1 00:02:28,527 --> 00:02:32,030 ・~ 2 00:02:32,030 --> 00:02:34,032 (藤次) 当主・清十郎が敗れ・ 3 00:02:34,032 --> 00:02:36,535 舎弟の伝七郎も 討たれた今…・ 4 00:02:36,535 --> 00:02:38,537 我々 吉岡門としては・ 5 00:02:38,537 --> 00:02:41,540 お主を そのままに しておく訳にいかぬ。 6 00:02:41,540 --> 00:02:43,542 (小次郎) 子供が 斬れるか? 7 00:02:43,542 --> 00:02:45,544 (宮本武蔵)お主なら? 8 00:02:45,544 --> 00:02:47,546 斬る。 9 00:02:47,546 --> 00:02:53,051 (お通)ずっと…・ 10 00:02:53,051 --> 00:02:55,554 武蔵を捜してたの。 11 00:02:55,554 --> 00:02:59,054 今は 会えん お通 12 00:03:01,560 --> 00:03:16,575 ・~(テーマ音楽) 13 00:03:16,575 --> 00:03:31,075 ・~ 14 00:04:36,521 --> 00:04:39,521 (雷鳴) 15 00:05:55,033 --> 00:05:57,035 (城太郎) 師匠 どうしたんだよ・ 16 00:05:57,035 --> 00:05:59,035 (又八)開けろ 武蔵 17 00:06:01,039 --> 00:06:03,542 何してんだ・ 開けろ 武蔵 18 00:06:03,542 --> 00:06:07,045 (城太郎) どうしたんだよ 師匠・ 19 00:06:07,045 --> 00:06:09,047 武蔵 20 00:06:09,047 --> 00:06:11,550 武蔵 武蔵…。 21 00:06:11,550 --> 00:06:13,552 ・(城太郎)師匠 22 00:06:13,552 --> 00:06:35,552 ・~ 23 00:06:39,010 --> 00:06:41,513 やせたな お通。 24 00:06:41,513 --> 00:06:44,516 え…? 25 00:06:44,516 --> 00:06:46,516 苦労したのか? 26 00:06:48,520 --> 00:06:51,022 おふくろ様と 緒なのよ 今。 27 00:06:51,022 --> 00:06:53,024 え~っ・ 28 00:06:53,024 --> 00:06:55,527 三条室町の宿で。 29 00:06:55,527 --> 00:06:59,030 俺の事は 言うなよ。 言うなよ お通 30 00:06:59,030 --> 00:07:02,534 おふくろ様は 又八さんを 捜してるのよ。 31 00:07:02,534 --> 00:07:06,037 俺は 江戸へ行くんだ。 「江戸」へ? 32 00:07:06,037 --> 00:07:09,541 おふくろに言ってくれ… 「又八は 江戸に行った」と。 33 00:07:09,541 --> 00:07:12,544 たった人の おふくろ様でしょ・ 34 00:07:12,544 --> 00:07:17,549 「たった人の おふくろ様」だから 大変なんだよ 35 00:07:17,549 --> 00:07:19,549 又八さん 36 00:07:23,054 --> 00:07:25,557 お通…。 何? 37 00:07:25,557 --> 00:07:28,994 武蔵の事は 諦めたほうが いいぞ。 38 00:07:28,994 --> 00:07:32,497 あいつの頭には 剣の事しかない。 39 00:07:32,497 --> 00:07:36,497 お前の事なんて あいつの頭には ないんだ。 40 00:07:38,503 --> 00:07:40,503 忘れろ お通。 41 00:07:44,509 --> 00:07:49,014 おふくろに よろしく言っといてくれ。 42 00:07:49,014 --> 00:07:53,518 え~っ・ 43 00:07:53,518 --> 00:07:56,021 又八…。 44 00:07:56,021 --> 00:07:58,523 しばらくだな 又八。 45 00:07:58,523 --> 00:08:02,027 会いたかったぞ 又八。 46 00:08:02,027 --> 00:08:04,029 おふくろ…。 47 00:08:04,029 --> 00:08:07,032 許してくれ~ 48 00:08:07,032 --> 00:08:10,535 老い先短い母を置いて どこへ行くぞ・ 49 00:08:10,535 --> 00:08:12,537 待たんか 待たんか 50 00:08:12,537 --> 00:08:24,049 ・~ 51 00:08:24,049 --> 00:08:26,051 ・(お杉)武蔵 52 00:08:26,051 --> 00:08:27,986 武蔵 53 00:08:27,986 --> 00:08:31,990 今では 「宮本武蔵」と 名を変えたそうだな? 54 00:08:31,990 --> 00:08:34,492 名さえ変えたら このばばに・ 55 00:08:34,492 --> 00:08:38,496 捜し当てられないとでも 思うたか・ 浅はかな。 56 00:08:38,496 --> 00:08:40,498 そんな事では…。 57 00:08:40,498 --> 00:08:42,500 さあ 出てこい。 58 00:08:42,500 --> 00:08:47,005 出てきて 見事 このばばの首を取るか…・ 59 00:08:47,005 --> 00:08:51,005 お主の命をもらうか 勝負せい 60 00:08:53,011 --> 00:08:55,013 何なの? この婆さん。 61 00:08:55,013 --> 00:08:58,516 権じい お前も 何とか言わんかい 62 00:08:58,516 --> 00:09:03,521 汝が 宮本村を逐電し 指折り数えて はや2年…。 63 00:09:03,521 --> 00:09:05,523 回りくどい 64 00:09:05,523 --> 00:09:09,027 老いたりとはいえ 淵川権六…。 65 00:09:09,027 --> 00:09:12,030 汝ごとき小僧に 後れは取らんぞ。 66 00:09:12,030 --> 00:09:14,532 武蔵 覚悟せい 67 00:09:14,532 --> 00:09:19,037 出てこぬとあらば お堂に 火をつけるぞよ 68 00:09:19,037 --> 00:09:23,041 よせ おばば… 火つけなぞしたら 死罪じゃ。 69 00:09:23,041 --> 00:09:28,541 ・~ 70 00:09:30,982 --> 00:09:34,986 又八さん… 「江戸へ行く」と言ってました。 71 00:09:34,986 --> 00:09:37,489 「江戸」へ? はい。 72 00:09:37,489 --> 00:09:42,994 江戸へ行って 何を するつもりじゃ? あの阿呆は。 73 00:09:42,994 --> 00:09:46,498 お通… 何か言ってたか? 74 00:09:46,498 --> 00:09:48,500 いいえ。 75 00:09:48,500 --> 00:09:51,503 やっと 息子が阿呆だと 分かったか? 76 00:09:51,503 --> 00:09:53,505 何? 言うたぞ… 今 「阿呆」と。 77 00:09:53,505 --> 00:09:57,008 そんな事 わしは言わん 言うた 78 00:09:57,008 --> 00:09:59,511 おふくろ様…。 79 00:09:59,511 --> 00:10:02,013 私も これで…。 80 00:10:02,013 --> 00:10:04,513 どこへ行く? お通 81 00:10:12,524 --> 00:10:16,524 (荒い息遣い) 82 00:10:24,035 --> 00:10:49,494 ・~ 83 00:10:49,494 --> 00:10:52,497 寒いだろう? 84 00:10:52,497 --> 00:10:54,499 入れ。 85 00:10:54,499 --> 00:11:10,015 ・~ 86 00:11:10,015 --> 00:11:15,015 誰にも 会いたくないんだ… 今は。 87 00:11:19,024 --> 00:11:21,026 食べようよ。 88 00:11:21,026 --> 00:12:21,526 ・~ 89 00:12:29,027 --> 00:12:32,530 (源左衛門)なかなか よう似合うぞ 源次郎。 90 00:12:32,530 --> 00:12:34,532 (源次郎)はい 91 00:12:34,532 --> 00:12:37,535 あさっての朝 改めて 装束をつける。 92 00:12:37,535 --> 00:12:42,040 その時こそ まことの戦い。 いいな? 源次郎。 93 00:12:42,040 --> 00:12:44,040 はい 94 00:12:50,548 --> 00:12:52,550 (清十郎)藤次。 95 00:12:52,550 --> 00:12:54,552 何だ? 96 00:12:54,552 --> 00:12:58,056 なぜ 幼い源次郎まで 引っ張り出す? 97 00:12:58,056 --> 00:13:02,060 俺が 名目人に なる訳には いかんだろう。 98 00:13:02,060 --> 00:13:05,063 もう よいではないか。 99 00:13:05,063 --> 00:13:07,063 何が? 100 00:13:09,067 --> 00:13:11,569 伝七郎の 言ってたとおり…・ 101 00:13:11,569 --> 00:13:14,072 吉岡は 染め物屋になる。 102 00:13:14,072 --> 00:13:16,072 それでいいのだ。 103 00:13:24,582 --> 00:13:27,082 そうは いかんのだよ。 104 00:13:30,522 --> 00:13:34,025 俺は 二代にわたって 吉岡に仕えてきた。 105 00:13:34,025 --> 00:13:39,525 「染め物屋になるから お前は もう いらん」… そう簡単にはいかんぞ。 106 00:13:43,535 --> 00:13:47,038 吉岡の息子たちが 斬れなかった武蔵を・ 107 00:13:47,038 --> 00:13:49,040 俺の手で殺して・ 108 00:13:49,040 --> 00:13:53,040 吉岡の名を 今度 京に轟かせてみせる。 109 00:13:55,547 --> 00:13:57,549 お前のねらいは・ 110 00:13:57,549 --> 00:14:01,553 吉岡道場を 自分のものに する事か・ 111 00:14:01,553 --> 00:14:04,556 そうだ。 112 00:14:04,556 --> 00:14:07,559 何か 文句があるか? 113 00:14:07,559 --> 00:14:14,566 ・~ 114 00:14:14,566 --> 00:14:17,569 お土居を出るまで 隠しておけよ。 115 00:14:17,569 --> 00:14:22,073 奉行に見つかったら あらぬ疑いを かけられる。 116 00:14:22,073 --> 00:14:26,578 そのために 道場じゃなく ここに運んでおいたのだ。 117 00:14:26,578 --> 00:14:28,578 (小橋)分かりました。 118 00:14:36,020 --> 00:14:38,022 (お甲)大層な事だね…。 119 00:14:38,022 --> 00:14:40,525 たった人の男をやるのに。 120 00:14:40,525 --> 00:14:44,028 失敗する訳には いかんのだ 今度は。 121 00:14:44,028 --> 00:14:46,531 小次郎は どうしてる? 122 00:14:46,531 --> 00:14:49,534 離れに こもりっきりだよ 女とね。 123 00:14:49,534 --> 00:14:51,536 そうか…。 124 00:14:51,536 --> 00:14:54,539 「女を 店で使ってくれ」…・ 125 00:14:54,539 --> 00:14:59,544 そう言ってくるに 決まってる。 それしかないから。 126 00:14:59,544 --> 00:15:01,546 お甲…。 127 00:15:01,546 --> 00:15:05,049 なあに? 128 00:15:05,049 --> 00:15:07,051 これが終わったらな…・ 129 00:15:07,051 --> 00:15:10,555 吉岡は 染め物屋ごと 俺と お前のものだ。 130 00:15:10,555 --> 00:15:14,559 そうなれば こんな店なんか どうでもいいよ。 131 00:15:14,559 --> 00:15:17,061 嫌だね…。 132 00:15:17,061 --> 00:15:22,066 この店は この店で やっていく。 133 00:15:22,066 --> 00:15:24,569 強欲だな お前は。 134 00:15:24,569 --> 00:15:28,506 欲が なくなりゃ 人は くたばる…。 135 00:15:28,506 --> 00:15:31,506 そうだろ? 園藤次さん。 136 00:15:35,013 --> 00:15:39,517 (琴)お甲さんの店に 出てもいいのですよ 私は。 137 00:15:39,517 --> 00:15:42,020 (小次郎)何? 138 00:15:42,020 --> 00:15:44,522 茨木屋を 出てきた時から・ 139 00:15:44,522 --> 00:15:47,025 そのくらいの覚悟は できているのです。 140 00:15:47,025 --> 00:15:49,525 お前を 遊び女に する気はない。 141 00:15:52,530 --> 00:15:57,535 そんなに 私の事を 思って頂いているとは思えませぬ。 142 00:15:57,535 --> 00:16:01,035 女には 分かるのです… そのくらいの事は。 143 00:16:03,541 --> 00:16:06,044 もう 俺は…・ 144 00:16:06,044 --> 00:16:10,048 女を 不幸には したくないのだ。 145 00:16:10,048 --> 00:16:12,050 誰を? 146 00:16:12,050 --> 00:16:15,553 お前をだ 147 00:16:15,553 --> 00:16:18,056 ありがとうございます。 148 00:16:18,056 --> 00:16:21,559 なぜ 俺に絡む? 149 00:16:21,559 --> 00:16:23,561 絡んでは おりません。 150 00:16:23,561 --> 00:16:26,064 とにかく…・ 151 00:16:26,064 --> 00:16:28,564 お前を お甲の店には 出させぬ 152 00:16:37,008 --> 00:16:42,013 (朱実)果たし合いに 清十郎の甥が 名目人に 立つそうだよ。 153 00:16:42,013 --> 00:16:44,015 「甥」? 154 00:16:44,015 --> 00:16:46,017 まだ 子供。 155 00:16:46,017 --> 00:16:50,021 「それを 総大将にすれば 武蔵も 斬れないだろう。・ 156 00:16:50,021 --> 00:16:53,024 そうすれば こちらの勝ちだ」…・ 157 00:16:53,024 --> 00:16:55,526 藤次が そう言ってたよ。 158 00:16:55,526 --> 00:16:57,528 何…? 159 00:16:57,528 --> 00:17:01,532 「逃げたほうがいい」って 武蔵さんに 言ってやったら? 160 00:17:01,532 --> 00:17:03,532 そうだな…。 161 00:17:08,539 --> 00:17:11,042 分かったから…・ 162 00:17:11,042 --> 00:17:13,544 お甲のとこへ帰れよ。 163 00:17:13,544 --> 00:17:15,544 え…? 164 00:17:17,548 --> 00:17:22,553 私が帰ったら… 又八さん 女を呼ぶだろう? 165 00:17:22,553 --> 00:17:27,492 そりゃそうだよ。 ここは 廓なんだから。 166 00:17:27,492 --> 00:17:30,495 じゃ… 帰らない。 167 00:17:30,495 --> 00:17:33,498 お前は 俺の女じゃ ないんだぞ。 168 00:17:33,498 --> 00:17:35,498 でも 帰らない。 169 00:17:40,505 --> 00:17:44,005 いても 女には してやらんぞ。 170 00:17:46,010 --> 00:17:48,513 「してくれ」なんて 言ってないよ 171 00:17:48,513 --> 00:17:51,013 そんな事 言ってないだろう・ 172 00:18:17,041 --> 00:18:20,545 武蔵…。 173 00:18:20,545 --> 00:18:23,047 俺と緒に 江戸へ行こう。 174 00:18:23,047 --> 00:18:25,049 え…? 175 00:18:25,049 --> 00:18:28,486 吉岡は 10歳になる 名目人を立てる。 176 00:18:28,486 --> 00:18:30,486 それが 斬れるか? 177 00:18:32,490 --> 00:18:34,992 斬れなければ 闘いは 終わらん。 178 00:18:34,992 --> 00:18:37,992 それが 向こうの ねらいなんだ。 179 00:18:47,004 --> 00:18:49,507 お前は 京で名を上げた。 180 00:18:49,507 --> 00:18:53,010 それで 十分だろう? 181 00:18:53,010 --> 00:18:55,012 又やん…。 182 00:18:55,012 --> 00:18:57,014 これは…・ 183 00:18:57,014 --> 00:19:01,018 俺のほうから仕掛けた 果たし合いだ。 184 00:19:01,018 --> 00:19:03,521 今更 逃げる訳には いかない 185 00:19:03,521 --> 00:19:06,023 今日 「卑怯者」と 呼ばれても…・ 186 00:19:06,023 --> 00:19:11,529 明日 「卑怯者」と 呼ばれなければ いいじゃないか。 187 00:19:11,529 --> 00:19:14,532 人は 変わるんだ。 188 00:19:14,532 --> 00:19:18,035 昨日 今日 明日…・ 189 00:19:18,035 --> 00:19:21,038 その日 その日で 変わっていくんだよ。 190 00:19:21,038 --> 00:19:23,040 俺も 変わる。 191 00:19:23,040 --> 00:19:27,540 昨日までの俺ではない俺に 明日は なってみせる。 192 00:19:29,981 --> 00:19:33,484 緒に 江戸へ行こう。 193 00:19:33,484 --> 00:19:38,489 今…・ 194 00:19:38,489 --> 00:19:40,992 今 逃げたら…・ 195 00:19:40,992 --> 00:19:43,494 俺は 自分が 信じられなくなる。 196 00:19:43,494 --> 00:19:45,997 俺なんか 自分が信じられないまま・ 197 00:19:45,997 --> 00:19:47,999 ここまで 生きてきたんだ 198 00:19:47,999 --> 00:19:50,001 俺は 誰に頼る事もなく・ 199 00:19:50,001 --> 00:19:53,004 この腕だけを 信じて 生きてきたんだ 200 00:19:53,004 --> 00:19:57,008 己が 信じられなくなったら…・ 201 00:19:57,008 --> 00:19:59,508 俺は 生きてはいけない。 202 00:20:01,512 --> 00:20:06,517 己を信じるために…・ 203 00:20:06,517 --> 00:20:09,520 信じたいために…・ 204 00:20:09,520 --> 00:20:12,023 子供を斬るのか 武蔵・ 205 00:20:12,023 --> 00:20:28,472 ・~ 206 00:20:28,472 --> 00:20:33,477 <名目人の源次郎は 10歳だといっていた。・ 207 00:20:33,477 --> 00:20:37,477 あのくらいだろうかと 武蔵は思った> 208 00:20:39,984 --> 00:20:43,487 < あの子が 斬れるだろうか…。・ 209 00:20:43,487 --> 00:20:45,489 子供を斬る…。・ 210 00:20:45,489 --> 00:20:49,994 大勢の 吉岡の門弟と斬り合って 命を落とす…。・ 211 00:20:49,994 --> 00:20:52,496 このまま 逃げ去る…。・ 212 00:20:52,496 --> 00:20:57,501 三つにつしか 武蔵の取る道はない> 213 00:20:57,501 --> 00:21:16,520 ・~ 214 00:21:16,520 --> 00:21:22,526 (城太郎)えい えい えい 215 00:21:22,526 --> 00:21:25,529 えい 216 00:21:25,529 --> 00:21:27,965 えい 217 00:21:27,965 --> 00:21:29,965 お通さん…。 218 00:21:32,470 --> 00:21:34,972 武蔵は いる? 219 00:21:34,972 --> 00:21:37,475 いない。 220 00:21:37,475 --> 00:21:39,475 そう…。 221 00:21:43,981 --> 00:21:46,484 どうしたの? お通さん…。 222 00:21:46,484 --> 00:21:48,486 病気なの? 223 00:21:48,486 --> 00:21:52,990 ここまで上がってくるのが やっとだった。 224 00:21:52,990 --> 00:21:54,990 ああ…。 225 00:21:58,496 --> 00:22:03,000 師匠に 会いたいの? 226 00:22:03,000 --> 00:22:05,000 ええ。 227 00:22:17,515 --> 00:22:21,519 妙秀様から頂いた刀で・ 228 00:22:21,519 --> 00:22:26,519 修羅の道を 歩む訳にはいきません。 229 00:22:29,527 --> 00:22:32,527 (妙秀)死ぬおつもりですか? 宮本様。 230 00:22:36,534 --> 00:22:39,036 分かりません。 231 00:22:39,036 --> 00:22:41,539 お逃げなさい。 232 00:22:41,539 --> 00:22:46,544 兵法なぞ やがて 役に立たなくなります。 233 00:22:46,544 --> 00:22:48,546 そんな事のために・ 234 00:22:48,546 --> 00:22:52,546 命を落とすのは 愚かな事ですよ。 235 00:22:57,555 --> 00:23:01,055 修羅は 修羅を呼びますよ。 236 00:23:05,062 --> 00:23:07,062 覚悟の上です。 237 00:23:12,069 --> 00:23:27,017 ・~ 238 00:23:27,017 --> 00:23:30,517 あの男は 死ぬつもりかもしれない。 239 00:23:32,523 --> 00:23:38,028 そうは 思っていないはずです。 240 00:23:38,028 --> 00:23:42,533 闘う事しか 頭には ありませんよ。 241 00:23:42,533 --> 00:24:05,556 ・~ 242 00:24:05,556 --> 00:24:07,556 師匠 243 00:24:11,061 --> 00:24:13,063 どうした? 244 00:24:13,063 --> 00:24:15,065 何か あったのか? 245 00:24:15,065 --> 00:24:19,069 師匠を訪ねてきたんだ。 「どうしても会いたい」って。 246 00:24:19,069 --> 00:24:48,532 ・~ 247 00:24:48,532 --> 00:24:50,532 お通…。 248 00:24:54,038 --> 00:24:56,040 どうした? 249 00:24:56,040 --> 00:25:00,544 ・~ 250 00:25:00,544 --> 00:25:06,050 武蔵に…・ 251 00:25:06,050 --> 00:25:11,055 二度と…・ 252 00:25:11,055 --> 00:25:13,057 会えない気がして…。 253 00:25:13,057 --> 00:25:19,563 ・~ 254 00:25:19,563 --> 00:25:21,565 お通 255 00:25:21,565 --> 00:25:23,567 お通…。 256 00:25:23,567 --> 00:25:25,567 お通 水…。 257 00:25:28,505 --> 00:25:30,507 水を頂戴。 258 00:25:30,507 --> 00:25:41,018 ・~ 259 00:25:41,018 --> 00:25:43,020 待ってろ。 260 00:25:43,020 --> 00:26:29,500 ・~ 261 00:26:29,500 --> 00:26:31,500 ありがとう。 262 00:26:57,528 --> 00:27:00,531 お通…。 263 00:27:00,531 --> 00:27:04,034 今…・ 264 00:27:04,034 --> 00:27:07,538 俺は…・ 265 00:27:07,538 --> 00:27:10,038 お前と 会ってはおられぬ。 266 00:27:12,042 --> 00:27:14,545 お通…。 267 00:27:14,545 --> 00:27:17,548 俺は…・ 268 00:27:17,548 --> 00:27:20,548 お前のところに 戻ってくる。 269 00:27:26,557 --> 00:27:28,557 待っていてくれ。 270 00:27:43,507 --> 00:27:48,512 ・~ 271 00:27:48,512 --> 00:27:52,516 死ぬな…。 272 00:27:52,516 --> 00:27:54,518 お通。 273 00:27:54,518 --> 00:27:58,522 ・~ 274 00:27:58,522 --> 00:28:06,030 死なないで…。 275 00:28:06,030 --> 00:28:08,032 武蔵も。 276 00:28:08,032 --> 00:29:07,524 ・~ 277 00:29:07,524 --> 00:29:11,528 早く 宿に帰って 休みしたほうがいいよ。 278 00:29:11,528 --> 00:29:15,532 日が暮れると 急に冷え込む。 279 00:29:15,532 --> 00:29:17,532 そうね。 280 00:29:19,536 --> 00:29:22,539 ああ 笑った。 281 00:29:22,539 --> 00:29:24,541 師匠に 優しくしてもらったら・ 282 00:29:24,541 --> 00:29:27,041 もう 元気になってやがんの 283 00:29:49,500 --> 00:30:03,514 ・(三味線の音) 284 00:30:03,514 --> 00:30:05,516 ・(朱美)入るよ。 285 00:30:05,516 --> 00:30:08,018 おう。 286 00:30:08,018 --> 00:30:10,020 何の用? 287 00:30:10,020 --> 00:30:13,023 朝になったら 江戸へ発つぞ。 288 00:30:13,023 --> 00:30:15,025 え? 289 00:30:15,025 --> 00:30:18,025 吉岡の果たし合いを 見届けないの? 290 00:30:20,030 --> 00:30:23,530 武蔵が死ぬのを 見たくないんだ。 291 00:30:28,972 --> 00:30:31,975 分かった。 292 00:30:31,975 --> 00:30:34,975 今夜 おっ母さんに言うよ。 293 00:30:38,482 --> 00:30:40,984 面白く 暮らすんだ 朱美。 294 00:30:40,984 --> 00:30:42,986 したい事をしてな。 295 00:30:42,986 --> 00:30:45,489 でなきゃ 生まれた甲斐がない。 296 00:30:45,489 --> 00:30:48,492 もっと 図太い世渡りをしなきゃ 297 00:30:48,492 --> 00:30:50,994 そうしないと 運命ってやつは・ 298 00:30:50,994 --> 00:30:55,499 人を なぶって べそを かくような事ばかりしやがる。 299 00:30:55,499 --> 00:30:59,503 食われるほうじゃなく 食うほうにならなきゃ・ 300 00:30:59,503 --> 00:31:02,506 この世は 強く生きていけねえぜ。 301 00:31:02,506 --> 00:31:05,509 又八さん…。 302 00:31:05,509 --> 00:31:09,513 また 何かに騙されてるんじゃ ないだろうね? 303 00:31:09,513 --> 00:31:13,517 江戸に行って どうしようとか 言わないけど・ 304 00:31:13,517 --> 00:31:17,521 騙されて 変な事を するんじゃないだろうね? 305 00:31:17,521 --> 00:31:19,521 そんな事はないよ…。 306 00:31:21,525 --> 00:31:23,525 俺を信じろ 朱美。 307 00:31:26,029 --> 00:31:30,467 そう すぐには 信じられないけど…。 308 00:31:30,467 --> 00:31:33,971 でも…・ 309 00:31:33,971 --> 00:31:35,971 私は あんたと行く。 310 00:31:42,479 --> 00:31:44,479 もう 決めたんだ。 311 00:31:51,989 --> 00:31:54,491 お前…・ 312 00:31:54,491 --> 00:31:56,491 結構 「女」だな。 313 00:32:01,498 --> 00:32:07,504 「女」だとしたら…・ 314 00:32:07,504 --> 00:32:09,504 どうする? 315 00:32:17,514 --> 00:32:19,514 お金を お返しします。 316 00:32:25,522 --> 00:32:27,524 あんた まさか…・ 317 00:32:27,524 --> 00:32:32,529 ほかの店に 抱えられたんじゃ ないだろうね? 318 00:32:32,529 --> 00:32:35,032 いいえ。 319 00:32:35,032 --> 00:32:37,534 じゃ どうしたのさ こんな銭…? 320 00:32:37,534 --> 00:32:42,539 小次郎様が 用心棒の仕事に ついて下さったのです。 321 00:32:42,539 --> 00:32:44,541 「用心棒」? 322 00:32:44,541 --> 00:32:47,544 金座の後藤様の所に。 323 00:32:47,544 --> 00:32:51,548 何度か お断りに なっていた仕事を・ 324 00:32:51,548 --> 00:32:56,553 小次郎様は 自分から 受けに いらしたんです。 325 00:32:56,553 --> 00:33:00,057 あんた うれしそうだね。 326 00:33:00,057 --> 00:33:04,561 「男は こんなに 私の事を 思ってくれてるの」…・ 327 00:33:04,561 --> 00:33:07,064 そう 言いたいのかい? 328 00:33:07,064 --> 00:33:11,568 小次郎様は 私の事を そんなに 思っている訳では ありません。 329 00:33:11,568 --> 00:33:17,574 ただ 行きがかりで しかたなく 私の面倒を みているだけの事。 330 00:33:17,574 --> 00:33:21,078 あんな男に ついていくの? 331 00:33:21,078 --> 00:33:23,080 はい。 332 00:33:23,080 --> 00:33:28,018 これから先 どうなるという 当てもなく? 333 00:33:28,018 --> 00:33:30,020 はい。 334 00:33:30,020 --> 00:33:32,022 (叩く音) 335 00:33:32,022 --> 00:33:34,024 何を なさるんです? 336 00:33:34,024 --> 00:33:37,027 私が 何か 気に障る事でも? 337 00:33:37,027 --> 00:33:39,529 おっ母さんは 羨ましいのよ。 338 00:33:39,529 --> 00:33:41,531 え…? 339 00:33:41,531 --> 00:33:44,531 男に惚れた事なんか 度もないから。 340 00:33:47,037 --> 00:33:49,037 朱実 341 00:33:56,546 --> 00:33:59,549 私 江戸へ行くよ おっ母さん。 342 00:33:59,549 --> 00:34:01,551 え…? 343 00:34:01,551 --> 00:34:03,551 又八さんと。 344 00:34:06,056 --> 00:34:09,556 お前… あの男と 何か あったのかい? 345 00:34:12,062 --> 00:34:14,062 何もない。 346 00:34:16,066 --> 00:34:18,568 私もね…・ 347 00:34:18,568 --> 00:34:20,570 おっ母さんと緒で・ 348 00:34:20,570 --> 00:34:25,075 今まで 度も 男に惚れた事なんか ないの。 349 00:34:25,075 --> 00:34:27,075 朱実…。 350 00:34:29,012 --> 00:34:32,015 生 男に惚れた事のないままじゃ・ 351 00:34:32,015 --> 00:34:34,017 私は 嫌なんだよ 352 00:34:34,017 --> 00:34:40,023 ・~ 353 00:34:40,023 --> 00:34:42,526 だから 行くの。 354 00:34:42,526 --> 00:34:46,530 ちょっと待って 朱実 待ってよ 355 00:34:46,530 --> 00:34:48,532 朱実 356 00:34:48,532 --> 00:34:50,534 行かないでおくれ 357 00:34:50,534 --> 00:34:54,037 私人にして 行かないでおくれ 358 00:34:54,037 --> 00:35:05,048 ・~ 359 00:35:05,048 --> 00:35:07,551 どうした? 360 00:35:07,551 --> 00:35:13,056 熱いのです… お甲さんに ぶたれた跡が。 361 00:35:13,056 --> 00:35:16,560 銭を返しにいって ぶたれたのか? 362 00:35:16,560 --> 00:35:19,563 ええ。 363 00:35:19,563 --> 00:35:22,566 でも うれしかった。 364 00:35:22,566 --> 00:35:27,504 私は 小次郎様と緒に いられる事が うれしいのです。 365 00:35:27,504 --> 00:35:31,504 たとえ 行く末が どんな事になろうとも。 366 00:35:36,513 --> 00:35:39,015 ・(物音) 367 00:35:39,015 --> 00:35:42,519 俺の背から 離れるな。 368 00:35:42,519 --> 00:35:44,519 はい。 369 00:35:48,525 --> 00:35:50,527 何者だ? 370 00:35:50,527 --> 00:35:52,527 (男)俺だよ。 371 00:35:56,032 --> 00:35:59,035 旦那様 372 00:35:59,035 --> 00:36:01,035 (茨木屋)琴…。 373 00:36:09,045 --> 00:36:12,545 お主… 元は 忍びか? 374 00:36:40,510 --> 00:36:42,512 小次郎様 375 00:36:42,512 --> 00:36:59,512 ・~ 376 00:37:04,034 --> 00:37:06,536 手勢は 集まってるな? 377 00:37:06,536 --> 00:37:09,536 抜かりなく。 よし 行こう。 378 00:38:34,491 --> 00:38:54,511 ・~ 379 00:38:54,511 --> 00:38:59,015 <「俺は 今まで 己の力を信じて・ 380 00:38:59,015 --> 00:39:03,520 その力だけを頼りに生きてきた。・ 381 00:39:03,520 --> 00:39:08,525 今になって 神や仏を 頼りにするのは やめよう」…・ 382 00:39:08,525 --> 00:39:11,528 武蔵は その時に思った> 383 00:39:11,528 --> 00:39:20,537 ・~ 384 00:39:20,537 --> 00:39:25,041 < のちに 武蔵は 『独行道』という文章の中で・ 385 00:39:25,041 --> 00:39:30,480 「仏神は貴し 仏神を頼まず」と 書いている。・ 386 00:39:30,480 --> 00:39:37,487 それは この時の体験を 基にしたものだといわれている> 387 00:39:37,487 --> 00:39:42,492 (お杉)夜も明けぬうちから 果たし合いの見物に行くとは・ 388 00:39:42,492 --> 00:39:44,994 京の町衆も 物好きじゃの。 389 00:39:44,994 --> 00:39:49,499 (男)そうじゃよ。 関ヶ原の戦の時 大津の城攻めを・ 390 00:39:49,499 --> 00:39:53,503 手弁当で 三井寺まで 見物に出かけたんだよ。 391 00:39:53,503 --> 00:39:58,503 物見高いのが 京の町衆よ。 ハハハ…。 392 00:40:04,514 --> 00:40:06,516 お通 393 00:40:06,516 --> 00:40:08,516 おふくろ様…。 394 00:40:11,020 --> 00:40:15,525 武蔵の最期を 見届けに来たのか? 395 00:40:15,525 --> 00:40:17,527 師匠は死なない 396 00:40:17,527 --> 00:40:21,030 何十人もの手勢に 人で立ち向かって・ 397 00:40:21,030 --> 00:40:24,030 生きて帰れる訳が ないだろうが? 398 00:40:26,536 --> 00:40:28,471 いい場所を取って・ 399 00:40:28,471 --> 00:40:31,474 しかと見ようぞ お通。 400 00:40:31,474 --> 00:40:35,478 恋しい武蔵が 死ぬるのをな。 401 00:40:35,478 --> 00:41:27,463 ・~ 402 00:41:27,463 --> 00:41:33,469 <手のひらに お通の唇の感触が残っていた。・ 403 00:41:33,469 --> 00:41:35,972 「俺は 死ぬのだろうか…。・ 404 00:41:35,972 --> 00:41:41,978 それとも お通の所に もう度 戻れるのだろうか…」> 405 00:41:41,978 --> 00:41:56,993 ・~ 406 00:41:56,993 --> 00:41:58,995 生きる…。 407 00:41:58,995 --> 00:42:03,495 ・~ 408 00:42:32,028 --> 00:42:34,530 鉄砲の用意は してあるな? 409 00:42:34,530 --> 00:42:39,530 三方の道 どこから来ても 狙えるよう 隠しております。 410 00:43:05,061 --> 00:43:07,061 貸せ 411 00:43:11,567 --> 00:43:14,070 (源左衛門) 遅いのう 武蔵は。 412 00:43:14,070 --> 00:43:18,070 あの男は 勝つためなら どんな手でも用いる。 413 00:43:46,035 --> 00:43:48,535 (吐息) 414 00:44:01,050 --> 00:44:12,562 ・~ 415 00:44:12,562 --> 00:44:14,564 武蔵だ~ 416 00:44:14,564 --> 00:44:22,564 ・~ 417 00:44:26,075 --> 00:44:28,075 (銃声)