1 00:00:08,609 --> 00:00:12,112 (道子)<あの嵐の中で ちゃんと立っていられたのは➡ 2 00:00:12,112 --> 00:00:14,948 私一人ぐらいなもの…。➡ 3 00:00:14,948 --> 00:00:18,619 そう亭主殿は 胸を張ります。➡ 4 00:00:18,619 --> 00:00:23,123 我が亭主殿 小栗上野介様が➡ 5 00:00:23,123 --> 00:00:26,793 遣米使節団の一人として メリケンに向かったのは➡ 6 00:00:26,793 --> 00:00:30,631 万延元年 正月のこと> 7 00:00:30,631 --> 00:00:33,533 (藤七)途中 立ち寄ったハワイは➡ 8 00:00:33,533 --> 00:00:36,970 よい所でございましたな ミスター小栗様。➡ 9 00:00:36,970 --> 00:00:42,142 気候も暖かで 珍しい草花も 生い茂って➡ 10 00:00:42,142 --> 00:00:46,446 果実も甘く…。 (小栗)よく こんな時に…。 11 00:00:46,446 --> 00:00:50,651 けえって 船酔いせずに済むというもので。 12 00:00:50,651 --> 00:00:53,687 ご気分は? だいぶ マシになった。 13 00:00:53,687 --> 00:01:01,295 夜中 ハワイの王… カメハムレでしたか? 実に華麗な踊りを。 14 00:01:01,295 --> 00:01:04,932 ワンダホーであった。 ワンダホーでありました。 15 00:01:04,932 --> 00:01:09,269 こう 両手を まるで 波のごとく…。 16 00:01:09,269 --> 00:01:14,107 ♬「ドンドコ ドンドコ ドンドコドン ドンドコ ドンドコ ドンドコドン」 17 00:01:14,107 --> 00:01:18,946 ♬「ドンドコ ドンドコ ドンドコドン ドンドコ ドンドコ ドンドコドン」 18 00:01:18,946 --> 00:01:23,784 ♬「ドンドンドンドン ドコドコドン ドンドコ ドコドコ ドンドコドン」 19 00:01:23,784 --> 00:01:25,819 ♬「ドコドコドコ ドコドンドコドン」 20 00:01:25,819 --> 00:01:28,288 ホワット?カムズ…。 21 00:01:28,288 --> 00:01:30,624 ホワット カムズ? 22 00:01:30,624 --> 00:01:32,559 吐く! うえっ! 23 00:01:32,559 --> 00:01:38,298 <本当は 亭主殿も 船酔いで さんざんだったとか。➡ 24 00:01:38,298 --> 00:01:43,637 同じく メリケンに向かった咸臨丸には 亭主殿と反りの合わない➡ 25 00:01:43,637 --> 00:01:48,141 天敵とでも申し上げれば よろしいのでしょうか…➡ 26 00:01:48,141 --> 00:01:52,012 勝 海舟様が 乗船しておられました> 27 00:01:52,012 --> 00:01:56,316 (勝)帰る! 私は 日本へ帰るぞ! 28 00:01:56,316 --> 00:02:00,754 <勝様は この時のことを 勇ましく おっしゃいますが➡ 29 00:02:00,754 --> 00:02:04,257 実のところ やっぱり ひどい船酔いで。➡ 30 00:02:04,257 --> 00:02:10,063 全く 殿方たちときたら 見えばかり張って…> 31 00:02:11,765 --> 00:02:17,104 (斧次郎) ユー プレセント。 ユー プレセント。 先へやること… ユー プレセント。 32 00:02:17,104 --> 00:02:19,606 ユー プレセント。 (斧次郎)ノー ノー ノー ノー。 33 00:02:19,606 --> 00:02:23,777 ユー プレセント。 ユー プレセント。 34 00:02:23,777 --> 00:02:28,281 (祐蔵)小栗様~! あっ 小栗様! 小栗様! 35 00:02:33,420 --> 00:02:37,791 アイ アイ アイ… アイ… アイアイアイ。 何だ? 36 00:02:37,791 --> 00:02:40,427 見えました! (一同)ホワット? 37 00:02:40,427 --> 00:02:45,265 シーの向こうに メリケンが見えましたのです! 38 00:02:45,265 --> 00:02:53,006 (汽笛) 39 00:02:53,006 --> 00:02:57,811 (歓声) 40 00:03:00,781 --> 00:03:02,783 (口笛) 41 00:03:02,783 --> 00:03:07,254 いや~ ビッグですなあ! 42 00:03:07,254 --> 00:03:12,759 この国と いつか 肩を並べる日も来よう…。 43 00:03:12,759 --> 00:03:16,396 到着したら まずは 貨幣の不均衡を正さねばならん。 44 00:03:16,396 --> 00:03:20,267 メリケンの海軍造船所も つぶさに視察せねば…。 45 00:03:20,267 --> 00:03:23,170 やらねばならぬことが メニー メニーよ。 46 00:03:23,170 --> 00:03:25,472 ナイス ミー チュー アメリカ! 47 00:03:27,140 --> 00:03:30,911 ♬~ 48 00:03:30,911 --> 00:03:37,818 <地球は 丸くて広い。 世界も 丸くて広い。➡ 49 00:03:37,818 --> 00:03:43,790 メリケンを訪ねたあと 世界をぐるりと 一回りしてまいった亭主殿は➡ 50 00:03:43,790 --> 00:03:47,127 そう申します。➡ 51 00:03:47,127 --> 00:03:50,430 世界が西瓜の球だとしたら➡ 52 00:03:50,430 --> 00:03:56,136 日本は 西瓜の種のように ちっぽけなもの。➡ 53 00:03:56,136 --> 00:04:01,742 されど 100年後 200年後…➡ 54 00:04:01,742 --> 00:04:07,614 西瓜の種は 芽を出し 花を咲かせ 大きな実となる。➡ 55 00:04:07,614 --> 00:04:15,088 世界に 肩を並べる国となる。 豊かで 美しい日本となる。➡ 56 00:04:15,088 --> 00:04:20,594 たとえ 我らが 野に咲く花のように 朽ち果てようとも➡ 57 00:04:20,594 --> 00:04:25,398 我らが その礎を築き上げねばならん。➡ 58 00:04:25,398 --> 00:04:33,273 我が亭主殿は これまた胸を張って そう申すのです> 59 00:04:33,273 --> 00:04:43,583 ♬~ 60 00:05:09,910 --> 00:05:12,579 これは これは お奉行様 いかがなされた? 血相を変えて。 61 00:05:12,579 --> 00:05:14,514 そこを のいてくださるか? 急いでおる。 62 00:05:14,514 --> 00:05:16,917 ロシア相手に 日夜 ご苦労なさっておるとか。 63 00:05:16,917 --> 00:05:20,253 不法に居座って 宿舎を造ったり 作物や牛を盗んだり…。 64 00:05:20,253 --> 00:05:24,925 まさに 狼藉の限り。 お奉行様の 腕の見せどころでありましょう。 65 00:05:24,925 --> 00:05:28,762 その件 なんと エゲレスが仲介に入るらしい。 66 00:05:28,762 --> 00:05:31,598 貴殿は ご存じか? さあ…。 67 00:05:31,598 --> 00:05:34,401 そもそも 対馬の領土を 狙っておったのは エゲレス。 68 00:05:34,401 --> 00:05:37,604 ムジナにムジナを追い払うよう頼むとは 話にならん。 69 00:05:37,604 --> 00:05:39,539 毒を以て 毒を制す。 70 00:05:39,539 --> 00:05:41,942 かように ご老中は お考えになったんでありましょうな。 71 00:05:41,942 --> 00:05:46,780 ご老中の お考えではなかろう。 あまりに 幼稚で安易。 72 00:05:46,780 --> 00:05:49,416 誰かは知らぬが 対馬を幕府直轄領とし➡ 73 00:05:49,416 --> 00:05:51,952 強力な軍艦を備え 列強に相対そうと➡ 74 00:05:51,952 --> 00:05:53,987 少しは 知恵が回らぬものか。 75 00:05:53,987 --> 00:05:57,123 これだから 頭のよいお方は困る。 76 00:05:57,123 --> 00:06:00,894 幕府が持っておるのは 咸臨丸ほか たったの4隻。 77 00:06:00,894 --> 00:06:04,731 それで外国と対峙しようってんですかい? ムチャですな それは。 78 00:06:04,731 --> 00:06:07,634 それゆえ 前々から 江戸近くに 造船所を造り➡ 79 00:06:07,634 --> 00:06:10,370 大型軍艦の国産化を図るべしと 提案しておる。 80 00:06:10,370 --> 00:06:13,073 ああ 貴殿の あの遠大なお考え…➡ 81 00:06:13,073 --> 00:06:17,244 あれはまあ 200年 300年は かかりましょう。 82 00:06:17,244 --> 00:06:20,247 我が国が 列強と肩を並べ 世界に向かって 羽ばたくためにも➡ 83 00:06:20,247 --> 00:06:22,582 造船所は 是が非でも必要であろう! らちもねえ。 84 00:06:22,582 --> 00:06:25,619 だから 大風呂敷 広げたって 話は進まないんでさ。 85 00:06:25,619 --> 00:06:28,255 分からないんですか! (部屋坊主)あの…➡ 86 00:06:28,255 --> 00:06:33,960 廊下では お静かにと ご老中が おっしゃっております。 87 00:06:38,265 --> 00:06:43,937 我が国の毅然たる態度を示さずして いかがいたしましょう。 88 00:06:43,937 --> 00:06:48,775 そのような及び腰では 足元を見られるだけであります。 89 00:06:48,775 --> 00:06:55,115 そこまで言うからには 覚悟があるのだろうな。 90 00:06:55,115 --> 00:06:59,953 ご老中の お返事いかんでは…➡ 91 00:06:59,953 --> 00:07:02,756 辞職も…。 92 00:07:04,791 --> 00:07:11,564 勝に 手柄を奪われて それほど 口惜しいか。 93 00:07:11,564 --> 00:07:13,900 自分のために 意見しておるわけではございませぬ。 94 00:07:13,900 --> 00:07:17,570 幕府のためを思い…。 下がりおれ! 聞く耳 持たぬ。 95 00:07:17,570 --> 00:07:21,741 ご老中! 下がれと言っておるのだ! 96 00:07:21,741 --> 00:07:30,250 ♬~ 97 00:07:34,254 --> 00:07:39,759 (英語学習の声) 98 00:07:39,759 --> 00:07:43,396 (祐蔵)アース。 (一同)アース。 99 00:07:43,396 --> 00:07:46,299 (祐蔵)アース。 (一同)アース。 100 00:07:46,299 --> 00:07:48,268 アース。 101 00:07:48,268 --> 00:07:56,409 シップ。(一同)シップ。 シップ。シップ。 102 00:07:56,409 --> 00:08:01,214 (藤七)ライト ライト。 あ~ ちっとめ レフト レフト。 103 00:08:01,214 --> 00:08:03,717 オーケー オーケー。 104 00:08:03,717 --> 00:08:07,887 毎年 フロム 権田村から サンキュー ミスター藤七。 105 00:08:07,887 --> 00:08:10,557 ユー アー ウェルカム ミスター小栗様。 106 00:08:10,557 --> 00:08:13,360 村の若え衆が ちゃんと やってるかどうか➡ 107 00:08:13,360 --> 00:08:16,062 この目で 確かめませんと。 108 00:08:16,062 --> 00:08:18,098 文をよこすであろう? 109 00:08:18,098 --> 00:08:21,868 文なんぞは いくらだって ウソを書けます。 110 00:08:21,868 --> 00:08:24,571 私なんざは 何通も女子に…。 111 00:08:24,571 --> 00:08:27,607 さぞかし 藤七殿に泣かされた女子衆は➡ 112 00:08:27,607 --> 00:08:32,312 たくさん おられるのでしょうね。 ベリー ヤングの頃は それは もう…。 113 00:08:32,312 --> 00:08:35,749 女子を かき分けるための棒を持って 歩いておりました。 114 00:08:35,749 --> 00:08:38,585 かき分けても かき分けても➡ 115 00:08:38,585 --> 00:08:42,088 次から次へと ガールズが押し寄せまして➡ 116 00:08:42,088 --> 00:08:46,393 それは それはもう 大変…。 117 00:08:46,393 --> 00:08:50,930 (国子)皆様 ご苦労さまです。 118 00:08:50,930 --> 00:08:56,603 向こうに 酒と肴を用意してあります。 一杯やってくださいな。 119 00:08:56,603 --> 00:08:59,406 サンキュー サー。 (一同)サンキュー サー。 120 00:08:59,406 --> 00:09:04,043 上州群馬郡から参ると 江戸は ムッとしましょう? 121 00:09:04,043 --> 00:09:06,946 はい こたえます この暑さは。 122 00:09:06,946 --> 00:09:11,351 我が家で学んで 権田村に帰った者たちは? 123 00:09:11,351 --> 00:09:14,721 藤七。 元気でありましょうか? 124 00:09:14,721 --> 00:09:20,059 はい。 先頭を切って 村のことを考える者もおりゃ➡ 125 00:09:20,059 --> 00:09:22,562 江戸に上がったことを鼻にかけて➡ 126 00:09:22,562 --> 00:09:25,598 野良仕事を ほったらかしにするバカ者も…。 127 00:09:25,598 --> 00:09:28,067 何とも 歯がゆうございます。 128 00:09:28,067 --> 00:09:32,372 みんな 私にとっては 子か孫のようなもの。 129 00:09:32,372 --> 00:09:36,576 権田村は 先祖代々 小栗家の知行地。 130 00:09:36,576 --> 00:09:39,379 藤七殿は 不満かもしれませぬが➡ 131 00:09:39,379 --> 00:09:44,083 これからも 若い者を呼び寄せるつもりです。 132 00:09:44,083 --> 00:09:47,754 そうでありますね? おっしゃるとおりで。 133 00:09:47,754 --> 00:09:54,093 ベリー サンクス…。 かたじけのうございます。 134 00:09:54,093 --> 00:09:58,264 本日は お早い お帰りで。 135 00:09:58,264 --> 00:10:02,769 ♬~ 136 00:10:02,769 --> 00:10:06,639 何を笑うておる? 137 00:10:06,639 --> 00:10:09,542 また 何か ございましたんでしょう? 138 00:10:09,542 --> 00:10:14,481 お顔に そう書いてあります。 すぐに分かりますよ。 139 00:10:14,481 --> 00:10:22,422 どうぞ おっしゃってくださいまし。 さっさと白状なさい。 140 00:10:22,422 --> 00:10:26,125 奉行を…➡ 141 00:10:26,125 --> 00:10:29,028 辞めてまいった。 142 00:10:29,028 --> 00:10:34,634 さようでございますか。 やっぱりですか。 143 00:10:34,634 --> 00:10:38,438 やっぱりとは 何ですか。 やっぱりとは 母上。 144 00:10:38,438 --> 00:10:42,809 お前が しょっちゅう お役を 辞めたり 辞めさせられたりするから➡ 145 00:10:42,809 --> 00:10:46,646 世間では 何と噂しているか 知っておりますか? 146 00:10:46,646 --> 00:10:50,517 「またも 小栗の一刻者」と 笑うておるのでしょ。 知っております。 147 00:10:50,517 --> 00:10:53,319 しかれど 徳川を思うて 直言するのであります。 148 00:10:53,319 --> 00:10:55,255 忠義の心から言うておるのです。 149 00:10:55,255 --> 00:10:58,992 それを 「一刻者よ」「短気者よ」と そしるのは 気に入りませぬ。 150 00:10:58,992 --> 00:11:02,862 不本意です。 見事に 的を射てます。 151 00:11:02,862 --> 00:11:04,797 どこがだ? 152 00:11:04,797 --> 00:11:08,601 ほら そうやって すぐに頭に血が上って…。 153 00:11:08,601 --> 00:11:13,273 お前の その一刻が 一刻も早く直るよう➡ 154 00:11:13,273 --> 00:11:16,476 短冊に書いておきましょ。 155 00:11:18,111 --> 00:11:20,113 (ため息) 156 00:11:23,783 --> 00:11:27,287 ご機嫌を お直しくださいませ。 157 00:11:27,287 --> 00:11:31,157 旦那様が 幕府のことを 一番 心配しておられるのを➡ 158 00:11:31,157 --> 00:11:33,626 まっすぐなお方であるのを➡ 159 00:11:33,626 --> 00:11:37,797 この お道が ちゃんと心得ております。 160 00:11:37,797 --> 00:11:41,134 旦那様が 奉行に任ぜられて 八月…➡ 161 00:11:41,134 --> 00:11:45,805 この度は よくもちました。 162 00:11:45,805 --> 00:11:50,443 ご苦労さまでございました。 163 00:11:50,443 --> 00:11:56,749 褒めておるのか? それは…。 フフフッ。 164 00:11:58,318 --> 00:12:03,122 <開国か それとも 異人を追い払うのか➡ 165 00:12:03,122 --> 00:12:08,261 江戸は 激しく揺れ動いておりました。➡ 166 00:12:08,261 --> 00:12:10,763 大老の井伊直弼様が殺され➡ 167 00:12:10,763 --> 00:12:14,400 次に ご老中 安藤様が襲われ➡ 168 00:12:14,400 --> 00:12:18,271 皮肉なことに それを機に 旦那様は また➡ 169 00:12:18,271 --> 00:12:21,608 お役を仰せつけられたのです> 170 00:12:21,608 --> 00:12:28,948 いいですね? 今度こそ 言わざる 言わざる 言わざる。 171 00:12:28,948 --> 00:12:32,285 何があっても 口を出さない。 172 00:12:32,285 --> 00:12:34,954 分かりましたね? 173 00:12:34,954 --> 00:12:37,423 はいはい 分かっております。 174 00:12:37,423 --> 00:12:41,127 かような弱腰の幕府に ほとほと 愛想が尽きました。 175 00:12:41,127 --> 00:12:43,796 おい そのようなこと 口にするでない。 176 00:12:43,796 --> 00:12:45,832 なぜ 朝廷に はっきりと 物申さないのですか? 177 00:12:45,832 --> 00:12:49,435 幕府の沽券に関わりましょう! その… つまりだ…➡ 178 00:12:49,435 --> 00:12:52,639 征夷大将軍を任ずるのが…。 征夷大将軍など➡ 179 00:12:52,639 --> 00:12:54,574 カビが生えております。 だから➡ 180 00:12:54,574 --> 00:12:56,809 そのようなことを申すでない! もう我慢なりませぬ! 181 00:12:56,809 --> 00:12:59,712 上野介! 辞めさせていただきます! 182 00:12:59,712 --> 00:13:04,617 好きにしろ! この一刻者めが!御免! 183 00:13:04,617 --> 00:13:12,925 ♬~ 184 00:13:12,925 --> 00:13:14,861 殿! 185 00:13:14,861 --> 00:13:25,405 ♬~ 186 00:13:25,405 --> 00:13:31,911 またですかね? これは。 またですね これは。 187 00:13:39,919 --> 00:13:47,293 この海の向こう… はるかかなたに メリケンはあるのですね。 188 00:13:47,293 --> 00:13:52,432 世界は 丸くて広い。 攘夷など バカげた話よ。 189 00:13:52,432 --> 00:13:56,135 この広い海岸の全てに 柵が立てられるものか。 190 00:13:56,135 --> 00:13:59,639 風が 心地よいこと。 191 00:13:59,639 --> 00:14:03,509 いっそ このまま ずっと 無役でいてくださいまし。 192 00:14:03,509 --> 00:14:10,083 毎日 のんびり過ごせます。 フフフ…。 193 00:14:10,083 --> 00:14:12,585 私が 勘定奉行を辞した その日に➡ 194 00:14:12,585 --> 00:14:17,590 勝は 神戸海軍操練所の設立を 許されたそうだ。 195 00:14:23,096 --> 00:14:31,270 小栗が沈めば 勝が浮かぶ… 勝が転べば 小栗が立つ…。 196 00:14:31,270 --> 00:14:35,274 これからも 何かにつけて 争う気がしてならん。 197 00:14:35,274 --> 00:14:37,410 実のところ…➡ 198 00:14:37,410 --> 00:14:41,948 一番 気にかけてらっしゃるので ございましょう? 199 00:14:41,948 --> 00:14:43,883 開国という点で 話が合うかもしれぬ。 200 00:14:43,883 --> 00:14:46,786 しかし どうも 勝は心許せぬ。 201 00:14:46,786 --> 00:14:51,958 向こうも 私のことを 家柄だけが取り柄の 気まぐれ者と見ておるに違いない。 202 00:14:51,958 --> 00:14:57,263 一度 きちんと お話しなされば よいではないですか。 203 00:14:58,831 --> 00:15:04,370 ほんに 殿方は 難しうございますね。 204 00:15:04,370 --> 00:15:08,741 あっ 来ました 来ました! そっと引け そっと。 糸が切れる! 205 00:15:08,741 --> 00:15:12,578 引いてます 引いてます! これは 大物です! 206 00:15:12,578 --> 00:15:17,250 旦那様 お手伝いくださいまし! 早く!慌てるでない! 207 00:15:17,250 --> 00:15:21,087 そっと そっと! 早く! あっ そこに魚の顔が! 208 00:15:21,087 --> 00:15:23,022 魚の顔が! そっと…。 209 00:15:23,022 --> 00:15:25,024 あ~っ! あ~っ! 210 00:15:28,394 --> 00:15:33,099 だから 言ったであろう! そっと引けと!ハハハハッ! 211 00:15:33,099 --> 00:15:36,602 何を笑うておる! 212 00:15:36,602 --> 00:15:43,476 魚が… アハハハッ 逃げた魚が➡ 213 00:15:43,476 --> 00:15:49,282 旦那様そっくりの あばた顔でございました。 214 00:15:49,282 --> 00:15:57,890 (笑い声) 215 00:15:57,890 --> 00:16:01,227 そちには かなわぬ。 (祐蔵)小栗様! 奥様!➡ 216 00:16:01,227 --> 00:16:03,229 ご無事でございますか!? 217 00:16:03,229 --> 00:16:05,531 ご無事でございますか!? お前は 大丈夫か? 218 00:16:22,915 --> 00:16:31,591 この度は 勝様の軍艦奉行ご昇進 おめでとうございます。 219 00:16:31,591 --> 00:16:36,395 あんな唐変木に 気ぃ遣ってもらわなくたって。 220 00:16:36,395 --> 00:16:42,201 まあ カステーラですか! 遠慮なく頂戴いたします。 221 00:16:42,201 --> 00:16:47,139 何せ うちは ガキだの 居候だのが たんといて…。 222 00:16:47,139 --> 00:16:49,642 お孝! 223 00:16:53,613 --> 00:16:57,483 ご挨拶は? (孝)いらっしゃいませ。 224 00:16:57,483 --> 00:17:01,220 ちゃんと 頭を下げる。➡ 225 00:17:01,220 --> 00:17:05,224 みんなで 分けるんだよ。 分かってるね? 226 00:17:06,893 --> 00:17:13,065 まだいるんですよ。 貧乏の子だくさん。 嫌んなる。 227 00:17:13,065 --> 00:17:15,368 仲むつまじい証拠では ありませぬか。 228 00:17:15,368 --> 00:17:23,175 どうですか…。 子どもができる度 夫婦仲は冷めてきますよ。 229 00:17:24,911 --> 00:17:30,082 そんなお顔なさらないでくださいまし。 嫌ですよ~。 230 00:17:30,082 --> 00:17:35,254 すみません。 私は その… 子どもを産んでおりませんので➡ 231 00:17:35,254 --> 00:17:40,092 そんなものかと…。 ご養子は? 232 00:17:40,092 --> 00:17:42,762 おもらいになったりする気は ないんですか? 233 00:17:42,762 --> 00:17:47,099 旦那様が嫌がるのです。 234 00:17:47,099 --> 00:17:53,773 お二人 仲良く暮らしていけるんなら それでいいじゃござんせんか。 235 00:17:53,773 --> 00:18:03,215 ここだけの話 あたしゃ 死んだら 勝と同じ墓に入らないつもりです。 236 00:18:03,215 --> 00:18:11,090 ハハハハッ… 冗談ですってば。 237 00:18:11,090 --> 00:18:15,728 ほんとに 正直に お顔に出るんですねえ。 238 00:18:15,728 --> 00:18:19,532 お恥ずかしい…。 申し訳ありません。 239 00:18:21,901 --> 00:18:27,707 そうそう 先日 小栗様を お見かけしました… 馬に乗った。 240 00:18:27,707 --> 00:18:33,379 まあ 近くで見ましたら 小栗様 随分な あばた面で…。 241 00:18:33,379 --> 00:18:35,915 けど… けどですね➡ 242 00:18:35,915 --> 00:18:41,587 とっても お優しそうなお顔だって 言いたいんですよ あたしゃ。 243 00:18:41,587 --> 00:18:47,093 子どもの頃 疱瘡で あのようになったと申しておりました。 244 00:18:47,093 --> 00:18:51,931 医者にも見放されたのが 命を取り留めて…。 245 00:18:51,931 --> 00:18:57,803 大病を克服した印であると 本人は 誇らしげに…。 246 00:18:57,803 --> 00:19:02,041 何でも自慢したがる お人ではありますけれども…。 247 00:19:02,041 --> 00:19:04,944 勝と そっくり。 248 00:19:04,944 --> 00:19:08,814 (笑い声) 249 00:19:08,814 --> 00:19:13,753 小栗様 ほんとに お優しそうで…。 250 00:19:13,753 --> 00:19:17,223 2人で あれこれ お話ししたり➡ 251 00:19:17,223 --> 00:19:21,093 どっかへ 遊びに行ったり なさるんでござんしょ? 252 00:19:21,093 --> 00:19:24,897 あたしなんぞ どっこも…。 253 00:19:24,897 --> 00:19:27,733 勝は 表じゃ ベラベラしゃべるらしいんですけど➡ 254 00:19:27,733 --> 00:19:35,241 うちん中じゃ 「飯」とか「湯」とか 必要なことしか…。 255 00:19:35,241 --> 00:19:44,750 はあっ 深川で 芸者見習やってた頃より 朝から晩まで 働きずくめ…。 256 00:19:44,750 --> 00:19:52,458 はあっ 大勢の人に囲まれてたって 寂しいもんは 寂しいもんですよ。 257 00:20:26,792 --> 00:20:30,129 見て見ぬふりをするのが 粋ってもんじゃないですか。 258 00:20:30,129 --> 00:20:32,798 今 お宅を お訪ねいたしました。 259 00:20:32,798 --> 00:20:35,301 お祝いを申し上げに。 それは それは。 260 00:20:35,301 --> 00:20:37,803 軍艦奉行ともあろうお方が このような所で…。 261 00:20:37,803 --> 00:20:41,507 無理に押さえつけようたって こればっかりは どうも…。 262 00:20:46,145 --> 00:20:48,447 何ですか!? お離しください! 263 00:20:48,447 --> 00:20:53,652 ご存じで。 生まれ育ちが違っても やることは 一つでさ。 264 00:20:53,652 --> 00:20:56,555 (糸)勝様! 265 00:20:56,555 --> 00:21:02,261 ハハハハッ…。 頬を赤らめてるのが 何とも初々しい。下劣です! 266 00:21:02,261 --> 00:21:08,400 ハハハハッ…。 今度 2人で ゆっくり 話を お聞かせくださいませ! 267 00:21:08,400 --> 00:21:11,270 ハハハハッ…。 268 00:21:11,270 --> 00:21:21,413 ♬~(三味線) 269 00:21:21,413 --> 00:21:25,284 (栗本)お~ 飲め 飲め 飲め! 飲みが足らんぞ。ぬしも。 270 00:21:25,284 --> 00:21:30,790 (栗本)ああ ついでくれ。 かたじけない。➡ 271 00:21:30,790 --> 00:21:35,427 カションは 箱館で 宣教師をしておったのだ。 272 00:21:35,427 --> 00:21:37,963 愛しい女子を両手で抱くには➡ 273 00:21:37,963 --> 00:21:40,633 どうしても「聖書」がつっかえて…。 274 00:21:40,633 --> 00:21:43,435 違いますね。 野に下って➡ 275 00:21:43,435 --> 00:21:46,138 神の教え 広めていますね。 276 00:21:46,138 --> 00:21:49,441 私は お梶を➡ 277 00:21:49,441 --> 00:21:51,510 ジュテームでござるよ。 278 00:21:51,510 --> 00:21:54,013 (お梶)ボナペティ。 279 00:21:55,814 --> 00:21:59,151 ハハハハッ…。 280 00:21:59,151 --> 00:22:04,123 カションが フランス公使 ロッシュ殿の 通弁官となったのは 私のおかげよ。 281 00:22:04,123 --> 00:22:06,759 私が カションに日本語を教えたのだ。 282 00:22:06,759 --> 00:22:09,795 代わりに ムッシュー栗本に フランス語を教えたでござるね。 283 00:22:09,795 --> 00:22:12,932 うるさい このど助平が! ハハハハハッ! 284 00:22:12,932 --> 00:22:18,604 どこで どう つながるか 分からんものだ。お主と私もな。 285 00:22:18,604 --> 00:22:22,408 昌平坂の学問所で 机を並べておった お主と私が➡ 286 00:22:22,408 --> 00:22:26,278 う余曲折あれど…。 ありすぎるであろう お主は。 287 00:22:26,278 --> 00:22:29,782 医者を辞めたり 蝦夷に行ったり 武士になったり…。 288 00:22:29,782 --> 00:22:33,285 せわしのうて かなわん。 コロコロ辞めおる お主が言えるか。 289 00:22:33,285 --> 00:22:37,156 私は 今は 無役の身。 さっぱりしたものよ。 290 00:22:37,156 --> 00:22:42,962 近々 声がかかるに決まっておる。 お主も 内心 そう思っておろう。 291 00:22:42,962 --> 00:22:45,864 帝が 長州征伐の詔勅を発したからには➡ 292 00:22:45,864 --> 00:22:48,834 大坂の陣以来の 大がかりな兵力動員となる。 293 00:22:48,834 --> 00:22:51,637 そうなれば 金を集め 策を練り➡ 294 00:22:51,637 --> 00:22:54,974 それを実施できるのは お主のほかに 誰がおる。 295 00:22:54,974 --> 00:22:57,309 長州征伐に使う金があるのなら➡ 296 00:22:57,309 --> 00:23:00,246 造船所建設に 金を使ってもらいたいもの…。 297 00:23:00,246 --> 00:23:03,249 その方が どれだけ 日本の未来にとって 有意義か…。 298 00:23:03,249 --> 00:23:06,385 ああ もう そういう話は もう やめやめ。 299 00:23:06,385 --> 00:23:09,688 久しぶりの再会だ。 飲め 飲め。 300 00:23:11,257 --> 00:23:13,926 造船所を造るとしたら➡ 301 00:23:13,926 --> 00:23:18,097 手を結ぶのは やはり オランダでござるか? 302 00:23:18,097 --> 00:23:20,032 フランスも 興味はござるか? 303 00:23:20,032 --> 00:23:23,402 だから そういう話は もう やめやめ。 304 00:23:23,402 --> 00:23:29,108 お姐さん方 次は パ~ッと明るいやつ 頼むよ! 305 00:23:29,108 --> 00:23:32,778 ♬~ 306 00:23:32,778 --> 00:23:37,116 フランスは 日本の生糸を 独り占めしたいのでござる。 307 00:23:37,116 --> 00:23:41,620 蚕の病気で 絹が とっても 不足しておるのでござるよ。 308 00:23:43,989 --> 00:23:47,760 ♬~ 309 00:23:47,760 --> 00:23:50,663 気付いておるか? 一人二人ではないな。 310 00:23:50,663 --> 00:23:54,533 振り向くでない。 私で… ござるか? 311 00:23:54,533 --> 00:23:59,738 私も 栗本も 開国派。 誰が狙われても おかしくはない。 312 00:24:01,307 --> 00:24:05,077 ここは とにかく逃げるとしよう。 313 00:24:05,077 --> 00:24:07,012 そうしよう。 合点。 314 00:24:07,012 --> 00:24:09,948 いち にの さんで 三方に分かれる。 315 00:24:09,948 --> 00:24:12,251 よいな? うむ。 316 00:24:14,586 --> 00:24:17,623 いち にの さん! 317 00:24:17,623 --> 00:24:26,765 ♬~ 318 00:24:26,765 --> 00:24:29,401 別々でござる! 319 00:24:29,401 --> 00:24:48,087 ♬~ 320 00:24:57,496 --> 00:25:04,236 養子のこと 真剣に お考えくださいまし。 321 00:25:04,236 --> 00:25:09,375 旦那様。 授かるまで待てばよいではないか。 322 00:25:09,375 --> 00:25:12,077 何を そんな急に。 危ない目に遭ったのは➡ 323 00:25:12,077 --> 00:25:18,384 これが初めてというわけでは…。 もう何度も。 気が気でなりませぬ。 324 00:25:18,384 --> 00:25:22,921 旦那様に 万が一のことがあったら どうするのです? 325 00:25:22,921 --> 00:25:27,092 お家 お取り潰しの憂き目に 遭うかもしれないのですよ。 326 00:25:27,092 --> 00:25:32,264 ちゃんと聞いてくださいまし。 旦那様で 小栗家が絶えたなら➡ 327 00:25:32,264 --> 00:25:34,767 ご先祖様に 何と おわびすればよいのです? 328 00:25:34,767 --> 00:25:39,104 死んだ先祖が 文句を言うはずなかろう。 329 00:25:39,104 --> 00:25:42,975 それなら…➡ 330 00:25:42,975 --> 00:25:46,779 側女を おつくりください。 331 00:25:46,779 --> 00:25:51,650 私なら 一向に気にしません。 そうしてください。 332 00:25:51,650 --> 00:25:56,488 家を守るために 情がなくとも 側女を迎え入れよというのか? 333 00:25:56,488 --> 00:26:00,225 情など… いくらでも 後から湧くものです。 334 00:26:00,225 --> 00:26:07,366 現に 勝様だって 奥様以外に たくさん 女の方を…。 335 00:26:07,366 --> 00:26:11,070 そちは 私に 勝のようであってほしいのか? 336 00:26:11,070 --> 00:26:13,906 女を 人として扱っておらんと 嫌っておったではないか。 337 00:26:13,906 --> 00:26:18,777 旦那様が 男として ふがいないと 思われるのが 嫌なのです。 338 00:26:18,777 --> 00:26:21,780 そちも 私を… ふ ふがいないと 思ってお… おるのか!? 339 00:26:21,780 --> 00:26:26,385 私は 別に…。 ならば とやかく申すな! 340 00:26:26,385 --> 00:26:30,255 勝様のこととなると 何故そのように むきになられるのですか? 341 00:26:30,255 --> 00:26:32,758 むきになど なっておらん! 342 00:26:32,758 --> 00:26:36,395 世間様から ふがいないと見られるのが 嫌だと申しておるのです! 343 00:26:36,395 --> 00:26:39,932 世間の目を気にして 自分を曲げることが 私の一番嫌うところ。 知っておろう! 344 00:26:39,932 --> 00:26:43,402 大きな声を出さないでくださいまし! そちもだ! 345 00:26:43,402 --> 00:26:47,105 私は どうしても 子どもが欲しいんです! 346 00:26:50,776 --> 00:26:59,418 欲しいんです。 ただ それだけです…。 347 00:26:59,418 --> 00:27:14,366 ♬~ 348 00:27:14,366 --> 00:27:22,741 子をなすだけが 男の仕事でも 女の仕事でもなかろう…。 349 00:27:22,741 --> 00:27:37,089 ♬~ 350 00:27:37,089 --> 00:27:39,758 <栗本様のお言葉どおり➡ 351 00:27:39,758 --> 00:27:43,762 旦那様は 3度目の勘定奉行に仰せつけられ…> 352 00:27:47,399 --> 00:27:49,468 <長州征伐という➡ 353 00:27:49,468 --> 00:27:53,605 幕府の土台を揺るがしかねない大事件を 横目に➡ 354 00:27:53,605 --> 00:27:59,778 旦那様は 造船所を造るために 駆けずり回っていたのです> 355 00:27:59,778 --> 00:28:05,050 ♬~ 356 00:28:05,050 --> 00:28:07,719 喜んでください ムッシュー小栗!➡ 357 00:28:07,719 --> 00:28:13,358 この横須賀湾は 造船所を造るのに ぴったり! 358 00:28:13,358 --> 00:28:16,061 すばらしい深さでござる! 359 00:28:16,061 --> 00:28:17,996 ようございましたな 殿! 360 00:28:17,996 --> 00:28:20,732 やった! やった!やった!➡ 361 00:28:20,732 --> 00:28:25,571 やった! ハハハッ よかった! 362 00:28:25,571 --> 00:28:30,909 いかほどの金子を要するものなのじゃ その造船所建設には。 363 00:28:30,909 --> 00:28:36,715 恐らく… 500万両から600万両。 あっ。 364 00:28:36,715 --> 00:28:41,620 勘定奉行ならば 幕府の収入が どれほどか 分かっておるはず。 365 00:28:41,620 --> 00:28:44,256 長州征伐を 3度 4度 やったと思えば➡ 366 00:28:44,256 --> 00:28:46,258 造船所は 未来永ごう 残るのですから➡ 367 00:28:46,258 --> 00:28:48,760 安いものです。 あきれて 物も言えん。 368 00:28:48,760 --> 00:28:53,098 今 オランダに発注している軍艦の値を ご存じですか? ご老中。 369 00:28:53,098 --> 00:28:55,801 なんと 30万両もいたす。 370 00:28:57,769 --> 00:29:02,341 もし 我が国に しかるべき造船所があれば その半分で済みましょう。 371 00:29:02,341 --> 00:29:06,211 今の幕府に そのような巨費を 賄う力があると思うか? 372 00:29:06,211 --> 00:29:10,082 どうやって 金を捻出するんだ? 金は 後から ついてくるもの。 373 00:29:10,082 --> 00:29:13,085 そう思いませんと 勘定奉行など 一日たりとて務まりませぬ。 374 00:29:13,085 --> 00:29:15,921 お主は 嫌なら すぐに 辞めおるではないか。 375 00:29:15,921 --> 00:29:24,062 (笑い声) 376 00:29:24,062 --> 00:29:26,365 失礼いたします。 377 00:29:26,365 --> 00:29:30,235 秘密の寄り合いというのに 和やかでございますね。 378 00:29:30,235 --> 00:29:36,375 奥方 この一刻者は どこからか 玉手箱を取り出し➡ 379 00:29:36,375 --> 00:29:39,077 いつも いつも 煙に巻こうとする。 380 00:29:39,077 --> 00:29:43,749 開けてはならぬと思いながら つい…。 381 00:29:43,749 --> 00:29:46,385 しからば ご承知いただいたので? 382 00:29:46,385 --> 00:29:51,757 うむ。 ほかの老中の意見も 聞いてみることにいたそう。 383 00:29:51,757 --> 00:29:56,261 これで 祝いましょう! フランス公使 ロッシュ殿から頂戴した。 384 00:29:56,261 --> 00:30:00,132 おい まだ 何も決まってはおらんぞ。 ほんに 気の早い。 385 00:30:00,132 --> 00:30:04,002 先に祝っておけば 夢も かなうというもの。 386 00:30:04,002 --> 00:30:06,905 何か おめでたいことでも? よく聞け お道。 387 00:30:06,905 --> 00:30:09,408 今夜 ここで 我らが話したことが実現すれば➡ 388 00:30:09,408 --> 00:30:12,611 ずっと 私が話しておった 夢に描いておった造船所が➡ 389 00:30:12,611 --> 00:30:14,546 この日本に 出来上がるのだ。 390 00:30:14,546 --> 00:30:16,948 だから まだ 何も決まってはおらん。 391 00:30:16,948 --> 00:30:19,985 考えてもごらんください。 我が国に 造船所が出来上がり➡ 392 00:30:19,985 --> 00:30:24,122 その造船所で造り上げた船が 世界に向かって 羽ばたいていくのです。 393 00:30:24,122 --> 00:30:27,993 怒濤のパシフィックオーシャンを渡り アトランティックオーシャンを越え➡ 394 00:30:27,993 --> 00:30:31,430 広くて丸い世界を 一回りも できましょう。 395 00:30:31,430 --> 00:30:36,635 こんなに すばらしく めでたいことがございましょうか! 396 00:30:36,635 --> 00:30:39,137 さ さ 乾杯いたしましょう! 397 00:30:39,137 --> 00:30:41,807 <その年の冬の初め➡ 398 00:30:41,807 --> 00:30:45,677 造船所の建設を進めることが 正式に決められ➡ 399 00:30:45,677 --> 00:30:52,150 旦那様にとって すばらしい冬となりました。➡ 400 00:30:52,150 --> 00:30:54,086 一方 勝様は➡ 401 00:30:54,086 --> 00:30:59,825 坂本龍馬ほか 浪人たちを集めて 不穏な動きをしたと とがめられ➡ 402 00:30:59,825 --> 00:31:02,728 軍艦奉行を辞めさせられ➡ 403 00:31:02,728 --> 00:31:08,400 屋敷から出ることも許されぬ 厳しい扱いを受け…> 404 00:31:08,400 --> 00:31:12,104 笑ちょっと。 似ちょるか。 405 00:31:12,104 --> 00:31:23,115 ♬~ 406 00:31:23,115 --> 00:31:27,786 休んでくださいな! あん餅が出来ましたよ! 407 00:31:27,786 --> 00:31:34,426 ♬~ 408 00:31:34,426 --> 00:31:39,798 <そして 旦那様の途方もない大きな夢は➡ 409 00:31:39,798 --> 00:31:42,701 一歩一歩 実現に近づき➡ 410 00:31:42,701 --> 00:31:47,539 造船技師のヴェルニー様が 呼び寄せられたのです> 411 00:31:47,539 --> 00:31:52,978 5万5,000坪であります。 (ヴェルニー)完成4年。➡ 412 00:31:52,978 --> 00:31:58,984 次 これ 見てください。 ドック…。 413 00:32:01,386 --> 00:32:05,757 (カション)船を造ったり 修理したりする場所でござる。 414 00:32:05,757 --> 00:32:10,095 (フランス語) 415 00:32:10,095 --> 00:32:12,998 小さいドックは 5,000トン。 416 00:32:12,998 --> 00:32:15,400 (フランス語) 417 00:32:15,400 --> 00:32:19,771 (カション)大きいドックは 2万トンの船を入れるでござる。 418 00:32:19,771 --> 00:32:21,773 (感嘆の声) 419 00:32:30,115 --> 00:32:34,953 今夜は 夜を徹するかもしれぬ。 420 00:32:34,953 --> 00:32:40,425 来年の1月には いよいよ 造船所が…。 421 00:32:40,425 --> 00:32:44,129 その約定書に ロッシュ殿が オーケーを出せば➡ 422 00:32:44,129 --> 00:32:50,435 フランスと力を合わせ 建設に向けて 走りだすこととなる。 423 00:32:50,435 --> 00:32:53,805 東洋一の規模であるぞ。 424 00:32:53,805 --> 00:32:57,142 随分 遠くにあると思っていた夢が➡ 425 00:32:57,142 --> 00:32:59,444 もう そこに…➡ 426 00:32:59,444 --> 00:33:04,249 手の届くところに参ったのですね。 427 00:33:04,249 --> 00:33:08,086 なぜ 浮かぬ顔をしておる? 428 00:33:08,086 --> 00:33:12,958 大いに喜ぶべきことではないか。 429 00:33:12,958 --> 00:33:19,097 旦那様が 大きなお仕事をなされば なさるほど…➡ 430 00:33:19,097 --> 00:33:25,770 それを受け継ぐ 小栗の家を継ぐ者がいないことが➡ 431 00:33:25,770 --> 00:33:28,473 気がかりで…。 432 00:33:30,408 --> 00:33:36,781 旦那様は それだけが女の仕事ではないと おっしゃってくださいます。 433 00:33:36,781 --> 00:33:41,419 ですけど…➡ 434 00:33:41,419 --> 00:33:46,791 ですけど やっぱり つろうございます。 435 00:33:46,791 --> 00:34:00,138 ♬~ 436 00:34:00,138 --> 00:34:03,375 随分 積もりそうだ。 437 00:34:03,375 --> 00:34:09,381 お道 表に出てみよ。 438 00:34:12,584 --> 00:34:18,390 辺り一面 真っ白…。 439 00:34:18,390 --> 00:34:27,933 しんとして 雪の降る音しか聞こえぬ。 440 00:34:27,933 --> 00:34:31,736 まるで 誰もおらぬかのようだ。 441 00:34:35,674 --> 00:34:44,115 ここが 丸くて 広い世界だとすると➡ 442 00:34:44,115 --> 00:34:52,824 この丸くて広い世界で そちと私は 出会ったのだ。 443 00:34:55,126 --> 00:34:59,798 私は それで十分だ。 444 00:34:59,798 --> 00:35:02,801 何も不満などない。 445 00:35:08,073 --> 00:35:10,742 そうであろう。 446 00:35:10,742 --> 00:36:06,731 ♬~ 447 00:36:08,366 --> 00:36:12,070 <旦那様が夜を徹して考えられた 約定書は➡ 448 00:36:12,070 --> 00:36:17,375 ロッシュ様の同意を得て 早速 フランスに届けられました。➡ 449 00:36:17,375 --> 00:36:19,310 けれども…> 450 00:36:19,310 --> 00:36:23,248 (板倉)日本中を 敵に回すつもりか? 451 00:36:23,248 --> 00:36:28,753 4年後 造船所が出来上がった暁には 幕府の宝となります。 452 00:36:28,753 --> 00:36:32,390 (板倉)船が造れるのには 更に 2~3年かかるではないか! 453 00:36:32,390 --> 00:36:35,093 (一同)そうじゃ! さような悠長なことが➡ 454 00:36:35,093 --> 00:36:37,128 許されるとでも思うておるのか! 455 00:36:37,128 --> 00:36:41,766 即刻 罷免すべし! フランスに たぶらかされよって! 456 00:36:41,766 --> 00:36:47,105 (水野)幕府の命運が懸かった 大事業であるからして➡ 457 00:36:47,105 --> 00:36:52,410 反対の声が上がるのは 重々 承知しておったが…。 458 00:36:54,412 --> 00:37:02,554 この小栗に罪ありとして どうぞ クビにしてくだされ。 459 00:37:02,554 --> 00:37:09,227 お主が 造船所建設の 立て役者であるのにか? 460 00:37:09,227 --> 00:37:11,729 ここは やはり 私一人を罷免して➡ 461 00:37:11,729 --> 00:37:15,733 他に累を及ぼさぬように すべきでありましょう。 462 00:37:18,603 --> 00:37:24,609 小栗に 専横の罪ありとして 罷免してくだされ。 463 00:37:29,247 --> 00:37:32,584 しかれど くれぐれも フランスとの約定書を➡ 464 00:37:32,584 --> 00:37:34,519 お守りくださいますよう➡ 465 00:37:34,519 --> 00:37:37,322 お願いいたします。 466 00:37:39,457 --> 00:37:42,961 すまぬ。 467 00:37:45,096 --> 00:37:49,968 要は 造船所建設を 実現することでございます。 468 00:37:49,968 --> 00:37:52,771 そのためなら この首など 安いもの。 469 00:37:52,771 --> 00:37:57,075 何しろ クビには 慣れておりますから。 470 00:38:00,111 --> 00:38:02,547 それでは 早速…。 471 00:38:02,547 --> 00:38:10,054 <それから間もなく 旦那様は お役を御免となったのです> 472 00:38:10,054 --> 00:38:12,891 (カション)ボンジュール レ ザンファン。 おはよう。 こんにちは。➡ 473 00:38:12,891 --> 00:38:15,927 ボンジュール。 (一同)ボンジュール。 474 00:38:15,927 --> 00:38:19,664 カション校長 さまになっておるではないか。 475 00:38:19,664 --> 00:38:23,868 とても 鼻の下を伸ばしている御仁とは 思えぬ。 476 00:38:25,470 --> 00:38:29,073 造船所ばかりか フランス語学校まで作っては➡ 477 00:38:29,073 --> 00:38:33,745 また 風当たりが強くなろう。 今は 無役の身。 478 00:38:33,745 --> 00:38:37,615 何を言われようと 痛くも痒くもないわ。 479 00:38:37,615 --> 00:38:41,386 あの一番前に座っておるのが お主の息子か。 480 00:38:41,386 --> 00:38:45,089 (栗本)利かぬ気の強そうな面構えを しておるだろ。 481 00:38:45,089 --> 00:38:47,992 いかにも。 オヤジに フランス語がしゃべれて➡ 482 00:38:47,992 --> 00:38:52,764 自分が しゃべれぬのが 口惜しいらしい。 483 00:38:52,764 --> 00:38:59,404 養子といえど 父親に似るものか。そのようだ。 484 00:38:59,404 --> 00:39:02,907 お主も 早う もらえ。 485 00:39:05,210 --> 00:39:10,048 お道殿を気遣っておるなら かえって 逆だぞ。 486 00:39:10,048 --> 00:39:11,983 私も 随分 迷うた。 487 00:39:11,983 --> 00:39:16,221 だけれども もらってみると 家の中が明るくなった。 488 00:39:16,221 --> 00:39:19,123 女房殿も 後継ぎができて ほっとしたのか➡ 489 00:39:19,123 --> 00:39:23,962 前より 朝帰りに寛大になってな。 ハハハハハッ…。 490 00:39:23,962 --> 00:39:25,930 何にしても 安心よ。 491 00:39:25,930 --> 00:39:31,236 自分がどうあれ 後を継ぐ者がおるのだから。 492 00:39:33,071 --> 00:39:38,576 <薩摩と長州が 手を結んだという噂が流れ➡ 493 00:39:38,576 --> 00:39:42,247 ますます 世の中が 騒がしくなりそうな…。➡ 494 00:39:42,247 --> 00:39:46,117 そんな中 旦那様は またまた…➡ 495 00:39:46,117 --> 00:39:50,588 なんと 4度目の勘定奉行を 仰せつけられたのです> 496 00:39:50,588 --> 00:39:53,391 何ですか その顔は…。 497 00:39:53,391 --> 00:40:00,098 ご登城初日に 覇気のない顔をして どうするのです。 498 00:40:00,098 --> 00:40:02,133 今回の登用が➡ 499 00:40:02,133 --> 00:40:06,871 長州征伐の金を調達させるためであるのが あからさまで…。 500 00:40:06,871 --> 00:40:11,409 先の長州征伐の折 薩摩の西郷隆盛の進言を受け入れて➡ 501 00:40:11,409 --> 00:40:16,281 なまぬるい処分にしたのが 間違いのもと。 502 00:40:16,281 --> 00:40:19,951 あの時 長州の息の根を止めておけば➡ 503 00:40:19,951 --> 00:40:23,421 要らぬ出費をせずに済んだのです。 504 00:40:23,421 --> 00:40:30,295 済んでしまったことを くどくどと申しても しかたのないこと。 505 00:40:30,295 --> 00:40:34,065 嫌なら お辞めなさい。 506 00:40:34,065 --> 00:40:41,806 気の進まぬ お役を辛抱するのは 男子のすることではありません。 507 00:40:41,806 --> 00:40:44,842 いつもと反対のことを おっしゃっております 母上。 508 00:40:44,842 --> 00:40:50,815 私は いつも 正しいことを申し上げています。 509 00:40:50,815 --> 00:40:53,151 お役に就くのを断れば➡ 510 00:40:53,151 --> 00:40:58,823 要らぬ造船所で大金を費やすから 戦もできぬと陰口をたたかれます。 511 00:40:58,823 --> 00:41:03,594 造船所を中止されたら これまでの苦労が 水の泡…。 512 00:41:03,594 --> 00:41:09,400 これまで以上に 身を粉にして働くつもりです 母上。 513 00:41:09,400 --> 00:41:12,937 出陣のための金も かき集めてみせましょう。 514 00:41:12,937 --> 00:41:16,407 それで 何としてでも 造船所を完成させ➡ 515 00:41:16,407 --> 00:41:20,278 小栗の苦労が 無駄ではなかった➡ 516 00:41:20,278 --> 00:41:23,281 造船所を造って 正解であったと➡ 517 00:41:23,281 --> 00:41:26,417 言わせたいではありませぬか。 518 00:41:26,417 --> 00:41:33,291 ♬~ 519 00:41:33,291 --> 00:41:36,427 <こうして 慶応元年➡ 520 00:41:36,427 --> 00:41:40,798 小栗上野介の夢であった 造船所建設計画は➡ 521 00:41:40,798 --> 00:41:46,137 着工に向けて 確実に動き出したのであった> 522 00:41:46,137 --> 00:42:49,934 ♬~