1 00:00:04,137 --> 00:00:09,943 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:09,943 --> 00:01:01,094 ♬~ 3 00:01:01,094 --> 00:01:03,597 (久兵衛)こら! もういっぺん 言うてみい! 4 00:01:03,597 --> 00:01:06,433 (清次)いや お怒りは ごもっともだと思いますが➡ 5 00:01:06,433 --> 00:01:08,468 何しろ 樽屋は 樽を作らにゃ➡ 6 00:01:08,468 --> 00:01:10,604 おまんまの食いあげで ございまして。 7 00:01:10,604 --> 00:01:13,440 よくも 「入兆」を裏切ったな。 裏切るなんて めっそうもない。 8 00:01:13,440 --> 00:01:15,375 お前 うち以外と取り引きせん 言うたやないか? 9 00:01:15,375 --> 00:01:17,311 それを カギタに なびくとは何事や!? 10 00:01:17,311 --> 00:01:19,313 なびいてはおりません。 ただ 生きてくためには➡ 11 00:01:19,313 --> 00:01:21,949 なりふり構わず注文を取るしか ないんございます。 12 00:01:21,949 --> 00:01:24,451 そやから なんで 事前に わしに相談せえへんのや? 13 00:01:24,451 --> 00:01:26,954 かえって ご迷惑を かけるんじゃないかと思って…。 14 00:01:26,954 --> 00:01:29,856 アホ! お前とは もう絶縁じゃ。 15 00:01:29,856 --> 00:01:32,826 二度と 樽は頼まん。 (律子)お父さん それは横暴よ。 16 00:01:32,826 --> 00:01:36,296 何が 横暴や? よそへ行って しっぽ振るような犬に➡ 17 00:01:36,296 --> 00:01:38,231 餌をやれるかい! 犬とは ひどいですね 18 00:01:38,231 --> 00:01:42,970 ひどい事 あるかい。 犬が 気ぃ悪うするわ。 19 00:01:42,970 --> 00:01:46,640 旦那 手前どもが 注文が減ってから➡ 20 00:01:46,640 --> 00:01:48,575 どうやっていたか お分かりですかい? 21 00:01:48,575 --> 00:01:52,446 わしに借金してたやないか? あんなんじゃ 焼け石に水ですよ。 22 00:01:52,446 --> 00:01:55,983 黙れ! どんな苦しい時でも 歯 食いしばって➡ 23 00:01:55,983 --> 00:01:57,918 我慢するのが男やないか。 うちには➡ 24 00:01:57,918 --> 00:02:00,821 追い回しを含めて 6人の職工がいるんです。 25 00:02:00,821 --> 00:02:03,790 「入兆」はな 53人もおるわい。 なあ? 26 00:02:03,790 --> 00:02:05,792 (桑原)いえ 55人ですわ。 27 00:02:05,792 --> 00:02:10,430 何が おかしい? まあまあ 聞いておくんなさいよ。 28 00:02:10,430 --> 00:02:13,333 手前どもは 注文が減ってから➡ 29 00:02:13,333 --> 00:02:16,937 泣く泣く 棺おけ屋の下請けを やっております。 30 00:02:16,937 --> 00:02:19,439 (梅木)棺おけですか? (清次)へい。 31 00:02:19,439 --> 00:02:24,311 寝棺 座棺。 旦那 注文がありゃ いつでも お届けいたします。 32 00:02:24,311 --> 00:02:26,313 縁起でもない事 ぬかすな。 33 00:02:26,313 --> 00:02:29,149 すき好んで 棺おけを 作ってる訳じゃございません。 34 00:02:29,149 --> 00:02:31,151 私は 樽屋でございます。 35 00:02:31,151 --> 00:02:34,287 旦那 どうか 樽を作らせておくんなせえ。 36 00:02:34,287 --> 00:02:36,223 約束した分だけは ちゃんと引き取っとるやろ? 37 00:02:36,223 --> 00:02:38,458 支払いも ちゃんとしとるわい。 そうやろ? 38 00:02:38,458 --> 00:02:40,394 はい それは もう間違いなく。 39 00:02:40,394 --> 00:02:42,329 零細企業を いじめるのは かわいそうよ。 40 00:02:42,329 --> 00:02:44,331 「入兆」の注文が減れば カギタへだって➡ 41 00:02:44,331 --> 00:02:46,333 山川へだって行くのは 当然でしょ? 42 00:02:46,333 --> 00:02:49,970 これは ありがてえ お言葉で。 樽清は うちの子飼いやぞ。 43 00:02:49,970 --> 00:02:52,005 20年もの間 いろいろ助けてきたんや。 44 00:02:52,005 --> 00:02:54,141 工場を造る時かて 援助してるやないか! 45 00:02:54,141 --> 00:02:56,076 それは るいさんの ごきょうだいですもの。 46 00:02:56,076 --> 00:02:59,479 かをるさんの伯父さんですから。 余計な事 言うな。 47 00:02:59,479 --> 00:03:01,748 お父さんは 寂しがりやなのね。 48 00:03:01,748 --> 00:03:03,684 周りの人が だんだん去っていくのは➡ 49 00:03:03,684 --> 00:03:08,388 耐えられないんでしょ? お前は黙っとれ 言うとるやろ。 50 00:03:19,933 --> 00:03:22,836 (河原畑)律子さん。 あら しばらくね。 51 00:03:22,836 --> 00:03:26,440 あなたに お話があります。 私 急いでますの。 52 00:03:26,440 --> 00:03:30,310 重大な話です。 また 誰かの悪口ですか? 53 00:03:30,310 --> 00:03:32,312 そうじゃないんだ。 54 00:03:36,950 --> 00:03:39,853 あなたの作品 もう一度 読ませてくれませんか? 55 00:03:39,853 --> 00:03:42,456 あれは もうありません。 ない? 56 00:03:42,456 --> 00:03:44,958 あなたに こき下ろされて その晩のうちに➡ 57 00:03:44,958 --> 00:03:47,461 おふろのたきつけに してしまいました。 58 00:03:47,461 --> 00:03:49,963 冗談を言ってるんですよね? とんでもない 本当よ。 59 00:03:49,963 --> 00:03:52,866 なんて事だ。 もう一度 読みたいなんて➡ 60 00:03:52,866 --> 00:03:55,836 まだ 文句を言い足りないの? そうじゃありません。 61 00:03:55,836 --> 00:03:59,973 あの作品は 沖田さんや 宍戸さんの批評が正しかった。 62 00:03:59,973 --> 00:04:02,876 僕は わざと あなたに絡んだんです。 63 00:04:02,876 --> 00:04:05,779 どうして? 察して下さい。 64 00:04:05,779 --> 00:04:08,782 かわいさ余って 憎さ百倍 というやつです。 65 00:04:08,782 --> 00:04:12,419 あの日は なんとしても あなたを傷つけたかった。 66 00:04:12,419 --> 00:04:15,322 作品に言いがかりをつけて あなたを怒らせたかった。 67 00:04:15,322 --> 00:04:18,925 あなたの批評は当たってたわ。 ブルジョアの娘が➡ 68 00:04:18,925 --> 00:04:22,429 プロレタリア文学を書くのは インチキだって お遊びにすぎないって。 69 00:04:22,429 --> 00:04:24,931 そんな事 言いましたか。 痛烈でしたよ。 70 00:04:24,931 --> 00:04:28,435 私は 胸を グサリと 突き刺されたような気がして…。 71 00:04:28,435 --> 00:04:31,338 謝ります。 このとおり。 謝る必要ないわ。 72 00:04:31,338 --> 00:04:33,940 僕には あるんです。 73 00:04:33,940 --> 00:04:37,444 僕は あなたを侮辱する事によって➡ 74 00:04:37,444 --> 00:04:41,948 決別を表明したつもりでした。 ところが失敗でした。 75 00:04:41,948 --> 00:04:46,453 あなたに会えなくなってからは 地獄の苦しみだったんです。 76 00:04:46,453 --> 00:04:49,956 大げさね。大げさじゃない。 あなたという人は➡ 77 00:04:49,956 --> 00:04:52,859 いなくなってから 存在の大きさを示す人なんだ。 78 00:04:52,859 --> 00:04:55,462 目を つぶってみて。 えっ? 79 00:04:55,462 --> 00:04:57,397 30秒で消えますから。 80 00:04:57,397 --> 00:05:03,270 逃げられて たまりますか。 話は これからです。 81 00:05:03,270 --> 00:05:06,406 (律子)どうぞ お話し下さい。 82 00:05:06,406 --> 00:05:11,912 どうぞと言われて すぐに しゃべれる話じゃ ありません。 83 00:05:11,912 --> 00:05:14,414 難しい人ね。 じりじりするわ。 84 00:05:20,420 --> 00:05:25,926 律子さん。 結婚を前提として 交際して下さい。➡ 85 00:05:25,926 --> 00:05:31,431 僕の気持ちは ずっと前から ご存じのはずですよ。 86 00:05:31,431 --> 00:05:33,366 プロポーズってわけ? 87 00:05:33,366 --> 00:05:36,770 正式には 人を介して お父さんに申し込みますが➡ 88 00:05:36,770 --> 00:05:39,806 あなたに 事前の了解を 得ておきたいと思いましてね。 89 00:05:39,806 --> 00:05:42,943 父は断るでしょうね。 醤油屋の息子じゃないからですか。 90 00:05:42,943 --> 00:05:44,878 ええ それもあります。 しかし 「入兆」さんは➡ 91 00:05:44,878 --> 00:05:46,813 僕に有利な前例を作ってしまった。 92 00:05:46,813 --> 00:05:51,952 つまり 妹さんを醤油屋じゃない 所へ嫁がせてしまった。 93 00:05:51,952 --> 00:05:54,854 押しの一手に 案外 弱いところを 暴露してしまったんだ。 94 00:05:54,854 --> 00:05:58,825 押しの一手と 簡単に言いますけど 並の努力じゃなかったのよ。 95 00:05:58,825 --> 00:06:02,395 まあ 見ていて下さい。 僕も男だ。 96 00:06:02,395 --> 00:06:08,902 精神一到 何事か成らざらん。 お手並み 拝見します。 97 00:06:08,902 --> 00:06:11,805 ひと事みたいに 言わないで下さい。 98 00:06:11,805 --> 00:06:14,808 砂糖 入れすぎよ。 あっ…。 99 00:06:18,912 --> 00:06:23,783 ♬~ 100 00:06:23,783 --> 00:06:27,420 <愛する惣吉のもとへ 嫁いで 半年。➡ 101 00:06:27,420 --> 00:06:32,292 かをるは 海に働く漁師の 新妻として 浜のしきたり➡ 102 00:06:32,292 --> 00:06:36,930 その暮らしを学ぶ 新鮮な日々を 過ごしていた> 103 00:06:36,930 --> 00:06:39,833 (包丁を使う音) 104 00:06:39,833 --> 00:06:42,435 (とね)あ~ ちょっと ちょっと 貸してみな。(かをる)はい。 105 00:06:42,435 --> 00:06:44,471 「なめろう」というのは ねっ。 106 00:06:44,471 --> 00:06:48,308 たたきよりも もっと こう 細か~く切って➡ 107 00:06:48,308 --> 00:06:52,445 練るようにする。 こうやって 練るようにする。 ねっ。➡ 108 00:06:52,445 --> 00:06:57,317 それに みそを入れる。 ねっ。➡ 109 00:06:57,317 --> 00:07:02,822 材料は アジとか サンマ。 イワシを使う事もある。 110 00:07:04,891 --> 00:07:10,397 船の上での薬味は ネギとか タマネギを使うけど➡ 111 00:07:10,397 --> 00:07:17,270 陸では まあ 好みにもよるけど ニンニクとか それから しょうが➡ 112 00:07:17,270 --> 00:07:20,407 青じそ 山椒の実なんかを使う。 113 00:07:20,407 --> 00:07:23,910 (ツエ)あ~ なんで 「なめろう」って言うんですか? 114 00:07:23,910 --> 00:07:26,813 それは あんまり うめえから すぐ なくなる。 115 00:07:26,813 --> 00:07:30,417 だから あとは 皿でも「なめろ~」 って事だっぺ。 116 00:07:30,417 --> 00:07:33,320 フフ~。 なるほど アハハ。 117 00:07:33,320 --> 00:07:40,927 または アワビの殻なんかに入れて 炭火で焼くのが 「やきさんが」。 118 00:07:40,927 --> 00:07:45,799 あ~ 「やきさんが」ね。 香ばしくって うめえど。 119 00:07:45,799 --> 00:07:48,435 ほれ 食べてみな。 120 00:07:48,435 --> 00:07:51,338 ほれ。 (ツエ)はい。 121 00:07:51,338 --> 00:07:53,940 どうだ? 122 00:07:53,940 --> 00:07:56,943 うん おいしい。 アハハ。 123 00:07:59,813 --> 00:08:01,748 ⚟お~ うまそうだ! 124 00:08:01,748 --> 00:08:05,385 <漁師の世界には 独特の食べ物があった。➡ 125 00:08:05,385 --> 00:08:08,288 サメの刺身や エイのあらい➡ 126 00:08:08,288 --> 00:08:11,291 そして これは イルカのみそ煮である> 127 00:08:15,395 --> 00:08:19,265 (松浦)何だよ その面はよう。 イルカって うめえのか? 128 00:08:19,265 --> 00:08:21,267 (磯部)うめえよ。 臭いだべ? 129 00:08:21,267 --> 00:08:24,404 (鯖江)その臭みが こたえらんねえのよ。 130 00:08:24,404 --> 00:08:28,274 (梶木)この皮んとこの舌ざわりが また いいんだよ。 131 00:08:28,274 --> 00:08:30,276 え~。 (須貝)お前も 食ってみっか? 132 00:08:30,276 --> 00:08:32,278 やだ やだ。 133 00:08:32,278 --> 00:08:36,416 嫌だ 嫌だで だんだん 好きになるんだよ~。 134 00:08:36,416 --> 00:08:40,286 男と同じ。 アハハ。 135 00:08:40,286 --> 00:08:46,426 (船村)今日のカツオは… 脂がのって うまかった。 136 00:08:46,426 --> 00:08:49,763 さあ そろそろ 引き揚げっとすっかな。 137 00:08:49,763 --> 00:08:53,266 どうも ごちそうさんでした。 (とね)まあ まだ いいじゃないか。 138 00:08:53,266 --> 00:08:56,770 いやいや 近頃 逆網が ぶっ飛んでるもんで。 139 00:08:56,770 --> 00:09:00,373 おや どうして? 毎晩 酔っ払って帰るからよ。 140 00:09:00,373 --> 00:09:02,876 まっすぐ帰んないで 寄り道すっからだ。 141 00:09:02,876 --> 00:09:05,779 耳に入ってますか? 入らないで どうするよ。 142 00:09:05,779 --> 00:09:08,748 いや~ こいつは いけねえや。 ハハハ。 143 00:09:08,748 --> 00:09:12,886 「逆網が ぶっ飛んでる」って どういう事ですか? 144 00:09:12,886 --> 00:09:16,389 何だい 知らねえのかい? はい。 145 00:09:16,389 --> 00:09:19,893 若旦那 教育が行き届いてねえな。 146 00:09:19,893 --> 00:09:23,396 え? 網主のおかみさんが 逆網を知らねえとはよ。 147 00:09:23,396 --> 00:09:25,331 逆網は 知っています。 148 00:09:25,331 --> 00:09:29,269 真網に対する逆網でしょ? そうそう。 149 00:09:29,269 --> 00:09:33,406 (惣吉)だからな 真網は亭主で 逆網は女房なんだ。 150 00:09:33,406 --> 00:09:36,309 逆網が ぶっ飛んでると言えば➡ 151 00:09:36,309 --> 00:09:39,913 「女房の機嫌が悪い」 って事になる。 152 00:09:39,913 --> 00:09:42,415 ああ…。 (船村)アハハ…➡ 153 00:09:42,415 --> 00:09:45,919 若旦那も 気を付けなよ。 女房というものはな➡ 154 00:09:45,919 --> 00:09:48,421 古くなれば なるほど ずうずうしくなるもんだ。 155 00:09:48,421 --> 00:09:50,356 (とね)はっはっ はっはっ。 あっ。 156 00:09:50,356 --> 00:09:52,292 こりゃ どうも 差し支えが あったかな。 157 00:09:52,292 --> 00:09:55,295 酒が入ると 口が悪くなるね。 もう帰った方がいいよ。 ほら! 158 00:09:55,295 --> 00:09:59,432 何だい 引き止めたり 追い返したりよ。 ハハハ。 159 00:09:59,432 --> 00:10:01,734 おっとっと。 (とね)危ない。 160 00:10:03,303 --> 00:10:06,806 (とね)まっすぐ 帰るんだよ。 ⚟(船村)ハハハ。 161 00:10:09,442 --> 00:10:12,946 はい 飲む? いえ 全然 飲めないんです。 162 00:10:12,946 --> 00:10:17,817 あ~ 稽古しといた方がいいよ。 何かの時に 役に立つからね。 163 00:10:17,817 --> 00:10:19,819 お母さん。 うん? 164 00:10:19,819 --> 00:10:22,455 私 籐ヨシを 習いたいんですけど。 165 00:10:22,455 --> 00:10:24,390 籐ヨシ? はい。 166 00:10:24,390 --> 00:10:29,329 外川の漁師のおかみさんは みんな 籐ヨシの内職をしているようで。 167 00:10:29,329 --> 00:10:33,466 うん まあ 不漁の時の しのぎになるんでね。 168 00:10:33,466 --> 00:10:38,338 でも 気を付けないと 指切ったりして 大変だよ。 169 00:10:38,338 --> 00:10:43,476 私も 漁師の女房ですから 仲間外れにされたくないんです。 170 00:10:43,476 --> 00:10:47,347 籐ヨシも 一人前にできるように しておきたいんです。 171 00:10:47,347 --> 00:10:51,351 偉い。 その心意気が うれしいね。 172 00:10:51,351 --> 00:10:55,488 よろしくお願いします。 はいはい。 173 00:10:55,488 --> 00:11:00,760 ♬~ 174 00:11:00,760 --> 00:11:06,432 (職人)初め 丸籐の寸法 割り付けすんだら 芯 残してよ➡ 175 00:11:06,432 --> 00:11:10,937 周りだけ 細~く裂いて 剥いでいくんだよ。 176 00:11:10,937 --> 00:11:14,440 はい。 慣れねえうちは➡ 177 00:11:14,440 --> 00:11:17,343 手ぇ 血だらけ傷だらけに なるんだ。 178 00:11:17,343 --> 00:11:22,315 だから ぞうり用の籐の事を 「鬼」って言うんだ。 ヘヘヘ。 179 00:11:22,315 --> 00:11:24,450 鬼? おう。 180 00:11:24,450 --> 00:11:27,353 (職人)籐を 細くひいたら さらすんだ。➡ 181 00:11:27,353 --> 00:11:29,956 さらした籐を 編み上げるのを➡ 182 00:11:29,956 --> 00:11:31,958 籐ヨシって言うんだよ。 183 00:11:33,826 --> 00:11:37,830 <籐細工は 銚子一帯の 副業であった。➡ 184 00:11:37,830 --> 00:11:41,467 明治の末に 漁民の困窮を見かねた➡ 185 00:11:41,467 --> 00:11:44,304 神主の努力で 技術導入されたもので➡ 186 00:11:44,304 --> 00:11:49,142 浜の女たちは 寸暇を惜しんで げたや ぞうりの籐表編みを➡ 187 00:11:49,142 --> 00:11:51,644 手内職としたのである> 188 00:11:51,644 --> 00:11:54,981 (女)容易じゃねえよ 籐ヨシは。➡ 189 00:11:54,981 --> 00:11:59,852 籐は 竹と同じで 節があっからね。 190 00:11:59,852 --> 00:12:05,925 節も構わず 編むのは 「ザク」っつうて 安物。 191 00:12:05,925 --> 00:12:14,434 上物は 「ヌキ」っつうて 節ごとに こうやって…➡ 192 00:12:14,434 --> 00:12:24,444 裏でつないで 縦目も細く 7本にして。➡ 193 00:12:24,444 --> 00:12:29,949 面倒な仕事よ。 これで 1日2足。➡ 194 00:12:29,949 --> 00:12:34,454 根つめても 3足が やっとだからね。 195 00:12:34,454 --> 00:12:38,324 私にも できるでしょうか? そうね…➡ 196 00:12:38,324 --> 00:12:43,963 一人前になるには 半年から1年は かかるね。 197 00:12:43,963 --> 00:12:45,965 1年? 198 00:12:48,468 --> 00:12:51,971 ヒリヒリするか? 少し。 199 00:12:53,640 --> 00:12:57,810 お前は 網主の女房だ。 200 00:12:57,810 --> 00:13:01,014 籐ヨシの編み方なんか 習わねえでいい。 201 00:13:02,782 --> 00:13:07,420 俺が いつか 海で死ぬとでも 思ったのか? 202 00:13:07,420 --> 00:13:12,925 そうじゃないんです。 いつまでも よそ者と言われないように➡ 203 00:13:12,925 --> 00:13:16,429 浜の女らしく なろうと思って。 アハハ。 204 00:13:16,429 --> 00:13:21,934 慌てる事は ねえよ。 おっちょこちょいだな お前は。 205 00:13:21,934 --> 00:13:24,437 すみません。 206 00:13:24,437 --> 00:13:26,939 この指が かわいそうじゃねえか。 207 00:13:29,942 --> 00:13:33,446 初めて会った時の事 覚えてますか? 208 00:13:33,446 --> 00:13:37,317 ああ。 あの時も 指のケガでした。 209 00:13:37,317 --> 00:13:40,953 あなたが トゲを 抜いてくれたんです。 210 00:13:40,953 --> 00:13:42,955 こうしてな。 211 00:13:48,828 --> 00:13:52,465 よく 怒りませんでしたね。 えっ? 212 00:13:52,465 --> 00:13:55,968 女が 船に触ると 縁起が悪いんでしょ? 213 00:13:55,968 --> 00:13:59,472 ツエさんなんか どなられたんですって。 214 00:13:59,472 --> 00:14:02,909 そりゃ お前 女といっても いろいろ あらあ。 215 00:14:02,909 --> 00:14:05,411 フフ あんな事 言って。 216 00:14:05,411 --> 00:14:10,917 銚子高女の制服は あこがれの的だったもんなあ。 217 00:14:10,917 --> 00:14:12,952 俺は ドキドキしてたよ。 218 00:14:12,952 --> 00:14:15,788 どなりつけるのを すっかり 忘れてた。 219 00:14:15,788 --> 00:14:19,292 まさか その人の お嫁さんに なるなんて。 220 00:14:23,429 --> 00:14:28,434 俺は 内職をさせるために 女房を もらったんじゃねえ。 221 00:14:30,303 --> 00:14:36,442 <自分は 漁師の妻として この人に 一生をささげたのだ。➡ 222 00:14:36,442 --> 00:14:40,780 かをるの背中を 幸福感が走り抜けた> 223 00:14:40,780 --> 00:14:45,985 ♬~