1 00:00:02,202 --> 00:00:08,609 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:08,609 --> 00:01:06,400 ♬~ 3 00:01:08,635 --> 00:01:12,472 <我らの天海さんが 今 復員してきました> 4 00:01:12,472 --> 00:01:16,276 (朝男)あ~ どっこいしょっと。 5 00:01:16,276 --> 00:01:18,478 ハハッ。 6 00:01:20,147 --> 00:01:24,618 ヘヘヘヘ… 何から しゃべっていいか 分からねえけどよ➡ 7 00:01:24,618 --> 00:01:27,120 こうやって 畳の上 座ってると➡ 8 00:01:27,120 --> 00:01:29,623 やっぱり 日本に帰ってきたなって感じだね。 うん。 9 00:01:29,623 --> 00:01:32,292 (マリ子)まあ それじゃあ おうちには上がらなかったんですか? 10 00:01:32,292 --> 00:01:34,294 そうだよ。 (マチ子)駄目よ そんなの。 11 00:01:34,294 --> 00:01:36,296 (はる)そうですよ いけませんですよ。 12 00:01:36,296 --> 00:01:39,433 お母様は あなたのお帰りを どんなにか お待ちになっていらしたか。 13 00:01:39,433 --> 00:01:41,368 あ~ いいんですよ 自分のうちだからね。 14 00:01:41,368 --> 00:01:44,304 これから先 ずっとね 縦にだって横にだってなれまさぁ。 15 00:01:44,304 --> 00:01:47,641 そうよ。 でも いいのよ? 今 ゴロッとなってくださっても。 16 00:01:47,641 --> 00:01:49,576 そういかねえよ。 17 00:01:49,576 --> 00:01:51,511 夢にまで見た べっぴんさんたちの顔がね➡ 18 00:01:51,511 --> 00:01:53,513 横になったんじゃ よく見えねえ。 19 00:01:53,513 --> 00:01:55,515 まあ! 夢にまで見てくれたの? 20 00:01:55,515 --> 00:01:58,986 ああ 見ましたよ。 マッちゃん 見なかったのかい? 21 00:01:58,986 --> 00:02:02,189 うっ… そう言われると…。 22 00:02:05,258 --> 00:02:07,260 さあ? 23 00:02:07,260 --> 00:02:11,131 殺生な… これですもんね お千代ねえや。 24 00:02:11,131 --> 00:02:13,967 (千代)フフッ 内地でも 空襲は ひどかったですけんね。 25 00:02:13,967 --> 00:02:17,404 それから 買い出し 買い出しで 精いっぱいでしたとよ。 26 00:02:17,404 --> 00:02:19,940 (朝男)へえ~ そうだったのかい。 で そんな大変な東京に➡ 27 00:02:19,940 --> 00:02:21,875 何で来たんだい? ええ? お千代ねえや。 28 00:02:21,875 --> 00:02:25,812 何でって うちは皆さん方の お供ばしてきたとですよ。 29 00:02:25,812 --> 00:02:27,814 お供? そうなの。 30 00:02:27,814 --> 00:02:30,283 私たち 一度 福岡に疎開したの。 31 00:02:30,283 --> 00:02:33,954 疎開… ああ そうだったのかい。 そうなのよ。 32 00:02:33,954 --> 00:02:36,990 だから このうちへ戻れたのも つい この間のことなのよ。 33 00:02:36,990 --> 00:02:40,727 あ~ そいつは危なかったな。 いやいや せっかく 天海さんが帰ってきても➡ 34 00:02:40,727 --> 00:02:44,431 皆さんが九州じゃね 俺は すぐ 飛んでいくわけにいかねえもの。 35 00:02:44,431 --> 00:02:47,801 そうね。 何年ぶりかしら…。 36 00:02:47,801 --> 00:02:49,836 お話ししたいことも 聞いてもらいたいことも➡ 37 00:02:49,836 --> 00:02:52,639 いっぱい いっぱい 詰まってるのよ。 38 00:02:52,639 --> 00:02:56,510 いや 本当に… よく生きていてくださいました。 39 00:02:56,510 --> 00:03:00,147 マリ子さんたちも 奥さんも。 40 00:03:00,147 --> 00:03:05,952 天海さんも 本当に よく ご無事で 帰ってきてくださったわ。 41 00:03:05,952 --> 00:03:10,257 ありがとう。 ハハハハハハッ! 42 00:03:10,257 --> 00:03:13,260 お千代ねえや おめえさんとこのご亭主 ええ? 43 00:03:13,260 --> 00:03:16,063 無事で 戦争から帰ったんだろうな? 44 00:03:18,598 --> 00:03:20,600 お千代ねえや? 45 00:03:22,269 --> 00:03:24,771 大変 悲しいことなんですけどね➡ 46 00:03:24,771 --> 00:03:29,976 大和田高男さんは 無言の凱旋をなさいましたのよ。 47 00:03:31,645 --> 00:03:36,283 そうでしたか…。 あんな いい ご亭主がね…。 48 00:03:36,283 --> 00:03:40,954 ううん そんなことない。 49 00:03:40,954 --> 00:03:44,624 そんなこと信じたらいけないって 言ったでしょう? お千代ねえや。 50 00:03:44,624 --> 00:03:46,960 マリ子お嬢様…。 駄目よ。 51 00:03:46,960 --> 00:03:49,296 お千代ねえやが諦めたら駄目。 52 00:03:49,296 --> 00:03:53,300 どんなに腰が曲がっても 高男さんと新八郎さんのお帰りを➡ 53 00:03:53,300 --> 00:03:57,971 ずっと待ってるんだって 誓い合ったじゃないの。 54 00:03:57,971 --> 00:04:01,374 新八郎さんって あの… 毎朝さんのブン屋さんかい? 55 00:04:01,374 --> 00:04:05,078 (はる)ええ あの東郷新八郎さんですの。 56 00:04:05,078 --> 00:04:08,115 へえ~ あのブン屋さんも 戦争に行きなすったのか。 57 00:04:08,115 --> 00:04:14,387 そうなのよ。 マー姉ちゃんは たった1週間の花嫁さんだったのよ。 58 00:04:14,387 --> 00:04:16,923 えっ? ええ。 59 00:04:16,923 --> 00:04:21,394 1週間だけ休暇がありましたのでね 祝言を挙げたんですのよ。 60 00:04:21,394 --> 00:04:23,897 新八郎さんと 鹿児島で。 61 00:04:32,939 --> 00:04:36,409 だけど あの人 誓ってくれたんです。 62 00:04:36,409 --> 00:04:39,312 必ず帰ってくるって。 63 00:04:39,312 --> 00:04:45,418 だから 誰が何と言おうと 私 あの人の言葉を信じてるんです。 64 00:04:45,418 --> 00:04:50,791 新八郎さんの言葉を 絶対 信じてるんですよ。 65 00:04:50,791 --> 00:04:54,294 そ… そうだい。 信じなくちゃいけねえよ。 66 00:04:54,294 --> 00:04:57,130 ヘッ…。 67 00:04:57,130 --> 00:05:02,736 こんな かわいい… 女房との約束を破って 勝手に死にやがったら➡ 68 00:05:02,736 --> 00:05:05,572 この俺がな 引っ張ってきて ぶん殴ってやる! 69 00:05:05,572 --> 00:05:08,375 (ヨウ子)まあ! (朝男)あたぼうよ!➡ 70 00:05:08,375 --> 00:05:10,911 これからはな この天海さんが帰ってきたんだ➡ 71 00:05:10,911 --> 00:05:14,247 そういうことはな この兄貴に任せとけ! でも どうやって? 72 00:05:14,247 --> 00:05:16,183 ええ? どうもクソもあるかい! 73 00:05:16,183 --> 00:05:18,251 さんずの川をな 泳いで渡ってもな➡ 74 00:05:18,251 --> 00:05:21,121 野郎の首根っこ ひっ捕まえてな 連れ戻してきてやる! 75 00:05:21,121 --> 00:05:23,924 ひどいわ そんなの! どうして? 76 00:05:23,924 --> 00:05:26,960 私のご主人を 「あの野郎」だなんて。 77 00:05:26,960 --> 00:05:30,597 ハハハ こいつは いけねえ。 (笑い声) 78 00:05:30,597 --> 00:05:32,532 口が滑っちゃった。 (笑い声) 79 00:05:32,532 --> 00:05:35,268 <この時の朝男の心中。➡ 80 00:05:35,268 --> 00:05:38,772 それは複雑なものだったことでしょう> 81 00:05:42,609 --> 00:05:44,544 それでは 天海さん また 後ほど。 82 00:05:44,544 --> 00:05:46,780 へい。 何年ぶりかの朝風呂と しゃれ込んで➡ 83 00:05:46,780 --> 00:05:48,715 一段と男っぷりを上げときますから。 84 00:05:48,715 --> 00:05:52,419 期待してます 天海兄貴! 任しとけってんだ! じゃあな! 85 00:05:52,419 --> 00:05:55,922 また後で! (朝男)おう! ハハハハハハッ! 86 00:06:05,098 --> 00:06:07,234 ああ~ うめえ。 87 00:06:07,234 --> 00:06:10,904 (タマ)もう一杯 いこう。 ああ。 へえ~ 出版をね。 88 00:06:10,904 --> 00:06:16,076 (タマ)けどさ その出版ってのが そもそも 慣れない仕事だろ? 89 00:06:16,076 --> 00:06:21,381 前払いで大金を払い込んだのに 全然 らちがあかないらしく➡ 90 00:06:21,381 --> 00:06:27,254 だまされてるんじゃないかってね お千代さんが陰で心配してんだよ。 91 00:06:27,254 --> 00:06:30,757 だまされただと!? 何せ お嬢さんだもの。 92 00:06:30,757 --> 00:06:33,660 そんな 商売が できるわけがないじゃないか。 93 00:06:33,660 --> 00:06:37,097 といって こっちだってね 不慣れな仕事だからさ➡ 94 00:06:37,097 --> 00:06:39,100 さっぱり 力になってやることもできないし➡ 95 00:06:39,100 --> 00:06:45,272 マリ子さんの顔見るたんびに どうしたもんだろうと まあ気の毒でさ。 96 00:06:45,272 --> 00:06:48,275 野郎は どうしてんだ? 野郎は。 (タマ)えっ? 誰だい? 野郎ってのは。 97 00:06:48,275 --> 00:06:51,611 均五郎に決まってんじゃねえかよ。 98 00:06:51,611 --> 00:06:56,783 俺の留守の間 磯野家と おっ母のことは くれぐれも頼むって言っといたんだよ。 99 00:06:56,783 --> 00:06:58,718 これはな 男と男の約束だよ! 100 00:06:58,718 --> 00:07:01,221 それを何だい? マリ子さんが大変だっていう時に➡ 101 00:07:01,221 --> 00:07:03,156 野郎 何やってんだい? ええ!? 102 00:07:03,156 --> 00:07:07,027 いや… それがさ あのね ちょいちょいね 来てくれてたんだよ。 103 00:07:07,027 --> 00:07:09,896 それで あの… あのうちをね 買う交渉にもね➡ 104 00:07:09,896 --> 00:07:12,365 本当に親身になってだよ…。 うるせえ! そんなことはな➡ 105 00:07:12,365 --> 00:07:14,301 不動産屋に頼んだって やってくれるじゃねえか! 106 00:07:14,301 --> 00:07:17,237 だけど 出版ってえことになりゃあ ええ? ちったあ 慣れたやつがいなきゃ➡ 107 00:07:17,237 --> 00:07:19,239 片がつかねえだろと 俺は言ってんだよ! 108 00:07:19,239 --> 00:07:21,741 なにも そんなに 私に どなることはないだろ! 109 00:07:21,741 --> 00:07:24,244 ガタガタ文句言ってる間に 呼んでこい! 110 00:07:24,244 --> 00:07:26,579 野郎 来やがってみろ… 半殺しにしてやる! 111 00:07:26,579 --> 00:07:29,249 半殺し!? 朝男…! 112 00:07:29,249 --> 00:07:31,751 呼んでこいって言ってんだよ! 113 00:07:35,055 --> 00:07:39,859 <ともあれ その日のうちに 均五郎君は呼びつけられました> 114 00:07:41,594 --> 00:07:44,931 (均)失礼! 115 00:07:44,931 --> 00:07:46,866 天海君!➡ 116 00:07:46,866 --> 00:07:49,803 いや~ 待ってたよ! 117 00:07:49,803 --> 00:07:53,273 よく戻ってきてくれた! しかも無事で! 118 00:07:53,273 --> 00:07:56,176 うれしい… 俺は うれしいよ 天海君! 119 00:07:56,176 --> 00:07:59,145 うるせえ! (均)何だい? 120 00:07:59,145 --> 00:08:03,550 てめえ よくも… ええ? しらっとした面して来れたな。 121 00:08:03,550 --> 00:08:05,585 君… ちょ…。 それでも男か! 122 00:08:05,585 --> 00:08:07,721 な… 何をするんだよ! 123 00:08:07,721 --> 00:08:09,756 ばばあは… ばばあは すっこんでろってんだ! 124 00:08:09,756 --> 00:08:12,359 君! 親に向かって ばばあとは何だ! 何だ その態度は! 125 00:08:12,359 --> 00:08:16,229 だったら 俺との約束は どう… ええ? 申し開きをするつもりなんでえ! 126 00:08:16,229 --> 00:08:18,164 俺が命を的に この国を出る時 ええ?➡ 127 00:08:18,164 --> 00:08:21,101 マリ子さんのことは全て頼むと 言ったはずだぞ! 128 00:08:21,101 --> 00:08:23,570 あ… 天海君 それ…。 (朝男)うるせえ! 129 00:08:23,570 --> 00:08:26,906 それを何だ? マリッペが 生まれて初めて 出版ってぇ商売に手ぇ出して➡ 130 00:08:26,906 --> 00:08:29,743 右も左も分からずに右往左往してる時に➡ 131 00:08:29,743 --> 00:08:33,913 てめえ よくも… ええ? 見て見ぬふり決め込んでくれたな! 132 00:08:33,913 --> 00:08:38,385 天海君… すまない このとおりだ! 謝るよ! なっ? 勘弁してくれ! 133 00:08:38,385 --> 00:08:41,087 バカ野郎! すまねえで済めばな➡ 134 00:08:41,087 --> 00:08:43,757 お天道様がな 西から上がったって いいということになる…! 135 00:08:43,757 --> 00:08:46,659 やめとくれよ 朝男! やめとくれ! ばばあは すっこんでろ! 136 00:08:46,659 --> 00:08:49,629 ええ? 殺してやろうか… 殺してやろうか…。 137 00:08:49,629 --> 00:08:51,631 この! あ痛っ! 138 00:08:51,631 --> 00:08:56,336 はあ… マリ子さ~ん!➡ 139 00:08:56,336 --> 00:09:00,707 ごめんなさいよ! マリ子さん! ちょ… ちょっと マリ子さん! 140 00:09:00,707 --> 00:09:04,577 はい 何でございましょうか? (タマ)あの… マリ子さんは? 141 00:09:04,577 --> 00:09:09,716 はい ただいま 天海さんのお祝いのために お千代ねえやと一緒に ヤミ市へ。 142 00:09:09,716 --> 00:09:11,751 そんなら お留守なんですか? 143 00:09:11,751 --> 00:09:15,355 あっ はい。 でも 間もなく戻ると思いますけれど。 144 00:09:15,355 --> 00:09:19,559 あ… そう… そう… はあ…。 145 00:09:26,099 --> 00:09:28,735 そうだったのかい。 146 00:09:28,735 --> 00:09:33,072 ああ… そうだったんよ。 147 00:09:33,072 --> 00:09:37,243 まあ 俺もさ 必ず帰ってくるとは言ったものの➡ 148 00:09:37,243 --> 00:09:41,114 まずは 生きちゃあ帰れねえ覚悟だったからな。 149 00:09:41,114 --> 00:09:44,017 僕もね 必ず死ぬと思ったからさ➡ 150 00:09:44,017 --> 00:09:48,388 マリ子さんに あんな とんでもない手紙をだね つい…。 151 00:09:48,388 --> 00:09:51,591 ドジな男だよ 全く…。 全くだよ…。 152 00:09:51,591 --> 00:09:56,463 いや~… おかげでね あの人の顔を見ることは ままならず➡ 153 00:09:56,463 --> 00:10:00,600 あんたとの約束も つい果たせずじまいでさ…。 154 00:10:00,600 --> 00:10:03,503 ウスラトンカチめ。 そのとおり。 155 00:10:03,503 --> 00:10:08,107 けどね 今のマリ子さんの苦境を思うと➡ 156 00:10:08,107 --> 00:10:12,111 俺は もう… いっそ死んじまいたい…! 157 00:10:14,614 --> 00:10:18,117 そうか お前 死ぬ気か? 158 00:10:18,117 --> 00:10:21,621 ああ。 できれば 君に介しゃくしてもらえれば➡ 159 00:10:21,621 --> 00:10:23,656 本望だと思ってるよ。 160 00:10:23,656 --> 00:10:26,292 漫画みたいなこと言うんじゃねえよ。 いや しかし…。 161 00:10:26,292 --> 00:10:31,965 よし 分かった。 死ぬ気ならな 突破口は いくらだってある。 162 00:10:31,965 --> 00:10:33,900 天海君…。 163 00:10:33,900 --> 00:10:36,135 マリ子さんに ぶつかっていくんだよ ド~ンと。 164 00:10:36,135 --> 00:10:38,438 しかし マリ子さんには東郷君という…。 165 00:10:38,438 --> 00:10:41,641 そんなことは決まってるじゃねえか。➡ 166 00:10:41,641 --> 00:10:44,444 バカ 勘違いするんじゃねえよ。 167 00:10:44,444 --> 00:10:47,313 死ぬ気になって わびを入れるんだよ。 (均)ああ…。 168 00:10:47,313 --> 00:10:49,649 そして 水に流してもらって その分を ええ? 169 00:10:49,649 --> 00:10:52,986 これから先 マリ子さんの力になる。 それ以外 方法はねえだろ。 170 00:10:52,986 --> 00:10:56,456 いや それはそうだけどもさ でも 僕の身にもなってくれよ。 171 00:10:56,456 --> 00:10:58,992 今更 それは…。 ドアホ! 172 00:10:58,992 --> 00:11:02,595 亭主ある女に 付け文をしやがって! ええっ!?➡ 173 00:11:02,595 --> 00:11:05,398 みんな てめえの「身から出た錆」だろ! 174 00:11:05,398 --> 00:11:07,333 俺が仲裁人になってやろうってのに 不足か!? 175 00:11:07,333 --> 00:11:10,270 いや 不足っていうわけじゃないけど でもね 僕はさ➡ 176 00:11:10,270 --> 00:11:12,772 つまり その… 何つったらいいのかな…。 (朝男)何だよ? 177 00:11:12,772 --> 00:11:15,275 (足音) こんにちは。 178 00:11:15,275 --> 00:11:17,477 (均)マリ子さん! 179 00:11:19,145 --> 00:11:24,617 よかった! 今ね 大宗さんもいらしてる って伺ったので ちょうどいいと思って。 180 00:11:24,617 --> 00:11:27,954 ねえ 手伝ってほしいのよ。 手伝うって 何を? 181 00:11:27,954 --> 00:11:32,125 まあ 嫌だ。 天海さんの 復員お祝いパーティーじゃありませんか。 182 00:11:32,125 --> 00:11:34,794 今 ヤミ市で いろいろ買い物をしてきたんだけど➡ 183 00:11:34,794 --> 00:11:36,729 パ~ッと 明るく やりたいの。 184 00:11:36,729 --> 00:11:39,632 だから そのためには やはり 飾りつけでは➡ 185 00:11:39,632 --> 00:11:42,435 田河先生のとこで修養なさった ご経験でですね…。 186 00:11:42,435 --> 00:11:44,504 いやいや こいつはね そんなものやったって駄目だよ。 187 00:11:44,504 --> 00:11:47,273 そういうことはね このあっしが。 いいえ。 188 00:11:47,273 --> 00:11:49,309 こういうことは ほかの人に やっていただくことに➡ 189 00:11:49,309 --> 00:11:52,178 意義があるんだって 田河先生 おっしゃってたわ。 190 00:11:52,178 --> 00:11:56,816 ねっ 大宗さん? そう… そのとおりです…。 191 00:11:56,816 --> 00:12:00,787 マリ子さん その前にね あなたに 謝らなきゃならないことがあるんですよ。 192 00:12:00,787 --> 00:12:03,256 あら 何でしょう? 193 00:12:03,256 --> 00:12:05,758 あの手紙ですよ。 194 00:12:05,758 --> 00:12:11,397 情に溺れてたとはいえ この大宗 均 一世一代の不覚! 195 00:12:11,397 --> 00:12:14,267 今更 わびてもね 許されんでしょうが➡ 196 00:12:14,267 --> 00:12:17,103 マリ子さん どうか勘弁しておくんなさいね。 197 00:12:17,103 --> 00:12:20,974 このとおりです。 待ってください。 一体 何のこと? 198 00:12:20,974 --> 00:12:24,777 ですから 手紙ですよ。 出征前夜に あなたに書いた➡ 199 00:12:24,777 --> 00:12:26,713 あの ふらち極まる手紙。 200 00:12:26,713 --> 00:12:30,950 さあ? 私 知りませんわ。 そんな! 201 00:12:30,950 --> 00:12:35,121 何をおっしゃってるの? 大宗さんは 一体。 202 00:12:35,121 --> 00:12:37,156 じれってえな…。 203 00:12:37,156 --> 00:12:39,993 あの こいつが書いた あの時の あの手紙。 204 00:12:39,993 --> 00:12:43,429 あの時って どの時? マリ子さん…。 205 00:12:43,429 --> 00:12:47,300 大宗さん お手紙くださったの? 私に。 そのとおりです。 206 00:12:47,300 --> 00:12:49,235 どんな お手紙でしたの? 207 00:12:49,235 --> 00:12:53,106 いや… ですから… それは その…。 208 00:12:53,106 --> 00:12:58,311 ごめんなさい 本当に。 でも 私が悪いんじゃないのよ。 空襲のせいよ。 209 00:12:58,311 --> 00:13:02,582 だって あの年 東京に大空襲があって 皆さんのことが心配で➡ 210 00:13:02,582 --> 00:13:05,251 私も何度か お手紙を お出ししたんだけど➡ 211 00:13:05,251 --> 00:13:08,087 天海さんのお母さんの所にも ウラマドさんの所にも➡ 212 00:13:08,087 --> 00:13:10,990 満足に着いてなかったんですもの。 213 00:13:10,990 --> 00:13:12,959 それじゃあ あの手紙…。 214 00:13:12,959 --> 00:13:16,796 ええ だから お返事をお出しできなくて…。 215 00:13:16,796 --> 00:13:21,401 それを怒っていらしたの? とんでもない とんでもない。 216 00:13:21,401 --> 00:13:25,104 そうか… いやいや そうだったんだよ。 217 00:13:25,104 --> 00:13:27,607 大宗君 そうだったんだよ。 うん。 218 00:13:27,607 --> 00:13:30,643 そうだったんだな きっと…。 219 00:13:30,643 --> 00:13:34,380 あの 何か大事なお手紙でしたの? 220 00:13:34,380 --> 00:13:36,316 いや そういうわけじゃないんですよ。 ただ その…。 221 00:13:36,316 --> 00:13:38,951 季節の挨拶とか うんぬんもろもろ…。 222 00:13:38,951 --> 00:13:42,288 フフフッ 嫌だわ 相変わらず大げさで。 223 00:13:42,288 --> 00:13:45,124 あっ ごめんなさい つい マチ子の受け売りで。 224 00:13:45,124 --> 00:13:47,060 めっそうもない。 そのとおりなんですよ。 225 00:13:47,060 --> 00:13:49,629 それじゃあ 改めて お願いできますかしら? 226 00:13:49,629 --> 00:13:52,532 (均)何をです? パーティーのご相談です。 227 00:13:52,532 --> 00:13:56,135 もちろんですよ。 もちろん 腕を振るわせていただきますよ! 228 00:13:56,135 --> 00:13:58,071 ねっ 天海君! ああ。 229 00:13:58,071 --> 00:14:00,573 まあ 心配事がなくなったんだからな よろしく頼む。 230 00:14:00,573 --> 00:14:03,376 あら 何か心配事でもありましたの? 231 00:14:03,376 --> 00:14:06,279 いや… こっちのことだよな。 ハハハハ…。 232 00:14:06,279 --> 00:14:10,750 あれが着いてないなんて… そんな殺生な…。 233 00:14:10,750 --> 00:14:12,785 えっ? いやいや…。 234 00:14:12,785 --> 00:14:16,556 バカ! それで もう 万々歳じゃねえか! 235 00:14:16,556 --> 00:14:20,393 全くだ! (笑い声) 236 00:14:20,393 --> 00:14:25,932 何だろうね 殴り合っていたかと思ったら もう すぐ これだ。 237 00:14:25,932 --> 00:14:28,768 はい どうぞ ひとつ。 どうも。 238 00:14:28,768 --> 00:14:31,604 <それを言ったら おしまいです。➡ 239 00:14:31,604 --> 00:14:37,410 均ちゃんとの関係を救うには あの手紙を この世から抹殺するほかに➡ 240 00:14:37,410 --> 00:14:40,279 マリ子には方法がなかったのです。➡ 241 00:14:40,279 --> 00:14:44,117 そして それを うすうす察したのは➡ 242 00:14:44,117 --> 00:14:46,152 さすが 兄貴分を自称する➡ 243 00:14:46,152 --> 00:14:51,157 天海朝男一人だったのでは ないでしょうか?>