1 00:00:02,202 --> 00:00:08,609 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:08,609 --> 00:01:06,800 ♬~ 3 00:01:15,375 --> 00:01:18,612 (ヨウ子)行ってまいります。 (マリ子)気を付けてね。 4 00:01:18,612 --> 00:01:21,515 はい。 5 00:01:21,515 --> 00:01:23,483 元気出して。 6 00:01:23,483 --> 00:01:25,953 はい。 7 00:01:25,953 --> 00:01:29,623 (マチ子)ヨウ子~! ヨウ子! 忘れ物 忘れ物! 8 00:01:29,623 --> 00:01:33,126 ああっ! ヨウ子 忘れ物 お弁当だって。 9 00:01:34,795 --> 00:01:39,299 はい これを忘れたら大変だわ。 卵焼き 入れといたからね。 10 00:01:41,969 --> 00:01:46,640 あっ あんまり電車混んでたら 一台ぐらい 見送りなさいよ。 11 00:01:46,640 --> 00:01:50,310 バカね そんなこと言ったら 引っ込み思案のヨウ子のことだもん➡ 12 00:01:50,310 --> 00:01:52,245 永久に電車なんか乗れませんよ。 13 00:01:52,245 --> 00:01:55,048 いいじゃないの 要は励ましなんだから。 14 00:01:58,452 --> 00:02:02,089 ほかに何か 直接的に励ましてやれる方法は➡ 15 00:02:02,089 --> 00:02:04,591 ないもんかしら? うん…。 16 00:02:04,591 --> 00:02:06,927 代わってやれるもんなら 代わってやりたい。 17 00:02:06,927 --> 00:02:11,798 マチ子じゃ 菊池先生の方でお断りだわ。 まあ! 18 00:02:11,798 --> 00:02:14,801 そうだ! 何よ? 19 00:02:14,801 --> 00:02:16,937 何よ 一体? 20 00:02:16,937 --> 00:02:22,275 スーツ スーツ…。 21 00:02:22,275 --> 00:02:25,112 スーツ…。 何 血迷ってるのよ。 22 00:02:25,112 --> 00:02:27,047 スーツが そんな所に入ってるわけないでしょう。 23 00:02:27,047 --> 00:02:31,618 だから そのスーツのもとが入ってるの。 イースト菌じゃあるまいし…。 24 00:02:31,618 --> 00:02:33,553 ほら あった! 25 00:02:33,553 --> 00:02:37,124 衣料切符じゃないの これ。 だから そのスーツのもとでしょう? 26 00:02:37,124 --> 00:02:39,426 あきれた~! 27 00:02:39,426 --> 00:02:41,361 私は 着物をガタガタ持ってるし➡ 28 00:02:41,361 --> 00:02:44,631 マッちゃんだって 出不精だから これ以上 よそ行きは要らないだろうし。 29 00:02:44,631 --> 00:02:47,667 ねっ? パ~ッと 4~5着 いいスーツを作ってあげない? 30 00:02:47,667 --> 00:02:49,970 いっぺんに? いっぺんにだって ぼちぼちだって➡ 31 00:02:49,970 --> 00:02:53,640 同じことでしょう? 待ってよ スーツって何点だった? 32 00:02:53,640 --> 00:02:57,444 あっ ちょっと待って。 点数表が書いたのがあったから。 33 00:02:57,444 --> 00:03:03,250 <何もかも配給時代で 衣類は 一年間一人100点の点数制。➡ 34 00:03:03,250 --> 00:03:09,122 参考までに申し上げますと 背広50点 パジャマ 毛布 各40点➡ 35 00:03:09,122 --> 00:03:11,925 セーター 20点 ワイシャツ 12点➡ 36 00:03:11,925 --> 00:03:15,762 ズロース 4点 手拭い 3点➡ 37 00:03:15,762 --> 00:03:20,934 一人の切符では もちろん 以上のもの 全部を買うわけにはまいりません> 38 00:03:20,934 --> 00:03:24,771 へえ~ ツーピース27点か 案外 要らないのね。 39 00:03:24,771 --> 00:03:29,643 でしょう? よし 作ってやろう 張り切って! 40 00:03:29,643 --> 00:03:31,645 (東條英機のものまねで) 意見の一致を ここに見て➡ 41 00:03:31,645 --> 00:03:34,414 まことに ご同慶の至りであります! 42 00:03:34,414 --> 00:03:36,349 マー姉ちゃん…。 43 00:03:36,349 --> 00:03:39,286 従って 洋服とオーバーを作れば➡ 44 00:03:39,286 --> 00:03:43,423 もはや その年には 靴下一足 買えないのでありまするが➡ 45 00:03:43,423 --> 00:03:47,627 我々一億の覚悟は 既に出来上がっておる。 46 00:03:47,627 --> 00:03:53,133 50年 100年 この大東亜戦争を戦い抜き 勝ち抜くまでは➡ 47 00:03:53,133 --> 00:03:56,803 いかなる苦しみにも 耐え忍ばねばならんのであります。 48 00:03:56,803 --> 00:04:01,074 よっ! そっくり! 49 00:04:01,074 --> 00:04:05,245 あの旗を撃て! 敵性は 全て排除せよ。 50 00:04:05,245 --> 00:04:10,383 ベースボールなどは もってのほか。 野球と言いなさい 野球と。 51 00:04:10,383 --> 00:04:16,089 ストライクは よし一本。 ファウルは駄目。 52 00:04:16,089 --> 00:04:18,992 水泳も またしかり。 53 00:04:18,992 --> 00:04:24,798 クロールは 速く泳ぐから 速泳がよろしいのであります。 54 00:04:24,798 --> 00:04:27,801 本当に バカみたい。 55 00:04:27,801 --> 00:04:31,104 (ウララのものまねで) しかたございませんでしょう。 こんなバカげた時代には➡ 56 00:04:31,104 --> 00:04:33,140 バカにならなくては 生きていけませんもの。 57 00:04:33,140 --> 00:04:35,609 (マドカのものまねで) 生きていけませんものね お姉様。 58 00:04:35,609 --> 00:04:37,544 ところで お金は? 59 00:04:37,544 --> 00:04:39,479 (はるのものまねで) 明日を思い煩うことなかれ。 60 00:04:39,479 --> 00:04:41,948 座して祈れば道は開けます。 61 00:04:41,948 --> 00:04:44,417 マー姉ちゃんったら もう…。 62 00:04:44,417 --> 00:04:47,120 大丈夫。 それくらい いざという時のために➡ 63 00:04:47,120 --> 00:04:51,424 ちゃんと へそくってあります! さすが~! 64 00:04:51,424 --> 00:04:54,294 ⚟ごめんくださいまし。 は~い。 65 00:04:54,294 --> 00:04:56,296 誰かしら? 66 00:04:59,800 --> 00:05:01,735 (良造)ハハハ お嬢様ですか? 67 00:05:01,735 --> 00:05:03,770 いつぞやは 大変お世話さまになりました。 68 00:05:03,770 --> 00:05:07,240 えっ? ああ~ あの時の呉服屋さん? 69 00:05:07,240 --> 00:05:10,076 へい さようでございますよ。 あの 奥様は? 70 00:05:10,076 --> 00:05:12,746 あっ あの 今日は あいにく 横浜の方へ。 71 00:05:12,746 --> 00:05:16,383 えっ? そいつは困ったな…。 あの 何かご用でしたの? 72 00:05:16,383 --> 00:05:20,253 実は ちょっとね お母様から 頼まれたものを お持ちしたんですよ。 73 00:05:20,253 --> 00:05:23,557 何でしょう? へい。 74 00:05:25,592 --> 00:05:27,627 ヘヘヘヘヘ。 75 00:05:27,627 --> 00:05:31,398 砂糖と缶詰を少々。 まあ。 76 00:05:31,398 --> 00:05:35,769 肉でも果物でもね 缶詰なら何でもいいと おっしゃったんですがね➡ 77 00:05:35,769 --> 00:05:40,574 当節 上等なものは なかなか手に入りにくくてね。 へい。 78 00:05:47,781 --> 00:05:49,716 うわ~ すごい! 79 00:05:49,716 --> 00:05:52,619 へえ~ 呉服屋さんだとばかり思ってたけど。 80 00:05:52,619 --> 00:05:54,554 (良造)もちろん さようでございますよ。 81 00:05:54,554 --> 00:05:57,290 けどね 切符の品じゃ ろくな商いもできませんのでね➡ 82 00:05:57,290 --> 00:05:59,226 もう お得意さんから頼まれた品を➡ 83 00:05:59,226 --> 00:06:01,728 こうして 便宜を図らせていただいてるんですよ。 84 00:06:01,728 --> 00:06:04,364 じゃあ ヤミ屋さんというわけ? マチ子。 85 00:06:04,364 --> 00:06:07,267 まあ 普通では手に入らない品を 探すんですから➡ 86 00:06:07,267 --> 00:06:09,569 普通のお値段じゃございませんし➡ 87 00:06:09,569 --> 00:06:12,239 まあ ヤミ屋といやぁ 確かに ヤミ屋でしょうね。 88 00:06:12,239 --> 00:06:14,174 すいません それでは置いていってくださいな。 89 00:06:14,174 --> 00:06:16,109 いえ 構わないんですよ。 ほかにも いろいろ➡ 90 00:06:16,109 --> 00:06:20,580 頼まれておりますんですからね。 いや そんな嫌み言うことないじゃないの。 91 00:06:20,580 --> 00:06:23,083 嫌みをおっしゃったのは お嬢さんの方じゃございませんか。 92 00:06:23,083 --> 00:06:26,953 ごめんなさいね。 あなたが見えることを 母から聞いていなかったものですから➡ 93 00:06:26,953 --> 00:06:28,955 何のことだか分からなくって。 94 00:06:28,955 --> 00:06:32,792 いえ 実はね あの… おととい 持って上がる お約束で➡ 95 00:06:32,792 --> 00:06:34,794 私の方が間に合わなかったんですよ。 96 00:06:34,794 --> 00:06:37,264 まあ そうでしたの。 それでは お願いします。 97 00:06:37,264 --> 00:06:42,102 あの いかほどでしょうか? へい 毎度ありがとうございます。 98 00:06:42,102 --> 00:06:45,005 おや あの… 何かお召し物でも? 99 00:06:45,005 --> 00:06:49,776 いえ 妹に 洋服でも こしらえてやろうかなと思って。 100 00:06:49,776 --> 00:06:52,112 ああ~ お妹さんの。 101 00:06:52,112 --> 00:06:55,615 いえ この妹じゃなくて 一番下の子。 102 00:06:55,615 --> 00:06:58,418 ああ~ あの… あの 女子大へ お進みになったという。 103 00:06:58,418 --> 00:07:01,888 ええ 奥さんから伺ってますよ。 大したもんでございますね~。 104 00:07:01,888 --> 00:07:06,559 それがね 今度 菊池 寛先生の所に お勉強に通うことになったの。 105 00:07:06,559 --> 00:07:09,362 菊池 寛先生といやぁ 大変な方じゃございませんか。 106 00:07:09,362 --> 00:07:11,431 だから 失礼のないように パリッとしたものを➡ 107 00:07:11,431 --> 00:07:15,168 着せてやりたいなと思って。 108 00:07:15,168 --> 00:07:19,039 そんなら もう この天松屋に お任せを。 えっ? 109 00:07:19,039 --> 00:07:21,107 そんな驚かないでくださいましよ。 110 00:07:21,107 --> 00:07:24,577 私の本職は ヤミ屋じゃなくて 呉服屋なんですから。 111 00:07:24,577 --> 00:07:27,247 だって ツーピースといったら 洋服でしょう? 112 00:07:27,247 --> 00:07:29,182 もちろん それは分かっておりますよ。 113 00:07:29,182 --> 00:07:31,584 私の申し上げてるのは 生地のことなんですよ。 114 00:07:31,584 --> 00:07:33,520 当節 変なお店へ 行ってごらんなさいましよ。 115 00:07:33,520 --> 00:07:37,257 スフ混紡なんてのを押しつけられるのが 関の山ですよ。 116 00:07:37,257 --> 00:07:39,759 じゃあ いい生地がある所を? へえ へえ。 117 00:07:39,759 --> 00:07:43,630 純毛でも絹物でもね 昔のいい品を お得意様のために取ってある店を➡ 118 00:07:43,630 --> 00:07:47,934 ちゃんと知ってるんですよ。 ええ? どうか お作りになるんならね。 119 00:07:47,934 --> 00:07:50,403 しかも 菊池先生の所 お出入りなさるんなら➡ 120 00:07:50,403 --> 00:07:52,472 思い切って 一級品で お作りになった方が➡ 121 00:07:52,472 --> 00:07:55,275 先行き 結局は お得でございますよ。 122 00:07:55,275 --> 00:07:57,477 そうね~。 123 00:08:01,047 --> 00:08:04,551 知らないわよ 私は。 何が? 124 00:08:04,551 --> 00:08:08,221 どうして そう昔っから お人よしの気が抜けないのかしら。 125 00:08:08,221 --> 00:08:11,725 4人分一年間の切符を渡した上に 前金まで渡してさ。 126 00:08:11,725 --> 00:08:14,060 だって こっちから頼んだんですもの。 127 00:08:14,060 --> 00:08:16,963 何となく信用できないな あの天松屋って人。 128 00:08:16,963 --> 00:08:19,566 ちょうど 釣り合いが取れてて 結構じゃないの。 129 00:08:19,566 --> 00:08:22,602 私が お人よしの分 マチ子が うたぐり深くてさ。 130 00:08:22,602 --> 00:08:25,071 人聞きの悪いこと言わないでよ。 131 00:08:25,071 --> 00:08:28,108 それにしても あの人 お母様には びっくりしたわ。 132 00:08:28,108 --> 00:08:30,243 この缶詰? 133 00:08:30,243 --> 00:08:32,746 「人が困ってる時に 同じように困るべきです」の➡ 134 00:08:32,746 --> 00:08:36,383 決まり文句かと思ったら やっぱり あの人も人の子ね。 135 00:08:36,383 --> 00:08:38,752 ちょうど それぐらいで いいんじゃないの? 136 00:08:38,752 --> 00:08:42,389 それより 明日 早速 このコンビーフ ヨウ子のお弁当に入れてやりましょうよ。 137 00:08:42,389 --> 00:08:44,391 もちろん! 138 00:08:46,092 --> 00:08:48,595 (菊池)はい 今日は これで おしまい。 139 00:08:48,595 --> 00:08:52,465 どうも ありがとうございました。 140 00:08:52,465 --> 00:08:58,104 (菊池)疲れたようだね。 いえ あの… それでは。 141 00:08:58,104 --> 00:09:01,708 あっ ちょっと待ちなさい。 今日これから 一緒に飯を食っていきなさい。 142 00:09:01,708 --> 00:09:05,211 はい でも…。 なに 大したもんじゃないんだよ。 143 00:09:05,211 --> 00:09:09,082 実は あるところからね 牛肉を こんなに もらったもんだからね。 144 00:09:09,082 --> 00:09:11,551 君 牛肉は嫌い? いいえ。 145 00:09:11,551 --> 00:09:13,486 ああ だったら 遠慮することはないよ。 146 00:09:13,486 --> 00:09:17,424 はい。 でも 私 お弁当 持ってきてますので。 147 00:09:17,424 --> 00:09:19,426 お弁当? (ヨウ子)はい。 148 00:09:19,426 --> 00:09:21,728 おお~ ちょっと見せなさい。 はあ? 149 00:09:21,728 --> 00:09:26,900 見せなさい。 お弁当とは まあ 懐かしいね。 150 00:09:26,900 --> 00:09:29,569 ほう~ なかなか かわいいハンケチで➡ 151 00:09:29,569 --> 00:09:33,373 包んであるんだね 女の子というのは。 152 00:09:43,917 --> 00:09:46,953 ねえ この梅干し 食べていい。 153 00:09:46,953 --> 00:09:49,155 はあ。 154 00:09:57,464 --> 00:10:00,767 ちょっと待っててね。 155 00:10:00,767 --> 00:10:04,104 代わりに 肉を お土産に持って帰ってもらうから。 156 00:10:04,104 --> 00:10:06,039 いえ そんな貴重なものを…。 157 00:10:06,039 --> 00:10:08,842 いや いいじゃないか。 ちょっと待っとってね。 158 00:10:15,615 --> 00:10:18,952 あ… 先生…。 159 00:10:18,952 --> 00:10:21,254 梅干しだ~! 160 00:10:22,822 --> 00:10:25,825 はい どうぞ。 (大造)いや~ パイナップルじゃないですか! 161 00:10:25,825 --> 00:10:28,128 いいんですか? こんなものを。 どうぞ どうぞ。 162 00:10:28,128 --> 00:10:30,797 私とマチ子が ちょっと 手品を使っただけですから。 163 00:10:30,797 --> 00:10:32,732 いや~ こいつは ありがてえや。 164 00:10:32,732 --> 00:10:35,301 けど すまないけど 何か入れ物あったら➡ 165 00:10:35,301 --> 00:10:37,637 これ ばあさんに 持って帰ってやりたいんだけど➡ 166 00:10:37,637 --> 00:10:40,440 いいですかね? そんな いじましいこと言わないでよ。 167 00:10:40,440 --> 00:10:43,643 おばあちゃまには ちゃんと1缶 お土産に持っていっていただきます。 168 00:10:43,643 --> 00:10:45,578 ねえ いいでしょう? マー姉ちゃん。 169 00:10:45,578 --> 00:10:48,448 (はるのものまねで) 分かち合えることこそ幸せと思いなさい。 170 00:10:48,448 --> 00:10:50,383 また調子乗っちゃって。 171 00:10:50,383 --> 00:10:54,154 いや でもね これは いけねえや。 ねっ? あら どうして? 172 00:10:54,154 --> 00:10:56,823 私たちは おばあちゃまにこそ 食べていただきたいのに。 173 00:10:56,823 --> 00:10:58,758 そうよ。 しばらく お顔も見ないし➡ 174 00:10:58,758 --> 00:11:02,095 明日にでも こっちから 持って伺おうと思っていたんですよ。 175 00:11:02,095 --> 00:11:04,764 ああ~… あの意地悪ばあさんも➡ 176 00:11:04,764 --> 00:11:10,270 三吉が出て行ってから 妙に気落ちしちまってね。 はあ…。 177 00:11:10,270 --> 00:11:14,607 じゃあ あの… 遠慮なく 缶詰の方 頂いていきまさぁ。 178 00:11:14,607 --> 00:11:17,644 マリ子さんたちの話 すれば また張り切るだろうし。 179 00:11:17,644 --> 00:11:19,779 是非 そうしてください。 180 00:11:19,779 --> 00:11:21,714 そのかわりね これは ヨウ子ちゃんのおやつに➡ 181 00:11:21,714 --> 00:11:23,650 取っといておくんなさい。 182 00:11:23,650 --> 00:11:27,654 辛党が こんなもんに よだれを垂らしちゃ 江戸っ子の名が廃る! 183 00:11:27,654 --> 00:11:32,358 大丈夫。 ヨウ子のは ヨウ子ので ちゃ~んと取ってありますから。 184 00:11:32,358 --> 00:11:34,294 じゃあ これも どうぞ。 185 00:11:34,294 --> 00:11:36,963 いや これは すごいな~! 186 00:11:36,963 --> 00:11:39,299 アハハッ やっぱり こっちは 方角がよかったんだ! 187 00:11:39,299 --> 00:11:42,302 多分 そういうことでしょう! (笑い声) 188 00:11:42,302 --> 00:11:44,804 <ところが その晩のこと> 189 00:11:44,804 --> 00:11:48,441 (はる)何ですって!? ですから 久しぶりに おいしかったって。 190 00:11:48,441 --> 00:11:50,977 冗談ではありませんよ! 191 00:11:50,977 --> 00:11:52,912 あれは あなたたちに食べさせるために➡ 192 00:11:52,912 --> 00:11:55,848 天松屋さんに お願いしたんでは ありませんよ。ええっ!? 193 00:11:55,848 --> 00:11:58,851 まあ なんという娘たちなんでしょう! 194 00:11:58,851 --> 00:12:01,254 だから 嫌な予感がしたんだ 私。 195 00:12:01,254 --> 00:12:03,756 お黙りなさい! 自分たちで勝手に食べておいて➡ 196 00:12:03,756 --> 00:12:05,692 なんという言いぐさですか! 197 00:12:05,692 --> 00:12:08,628 お母様こそ 天に恥じるべきでしょう? マチ子。 198 00:12:08,628 --> 00:12:11,097 だって 小さい時から 食べ物のことで もめるのは➡ 199 00:12:11,097 --> 00:12:14,400 一番みっともないって 教えてくださったのは お母様なのよ。 200 00:12:14,400 --> 00:12:19,239 それは そうですよ。 だけど どうして 私が天に恥じなければいけないんですか? 201 00:12:19,239 --> 00:12:21,174 世間には配給物が足りなくて➡ 202 00:12:21,174 --> 00:12:24,143 ろくに お乳も飲めない赤ちゃんだって いるというのに➡ 203 00:12:24,143 --> 00:12:27,780 あんな いかがわしい天松屋から ヤミの缶詰なんか買い込んで➡ 204 00:12:27,780 --> 00:12:30,617 私たちに食べさせるつもりじゃなかった と おっしゃるのなら➡ 205 00:12:30,617 --> 00:12:32,952 分かち合いの教祖のくせに まさか 一人隠れて➡ 206 00:12:32,952 --> 00:12:35,788 こっそり召し上がろうとなさったわけじゃ ないでしょうね。 207 00:12:35,788 --> 00:12:39,959 なんという罪深いことを。 お母様…。 208 00:12:39,959 --> 00:12:42,996 マチ子 謝りなさい。 いくら何でも言い過ぎよ。 209 00:12:42,996 --> 00:12:46,733 ああ…。 210 00:12:46,733 --> 00:12:50,970 お母様ったら。 お願い 私たちが悪うございました。 211 00:12:50,970 --> 00:12:53,439 どうか どうか 許して。 212 00:12:53,439 --> 00:12:56,976 放っときなさいよ。 ちゃんと弁明できないもんだから➡ 213 00:12:56,976 --> 00:13:00,847 泣いてごまかすのは 女が いくつになっても使う奥の手なのよ。 214 00:13:00,847 --> 00:13:04,250 私が いけないんです。 私が つい いい気になって➡ 215 00:13:04,250 --> 00:13:07,587 酒田のおばあちゃまに 勝手に 持っていっていただいたものだから➡ 216 00:13:07,587 --> 00:13:10,490 これだけになってしまって…。 217 00:13:10,490 --> 00:13:15,762 そうですか。 酒田さんに差し上げてくれたんですか。 218 00:13:15,762 --> 00:13:17,797 ええ おじさんが お寄りになって➡ 219 00:13:17,797 --> 00:13:21,634 このところ おばあちゃまが 元気がないと言われたものですから…。 220 00:13:21,634 --> 00:13:24,771 それなら いいんですよ。 でも…。 221 00:13:24,771 --> 00:13:27,607 いいえ これはね➡ 222 00:13:27,607 --> 00:13:30,943 今度 オネスト神父様のご面会の時に 持っていこうと思って➡ 223 00:13:30,943 --> 00:13:35,114 天松屋さんに お願いしたもんだから。 えっ!? 224 00:13:35,114 --> 00:13:38,151 大丈夫よ。 私は また あなたたちが➡ 225 00:13:38,151 --> 00:13:41,988 勝手に食べてしまったのだとばっかり 思ったもんだから。 226 00:13:41,988 --> 00:13:45,825 ああ そうですか。 おばあちゃまに 持っていってくだすったんだったら➡ 227 00:13:45,825 --> 00:13:48,628 オネスト神父様も きっと それで よろしいと➡ 228 00:13:48,628 --> 00:13:51,297 おっしゃるに違いないわ。 229 00:13:51,297 --> 00:13:56,803 マチ子 ごめんなさいね。 お母様の早合点でした。 230 00:13:56,803 --> 00:14:00,673 いえ…。 231 00:14:00,673 --> 00:14:04,077 <やっぱり はるは天使でした。➡ 232 00:14:04,077 --> 00:14:07,380 それにひきかえ おなかの中へ入れてしまった➡ 233 00:14:07,380 --> 00:14:14,153 3人の後ろめたさも また格別というところでしょう> 234 00:14:14,153 --> 00:14:16,155 ごめんなさい! 235 00:14:26,265 --> 00:14:54,260 ♬~