1 00:00:03,604 --> 00:00:05,539 (忠彦)克子…。 2 00:00:05,539 --> 00:00:07,941 (克子)あなた… 生きてた…。 3 00:00:07,941 --> 00:00:09,877 (タカ)お父さん? 4 00:00:09,877 --> 00:00:14,281 克子姉ちゃんの旦那様 忠彦さんが帰ってきました。 5 00:00:14,281 --> 00:00:24,291 ♬~ 6 00:00:24,291 --> 00:00:27,628 僕は 何を手伝えばええんかな。 7 00:00:27,628 --> 00:00:30,297 (福子)忠彦さんは いいですよ。 8 00:00:30,297 --> 00:00:34,968 あなたは 今までどおり 絵を描いてて下さい。 9 00:00:34,968 --> 00:00:37,304 ああ…。 10 00:00:37,304 --> 00:00:59,293 ♬~ 11 00:01:08,936 --> 00:01:17,277 ♬「丸まってる背中に もらい泣き」 12 00:01:17,277 --> 00:01:20,614 ♬「恥じだって一緒に」 13 00:01:20,614 --> 00:01:24,952 ♬「あなたとならトゥラッタッタ♪」 14 00:01:24,952 --> 00:01:28,822 ♬「飛行機雲ぼんやり眺む」 15 00:01:28,822 --> 00:01:32,826 ♬「心ここに在らず」 16 00:01:32,826 --> 00:01:36,296 ♬「年間トータル もししたら」 17 00:01:36,296 --> 00:01:40,968 ♬「付き合うあたしすごい?」 18 00:01:40,968 --> 00:01:48,842 ♬「とぼけてる眉毛に もらい笑い」 19 00:01:48,842 --> 00:01:52,579 ♬「照れだってなんだって」 20 00:01:52,579 --> 00:01:55,315 ♬「あなたとならトゥラッタッタ♪」 21 00:01:55,315 --> 00:02:02,923 ♬「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」 22 00:02:02,923 --> 00:02:08,595 ♬「もらいっ恥じ どんと来い!」 23 00:02:08,595 --> 00:02:12,466 ♬「晴天も曇天も霹靂も」 24 00:02:12,466 --> 00:02:18,171 ♬「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」 25 00:02:20,607 --> 00:02:22,542 (神部)庭掃除 終わりました。 26 00:02:22,542 --> 00:02:25,479 (鈴)もういいから。 あなたは出ていきなさい。 27 00:02:25,479 --> 00:02:30,617 お母さん! この人 うちに居つくつもりよ。 28 00:02:30,617 --> 00:02:32,552 泥棒のくせに。 29 00:02:32,552 --> 00:02:34,488 (萬平)でも 行く当てがないって 言うんだから。 30 00:02:34,488 --> 00:02:37,491 ここに置いて下さい。 何でもしますから。 31 00:02:37,491 --> 00:02:41,628 やっぱり 手伝います。 絵なんか描いてる時やない。 32 00:02:41,628 --> 00:02:45,298 あなた…。 ほんまに ええんですか。 33 00:02:45,298 --> 00:02:47,634 僕は 何をすればええのか 言うてくれ。 34 00:02:47,634 --> 00:02:50,537 じゃあ お義母さんを 手伝ってあげて下さい。 35 00:02:50,537 --> 00:02:52,973 俺も手伝います。 36 00:02:52,973 --> 00:02:55,876 あなたは 出ていけ。 37 00:02:55,876 --> 00:03:00,247 (吉乃)お母さん。 学ちゃんが お漏らしした。 38 00:03:00,247 --> 00:03:04,117 もう ちょっと こっちおいで。 39 00:03:04,117 --> 00:03:07,120 はんこの棒が なくなってしもた。 40 00:03:07,120 --> 00:03:09,923 (重之)することがない。 (克子)勉強しといて。 41 00:03:09,923 --> 00:03:12,259 俺が教えます。 また あんた。 42 00:03:12,259 --> 00:03:14,194 君は 泥棒やったよね。 43 00:03:14,194 --> 00:03:17,130 でも 大阪帝大を卒業しました。 44 00:03:17,130 --> 00:03:20,600 ええっ! 大阪帝大? 45 00:03:20,600 --> 00:03:23,270 また口から出任せを。 46 00:03:23,270 --> 00:03:26,940 そう。 分かってきたね 重ちゃん。 うん。 47 00:03:26,940 --> 00:03:30,277 泥棒に子守させるの? 48 00:03:30,277 --> 00:03:34,147 家庭教師です。 もっと変やわ。 49 00:03:34,147 --> 00:03:36,616 なかなか いいやつじゃないですか。 50 00:03:36,616 --> 00:03:38,552 掘り出し物かも。 51 00:03:38,552 --> 00:03:41,955 合ってるやん。 そうそう そうそうそう。 52 00:03:41,955 --> 00:03:45,625 ほんまに あの人を ここに置くつもり? 53 00:03:45,625 --> 00:03:49,296 寝るとこは どうするのよ。 お母さんは もう。 54 00:03:49,296 --> 00:03:51,231 そればっかり。 55 00:03:51,231 --> 00:03:56,636 私は いいわよ。 もう 福子たちと一緒に寝るから。 56 00:03:56,636 --> 00:03:59,973 彼は アトリエに寝てもらおう。 57 00:03:59,973 --> 00:04:04,244 えっ。 あなた。でも 忠彦さんの仕事場ですよ。 58 00:04:04,244 --> 00:04:11,118 実は… フィリピンで目をやられてね。 59 00:04:11,118 --> 00:04:14,254 えっ? 目? 60 00:04:14,254 --> 00:04:23,930 夜中に銃撃戦になって 敵の照明弾が 不発のまま僕の後ろに落ちてきて…。 61 00:04:23,930 --> 00:04:26,233 振り向いた途端に…。 62 00:04:30,270 --> 00:04:34,608 あれが まともに目に入って…。 63 00:04:34,608 --> 00:04:39,946 あれ以来 色が よく分からなくなった。 64 00:04:39,946 --> 00:04:42,849 色って…。 65 00:04:42,849 --> 00:04:49,289 特に 緑と赤の区別が つかないんです。 66 00:04:49,289 --> 00:04:55,629 それは… 絵描きにとっては大変なことやない。 67 00:04:55,629 --> 00:04:59,499 お医者様に診てもらいましょう あなた。 そうです すぐに行った方が…。 68 00:04:59,499 --> 00:05:02,235 軍医に診てもらったんやけど➡ 69 00:05:02,235 --> 00:05:06,106 こういうのは もう 治らないそうや。 70 00:05:06,106 --> 00:05:08,108 治らない…。 71 00:05:08,108 --> 00:05:14,815 そしたら もう 絵は描かないの? 72 00:05:14,815 --> 00:05:17,517 描けません。 73 00:05:19,786 --> 00:05:26,493 そしたら まともな仕事に 就いてくれるのね 忠彦さん。 74 00:05:29,930 --> 00:05:32,599 そのつもりです。 75 00:05:32,599 --> 00:05:46,146 ♬~ 76 00:05:46,146 --> 00:05:48,949 萬平さん…。 77 00:05:48,949 --> 00:05:51,618 うん? 78 00:05:51,618 --> 00:05:57,624 忠彦さんは 絵を諦めることは できないと思います。 79 00:05:59,960 --> 00:06:04,231 克子姉ちゃんも きっと そう思てる。 80 00:06:04,231 --> 00:06:09,102 忠彦さんは 普通の人とは違うって。 81 00:06:09,102 --> 00:06:14,241 自分の旦那様で 子どもたちのお父さんやけど➡ 82 00:06:14,241 --> 00:06:18,111 その前に 忠彦さんは画家やって。 83 00:06:18,111 --> 00:06:30,790 ♬~ 84 00:06:30,790 --> 00:06:32,792 怖ない。 85 00:06:38,932 --> 00:06:41,601 (読経) 86 00:06:41,601 --> 00:06:46,473 戦争が終わった暑い夏から 季節は冬へと変わっていきました。 87 00:06:46,473 --> 00:06:49,476 闇市は 相変わらず無法地帯。 88 00:06:49,476 --> 00:06:52,612 したたかに たくましく生きている人と➡ 89 00:06:52,612 --> 00:06:56,483 絶望から立ち直れず 気力を失っている人。 90 00:06:56,483 --> 00:07:01,888 そして 新しい時代に 希望を見いだしている人。 91 00:07:01,888 --> 00:07:08,228 闇市には さまざまな人たち さまざまな人生がありました。 92 00:07:08,228 --> 00:07:17,570 ♬~(ハーモニカ) 93 00:07:17,570 --> 00:07:19,506 あれ? 94 00:07:19,506 --> 00:07:22,809 えっ? どうしたんですか。 95 00:07:24,444 --> 00:07:26,446 えっ。 96 00:07:28,581 --> 00:07:31,885 ん? まさか…。 97 00:07:34,254 --> 00:07:36,189 福子。 98 00:07:36,189 --> 00:07:41,928 ♬~ 99 00:07:41,928 --> 00:07:44,831 (加地谷)何すんねん! ああ やっぱり! 100 00:07:44,831 --> 00:07:47,133 あっ ああ…! 加地谷さん! 101 00:07:48,802 --> 00:07:53,940 加地谷さん! ひ… 久しぶりやな 立花君。 102 00:07:53,940 --> 00:07:57,610 久しぶり!? 103 00:07:57,610 --> 00:08:00,513 君らは 結婚したんか? 104 00:08:00,513 --> 00:08:05,885 はい。 やっぱり。 それは おめでとう。 105 00:08:05,885 --> 00:08:09,556 ありがとうございます。 ありがとうございますやないでしょう。 106 00:08:09,556 --> 00:08:13,226 萬平さんは この人のせいで ひどい目に遭ったんですよ。 107 00:08:13,226 --> 00:08:18,898 憲兵に殴られたり蹴られたりして 拷問みたいな取り調べを受けたんです。 108 00:08:18,898 --> 00:08:23,236 それが原因で 腹膜炎になって死にかけたし。 109 00:08:23,236 --> 00:08:28,108 あ… それは 申し訳ない。 加地谷さんのせいです! 110 00:08:28,108 --> 00:08:31,411 ほんまに 申し訳なかった。 111 00:08:38,785 --> 00:08:43,556 もういい 福子。 えっ… この人を許すんですか。 112 00:08:43,556 --> 00:08:48,862 許すも許さないもない。 もう憲兵は いないんだ。 113 00:08:50,463 --> 00:08:56,603 加地谷さん もう あなたのことを 追いかける人はいませんよ。 114 00:08:56,603 --> 00:08:59,939 分かってる。 115 00:08:59,939 --> 00:09:05,545 そやけど 俺は もう 日陰で生きていく。 116 00:09:05,545 --> 00:09:07,881 日陰って…。 117 00:09:07,881 --> 00:09:16,890 自分でも 何で君を 悪者にしようとしてたんか分からへん。 118 00:09:16,890 --> 00:09:20,560 君に ああやこうや指図しながら➡ 119 00:09:20,560 --> 00:09:27,901 ほんまは 君の才能が羨ましかったんやろなあ。 120 00:09:27,901 --> 00:09:34,574 俺は ほとほと 自分が嫌になった。 121 00:09:34,574 --> 00:09:37,877 もう生きてる意味が分からへん。 122 00:09:43,249 --> 00:09:50,957 加地谷圭介という男は… 戦争で死んだんや。 123 00:09:59,799 --> 00:10:03,570 もういい 福子。 行こう。 124 00:10:03,570 --> 00:10:06,272 萬平さん! 125 00:10:15,181 --> 00:10:18,151 加地谷さん。 126 00:10:18,151 --> 00:10:24,858 考えてみれば 憲兵隊に捕まったことがきっかけで➡ 127 00:10:24,858 --> 00:10:27,861 福子と結婚できたようなものです。 128 00:10:30,296 --> 00:10:32,999 立花…。 129 00:10:34,634 --> 00:10:39,973 もう終わりだ 福子。 帰ろう。 130 00:10:39,973 --> 00:11:09,135 ♬~ 131 00:11:09,135 --> 00:11:13,840 あ~… あったかい。 132 00:11:13,840 --> 00:11:29,289 ♬~ 133 00:11:29,289 --> 00:11:32,959 お着替え ここに置いときますね。 134 00:11:32,959 --> 00:11:35,962 ⚟ああ ありがとう。 135 00:11:41,968 --> 00:11:49,275 ほんまに もう何とも思てないんですか 加地谷さんのこと。 136 00:11:56,983 --> 00:12:04,791 世の中には 人を恨むことで頑張れる人間 というのが いるのかもしれない。 137 00:12:04,791 --> 00:12:07,093 でも僕は そうじゃない。 138 00:12:09,262 --> 00:12:12,165 ⚟なんて 人のいい。 139 00:12:12,165 --> 00:12:17,937 福子 お前は加地谷さんのことになると お義母さん そっくりだな。 140 00:12:17,937 --> 00:12:21,608 えっ。 ⚟フフフ。 でも…。 141 00:12:21,608 --> 00:12:25,612 お前だって 加地谷さんが かわいそうだと思ってるんじゃないのか。 142 00:12:34,621 --> 00:12:39,926 分かりました。 私は もう何にも言いません。 143 00:12:48,635 --> 00:12:51,971 ⚟神部君。 はい。 144 00:12:51,971 --> 00:12:57,844 もう これ以上 熱くしなくていい。 それより 君に頼みがあるんだ。 145 00:12:57,844 --> 00:13:00,780 はあ…。 146 00:13:00,780 --> 00:13:12,091 ♬~ 147 00:13:16,596 --> 00:13:19,932 加地谷さんですか。 148 00:13:19,932 --> 00:13:21,868 そうやけど。 149 00:13:21,868 --> 00:13:25,571 立花さんが これを渡してこいって。 150 00:13:27,807 --> 00:13:30,576 言づけがあります。 151 00:13:30,576 --> 00:13:34,480 「諦めないで どうか生き抜いて下さい。➡ 152 00:13:34,480 --> 00:13:39,952 あなたの人生の主役は あなたなんですから」。 153 00:13:39,952 --> 00:13:42,622 俺には よう意味が分かりません。 154 00:13:42,622 --> 00:13:46,926 せやけど 確かに伝えましたからね。 155 00:14:02,108 --> 00:14:13,252 ♬~ 156 00:14:13,252 --> 00:14:17,957 俺の人生…。 157 00:14:22,595 --> 00:14:26,466 すまん 立花君…。 158 00:14:26,466 --> 00:14:37,610 ♬~ 159 00:14:37,610 --> 00:14:41,914 おおきに。 おおきに…。 160 00:14:47,954 --> 00:14:53,259 (泣き声)