1 00:00:01,935 --> 00:00:05,806 (ボトルシップの割れる音) 2 00:00:05,806 --> 00:00:26,627 ♬~ 3 00:00:26,627 --> 00:00:28,962 (ミワ)<終わった…> 4 00:00:28,962 --> 00:00:31,265 (藤浦)ミワさん。 5 00:00:33,300 --> 00:00:36,303 申し訳ございません! いいから! 6 00:00:37,971 --> 00:00:40,874 ちょっと来て。 7 00:00:40,874 --> 00:00:46,313 はい… 失礼します。 8 00:00:46,313 --> 00:01:06,600 ♬~ 9 00:01:10,938 --> 00:01:16,276 <事もあろうに 八海サマの大切なものを 壊してしまった。➡ 10 00:01:16,276 --> 00:01:19,279 ショックで頭が回らない> 11 00:01:27,621 --> 00:01:32,926 <私は もうろうとしながら 昔の自分を思い出していた> 12 00:01:37,297 --> 00:01:42,636 <高校時代 クラスメートが 青春をおう歌しているであろう時期に➡ 13 00:01:42,636 --> 00:01:47,941 私は一人 暗い部屋で 八海 崇に夢中だった> 14 00:01:53,647 --> 00:01:59,987 (八海)お前が幸せなら 俺は何も言うことはねえよ。 15 00:01:59,987 --> 00:02:01,989 お兄ちゃん。 16 00:02:06,259 --> 00:02:11,932 <彼の演技の真骨頂は 「顔で笑って腹で泣く」。➡ 17 00:02:11,932 --> 00:02:14,267 どんなにつらい試練が降りかかろうと➡ 18 00:02:14,267 --> 00:02:18,138 泣き言ひとつ言わずに 笑って過ごす粋な男。➡ 19 00:02:18,138 --> 00:02:22,943 八海 崇は そんな人物を演じていた> 20 00:02:22,943 --> 00:02:38,492 ♬~ 21 00:02:38,492 --> 00:02:42,629 <それは 私たち2年生が主役の文化祭。➡ 22 00:02:42,629 --> 00:02:46,633 その準備に追われていた時のことだった> 23 00:02:51,638 --> 00:02:55,308 ごめんね ミワちゃん。 これから私たち用事あるんだ。 24 00:02:55,308 --> 00:02:59,179 残りの作業 お願い… できる? えっ…。 25 00:02:59,179 --> 00:03:01,915 用事って お前ら絶対カラオケだろ? 26 00:03:01,915 --> 00:03:04,584 うるさい 黙れ。 27 00:03:04,584 --> 00:03:07,254 ねえ ごめん ミワ。 明日また手伝うからさ! 28 00:03:07,254 --> 00:03:10,590 私たち ミワみたいにうまくないし。 29 00:03:10,590 --> 00:03:14,261 うん 大丈夫だよ。 ごめんね~。 30 00:03:14,261 --> 00:03:17,264 じゃあ また明日ね。 ごめんね またね。 31 00:03:21,601 --> 00:03:26,940 顔で笑って 腹で泣く。 32 00:03:26,940 --> 00:03:32,245 <私は 八海 崇に恥じない生き方をしたかった> 33 00:03:34,815 --> 00:03:37,284 <次の日から なし崩し的に➡ 34 00:03:37,284 --> 00:03:41,621 この作業は 私一人で担当することになった。➡ 35 00:03:41,621 --> 00:03:44,524 出し物は「レ・ミゼラブル」。➡ 36 00:03:44,524 --> 00:03:47,494 5×3メートルの巨大な書き割りは➡ 37 00:03:47,494 --> 00:03:51,198 一人で描くには かなりハードな分量だった> 38 00:03:56,970 --> 00:04:03,677 <生っ粋の文化系である私は 本番前日には 全身筋肉痛になってしまった> 39 00:04:05,779 --> 00:04:08,782 いててて…。 40 00:04:10,917 --> 00:04:14,588 顔で笑って 腹で泣く…。 41 00:04:14,588 --> 00:04:17,290 うっ… はっ! 42 00:04:23,597 --> 00:04:26,266 (ざわめき) 43 00:04:26,266 --> 00:04:30,604 マジか。 うちら これ頑張ったのにね。 44 00:04:30,604 --> 00:04:36,276 <この大失態は 文化祭が終わったあとの高校生活も➡ 45 00:04:36,276 --> 00:04:39,579 文字どおり真っ黒に染めた> 46 00:04:41,148 --> 00:04:44,618 <ああ 無情…> 47 00:04:44,618 --> 00:04:48,288 (藤浦)どうしてくれるの?➡ 48 00:04:48,288 --> 00:04:52,626 八海にとってボトルシップは ただの趣味じゃないのよ。 49 00:04:52,626 --> 00:04:56,963 はい。 あれは➡ 50 00:04:56,963 --> 00:05:01,268 役作りに没頭するための 大事なルーティーンなの。 51 00:05:03,570 --> 00:05:05,505 申し訳ありません。 52 00:05:05,505 --> 00:05:12,512 これから八海と話し合うけど それなりの覚悟をしておいて下さいね。 53 00:05:14,581 --> 00:05:16,516 …はい。 54 00:05:16,516 --> 00:05:21,454 じゃあ 八海のところへ行きますよ。 55 00:05:21,454 --> 00:05:25,759 <もはや 死にたいとすら思わない> 56 00:05:27,928 --> 00:05:31,264 死のう…。 57 00:05:31,264 --> 00:05:34,167 <29年の人生で分かったことは➡ 58 00:05:34,167 --> 00:05:37,938 一度の失敗で 全てが終わってしまうということだ。➡ 59 00:05:37,938 --> 00:05:43,276 人知れず いくら奮闘努力を重ねても➡ 60 00:05:43,276 --> 00:05:49,616 顔で笑って 腹で泣き どんな理不尽に耐えようとも➡ 61 00:05:49,616 --> 00:05:56,323 一度失敗すれば水の泡 世の中は そういうふうにできている> 62 00:06:00,227 --> 00:06:02,229 (ノック) 63 00:06:05,098 --> 00:06:07,901 (藤浦)失礼します。 64 00:06:07,901 --> 00:06:20,247 ♬~ 65 00:06:20,247 --> 00:06:26,586 この度は まことに申し訳ございませんでした。 66 00:06:26,586 --> 00:06:38,198 ♬~ 67 00:06:38,198 --> 00:06:42,602 彼女の処分はどうしましょうか。 68 00:06:42,602 --> 00:06:49,943 えっ… いいですよ 別に。 69 00:06:49,943 --> 00:06:52,245 えっ!? 70 00:06:54,814 --> 00:07:02,222 今回のことについては 不問に付すということですか? 71 00:07:02,222 --> 00:07:08,094 だって 事故でしょ。 しかたないですよ。 72 00:07:08,094 --> 00:07:15,235 ミワさん 気にしないで下さい。 また作ればいいんですから。 73 00:07:15,235 --> 00:07:17,537 はい…。 74 00:07:20,106 --> 00:07:25,879 <八海 崇の笑顔は➡ 75 00:07:25,879 --> 00:07:29,582 全てを包み込む優しさがあった> 76 00:07:29,582 --> 00:07:51,604 ♬~ 77 00:07:51,604 --> 00:07:55,275 <いろいろ あった> 78 00:07:55,275 --> 00:08:07,854 ♬~ 79 00:08:07,854 --> 00:08:12,759 うわあ! かっこいい~! 80 00:08:12,759 --> 00:08:17,530 (荒い息遣い) 81 00:08:17,530 --> 00:08:21,434 あの真剣なまなざし。 82 00:08:21,434 --> 00:08:23,436 優しく甘い声。 83 00:08:23,436 --> 00:08:25,905  回想 よろしくお願いします。 84 00:08:25,905 --> 00:08:29,242 繊細な手先 洗練された所作。 85 00:08:29,242 --> 00:08:36,916 もはや この世のものとは思えない まさに… 神! 86 00:08:36,916 --> 00:08:41,788 (荒い息遣い) 87 00:08:41,788 --> 00:08:46,259 <映画で その破壊力は 十分 知っていたはずなのに➡ 88 00:08:46,259 --> 00:08:50,130 リアルの彼は それを優に超えてくるなんて…> 89 00:08:50,130 --> 00:08:54,934 ミワさんも一緒に この船に乗りませんか? 90 00:08:54,934 --> 00:08:58,805 <私もいっそ このボトルに閉じ込められたい…> 91 00:08:58,805 --> 00:09:02,542 うわあ~! 92 00:09:02,542 --> 00:09:05,445 (笑い声) 93 00:09:05,445 --> 00:09:07,414 ⚟(壁を蹴る音) 94 00:09:07,414 --> 00:09:11,551 ⚟静かにしてもらえませんか。 95 00:09:11,551 --> 00:09:13,553 すいません。 96 00:09:17,891 --> 00:09:19,826 (おなかの鳴る音) 97 00:09:19,826 --> 00:09:22,128 おなかすいた。 98 00:09:24,764 --> 00:09:26,766 (タイマーの音) 99 00:09:32,439 --> 00:09:36,142 <オタクは基本 報われない> 100 00:09:39,913 --> 00:09:42,916 <いかに財を費やそうとも> 101 00:09:47,787 --> 00:09:51,091 <孤独な時間を過ごそうとも> 102 00:09:54,260 --> 00:09:57,163 <偶像は どこまで行っても偶像。➡ 103 00:09:57,163 --> 00:10:01,167 決して私のいる現実世界と つながることはない…> 104 00:10:03,937 --> 00:10:07,273 <はずだった。➡ 105 00:10:07,273 --> 00:10:10,610 人生は何が起きるか分からない。➡ 106 00:10:10,610 --> 00:10:14,914 あの時 勇気を出して本当によかった> 107 00:10:21,621 --> 00:10:26,626 <私は今日 人生のクライマックスは迎えた> 108 00:10:28,495 --> 00:10:30,797 よし…。 109 00:10:33,967 --> 00:10:38,838 もうこれで 終わりにしよう。 110 00:10:38,838 --> 00:10:48,548 ♬~ 111 00:10:59,192 --> 00:11:04,264 (池月)ねえ 八海さんのボトルシップ 壊したんだって? 112 00:11:04,264 --> 00:11:06,199 はい やってしまいました。 113 00:11:06,199 --> 00:11:13,273 でも おとがめなしだったんでしょ? はい 事故だから しかたないと。 114 00:11:13,273 --> 00:11:16,176 気に入られてるじゃん。 いやいや…。 115 00:11:16,176 --> 00:11:19,946 八海さんには 本当に申し訳ないことしました。 116 00:11:19,946 --> 00:11:24,284 まあ 怒ってないなら 別に気にしなくていいんじゃない? 117 00:11:24,284 --> 00:11:30,623 でも 私の罪は それだけじゃないんです。 えっ どういうこと? 118 00:11:30,623 --> 00:11:32,625 あっ 枕…。 119 00:11:34,494 --> 00:11:38,965 <あんな尊いお方を この先もだまし続けるなんてことは➡ 120 00:11:38,965 --> 00:11:41,267 断じて許されない> 121 00:11:44,837 --> 00:11:51,144 <手紙を渡し 思いの丈を告白して きちんと罰を受けよう> 122 00:11:56,983 --> 00:12:02,255 <ただ 八海サマは この広いお屋敷の 一体どこにいるのか。➡ 123 00:12:02,255 --> 00:12:06,926 さっき藤浦さんに 今日は3食用意するように頼まれたから➡ 124 00:12:06,926 --> 00:12:11,598 このお屋敷のどこかには いらっしゃるはずなんだけど…> 125 00:12:11,598 --> 00:12:16,269 ⚟誰か… 誰かいませんか? 126 00:12:16,269 --> 00:12:18,571 え? 127 00:12:22,942 --> 00:12:25,278 八海サマの声? 128 00:12:25,278 --> 00:12:28,615 <いや これは幻聴!?➡ 129 00:12:28,615 --> 00:12:33,486 彼を思うがあまり ついに幻聴まで聞こえてきたのか?> 130 00:12:33,486 --> 00:12:35,488 ミワさ~ん。 131 00:12:38,958 --> 00:12:42,829 ⚟こっちです こっち。 132 00:12:42,829 --> 00:12:44,831 え? 133 00:12:47,634 --> 00:12:51,971 八海… サマ?ここです。 どうしたんですか? 134 00:12:51,971 --> 00:12:56,843 いや ちょっと 書庫で捜し物をしてたんですけど➡ 135 00:12:56,843 --> 00:13:03,249 外から かんぬきがかかってしまって 閉じ込められてしまったんです。 136 00:13:03,249 --> 00:13:06,919 <八海サマが… とらわれの身!?➡ 137 00:13:06,919 --> 00:13:09,255 かわいい…> 138 00:13:09,255 --> 00:13:16,596 ♬~ 139 00:13:16,596 --> 00:13:19,932 書庫に来てもらえませんか? 140 00:13:19,932 --> 00:13:23,803 は… はい 今すぐ! 141 00:13:23,803 --> 00:13:30,943 ♬~ 142 00:13:30,943 --> 00:13:34,947 これか。 よし。 143 00:13:37,817 --> 00:13:40,953 失礼します。 144 00:13:40,953 --> 00:13:46,626 いや 参りました 閉じ込められてしまいました。 145 00:13:46,626 --> 00:13:52,298 かんぬきが下りていました。 いや 助かりました。 146 00:13:52,298 --> 00:13:56,636 <今だ… 手紙 渡さなきゃ> 147 00:13:56,636 --> 00:14:02,241 なるほど これは気を付けないといけませんね。 148 00:14:02,241 --> 00:14:06,579 あの 八海さん…。 はい。 149 00:14:06,579 --> 00:14:10,450 あの… お話があるんです。 150 00:14:10,450 --> 00:14:14,253 私にですか? 151 00:14:14,253 --> 00:14:16,923 はい。 152 00:14:16,923 --> 00:14:21,794 あの… 実は私…。 153 00:14:21,794 --> 00:14:25,932 ♬~ 154 00:14:25,932 --> 00:14:29,268 (かんぬきが下りる音) 155 00:14:29,268 --> 00:14:32,171 え…。 え…。 156 00:14:32,171 --> 00:14:38,277 ♬~ 157 00:14:38,277 --> 00:14:43,983 (ドアを開けようとする音) 158 00:14:46,619 --> 00:14:48,921 閉じ込められました。 159 00:14:52,291 --> 00:14:54,627 え…。 160 00:14:54,627 --> 00:14:57,330 (ドアを開けようとする音)