1 00:00:07,000 --> 00:00:12,000 (男)死にたいだなんて 2 00:00:07,000 --> 00:00:12,000 そんな悲しいこと言わないでくださいよ。 3 00:00:14,000 --> 00:00:16,000 (男)おかあさん。 4 00:00:16,000 --> 00:00:23,000 ♬〜 5 00:00:23,000 --> 00:00:25,000 (男)まずは…。 6 00:00:30,000 --> 00:00:33,000 (男)悩みを整理しましょう。 7 00:00:33,000 --> 00:00:35,000 (ひばり)はい。 8 00:00:37,000 --> 00:00:43,000 (男)「あいつなんか いなくなればいいのに」。 9 00:00:43,000 --> 00:00:45,000 そう思っている人物はいますか? 10 00:00:45,000 --> 00:00:49,000 いるといえばいます。 11 00:00:49,000 --> 00:00:51,000 っていうか人間→ 12 00:00:51,000 --> 00:00:54,000 そんな感情がないほうが 13 00:00:51,000 --> 00:00:54,000 おかしくないですか? 14 00:00:55,000 --> 00:00:58,000 (男)じゃあ 要するに あなたは→ 15 00:00:58,000 --> 00:01:03,000 その人物に消えてほしいと 16 00:00:58,000 --> 00:01:03,000 願っているわけだ。 17 00:01:04,000 --> 00:01:07,000 それは 少し違います。 18 00:01:07,000 --> 00:01:10,000 (ペンで机をたたく音) 19 00:01:10,000 --> 00:01:14,000 いや…。 20 00:01:10,000 --> 00:01:14,000 (ペンで机をたたく音) 21 00:01:14,000 --> 00:01:17,000 そういう気持ちが…→ 22 00:01:17,000 --> 00:01:20,000 なくはないかもしれません…。 23 00:01:20,000 --> 00:01:23,000 (ペンで机をたたく音) 24 00:01:24,000 --> 00:01:27,000 (男)正直で結構です。 25 00:01:27,000 --> 00:01:32,000 では あなたの その感情を→ 26 00:01:32,000 --> 00:01:36,000 端的に表現しましょう。 27 00:01:36,000 --> 00:01:39,000 いいですか? それはね→ 28 00:01:39,000 --> 00:01:41,000 殺意です。 29 00:01:41,000 --> 00:01:49,000 ♬〜 30 00:01:50,000 --> 00:01:52,000 (ひばりがワインを飲む音) 31 00:01:55,000 --> 00:01:57,000 (美咲)告白された!? 32 00:01:59,000 --> 00:02:01,000 えっ… 四季くんから? 33 00:02:01,000 --> 00:02:03,000 えっ… で? えっ? 34 00:02:03,000 --> 00:02:07,000 (楓)ん? 「で?」って? 35 00:02:03,000 --> 00:02:07,000 それだけ。 36 00:02:07,000 --> 00:02:10,000 えっ? ちょっと待って。 待って待って…。 37 00:02:07,000 --> 00:02:10,000 えっ… 何? それ。 どういうこと? 38 00:02:10,000 --> 00:02:12,000 どういうことって? 39 00:02:12,000 --> 00:02:15,000 でも それ以上 何も言われてないし。 40 00:02:15,000 --> 00:02:19,000 はあ はあ はあ… ああ…。 41 00:02:19,000 --> 00:02:23,000 で? 楓は どうなの? 好きなの? 42 00:02:23,000 --> 00:02:26,000 好きっていうか…。 43 00:02:26,000 --> 00:02:31,000 一緒にいて心地いいし 44 00:02:26,000 --> 00:02:31,000 安心できるんだけど→ 45 00:02:31,000 --> 00:02:36,000 でも それって 46 00:02:31,000 --> 00:02:36,000 岩田先生と3人でいる時のことであって→ 47 00:02:36,000 --> 00:02:39,000 まあ 好きなのかどうか… 48 00:02:36,000 --> 00:02:39,000 う〜ん…。 49 00:02:39,000 --> 00:02:42,000 岩田先生ねえ…。 50 00:02:42,000 --> 00:02:45,000 ミステリー好きで毒舌な四季くんか→ 51 00:02:45,000 --> 00:02:49,000 爽やかスマイルで真っすぐな岩田先生か。 52 00:02:49,000 --> 00:02:52,000 まだ選べないってことね。 フフッ…。 53 00:02:56,000 --> 00:02:58,000 (四季)抜け駆けしちゃって すいません。 54 00:02:59,000 --> 00:03:01,000 (岩田)フッ…。 55 00:03:01,000 --> 00:03:03,000 変なとこ律義だよな。 56 00:03:05,000 --> 00:03:11,000 だって 正々堂々 57 00:03:05,000 --> 00:03:11,000 いきたいじゃないですか。 58 00:03:14,000 --> 00:03:17,000 そういうところかもな。 59 00:03:17,000 --> 00:03:20,000 えっ? 60 00:03:17,000 --> 00:03:20,000 いや…。 61 00:03:21,000 --> 00:03:24,000 正々堂々な。 62 00:03:24,000 --> 00:03:31,000 ♬〜 63 00:03:31,000 --> 00:03:34,000 いい球 投げますね。 64 00:03:34,000 --> 00:03:40,000 ♬〜 65 00:03:40,000 --> 00:03:42,000 遠くまで ありがとうございます。 66 00:03:42,000 --> 00:03:45,000 (城之内)いやあ〜 67 00:03:42,000 --> 00:03:45,000 碑文谷って初めて来ましたけど→ 68 00:03:45,000 --> 00:03:47,000 いい所ですね! 69 00:03:47,000 --> 00:03:50,000 (我妻)最近 何するにもついてくるんですよ 70 00:03:47,000 --> 00:03:50,000 こいつ。 71 00:03:50,000 --> 00:03:54,000 だって 師匠と弟子の感動の再会 72 00:03:50,000 --> 00:03:54,000 見たいじゃないですか。 73 00:03:54,000 --> 00:03:57,000 祖父も とっても楽しみにしてました。 74 00:03:54,000 --> 00:03:57,000 どうぞ。 75 00:03:57,000 --> 00:03:59,000 (我妻・城之内)お邪魔します。 76 00:04:05,000 --> 00:04:09,000 おじいちゃん 77 00:04:05,000 --> 00:04:09,000 我妻さんたち いらっしゃったよ。 78 00:04:17,000 --> 00:04:19,000 あっ… どうぞ。 どうぞ。 79 00:04:28,000 --> 00:04:33,000 あの… おじいさま 80 00:04:28,000 --> 00:04:33,000 だいぶ具合が悪いのでは…? 81 00:04:33,000 --> 00:04:35,000 出直したほうがいいですか? 82 00:04:35,000 --> 00:04:37,000 あっ いや あの…→ 83 00:04:37,000 --> 00:04:44,000 祖父は今 幼い頃の私を横に座らせて 84 00:04:37,000 --> 00:04:44,000 『こいのぼり』を弾いてるんだと思います。 85 00:04:44,000 --> 00:04:48,000 あの… そういう夢を見てるんだと思います。 86 00:04:50,000 --> 00:04:53,000 あっ でも… もうすぐ帰ってくると思います。 87 00:04:54,000 --> 00:04:57,000 あっ すいません! 88 00:04:54,000 --> 00:04:57,000 荷物 よかったら こちらに…。 89 00:04:57,000 --> 00:04:59,000 (城之内)ああ… すいません。 90 00:04:57,000 --> 00:04:59,000 すいません ごめんなさい。 91 00:04:59,000 --> 00:05:01,000 (城之内)よかったら これ…。 92 00:04:59,000 --> 00:05:01,000 ありがとうございます。 93 00:05:08,000 --> 00:05:11,000 ご無沙汰してます。 まどふき先生。 94 00:05:22,000 --> 00:05:24,000 (祖父)我妻くん! 95 00:05:24,000 --> 00:05:26,000 はい! 96 00:05:24,000 --> 00:05:26,000 おお〜! 97 00:05:26,000 --> 00:05:32,000 1年間 僕が薦めたミステリとSFを 98 00:05:26,000 --> 00:05:32,000 50冊以上読破した→ 99 00:05:32,000 --> 00:05:36,000 ミステリ好きの我妻くんだ! 100 00:05:32,000 --> 00:05:36,000 50冊…? 101 00:05:37,000 --> 00:05:39,000 来てくれて ありがとう! 102 00:05:39,000 --> 00:05:42,000 お会いできて うれしいです。 103 00:05:39,000 --> 00:05:42,000 おお…! 104 00:05:43,000 --> 00:05:46,000 先生 紹介させてください。 105 00:05:46,000 --> 00:05:48,000 僕の相棒です。 106 00:05:48,000 --> 00:05:50,000 初めまして 城之内といいます。 107 00:05:50,000 --> 00:05:52,000 ジョーって呼んでください。 108 00:05:52,000 --> 00:05:57,000 こう見えて帰国子女でしてね 109 00:05:52,000 --> 00:05:57,000 5カ国語を操る語学の天才なんです。 110 00:05:57,000 --> 00:05:59,000 そうだったんですか! 111 00:05:59,000 --> 00:06:02,000 我妻さん。 112 00:05:59,000 --> 00:06:02,000 「こう見えて」は余計ですけどね。 113 00:06:02,000 --> 00:06:05,000 頼りになる相棒を持ったな。 114 00:06:05,000 --> 00:06:07,000 はい。 115 00:06:05,000 --> 00:06:07,000 (城之内)はい。 116 00:06:07,000 --> 00:06:11,000 (一同の笑い声) 117 00:06:12,000 --> 00:06:15,000 (振り子の音) 118 00:06:15,000 --> 00:06:17,000 (風鈴の音) 119 00:06:17,000 --> 00:06:20,000 懐かしいなあ 逆上がり特訓。 120 00:06:20,000 --> 00:06:23,000 今でも覚えてますよ。 121 00:06:20,000 --> 00:06:23,000 フフフ…。 122 00:06:25,000 --> 00:06:28,000 あのな 蹴り上げ… うん。 123 00:06:28,000 --> 00:06:32,000 ここの足の蹴り上げを もっと 124 00:06:28,000 --> 00:06:32,000 ドヒャッといくんだ。 125 00:06:32,000 --> 00:06:35,000 (祖父の声)あの頃と変わらない→ 126 00:06:35,000 --> 00:06:39,000 真っすぐな目をしているねえ。 127 00:06:35,000 --> 00:06:39,000 ハハハ…。 128 00:06:39,000 --> 00:06:46,000 名探偵を夢見ていた 129 00:06:39,000 --> 00:06:46,000 我妻少年のまんまだ。 130 00:06:46,000 --> 00:06:51,000 あの頃 僕の夢を笑わなかったのは 131 00:06:46,000 --> 00:06:51,000 先生だけでした。 132 00:06:52,000 --> 00:06:55,000 かなえることはできませんでしたが…。 133 00:06:55,000 --> 00:06:59,000 人生は いつもままならない。 134 00:06:59,000 --> 00:07:01,000 それでも…。 135 00:07:02,000 --> 00:07:06,000 それでも前を向き 突き進むべきだ。 136 00:07:06,000 --> 00:07:10,000 いや 突き進まなければならない。 137 00:07:10,000 --> 00:07:12,000 分かったか? よしよし…。 138 00:07:13,000 --> 00:07:18,000 我妻くん 君は突き進んできたはずだ。 139 00:07:18,000 --> 00:07:21,000 その真っすぐな目を見れば分かる。 140 00:07:23,000 --> 00:07:30,000 君が これまで歩んできた道のりは 141 00:07:23,000 --> 00:07:30,000 幸せばかりじゃなかったかもしれない。 142 00:07:30,000 --> 00:07:37,000 でも だからこそ 今の君がいるんだ。 143 00:07:37,000 --> 00:07:46,000 ♬〜 144 00:07:48,000 --> 00:07:50,000 楓さん。 145 00:07:48,000 --> 00:07:50,000 はい。 146 00:07:50,000 --> 00:07:53,000 手伝いまーす! 147 00:07:50,000 --> 00:07:53,000 えっ いや 大丈夫ですよ。 148 00:07:53,000 --> 00:07:56,000 ほら 恩師と2人きりにしてあげたいなって。 149 00:07:56,000 --> 00:07:58,000 僕 そういうところ 気が利くんで。 150 00:07:56,000 --> 00:07:58,000 フフフ…。 151 00:07:58,000 --> 00:08:00,000 じゃあ お言葉に甘えて。 152 00:08:00,000 --> 00:08:02,000 Djamelo a m! 153 00:08:02,000 --> 00:08:04,000 えっ? すごい! 154 00:08:04,000 --> 00:08:06,000 フフフフ…! 155 00:08:04,000 --> 00:08:06,000 えっ 何語ですか? 156 00:08:06,000 --> 00:08:09,000 スペイン語です。 157 00:08:06,000 --> 00:08:09,000 日本語で「任せて」って意味なんですよ。 158 00:08:09,000 --> 00:08:11,000 へえ〜! 159 00:08:12,000 --> 00:08:17,000 我妻さん 「先生は自分の人生の一部だ」 160 00:08:12,000 --> 00:08:17,000 って言ってました。 161 00:08:17,000 --> 00:08:20,000 へえ〜 それ聞いたら 絶対喜びます。 162 00:08:31,000 --> 00:08:38,000 かつての教え子が 自分の人生を歩む。 163 00:08:38,000 --> 00:08:45,000 その姿を見るというのは 164 00:08:38,000 --> 00:08:45,000 この上なく幸せなことだ。 165 00:08:45,000 --> 00:08:55,000 孫であり 教え子でもある楓にも 166 00:08:45,000 --> 00:08:55,000 自分の人生を歩んでほしいんだが→ 167 00:08:55,000 --> 00:09:01,000 僕がその時間を奪っていないか心配でね。 168 00:09:01,000 --> 00:09:06,000 あの子には 169 00:09:01,000 --> 00:09:06,000 ずっと未来を見ていてほしいんだ。 170 00:09:08,000 --> 00:09:17,000 残される寂しさというのは 171 00:09:08,000 --> 00:09:17,000 もう十分だろうからね。 172 00:09:35,000 --> 00:09:37,000 (ドアの開く音) 173 00:09:37,000 --> 00:09:39,000 (岩田)ひばりさん。 174 00:09:41,000 --> 00:09:45,000 (岩田)ひばりさん? 大丈夫ですか? 175 00:09:41,000 --> 00:09:45,000 なんか困ったことでも…。 176 00:09:45,000 --> 00:09:47,000 ううん。 大丈夫。 177 00:09:47,000 --> 00:09:50,000 これからランニング? いってらっしゃい。 178 00:09:50,000 --> 00:09:52,000 はい! いってきます! 179 00:09:52,000 --> 00:10:00,000 ♬〜 180 00:10:00,000 --> 00:10:05,000 (美咲)すずちゃん。 181 00:10:00,000 --> 00:10:05,000 無理はしなくていいんだよ。 182 00:10:05,000 --> 00:10:12,000 でもね 友達みんな 183 00:10:05,000 --> 00:10:12,000 すずちゃんが来るの 待ってるよ。 184 00:10:23,000 --> 00:10:25,000 『怪人二十面相』!? 185 00:10:26,000 --> 00:10:28,000 (小林)あっ… えっ これですか? 186 00:10:28,000 --> 00:10:30,000 知ってます? 187 00:10:30,000 --> 00:10:32,000 俺 今 読んでんだよ。 188 00:10:34,000 --> 00:10:37,000 えっ? 奇遇ですね。 189 00:10:34,000 --> 00:10:37,000 (岩田)うん。 190 00:10:37,000 --> 00:10:40,000 乱歩 好きなんですか? 191 00:10:40,000 --> 00:10:44,000 好きっていうか… 192 00:10:40,000 --> 00:10:44,000 薦めてもらったんだ。 193 00:10:44,000 --> 00:10:46,000 名探偵に。 194 00:10:46,000 --> 00:10:48,000 名探偵? 195 00:10:49,000 --> 00:10:52,000 (美咲)ありがとう。 196 00:10:49,000 --> 00:10:52,000 うん。 197 00:10:58,000 --> 00:11:00,000 (岩田)ありがとうございます。 198 00:11:01,000 --> 00:11:03,000 (四季)ありがとうございます。 199 00:11:12,000 --> 00:11:14,000 (せき払い) 200 00:11:14,000 --> 00:11:18,000 皆さん 本日は お集まりいただき 201 00:11:14,000 --> 00:11:18,000 ありがとうございます。 202 00:11:18,000 --> 00:11:21,000 まず 紹介すべきは 彼。 203 00:11:21,000 --> 00:11:25,000 なんと 204 00:11:21,000 --> 00:11:25,000 ミステリーな話を抱えてるみたいなんです。 205 00:11:25,000 --> 00:11:28,000 ミステリな話…。 206 00:11:25,000 --> 00:11:28,000 (岩田)うん。 207 00:11:28,000 --> 00:11:31,000 あっ ほら 僕 208 00:11:28,000 --> 00:11:31,000 碑文谷さんに弟子入りしたじゃないですか。 209 00:11:31,000 --> 00:11:36,000 えっ? 初耳ですけど。 210 00:11:31,000 --> 00:11:36,000 えっ? でしたっけ? 211 00:11:36,000 --> 00:11:39,000 でね 彼なんですけど→ 212 00:11:39,000 --> 00:11:45,000 碑文谷さんにお借りしていた 213 00:11:39,000 --> 00:11:45,000 『怪人二十面相』を彼も読んでいたんです。 214 00:11:45,000 --> 00:11:48,000 しかも… 名前は? 215 00:11:49,000 --> 00:11:51,000 小林です。 216 00:11:51,000 --> 00:11:54,000 (楓・四季)小林少年!? 217 00:11:54,000 --> 00:11:57,000 (美咲)小林少年って 218 00:11:54,000 --> 00:11:57,000 少年探偵団のリーダーの? 219 00:11:57,000 --> 00:12:00,000 (楓・四季)小林芳雄。 220 00:12:00,000 --> 00:12:03,000 (岩田)「りんごのようにつやつやした頬の」…。 221 00:12:05,000 --> 00:12:07,000 …なんだっけ? 222 00:12:08,000 --> 00:12:12,000 (小林)「目の大きい 223 00:12:08,000 --> 00:12:12,000 12〜13歳の少年が立っていました」。 224 00:12:12,000 --> 00:12:14,000 何? それ。 225 00:12:14,000 --> 00:12:17,000 小林少年の登場シーンですね。 226 00:12:14,000 --> 00:12:17,000 (美咲)えっ 暗記してんの!? 227 00:12:17,000 --> 00:12:20,000 まさか みんな ミステリーマニア? 228 00:12:20,000 --> 00:12:22,000 です! 229 00:12:22,000 --> 00:12:24,000 先輩は 「ミステリー」って言ってる時点で 230 00:12:22,000 --> 00:12:24,000 まだまだです。 231 00:12:24,000 --> 00:12:26,000 一緒だろ。 232 00:12:24,000 --> 00:12:26,000 全然違います。 233 00:12:26,000 --> 00:12:29,000 「ミステリ」は 234 00:12:26,000 --> 00:12:29,000 推理や探偵ものの事件を想起させますが→ 235 00:12:29,000 --> 00:12:33,000 「ミステリー」は 236 00:12:29,000 --> 00:12:33,000 SF ホラーサスペンスなどを含みます。 237 00:12:33,000 --> 00:12:36,000 つまり ミステリーは 238 00:12:33,000 --> 00:12:36,000 言葉の指す対象が広すぎる。 239 00:12:36,000 --> 00:12:38,000 細かいなあ…。 240 00:12:38,000 --> 00:12:40,000 (楓・四季)大事なことです。 241 00:12:43,000 --> 00:12:46,000 そもそも 242 00:12:43,000 --> 00:12:46,000 『怪人二十面相』しか読んでないですよね? 243 00:12:46,000 --> 00:12:50,000 なんだよ 悪いか? 鋭意努力中だ! 244 00:12:50,000 --> 00:12:55,000 傑作選も おすすめですよ。 245 00:12:50,000 --> 00:12:55,000 『江戸川乱歩傑作選』。 新潮社文庫の。 246 00:12:55,000 --> 00:12:59,000 うん 新潮社! 247 00:12:59,000 --> 00:13:02,000 ここで老舗レーベルの名前が出るとは。 248 00:13:02,000 --> 00:13:06,000 (岩田)大人ぶりやがって。 249 00:13:02,000 --> 00:13:06,000 ってか 何年生だっけ? 250 00:13:06,000 --> 00:13:09,000 (小林)高校2年です。 イエイ。 251 00:13:09,000 --> 00:13:12,000 (一同の笑い声) 252 00:13:12,000 --> 00:13:14,000 ってか… ってか そんなことより→ 253 00:13:14,000 --> 00:13:19,000 こちらには 明智小五郎にも負けない 254 00:13:14,000 --> 00:13:19,000 名探偵がいるって聞いたんですけど…。 255 00:13:19,000 --> 00:13:23,000 実はね 小林くん 名探偵は祖父なの。 256 00:13:26,000 --> 00:13:29,000 (風鈴の音) 257 00:13:32,825 --> 00:13:34,825 (風鈴の音) 258 00:13:34,825 --> 00:13:39,825 ねえ ミステリな話があるんだよね? 259 00:13:34,825 --> 00:13:39,825 よかったら 聞かせてくれない? 260 00:13:39,825 --> 00:13:41,825 …はい! 261 00:13:42,825 --> 00:13:45,825 (小林)小学生の頃 毎年夏休みに→ 262 00:13:45,825 --> 00:13:49,825 家族で祖父母の家に行ってました。 263 00:13:49,825 --> 00:13:52,825 (岩田)いい写真だな。 264 00:13:53,825 --> 00:13:57,825 (小林)いつもは 265 00:13:53,825 --> 00:13:57,825 すぐ祖父母の家に行くんですけど→ 266 00:13:57,825 --> 00:14:00,825 その年は 空港に着くなり→ 267 00:14:00,825 --> 00:14:05,825 父が 「できれば すぐに 268 00:14:00,825 --> 00:14:05,825 予約をお願いします」って→ 269 00:14:05,825 --> 00:14:08,825 どこかに電話してたんです。 270 00:14:08,825 --> 00:14:10,825 すぐにって なんの予約? 271 00:14:10,825 --> 00:14:12,825 乗馬でした。 272 00:14:12,825 --> 00:14:16,825 「じょうば」って あの 馬に乗る あれか? 273 00:14:16,825 --> 00:14:19,825 (四季)いやいや 他に何があるんですか。 274 00:14:16,825 --> 00:14:19,825 ハハッ…。 275 00:14:19,825 --> 00:14:25,825 僕 その前の年に 馬から落ちちゃって…。 276 00:14:25,825 --> 00:14:28,825 それが軽いトラウマになってたんです。 277 00:14:28,825 --> 00:14:33,825 ん? それでも ご両親は 278 00:14:28,825 --> 00:14:33,825 初日に乗馬の予約したんだ? 279 00:14:33,825 --> 00:14:35,825 はい。 280 00:14:35,825 --> 00:14:41,825 それで 僕が行かないって言ったら 281 00:14:35,825 --> 00:14:41,825 ホテルに連れていかれました。 282 00:14:41,825 --> 00:14:44,825 「ここで留守番してて。 283 00:14:41,825 --> 00:14:44,825 今日は ここに泊まるから」って。 284 00:14:44,825 --> 00:14:48,825 (岩田)ふーん…。 285 00:14:44,825 --> 00:14:48,825 ちゃんと留守番できたのか? 小林少年。 286 00:14:48,825 --> 00:14:51,825 (四季)ちょっと…。 287 00:14:48,825 --> 00:14:51,825 いや…。 288 00:14:51,825 --> 00:14:57,825 実は ホテルを抜け出して 289 00:14:51,825 --> 00:14:57,825 祖父母の家に…。 290 00:14:57,825 --> 00:15:00,825 小学生一人で? 291 00:15:00,825 --> 00:15:02,825 早く2人に会いたかったんです。 292 00:15:02,825 --> 00:15:04,825 フフフフ…。 293 00:15:04,825 --> 00:15:06,825 大好きだったんだ。 294 00:15:07,825 --> 00:15:14,825 祖父は昔から 広い庭で 295 00:15:07,825 --> 00:15:14,825 よくキャッチボールをしてくれました。 296 00:15:16,825 --> 00:15:20,825 祖母は 手相を見るのが好きで…。 297 00:15:24,825 --> 00:15:29,825 (小林の祖母)みんなから ずっと好かれる子だ。 298 00:15:24,825 --> 00:15:29,825 手が教えてくれる。 299 00:15:29,825 --> 00:15:36,825 いいことは重なるもんだよ。 300 00:15:29,825 --> 00:15:36,825 あんたには いいことしか起こらない。 301 00:15:36,825 --> 00:15:38,825 (風鈴の音) 302 00:15:38,825 --> 00:15:45,825 ♬〜 303 00:15:45,825 --> 00:15:47,825 (岩田)なるほどなあ。 304 00:15:47,825 --> 00:15:51,825 うれしいね。 305 00:15:47,825 --> 00:15:51,825 そんなふうに言ってもらえたら。 306 00:15:51,825 --> 00:15:54,825 (小林)ですよね。 307 00:15:54,825 --> 00:16:00,825 その日も 野球を始めたって言ったら 308 00:15:54,825 --> 00:16:00,825 なんて占ってくれるかなって→ 309 00:16:00,825 --> 00:16:02,825 楽しみにしてました。 310 00:16:04,825 --> 00:16:10,825 (小林の声)祖父母の家に向かう道には 311 00:16:04,825 --> 00:16:10,825 かかしが並ぶ祖父の田んぼがあって…。 312 00:16:14,825 --> 00:16:19,825 (小林の声)その側溝に 313 00:16:14,825 --> 00:16:19,825 ツツジからとれる染料の跡を見たのを→ 314 00:16:19,825 --> 00:16:21,825 今でも覚えてます。 315 00:16:21,825 --> 00:16:23,825 ツツジ? 316 00:16:21,825 --> 00:16:23,825 (小林)はい。 317 00:16:23,825 --> 00:16:29,825 ツツジの染料は 318 00:16:23,825 --> 00:16:29,825 手染めが好きな祖母が よく使ってて。 319 00:16:30,825 --> 00:16:36,825 (小林の声)で それから家のほうに行くと 320 00:16:30,825 --> 00:16:36,825 祖父母の姿が見えました。 321 00:16:37,825 --> 00:16:45,825 リウマチを患っていた祖母は 322 00:16:37,825 --> 00:16:45,825 車椅子がないと生活できない状態でした。 323 00:16:45,825 --> 00:16:54,825 でも 祖父は 農業の傍らで 324 00:16:45,825 --> 00:16:54,825 楽しそうに祖母の介護をしてました。 325 00:16:54,825 --> 00:16:58,825 多分 生きがいだったんだと思います。 326 00:17:01,825 --> 00:17:07,825 あの時は 327 00:17:01,825 --> 00:17:07,825 もう 1年ぶりに会えるのがうれしくて→ 328 00:17:07,825 --> 00:17:09,825 おっきい声で呼んだんですけど…。 329 00:17:09,825 --> 00:17:11,825 (小林)おじいちゃん! おばあちゃん! 330 00:17:14,825 --> 00:17:16,825 (小林の声)返事がありませんでした。 331 00:17:18,825 --> 00:17:20,825 聞こえてなかったとか? 332 00:17:20,825 --> 00:17:23,825 でも 祖母は手を振ってくれました。 333 00:17:23,825 --> 00:17:25,825 (風鈴の音) 334 00:17:25,825 --> 00:17:30,825 (小林の声)で そのまま2人は ゆっくり 335 00:17:25,825 --> 00:17:30,825 家の中に入っていっちゃったんです。 336 00:17:30,825 --> 00:17:35,825 僕は 走って門を抜けて 337 00:17:30,825 --> 00:17:35,825 玄関に向かいました。 338 00:17:35,825 --> 00:17:37,825 そしたら…。 339 00:17:42,825 --> 00:17:46,825 そしたら…→ 340 00:17:46,825 --> 00:17:48,825 ドーン! って…。 341 00:17:48,825 --> 00:17:50,825 え…? 342 00:17:52,825 --> 00:17:55,825 すごい音がしたんです。 343 00:17:55,825 --> 00:17:57,825 (小林の声)見えたのは…。 344 00:18:05,825 --> 00:18:08,825 (小林の声)炎でした。 345 00:18:08,825 --> 00:18:13,825 火は どんどん広がって 346 00:18:08,825 --> 00:18:13,825 あっという間に大きくなって…。 347 00:18:13,825 --> 00:18:20,825 ♬〜 348 00:18:20,825 --> 00:18:22,825 (割れる音) 349 00:18:26,825 --> 00:18:33,825 そしたら 350 00:18:26,825 --> 00:18:33,825 祖父が一人 よろよろと外に出てきました。 351 00:18:33,825 --> 00:18:38,825 それで 祖母の名前を叫んでから 352 00:18:33,825 --> 00:18:38,825 言ったんです。 353 00:18:38,825 --> 00:18:42,825 (小林の祖父)わしを捨てんでくれ! 354 00:18:38,825 --> 00:18:42,825 けいこ…! 355 00:18:42,825 --> 00:18:44,825 おじいちゃん! 356 00:18:44,825 --> 00:18:48,825 ばあさんが出てこなかったか!? 357 00:18:44,825 --> 00:18:48,825 ああーっ…! 358 00:18:49,825 --> 00:18:51,825 捨てんでくれ…? 359 00:18:54,825 --> 00:18:56,825 それで…→ 360 00:18:56,825 --> 00:19:01,825 そのまま 祖母を捜しに 361 00:18:56,825 --> 00:19:01,825 家の中に戻っちゃったんです。 362 00:19:01,825 --> 00:19:04,825 えっ 家って…→ 363 00:19:04,825 --> 00:19:07,825 でも 燃えてるんじゃ…? 364 00:19:07,825 --> 00:19:14,825 ♬〜 365 00:19:14,825 --> 00:19:19,825 次に覚えてるのは 366 00:19:14,825 --> 00:19:19,825 消火活動が終わった後の光景です。 367 00:19:19,825 --> 00:19:22,825 家は全焼していて→ 368 00:19:22,825 --> 00:19:27,825 玄関だった場所には 369 00:19:22,825 --> 00:19:27,825 小さめの脚立が転がっていて→ 370 00:19:27,825 --> 00:19:29,825 白い煙が上がってました。 371 00:19:32,825 --> 00:19:38,825 でも 僕… 何もできなくて。 372 00:19:40,825 --> 00:19:42,825 それで 祖父は…。 373 00:19:45,825 --> 00:19:49,825 もういい… もういいよ ありがとう。 374 00:19:49,825 --> 00:19:51,825 よくないんです…! 375 00:19:52,825 --> 00:19:54,825 おかしいのは ここからなんです。 376 00:19:56,825 --> 00:20:01,825 燃えた家の中に 祖母の形跡がなかったんです。 377 00:20:01,825 --> 00:20:03,825 …えっ? 378 00:20:07,825 --> 00:20:12,825 家は塀に囲まれてて 379 00:20:07,825 --> 00:20:12,825 外に逃げたとは考えづらい。 380 00:20:12,825 --> 00:20:18,825 なのに 車椅子でさえも 381 00:20:12,825 --> 00:20:18,825 焼け跡から見つからなくて…。 382 00:20:18,825 --> 00:20:23,825 えっ… でも 車椅子に乗ったおばあさんを 383 00:20:18,825 --> 00:20:23,825 見てるんだよね? 384 00:20:23,825 --> 00:20:26,825 車椅子ごと消えたってこと? 385 00:20:27,825 --> 00:20:32,825 僕が幼いこともあって→ 386 00:20:32,825 --> 00:20:37,825 警察は 祖母を見たことを 387 00:20:32,825 --> 00:20:37,825 まともに取り合ってくれませんでした。 388 00:20:40,825 --> 00:20:48,825 祖母は 祖父を捨てて 389 00:20:40,825 --> 00:20:48,825 どこに消えてしまったんでしょうか…。 390 00:20:48,825 --> 00:20:55,825 車椅子に座っていた祖母は 391 00:20:48,825 --> 00:20:55,825 一体 どうやって姿を消したんでしょうか? 392 00:20:59,825 --> 00:21:02,825 ご両親は なんて言ってるの? 393 00:21:03,825 --> 00:21:06,825 聞けなかったんです。 394 00:21:10,825 --> 00:21:16,825 祖父母の家に向かってたんですけど→ 395 00:21:16,825 --> 00:21:23,825 一時停止を無視した車が 396 00:21:16,825 --> 00:21:23,825 横から飛び出してきて…。 397 00:21:26,825 --> 00:21:29,825 暴走してきた相手は即死でした。 398 00:21:29,825 --> 00:21:34,825 でも 両親も そのまま…。 399 00:21:35,825 --> 00:21:37,825 (岩田)うわっ! 400 00:21:35,825 --> 00:21:37,825 (四季)ちょっと! 401 00:21:37,825 --> 00:21:39,825 (岩田)ごめん! 402 00:21:37,825 --> 00:21:39,825 (四季)先輩…! 403 00:21:39,825 --> 00:21:44,825 (岩田)小林 もう その話は いいよ。 404 00:21:39,825 --> 00:21:44,825 もういい…。 405 00:21:46,825 --> 00:21:49,825 で 小林は 406 00:21:46,825 --> 00:21:49,825 どうやって高校まで進んだんだ? 407 00:21:51,825 --> 00:21:57,825 母方の親戚が 408 00:21:51,825 --> 00:21:57,825 いろいろと助けてくれました。 409 00:21:57,825 --> 00:22:02,825 そっか… 良かった。 410 00:22:02,825 --> 00:22:05,825 ちゃんといい人がいて 良かった。 411 00:22:05,825 --> 00:22:11,825 (美咲)その親戚は おばあさんのことについて 412 00:22:05,825 --> 00:22:11,825 何か言ってなかったの? 413 00:22:11,825 --> 00:22:16,825 いつも 「おばあちゃんは 414 00:22:11,825 --> 00:22:16,825 遠くに行っちゃったんだよ」って→ 415 00:22:16,825 --> 00:22:18,825 言うばかりで…。 416 00:22:18,825 --> 00:22:22,825 今日は にぎやかだねえ。 417 00:22:24,825 --> 00:22:27,825 初めまして 小林くん。 418 00:22:29,825 --> 00:22:31,825 初めまして…。 419 00:22:34,825 --> 00:22:37,825 話は全て聞いていたよ。 420 00:22:37,825 --> 00:22:46,825 ♬〜 421 00:22:50,759 --> 00:22:57,759 (柱時計の時報) 422 00:22:57,759 --> 00:23:06,759 小林くん 423 00:22:57,759 --> 00:23:06,759 これは僕の勝手な想像なんだがね。 424 00:23:06,759 --> 00:23:09,759 君が本当に知りたいのは→ 425 00:23:09,759 --> 00:23:14,759 不思議な出来事の真相では 426 00:23:09,759 --> 00:23:14,759 ないんじゃないかな? 427 00:23:14,759 --> 00:23:17,759 (岩田)えっ そうなの? 428 00:23:17,759 --> 00:23:19,759 …はい。 429 00:23:21,759 --> 00:23:24,759 いつも考えちゃうんです。 430 00:23:24,759 --> 00:23:32,759 なんで あの日 両親は 431 00:23:24,759 --> 00:23:32,759 すぐに祖父母の家に行かなかったのかって。 432 00:23:32,759 --> 00:23:40,759 なんで 空港に着いて 433 00:23:32,759 --> 00:23:40,759 急に 乗馬の予約をしたんでしょうか? 434 00:23:40,759 --> 00:23:43,759 旅行に行く少し前から→ 435 00:23:43,759 --> 00:23:52,759 祖父母の話をすると なぜか顔を曇らせて 436 00:23:43,759 --> 00:23:52,759 話をすり替えようとしてました。 437 00:23:52,759 --> 00:23:59,759 父と母は 祖父母のことが…→ 438 00:23:59,759 --> 00:24:01,759 嫌いだったんでしょうか? 439 00:24:04,759 --> 00:24:08,759 世の中で起こる全ての出来事は物語。 440 00:24:08,759 --> 00:24:10,759 僕は そう思うんだ。 441 00:24:12,759 --> 00:24:20,759 もし 君が望むなら 442 00:24:12,759 --> 00:24:20,759 ご家族の物語を紡いでみよう。 443 00:24:25,759 --> 00:24:32,759 ご両親には おじいさまとおばあさまの家に 444 00:24:25,759 --> 00:24:32,759 行きづらい理由があったんだ。 445 00:24:32,759 --> 00:24:36,759 では その理由とは 一体 何か? 446 00:24:38,759 --> 00:24:43,759 楓は どんな物語を紡ぐのかな? 447 00:24:46,759 --> 00:24:52,759 関係が変わったのは 両親と祖父母ではなく 448 00:24:46,759 --> 00:24:52,759 おじいさんとおばあさんだった。 449 00:24:52,759 --> 00:24:56,759 おじいさんが発した 450 00:24:52,759 --> 00:24:56,759 「俺を捨てんでくれ」という言葉が→ 451 00:24:56,759 --> 00:24:58,759 この物語を補完している。 452 00:24:58,759 --> 00:25:03,759 祖父母の関係性が変わったという視点は 453 00:24:58,759 --> 00:25:03,759 悪くない。 454 00:25:03,759 --> 00:25:07,759 だが まだ 謎が残っている。 455 00:25:07,759 --> 00:25:11,759 なんで わざわざ乗馬を選んだのか? 456 00:25:11,759 --> 00:25:13,759 うん。 457 00:25:14,759 --> 00:25:17,759 祖父母の家に行きづらいだけなら→ 458 00:25:17,759 --> 00:25:24,759 もっと 小林くんも 459 00:25:17,759 --> 00:25:24,759 同行したくなるようなことを考えたはずだ。 460 00:25:24,759 --> 00:25:26,759 あっ… はい。 461 00:25:26,759 --> 00:25:31,759 ツツジは春から初夏の花。 462 00:25:26,759 --> 00:25:31,759 夏休みに見るには遅いと思う。 463 00:25:31,759 --> 00:25:33,759 うん。 464 00:25:33,759 --> 00:25:38,759 なぜ 室内や納屋ではなく 465 00:25:33,759 --> 00:25:38,759 玄関に脚立があったのか? 466 00:25:38,759 --> 00:25:41,759 (四季)なぜ おじいさんの足が 467 00:25:38,759 --> 00:25:41,759 よろついていたのか? 468 00:25:43,759 --> 00:25:50,759 つまり これには 別の物語Xが存在するんだ。 469 00:25:51,759 --> 00:25:53,759 物語X…? 470 00:25:54,759 --> 00:25:59,759 楓 香りを焚かせてくれないか? 471 00:26:08,759 --> 00:26:16,759 ♬〜 472 00:26:16,759 --> 00:26:19,759 (風鈴の音) 473 00:26:23,759 --> 00:26:25,759 「絵」が見えたよ。 474 00:26:28,759 --> 00:26:31,759 君のご両親は→ 475 00:26:31,759 --> 00:26:35,759 おじいさまの元に 476 00:26:31,759 --> 00:26:35,759 行かなかったわけじゃない。 477 00:26:36,759 --> 00:26:38,759 行けなかったんだ。 478 00:26:40,759 --> 00:26:42,759 (小林)えっ…? 479 00:26:43,759 --> 00:26:50,759 ご両親は 君が断ることを分かった上で 480 00:26:43,759 --> 00:26:50,759 あえて 乗馬を提案したんだ。 481 00:26:50,759 --> 00:26:53,759 あえてって… なんで そんなこと? 482 00:26:54,759 --> 00:26:57,759 君を留守番させるためだろうね。 483 00:26:57,759 --> 00:27:04,759 まだ幼かった君には 484 00:26:57,759 --> 00:27:04,759 少々 残酷な現実が待っていたからだ。 485 00:27:05,759 --> 00:27:07,759 …なんですか? 486 00:27:09,759 --> 00:27:13,759 君のおじいさまは…→ 487 00:27:13,759 --> 00:27:16,759 認知症を患っていたんだ。 488 00:27:17,759 --> 00:27:19,759 認知症…。 489 00:27:20,759 --> 00:27:25,759 そんな…。 490 00:27:20,759 --> 00:27:25,759 いや だって あんな元気だったのに…。 491 00:27:25,759 --> 00:27:29,759 簡単に受け入れられないのも無理はない。 492 00:27:30,759 --> 00:27:36,759 だが おじいさまが認知症だとすれば 493 00:27:30,759 --> 00:27:36,759 つじつまが合うんだ。 494 00:27:37,759 --> 00:27:44,759 ご両親は おばあさまから 495 00:27:37,759 --> 00:27:44,759 時折 認知症の相談を受けていたんだ。 496 00:27:44,759 --> 00:27:49,759 (美咲)だから 祖父母の話になると 497 00:27:44,759 --> 00:27:49,759 顔を曇らせてたんだ。 498 00:27:49,759 --> 00:27:52,759 おじいさんが認知症だったとしたら…。 499 00:27:52,759 --> 00:27:56,759 介護する人と される人が 500 00:27:52,759 --> 00:27:56,759 入れ替わっていた…。 501 00:27:56,759 --> 00:27:59,759 祖父母の関係性が変わった。 502 00:27:59,759 --> 00:28:03,759 火事の後 503 00:27:59,759 --> 00:28:03,759 家に おばあさまの姿がなかったことが→ 504 00:28:03,759 --> 00:28:06,759 何より その状況を示している。 505 00:28:07,759 --> 00:28:13,759 あの日 小林くんが見たのは 506 00:28:07,759 --> 00:28:13,759 おばあさまではなかった。 507 00:28:13,759 --> 00:28:16,759 えっ じゃあ 誰だったんです? 508 00:28:22,759 --> 00:28:24,759 (小林)おじいちゃん! おばあちゃん! 509 00:28:24,759 --> 00:28:27,759 (祖父の声)おじいさまが押していたのは→ 510 00:28:27,759 --> 00:28:32,759 車椅子ではなく シルバーカーだったんだ。 511 00:28:32,759 --> 00:28:37,759 玄関で白い煙を上げていた 512 00:28:32,759 --> 00:28:37,759 脚立のような それが→ 513 00:28:37,759 --> 00:28:40,759 シルバーカーだった。 514 00:28:41,759 --> 00:28:45,759 小林くんが見た おばあさんっていうのは? 515 00:28:46,759 --> 00:28:51,759 小林くんのおじいさまは 農業をやっていた。 516 00:28:51,759 --> 00:28:53,759 農家に いつもあり→ 517 00:28:53,759 --> 00:28:57,759 火が移れば 518 00:28:53,759 --> 00:28:57,759 跡形もなくなってしまうものは…。 519 00:28:59,759 --> 00:29:01,759 かかし…? 520 00:29:05,759 --> 00:29:08,759 (岩田)あれ? 521 00:29:05,759 --> 00:29:08,759 でも 手を振ってるように見えたのは? 522 00:29:09,759 --> 00:29:15,759 シルバーカーに伝わる振動で 523 00:29:09,759 --> 00:29:15,759 かかしの体が動くこともある。 524 00:29:15,759 --> 00:29:20,759 まして 固定されていないとしたら 525 00:29:15,759 --> 00:29:20,759 なおさらだ。 526 00:29:21,759 --> 00:29:25,759 なんで 祖父は 527 00:29:21,759 --> 00:29:25,759 シルバーカーに かかしなんか…。 528 00:29:26,759 --> 00:29:28,759 おばあちゃんに見立ててたのかも。 529 00:29:29,759 --> 00:29:31,759 えっ? 530 00:29:31,759 --> 00:29:36,759 しばらく 姿が見えない おばあさんを 531 00:29:31,759 --> 00:29:36,759 かかしに重ねてしまった。 532 00:29:36,759 --> 00:29:41,759 認知症の中には 533 00:29:36,759 --> 00:29:41,759 そういう幻を見るものもあるんだよ。 534 00:29:43,759 --> 00:29:46,759 じゃあ 祖母は どこにいたんですか? 535 00:29:46,759 --> 00:29:51,759 旅行の直前に 一体 何があったのか…。 536 00:29:52,759 --> 00:29:58,759 小林くん 537 00:29:52,759 --> 00:29:58,759 君が近くの側溝で ツツジの色を見た それは→ 538 00:29:58,759 --> 00:30:01,759 本当に染料だったのかな? 539 00:30:02,759 --> 00:30:04,759 …えっ? 540 00:30:06,759 --> 00:30:08,759 (祖父の声)君のご両親は→ 541 00:30:08,759 --> 00:30:12,759 おじいさまの元に 542 00:30:08,759 --> 00:30:12,759 行かなかったわけじゃない。 543 00:30:12,759 --> 00:30:14,759 行けなかったんだ。 544 00:30:14,759 --> 00:30:16,759 認知症を患っていたんだ。 545 00:30:18,759 --> 00:30:22,759 (美咲の声)介護する人と される人が 546 00:30:18,759 --> 00:30:22,759 入れ替わっていた…。 547 00:30:26,759 --> 00:30:28,759 あっ…! 548 00:30:34,759 --> 00:30:36,759 あっ…! 549 00:30:36,759 --> 00:30:38,759 なんですか? 教えてください! 550 00:30:43,759 --> 00:30:48,759 ツツジの色と間違えるぐらい 551 00:30:43,759 --> 00:30:48,759 赤みがかっていたということは…。 552 00:30:49,759 --> 00:30:52,759 比較的 新しい血痕だった。 553 00:30:52,759 --> 00:30:54,759 血痕? 554 00:30:54,759 --> 00:31:03,759 ♬〜 555 00:31:03,759 --> 00:31:05,759 あの日 おばあさまは→ 556 00:31:05,759 --> 00:31:11,759 認知症のおじいさまが押す車椅子で 557 00:31:05,759 --> 00:31:11,759 用水路に転倒し→ 558 00:31:11,759 --> 00:31:13,759 大けがをしてしまった。 559 00:31:16,759 --> 00:31:18,759 そんな…。 560 00:31:19,759 --> 00:31:22,759 病院に搬送される時→ 561 00:31:22,759 --> 00:31:27,759 車椅子は おばあさまと一緒に 562 00:31:22,759 --> 00:31:27,759 救急車に乗せられた。 563 00:31:28,759 --> 00:31:31,759 だから 焼け跡から 564 00:31:28,759 --> 00:31:31,759 車椅子が見つからなかったんですね。 565 00:31:32,759 --> 00:31:38,759 当然 おじいさまも 566 00:31:32,759 --> 00:31:38,759 救急車に同乗したことだろう。 567 00:31:39,759 --> 00:31:43,759 だが 病院に着くなり 568 00:31:39,759 --> 00:31:43,759 自宅に戻ってしまった。 569 00:31:45,759 --> 00:31:48,759 なんで 祖父は 570 00:31:45,759 --> 00:31:48,759 一人で家に帰ったんですか? 571 00:31:48,759 --> 00:31:54,759 家に帰れば 572 00:31:48,759 --> 00:31:54,759 おばあさんに会えると思ったのかも。 573 00:31:54,759 --> 00:31:58,759 突然 最愛の人の姿が消えたんだ。 574 00:31:58,759 --> 00:32:04,759 その苦しさは 575 00:31:58,759 --> 00:32:04,759 簡単に受け入れられるものではない。 576 00:32:06,759 --> 00:32:13,759 きっと おじいさまの「こころ」は 577 00:32:06,759 --> 00:32:13,759 完全に壊れてしまったんだ。 578 00:32:15,759 --> 00:32:19,759 おばあさまへの愛情ゆえに。 579 00:32:21,759 --> 00:32:29,759 小林くんに 580 00:32:21,759 --> 00:32:29,759 認知症の話をするわけにもいかず→ 581 00:32:29,759 --> 00:32:33,759 大けがをした おばあさんの症状も 582 00:32:29,759 --> 00:32:33,759 思わしくなかった。 583 00:32:34,759 --> 00:32:40,759 だから 病院には 584 00:32:34,759 --> 00:32:40,759 ご両親だけで行くしかなかった。 585 00:32:42,759 --> 00:32:47,759 (美咲)つまり ご両親は 586 00:32:42,759 --> 00:32:47,759 乗馬ではなく 病院に向かっていた。 587 00:32:48,759 --> 00:32:51,759 そんな中 火事が起きた。 588 00:32:51,759 --> 00:32:55,759 おばあさんだと思っていた かかしが 589 00:32:51,759 --> 00:32:55,759 燃えてしまった。 590 00:32:55,759 --> 00:32:57,759 かかしは 591 00:32:55,759 --> 00:32:57,759 わらでできているから→ 592 00:32:57,759 --> 00:32:59,759 残骸が残らない。 593 00:32:59,759 --> 00:33:05,759 おじいさんは 「妻が消えた」「捨てられた」って 594 00:32:59,759 --> 00:33:05,759 思い込んじゃった…。 595 00:33:06,759 --> 00:33:08,759 (岩田)だから 「捨てんでくれ」って…。 596 00:33:11,759 --> 00:33:14,759 なんで お父さんたちは 597 00:33:11,759 --> 00:33:14,759 嘘なんかついたんですか? 598 00:33:14,759 --> 00:33:19,759 何も隠さずに みんなで一緒にいたら 599 00:33:14,759 --> 00:33:19,759 あんなことには…。 600 00:33:20,759 --> 00:33:23,759 ショックを与えたくなかったんだろう。 601 00:33:23,759 --> 00:33:30,759 「聡明でいたい」という 602 00:33:23,759 --> 00:33:30,759 おじいさまの願いもあったかもしれない。 603 00:33:32,759 --> 00:33:38,759 君の家族は 君に優しい嘘をついたんだ。 604 00:33:41,759 --> 00:33:46,759 家族の愛情を感じる嘘もあるんですね。 605 00:33:55,759 --> 00:34:01,759 小林くん 606 00:33:55,759 --> 00:34:01,759 写真 見せてもらってもいいかな? 607 00:34:09,759 --> 00:34:14,759 こんな僕だけどね これだけは言える。 608 00:34:15,759 --> 00:34:20,759 いや 僕だからこそ言える。 609 00:34:22,759 --> 00:34:26,759 おじいさまは 610 00:34:22,759 --> 00:34:26,759 決して 不幸ではなかったはずだ。 611 00:34:26,759 --> 00:34:32,759 最期の時 612 00:34:26,759 --> 00:34:32,759 薄れゆく意識の中で きっと→ 613 00:34:32,759 --> 00:34:35,759 見つけることができたはずだからね。 614 00:34:37,759 --> 00:34:40,759 やわらかく ほほ笑む 妻の姿を。 615 00:34:40,759 --> 00:34:43,759 一緒に笑い合う 家族の姿を。 616 00:34:46,759 --> 00:34:49,759 君には そう思う義務がある。 617 00:34:52,759 --> 00:35:00,759 「いいことは重なるものだ」と 618 00:34:52,759 --> 00:35:00,759 おばあさまが おっしゃっていたからだ。 619 00:35:00,759 --> 00:35:07,759 確かに あの日の君には 悪いことが重なった。 620 00:35:07,759 --> 00:35:11,759 だが 今後の君には→ 621 00:35:11,759 --> 00:35:16,759 いいことを重ねる義務がある。 622 00:35:16,759 --> 00:35:25,759 ♬〜 623 00:35:25,759 --> 00:35:27,759 (たたく音) 624 00:35:28,759 --> 00:35:30,759 (たたく音) 625 00:35:35,759 --> 00:35:38,759 そういう義務がある。 626 00:35:39,759 --> 00:35:41,759 (泣き声) 627 00:35:42,759 --> 00:35:51,759 (すすり泣き) 628 00:35:51,759 --> 00:35:55,759 どんな形の「家族」であっても→ 629 00:35:55,759 --> 00:36:03,759 そこには 思い合える温かさがあると 630 00:35:55,759 --> 00:36:03,759 僕は信じてる。 631 00:36:06,759 --> 00:36:10,759 小林くんの家族が そうであったようにね。 632 00:36:12,759 --> 00:36:15,759 僕には分かる。 633 00:36:17,759 --> 00:36:22,759 小林くんのご家族が 634 00:36:17,759 --> 00:36:22,759 どれほどの愛に満ちていたのか。 635 00:36:22,759 --> 00:36:33,759 ♬〜 636 00:36:33,759 --> 00:36:39,759 ほら 君のおじいさまとおばあさま…。 637 00:36:42,759 --> 00:36:44,759 ご両親もだ。 638 00:36:47,759 --> 00:36:53,759 あんなに温かい目で 639 00:36:47,759 --> 00:36:53,759 君を見守ってくれているじゃないか。 640 00:36:53,759 --> 00:37:00,759 ♬〜 641 00:37:02,759 --> 00:37:08,759 せっかく いらしたんですから 642 00:37:02,759 --> 00:37:08,759 どうぞ 上がってください。 643 00:37:10,759 --> 00:37:14,759 僕の手相も見ていただけますか? 644 00:37:15,759 --> 00:37:18,759 えっ? ああ…。 どうぞ…。 645 00:37:18,759 --> 00:37:20,759 (風鈴の音) 646 00:37:24,759 --> 00:37:26,759 おっ…! なんだよ? 647 00:37:26,759 --> 00:37:31,759 (四季)こっちのせりふです。 648 00:37:26,759 --> 00:37:31,759 何 寂しそうな顔してるんですか? 649 00:37:32,759 --> 00:37:34,759 (缶を開ける音) 650 00:37:32,759 --> 00:37:34,759 (岩田)いや…→ 651 00:37:34,759 --> 00:37:38,759 ぶっちゃけ 652 00:37:34,759 --> 00:37:38,759 「俺の両親って どうだったんだろう」って。 653 00:37:45,759 --> 00:37:50,759 自分は独りぼっちだ 654 00:37:45,759 --> 00:37:50,759 とでも言うつもりですか? 655 00:37:51,759 --> 00:37:55,759 (四季)言っときますけど 656 00:37:51,759 --> 00:37:55,759 そう思ってるの 先輩だけですからね! 657 00:37:56,759 --> 00:37:58,759 ちゃんと 周り見てください。 658 00:38:04,759 --> 00:38:06,759 (岩田)四季〜っ! 659 00:38:04,759 --> 00:38:06,759 (四季)うおーっ! やめてください! 660 00:38:06,759 --> 00:38:09,759 こぼれる こぼれる! 661 00:38:06,759 --> 00:38:09,759 (岩田)おまえって奴は! おまえ…! 662 00:38:11,759 --> 00:38:15,759 まどふき先生が なんで レジェンドなのか 663 00:38:11,759 --> 00:38:15,759 分かった気がする。 664 00:38:15,759 --> 00:38:17,759 うん。 665 00:38:17,759 --> 00:38:20,759 初めて会った人の家族のことまで 666 00:38:17,759 --> 00:38:20,759 分かっちゃうんだから すごいよなあ…。 667 00:38:20,759 --> 00:38:22,759 うん。 668 00:38:23,759 --> 00:38:27,759 教師 続けてれば 669 00:38:23,759 --> 00:38:27,759 分かるようになるのかな? 670 00:38:28,759 --> 00:38:30,759 ねえ 美咲。 671 00:38:28,759 --> 00:38:30,759 ん? 672 00:38:30,759 --> 00:38:33,759 なんで そんな悲しい顔してるの? 673 00:38:36,759 --> 00:38:40,759 (美咲)すずちゃん。 674 00:38:36,759 --> 00:38:40,759 無理はしなくていいんだよ。 675 00:38:40,759 --> 00:38:45,759 でもね 友達みんな 676 00:38:40,759 --> 00:38:45,759 すずちゃんが来るの 待ってるよ。 677 00:38:46,759 --> 00:38:50,759 学校が怖いんだって。 678 00:38:51,759 --> 00:38:54,759 怖くて眠れないって。 679 00:38:54,759 --> 00:38:57,759 美咲は 顔見て 話せてるの? 680 00:38:57,759 --> 00:39:01,759 うーん… 部屋に こもっちゃう日もある。 681 00:39:03,759 --> 00:39:07,759 どうしてあげたらいいのか 682 00:39:03,759 --> 00:39:07,759 私も分かんなくなっちゃって。 683 00:39:08,759 --> 00:39:10,759 ねえ じゃあ 相談してみる? 684 00:39:11,759 --> 00:39:13,759 えっ? 685 00:39:13,759 --> 00:39:16,759 元校長の名探偵に。 686 00:39:21,891 --> 00:39:24,891 (すず)あなたが 名探偵さん? 687 00:39:25,891 --> 00:39:29,891 おお〜! 名探偵か。 688 00:39:29,891 --> 00:39:34,891 いやあ そう呼ばれると 689 00:39:29,891 --> 00:39:34,891 気分のいいものだね。 フフフッ…。 690 00:39:35,891 --> 00:39:43,891 すずちゃん 早速だけどね 691 00:39:35,891 --> 00:39:43,891 学校のことで悩みがあるそうだね。 692 00:39:44,891 --> 00:39:47,891 (すず)悩みというより これは事件なの。 693 00:39:48,891 --> 00:39:53,891 なるほど。 694 00:39:48,891 --> 00:39:53,891 詳しく聞かせてくれないか? 695 00:39:54,891 --> 00:39:56,891 (すず)うちの学校の階段ね→ 696 00:39:56,891 --> 00:40:01,891 いつもは 12段なのに 697 00:39:56,891 --> 00:40:01,891 時々 13段になっちゃうの。 698 00:40:01,891 --> 00:40:05,891 ほお〜…。 それは不思議だねえ。 699 00:40:05,891 --> 00:40:09,891 (すず)それから 700 00:40:05,891 --> 00:40:09,891 音楽室の前を通りかかったら→ 701 00:40:09,891 --> 00:40:13,891 中で 前の校長先生がピアノを弾いてた。 702 00:40:13,891 --> 00:40:16,891 1年前に死んじゃったはずなのに。 703 00:40:18,891 --> 00:40:21,891 それは怖いものを見たね。 704 00:40:22,891 --> 00:40:29,891 (すず)でもね 友達に言ったら 705 00:40:22,891 --> 00:40:29,891 「すずは嘘つきだ」って言われちゃった…。 706 00:40:29,891 --> 00:40:31,891 嘘なんかついてないのに。 707 00:40:31,891 --> 00:40:37,891 いやあ そのとおり。 708 00:40:31,891 --> 00:40:37,891 すずちゃんは 嘘なんかついていない。 709 00:40:38,891 --> 00:40:40,891 信じてくれるの? 710 00:40:40,891 --> 00:40:42,891 もちろん! 711 00:40:43,891 --> 00:40:50,891 じゃあ 名探偵さんは 712 00:40:43,891 --> 00:40:50,891 どう解決する? 713 00:40:52,891 --> 00:41:00,891 すずちゃん 世の中で起こった出来事に 714 00:40:52,891 --> 00:41:00,891 なんでも原因を求めちゃいけないよ。 715 00:41:00,891 --> 00:41:07,891 不思議なことに遭遇するのは 716 00:41:00,891 --> 00:41:07,891 なんの刺激もない日々を送るよりも→ 717 00:41:07,891 --> 00:41:11,891 ずっと幸せだと思うべきだ。 718 00:41:13,891 --> 00:41:16,891 (すず)幸せ? どうして? 719 00:41:16,891 --> 00:41:22,891 すずちゃんは 720 00:41:16,891 --> 00:41:22,891 魔法の世界の主人公だからだよ。 721 00:41:24,891 --> 00:41:27,891 フフフッ…。 722 00:41:24,891 --> 00:41:27,891 (すず)魔法? 723 00:41:27,891 --> 00:41:35,891 すずちゃんは 12段しかない階段を 724 00:41:27,891 --> 00:41:35,891 13段に増やす魔法が使える。 725 00:41:35,891 --> 00:41:37,891 さらに すごいのは→ 726 00:41:37,891 --> 00:41:45,891 前の校長先生を生き返らせるという 727 00:41:37,891 --> 00:41:45,891 とっておきの魔法だ。 728 00:41:47,891 --> 00:41:54,891 これは 相当な腕を持つ魔法使いじゃないと 729 00:41:47,891 --> 00:41:54,891 使えないらしい。 730 00:41:57,891 --> 00:41:59,891 (すず)そっか…。 731 00:42:01,891 --> 00:42:04,891 (すず)全部 魔法だったんだ…。 732 00:42:07,891 --> 00:42:11,891 (すず)私は魔法が使えたんだ…。 733 00:42:11,891 --> 00:42:14,891 そっか…。 734 00:42:14,891 --> 00:42:19,891 とっておきの魔法だったんだ…。 735 00:42:19,891 --> 00:42:25,891 ああ… そっか…。 736 00:42:25,891 --> 00:42:34,891 ♬〜 737 00:42:34,891 --> 00:42:39,891 ずっと 怖くて眠れないって言ってたんです。 738 00:42:40,891 --> 00:42:44,891 怖い思いは 払拭されたかな? 739 00:42:45,891 --> 00:42:47,891 ありがとうございます。 740 00:42:52,891 --> 00:42:56,891 本当に ありがとうございます。 741 00:42:58,891 --> 00:43:01,891 うちの→ 742 00:43:01,891 --> 00:43:03,891 おばあちゃんのために。 743 00:43:06,891 --> 00:43:09,891 お会いしたいと思っていたんですよ。 744 00:43:10,891 --> 00:43:15,891 同じ病気を患っていると聞いた時から。 745 00:43:16,891 --> 00:43:25,891 (柱時計の時報) 746 00:43:29,891 --> 00:43:34,891 ん? 目が覚めたかな? すずちゃん。 747 00:43:34,891 --> 00:43:39,891 (すず)ああ… 名探偵さん…。 748 00:43:39,891 --> 00:43:45,891 あっ… 749 00:43:39,891 --> 00:43:45,891 私 何か失礼なこと言ってませんでしたか? 750 00:43:45,891 --> 00:43:50,891 いやいやいや… 751 00:43:45,891 --> 00:43:50,891 心配の必要はありませんよ すずさん。 752 00:43:55,891 --> 00:43:57,891 美咲。 753 00:43:58,891 --> 00:44:00,891 おばあちゃん…。 754 00:44:00,891 --> 00:44:04,891 はあっ… 2カ月ぶりだ…。 755 00:44:07,891 --> 00:44:10,891 (すず)美咲。 756 00:44:07,891 --> 00:44:10,891 (美咲)ん? 757 00:44:10,891 --> 00:44:13,891 連れてきてくれて ありがとう。 758 00:44:15,891 --> 00:44:17,891 フフッ…。 759 00:44:19,891 --> 00:44:21,891 名探偵さん…。 760 00:44:21,891 --> 00:44:27,891 あの… 私… 私ね→ 761 00:44:27,891 --> 00:44:30,891 病気なんです。 762 00:44:30,891 --> 00:44:36,891 孫娘のことが 時々 分からなくなってしまう。 763 00:44:36,891 --> 00:44:42,891 頭の片隅では 美咲だって分かっていても→ 764 00:44:42,891 --> 00:44:47,891 大好きだった 小学校の先生に 765 00:44:42,891 --> 00:44:47,891 見えてしまうことがあるんです。 766 00:44:48,891 --> 00:44:55,891 (すず)その度に 美咲が私に合わせて 767 00:44:48,891 --> 00:44:55,891 演技してくれてることも分かってる。 768 00:44:59,891 --> 00:45:02,891 (すず)名探偵さん…。 769 00:45:02,891 --> 00:45:07,891 幻を見ないようにするには→ 770 00:45:07,891 --> 00:45:12,891 美咲に心配をかけないようにするには 771 00:45:07,891 --> 00:45:12,891 どうしたらいいんでしょうか? 772 00:45:18,891 --> 00:45:23,891 いやあ… 難しい問題だ。 773 00:45:23,891 --> 00:45:27,891 僕も 何度も考えていたことでしてね。 774 00:45:28,891 --> 00:45:31,891 実はね→ 775 00:45:31,891 --> 00:45:37,891 僕も同じ病気なんですよ 776 00:45:31,891 --> 00:45:37,891 すずさん。 777 00:45:39,891 --> 00:45:41,891 そうなんですか。 778 00:45:41,891 --> 00:45:49,891 だが 残酷なようだが 779 00:45:41,891 --> 00:45:49,891 僕たちの幻は 病気が見せているものだ。 780 00:45:50,891 --> 00:45:54,891 自力で消そうにも 781 00:45:50,891 --> 00:45:54,891 そう うまくはいかない。 782 00:45:56,891 --> 00:45:58,891 でも すずさん→ 783 00:45:58,891 --> 00:46:02,891 心配かけたっていいじゃないか。 784 00:46:02,891 --> 00:46:05,891 忘れたっていいじゃないか。 785 00:46:06,891 --> 00:46:09,891 たとえ 思い出せない時がきても→ 786 00:46:09,891 --> 00:46:13,891 われわれが孫を思う気持ちは→ 787 00:46:13,891 --> 00:46:20,891 この子たちが生まれた時から 788 00:46:13,891 --> 00:46:20,891 何一つ変わらない。 789 00:46:23,891 --> 00:46:25,891 そうですね。 790 00:46:26,891 --> 00:46:28,891 すずさん。 791 00:46:28,891 --> 00:46:36,891 どんなに病気が進んでも 792 00:46:28,891 --> 00:46:36,891 すずさんは美咲先生のおばあさまです。 793 00:46:36,891 --> 00:46:42,891 ♬〜 794 00:46:42,891 --> 00:46:46,891 僕が楓のおじいちゃんであるようにね。 795 00:46:46,891 --> 00:46:48,891 フフッ。 796 00:46:53,891 --> 00:46:56,891 はい おしまい。 797 00:46:56,891 --> 00:46:59,891 おっ? なんだ? 798 00:46:59,891 --> 00:47:02,891 まだまだ読めっていう顔だな。 799 00:47:02,891 --> 00:47:05,891 う〜ん… 仕方がないな。 800 00:47:05,891 --> 00:47:09,891 じゃあ もう一冊だけ。 なっ。 801 00:47:09,891 --> 00:47:11,891 よし。 802 00:47:11,891 --> 00:47:13,891 うっ… ふう…。 803 00:47:13,891 --> 00:47:17,891 ああ…。 まだまだ読み足りないって。 804 00:47:17,891 --> 00:47:20,891 いやあ 誰に似たのかなあ…。 805 00:47:20,891 --> 00:47:22,891 ほら 見てごらん。 806 00:47:22,891 --> 00:47:29,891 こんなに楽しげな顔をされては 807 00:47:22,891 --> 00:47:29,891 断れるはずもない。 フフフッ…。 808 00:47:29,891 --> 00:47:31,891 なあ 香苗。 809 00:47:32,891 --> 00:47:36,891 ハハハハッ…。 うん…。 810 00:47:36,891 --> 00:47:42,891 うん。 フフフ… フフッ… ハハハ…。 811 00:47:42,891 --> 00:47:46,891 うん? フフフフッ…。 812 00:47:42,891 --> 00:47:46,891 (風鈴の音)