1 00:00:02,202 --> 00:00:08,609 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:08,609 --> 00:01:06,800 ♬~ 3 00:01:12,472 --> 00:01:14,474 (マリ子)はあ~…。 4 00:01:14,474 --> 00:01:20,213 <帝大分室から請け負った 野戦食糧植物編の仕事を終えれば➡ 5 00:01:20,213 --> 00:01:24,785 あとは 直ちに 疎開準備にかかるだけ。➡ 6 00:01:24,785 --> 00:01:29,122 ヨウ子のために 何としてでも 寝台車がある3月中に➡ 7 00:01:29,122 --> 00:01:31,625 片をつけなければならないのです> 8 00:01:31,625 --> 00:01:34,127 ただいま~! 9 00:01:34,127 --> 00:01:36,063 (マチ子)ええ~!? それじゃあ もう 今日のうちに➡ 10 00:01:36,063 --> 00:01:39,433 お金 ふんだくったの? (はる)なんて人聞きの悪いこと。 11 00:01:39,433 --> 00:01:44,304 そうですよ。 今週中には 必ず終了すると 前もって予告しておいたんだし➡ 12 00:01:44,304 --> 00:01:48,809 終了後 点検に合格したら 当方の都合もあるので➡ 13 00:01:48,809 --> 00:01:51,445 必ず 請け負い金額は お支払いいただきたいと➡ 14 00:01:51,445 --> 00:01:54,314 申し入れておいたんですもの。 もらってきても当然でしょう? 15 00:01:54,314 --> 00:01:58,185 (はる)ええ 当然のことですとも。 あきれたわね~。 16 00:01:58,185 --> 00:02:01,588 マー姉ちゃんの押しの強さには ただただ 頭を下げるだけです。 17 00:02:01,588 --> 00:02:04,091 あら どうして? だって 私なんて➡ 18 00:02:04,091 --> 00:02:06,026 お金のことなんて 口に出せないわよ。 19 00:02:06,026 --> 00:02:08,395 …と思ったら 直ちに改めなさい。 20 00:02:08,395 --> 00:02:11,598 やったことを要求するのは 当然の権利ですよ。 21 00:02:11,598 --> 00:02:15,268 まあ そこらへんが 2人とも 親子なのね。 どういうことよ? 22 00:02:15,268 --> 00:02:17,270 つまり 堂々と言えるところ。 23 00:02:17,270 --> 00:02:19,272 ねっ? (ヨウ子)本当に。 24 00:02:19,272 --> 00:02:21,608 まだ笑っちゃ駄目。 えっ? 25 00:02:21,608 --> 00:02:23,944 今日もらってきたくらいで驚かないでよ。 26 00:02:23,944 --> 00:02:28,115 お母様のおっしゃるとおり 当然なんですもの。 27 00:02:28,115 --> 00:02:30,784 でも 一体 いくら ふんだくってきたと思う? 28 00:02:30,784 --> 00:02:33,420 マリ子。 ごめんなさい。 29 00:02:33,420 --> 00:02:35,489 でも 今日は 少し いい気分にさせて。 30 00:02:35,489 --> 00:02:38,291 う~ん… 300円? なんの なんの。 31 00:02:38,291 --> 00:02:40,794 本当に!? どうして どうして。 32 00:02:40,794 --> 00:02:43,630 じゃあ 350円! ケチ!じゃあ…。 33 00:02:43,630 --> 00:02:45,565 (ヨウ子)400円! 450円! 34 00:02:45,565 --> 00:02:47,501 まだまだ! 480円! 35 00:02:47,501 --> 00:02:50,504 もう一声! 36 00:02:50,504 --> 00:02:53,640 まさか…! 500円! 37 00:02:53,640 --> 00:02:57,444 アハハハハハッ! 38 00:02:57,444 --> 00:03:02,249 <500円といったら このころでも 大金です> 39 00:03:02,249 --> 00:03:06,586 マー姉ちゃん 本当なの!? ご冗談でしょう。 40 00:03:06,586 --> 00:03:10,457 悪い人ね~ こんなことで 人を担ぐなんて。 41 00:03:10,457 --> 00:03:12,759 そうよ さんざん 人を驚かせといて。 42 00:03:12,759 --> 00:03:14,695 ああ~ ごめん ごめん。 43 00:03:14,695 --> 00:03:19,266 だって もっとなんですもの 800円。 えっ? 44 00:03:19,266 --> 00:03:22,269 今 何て言った? 800円。 45 00:03:22,269 --> 00:03:24,938 800円!? そうですよ。 46 00:03:24,938 --> 00:03:28,608 8は 末広がりといって さい先のいい数字ですからね。 47 00:03:28,608 --> 00:03:30,644 ちょ… マー姉… マー姉ちゃん? 48 00:03:30,644 --> 00:03:33,447 驚くのは まだ早い。 49 00:03:35,282 --> 00:03:39,119 お手洗いで しっかりと くくりつけてきたんだけど➡ 50 00:03:39,119 --> 00:03:41,955 そそっかしいのが玉にきず。 51 00:03:41,955 --> 00:03:44,791 もしも 落っことしてきた その時には➡ 52 00:03:44,791 --> 00:03:49,129 どうぞ皆さん 白目をむいて ひっくり返るなり➡ 53 00:03:49,129 --> 00:03:51,798 みんなで一斉に驚くなり。 まあ…! 54 00:03:51,798 --> 00:03:53,733 嫌よ 心臓に悪いわ。 55 00:03:53,733 --> 00:03:56,970 マチ子 ねえ お水 持ってきといてちょうだいよ。 56 00:03:56,970 --> 00:04:02,576 駄目 駄目。 こういう時こそ 喜びも悲しみも分かち合うのが➡ 57 00:04:02,576 --> 00:04:06,746 親子というもんでしょう。 58 00:04:06,746 --> 00:04:08,682 ハハハハハハッ! あった~! 59 00:04:08,682 --> 00:04:11,384 アハハハハッ! キャ~! 60 00:04:11,384 --> 00:04:13,754 何でしょう お母様まで。 61 00:04:13,754 --> 00:04:16,590 そうよ 明日のことを思い煩うな。 62 00:04:16,590 --> 00:04:19,926 お金のことで そんなに はしゃぐのは はしたないことです。 63 00:04:19,926 --> 00:04:23,263 はい 申し訳ございまっしぇん。 64 00:04:23,263 --> 00:04:26,099 結構です。 それにしたって➡ 65 00:04:26,099 --> 00:04:28,034 マー姉ちゃんに あきれて 物が言えないわ。 66 00:04:28,034 --> 00:04:30,604 どうして? ちゃんと 無事に 持って帰ってきたじゃないの。 67 00:04:30,604 --> 00:04:32,539 だって 800円なんて お金…! 68 00:04:32,539 --> 00:04:35,942 見損なったら困るわよ。 私は プロの絵描きなのよ。 69 00:04:35,942 --> 00:04:38,845 プロならば お金の交渉は ちゃんとするべきじゃない? 70 00:04:38,845 --> 00:04:40,814 それにしたって 相手が よく出したもんね。 71 00:04:40,814 --> 00:04:44,951 当たり前でしょう。 私は安い絵描きじゃないわ。 72 00:04:44,951 --> 00:04:48,788 それに 5か月のお仕事を それこそ 夜の目も詰めて➡ 73 00:04:48,788 --> 00:04:51,625 3か月で仕上げたんですもの。 74 00:04:51,625 --> 00:04:55,428 まあ 経費の点からいったって あちらさんだって大喜びよ。 75 00:04:55,428 --> 00:04:59,633 ですから 2か月分のお手当を ここに上乗せしてもらい➡ 76 00:04:59,633 --> 00:05:03,069 200円 上乗せしてもらい 1,000円あります! 77 00:05:03,069 --> 00:05:05,906 (はる ヨウ子)ああ~…! 1,000円!? 78 00:05:05,906 --> 00:05:09,743 やっぱり お勘定は ぴっちりと 端数がない方が気持ちがいいじゃない。 79 00:05:09,743 --> 00:05:12,646 いやはや もう…。 80 00:05:12,646 --> 00:05:16,082 よくやりました マリ子! 81 00:05:16,082 --> 00:05:20,253 だから お母様 お願い これは 疎開のためのお金なんですからね。 82 00:05:20,253 --> 00:05:24,090 いくら気が大きくなっても お願いですから 目をつぶって➡ 83 00:05:24,090 --> 00:05:27,961 分かち合うことだけは やめて。 84 00:05:27,961 --> 00:05:30,397 お母様。 85 00:05:30,397 --> 00:05:35,936 分かりました。 今度だけは 目をつぶることにしましょう。 86 00:05:35,936 --> 00:05:38,271 はあ~ 助かった。 87 00:05:38,271 --> 00:05:42,108 助かったのは お母様の方よ。 あら どうして? 88 00:05:42,108 --> 00:05:45,779 だって もしも お母様が 首を横にお振りになった その時は➡ 89 00:05:45,779 --> 00:05:49,416 私 ヤモリを捕まえてきて…。 キャ~! 90 00:05:49,416 --> 00:05:51,484 (笑い声) 91 00:05:51,484 --> 00:05:55,288 マチ子ったら もう! だって~! 92 00:05:55,288 --> 00:06:02,095 <とにもかくにも 金1,000円なりとは 本当の大金だったのです> 93 00:06:04,231 --> 00:06:10,103 <さて 次の日曜となれば 懐かしい人たちが 別れを惜しみながら➡ 94 00:06:10,103 --> 00:06:13,240 疎開の荷造りを手伝いにきてくれました> 95 00:06:13,240 --> 00:06:15,175 (大造)あっ こんちは! (植辰)ごめんなさいよ。 96 00:06:15,175 --> 00:06:18,078 (智正)ああ おはようございます。 (栄一)写真屋さん お宅もですか? 97 00:06:18,078 --> 00:06:20,981 (智正)そうなんですよ。 さんざん こちらには お世話になりながらね➡ 98 00:06:20,981 --> 00:06:22,949 いざとなると こういうお手伝いしか できないんですから➡ 99 00:06:22,949 --> 00:06:25,585 残念で しかたありません。 全くね。 100 00:06:25,585 --> 00:06:28,388 荷物をほどいて 迎える時はいいけどさ➡ 101 00:06:28,388 --> 00:06:30,924 こうやって 荷造りして 送り出すってえのは➡ 102 00:06:30,924 --> 00:06:34,394 どうも切なくて いけねえや。 それは言いっこなしだろ 植辰さん。 103 00:06:34,394 --> 00:06:37,297 どうも すみませんね。 おやじも近頃 年のせいか➡ 104 00:06:37,297 --> 00:06:40,600 めっきり 愚痴っぽくなっちまって。 てやんでえ 薄情者! 105 00:06:40,600 --> 00:06:42,636 じゃあ おめえは 何か? 平気だってえのかよ? 106 00:06:42,636 --> 00:06:45,105 奥さんたちを 遠くへ送り出すってえことは。 107 00:06:45,105 --> 00:06:47,140 別に そういうわけじゃ…。 よさねえかよ! 108 00:06:47,140 --> 00:06:51,778 これ以上 もめるんだったら とっとと追い返すぞ 2人とも! ええ? 109 00:06:51,778 --> 00:06:53,813 あっ 酒田のおじさん! 110 00:06:53,813 --> 00:06:57,951 それに 植辰さんも! (大造)ああ おはよう。 111 00:06:57,951 --> 00:06:59,886 ろくでもないやつだけどね 連れてきたからね➡ 112 00:06:59,886 --> 00:07:01,821 何でも言いつけておくんなさい! 113 00:07:01,821 --> 00:07:05,759 そのかわりさ また帰ってきてくださいね。 114 00:07:05,759 --> 00:07:10,530 必ず きっとね! お父っつぁん!うるせえな バカ野郎。 115 00:07:10,530 --> 00:07:13,733 本当に ありがとうございます。 植辰さん。 116 00:07:13,733 --> 00:07:16,236 お嬢さん…。 この人は奥さんなんだよ もう。 117 00:07:16,236 --> 00:07:18,738 いいじゃねえかよ。 いちいち こんな時に んなこと言わなくたって。 118 00:07:18,738 --> 00:07:20,674 大将は うるせえんだよ 少し。 119 00:07:20,674 --> 00:07:23,910 そうですとも。 あっ それじゃあ➡ 120 00:07:23,910 --> 00:07:26,579 おおまかなことは 三郷さんと相談してありますので➡ 121 00:07:26,579 --> 00:07:29,616 荷の組み合わせは 三郷さんに お伺いくださいませんか? 122 00:07:29,616 --> 00:07:33,453 へい へい。 そんじゃあ。 あれ? ところで ほら あの➡ 123 00:07:33,453 --> 00:07:36,089 いつも 親戚面して しゃしゃり出てくる 書生さん。 124 00:07:36,089 --> 00:07:39,125 ああ 大宗さんですか? あっ そうだ。 125 00:07:39,125 --> 00:07:41,261 そういやぁ 姿が見えねえな。 126 00:07:41,261 --> 00:07:43,930 こんな時ぐらい 来たらよさそうなもんが…➡ 127 00:07:43,930 --> 00:07:46,766 本当に薄情な野郎だな あの野郎は! いえ そうじゃないんです。 128 00:07:46,766 --> 00:07:50,270 大宗さんは 私たちの切符の手配や 荷の送り出しのことで➡ 129 00:07:50,270 --> 00:07:53,940 走り回ってくだすってるんです。 そうそう。 そうでしたっけね。 130 00:07:53,940 --> 00:07:56,276 バカ。 おめえが早とちりなんだよ。 痛っ! 131 00:07:56,276 --> 00:08:00,480 痛えな お父っつぁんが…! (大造)もめるんじゃないったら もめるな。 132 00:08:03,083 --> 00:08:05,552 お母様 酒田のおじさんたちが。 133 00:08:05,552 --> 00:08:08,455 まあ ありがたいことね。 早速 お茶を差し上げて。 134 00:08:08,455 --> 00:08:10,890 はい。 (タマ)お茶なら 私がいれますよ。 135 00:08:10,890 --> 00:08:13,360 いえいえ! お茶でしたらね 荷造りが終わってから➡ 136 00:08:13,360 --> 00:08:15,428 しみじみと頂きますから。 137 00:08:15,428 --> 00:08:19,165 (ウララ)嫌ですわ 私 しみじみ頂くなんて。 138 00:08:19,165 --> 00:08:24,104 (マドカ)そうですとも。 そんなことをしたら 泣けてくるに決まってるんですもの。 139 00:08:24,104 --> 00:08:26,940 いや そりゃあ そうですがね。 (智正)あっ 酒田さん! 140 00:08:26,940 --> 00:08:29,376 ちょうどよかったです。 この辺りを 全部 片づけましょう。 141 00:08:29,376 --> 00:08:32,579 へいへい!あの とりあえず この鏡台をお願いします。 142 00:08:32,579 --> 00:08:35,382 へいへい! おい お父っつぁん! 143 00:08:35,382 --> 00:08:37,917 新聞紙がなくなったら あとは これを破いたものでいいかしら? 144 00:08:37,917 --> 00:08:40,253 あっ 結構よ。 (ウララ)そこに置いてちょうだい。 145 00:08:40,253 --> 00:08:42,922 (マドカ)そこへ置いてちょうだい。 はい。 146 00:08:42,922 --> 00:08:44,858 ヨウ子のあんばいは どうなの? 147 00:08:44,858 --> 00:08:48,261 自分のものは 自分で整理するなんて 言ってましたけれど➡ 148 00:08:48,261 --> 00:08:51,931 脅かしたり すかしたりして 今 寝てもらっています。そう。 149 00:08:51,931 --> 00:08:54,267 (マドカ)心配ですわね~。 150 00:08:54,267 --> 00:08:58,104 道中 お熱でも出さなければ よろしいんですけれどね。 151 00:08:58,104 --> 00:09:00,039 (はる)ちょっと待ってちょうだい。 はい。 152 00:09:00,039 --> 00:09:02,342 その お酒のお道具なんだけどね➡ 153 00:09:02,342 --> 00:09:05,879 向こう行ったら 新聞社や雑誌社の方々も 見えないでしょうから➡ 154 00:09:05,879 --> 00:09:08,348 酒田さんに もらっていただいたら? 155 00:09:08,348 --> 00:09:12,218 それは構いませんけれど。 また始まったわ 例の病気が。 156 00:09:12,218 --> 00:09:14,554 かえって割れたりしたら つまんないじゃない。 157 00:09:14,554 --> 00:09:16,589 そうよ。 だからね そう➡ 158 00:09:16,589 --> 00:09:19,225 この備前焼のそろいを 酒田さんにね。 159 00:09:19,225 --> 00:09:23,730 それそれ この唐津焼の方は 植辰さんに もらっていただきましょうね。 160 00:09:23,730 --> 00:09:26,766 それから 三郷さんには…。 いやいや…! 奥さん それはいけません! 161 00:09:26,766 --> 00:09:30,370 いけませんよ。 あっしら 今までも たっぷり お世話になってるんですから。 162 00:09:30,370 --> 00:09:33,239 でも いいんじゃありませんか? えっ?だけど…。 163 00:09:33,239 --> 00:09:36,910 いやいや… しかし ここのところは 気持ちよく頂いてですね➡ 164 00:09:36,910 --> 00:09:40,580 そのかわり 磯野さんの今後のお暮らしに 役に立つようなものを➡ 165 00:09:40,580 --> 00:09:44,384 みんなで考えましょう。 は~い 私も賛成ですわ! 166 00:09:44,384 --> 00:09:46,753 そうした方が よろしいと思います。 167 00:09:46,753 --> 00:09:49,656 そうですか? それじゃあ そういうことで。 168 00:09:49,656 --> 00:09:52,091 (植辰)どうも 申し訳ありませんね。➡ 169 00:09:52,091 --> 00:09:55,095 へえ~ 結構なものを また。 170 00:09:56,963 --> 00:10:00,266 ⚟(智正)ヨウ子ちゃん 開けますよ。 (ヨウ子)どうぞ。 171 00:10:02,268 --> 00:10:05,605 あ~ 駄目です。 寝ててください。 172 00:10:05,605 --> 00:10:08,274 なるべく そ~っと やりますからね。 はい。 173 00:10:08,274 --> 00:10:11,945 そうそう。 あんたの分はね 一番最後に ゆっくりとやるから➡ 174 00:10:11,945 --> 00:10:14,280 私に任せときなさい。 ねっ? はい。 175 00:10:14,280 --> 00:10:17,116 それじゃあ こっちから いきますか。 そうですね お願いします。 176 00:10:17,116 --> 00:10:20,153 はい。 はい。 177 00:10:20,153 --> 00:10:23,957 本は 一つ 束ねてしまいましょう。 178 00:10:31,297 --> 00:10:35,135 三郷さん。 はい? 179 00:10:35,135 --> 00:10:39,973 いえ 何でもないんですけれど…。 180 00:10:39,973 --> 00:10:42,442 ヨウ子ちゃん。 181 00:10:42,442 --> 00:10:46,980 どんなに遠くへ行っても どんなに離れても➡ 182 00:10:46,980 --> 00:10:50,850 私たちは お友達ですよ。 いいですね? はい。 183 00:10:50,850 --> 00:10:55,154 そしてね 私たちが この東京で お友達になれたように➡ 184 00:10:55,154 --> 00:10:59,459 新しい土地へ行っても また新しいお友達が生まれます。 185 00:10:59,459 --> 00:11:03,329 人生ってね そんなに捨てたもんじゃない と私は思ってるんですよ。 186 00:11:03,329 --> 00:11:08,935 はい。そして 体だけは 十分 気を付けてくださいね。 187 00:11:08,935 --> 00:11:13,773 そして 一日も よくなってほしい。 これが今の三郷さんの気持ちです。 188 00:11:13,773 --> 00:11:18,645 大丈夫です。 私 決心したんですから。 189 00:11:18,645 --> 00:11:23,283 決心? ええ。 190 00:11:23,283 --> 00:11:29,789 母や姉たちが みんな 私のことを考えて 一生懸命 やってくれているのが➡ 191 00:11:29,789 --> 00:11:33,293 こうして寝ていても 痛いほどに よく分かるんです。 192 00:11:33,293 --> 00:11:36,196 だから…➡ 193 00:11:36,196 --> 00:11:39,799 決して めそめそしてはいけないって。 194 00:11:39,799 --> 00:11:43,636 だって 母や姉たちにできる 感謝のしるしは➡ 195 00:11:43,636 --> 00:11:48,308 それだけしかないんですもの。 そう…。 196 00:11:48,308 --> 00:11:50,810 (ヨウ子)丈夫になれるかどうか 分からないけれど➡ 197 00:11:50,810 --> 00:11:54,681 私自身が 最後まで諦めてはいけないと思って。 198 00:11:54,681 --> 00:11:59,452 そうですよ。 本当に そうですからね。 199 00:11:59,452 --> 00:12:04,090 (ヨウ子)私も書きますから 三郷さんも 時々 お手紙下さいね。 200 00:12:04,090 --> 00:12:08,261 ええ もちろん書きますとも。 201 00:12:08,261 --> 00:12:14,767 私ね 寝ていて いろんなことを考えているんです。 202 00:12:14,767 --> 00:12:17,270 (智正)いろんなことって? 203 00:12:17,270 --> 00:12:22,609 例えば 丈夫になったら 何をしようかな。 204 00:12:22,609 --> 00:12:25,278 そんなことですけれど。 205 00:12:25,278 --> 00:12:28,181 おかしくはないでしょう? 206 00:12:28,181 --> 00:12:30,416 おかしいどころか 立派です。 207 00:12:30,416 --> 00:12:33,620 希望を捨てないということほど 大切なことはありません。 208 00:12:33,620 --> 00:12:40,126 三郷さん…。 はい ヨウ子ちゃん。 209 00:12:40,126 --> 00:12:44,297 私 なりたくて なった病気ではないのに➡ 210 00:12:44,297 --> 00:12:50,436 何もかも途中で駄目になって 挫折感はありました。 211 00:12:50,436 --> 00:12:53,806 でも 姉たちのことを考えたら➡ 212 00:12:53,806 --> 00:12:58,144 挫折感なんてものは まだ早いんじゃないかと思って。 213 00:12:58,144 --> 00:13:02,749 (智正) そう… そうですよ そうなんですよ。 214 00:13:02,749 --> 00:13:10,089 いや~ 三郷さんね 今ドキッとするぐらい 恥ずかしい思いです。 215 00:13:10,089 --> 00:13:14,961 うれしいわ。 やっぱり 三郷さんは お友達でいてくださったんですね。 216 00:13:14,961 --> 00:13:18,598 ず~っと友達ですよ! ヨウ子ちゃんが迷子になった時から➡ 217 00:13:18,598 --> 00:13:23,102 ず~っと ず~っと 友達です! はい! 218 00:13:27,940 --> 00:13:33,112 <隣人 友人たちのおかげで 疎開準備は 全て完了。➡ 219 00:13:33,112 --> 00:13:38,618 あとは 均五郎青年手配するところの 汽車の切符を待つばかりとなった➡ 220 00:13:38,618 --> 00:13:40,553 その晩のことです> 221 00:13:40,553 --> 00:13:44,290 (戸が開く音) ⚟ごめん。 222 00:13:44,290 --> 00:13:47,794 は~い! ⚟磯野さんのお宅は こちらかな? 223 00:13:47,794 --> 00:13:50,697 はい。 どなたかしら? こんな時間に。 224 00:13:50,697 --> 00:13:54,567 ⚟もしもし こんばんは。 225 00:13:54,567 --> 00:13:56,869 まさか あの声は…! 226 00:13:59,806 --> 00:14:02,375 お千代ねえや! お隣のおじいちゃま! 227 00:14:02,375 --> 00:14:04,444 夢ではないんでしょうね お二人とも! 228 00:14:04,444 --> 00:14:07,246 (千代)はい 夢でもなければ 幽霊でもありまっしぇん! 229 00:14:07,246 --> 00:14:11,084 ちゃ~んと うちも ご隠居様も 足の2本ついとります。 230 00:14:11,084 --> 00:14:13,119 だったら どうして知らせてくれなかったの? 231 00:14:13,119 --> 00:14:17,390 ひどい ひどい。 私たち もう少しで 行き違いになるところだったのよ。 232 00:14:17,390 --> 00:14:22,595 (一平)そげんこつで 2人は 取るものもとりあえず上京してきました。 233 00:14:22,595 --> 00:14:27,266 ばってん ひどいのは あんたらの方じゃなかとですか!? 234 00:14:27,266 --> 00:14:30,937 はあ? じゃあ とりあえず 上がってください。 235 00:14:30,937 --> 00:14:33,773 はい 上がらせていただいて 一晩かかっても➡ 236 00:14:33,773 --> 00:14:37,477 うちらの言いたいことだけは ちゃんと言わせていただきますけん。 237 00:14:41,647 --> 00:14:44,417 <お千代ねえやと 一平おじいちゃまは➡ 238 00:14:44,417 --> 00:14:50,923 一体 何を言いに はるばると 上京してきたというのでしょうか?>