1 00:00:04,438 --> 00:00:10,110 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:10,110 --> 00:01:01,094 ♬~ 3 00:01:09,102 --> 00:01:11,038 (惣吉)やあ。 4 00:01:11,038 --> 00:01:13,941 <かをるの胸は 一瞬うずいた。➡ 5 00:01:13,941 --> 00:01:18,111 悲しいような 甘いような うずきであった> 6 00:01:18,111 --> 00:01:20,113 (かをる)お邪魔しています。 7 00:01:22,983 --> 00:01:24,985 あれ以来だな。 8 00:01:31,124 --> 00:01:35,295 ありがとう。 9 00:01:35,295 --> 00:01:38,131 お前の おかげで 記憶が戻ったんだ。 10 00:01:38,131 --> 00:01:42,002 その礼を言いに 「入兆」まで行ったんだが…。 11 00:01:42,002 --> 00:01:46,306 申し訳ありませんでした。 12 00:01:46,306 --> 00:01:49,643 「入兆」の門前払いは 昔っから 慣れてるよ。 13 00:01:49,643 --> 00:01:52,546 (善吉)そうだね。 姉さんに 結婚を申し込む時も➡ 14 00:01:52,546 --> 00:01:54,514 さんざんだったね。 15 00:01:54,514 --> 00:01:57,517 (船村)しかし まあ 考えてみれば あのころからだよな➡ 16 00:01:57,517 --> 00:02:00,587 若い衆の いがみ合いが 始まったのは…。 17 00:02:00,587 --> 00:02:03,490 (とね)ああ ねっちょぶげえんだな 両方とも…。 18 00:02:03,490 --> 00:02:08,095 原因は 私にあるんです。 どうして? 19 00:02:08,095 --> 00:02:11,965 私が ここに お嫁に来ていなければ…。 20 00:02:11,965 --> 00:02:17,104 お前… 俺との結婚を 後悔してんのか? 21 00:02:17,104 --> 00:02:21,274 後悔は していません。 でも 争い事が起きるのは➡ 22 00:02:21,274 --> 00:02:28,048 そのせいです。 そのせいじゃねえ。 23 00:02:28,048 --> 00:02:33,987 死んだはずの俺が戻ってきた。 それが 間違いのもとだ。 24 00:02:33,987 --> 00:02:38,625 何を言ってるんだ 若旦那。 誰も 悪かねえよ。 25 00:02:38,625 --> 00:02:41,528 成り行きで こういう事に なっちまったんだから➡ 26 00:02:41,528 --> 00:02:43,964 しかたがねえじゃねえの。 27 00:02:43,964 --> 00:02:48,635 問題は どうやって 仲直りするかって事なんだ。 28 00:02:48,635 --> 00:02:51,538 仲直りは簡単だ。 もともと 夫婦なんだから。 29 00:02:51,538 --> 00:02:55,142 勘違いしなさんな。 私は若い者の けんかの事 言ってんだ。 30 00:02:55,142 --> 00:02:58,645 いや 俺は かをるさんに 戻ってきてもらいてえ。 31 00:02:58,645 --> 00:03:01,081 (とね)そんな事 できっか。 どうして できねえ? 32 00:03:01,081 --> 00:03:03,016 (とね)かをるさん 所帯 持ってんだよ。➡ 33 00:03:03,016 --> 00:03:06,253 子供が2人もいるんだよ。 子供は こっちで引き取るさ。 34 00:03:06,253 --> 00:03:08,255 外川へ戻る気はありません。 35 00:03:13,994 --> 00:03:21,101 惣吉さんには 心から 申し訳なく思っています。 36 00:03:21,101 --> 00:03:25,972 時計の針を 元へ戻す事ができれば どんなにいいかと➡ 37 00:03:25,972 --> 00:03:28,775 くだらない事も 考えました。 38 00:03:28,775 --> 00:03:31,111 ♬~ 39 00:03:31,111 --> 00:03:35,982 でも 今の私には 梅木健作という 夫が いるんです。 40 00:03:35,982 --> 00:03:40,620 夫を裏切る事は できないんです。 許して下さい。 41 00:03:40,620 --> 00:03:54,634 ♬~ 42 00:03:54,634 --> 00:04:02,075 惣吉さん 私は 「入兆」を代表して ここへ来ました。 43 00:04:02,075 --> 00:04:07,948 善吉さんの結婚式を台なしに した事は 深く おわびします。 44 00:04:07,948 --> 00:04:12,786 病院代や 壊れものの損害は 弁償します。 45 00:04:12,786 --> 00:04:17,924 ですから… 二度と 争いが起きないようにして下さい。 46 00:04:17,924 --> 00:04:19,860 お願いします。 47 00:04:19,860 --> 00:04:25,098 ♬~ 48 00:04:25,098 --> 00:04:29,603 分かった。 49 00:04:29,603 --> 00:04:35,108 しかし… 俺は お前の本心が知りてえ。 50 00:04:35,108 --> 00:04:37,043 (とね)本心? 51 00:04:37,043 --> 00:04:40,614 ♬~ 52 00:04:40,614 --> 00:04:43,283 ここから先は 2人っきりで話す。 53 00:04:43,283 --> 00:04:47,120 ♬~ 54 00:04:47,120 --> 00:05:11,077 (カモメの鳴き声と波の音) 55 00:05:11,077 --> 00:05:22,589 (波の音) 56 00:05:22,589 --> 00:05:25,091 かをる…。 はい。 57 00:05:28,094 --> 00:05:33,099 俺は 昔と変わったか? いいえ ちっとも…。 58 00:05:37,103 --> 00:05:42,409 それなのに… お前は変わってしまった。 59 00:05:51,117 --> 00:05:54,788 見た目は 全然 変わっていない。 60 00:05:54,788 --> 00:06:03,063 いや 前より ずっと きれいになったかもしれない。 61 00:06:03,063 --> 00:06:12,405 だが… お前の心は 俺から離れてしまった。 62 00:06:12,405 --> 00:06:14,407 そんなふうに 言わないで下さい。 63 00:06:16,076 --> 00:06:21,581 お前は 「外川へ戻る気はない」と 言った。 64 00:06:21,581 --> 00:06:23,583 そうだな? 65 00:06:26,086 --> 00:06:28,021 はい。 66 00:06:28,021 --> 00:06:46,106 (波の音) 67 00:06:46,106 --> 00:06:50,410 一つだけ 聞いておきたい事がある。 68 00:07:00,120 --> 00:07:04,624 お前は今… 幸せに暮らしているか? 69 00:07:07,928 --> 00:07:11,564 はい。 70 00:07:11,564 --> 00:07:17,437 梅木を愛しているのか? 71 00:07:17,437 --> 00:07:20,073 愛しています。 72 00:07:20,073 --> 00:07:24,577 本当だな? 73 00:07:24,577 --> 00:07:26,513 はい。 74 00:07:26,513 --> 00:07:32,085 (波の音) 75 00:07:32,085 --> 00:07:38,959 (カモメの鳴き声) 76 00:07:38,959 --> 00:07:45,098 (波の音と カモメの鳴き声) 77 00:07:45,098 --> 00:07:48,435 分かった。 78 00:07:48,435 --> 00:07:50,437 惣吉さん…。 79 00:07:56,109 --> 00:07:58,111 帰ろう…。 80 00:08:05,919 --> 00:08:30,577 ♬~ 81 00:08:30,577 --> 00:08:32,512 大丈夫か? 82 00:08:32,512 --> 00:09:12,052 ♬~ 83 00:09:12,052 --> 00:09:15,555 <惣吉は 外川の駅まで 送ってくれた。➡ 84 00:09:15,555 --> 00:09:18,892 無言の別れであった。➡ 85 00:09:18,892 --> 00:09:24,063 再び 吉武家へ 足を運ぶ事は ないだろう。➡ 86 00:09:24,063 --> 00:09:26,966 惣吉と暮らした 3年間の思い出が➡ 87 00:09:26,966 --> 00:09:30,403 ちぎれ雲のように 胸を よぎっていった> 88 00:09:30,403 --> 00:09:34,107 ♬~ 89 00:09:37,577 --> 00:09:40,480 (るい)よ~く 生きて 帰ってこられたわね。 90 00:09:40,480 --> 00:09:43,082 (久兵衛)当たり前やないか。 大げさな事 言うな。 91 00:09:43,082 --> 00:09:46,586 だって… 1人で 外川へ 行ったんですよ。 92 00:09:46,586 --> 00:09:49,489 母さん もう 心配で 心配で…。 93 00:09:49,489 --> 00:09:55,095 申し訳ありませんでした。 おい で どやった? 94 00:09:55,095 --> 00:09:58,598 五分五分で 手打ちにしましょうって…。 95 00:09:58,598 --> 00:10:01,434 ほう ええとこ あるやないか。 96 00:10:01,434 --> 00:10:04,270 「日時と場所は 入兆さんに お任せします」って➡ 97 00:10:04,270 --> 00:10:06,206 とても好意的でした。 98 00:10:06,206 --> 00:10:09,142 いや それは お前が行ったからや。 99 00:10:09,142 --> 00:10:11,945 やっぱり わしの判断に 間違いは なかった。 100 00:10:11,945 --> 00:10:17,116 (ツエ)はい どうじょ。 (あやす声) 101 00:10:17,116 --> 00:10:19,786 あ お帰んなさい。 ただいま。 102 00:10:19,786 --> 00:10:21,821 あ 和ちゃんね 今 アミちゃんと お散歩。 103 00:10:21,821 --> 00:10:25,592 ああ そう。 寂しかったでしょう? 104 00:10:25,592 --> 00:10:30,597 ごめんなさいね。 かをるさん あれ 見て下さい。 105 00:10:39,139 --> 00:10:43,643 ツエさんが出したの? いいえ。 106 00:10:43,643 --> 00:10:45,645 旦那さんじゃないでしょうか? 107 00:10:51,150 --> 00:10:55,989 <潮来へ旅行した時の 写真であった。➡ 108 00:10:55,989 --> 00:11:02,095 たんすの底にしまってあったはず なのに どうして…。➡ 109 00:11:02,095 --> 00:11:06,599 かをるは 梅木の内面にひそむ 冷ややかな怨念を➡ 110 00:11:06,599 --> 00:11:09,102 初めて見たような気がした> 111 00:11:17,110 --> 00:11:19,612 <その夜 梅木の帰宅は遅かった> 112 00:11:45,138 --> 00:11:48,474 遅かったですね。 113 00:11:48,474 --> 00:11:51,978 (ため息) (梅木)待ってたのか? 114 00:11:56,149 --> 00:12:01,454 バカだな。 風邪でも ひいたら どうするんだ。 115 00:12:08,595 --> 00:12:11,931 今日は どうだったんだ。 116 00:12:11,931 --> 00:12:14,601 外川へ行って 話し合いをしました。 117 00:12:14,601 --> 00:12:19,105 万事うまくいって 仲直りの 手打ちをする事になりました。 118 00:12:23,109 --> 00:12:26,012 そいつは 大手柄だ。 119 00:12:26,012 --> 00:12:28,014 あなた…。 120 00:12:29,983 --> 00:12:37,624 写真の事ですけど… あなたが出したんですか。 121 00:12:37,624 --> 00:12:40,293 そうだ。 122 00:12:40,293 --> 00:12:43,630 たんすに しまってある事は 前から知ってた。 123 00:12:43,630 --> 00:12:49,135 申し訳ありません。 私は すっかり忘れていたんです。 124 00:12:49,135 --> 00:12:51,437 早速 処分します。 125 00:12:54,007 --> 00:13:01,080 そうだな。 もう 写真は いらんだろう。 126 00:13:01,080 --> 00:13:04,951 本物が帰ってきたんだからな。 127 00:13:04,951 --> 00:13:07,253 どういう意味ですか? 128 00:13:14,093 --> 00:13:19,599 吉武に会ったんだろう? 129 00:13:19,599 --> 00:13:21,901 会って 仲直りしたんだろう? 130 00:13:24,103 --> 00:13:29,609 いいえ。 私は はっきり言いました。 131 00:13:29,609 --> 00:13:37,116 「今は とても幸せです」と 「主人を愛しています」と…。 132 00:13:37,116 --> 00:13:40,987 ♬~ 133 00:13:40,987 --> 00:13:44,457 なぜ 泣くんだ…。 134 00:13:44,457 --> 00:13:47,126 分かりません。 135 00:13:47,126 --> 00:13:49,629 自然に 涙が出てきます。 136 00:13:49,629 --> 00:13:53,132 ♬~ 137 00:13:53,132 --> 00:13:57,804 お前は 非のうちどころがない。 138 00:13:57,804 --> 00:14:01,674 俺には 出来すぎた女房だ。 139 00:14:01,674 --> 00:14:05,244 子供は 立派に育てる。 140 00:14:05,244 --> 00:14:08,748 売り上げの計算をさせれば 狂いがない。 141 00:14:08,748 --> 00:14:10,783 外川まで行って けんかのケリまで つけてくる。 142 00:14:10,783 --> 00:14:13,252 亭主が遅く帰ってくれば 寝ずに待ってる。 143 00:14:13,252 --> 00:14:15,755 メシの支度も ちゃんと してある。 144 00:14:15,755 --> 00:14:19,425 まったく 息が つまるほど そつがない。 145 00:14:19,425 --> 00:14:24,597 だがな… 俺は だまされんぞ。 146 00:14:24,597 --> 00:14:27,100 ♬~ 147 00:14:27,100 --> 00:14:32,972 お前は 律子さんと同じだ。 その体の中に巣食ってる虫が➡ 148 00:14:32,972 --> 00:14:35,608 いつか 必ず 暴れだすに 決まってるんだ。 149 00:14:35,608 --> 00:14:40,480 かをる… かをる! 俺は だまされんぞ。 150 00:14:40,480 --> 00:14:44,117 ♬~ 151 00:14:44,117 --> 00:14:46,052 だまされるもんか! 152 00:14:46,052 --> 00:14:47,987 ♬~ 153 00:14:47,987 --> 00:14:50,456 (戸の開閉音) 154 00:14:50,456 --> 00:14:55,461 ♬~