1 00:01:22,197 --> 00:01:23,064 2 00:01:23,064 --> 00:01:37,078 ♬~ 3 00:01:37,078 --> 00:01:51,078 ♬~ 4 00:01:53,061 --> 00:01:57,065 (武蔵) 苦難に挑むのは私の宿命です 5 00:01:57,065 --> 00:02:00,068 (光悦)なるほど 6 00:02:00,068 --> 00:02:07,075 武蔵どのの心には そう映ったか フフフフッ… 7 00:02:07,075 --> 00:02:10,078 ああ そうそう 私が ここへ来たのは➡ 8 00:02:10,078 --> 00:02:15,083 今夜 あなたを お連れしたい所がありましてな 9 00:02:15,083 --> 00:02:17,085 はぁ? 10 00:02:17,085 --> 00:02:24,025 どうです? 武蔵どの あなたは 郭を見たことがありますか? 11 00:02:24,025 --> 00:02:26,027 いえ 12 00:02:26,027 --> 00:02:30,031 女色を知るのも修行のうちとか 13 00:02:30,031 --> 00:02:33,031 お召し替えの用意も させてありますゆえ 14 00:03:12,073 --> 00:03:14,075 (朱実)《いけない》 15 00:03:14,075 --> 00:03:19,013 《このままでは 私は この男に引きずられて➡ 16 00:03:19,013 --> 00:03:23,017 そして おっ母さんと 同じような女になってしまう》 17 00:03:23,017 --> 00:03:37,031 ♬~ 18 00:03:37,031 --> 00:03:50,044 ♬~ 19 00:03:50,044 --> 00:03:56,050 《この人から逃れるには この人を殺すしかない》 20 00:03:56,050 --> 00:04:01,055 (小次郎) どうした? 何をためらっておる 21 00:04:01,055 --> 00:04:06,060 (小次郎) 憎ければ突け! さあ 刺してみよ 22 00:04:06,060 --> 00:04:10,064 お願いです 私を自由にしてください 23 00:04:10,064 --> 00:04:13,067 誰が お前を縛っておる? 24 00:04:13,067 --> 00:04:17,071 行きたければ どこへなりと行けと 言っておろうが 25 00:04:17,071 --> 00:04:22,071 その目が 私を逃さぬと そう言っております 26 00:04:24,012 --> 00:04:28,012 わしの心 分かるはずもあるまい 27 00:04:30,018 --> 00:04:34,022 このわしにも分からぬときがある 28 00:04:34,022 --> 00:04:39,027 ♬~ 29 00:04:39,027 --> 00:04:41,029 さあ 突け! 30 00:04:41,029 --> 00:04:46,034 小次郎との地獄から 逃れたければ突け! 31 00:04:46,034 --> 00:04:50,034 朱実! (朱実)アア… 32 00:04:53,041 --> 00:04:55,041 ンンッ! 33 00:04:59,047 --> 00:05:01,047 アア… 34 00:05:05,053 --> 00:05:25,053 (泣き声) 35 00:05:29,010 --> 00:05:32,010 (女中) 昼日中から ご苦労なことやな 36 00:05:40,021 --> 00:05:42,023 (門下生)ご舎弟! 37 00:05:42,023 --> 00:05:46,027 分かりました 彼奴の居所 (伝七郎)どこにいた? 武蔵は 38 00:05:46,027 --> 00:05:49,030 (大田黒)実相院町の東の辻 本阿弥光悦の家に➡ 39 00:05:49,030 --> 00:05:53,034 確かに武蔵が逗留しておる様子 40 00:05:53,034 --> 00:05:56,037 そうか 41 00:05:56,037 --> 00:06:01,042 (植田)武蔵への試合 一応 私が お兄上の耳へ 42 00:06:01,042 --> 00:06:05,046 お前たちでは駄目だ 43 00:06:05,046 --> 00:06:08,049 わしが行って話を決める 44 00:06:08,049 --> 00:06:10,051 ≪(門下生)ご舎弟! 45 00:06:10,051 --> 00:06:12,053 (門下生)ハァハァ… 46 00:06:12,053 --> 00:06:16,057 ご舎弟 若先生の姿が見えませんが (伝七郎)なに? 47 00:06:16,057 --> 00:06:19,994 こんな手紙が それに 奉公人の民八もおりません 48 00:06:19,994 --> 00:06:23,994 (伝七郎)植田 読め (植田)はっ! 49 00:06:31,005 --> 00:06:37,011 「一筆残し候 今 敗れて のちに知る」 50 00:06:37,011 --> 00:06:41,015 「吉岡一門7000名を 率いる器にあらず」 51 00:06:41,015 --> 00:06:44,018 「ただ 身の不明を恥ずるのみ」 52 00:06:44,018 --> 00:06:48,022 「弟よ 門弟一同と力を合わせ➡ 53 00:06:48,022 --> 00:06:55,022 由緒ある京八流 吉岡道場を守るは 御身の務めと思い定めるべし」 54 00:07:00,034 --> 00:07:02,036 (板木の音) 55 00:07:02,036 --> 00:07:07,041 (光悦) 私の友人の灰屋紹由どのの家です 56 00:07:07,041 --> 00:07:09,043 今宵の郭遊びを つきあってくださる➡ 57 00:07:09,043 --> 00:07:13,047 京の古い町人です (奉公人)お待ちかねでございます 58 00:07:13,047 --> 00:07:15,049 さあ 武蔵どの お入りください 59 00:07:15,049 --> 00:07:21,049 灰屋どのをご紹介したあとで 郭へ繰り出しましょう 60 00:07:22,991 --> 00:07:26,995 すぐ あとからまいりますゆえ どうぞ お先に 61 00:07:26,995 --> 00:07:28,995 では 62 00:07:41,009 --> 00:07:46,009 それがしは吉岡門下 十剣のひとり 大田黒兵助という者だが 63 00:07:54,022 --> 00:07:58,026 ご舎弟 伝七郎どのから そこもとへの書簡 64 00:07:58,026 --> 00:08:00,028 確かに渡し申すぞ 65 00:08:00,028 --> 00:08:04,032 ここで一読いたして 返事を賜りたい 66 00:08:04,032 --> 00:08:08,036 《「場所 蓮華王院 裏地」》 67 00:08:08,036 --> 00:08:11,039 《「時刻 今宵 戌の下刻」》 68 00:08:11,039 --> 00:08:15,039 承知した しかと? 69 00:08:17,045 --> 00:08:19,045 しかと承知 70 00:08:21,983 --> 00:08:25,987 (お通)また 沢庵さんに 助けてもらいましたね 71 00:08:25,987 --> 00:08:31,993 (沢庵)うむ… この貸しは 利息をつけて返してもらわねば 72 00:08:31,993 --> 00:08:35,997 のう? (2人の笑い声) 73 00:08:35,997 --> 00:08:39,000 (泣き声) (沢庵)こりゃ いかん 74 00:08:39,000 --> 00:08:43,004 わしは泣かれるのに弱いんじゃ 特に お通さんにはのぅ 75 00:08:43,004 --> 00:08:46,007 泣きはしません (沢庵)うん? 76 00:08:46,007 --> 00:08:53,014 ♬~ 77 00:08:53,014 --> 00:08:59,020 うん お通さんのは これは… 武蔵病じゃのぅ 78 00:08:59,020 --> 00:09:02,023 武蔵病? (沢庵)うん 79 00:09:02,023 --> 00:09:08,029 残念ながら 武蔵しか治せん病じゃ ハハハハッ… 80 00:09:08,029 --> 00:09:14,035 (泣き声) 81 00:09:14,035 --> 00:09:17,038 ああ こりゃ ますます いかんわ 82 00:09:17,038 --> 00:09:18,973 (せきばらい) のう お通さん 83 00:09:18,973 --> 00:09:22,977 わしは これから ちょっと出かけてくる 84 00:09:22,977 --> 00:09:24,979 そなたはな もう心配せずに➡ 85 00:09:24,979 --> 00:09:28,983 ここで ゆっくりと 体を休めるんじゃ のう? 86 00:09:28,983 --> 00:09:33,988 この家の主はのぅ 烏丸光広 お公家さんじゃ 87 00:09:33,988 --> 00:09:36,991 わしの酒の友達よ 88 00:09:36,991 --> 00:09:40,995 (ナレーター)<この辺り 今は その面影もないが➡ 89 00:09:40,995 --> 00:09:44,999 慶長年間に 秀吉が 町を発展させる策として認めた➡ 90 00:09:44,999 --> 00:09:48,002 二条遊郭を移転させたため➡ 91 00:09:48,002 --> 00:09:52,006 六条 三筋町には 郭が軒を連ねていた> 92 00:09:52,006 --> 00:09:56,010 (駕籠屋) えっほ えっほ えっほ えっほ… 93 00:09:56,010 --> 00:10:02,016 えっほ えっほ えっほ えっほ… 94 00:10:02,016 --> 00:10:06,020 (駕籠屋)お大尽さまの お着きでございま~す! 95 00:10:06,020 --> 00:10:08,022 (女性)おいでやす (女性)お待ちしておりました 96 00:10:08,022 --> 00:10:11,022 (灰屋のあくび) (女性)灰屋さまのお着きどす 97 00:10:13,027 --> 00:10:16,030 (女性)お越しやす 98 00:10:16,030 --> 00:10:21,969 (女性たち)お越しやす 99 00:10:21,969 --> 00:10:23,969 どうぞ 100 00:10:43,991 --> 00:10:46,994 (灰屋)さあさあ 武蔵どの 101 00:10:46,994 --> 00:10:48,996 ハハッ… まずまずまず 102 00:10:48,996 --> 00:10:51,999 あの… いやいや まずまず 103 00:10:51,999 --> 00:10:54,001 いや それは… 104 00:10:54,001 --> 00:10:58,005 いやぁ わてと光悦どのとは➡ 105 00:10:58,005 --> 00:11:01,008 ああ もう こういう遊びに飽きた古友達 106 00:11:01,008 --> 00:11:05,012 今宵は あなたが お客さまじゃ まず 107 00:11:05,012 --> 00:11:09,016 いや それでは恐縮です 私のような若輩者が 108 00:11:09,016 --> 00:11:14,021 これ! あんた 郭へ来て 年を言う奴があるかいな 109 00:11:14,021 --> 00:11:16,023 (灰屋と光悦の笑い声) 110 00:11:16,023 --> 00:11:22,029 では 私が… (灰屋)あっ! そうしておくんない 111 00:11:22,029 --> 00:11:24,031 まあ まずまず 112 00:11:24,031 --> 00:11:29,036 ああ ちょっと それ こちらへ出したげて なあ? 113 00:11:29,036 --> 00:11:31,038 うんうん 114 00:11:31,038 --> 00:11:35,038 (女性)こんばんは (女性たち)お越しやす 115 00:11:38,045 --> 00:11:42,049 (伝七郎)わしが これから 吉岡流の名跡を継ぐ 116 00:11:42,049 --> 00:11:46,049 さあ まいるぞ! (門下生たち)はっ! 117 00:11:48,055 --> 00:11:52,059 (伝七郎) 約定の戌の下刻まで あと半刻 118 00:11:52,059 --> 00:11:55,062 (門下生)ご舎弟さま 草鞋の緒は 大丈夫でございますか? 119 00:11:55,062 --> 00:11:57,064 こう寒い 凍るような晩には きつい緒も➡ 120 00:11:57,064 --> 00:12:00,067 ぷつりと切れやすうございますぞ もう一度 お調べになっては? 121 00:12:00,067 --> 00:12:04,071 心配するな 草鞋が切れれば はだしで戦うまでよ 122 00:12:04,071 --> 00:12:07,071 (伝七郎)ハハハハッ… 123 00:12:23,024 --> 00:12:25,026 (りん弥)お客さま! 124 00:12:25,026 --> 00:12:28,029 こんなほうへ来てはいけませぬ いかぬか? 125 00:12:28,029 --> 00:12:30,031 (りん弥) お後架なら 私がお連れいたします 126 00:12:30,031 --> 00:12:33,034 いやいや わしは酔うてはおらん 127 00:12:33,034 --> 00:12:36,037 すまぬが そこらの隅でよい 128 00:12:36,037 --> 00:12:39,040 湯漬けを ひと椀 食べさせてくれまいか? 129 00:12:39,040 --> 00:12:42,043 ご飯? むすびでもよい 130 00:12:42,043 --> 00:12:46,043 フフッ… 面白いお客さま じゃ こちらへおいでなさい 131 00:12:49,050 --> 00:12:51,050 お入りなさい 132 00:13:16,077 --> 00:13:18,079 馳走になった 133 00:13:18,079 --> 00:13:24,018 私も お座敷で おなかが減って 我慢ができないことがある 134 00:13:24,018 --> 00:13:28,018 そこの裏庭から 表へ出られような? はい 135 00:13:31,025 --> 00:13:38,032 (店主)今は上がってますけど いつ また降りだすやら 136 00:13:38,032 --> 00:13:43,037 こういう晩は 一段と 寒さが きつうおます 137 00:13:43,037 --> 00:13:48,042 恐れ入るが この羽織を預かってもらえまいか 138 00:13:48,042 --> 00:13:53,047 もし わしが 亥の下刻までに ここへ帰らなかったら➡ 139 00:13:53,047 --> 00:13:58,052 この羽織と 添えてある1通とを 扇屋におられる➡ 140 00:13:58,052 --> 00:14:01,055 本阿弥光悦どのまで 届けてもらいたい 141 00:14:01,055 --> 00:14:04,058 はい お安いことどす 142 00:14:04,058 --> 00:14:08,062 確かに お預かりいたしておきますさかい 143 00:14:08,062 --> 00:14:12,066 (店主の娘) お侍さま 草鞋は5足でしたね? 144 00:14:12,066 --> 00:14:14,066 うむ… かたじけない 145 00:14:22,009 --> 00:14:25,012 ハァ… 146 00:14:25,012 --> 00:14:27,014 ンンッ… 147 00:14:27,014 --> 00:14:36,023 ♬~ 148 00:14:36,023 --> 00:14:38,025 (ちぎれる音) 149 00:14:38,025 --> 00:14:50,037 ♬~ 150 00:14:50,037 --> 00:15:02,049 ♬~ 151 00:15:02,049 --> 00:15:05,049 長旅かと思いましたが… 152 00:15:09,056 --> 00:15:15,062 草鞋と笠の代金だ へい おおきに 153 00:15:15,062 --> 00:15:17,062 どうも (2人)おおきに 154 00:15:19,066 --> 00:15:22,069 <観光京都の代表的名所 蓮華王院> 155 00:15:22,069 --> 00:15:25,072 <その長いお堂の廊下は➡ 156 00:15:25,072 --> 00:15:30,077 俗に 「三十三間堂」と呼ばれ 通し矢で名高い> 157 00:15:30,077 --> 00:15:35,082 <約束の刻限 戌の下刻とは 現在の午後9時> 158 00:15:35,082 --> 00:15:39,086 <吉岡伝七郎が 三十三間堂に着いたのは➡ 159 00:15:39,086 --> 00:15:43,090 それより半刻 約1時間前であった> 160 00:15:43,090 --> 00:15:46,090 (伝七郎)ちと早すぎたようだな 161 00:15:48,095 --> 00:15:52,099 この辺に腰掛け茶屋があったな (門下生)はぁ… 162 00:15:52,099 --> 00:15:54,101 (伝七郎) 誰か行って酒を提げてこい 163 00:15:54,101 --> 00:15:56,103 (植田)酒をですか? 164 00:15:56,103 --> 00:15:59,103 (伝七郎)そうだ 酒がなくちゃ寒くてかなわん 165 00:16:03,110 --> 00:16:05,110 おい (門下生)はっ! 166 00:16:08,115 --> 00:16:13,120 <このとき 武蔵は 伝七郎との戦いを思い描いていた> 167 00:16:13,120 --> 00:16:19,059 <いかにして勝つか 武蔵の策は その夜の気候条件 天気である> 168 00:16:19,059 --> 00:16:22,062 <この厳しい寒さを どう勝利に結び付けられるか> 169 00:16:22,062 --> 00:16:24,064 <悪条件のときこそ➡ 170 00:16:24,064 --> 00:16:29,064 自然を相手に鍛錬した体が 有利に働くはずであった> 171 00:16:31,071 --> 00:16:34,071 (門下生)武蔵だ! (門下生)来たか! 172 00:16:43,083 --> 00:16:46,086 (源左衛門)わしじゃ わしじゃ 173 00:16:46,086 --> 00:16:48,088 わしじゃよ! 174 00:16:48,088 --> 00:16:53,093 おお これは壬生の叔父上 どうして これへ? 175 00:16:53,093 --> 00:16:57,097 伝七郎 ひと言 励ましてくれようと思って 176 00:16:57,097 --> 00:16:59,099 壬生から駆けつけてきたのじゃ 177 00:16:59,099 --> 00:17:01,101 買ってまいりました (伝七郎)おう 178 00:17:01,101 --> 00:17:04,101 さあ 叔父上 寒さよけに (源左衛門)お… おう 179 00:17:14,114 --> 00:17:16,114 ハァ~ッ… 180 00:17:18,052 --> 00:17:21,055 おのおのは何をしに来ているのか 181 00:17:21,055 --> 00:17:26,060 よもや 助太刀ではあるまいな? 助太刀でなければ➡ 182 00:17:26,060 --> 00:17:29,063 もう この場所から 引き揚げたほうがよかろう 183 00:17:29,063 --> 00:17:31,065 こう ものものしく固まっていては 184 00:17:31,065 --> 00:17:36,070 1人と1人の勝負に 何やら こちらに弱みがあるようでいかん 185 00:17:36,070 --> 00:17:39,073 さあ そろそろ刻限であろう 186 00:17:39,073 --> 00:17:43,077 わしと共に どっか遠くに 退いていることにしよう 187 00:17:43,077 --> 00:17:45,077 (門下生たち)はっ! 188 00:17:54,088 --> 00:17:57,088 (転ぶ音) (門下生)おお 大丈夫ですか? 189 00:18:08,102 --> 00:18:11,105 ≪(大田黒)ご舎弟 来ました! 190 00:18:11,105 --> 00:18:19,046 ♬~ 191 00:18:19,046 --> 00:18:21,048 (大田黒)来ましたぞ (伝七郎)来たか 192 00:18:21,048 --> 00:18:25,052 たった今 七条大橋を東へ ご用意を! 193 00:18:25,052 --> 00:18:29,056 よし お前は立ち去れ! 194 00:18:29,056 --> 00:18:32,059 はっ! 195 00:18:32,059 --> 00:18:52,059 ♬~ 196 00:18:57,084 --> 00:19:01,084 アア… アア… 197 00:19:10,097 --> 00:19:13,100 アア… 198 00:19:13,100 --> 00:19:16,036 ンンッ… ンンッ! 199 00:19:16,036 --> 00:19:23,036 酒の気も抜けて この寒さ 肌に かみつくようだ 200 00:19:26,046 --> 00:19:28,046 ンンッ… 201 00:19:35,055 --> 00:19:37,055 (僧侶)どうぞ 202 00:19:41,061 --> 00:19:43,063 (僧侶)確か 宵のころ➡ 203 00:19:43,063 --> 00:19:49,069 三十三間堂辺りで暖を取ってる お武家方がございましたが➡ 204 00:19:49,069 --> 00:19:54,069 あれが あなたのお尋ねの お方たちかも分かりませぬ 205 00:19:59,079 --> 00:20:01,079 ハァ~ッ… 206 00:20:13,093 --> 00:20:15,093 ハァ~ッ… 207 00:20:18,031 --> 00:20:21,034 この縁を行けば➡ 208 00:20:21,034 --> 00:20:25,038 そのまま 三十三間堂の縁に 出られるのですか? 209 00:20:25,038 --> 00:20:29,042 はい 縁先を通って行かれるがよい 210 00:20:29,042 --> 00:20:31,044 んん… 211 00:20:31,044 --> 00:20:35,048 雪見でもなされるのか? 212 00:20:35,048 --> 00:20:37,048 雪? 213 00:20:39,052 --> 00:20:44,057 ♬~ 214 00:20:44,057 --> 00:20:48,061 <武蔵は ここで十分 体を温めた> 215 00:20:48,061 --> 00:20:52,065 <そして 戦う場所についての知識を得た> 216 00:20:52,065 --> 00:21:12,085 ♬~ 217 00:21:12,085 --> 00:21:32,105 ♬~ 218 00:21:32,105 --> 00:21:46,119 ♬~ 219 00:21:46,119 --> 00:21:59,132 ♬~ 220 00:21:59,132 --> 00:22:01,132 武蔵 221 00:22:29,096 --> 00:22:32,099 遅い! 222 00:22:32,099 --> 00:22:36,103 よいか? 「よいか」とは何が? 223 00:22:36,103 --> 00:22:39,106 戌の下刻は過ぎておる! 224 00:22:39,106 --> 00:22:44,111 下刻の鐘と きっちり同時にとは 約束しておらん 225 00:22:44,111 --> 00:22:48,115 詭弁を吐くな こっちは とうに来て➡ 226 00:22:48,115 --> 00:22:51,118 このとおり 身支度して待ち抜いていた 227 00:22:51,118 --> 00:22:54,118 さあ 下りろ! 228 00:22:56,123 --> 00:22:59,126 まいる! 229 00:22:59,126 --> 00:23:10,137 ♬~ 230 00:23:10,137 --> 00:23:21,081 ♬~ 231 00:23:21,081 --> 00:23:23,081 下りてこい! 232 00:23:26,086 --> 00:23:31,091 どうした? 試合わぬ前に おじけを抱くようでは➡ 233 00:23:31,091 --> 00:23:36,096 この伝七郎の前に 立つ資格はないぞ! 234 00:23:36,096 --> 00:23:38,098 下りろ そこを! 235 00:23:38,098 --> 00:23:42,102 なんの 吉岡伝七郎のごとき 236 00:23:42,102 --> 00:23:47,107 既に去年の春 拙者が真っ二つに斬っている 237 00:23:47,107 --> 00:23:49,109 なに!? 238 00:23:49,109 --> 00:23:56,116 今日 再び斬れば 御身を斬ること これで2度目だ 239 00:23:56,116 --> 00:23:58,118 いつ? どこで? 240 00:23:58,118 --> 00:24:03,123 大和国 柳生の庄 大和? 241 00:24:03,123 --> 00:24:06,126 旅籠の風呂の中 242 00:24:06,126 --> 00:24:08,128 あのときの… 243 00:24:08,128 --> 00:24:12,132 どちらも身に寸鉄を帯びぬ気 244 00:24:12,132 --> 00:24:18,071 風呂の中で 自分は目をもって御身を斬った 245 00:24:18,071 --> 00:24:21,074 愚にもつかぬ ほざき言 246 00:24:21,074 --> 00:24:25,078 面白い! その独り善がり さましてやろう 247 00:24:25,078 --> 00:24:27,078 来い! 248 00:24:39,092 --> 00:24:41,092 (大田黒)ターッ! 249 00:24:43,096 --> 00:24:45,098 (斬る音) 250 00:24:45,098 --> 00:24:47,100 (伝七郎)ウウッ! 251 00:24:47,100 --> 00:24:50,103 (門下生)伝七郎さま! (門下生)伝七郎さま! 252 00:24:50,103 --> 00:24:52,105 アアッ! 253 00:24:52,105 --> 00:24:56,109 アアッ… アアッ… 254 00:24:56,109 --> 00:24:59,109 (叫び声) 255 00:25:02,115 --> 00:25:04,115 討った… 256 00:25:09,122 --> 00:25:15,128 (深呼吸) 257 00:25:15,128 --> 00:25:19,128 ≪(門下生)ご舎弟! ≪(門下生)伝七郎さま! 258 00:25:21,068 --> 00:25:23,068 ≪(門下生)ご舎弟! 259 00:25:25,072 --> 00:25:27,074 (門下生)ああ 大変だ! 260 00:25:27,074 --> 00:25:30,077 (門下生)ご舎弟! (門下生)大田黒! 261 00:25:30,077 --> 00:25:33,080 (門下生)伝七郎さま! (植田)大田黒まで! 262 00:25:33,080 --> 00:25:35,082 (門下生)伝七郎さま! 263 00:25:35,082 --> 00:25:38,085 (源左衛門)敵を侮るから こんなことになったのじゃ 264 00:25:38,085 --> 00:25:42,089 伝七郎! (門下生の泣き声) 265 00:25:42,089 --> 00:25:44,091 相手は どうした!? 266 00:25:44,091 --> 00:25:47,094 いない! (門下生)おりません! 267 00:25:47,094 --> 00:25:49,094 いないわけがあるか! (門下生)あっ! 268 00:25:53,100 --> 00:25:58,105 武蔵 (源左衛門)あれか 269 00:25:58,105 --> 00:26:07,105 ♬~ 270 00:26:17,057 --> 00:26:21,061 美しいのぅ 271 00:26:21,061 --> 00:26:24,064 こんな 美しい女子のためじゃったら➡ 272 00:26:24,064 --> 00:26:27,067 わしは もう何度でも還俗してしまうぞ 273 00:26:27,067 --> 00:26:29,069 (珠水)還俗って? 274 00:26:29,069 --> 00:26:34,074 うん? ああ お坊さんを 辞めることじゃ ハハハッ… 275 00:26:34,074 --> 00:26:37,077 のう 太夫 どうじゃ? わしは本気じゃぞ 276 00:26:37,077 --> 00:26:41,081 太夫のように美しい女子に 会うのは これで2人目じゃ 277 00:26:41,081 --> 00:26:43,083 (吉野)2人? (沢庵)ああ 278 00:26:43,083 --> 00:26:48,088 もう1人は お通さんというてな しかし これは もう駄目なのじゃ 279 00:26:48,088 --> 00:26:50,090 その女子の心の中にはのぅ 280 00:26:50,090 --> 00:26:56,096 住み着いて離れぬ 恋しい男の姿があってのぅ 281 00:26:56,096 --> 00:27:00,100 (烏丸)沢庵坊のご祈祷でも 追い払えぬかのぅ? 282 00:27:00,100 --> 00:27:02,102 (沢庵)いやはや なんとも面目ない 283 00:27:02,102 --> 00:27:06,102 (沢庵たちの笑い声) 284 00:27:42,075 --> 00:27:44,075 (草鞋のひもを切る音) 285 00:27:46,079 --> 00:27:49,082 (りん弥) 武蔵さま おかえりなさいませ 286 00:27:49,082 --> 00:27:51,084 太夫さま 287 00:27:51,084 --> 00:27:55,084 灰屋の旦那さまとご一緒の 宮本さまです 288 00:28:01,094 --> 00:28:05,098 (吉野)皆さま あちらのお座敷に移られました 289 00:28:05,098 --> 00:28:10,103 (沢庵)吉野どの 逃げるなら この愚僧も連れていかれい! 290 00:28:10,103 --> 00:28:13,106 沢庵どの! 291 00:28:13,106 --> 00:28:19,106 武蔵どの いや こりゃまた異な所で… 292 00:28:22,048 --> 00:28:27,053 ハハハッ… 巡り会うたもんじゃのぅ ハハッ… 293 00:28:27,053 --> 00:28:30,056 おお 吉野太夫 これがのぅ 先ほど話した➡ 294 00:28:30,056 --> 00:28:34,060 お通さんという女子が 恋い焦がれておる色男よ 295 00:28:34,060 --> 00:28:36,060 ハハハハッ… 296 00:28:45,071 --> 00:28:55,081 ♬~ 297 00:28:55,081 --> 00:28:58,084 おお 血ではないか 298 00:28:58,084 --> 00:29:00,086 いいえ 299 00:29:00,086 --> 00:29:03,089 寒椿の ひとひらでございましょう 300 00:29:03,089 --> 00:29:14,100 ♬~ 301 00:29:14,100 --> 00:29:25,045 ♬~ 302 00:29:25,045 --> 00:29:30,050 (吉野)ご覧のとおりの山家 何も おかまいできませぬが➡ 303 00:29:30,050 --> 00:29:35,055 雪の夜の馳走には 火に勝るものはないとか 304 00:29:35,055 --> 00:29:38,055 薪だけは 尽きる気遣いはございませぬ 305 00:29:43,063 --> 00:29:45,065 太夫 306 00:29:45,065 --> 00:29:50,070 この薪 炎が 時に金色に光るが 307 00:29:50,070 --> 00:29:55,075 牡丹の木でございます 牡丹? 308 00:29:55,075 --> 00:29:57,077 ≪(障子の開く音) 309 00:29:57,077 --> 00:30:00,080 りん弥 表の様子は? 310 00:30:00,080 --> 00:30:04,084 はい 沢庵さんが 武蔵さまを表に出してはならぬと 311 00:30:04,084 --> 00:30:09,089 外は すごい身支度をした お武家たちで いっぱいですって 312 00:30:09,089 --> 00:30:15,095 ♬~ 313 00:30:15,095 --> 00:30:18,031 (門下生) 武蔵は 確かに まだ中におります 314 00:30:18,031 --> 00:30:20,033 (植田)そうか 315 00:30:20,033 --> 00:30:25,038 ♬~ 316 00:30:25,038 --> 00:30:28,041 近所のお店でも 今に何が起こるのかと➡ 317 00:30:28,041 --> 00:30:30,041 戸を下ろして震えているようです 318 00:30:33,046 --> 00:30:36,049 出るのは おやめなされ 319 00:30:36,049 --> 00:30:39,052 それでは 卑怯者のそしりを免れまい 320 00:30:39,052 --> 00:30:41,054 武蔵さま 321 00:30:41,054 --> 00:30:47,060 今夜は この吉野に あなたの体を預けてくださいませ 322 00:30:47,060 --> 00:30:52,065 皆さまに 「吉野が きっと お預かりいたしましたほどに➡ 323 00:30:52,065 --> 00:30:55,068 皆さま お気をつけて お引き揚げください」と➡ 324 00:30:55,068 --> 00:30:57,070 言っておいで (りん弥)はい 325 00:30:57,070 --> 00:31:01,074 ♬~ 326 00:31:01,074 --> 00:31:03,074 ≪(障子の閉まる音) 327 00:31:06,046 --> 00:31:11,046 (駕籠屋) えっほ えっほ えっほ えっほ… 328 00:31:20,060 --> 00:31:30,070 ♪(吉野)祇園精舎の鐘の声は 329 00:31:30,070 --> 00:31:34,074 ♪(琵琶の演奏) 330 00:31:34,074 --> 00:31:42,082 ♪ 諸行無常の響きあり 331 00:31:42,082 --> 00:31:45,085 ♪~ 332 00:31:45,085 --> 00:31:54,094 ♪ 沙羅双樹の花の色は 333 00:31:54,094 --> 00:31:56,096 ♪~ 334 00:31:56,096 --> 00:32:06,106 ♪ 盛者必衰の理をあらわす 335 00:32:06,106 --> 00:32:10,110 ♪~ 336 00:32:10,110 --> 00:32:17,050 ♪ おごれる者は久しからず 337 00:32:17,050 --> 00:32:21,054 ♪~ 338 00:32:21,054 --> 00:32:31,064 ♪ ただ春の夜の夢のごとし 339 00:32:31,064 --> 00:32:48,064 ♪~ 340 00:32:57,090 --> 00:33:00,090 もう程なく 夜が明けましょう 341 00:33:02,095 --> 00:33:05,098 武蔵さま 一服上がって 342 00:33:05,098 --> 00:33:10,103 こちらで 手なりと おあぶりなされませ 343 00:33:10,103 --> 00:33:12,103 ありがとう 344 00:33:22,048 --> 00:33:27,053 もし 武蔵さま はぁ… 345 00:33:27,053 --> 00:33:31,057 あなたは そうやって 誰に備えているのですか? 346 00:33:31,057 --> 00:33:37,063 誰にではない 自身の油断を戒めている 347 00:33:37,063 --> 00:33:42,063 敵には? もとよりのこと 348 00:33:45,071 --> 00:33:47,073 それでは もし ここへ➡ 349 00:33:47,073 --> 00:33:52,078 吉岡さまの門人衆が大勢して どっと寄せてきたときには➡ 350 00:33:52,078 --> 00:33:56,082 あなたは たちどころに 斬られてしまうに違いない 351 00:33:56,082 --> 00:34:00,086 私には そう思えてなりませぬ 352 00:34:00,086 --> 00:34:03,086 なんという気の毒なお方であろう 353 00:34:05,091 --> 00:34:08,094 武蔵さま 354 00:34:08,094 --> 00:34:13,032 女の私には 兵法などというものは 分かりませぬが➡ 355 00:34:13,032 --> 00:34:18,037 ずっと あなたの所作やまなざしを うかがっていると➡ 356 00:34:18,037 --> 00:34:24,043 今にも斬られて死ぬ人のように 見えてならないのです 357 00:34:24,043 --> 00:34:29,048 あなたのお顔には 死相が満ちています 358 00:34:29,048 --> 00:34:33,052 そんなことで 人に勝てるものでございますか? 359 00:34:33,052 --> 00:34:35,054 なに? 360 00:34:35,054 --> 00:34:40,059 ♬~ 361 00:34:40,059 --> 00:34:47,066 吉野どの この武蔵を未熟者だと笑うたな? 362 00:34:47,066 --> 00:34:51,066 お怒りなされましたか? 怒りはせぬが… 363 00:34:53,072 --> 00:34:58,072 拙者が今にも斬られる人間に 見えるとは どういうわけか? 364 00:35:00,079 --> 00:35:02,081 戯れか! 365 00:35:02,081 --> 00:35:05,084 お尋ねならば申しましょう 武蔵さま 366 00:35:05,084 --> 00:35:07,086 あなたは先刻➡ 367 00:35:07,086 --> 00:35:13,026 吉野が弾いた琵琶の音を 聴いておいであそばしましたか? 368 00:35:13,026 --> 00:35:16,029 琵琶と拙者の身と 何の関わりがある? 369 00:35:16,029 --> 00:35:19,032 お尋ねしたのが愚かでした 370 00:35:19,032 --> 00:35:22,035 始終 何者かへ 張り詰めていた あなたのお耳には 371 00:35:22,035 --> 00:35:27,040 あの1曲のうちに奏でられた こまやかな音の変化も➡ 372 00:35:27,040 --> 00:35:30,043 恐らく お聴き分けは なかったかもしれません 373 00:35:30,043 --> 00:35:35,048 いや 聴いていた それほど うつつにはおらん 374 00:35:35,048 --> 00:35:41,054 では この4つしかない糸から どうして あのように➡ 375 00:35:41,054 --> 00:35:45,058 さまざまな音色が 自由に鳴り出るのでしょうか 376 00:35:45,058 --> 00:35:50,058 私は禿のころから この琵琶の体が 不思議でなりませんでした 377 00:35:53,066 --> 00:35:56,069 武蔵さま 378 00:35:56,069 --> 00:36:01,069 このような琵琶にも 心があるのでございます 379 00:36:19,025 --> 00:36:22,028 ご覧じませ 380 00:36:22,028 --> 00:36:27,033 このとおり 琵琶の中は うつろでございます 381 00:36:27,033 --> 00:36:33,039 では あのさまざまな音の変化は どこから起こるかと思いますと➡ 382 00:36:33,039 --> 00:36:39,045 この胴の中に渡してある 横木ひとつでございます 383 00:36:39,045 --> 00:36:42,048 そして この横木は ただ まっすぐに➡ 384 00:36:42,048 --> 00:36:45,051 胴を張りしめているだけでは ないのです 385 00:36:45,051 --> 00:36:49,055 この横木の両端の力を➡ 386 00:36:49,055 --> 00:36:54,060 程よく そぎ取ってある緩みから➡ 387 00:36:54,060 --> 00:36:58,060 誠の音色が 生まれてくるのでございます 388 00:37:00,066 --> 00:37:04,066 今宵の あなたのお姿に 考え合わせてみると… 389 00:37:06,072 --> 00:37:09,075 ああ 危ういお人 390 00:37:09,075 --> 00:37:14,075 張り締まっているだけで 緩みといっては みじんもない 391 00:37:16,015 --> 00:37:18,015 吉野どの 392 00:37:20,019 --> 00:37:26,025 確かに 私の これまでに 一刻とて 緩みはなかった 393 00:37:26,025 --> 00:37:28,025 それは 私の未熟かもしれん 394 00:37:30,029 --> 00:37:33,032 しかし なればこそ生きてきた 395 00:37:33,032 --> 00:37:36,032 こうして死なずにいるのだ 396 00:37:38,037 --> 00:37:43,037 兵法者とは そういうものだと 思い定めて ここまで来たのだ 397 00:37:51,050 --> 00:37:55,054 沢庵さんから伺いました 398 00:37:55,054 --> 00:38:00,054 あなたをお慕いして 諸国をさすらう女子のこと 399 00:38:02,061 --> 00:38:05,061 お会いなされ 武蔵さま 400 00:38:07,066 --> 00:38:10,069 女の恋を受け止められぬお方に➡ 401 00:38:10,069 --> 00:38:16,008 真の強さなど できはしません 402 00:38:16,008 --> 00:38:22,014 ♬~ 403 00:38:22,014 --> 00:38:29,014 (うなされ声) 404 00:38:32,024 --> 00:38:38,030 せっかく 恋しい男の消息を 伝えに戻ったのに 405 00:38:38,030 --> 00:38:40,032 (烏丸)沢庵坊 (沢庵)うん? 406 00:38:40,032 --> 00:38:43,035 まろたちが郭へ出かけたすぐあと 407 00:38:43,035 --> 00:38:47,039 急に 「寒気がする」と 言いだしたそうなんじゃ 408 00:38:47,039 --> 00:38:50,039 アア… ウウ… 409 00:39:02,054 --> 00:39:06,058 ハァハァ ハァハァ… 410 00:39:06,058 --> 00:39:09,061 武蔵のことか? 411 00:39:09,061 --> 00:39:15,001 郭の総門に 吉岡の門弟衆が総出で 武蔵さまを殺すと 412 00:39:15,001 --> 00:39:18,004 うむ… 413 00:39:18,004 --> 00:39:22,008 わしに 武蔵を助けろと頼むのか? 414 00:39:22,008 --> 00:39:27,013 あなたは 武蔵さまが死ねばいいと? 415 00:39:27,013 --> 00:39:30,016 誰もが武蔵の死を願っている 416 00:39:30,016 --> 00:39:36,022 それは あやつが強いからだ 417 00:39:36,022 --> 00:39:41,027 フッ… むごいものだ 世間というやつは 418 00:39:41,027 --> 00:39:48,034 むしろ 俺こそが あの男が 生き残ることを願っている 419 00:39:48,034 --> 00:39:50,036 それはな 420 00:39:50,036 --> 00:39:57,036 武蔵を斬るのは この小次郎を置いて いないからだ 421 00:40:01,047 --> 00:40:04,047 (門下生)武蔵だー! (門下生)武蔵が来たぞ! 422 00:40:12,992 --> 00:40:14,994 (植田)武蔵! 423 00:40:14,994 --> 00:40:29,008 ♬~ 424 00:40:29,008 --> 00:40:42,021 ♬~ 425 00:40:42,021 --> 00:40:49,028 武蔵 師のご無念を 晴らし奉る門弟の弔い合戦だ 426 00:40:49,028 --> 00:40:52,031 汝の首 我々が もらい受けたぞ! 427 00:40:52,031 --> 00:40:57,036 ほう… 武士らしい挨拶を賜った 428 00:40:57,036 --> 00:41:00,039 しかし 師弟の情義を口にするなら 429 00:41:00,039 --> 00:41:03,042 なぜ堂々と 正当な試合に及ばれぬか? 430 00:41:03,042 --> 00:41:05,044 (植田)黙れ! 431 00:41:05,044 --> 00:41:08,047 汝こそ居所をくらまし 他国へ逃げ延びようと… 432 00:41:08,047 --> 00:41:14,053 武蔵は かくのとおり 逃げも隠れもせん 433 00:41:14,053 --> 00:41:18,053 卑劣者は 人の心を卑劣に 邪推するものだ なに!? 434 00:41:22,061 --> 00:41:24,061 ≪(小次郎)待て待てい! 435 00:41:33,072 --> 00:41:35,074 御身は… 436 00:41:35,074 --> 00:41:38,077 (うなされ声) 437 00:41:38,077 --> 00:41:41,080 (沢庵)お通さん しっかりせい! 438 00:41:41,080 --> 00:41:46,085 武蔵はのぅ すぐ近くにおる ええ? 439 00:41:46,085 --> 00:41:49,088 お前のな すぐ近くにおるんじゃ 武蔵は 440 00:41:49,088 --> 00:41:51,088 お通さん! 441 00:42:05,104 --> 00:42:09,108 (小次郎) 待てい! 双方とも待てい! 442 00:42:09,108 --> 00:42:15,047 (植田)貴公 客分の恩義を忘れ 武蔵めに味方する気か!? 443 00:42:15,047 --> 00:42:17,049 (小次郎) もとより 武蔵の味方ではない 444 00:42:17,049 --> 00:42:21,053 かといって 吉岡の味方でもないのだ 445 00:42:21,053 --> 00:42:26,053 剣客として 武門のため おのおのに言いたいことがある 446 00:42:28,060 --> 00:42:34,066 剣のうえの解決は 剣の作法に従ってやるがよかろう 447 00:42:34,066 --> 00:42:38,070 改めて 時や場所を選んで なすべきではないか? 448 00:42:38,070 --> 00:42:42,074 よ~し! いかにも道理は そのとおりだ 449 00:42:42,074 --> 00:42:46,078 だが 小次郎どの 改めて その日まで➡ 450 00:42:46,078 --> 00:42:52,084 武蔵が逃げうせぬという保証は 貴殿がなさるのか? 451 00:42:52,084 --> 00:42:56,088 そのような 卑怯な振る舞いがあれば➡ 452 00:42:56,088 --> 00:42:59,091 このわしが武蔵を斬る! 453 00:42:59,091 --> 00:43:04,096 よかろう 今日のところは 我らは引き揚げてもよい 454 00:43:04,096 --> 00:43:06,098 どうだ? 武蔵 455 00:43:06,098 --> 00:43:11,103 ♬~ 456 00:43:11,103 --> 00:43:14,039 承知した 457 00:43:14,039 --> 00:43:18,043 しからば 武蔵 望みの日取りは? 458 00:43:18,043 --> 00:43:21,046 いつなりとも 459 00:43:21,046 --> 00:43:25,050 場所は? 任せる 460 00:43:25,050 --> 00:43:28,050 (小次郎)潔し 461 00:43:30,055 --> 00:43:32,057 どうだ? おのおのは 462 00:43:32,057 --> 00:43:48,073 ♬~ 463 00:43:48,073 --> 00:43:52,077 時刻は明後日の朝 卯の下刻 464 00:43:52,077 --> 00:43:54,079 心得え申した 465 00:43:54,079 --> 00:43:59,084 場所は叡山道 一乗寺山のふもと 藪之郷 下り松 466 00:43:59,084 --> 00:44:02,087 その下り松を 出合いの場所とする 467 00:44:02,087 --> 00:44:05,087 一乗寺村の下り松… 468 00:44:07,092 --> 00:44:10,095 よろしい 分かった 469 00:44:10,095 --> 00:44:12,097 当方 名目人として➡ 470 00:44:12,097 --> 00:44:15,034 清十郎 伝七郎 2人の叔父に当たる➡ 471 00:44:15,034 --> 00:44:18,037 吉岡源左衛門の一子 源次郎を立てる 472 00:44:18,037 --> 00:44:21,040 源次郎は 吉岡家の跡目相続人なれど➡ 473 00:44:21,040 --> 00:44:24,043 まだ年端も行かぬ少年ゆえ➡ 474 00:44:24,043 --> 00:44:29,048 門弟何名かが介添えとして 立ち合いにつくこと➡ 475 00:44:29,048 --> 00:44:31,048 それも念のため申しておく 476 00:44:33,052 --> 00:44:35,052 しかと承った 477 00:44:39,058 --> 00:44:53,072 ♬~ 478 00:44:53,072 --> 00:45:00,079 <吉岡一門の憎悪を一身に受けて 武蔵は ひとり闘おうとしていた> 479 00:45:00,079 --> 00:45:11,090 ♬~ 480 00:45:11,090 --> 00:45:18,090 《大海に道なし ただ 一剣をもって進む》 481 00:45:21,033 --> 00:45:41,053 ♬~ 482 00:45:41,053 --> 00:46:01,073 ♬~ 483 00:46:01,073 --> 00:46:21,026 ♬~ 484 00:46:21,026 --> 00:46:41,046 ♬~ 485 00:46:41,046 --> 00:47:01,066 ♬~ 486 00:47:01,066 --> 00:47:21,066 ♬~ 487 00:47:24,056 --> 00:47:26,058 (叫び声) 488 00:47:26,058 --> 00:47:28,060 さて 武蔵 いかに戦うか 489 00:47:28,060 --> 00:47:31,063 (おゆき)ずるい 起きてるんや 490 00:47:31,063 --> 00:47:34,066 お通さん! お通さん! 491 00:47:34,066 --> 00:47:37,069 よく死のう いかに よく死ぬかだ 492 00:47:37,069 --> 00:47:46,069 ♬~