういうこと? 非常時における紙不足だ。 171 00:11:22,949 --> 00:11:28,121 新聞だって 用紙制限で 地方紙の場合は 既に合併している所もあるし➡ 172 00:11:28,121 --> 00:11:31,157 雑誌社だって ちっちゃい所はね そうだな…➡ 173 00:11:31,157 --> 00:11:34,627 まあ 全国で500ぐらいは 廃刊してるんじゃないかな? 174 00:11:34,627 --> 00:11:37,130 本当? ああ。 175 00:11:37,130 --> 00:11:39,632 まあ 毎朝や陽談社が なくなるようなことはないけど➡ 176 00:11:39,632 --> 00:11:44,504 でもね 既に そういうのにぶつかっている 絵描きや物書きは いっぱいいるんだよ。 177 00:11:44,504 --> 00:11:46,973 そして どうなるの? 178 00:11:46,973 --> 00:11:54,647 そうだな… まあ 美術誌や外国文学趣味の 色の濃いものから潰されていくだろうな。 179 00:11:54,647 --> 00:11:59,152 でもね 子供のものだけは 最後まで残るだろうっていうのが➡ 180 00:11:59,152 --> 00:12:02,388 僕の見通しなんだ。 とすればだよ➡ 181 00:12:02,388 --> 00:12:06,926 今は あまり気の向かない仕事を やってるよりは 情勢的に見てだ➡ 182 00:12:06,926 --> 00:12:11,264 児童物に切り替えた方が得だと思うね。 183 00:12:11,264 --> 00:12:13,933 まあ それに 僕はだね➡ 184 00:12:13,933 --> 00:12:19,606 マリ子さんに あんまり 官能描写が 巧みな画家になってほしくないんだな。 185 00:12:19,606 --> 00:12:24,477 いや これは 全く 僕の個人的な感情だけど。 186 00:12:24,477 --> 00:12:28,114 いいわ 私 辛抱する。 マー姉ちゃん。 187 00:12:28,114 --> 00:12:31,985 私 童話の挿絵を描く。 188 00:12:31,985 --> 00:12:35,788 マリ子さん。 よく分からない世界を描くより➡ 189 00:12:35,788 --> 00:12:40,293 私は もともと お母様のおっしゃるとおり 明朗なものの方が向いてるのよ。 190 00:12:40,293 --> 00:12:44,297 どうせ辛抱するんだったら 青少年に害毒を及ぼすことなく➡ 191 00:12:44,297 --> 00:12:47,800 良心に恥じない仕事をした方が よっぽど気持ちいいもん。 192 00:12:47,800 --> 00:12:50,136 なんて欲がないのよ! 193 00:12:50,136 --> 00:12:52,805 それは それでもいいけども あまり度が過ぎると➡ 194 00:12:52,805 --> 00:12:56,976 世間知らずのおバカさんってことに…。 (新八郎)いいじゃないか!➡ 195 00:12:56,976 --> 00:13:01,247 僕は そういうマリ子さんだからこそ 首ったけなんだから…。 196 00:13:01,247 --> 00:13:04,150 えっ? 今 何て言ったの? 東郷さん。 197 00:13:04,150 --> 00:13:08,388 いや 僕は そういうマリ子さんだから 大好きなんです。 198 00:13:08,388 --> 00:13:11,391 もう 夜も日も明けないくらいに。 199 00:13:15,094 --> 00:13:18,398 いや そういう不思議そうな顔すること ないんです。 200 00:13:18,398 --> 00:13:22,602 僕だって男だし すてきな女性に のぼせ上がっても無理ないんですよ。 201 00:13:22,602 --> 00:13:26,939 あ あの… すてきな女性って マー姉ちゃんのこと? 202 00:13:26,939 --> 00:13:29,275 そうです マリ子さんです。 203 00:13:29,275 --> 00:13:31,210 や~! 204 00:13:31,210 --> 00:13:33,780 いや マリ子さんが困ることはないんです。 205 00:13:33,780 --> 00:13:37,417 これは 僕の勝手なんですから。 206 00:13:37,417 --> 00:13:41,220 そうですよね。 そうですよ。 207 00:13:43,289 --> 00:13:48,795  心の声 変な愛の告白。 映画と全然違うじゃないの。 208 00:13:52,432 --> 00:13:56,969 ただいま。 あら 何度も声かけたのに 聞こえなかった? 209 00:13:56,969 --> 00:13:59,439 あら そう? ちっとも気が付かなかった。 210 00:13:59,439 --> 00:14:03,076 (新八郎)お邪魔してます。 まあ 東郷さん。 ごめんなさいね。 211 00:14:03,076 --> 00:14:05,378 今 ちょっと ヨウ子のお買い物に出てたもんだから。 212 00:14:05,378 --> 00:14:08,748 お食事 まだでしょう? はい! 213 00:14:08,748 --> 00:14:10,683 そうだわね 今から作るのも何だから➡ 214 00:14:10,683 --> 00:14:13,386 ヨウ子 桜寿司さんに行って そう言ってきて。 215 00:14:13,386 --> 00:14:16,289 その前に お母様。 216 00:14:16,289 --> 00:14:18,257 マリ子。 はい。 217 00:14:18,257 --> 00:14:21,594 この新聞の… ほら ここに書いてある 喜多川 茜さんって➡ 218 00:14:21,594 --> 00:14:24,797 あの お友達の方じゃない? 219 00:14:30,603 --> 00:14:33,940 茜さん! 220 00:14:33,940 --> 00:14:41,114 <本格的な絵を諦め 今また せっかく 築き上げた成人向け挿絵家の道を➡ 221 00:14:41,114 --> 00:14:44,150 惜しげもなく捨てようとした時➡ 222 00:14:44,150 --> 00:14:47,887 喜多川 茜の美術展入選の知らせは➡ 223 00:14:47,887 --> 00:14:52,892 マリ子の胸を どのように打ったことでしょうか>