1 00:00:01,523 --> 00:00:09,398 (潔)幸せいうのは 一人やと 感じられんもんなんやなぁ。➡ 2 00:00:09,398 --> 00:00:14,536 誰かと分かち合えてこそや。 3 00:00:14,536 --> 00:00:26,536 ♬~ 4 00:00:33,522 --> 00:00:35,857 (萬平)生前葬? (鈴)はい。 5 00:00:35,857 --> 00:00:37,793 そんなこと できるんですか。 6 00:00:37,793 --> 00:00:40,195 図書館に行って調べました。 7 00:00:40,195 --> 00:00:42,130 (福子)えっ! 8 00:00:42,130 --> 00:00:48,070 明治40年に 落語家の二代目 三遊亭金朝が➡ 9 00:00:48,070 --> 00:00:50,839 生前葬をやりました。 10 00:00:50,839 --> 00:00:53,208 シャレでやってるんやないの。 11 00:00:53,208 --> 00:00:56,878 (源)何で おばあちゃんは 生前葬やりたいって思たん? 12 00:00:56,878 --> 00:01:01,750 この前 病気になって 私 思たの。 13 00:01:01,750 --> 00:01:06,221 人間 いつ死ぬか分からないって。 14 00:01:06,221 --> 00:01:10,092 ある時 ポックリ逝ってしまったら➡ 15 00:01:10,092 --> 00:01:14,896 みんなに ありがとうって 言えないやない。 16 00:01:14,896 --> 00:01:16,832 (幸)ありがとう…。 17 00:01:16,832 --> 00:01:21,570 いつかは やるんやから 生きているうちにお葬式を挙げて➡ 18 00:01:21,570 --> 00:01:26,908 みんなに 感謝の気持ちを伝えたいのよ。 19 00:01:26,908 --> 00:01:30,245 私は ええと思う。 20 00:01:30,245 --> 00:01:32,180 ええと思うよ おばあちゃん。 21 00:01:32,180 --> 00:01:34,850 せやけど…。 僕も面白いと思うな。 22 00:01:34,850 --> 00:01:39,187 葬式だぞ。 人を呼ぶんだ。 でも お義母さんは生きてる。 23 00:01:39,187 --> 00:01:42,858 みんな どんな顔すればいいんだ。 ニコニコしてればいいのよ。 24 00:01:42,858 --> 00:01:45,527 ニコニコって…。 25 00:01:45,527 --> 00:01:53,702 ♬「丸まってる背中に もらい泣き」 26 00:01:53,702 --> 00:01:56,738 ♬「恥じだって一緒に」 27 00:01:56,738 --> 00:02:01,443 ♬「あなたとならトゥラッタッタ♪」 28 00:02:01,443 --> 00:02:05,213 ♬「飛行機雲ぼんやり眺む」 29 00:02:05,213 --> 00:02:09,084 ♬「心ここに在らず」 30 00:02:09,084 --> 00:02:12,554 ♬「年間トータル もししたら」 31 00:02:12,554 --> 00:02:17,426 ♬「付き合うあたしすごい?」 32 00:02:17,426 --> 00:02:25,567 ♬「とぼけてる眉毛に もらい笑い」 33 00:02:25,567 --> 00:02:28,904 ♬「照れだってなんだって」 34 00:02:28,904 --> 00:02:31,573 ♬「あなたとならトゥラッタッタ♪」 35 00:02:31,573 --> 00:02:39,381 ♬「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」 36 00:02:39,381 --> 00:02:45,120 ♬「もらいっ恥じ どんと来い!」 37 00:02:45,120 --> 00:02:49,057 ♬「晴天も曇天も霹靂も」 38 00:02:49,057 --> 00:02:54,757 ♬「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」 39 00:02:57,732 --> 00:03:02,871 そして 鈴さんの生前葬の日がやって来ました。 40 00:03:02,871 --> 00:03:04,871 (世良)うおっ! 41 00:03:08,210 --> 00:03:11,210 ほんまに葬式や。 42 00:03:12,881 --> 00:03:20,755 本日は 本当に ありがとうございます。 43 00:03:20,755 --> 00:03:26,428 私は もう よわい80。 44 00:03:26,428 --> 00:03:31,233 いつ死んでも おかしくありません。➡ 45 00:03:31,233 --> 00:03:34,135 せやけど 死んでしまっては➡ 46 00:03:34,135 --> 00:03:40,842 皆さんと お別れのご挨拶が できないのでございます。 47 00:03:40,842 --> 00:03:47,716 ですから このような 生前葬という形で➡ 48 00:03:47,716 --> 00:03:54,016 先に お葬式を挙げさせて頂くことに いたしました。 49 00:04:00,195 --> 00:04:03,495 それでは 始めましょう。 50 00:04:07,536 --> 00:04:10,438 (タカ)おばあちゃん…。 (神部)まだ死んでない。 51 00:04:10,438 --> 00:04:13,408 (忠彦)シュールすぎる。 52 00:04:13,408 --> 00:04:19,548 (読経) 53 00:04:19,548 --> 00:04:21,883 (世良)「今井 鈴さん。➡ 54 00:04:21,883 --> 00:04:27,756 いや 僕は あえて お母さんと呼ばせて頂きます。➡ 55 00:04:27,756 --> 00:04:34,829 お母さん あなたとは もう25年の付き合いです」。 56 00:04:34,829 --> 00:04:36,765 そうね。 57 00:04:36,765 --> 00:04:42,504 (世良)「発明家の立花君 立花君を支える福ちゃん。➡ 58 00:04:42,504 --> 00:04:50,378 その2人を お母さんは いつも 温かく見守っていらっしゃいました。➡ 59 00:04:50,378 --> 00:04:54,115 お母さんは 僕のことを うさんくさい男やと➡ 60 00:04:54,115 --> 00:04:56,851 いつも おっしゃっていましたが➡ 61 00:04:56,851 --> 00:05:02,524 僕は その言葉の裏に 深い愛情を感じておりました」。 62 00:05:02,524 --> 00:05:05,193 本当に? シッ! 63 00:05:05,193 --> 00:05:07,529 (世良) 「お母さんが いらっしゃらなければ➡ 64 00:05:07,529 --> 00:05:13,201 今の立花君や福ちゃんは なかったと思います」。 65 00:05:13,201 --> 00:05:15,136 (真一)そうだね。 66 00:05:15,136 --> 00:05:18,873 「ありがとう お母さん。➡ 67 00:05:18,873 --> 00:05:26,214 どうぞ 安らかに お眠り下さい。➡ 68 00:05:26,214 --> 00:05:28,514 世良勝夫」。 69 00:05:30,552 --> 00:05:33,822 どわあ~っ! うわっ! ありがとう! 70 00:05:33,822 --> 00:05:36,157 その後も弔辞は続きました。 71 00:05:36,157 --> 00:05:40,028 (敏子)「誰よりも深い愛情を 注いでこられたお母さん。➡ 72 00:05:40,028 --> 00:05:44,032 長い間 ご苦労さまでした」。 73 00:05:44,032 --> 00:05:46,501 その度に鈴さんは…。 74 00:05:46,501 --> 00:05:48,801 ありがとう。 75 00:05:54,376 --> 00:05:58,113 (赤津)大奥様 僕を覚えてらっしゃいますか。 76 00:05:58,113 --> 00:06:02,050 おっ 赤津! はい! 77 00:06:02,050 --> 00:06:07,188 それでは 最後に 今井 鈴本人から皆様に。 78 00:06:07,188 --> 00:06:14,062 待って。 克子と福子も 何かしゃべって。 79 00:06:14,062 --> 00:06:16,865 (克子)私? そやけど それは…。 80 00:06:16,865 --> 00:06:20,201 普通のお葬式やないんやから ええのよ。 81 00:06:20,201 --> 00:06:25,073 娘たちとも ちゃんと お別れしないと。 82 00:06:25,073 --> 00:06:28,076 お別れって…。 83 00:06:28,076 --> 00:06:30,376 分かりました。 84 00:06:32,480 --> 00:06:35,817 (克子)お母さん…。 85 00:06:35,817 --> 00:06:40,155 お母さんは ほんまに面白い人やわ。 86 00:06:40,155 --> 00:06:46,027 いっつも 「私は武士の娘です」って 言うてたくせに➡ 87 00:06:46,027 --> 00:06:50,799 武士の娘が 生きてる間に お葬式を挙げようやなんて考える? 88 00:06:50,799 --> 00:06:52,799 いいでしょ。 89 00:06:55,170 --> 00:07:05,814 せやけど 生前葬は 案外よかったのかも。 90 00:07:05,814 --> 00:07:13,188 お母さんが ほんまに亡くなってしもて…➡ 91 00:07:13,188 --> 00:07:18,526 これが本物のお葬式やったら…➡ 92 00:07:18,526 --> 00:07:24,226 私は きっと 泣いてばっかりで何にも言えんかった。 93 00:07:28,203 --> 00:07:35,810 正直言うとね… 年を取れば取るほど➡ 94 00:07:35,810 --> 00:07:39,510 自分は お母さんに似てきたと思うの。 95 00:07:42,484 --> 00:07:49,157 思たことを すぐに口に出してしまうところとか➡ 96 00:07:49,157 --> 00:07:56,030 タカに小言言う時の物言いとか…。 97 00:07:56,030 --> 00:08:04,706 自分の ふとした しぐさとか…。 98 00:08:04,706 --> 00:08:14,382 はあ… 私は… 私は やっぱり➡ 99 00:08:14,382 --> 00:08:17,382 お母さんの娘なんやね。 100 00:08:20,855 --> 00:08:24,555 お母さんの娘で よかった…。 101 00:08:28,196 --> 00:08:31,496 ほんまに よかった…。 102 00:08:39,808 --> 00:08:45,480 ありがとう お母さん。 103 00:08:45,480 --> 00:08:50,780 克子… ありがとう。 104 00:08:58,059 --> 00:09:00,059 福子。 105 00:09:13,842 --> 00:09:18,842 私は 咲姉ちゃんと一緒に挨拶します。 106 00:09:33,328 --> 00:09:41,002 お母さん。 お母さんは 咲姉ちゃんのことが大好きやった。 107 00:09:41,002 --> 00:09:47,475 そして すごくすごく頼りにしてました。 108 00:09:47,475 --> 00:09:52,814 咲姉ちゃんも お母さんのことが大好きやったよね。 109 00:09:52,814 --> 00:10:01,155 せやから 咲姉ちゃんが亡くなって 克子姉ちゃんは もう嫁いでたから➡ 110 00:10:01,155 --> 00:10:11,499 お母さんと2人だけになって 私は なんとか 一生懸命➡ 111 00:10:11,499 --> 00:10:17,839 咲姉ちゃんの代わりになろうと思って 頑張ったけど➡ 112 00:10:17,839 --> 00:10:22,710 やっぱり それは できませんでした。 113 00:10:22,710 --> 00:10:27,010 お母さんに 心配かけてばっかりやった。 114 00:10:30,852 --> 00:10:37,725 私が 一番お母さん困らせたのは…➡ 115 00:10:37,725 --> 00:10:42,463 萬平さんと結婚したいって 言いだした時かもしれません。 116 00:10:42,463 --> 00:10:44,866 フフッ。 117 00:10:44,866 --> 00:10:48,202 いや~ あの時 お母さん 許してくれなかったら➡ 118 00:10:48,202 --> 00:10:53,875 もう 一体 どんなことになってたんやろう。 119 00:10:53,875 --> 00:11:03,551 せやけど 何やかんやと 萬平さんを受け入れてくれました。 120 00:11:03,551 --> 00:11:06,851 本当に感謝しています。 121 00:11:10,425 --> 00:11:20,568 いや~… せやけど それから お母さんには苦労をかけてばっかり。 122 00:11:20,568 --> 00:11:26,441 お塩を作ってた時も もう ダネイホン作ってた時も➡ 123 00:11:26,441 --> 00:11:29,741 ほんま大変やったね。 124 00:11:32,513 --> 00:11:40,188 萬平さん 理事長やってた時だけは 楽ができたけど…。 125 00:11:40,188 --> 00:11:44,058 はあ… 一文無しになってしもて それから。 126 00:11:44,058 --> 00:11:48,863 それで まんぷくラーメン作ることになって…。 127 00:11:48,863 --> 00:11:56,204 もう ほんまに 山あり谷ありの私たちを 文句言いながらも➡ 128 00:11:56,204 --> 00:12:00,875 もう ずっと私たちと一緒にいてくれた。 129 00:12:00,875 --> 00:12:05,575 いつも いつも そばにいてくれた。 130 00:12:07,548 --> 00:12:10,451 そやな。 131 00:12:10,451 --> 00:12:20,128 お母さんには 心の底から 感謝しています。 132 00:12:20,128 --> 00:12:28,569 まだまだ 逝ってほしくはないけど もし 向こうに行ってしまっても➡ 133 00:12:28,569 --> 00:12:35,376 咲姉ちゃんが待っててくれるから 大丈夫よ。 134 00:12:35,376 --> 00:12:41,076 ずっと 今のままのお母さんでいて下さい。 135 00:12:45,520 --> 00:12:51,192 (泣き声) 136 00:12:51,192 --> 00:12:53,492 ほんまに ありがとう。 137 00:12:55,063 --> 00:13:00,201 うっ… うう… 福子…。 138 00:13:00,201 --> 00:13:04,072 フフフフ… お母さん。 139 00:13:04,072 --> 00:13:08,772 克子も ありがとうね。 140 00:13:13,214 --> 00:13:17,085 (泣き声) 141 00:13:17,085 --> 00:13:20,888 (鈴)ああ… ああ…。 142 00:13:20,888 --> 00:13:25,760 私が 生前葬をしたいって言うた時➡ 143 00:13:25,760 --> 00:13:30,565 賛成してくれたのは さっちゃんだけやったけど。 144 00:13:30,565 --> 00:13:37,171 僕かて 賛成したよ。 (鈴)そうやったわね 源ちゃん。 145 00:13:37,171 --> 00:13:46,180 今日は 本当に よかった。 146 00:13:46,180 --> 00:13:50,685 集まってくれた皆さんに➡ 147 00:13:50,685 --> 00:13:56,190 心から 感謝します。 うん。 148 00:13:56,190 --> 00:14:01,062 僕にも ひと言 お礼を言わせて下さい お義母さん。 149 00:14:01,062 --> 00:14:06,834 さっき 福子が お義母さんには 苦労をかけてばっかりだったと➡ 150 00:14:06,834 --> 00:14:13,541 言っていましたが それは全部 僕のせいです。 151 00:14:13,541 --> 00:14:17,411 もう 終わったことよ。 152 00:14:17,411 --> 00:14:20,882 でも まだまだ これから何が起こるか分かりません。 153 00:14:20,882 --> 00:14:23,551 ええっ! 萬平君やからなあ。 154 00:14:23,551 --> 00:14:26,888 これで終わりやないやろう。 そうよ お母さん。 155 00:14:26,888 --> 00:14:33,494 でも 大丈夫です。 僕には 信頼できる仲間がいます。 156 00:14:33,494 --> 00:14:43,504 家族 親族… そして福子がいます。 157 00:14:43,504 --> 00:14:48,176 お義母さんには 何よりも 福子を産んで下さったこと➡ 158 00:14:48,176 --> 00:14:55,850 そして 僕たちの結婚を 許して下さったことに 感謝します。 159 00:14:55,850 --> 00:15:00,188 本当に ありがとうございました。 160 00:15:00,188 --> 00:15:05,526 はい。 ありがとう 萬平さん。 161 00:15:05,526 --> 00:15:19,540 (笑い声) 162 00:15:19,540 --> 00:15:24,840 こうして 鈴さんの生前葬は 無事 終わったのです。