1 00:00:04,137 --> 00:00:09,943 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:09,943 --> 00:01:01,128 ♬~ 3 00:01:03,163 --> 00:01:05,132 (かをる)ゆうべは すみませんでした。 4 00:01:05,132 --> 00:01:09,269 (律子)ん? 何の事? 生意気な事を言ってしまって。 5 00:01:09,269 --> 00:01:12,773 どうして? お互い 思った事を 言い合うのは いいじゃない? 6 00:01:12,773 --> 00:01:15,676 (英一郎)そうだよ。 きょうだいなんだから。 7 00:01:15,676 --> 00:01:20,647 (ツエ)わ~ かをるさん きれい。 前の時より ずっと きれいですよ。 8 00:01:20,647 --> 00:01:24,151 ツエさん。 あっ… すいません。 9 00:01:28,789 --> 00:01:31,291 <梅木と かをるの結婚式は➡ 10 00:01:31,291 --> 00:01:34,795 内輪だけで 質素に行う事になった。➡ 11 00:01:34,795 --> 00:01:40,667 梅木の親代わりは 元番頭の 小畑夫妻が務めた> 12 00:01:40,667 --> 00:01:43,303 (由岐) 本日は おめでとうございます。 13 00:01:43,303 --> 00:01:46,206 (みずえ)おめでとうございます。 (梅木)ありがとうございます。 14 00:01:46,206 --> 00:01:48,208 (野呂)さあ どうぞ。 15 00:01:55,315 --> 00:01:57,818 (神山)いらっしゃいませ。 (ぎん)遅くなったかしら? 16 00:01:57,818 --> 00:01:59,753 いいえ。 あの ご主人様は? 17 00:01:59,753 --> 00:02:02,589 ええ それがね 出席するつもりだったんだけど➡ 18 00:02:02,589 --> 00:02:05,626 容体が あんまり 芳しくないのよ。 (神山)それは いけませんな。 19 00:02:05,626 --> 00:02:09,763 (小畑)本日は ご苦労さまでございます。 20 00:02:09,763 --> 00:02:13,266 おめでとう。 ありがとうございます。 21 00:02:18,772 --> 00:02:25,278 伯父さん 伯母さん お世話になりました。 22 00:02:26,947 --> 00:02:30,784 (ひな)よがったね かをるちゃん。 23 00:02:30,784 --> 00:02:34,655 (清次)かをるよ。 どうだい? 今の心持ちは。 24 00:02:34,655 --> 00:02:36,656 すっきりしています。 25 00:02:36,656 --> 00:02:41,795 そうかい。 なっ 今度の花婿は働き者だど。 26 00:02:41,795 --> 00:02:44,464 玉の輿っつうわけに いかねえけどな➡ 27 00:02:44,464 --> 00:02:47,801 お前には ちょうどよく似合ってるよ。 な? 28 00:02:47,801 --> 00:02:53,306 (ひな)そうだねえ。 旦那様も さぞ ご安心なさったでしょうね。 29 00:02:53,306 --> 00:02:56,810 今日からはな 吉武の「よ」の字も 忘れちまえ。 30 00:02:56,810 --> 00:02:59,713 外川の事は 一切 頭から 消しちまえ。 いいな? 31 00:02:59,713 --> 00:03:03,617 分かってますよ それぐらいの事。 念を押してんだよ 俺は。 32 00:03:03,617 --> 00:03:06,620 伯父さん。お? お願いが あるんです。 33 00:03:06,620 --> 00:03:09,756 お~ 俺に できる事だったら 何でも言ってくれ。 34 00:03:09,756 --> 00:03:13,260 宴会の時に くれぐれも お酒を飲み過ぎないでね。 35 00:03:13,260 --> 00:03:15,195 は? ほ~ら 言われちゃった。 36 00:03:15,195 --> 00:03:18,131 (笑い声) バカ言っちゃいけねえ。 37 00:03:18,131 --> 00:03:21,134 俺は 場所柄っつうものを わきまえてっからよ。 38 00:03:21,134 --> 00:03:25,272 (ツエ)皆様 お支度ができました。 どうぞ お座敷の方へ。 39 00:03:25,272 --> 00:03:27,274 はいよ。 40 00:03:30,777 --> 00:03:33,280 (清次)あっ るい。 いがったな。 41 00:03:36,650 --> 00:04:28,268 ♬~ 42 00:04:28,268 --> 00:04:35,142 <婚礼は 滞りなく進行した。 かをるの胸は 澄み切っていた。➡ 43 00:04:35,142 --> 00:04:42,282 親しい人々に見守られながら かをるは 梅木健作の妻となった> 44 00:04:42,282 --> 00:04:47,788 ♬~ 45 00:05:12,746 --> 00:05:16,249 (久兵衛)え~ 祝言の席で➡ 46 00:05:16,249 --> 00:05:19,753 新婦の父親が 発言をいたしますのは➡ 47 00:05:19,753 --> 00:05:24,257 いささか 筋違いであると 存じますが➡ 48 00:05:24,257 --> 00:05:31,131 私は 新郎の育ての父親でもあると 自負をいたしておりますので➡ 49 00:05:31,131 --> 00:05:37,270 異例を承知で ひと言 ご挨拶を 申し上げさせて頂きます。➡ 50 00:05:37,270 --> 00:05:45,145 新郎の梅木健作君は 小学校の頃に 次々と 両親に先立たれ➡ 51 00:05:45,145 --> 00:05:50,784 天涯孤独の身となりましたが 縁あって この「入兆」に➡ 52 00:05:50,784 --> 00:05:53,620 でっち奉公 いたしました。➡ 53 00:05:53,620 --> 00:05:58,491 少年の頃の健作君は 実に ひ弱な体質で➡ 54 00:05:58,491 --> 00:06:01,728 よく かぜも ひきました。 55 00:06:01,728 --> 00:06:06,066 私が 夜中に 広敷を 見て回りますと➡ 56 00:06:06,066 --> 00:06:09,736 部屋の隅で 破れ布団を 頭から かぶって➡ 57 00:06:09,736 --> 00:06:15,742 母恋しさに シクシク泣いておったのを 懐かしく 思い出します。 58 00:06:17,410 --> 00:06:23,216 (久兵衛)まっ しかしながら おつむの方は 子供の頃から➡ 59 00:06:23,216 --> 00:06:26,586 なかなか 利発なところのあった 健作君を➡ 60 00:06:26,586 --> 00:06:29,623 私は 夜学に通わせました。➡ 61 00:06:29,623 --> 00:06:34,261 彼は そろばん 読み書きに 抜群の能力を発揮し➡ 62 00:06:34,261 --> 00:06:38,431 私の期待どおり たゆまぬ努力によって➡ 63 00:06:38,431 --> 00:06:43,937 体力も気力も充実した 立派な青年に成長してくれました。 64 00:06:43,937 --> 00:06:48,775 私は 今 梅木健作を この「入兆」の➡ 65 00:06:48,775 --> 00:06:51,278 誇りに思っとります。➡ 66 00:06:51,278 --> 00:06:54,948 かわいい娘の かをるを 彼の妻として献上する事に➡ 67 00:06:54,948 --> 00:06:58,785 私は いささか 躊躇を 感じておりません。➡ 68 00:06:58,785 --> 00:07:05,225 また 彼は 安直に 坂東家に 婿入りする事を好まず➡ 69 00:07:05,225 --> 00:07:11,097 かをるを めとって 梅木家を 継ぎたいと申しております。 70 00:07:11,097 --> 00:07:17,604 まことに 男子として 潔い態度で あると お思いになりませんか? 71 00:07:20,707 --> 00:07:28,248 いささか ほめすぎましたが どうか 本日 ご列席の皆様➡ 72 00:07:28,248 --> 00:07:34,120 梅木健作を お引き立て願いたく お願いを申し上げます。 73 00:07:34,120 --> 00:07:38,758 ♬~ 74 00:07:38,758 --> 00:07:43,263 (久兵衛)さて 新婦の かをるでございます。➡ 75 00:07:43,263 --> 00:07:47,600 私の 2番目の娘ではございますが➡ 76 00:07:47,600 --> 00:07:50,503 庶子として 生まれましたがゆえに➡ 77 00:07:50,503 --> 00:07:53,106 十分な愛情を かけてやらなかったのが➡ 78 00:07:53,106 --> 00:07:56,142 父親として心残りでございます。➡ 79 00:07:56,142 --> 00:08:02,215 また 皆様ご存じのように かをるは再婚でございます。 80 00:08:02,215 --> 00:08:08,088 しかしながら 私が かをるの花嫁姿を見るのは➡ 81 00:08:08,088 --> 00:08:10,724 今日が 初めてであります。 82 00:08:10,724 --> 00:08:14,227 ♬~ 83 00:08:14,227 --> 00:08:18,732 今度こそ しっかりと 幸福を つかんでもらいたい。 84 00:08:18,732 --> 00:08:23,236 ♬~ 85 00:08:23,236 --> 00:08:26,740 かをるは 私に こう申しました。➡ 86 00:08:26,740 --> 00:08:31,244 「醤油を造るのには 大豆と小麦が必要だ。➡ 87 00:08:31,244 --> 00:08:35,081 しかし 忘れてならんのは 塩であります。➡ 88 00:08:35,081 --> 00:08:37,751 塩加減が大切なのであります。➡ 89 00:08:37,751 --> 00:08:42,255 自分は 家庭にとって 塩でありたい。➡ 90 00:08:42,255 --> 00:08:45,759 世の中にとっての 塩でありたい」。 91 00:08:45,759 --> 00:08:50,263 私は この言葉に 娘の成長を感じました。 92 00:08:52,632 --> 00:08:55,268 今日は 実に うれしい。 93 00:08:55,268 --> 00:08:58,171 ♬~ 94 00:08:58,171 --> 00:09:03,076 (胸をたたく音) え~… もう 胸が詰まって➡ 95 00:09:03,076 --> 00:09:05,378 何も 申せません。 96 00:09:05,378 --> 00:09:10,884 実に 今日は うれしくて 挨拶が長くなりましたが➡ 97 00:09:10,884 --> 00:09:14,220 「入兆」11代目の当主として➡ 98 00:09:14,220 --> 00:09:19,092 ただいまの心境を 率直に 申し上げさせて頂きました。 99 00:09:19,092 --> 00:09:22,729 本日は 何もございませんが どうか ごゆるりと➡ 100 00:09:22,729 --> 00:09:24,664 お召し上がり下さいませ。 101 00:09:24,664 --> 00:09:27,600 まことに ありがとうございました。 102 00:09:27,600 --> 00:09:34,240 (拍手) 103 00:09:34,240 --> 00:09:38,745 ♬~ 104 00:09:40,747 --> 00:09:45,251 (神山)おい どうしたんだ? (野呂)頭 これを見て下さい。 105 00:09:45,251 --> 00:09:47,187 (神山)うん? これ 干鰯じゃねえか。 106 00:09:47,187 --> 00:09:49,589 (野呂)はい。 (竹田)臭えぞ 臭えぞ。 107 00:09:49,589 --> 00:09:51,925 (殿岡)何のにおいだ? (あさ)ご覧なさいよ。 108 00:09:51,925 --> 00:09:54,427 (殿岡)あ~! 109 00:09:54,427 --> 00:09:57,263 しょうがねえな。 誰が落っことしていったんだ? 110 00:09:57,263 --> 00:10:01,768 (あさ)いえ。 外川の吉武さんが 「ご祝儀だ」と言って…。 111 00:10:01,768 --> 00:10:04,671 何だと? 大八車で運んできました。 112 00:10:04,671 --> 00:10:07,640 バカ野郎! 黙って受け取ったのか!? 113 00:10:07,640 --> 00:10:10,777 あっという間で…。 サッサと 片づけろ! 114 00:10:10,777 --> 00:10:14,647 はい。 (竹田)畜生 嫌がらせだな。 115 00:10:14,647 --> 00:10:21,154 <干鰯とは イワシを干して油を抜き 農業用の肥料に使うものである> 116 00:10:26,259 --> 00:10:29,162 ☎ 117 00:10:29,162 --> 00:10:33,466 (鯛子)はい 外川の7番。 えっ 「入兆」? 118 00:10:35,301 --> 00:10:38,805 もしもし よく聞こえませんが?➡ 119 00:10:38,805 --> 00:10:40,740 何を どなってんですか?➡ 120 00:10:40,740 --> 00:10:43,743 はいはい ちょっと待って下さい。 121 00:10:48,815 --> 00:10:52,318 (とね)もしもし… 吉武ですが。 122 00:10:54,320 --> 00:10:58,825 誰だい あんた? 干鰯が どうかしたって? 123 00:10:58,825 --> 00:11:04,264 バカ 言いなさんな。 そんなもの 祝儀に贈るやつが いるもんか。 124 00:11:04,264 --> 00:11:07,767 お前んとこの若い衆が 大八車で運んできたんだ! 125 00:11:07,767 --> 00:11:10,270 ☎(とね)「ほう 『入兆』が 注文したのかね?」。 126 00:11:10,270 --> 00:11:12,772 バカも 休み休み 言ってくんな! 127 00:11:12,772 --> 00:11:14,807 醤油造りに なんで 干鰯が必要なんだ!? 128 00:11:14,807 --> 00:11:17,110 ☎「注文なしで 配達するもんかね」。 129 00:11:17,110 --> 00:11:20,146 フン! お前さんの魂胆は 見え透いてんだ。 130 00:11:20,146 --> 00:11:23,283 かをるさんの婚礼に アヤ付ける魂胆だろうが! 131 00:11:23,283 --> 00:11:25,218 黙れ この ごじゃらっぱ! 132 00:11:25,218 --> 00:11:28,154 吉武とねは そんなケチな女じゃねえ! 133 00:11:28,154 --> 00:11:31,157 ☎(神山)「ごじゃらっぱとは何だ!? この のうてんき!」。 134 00:11:31,157 --> 00:11:34,294 えげぬすっと! (電話をたたく音) 135 00:11:34,294 --> 00:11:37,197 くそ~ がんまち女が…。 136 00:11:37,197 --> 00:11:40,800 殴り込み かけますか? いや いかん。 137 00:11:40,800 --> 00:11:45,805 婚礼の最中に ゴタゴタ起こすな。 がまん がまん。 138 00:11:54,314 --> 00:12:00,820 ⚟(男たちの声) 139 00:12:02,755 --> 00:12:06,259 (梶木)ただいま~。 (鯖江)どうしたんです? 親方。 140 00:12:06,259 --> 00:12:10,763 てめえら どこへ行ってきた? どこへって… なあ! アハハ。 141 00:12:10,763 --> 00:12:15,635 どこへ行ったって聞いてんだ。 (須貝)干鰯を運びました。 142 00:12:15,635 --> 00:12:17,637 婚礼のご祝儀にか? (3人の笑い声) 143 00:12:17,637 --> 00:12:21,774 おや? もう お耳に 入ったんですか? 144 00:12:21,774 --> 00:12:23,710 (殴る音) やかましい! 145 00:12:23,710 --> 00:12:26,646 (須貝)何すんだよ。 ねっちょぶげえまね しやがって! 146 00:12:26,646 --> 00:12:29,282 てめえら それでも 外川の漁師か!? 147 00:12:29,282 --> 00:12:32,785 (鯖江)親方。 俺たちは 若旦那の恨みを晴らしただけだど。 148 00:12:32,785 --> 00:12:34,821 とぼけるんじゃねえ! 149 00:12:34,821 --> 00:12:39,125 惣吉は てめえらみたいな じだぐりじゃねえんだ! 150 00:12:51,638 --> 00:13:05,351 ⚟(客たちの歌声) 151 00:13:07,120 --> 00:13:10,757 皆さん まだ だいぶ にぎやかなようですね。 152 00:13:10,757 --> 00:13:13,259 みんな 喜んでくれている。 153 00:13:42,689 --> 00:13:48,294 あなたに感謝しています。 それは 私の言う事です。 154 00:13:48,294 --> 00:13:52,598 かをるさん。 かをると呼んで下さい。 155 00:13:54,167 --> 00:14:00,673 私は今日 100年でも 200年でも 長生きしたいと思いました。 156 00:14:02,742 --> 00:14:06,612 あなたと いつまでも 一緒にいたいからです。 157 00:14:06,612 --> 00:14:12,752 あなたと いつまでも 一緒に生きていたいからです。 158 00:14:12,752 --> 00:14:16,622 ♬~ 159 00:14:16,622 --> 00:14:18,624 ありがとうございます。 160 00:14:18,624 --> 00:14:22,261 ♬~ 161 00:14:22,261 --> 00:14:27,133 本当に… ありがとうございます。 162 00:14:27,133 --> 00:14:29,135 梅木さん…。 163 00:14:29,135 --> 00:14:33,272 ♬~ 164 00:14:33,272 --> 00:14:37,777 どうか よろしくお願いします。 165 00:14:37,777 --> 00:14:46,285 ♬~ 166 00:14:46,285 --> 00:14:50,156 <かをるは この時 満23歳であった> 167 00:14:50,156 --> 00:14:55,161 ♬~