1 00:00:02,202 --> 00:00:04,137 (木づちの音) 2 00:00:04,137 --> 00:00:07,140 (裁判長)それでは 開廷します。 3 00:00:07,140 --> 00:00:10,844 ある裁判が始まろうとしている。 4 00:00:12,613 --> 00:00:15,282 僕は 友永啓介。 5 00:00:15,282 --> 00:00:19,286 今回 裁判員の一人に 選ばれた。 6 00:00:20,954 --> 00:00:25,826 僕たち裁判員は 法廷で 見たり聞いたりする事をもとに➡ 7 00:00:25,826 --> 00:00:31,832 この ちょっと不思議な裁判の 判決を考えなくてはならない。 8 00:00:34,301 --> 00:00:38,171 裁かれる被告人は 猿。 9 00:00:38,171 --> 00:00:45,312 かたい柿をぶつけてカニを殺した 罪に問われている。 10 00:00:45,312 --> 00:00:53,320 ♬~ 11 00:00:54,988 --> 00:00:59,860 検察官 今回 猿が どんな罪を犯したというのか➡ 12 00:00:59,860 --> 00:01:02,563 述べて下さい。 はい。 13 00:01:04,531 --> 00:01:08,268 起訴状を読み上げます。 14 00:01:08,268 --> 00:01:15,609 「被告人の猿は 何の落ち度もない カニの命を無残に奪いました。➡ 15 00:01:15,609 --> 00:01:18,512 事件当時 二十歳だった猿は➡ 16 00:01:18,512 --> 00:01:23,483 柿を取れずに困っていた カニの親子に出会いました。➡ 17 00:01:23,483 --> 00:01:28,188 猿は 『自分が取ってやろう』 と言って木に登り➡ 18 00:01:28,188 --> 00:01:32,960 熟れた柿を食べ尽くしました。➡ 19 00:01:32,960 --> 00:01:39,299 その事に文句を言った母ガニに 猿は逆上。➡ 20 00:01:39,299 --> 00:01:44,972 まだ 青くて かたい柿を 執ように投げつけました。➡ 21 00:01:44,972 --> 00:01:48,842 何発も直撃を食らった母ガニと 幼い娘2人は➡ 22 00:01:48,842 --> 00:01:53,313 体を砕かれて死亡しました。➡ 23 00:01:53,313 --> 00:02:00,120 猿は 逮捕されるまでの8年間 逃亡を続けました。➡ 24 00:02:00,120 --> 00:02:06,593 これは 刑法第199条の殺人罪に あたります。➡ 25 00:02:06,593 --> 00:02:12,466 そして この短絡的で あまりにも残虐な犯行は➡ 26 00:02:12,466 --> 00:02:16,470 死刑が相当と考えます」。 27 00:02:18,605 --> 00:02:23,944 (裁判長)被告人 今 検察官が読み上げた事実に➡ 28 00:02:23,944 --> 00:02:26,847 間違いはありませんか? 29 00:02:26,847 --> 00:02:30,550 はい… 間違いありません。 30 00:02:32,285 --> 00:02:35,622 (裁判長)弁護人の意見は いかがですか? 31 00:02:35,622 --> 00:02:38,291 はい。 32 00:02:38,291 --> 00:02:42,963 殺害の事実は争いません。 33 00:02:42,963 --> 00:02:47,634 しかし 死刑という 最も重い刑罰を科すには➡ 34 00:02:47,634 --> 00:02:51,304 慎重さが必要です。 35 00:02:51,304 --> 00:02:56,176 犯行に至るまでの猿の境遇には 同情の余地があります。 36 00:02:56,176 --> 00:03:01,948 また 猿は 十分に反省し 更生しています。 37 00:03:01,948 --> 00:03:09,256 これらの点を考慮し 死刑にすべきではないと考えます。 38 00:03:09,256 --> 00:03:14,594 僕たち裁判員に 突きつけられたのは➡ 39 00:03:14,594 --> 00:03:19,900 猿を死刑にするか しないかの 判断。 40 00:03:21,468 --> 00:03:28,475 僕の意見で 一つの命の行方が 決まってしまうんだ…。 41 00:03:34,614 --> 00:03:39,486 まず 検察官は 殺されたカニの長男である➡ 42 00:03:39,486 --> 00:03:43,623 子ガニを証人に呼んだ。 43 00:03:43,623 --> 00:03:47,961 亡くなったお母さんは どんな人でしたか? 44 00:03:47,961 --> 00:03:55,836 とても優しい人でした。 父が亡くなったあとも➡ 45 00:03:55,836 --> 00:04:02,242 いつも笑顔で 僕と妹たちを育ててくれました。 46 00:04:02,242 --> 00:04:06,913 あの柿の木も 僕たちに食べさせようと➡ 47 00:04:06,913 --> 00:04:12,252 一生懸命 育てていたんです。 48 00:04:12,252 --> 00:04:17,924 そんなお母さんを 無残に殺されてしまったんですね。 49 00:04:17,924 --> 00:04:24,264 母も妹たちも 何にも悪い事をしていないのに…。 50 00:04:24,264 --> 00:04:29,136 僕は あいつを…➡ 51 00:04:29,136 --> 00:04:31,838 絶対に許しません。 52 00:04:33,940 --> 00:04:40,614 事件当時 あなたは8歳。 学校から帰った あなたは➡ 53 00:04:40,614 --> 00:04:45,952 お母さんと妹さんが 殺されているところを目撃した。 54 00:04:45,952 --> 00:04:51,291 はい。 猿は 「死ね! 死ね!」と➡ 55 00:04:51,291 --> 00:04:57,164 すごい形相で 青柿をぶつけていました。➡ 56 00:04:57,164 --> 00:05:01,902 僕は 怖くて 動けなくて➡ 57 00:05:01,902 --> 00:05:06,907 ただ 見ている事しか できませんでした。 58 00:05:10,243 --> 00:05:15,749 それから8年後 猿の居所を 突き止めた あなたは➡ 59 00:05:15,749 --> 00:05:21,922 臼 蜂 栗 牛のフンを伴って➡ 60 00:05:21,922 --> 00:05:24,591 敵を討とうとしましたね? 61 00:05:24,591 --> 00:05:27,093 はい。 62 00:05:27,093 --> 00:05:33,600 僕は 母たちを見殺しにした自分を 責め続けてきました。➡ 63 00:05:33,600 --> 00:05:40,473 それを償うためには この手で 猿を殺すしかないと➡ 64 00:05:40,473 --> 00:05:43,610 思っていました。 65 00:05:43,610 --> 00:05:48,949 しかし あなたは 猿の身柄を警察に引き渡した。 66 00:05:48,949 --> 00:05:51,284 はい。 67 00:05:51,284 --> 00:05:56,156 でも 殺しきれなかった ふがいない自分に代わって➡ 68 00:05:56,156 --> 00:06:02,462 法律が あいつに 死を与えてくれると信じています。 69 00:06:06,233 --> 00:06:11,905 もし 自分の家族が 同じ目に遭わされたら➡ 70 00:06:11,905 --> 00:06:14,908 僕は どう思うだろう? 71 00:06:16,776 --> 00:06:22,482 犯人を殺してやりたいって 思うよな。 72 00:06:26,253 --> 00:06:29,956 弁護人 反対尋問を どうぞ。 73 00:06:31,591 --> 00:06:33,593 はい。 74 00:06:35,929 --> 00:06:43,603 あなたの敵討ちの計画は まず 蜂と栗が 猿に襲いかかる。 75 00:06:43,603 --> 00:06:48,475 そして 猿が 牛のフンに 足を滑らせたところに➡ 76 00:06:48,475 --> 00:06:50,944 臼が のしかかり➡ 77 00:06:50,944 --> 00:06:57,817 あなたが そのハサミで 猿の首を切り落とす➡ 78 00:06:57,817 --> 00:07:01,221 というものでしたね? 79 00:07:01,221 --> 00:07:04,524 はい そうです。 80 00:07:06,092 --> 00:07:11,865 しかし あなたは できなかった。 81 00:07:11,865 --> 00:07:15,568 それは なぜですか? 82 00:07:15,568 --> 00:07:20,907 あいつの家の壁に 絵が貼られていて…。 83 00:07:20,907 --> 00:07:23,576 何の絵です? 84 00:07:23,576 --> 00:07:28,281 猿の子どもが描いた絵です。 85 00:07:30,250 --> 00:07:33,920 それを見たら どうしても➡ 86 00:07:33,920 --> 00:07:38,591 殺す事が できなくなってしまいました。 87 00:07:38,591 --> 00:07:43,930 あなたは 本当は 猿の命を奪ってはいけないと➡ 88 00:07:43,930 --> 00:07:47,600 思っているのではありませんか? 89 00:07:47,600 --> 00:07:52,272 愛する人を奪われる悲しみを 知っている あなただからこそ。 90 00:07:52,272 --> 00:07:54,607 違う 違う! 91 00:07:54,607 --> 00:07:58,478 僕が 殺せなかっただけなんだ。 92 00:07:58,478 --> 00:08:03,783 あいつは 死んで当然なんだ。 93 00:08:13,560 --> 00:08:19,899 続いて 弁護人は 猿の妻を証人に呼んだ。 94 00:08:19,899 --> 00:08:23,770 ご主人と知り合ったのは いつですか? 95 00:08:23,770 --> 00:08:27,640 事件の 少し後です。 96 00:08:27,640 --> 00:08:32,078 事件について あなたは 何か知っていましたか? 97 00:08:32,078 --> 00:08:34,748 いいえ。 98 00:08:34,748 --> 00:08:39,919 夫が逮捕されるまで 何も知りませんでした。 99 00:08:39,919 --> 00:08:42,622 ご主人は どういう方ですか? 100 00:08:44,257 --> 00:08:52,132 知り合った頃は 口数も少なくて どこか影のある感じでした。➡ 101 00:08:52,132 --> 00:08:57,604 でも 子どもができて 変わったんです。 102 00:08:57,604 --> 00:09:01,875 あそこにいるのが お子さんですね? 103 00:09:01,875 --> 00:09:04,210 はい。 104 00:09:04,210 --> 00:09:07,547 生まれたばかりの あの子を抱いて➡ 105 00:09:07,547 --> 00:09:12,218 あの人 号泣したんです。➡ 106 00:09:12,218 --> 00:09:20,093 「本当にありがとう ありがとう」と 何度も私に礼を言って。 107 00:09:20,093 --> 00:09:23,229 よっぽど うれしかったんでしょうね。 108 00:09:23,229 --> 00:09:26,132 ええ。➡ 109 00:09:26,132 --> 00:09:35,442 子ぼんのうというか 優しくて 本当に いい父親なんです。 110 00:09:37,243 --> 00:09:43,583 裁判員の皆さん 猿は 一人残された小ガニに対して➡ 111 00:09:43,583 --> 00:09:47,454 匿名で 仕送りをしてきました。 112 00:09:47,454 --> 00:09:51,925 仕事帰りに 工事現場でアルバイトをして➡ 113 00:09:51,925 --> 00:09:56,596 毎月 5万円ほどを 工面していました。 114 00:09:56,596 --> 00:10:01,267 きっと せめてもの 誠意だったんだと思います。 115 00:10:01,267 --> 00:10:06,139 本人も 本当に後悔しています。 116 00:10:06,139 --> 00:10:11,611 ですから どうか 生きて 償わせてやってほしいんです!➡ 117 00:10:11,611 --> 00:10:14,514 都合がいい事は分かっています。➡ 118 00:10:14,514 --> 00:10:19,953 でも 息子から 父親を 奪わないでやってほしいんです…。 119 00:10:19,953 --> 00:10:24,657 どうか… お願いします! 120 00:10:30,597 --> 00:10:35,301 あなたは 「生きて償わせてほしい」 と言いました。 121 00:10:35,301 --> 00:10:40,640 では 具体的に どうやって償うつもりですか? 122 00:10:40,640 --> 00:10:45,512 それは…。 毎月の仕送りも 償いではなく➡ 123 00:10:45,512 --> 00:10:50,316 ただ 罪の意識を軽くするために 行っていたんじゃないんですか? 124 00:10:50,316 --> 00:10:52,986 そんな…! また あなたは➡ 125 00:10:52,986 --> 00:10:56,322 猿が後悔していると言いました。 126 00:10:56,322 --> 00:11:02,328 では なぜ 8年間も身を隠し 出頭しなかったんでしょう? 127 00:11:04,597 --> 00:11:08,935 私たち家族の事を考えたからだと 思います。 128 00:11:08,935 --> 00:11:11,604 子ガニから 家族を奪っておきながら➡ 129 00:11:11,604 --> 00:11:15,942 自分の家族は守りたい。 130 00:11:15,942 --> 00:11:19,946 あまりに身勝手だと 思いませんか? 131 00:11:22,282 --> 00:11:25,285 以上です。 132 00:11:30,623 --> 00:11:35,962 そうだ… 猿は身勝手だ。 133 00:11:35,962 --> 00:11:38,631 子ガニから 家族を奪った罪は➡ 134 00:11:38,631 --> 00:11:41,534 償いきれるものじゃない。 135 00:11:41,534 --> 00:11:48,841 でも 幼い子猿から 父親を奪っていいんだろうか…。 136 00:11:51,644 --> 00:11:58,351 それを考えると 分からなくなるんだよな…。 137 00:12:04,223 --> 00:12:12,532 いよいよ 被告人の猿への質問だ。 まずは 弁護人から。 138 00:12:15,602 --> 00:12:20,473 あなたは なぜ 面識のなかった カニの親子に➡ 139 00:12:20,473 --> 00:12:24,277 殺意を抱いたのですか? 140 00:12:24,277 --> 00:12:30,950 母ガニに… 人でなしと言われたからです。 141 00:12:30,950 --> 00:12:34,287 人でなし? 142 00:12:34,287 --> 00:12:39,626 私が 一番言われたくない言葉でした。 143 00:12:39,626 --> 00:12:44,297 詳しく教えてもらえますか? 144 00:12:44,297 --> 00:12:47,634 私が子どもの頃➡ 145 00:12:47,634 --> 00:12:53,973 父は いつも 母に暴力を振るっていました。➡ 146 00:12:53,973 --> 00:12:59,646 嫌な事があると すぐに 殴る 蹴る。➡ 147 00:12:59,646 --> 00:13:04,917 もう 地獄でした…。 そんな父に➡ 148 00:13:04,917 --> 00:13:09,589 母が いつも 泣きながら 言っていた言葉が➡ 149 00:13:09,589 --> 00:13:13,259 人でなしでした。 150 00:13:13,259 --> 00:13:19,932 人でなしは あなたのお父さんを 指す言葉だったんですね。 151 00:13:19,932 --> 00:13:22,602 はい…。 152 00:13:22,602 --> 00:13:28,941 私は父を軽蔑し 心から憎みました。 153 00:13:28,941 --> 00:13:32,812 でも 私も…。 154 00:13:32,812 --> 00:13:36,616 何があったんですか? 155 00:13:36,616 --> 00:13:40,953 中学に入った ある日➡ 156 00:13:40,953 --> 00:13:46,292 鏡を見て がく然としました。➡ 157 00:13:46,292 --> 00:13:52,165 鏡に映る自分が あの父に そっくりだったんです。➡ 158 00:13:52,165 --> 00:13:55,301 恐怖でした…。 159 00:13:55,301 --> 00:14:00,139 父のようにだけは なりたくないと思いました。 160 00:14:00,139 --> 00:14:04,577 でも そう思えば思うほど➡ 161 00:14:04,577 --> 00:14:11,451 しぐさも 言葉遣いも 似てくるんです…。➡ 162 00:14:11,451 --> 00:14:17,590 自分の存在に 耐えきれなくなっていきました。 163 00:14:17,590 --> 00:14:20,893 追い詰められていたんですね。 164 00:14:22,462 --> 00:14:29,202 それでは 事件の日の事を 教えてもらえますか? 165 00:14:29,202 --> 00:14:32,605 はい…。 166 00:14:32,605 --> 00:14:37,276 あの日 当時 交際していた女性と➡ 167 00:14:37,276 --> 00:14:40,179 ちょっとした事で 口論になりました。 168 00:14:40,179 --> 00:14:46,953 その時… つい… 手を上げそうになったんです。 169 00:14:46,953 --> 00:14:50,623 暴力を振るおうとした? 170 00:14:50,623 --> 00:14:58,297 その瞬間 私は 父になってしまったと思いました。 171 00:14:58,297 --> 00:15:02,568 震えが止まらなくなりました。 172 00:15:02,568 --> 00:15:08,908 そんな時に カニの親子に出会った。 173 00:15:08,908 --> 00:15:13,579 幸せそうな姿が 無性に いらだたしくて…➡ 174 00:15:13,579 --> 00:15:18,251 木に登り 柿を食べ尽くしました。 175 00:15:18,251 --> 00:15:27,260 そしたら… 怒った母ガニに 言われたんです。 176 00:15:27,260 --> 00:15:31,130 「人でなし」と…。 177 00:15:31,130 --> 00:15:37,603 私の中で 何かが切れてしまいました。 178 00:15:37,603 --> 00:15:40,940 「黙れ! 黙れ!」という気持ちで➡ 179 00:15:40,940 --> 00:15:44,811 柿を投げ続けました。 180 00:15:44,811 --> 00:15:48,815 認めたくなかったんです! 181 00:15:48,815 --> 00:15:55,121 本当に 申し訳ありませんでした! 182 00:16:00,893 --> 00:16:05,565 父親の呪縛に苦しんできた猿は➡ 183 00:16:05,565 --> 00:16:10,570 自分に子どもができて 生まれ変わる事ができたんだ。 184 00:16:13,906 --> 00:16:18,244 もう少し早く 子どもに出会えていたら➡ 185 00:16:18,244 --> 00:16:21,547 きっと こんな事件は起こさなかった。 186 00:16:24,116 --> 00:16:30,122 そんな猿を 死刑にしていいのかな…。 187 00:16:36,262 --> 00:16:40,967 検察官 質問をどうぞ。 はい。 188 00:16:46,606 --> 00:16:49,275 確かに あなたは➡ 189 00:16:49,275 --> 00:16:52,945 父親に似ていく自分に 嫌悪感を感じ➡ 190 00:16:52,945 --> 00:16:55,615 追い詰められていたのかも しれない。 191 00:16:55,615 --> 00:16:58,951 しかし そんな事は カニの家族にとっては➡ 192 00:16:58,951 --> 00:17:05,224 何の関係もない事です。 …そのとおりです。 193 00:17:05,224 --> 00:17:10,096 母ガニの何気ない ひと言に 逆上した あなたは➡ 194 00:17:10,096 --> 00:17:13,099 かたい柿を 執ように投げ続けた。 195 00:17:13,099 --> 00:17:17,236 一つは 胸を貫通し➡ 196 00:17:17,236 --> 00:17:19,572 一つは 目をそぎ➡ 197 00:17:19,572 --> 00:17:23,442 体は 粉々に砕けました。 198 00:17:23,442 --> 00:17:27,246 更に あなたは 母ガニのそばに➡ 199 00:17:27,246 --> 00:17:31,117 幼い子どもたちがいたのを 分かってましたよね? 200 00:17:31,117 --> 00:17:34,921 はい 気付いてました…。 201 00:17:34,921 --> 00:17:40,593 つまり あなたは 逃げようとした 幼い子どもたちまでも狙った! 202 00:17:40,593 --> 00:17:44,931 ただ 自分の気持ちを 静めるためだけに! 203 00:17:44,931 --> 00:17:47,233 はい。 204 00:17:49,602 --> 00:17:53,306 そんな あなたに あえて聞きます。 205 00:17:55,474 --> 00:17:59,478 命って そんなに軽いものですか? 206 00:18:05,551 --> 00:18:08,254 終わります。 207 00:18:18,130 --> 00:18:21,100 裁判員の皆さん。 208 00:18:21,100 --> 00:18:27,807 猿は 極めて残虐な方法で 親子3人の命を奪いました。 209 00:18:27,807 --> 00:18:32,778 しかも その動機は あまりに自己中心的です。 210 00:18:32,778 --> 00:18:35,548 遺族の処罰感情も強く➡ 211 00:18:35,548 --> 00:18:41,454 もはや 死をもって償うほかありません。 212 00:18:41,454 --> 00:18:43,923 裁判員の皆さん。 213 00:18:43,923 --> 00:18:47,793 本件は 精神的に追い詰められた末の➡ 214 00:18:47,793 --> 00:18:51,797 衝動的な犯行であり 計画性はありません。 215 00:18:51,797 --> 00:18:59,939 更に 猿は十分に反省し 一人の父親として更生しています。 216 00:18:59,939 --> 00:19:06,746 これらは 死刑を回避するのに 十分な理由です。 217 00:19:06,746 --> 00:19:10,216 命を奪った罪は➡ 218 00:19:10,216 --> 00:19:16,088 命でしか 償えないものでしょうか? 219 00:19:16,088 --> 00:19:21,394 猿は 生きて 償うべきです。 220 00:19:23,562 --> 00:19:28,234 これで 全ての審理が終わりました。 221 00:19:28,234 --> 00:19:33,539 これから 裁判員の皆さんと 判決を話し合います。 222 00:19:35,107 --> 00:19:41,781 僕たち裁判員に託されているのは 一つの命だ。 223 00:19:41,781 --> 00:19:48,254 猿を死刑にするか 死刑にしないか。 224 00:19:48,254 --> 00:19:53,559 僕は それを決めなければならない。