1 00:00:01,235 --> 00:00:03,604 (木づちの音) 2 00:00:03,604 --> 00:00:07,274 それでは開廷します。 3 00:00:07,274 --> 00:00:12,613 ある裁判が始まろうとしている。 4 00:00:12,613 --> 00:00:15,282 僕は 水元佑太。 5 00:00:15,282 --> 00:00:19,152 今回 裁判員の一人に 選ばれた。 6 00:00:19,152 --> 00:00:25,292 僕たち裁判員は 法廷で見たり 聞いたりする事を基に➡ 7 00:00:25,292 --> 00:00:32,165 このちょっと不思議な裁判の 判決を考えなくてはならない。 8 00:00:32,165 --> 00:00:38,305 裁かれる被告人は 赤ずきん。 おなかに大量の石を詰めて➡ 9 00:00:38,305 --> 00:00:42,609 オオカミを殺した罪に 問われている。 10 00:00:53,320 --> 00:00:58,659 検察官 今回 赤ずきんが どんな罪を犯したというのか➡ 11 00:00:58,659 --> 00:01:01,562 述べて下さい。 はい。 12 00:01:01,562 --> 00:01:06,266 起訴状を読み上げます。 13 00:01:06,266 --> 00:01:12,940 赤ずきんは 残虐極まりない方法で オオカミを殺害しました。 14 00:01:12,940 --> 00:01:16,276 おばあさんの見舞いに向かった 赤ずきんは➡ 15 00:01:16,276 --> 00:01:18,612 森で出会ったオオカミに ➡ 16 00:01:18,612 --> 00:01:23,283 おばあさんの家の場所を 教えてしまいました。 17 00:01:23,283 --> 00:01:27,154 先回りしたオオカミは おばあさんをひと呑み。 18 00:01:27,154 --> 00:01:31,158 更に オオカミは おばあさんに化けて待ち伏せし➡ 19 00:01:31,158 --> 00:01:36,296 後から来た赤ずきんも 食べてしまいました。 20 00:01:36,296 --> 00:01:38,632 偶然 通りかかった猟師が➡ 21 00:01:38,632 --> 00:01:42,970 寝ているオオカミの おなかを裂いて 2人を救出。 22 00:01:42,970 --> 00:01:47,641 その後 赤ずきんは 大量の石を拾ってきて➡ 23 00:01:47,641 --> 00:01:52,512 オオカミのおなかに詰めて 殺害したのです。 24 00:01:52,512 --> 00:01:55,315 赤ずきんの犯した罪は➡ 25 00:01:55,315 --> 00:02:03,590 刑法第199条の 殺人罪にあたります。 26 00:02:03,590 --> 00:02:08,261 被告人 今 検察官が読み上げた事実に➡ 27 00:02:08,261 --> 00:02:12,132 間違いはありませんか? 28 00:02:12,132 --> 00:02:17,270 はい 私は オオカミを殺しました。 29 00:02:17,270 --> 00:02:23,143 でも その時の事は よく覚えてないんです…。 30 00:02:23,143 --> 00:02:27,147 弁護人の意見は いかがですか? はい。 31 00:02:29,616 --> 00:02:33,487 殺害の事実は争いません。 32 00:02:33,487 --> 00:02:36,957 しかし オオカミに食べられた 赤ずきんは➡ 33 00:02:36,957 --> 00:02:43,296 精神障害を起こし 心神喪失の状態にありました。 34 00:02:43,296 --> 00:02:46,633 すなわち やってはいけない事の 判断ができず➡ 35 00:02:46,633 --> 00:02:51,505 自分の行動を 制御できなかった。 36 00:02:51,505 --> 00:02:57,811 刑法第39条により 赤ずきんは無罪です。 37 00:02:59,646 --> 00:03:04,251 赤ずきんは 犯行を認めている。 にもかかわらず➡ 38 00:03:04,251 --> 00:03:11,124 弁護人が無罪を主張するのは 刑法第39条で➡ 39 00:03:11,124 --> 00:03:18,598 「心神喪失者の行為は罰しない」と 定められているからだ。 40 00:03:18,598 --> 00:03:24,471 オオカミを殺した時 赤ずきんは心神喪失だったのか。 41 00:03:24,471 --> 00:03:28,775 それが この裁判の争点だ。 42 00:03:33,613 --> 00:03:36,516 まず 検察官は➡ 43 00:03:36,516 --> 00:03:41,488 殺されたオオカミの母親を 証人に呼んだ。 44 00:03:41,488 --> 00:03:47,961 お母さん こちらをご覧下さい。 これらの石は全て➡ 45 00:03:47,961 --> 00:03:51,832 実際に息子さんのおなかに 詰められていたものです。 46 00:03:51,832 --> 00:03:54,634 はちきれんばかりに膨らんだ おなかは➡ 47 00:03:54,634 --> 00:03:59,339 麻ひもで 乱雑に縫合されていました。 48 00:04:03,243 --> 00:04:05,946 ああ… こんなに…。 49 00:04:07,914 --> 00:04:11,785 こんなに たくさんの 石を詰められて…。 50 00:04:11,785 --> 00:04:15,255 痛かっただろうに…。 51 00:04:15,255 --> 00:04:21,128 (泣き声) 52 00:04:21,128 --> 00:04:26,133 本当に ひどい殺し方ですよね。 53 00:04:27,834 --> 00:04:31,271 もちろん 赤ずきんとおばあさんを 襲った息子が悪いのは➡ 54 00:04:31,271 --> 00:04:37,611 分かっていますよ。 でも こんなに むごい殺し方をしなくても➡ 55 00:04:37,611 --> 00:04:40,614 いいじゃありませんか! 56 00:04:42,482 --> 00:04:45,485 (ざわめき) 証人! 証人! 57 00:04:47,287 --> 00:04:52,959 あんたが無罪になって いい訳がない! 58 00:04:52,959 --> 00:05:00,567 お願い… 息子を返して…。 (泣き声) 59 00:05:00,567 --> 00:05:06,273 弁護人 反対尋問をどうぞ。 はい。 60 00:05:09,242 --> 00:05:14,581 あなたは 赤ずきんが 無罪になっていい訳がないと➡ 61 00:05:14,581 --> 00:05:19,920 言いました。 しかし 心神喪失者は➡ 62 00:05:19,920 --> 00:05:25,592 それが やってはいけない事だと 分からずに 犯行に及んでいます。 63 00:05:25,592 --> 00:05:27,527 そうした者を罰しても➡ 64 00:05:27,527 --> 00:05:31,264 自分が なぜ罰を与えられるのか 理解できず➡ 65 00:05:31,264 --> 00:05:35,602 更生は期待できません。 よって➡ 66 00:05:35,602 --> 00:05:41,942 「心神喪失者の行為は罰しない」と 法で定められているんです。 67 00:05:41,942 --> 00:05:44,844 そんなの おかしいじゃないですか! 68 00:05:44,844 --> 00:05:48,281 心神喪失なら 何をやっても許されるなんて。 69 00:05:48,281 --> 00:05:50,951 許されるとは言っていません。 70 00:05:50,951 --> 00:05:56,623 ただ 刑罰は科せない という事です。 71 00:05:56,623 --> 00:06:01,895 でも 赤ずきんが 心神喪失だったなんて➡ 72 00:06:01,895 --> 00:06:04,598 何で分かるんですか? 73 00:06:07,767 --> 00:06:10,070 裁判員の皆さん。 74 00:06:12,239 --> 00:06:20,113 これは精神科医による 赤ずきんの精神鑑定の結果です。 75 00:06:20,113 --> 00:06:22,816 主文を読み上げます。 76 00:06:48,608 --> 00:06:51,911 そんな…。 77 00:06:54,281 --> 00:06:59,619 専門家の見解は 心神喪失か…。 78 00:06:59,619 --> 00:07:06,626 もちろん 精神鑑定だけで判決を 決めちゃいけないんだけど…。 79 00:07:12,198 --> 00:07:18,905 続いて 弁護人は 赤ずきんの おばあさんを証人に呼んだ。 80 00:07:20,907 --> 00:07:25,245 それでは 事件の日の事を 教えて頂けますか? 81 00:07:25,245 --> 00:07:33,119 はい。 お昼を食べ終わって ウツラ ウツラしてたら➡ 82 00:07:33,119 --> 00:07:38,591 いきなり オオカミが現れて ひと呑みにされたんです。 83 00:07:38,591 --> 00:07:42,262 それから どうなりましたか? 84 00:07:42,262 --> 00:07:46,599 おなかの中で ずっと気を失っていました。 85 00:07:46,599 --> 00:07:52,472 助けられたあとも 意識は戻らず 動く事ができませんでした。 86 00:07:52,472 --> 00:07:58,945 それで すぐに猟師さんが医者を 呼びに 家を出ていったそうです。 87 00:07:58,945 --> 00:08:06,252 そのあと 目を覚ましたあなたは 事件の一部始終を目撃した。 88 00:08:08,221 --> 00:08:11,558 赤ずきんは 集めた石を➡ 89 00:08:11,558 --> 00:08:17,897 次々と オオカミのおなかの中に 詰めていきました。 90 00:08:17,897 --> 00:08:23,570 その時 赤ずきんは どんな様子でしたか? 91 00:08:23,570 --> 00:08:28,441 「死にたくない 死にたくない」って つぶやきながら➡ 92 00:08:28,441 --> 00:08:35,181 まるで 何かに 取りつかれたみたいに 石を…。 93 00:08:35,181 --> 00:08:41,888 私は 声をかける事も できませんでした。 94 00:08:43,890 --> 00:08:49,262 裁判員の皆さん 精神鑑定によると➡ 95 00:08:49,262 --> 00:08:54,934 心神喪失状態にあった赤ずきんは 自分の命を守るために➡ 96 00:08:54,934 --> 00:09:00,540 本能的にオオカミを殺害したと されています。 97 00:09:00,540 --> 00:09:08,214 小さい時から ず~っと 私が面倒 見てきたんです。 98 00:09:08,214 --> 00:09:11,117 本当にいい子なんです。 99 00:09:11,117 --> 00:09:14,888 あんな事ができる子じゃ ありません! 100 00:09:14,888 --> 00:09:19,592 きっと あの時は どうかしてたんです…。 101 00:09:24,230 --> 00:09:29,903 事件の日 オオカミは 突然現れたんですよね? 102 00:09:29,903 --> 00:09:32,806 扉にカギは 掛けていなかったんですか? 103 00:09:32,806 --> 00:09:40,547 いつもは掛けてますよ。 あの日も 確か 掛けてたはずなんですが…。 104 00:09:40,547 --> 00:09:45,251 そうですか。 そして オオカミに ひと呑みにされたあとは➡ 105 00:09:45,251 --> 00:09:48,922 ずっと気を失っていたと そう言ってましたね? 106 00:09:48,922 --> 00:09:53,793 そうですよ 赤ずきんに起こされて 事件を目撃したんです。 107 00:09:53,793 --> 00:10:01,935 起こされた? ええ 体を何度も揺すぶられて。 108 00:10:01,935 --> 00:10:08,274 石を詰める前に わざわざ? えっ? 109 00:10:08,274 --> 00:10:12,946 でも それは 私の事 心配して。 心配? 110 00:10:12,946 --> 00:10:17,951 声をかける事もできないほど おかしくなっていた赤ずきんが? 111 00:10:20,620 --> 00:10:25,492 赤ずきんは あなたに 見せたかったのではないですか? 112 00:10:25,492 --> 00:10:32,198 自分が石を詰めているところを。 どういう事? 113 00:10:34,167 --> 00:10:37,971 その異常さを あなたに証言させるためです。 114 00:10:37,971 --> 00:10:43,309 そうすれば 心神喪失だと 認められやすくなる。 115 00:10:43,309 --> 00:10:47,647 じゃあ 赤ずきんは…。 116 00:10:47,647 --> 00:10:51,518 そう。 心神喪失など していない! 117 00:10:51,518 --> 00:10:54,521 そのフリをしているだけなのでは ありませんか? 118 00:10:54,521 --> 00:10:57,323 そんな…。 異議あり! 119 00:10:57,323 --> 00:11:00,226 全くの臆測です。 120 00:11:00,226 --> 00:11:02,929 以上です。 121 00:11:06,132 --> 00:11:12,805 赤ずきんは なぜ 石を詰める前に おばあさんを起こしたんだろう。 122 00:11:12,805 --> 00:11:18,945 もし 検察官の言うとおりなら…➡ 123 00:11:18,945 --> 00:11:26,819 おばあさんが目撃したのは 全て 赤ずきんの演技という事になる。 124 00:11:26,819 --> 00:11:30,957 赤ずきんは 心神喪失のフリをして➡ 125 00:11:30,957 --> 00:11:34,961 無罪を手に入れようとしている? 126 00:11:40,967 --> 00:11:46,639 いよいよ 被告人の 赤ずきんへの質問だ。 127 00:11:46,639 --> 00:11:48,942 まずは弁護人から。 128 00:11:50,977 --> 00:11:55,848 オオカミと出会った日の事を 教えて頂けますか? 129 00:11:55,848 --> 00:11:59,319 はい。 130 00:11:59,319 --> 00:12:03,923 オオカミは とても優しく 話しかけてきたんです。 131 00:12:03,923 --> 00:12:06,826 それで 「どこへ行くの?」と聞かれて➡ 132 00:12:06,826 --> 00:12:11,598 つい おばあさんの家の場所を 教えてしまいました。 133 00:12:11,598 --> 00:12:15,268 それから? 「花を摘んでいったら➡ 134 00:12:15,268 --> 00:12:21,140 おばあさん喜ぶよ」と言われたので 寄り道をして 花を摘みました。 135 00:12:21,140 --> 00:12:27,847 その間に先回りしたオオカミに おばあさんは食べられた。 136 00:12:27,847 --> 00:12:34,621 はい。 そのあと 私も…➡ 137 00:12:34,621 --> 00:12:39,959 待ち伏せしていたオオカミに 呑み込まれたんです。 138 00:12:39,959 --> 00:12:44,631 恐ろしかったでしょう? 139 00:12:44,631 --> 00:12:50,336 オオカミの胃の中は どんな感じでしたか? 140 00:12:53,306 --> 00:13:00,113 息ができなくて 苦しくて 苦しくて…。 141 00:13:00,113 --> 00:13:05,251 頭が締めつけられるように 痛くなって…。 142 00:13:05,251 --> 00:13:09,589 先に食べられたおばあさんには 気付きましたか? 143 00:13:09,589 --> 00:13:11,924 はい。 144 00:13:11,924 --> 00:13:18,598 おばあさんは 呼んでも返事がなくて➡ 145 00:13:18,598 --> 00:13:23,469 もう死んでしまったと 思いました。 146 00:13:23,469 --> 00:13:26,272 大好きなおばあさんが 目の前で死んでいて➡ 147 00:13:26,272 --> 00:13:29,609 自分も このまま 死んでいくんだと思うと➡ 148 00:13:29,609 --> 00:13:34,280 怖くて たまらなくて…。 でも でも…➡ 149 00:13:34,280 --> 00:13:41,154 いくら いくら あがいても どうにもならなくて…。 150 00:13:41,154 --> 00:13:44,924 落ち着いて下さい。 151 00:13:44,924 --> 00:13:51,631 そのあと あなたとおばあさんは 猟師に救出された。 152 00:13:51,631 --> 00:13:54,967 はい…。 153 00:13:54,967 --> 00:14:04,777 でも おなかから出たあとの事は よく覚えていません。 154 00:14:04,777 --> 00:14:09,916 気が付いたら オオカミが死んでいました。 155 00:14:09,916 --> 00:14:15,588 私は 自分のした事が 今でも信じられません。 156 00:14:15,588 --> 00:14:21,894 自分の中に 誰か 別の誰かが いるような気がして 怖い…。 157 00:14:23,930 --> 00:14:29,635 (泣き声) 158 00:14:32,271 --> 00:14:37,276 検察官 質問をどうぞ。 はい。 159 00:14:39,946 --> 00:14:44,617 一つ 腑に落ちない事があります。 160 00:14:44,617 --> 00:14:46,953 救出された あなたの目の前には➡ 161 00:14:46,953 --> 00:14:49,622 猟師が オオカミの おなかを裂くのに使った➡ 162 00:14:49,622 --> 00:14:53,960 このナイフが転がっていた。 163 00:14:53,960 --> 00:14:56,629 オオカミは ぐっすり眠っている。 164 00:14:56,629 --> 00:15:00,500 これで刺せば 一瞬で しかも確実に➡ 165 00:15:00,500 --> 00:15:02,435 オオカミを殺す事が できたはずです。 166 00:15:02,435 --> 00:15:08,574 しかし あなたは使わなかった。 なぜですか? 167 00:15:08,574 --> 00:15:12,912 ナイフに気が付かないぐらい もうろうとしてたんだと思います。 168 00:15:12,912 --> 00:15:18,584 では なぜ 石を詰めて殺す必要が あったんです? 169 00:15:18,584 --> 00:15:20,920 覚えていません。 170 00:15:20,920 --> 00:15:22,855 それが いかにも猟奇的で➡ 171 00:15:22,855 --> 00:15:29,929 心神喪失っぽく見えると 考えたからでは ありませんか? 172 00:15:29,929 --> 00:15:33,266 分かりません。 173 00:15:33,266 --> 00:15:35,935 もう一つ 腑に落ちないのは➡ 174 00:15:35,935 --> 00:15:41,808 森で出会ったオオカミが 優しかったという事です。 175 00:15:41,808 --> 00:15:43,810 人食いのオオカミですよ? 176 00:15:43,810 --> 00:15:46,946 その場で あなたを食べても おかしくないのに。 177 00:15:46,946 --> 00:15:49,849 そんな事 オオカミに聞いて下さい。 178 00:15:49,849 --> 00:15:54,821 本当は 森でオオカミに 襲われたのでは ありませんか? 179 00:15:54,821 --> 00:15:59,292 そして あまりの恐怖に 命乞いをした。 180 00:15:59,292 --> 00:16:03,162 「私の代わりに おばあさんを食べて下さい」と。 181 00:16:03,162 --> 00:16:07,466 異議あり! 全くの臆測です。 182 00:16:09,569 --> 00:16:13,873 検察官 何か根拠は あるんですか? 183 00:16:15,441 --> 00:16:21,447 現場の部屋の片隅に これが落ちていました。 184 00:16:23,115 --> 00:16:25,585 何か分かりますね? 185 00:16:25,585 --> 00:16:29,922 おばあさんの家のカギです。 186 00:16:29,922 --> 00:16:34,594 誰のものですか? 187 00:16:34,594 --> 00:16:37,496 私が持っていたものです。 188 00:16:37,496 --> 00:16:42,468 このカギには オオカミの指紋が ついていました。 189 00:16:42,468 --> 00:16:46,205 オオカミは これを使って侵入し おばあさんを食べた。 190 00:16:46,205 --> 00:16:50,943 なぜ あなたのカギを オオカミが持っていたのか? 191 00:16:50,943 --> 00:16:56,616 それは…。 あなたは このカギを差し出し➡ 192 00:16:56,616 --> 00:17:00,486 おばあさんを売ったのでは ないですか? そして➡ 193 00:17:00,486 --> 00:17:07,226 その事実を大好きなおばあさんに どうしても知られたくなくて➡ 194 00:17:07,226 --> 00:17:10,897 口封じにオオカミを殺害した! 195 00:17:10,897 --> 00:17:14,767 違う! カギは 花を摘んでた時に 盗まれたんです! 196 00:17:14,767 --> 00:17:17,770 勝手な事 言わないで! 197 00:17:20,239 --> 00:17:22,542 終わります。 198 00:17:27,580 --> 00:17:32,451 カギは 花を摘んでいる時に 盗まれた… か。 199 00:17:32,451 --> 00:17:36,255 でも なぜ オオカミは➡ 200 00:17:36,255 --> 00:17:41,127 その場で赤ずきんを食べて カギを奪わなかったんだろう…。 201 00:17:41,127 --> 00:17:43,129 そもそも なぜ➡ 202 00:17:43,129 --> 00:17:47,867 それが おばあさんの家のカギだと 分かったんだろう。 203 00:17:47,867 --> 00:17:53,572 赤ずきんの言葉 信用してもいいのかな…。 204 00:17:58,277 --> 00:18:03,883 裁判員の皆さん 赤ずきんが石を詰める前に➡ 205 00:18:03,883 --> 00:18:10,756 おばあさんをわざわざ起こした事 あえて残虐な方法で殺した事➡ 206 00:18:10,756 --> 00:18:17,897 どちらも意図的で 心神喪失の フリをしている事は明らかです。 207 00:18:17,897 --> 00:18:22,768 更に オオカミは 赤ずきんのカギを持っていました。 208 00:18:22,768 --> 00:18:29,241 これは 赤ずきんがおばあさんを 売った 何よりの証拠です。 209 00:18:29,241 --> 00:18:32,578 赤ずきんは その事実を隠すために➡ 210 00:18:32,578 --> 00:18:38,918 意思を持って オオカミを殺したのです。 211 00:18:38,918 --> 00:18:43,789 赤ずきんは有罪です。 212 00:18:43,789 --> 00:18:45,791 裁判員の皆さん。 213 00:18:45,791 --> 00:18:53,466 忘れてならないのは 赤ずきんが オオカミに食べられたという➡ 214 00:18:53,466 --> 00:18:56,936 厳然たる事実です。 215 00:18:56,936 --> 00:19:00,206 生きながらにして食べられた 赤ずきんは➡ 216 00:19:00,206 --> 00:19:07,079 想像を絶する死の恐怖に直面し 身心を喪失しました。 217 00:19:07,079 --> 00:19:12,551 その事は この精神鑑定が証明しています。 218 00:19:12,551 --> 00:19:14,887 このような猟奇的な殺害は➡ 219 00:19:14,887 --> 00:19:20,226 正常な精神状態では 決して できません。 220 00:19:20,226 --> 00:19:25,931 よって 赤ずきんは無罪です。 221 00:19:27,566 --> 00:19:31,437 これで 全ての審理が終わりました。 222 00:19:31,437 --> 00:19:36,442 これから 裁判員の皆さんと 判決を話し合います。 223 00:19:38,577 --> 00:19:40,913 オオカミを殺した赤ずきんは➡ 224 00:19:40,913 --> 00:19:47,620 有罪か? それとも 心神喪失で無罪か? 225 00:19:50,589 --> 00:19:54,293 どっちなんだろう?