1 00:02:27,971 --> 00:02:31,975 ・~ 2 00:02:31,975 --> 00:02:35,478 (又八)年下の武蔵を かばっている つもりが いつか・ 3 00:02:35,478 --> 00:02:38,481 あいつに負けてるんじゃないか…。 4 00:02:38,481 --> 00:02:42,986 年上のくせに 引け目を 感じてばかりいた。 5 00:02:42,986 --> 00:02:46,489 お通が 俺を好きだと言った時も・ 6 00:02:46,489 --> 00:02:48,992 本気にしなかった。 7 00:02:48,992 --> 00:02:51,995 本当に 大切なものは・ 8 00:02:51,995 --> 00:02:55,995 なくしてから 初めて気づくものなんだ。 9 00:03:01,004 --> 00:03:16,019 ・~(テーマ音楽) 10 00:03:16,019 --> 00:03:30,519 ・~ 11 00:04:35,965 --> 00:04:38,965 (雷鳴) 12 00:05:55,979 --> 00:05:59,983 (とめ)やっと 気が合うてきたのう。 13 00:05:59,983 --> 00:06:04,988 (宮本武蔵)これほど 難しいものとは思いませんでした。 14 00:06:04,988 --> 00:06:06,990 わしと あれとも・ 15 00:06:06,990 --> 00:06:10,493 昔は なかなか 気が合わなくてのう。 16 00:06:10,493 --> 00:06:14,497 お互い 相手のせいにして 喧嘩ばかり しておった。 17 00:06:14,497 --> 00:06:18,001 人と人とが 共に 生きていくというのは・ 18 00:06:18,001 --> 00:06:21,001 なかなか 難しいもんでのう。 19 00:06:29,445 --> 00:06:32,448 (藤六)そろそろ 亭主も 帰ってくるのかい? (女)ええ。 20 00:06:32,448 --> 00:06:34,450 ちょっと待っててね。 21 00:06:34,450 --> 00:06:36,452 あれは? 22 00:06:36,452 --> 00:06:39,455 向こうの山に住む 宍戸梅軒という・ 23 00:06:39,455 --> 00:06:41,455 鍛冶屋の 女房じゃ。 24 00:06:43,960 --> 00:06:46,462 あの 腰の物は? 25 00:06:46,462 --> 00:06:48,965 ああ… 鎖鎌。 26 00:06:48,965 --> 00:06:50,967 「鎖鎌」? 27 00:06:50,967 --> 00:06:52,969 亭主が 教えたらしいが・ 28 00:06:52,969 --> 00:06:55,972 女だてらに なかなかの使い手でね…。 29 00:06:55,972 --> 00:07:00,977 襲ってきた牢人者を あれで ふっ飛ばしたという噂だよ。 30 00:07:00,977 --> 00:07:18,995 ・~ 31 00:07:18,995 --> 00:07:20,997 ・もし…。 32 00:07:20,997 --> 00:07:22,997 ・お頼み申す。 33 00:07:25,501 --> 00:07:27,437 (かつ)何だい? 34 00:07:27,437 --> 00:07:31,441 その 「鎖鎌」というもの…・ 35 00:07:31,441 --> 00:07:34,944 どのように 使うものか…・ 36 00:07:34,944 --> 00:07:37,444 教えてもらえまいか? 37 00:07:39,449 --> 00:07:42,452 私は 武者修行の途中…・ 38 00:07:42,452 --> 00:07:45,955 藤六殿の所で 教えを受けている・ 39 00:07:45,955 --> 00:07:47,957 宮本武蔵と申す者。 40 00:07:47,957 --> 00:07:52,962 「教え」? 武者修行が あそこで 何を 教わってんだい? 41 00:07:52,962 --> 00:07:55,465 「気の合わせ方」を 教わった。 42 00:07:55,465 --> 00:07:57,465 物好きだね。 43 00:08:01,971 --> 00:08:06,476 「鎖鎌」とやら どのように使うのか…・ 44 00:08:06,476 --> 00:08:08,978 ぜび 見せてもらいたい。 45 00:08:08,978 --> 00:08:11,981 見せ物じゃ ないんでね。 46 00:08:11,981 --> 00:08:16,986 それで 牢人者を 倒したと聞いたが? 47 00:08:16,986 --> 00:08:20,490 女人だと思って 襲いかかってきたから・ 48 00:08:20,490 --> 00:08:22,992 思い知らせてやったのよ。 49 00:08:22,992 --> 00:08:24,994 思い知ったか どうか…・ 50 00:08:24,994 --> 00:08:28,994 頭が ふっ飛んだから 聞けなかったけどね。 51 00:08:43,446 --> 00:08:46,449 どんなふうに使うか 知りたいかい? 52 00:08:46,449 --> 00:08:48,449 はい。 53 00:08:50,453 --> 00:08:52,453 ついてきな。 54 00:09:21,984 --> 00:09:23,984 (砕ける音) 55 00:09:33,429 --> 00:09:35,431 気が すんだだろ? 56 00:09:35,431 --> 00:09:37,431 帰んな。 57 00:09:40,937 --> 00:09:50,947 ・~(笛) 58 00:09:50,947 --> 00:09:56,953 < その頃 お通は 江戸に 向かう途中 神社に逗留し・ 59 00:09:56,953 --> 00:10:01,958 巫女に 笛を教えながら 冬を過ごしていた> 60 00:10:01,958 --> 00:10:20,977 ・~(笛) 61 00:10:20,977 --> 00:10:23,980 (お通)長らく お世話になりました。 62 00:10:23,980 --> 00:10:26,415 (荒木田)行かれるのか? やはり。 63 00:10:26,415 --> 00:10:29,418 冬の間 ここに いさせて頂いて・ 64 00:10:29,418 --> 00:10:31,420 本当に 助かりました。 65 00:10:31,420 --> 00:10:33,422 いやいや…。 66 00:10:33,422 --> 00:10:37,426 ここの者たちも すっかり お通さんに 懐いてしまって…・ 67 00:10:37,426 --> 00:10:40,429 もう少し いてほしかったのだが…。 68 00:10:40,429 --> 00:10:42,932 私は 江戸に 参らねばなりません。 69 00:10:42,932 --> 00:10:46,435 「江戸には 荒くれどもが 大勢いる」と・ 70 00:10:46,435 --> 00:10:48,938 この者たちが 心配しておる。 71 00:10:48,938 --> 00:10:53,943 (巫女)そんなに大切な方が 江戸に いるのですか? 72 00:10:53,943 --> 00:10:59,949 大切か どうか もう度 自分に問いたいのです。 73 00:10:59,949 --> 00:11:02,949 そのために 江戸に行くのです。 74 00:11:06,956 --> 00:11:14,463 ・~ 75 00:11:14,463 --> 00:11:16,465 では…。 76 00:11:16,465 --> 00:11:22,972 ・~ 77 00:11:22,972 --> 00:11:27,410 <城太郎は 自分の居場所を 見つけた。・ 78 00:11:27,410 --> 00:11:30,913 「私も また 生きていく居場所がほしい」…・ 79 00:11:30,913 --> 00:11:34,413 そう思いながら お通は 江戸に向かった> 80 00:11:37,420 --> 00:11:43,426 <「武蔵の心には 剣しかない」… いつか 又八は そう言っていた。・ 81 00:11:43,426 --> 00:11:46,929 今でも 武蔵は そう思っているのだろうか。・ 82 00:11:46,929 --> 00:11:52,435 そうだとしたら 私の居場所は どこにもない…。・ 83 00:11:52,435 --> 00:11:57,440 揺れ続けながら お通は 足を運ぶ。・ 84 00:11:57,440 --> 00:12:02,445 揺れる心こそが 恋の証しなのかもしれない> 85 00:12:02,445 --> 00:12:06,945 ・~ 86 00:12:11,454 --> 00:12:13,456 朱実か・ 87 00:12:13,456 --> 00:12:16,959 草餅が 手に入ったから どうかね? 88 00:12:16,959 --> 00:12:19,962 そっくりなんで びっくりしちゃうよ。 89 00:12:19,962 --> 00:12:21,964 すまねえ。 連れ合いは? 90 00:12:21,964 --> 00:12:23,966 近頃 見かけないね。 91 00:12:23,966 --> 00:12:27,470 出ていった。 そうだったのかい。 92 00:12:27,470 --> 00:12:30,473 気さくで かわいい お人だったのにね…。 93 00:12:30,473 --> 00:12:33,476 あれは 連れ合いでも 何でもない。 94 00:12:33,476 --> 00:12:36,479 出ていったからって 何という事もない。 95 00:12:36,479 --> 00:12:38,481 そうなのかい? そうだ。 96 00:12:38,481 --> 00:12:40,483 これ… はい。 97 00:12:40,483 --> 00:12:42,483 どうも ありがとよ。 98 00:12:45,488 --> 00:12:47,988 いいよ いいよ。 いやいや…。 99 00:12:49,992 --> 00:12:51,994 じゃあね。 100 00:12:51,994 --> 00:12:53,994 ありがとな 101 00:12:56,999 --> 00:12:59,001 (小次郎)次 102 00:12:59,001 --> 00:13:01,504 (弥次兵衛)先生。 103 00:13:01,504 --> 00:13:03,506 先生…。 104 00:13:03,506 --> 00:13:06,509 いい話が あるんですが…。 何だ? 105 00:13:06,509 --> 00:13:10,012 柳生様のお屋敷に 行く気は ありませんか? 106 00:13:10,012 --> 00:13:13,015 徳川剣術指南役の 柳生か? 107 00:13:13,015 --> 00:13:17,520 屋敷に出入りしている 大工の棟梁が この間・ 108 00:13:17,520 --> 00:13:21,023 大山勘兵衛の門人が 道場に来た時の話を・ 109 00:13:21,023 --> 00:13:24,527 あちらの殿様に したらしいんですよ。 110 00:13:24,527 --> 00:13:26,963 すると 向こうが 興味を持たれて・ 111 00:13:26,963 --> 00:13:30,466 「ぜひ 度 会ってみたい」と 仰せだそうですが…。 112 00:13:30,466 --> 00:13:32,969 向こうが 「会いたい」と 言うのなら・ 113 00:13:32,969 --> 00:13:34,969 会ってみてもよい。 114 00:13:51,988 --> 00:13:57,988 越前 中条流・鐘巻自斎の弟子 佐々木小次郎と申します。 115 00:14:01,497 --> 00:14:06,502 (宗矩)弥次兵衛という男の所で 師範を しておるそうだの? 116 00:14:06,502 --> 00:14:08,504 相手は 人足ども。 117 00:14:08,504 --> 00:14:12,008 「師範」と いうほどの 事でも ございません。 118 00:14:12,008 --> 00:14:16,012 剣の心得のない者を相手に 稽古をつけていると・ 119 00:14:16,012 --> 00:14:18,014 腕が落ちるとは 思わんか? 120 00:14:18,014 --> 00:14:22,518 私の剣は そのような事で 鈍るものではない…・ 121 00:14:22,518 --> 00:14:25,021 そう思っております。 122 00:14:25,021 --> 00:14:26,956 なかなかの自信だな。 123 00:14:26,956 --> 00:14:28,958 自信がなくては・ 124 00:14:28,958 --> 00:14:30,960 剣の道は 歩めません。 125 00:14:30,960 --> 00:14:33,462 して その自信のもとは? 126 00:14:33,462 --> 00:14:36,966 燕を 斬りました。 127 00:14:36,966 --> 00:14:38,968 「燕」を? 128 00:14:38,968 --> 00:14:43,973 いかなる鳥よりも 素早く 身を翻す燕を・ 129 00:14:43,973 --> 00:14:46,976 己の技で 捕らえた。 130 00:14:46,976 --> 00:14:48,978 その時に・ 131 00:14:48,978 --> 00:14:54,483 「私の剣は 天下無双の剣だ」と 思ったのです。 132 00:14:54,483 --> 00:15:02,992 ・~ 133 00:15:02,992 --> 00:15:04,992 ほう…。 134 00:15:06,996 --> 00:15:09,999 何度 燕を斬った? 度。 135 00:15:09,999 --> 00:15:15,004 ただの度 燕を斬っただけで 「天下無双の剣だ」というのは・ 136 00:15:15,004 --> 00:15:18,007 自信が 過ぎるのではないか? 137 00:15:18,007 --> 00:15:21,010 斬ったのは ただの度。 138 00:15:21,010 --> 00:15:26,449 しかし それは 十何年という 長い修練を へた後の事。 139 00:15:26,449 --> 00:15:28,451 だからこそ・ 140 00:15:28,451 --> 00:15:32,455 ただの度でも 体が しっかりと 覚えているのです。 141 00:15:32,455 --> 00:15:34,957 その自信に 果たして・ 142 00:15:34,957 --> 00:15:38,961 技が ついていっているか どうか? 143 00:15:38,961 --> 00:15:41,464 私は・ 144 00:15:41,464 --> 00:15:43,966 ここまで 生き残ってきました。 145 00:15:43,966 --> 00:15:46,969 生き死にだけが 兵法ではなかろう? 146 00:15:46,969 --> 00:15:49,972 命を懸けて 渡り合う事こそ 兵法…。 147 00:15:49,972 --> 00:15:52,475 私は そう思っております。 148 00:15:52,475 --> 00:15:54,477 それなら なぜ・ 149 00:15:54,477 --> 00:15:56,479 仕官を求めてきた? 150 00:15:56,479 --> 00:15:59,482 柳生新陰流は 人を殺める剣ではない。 151 00:15:59,482 --> 00:16:01,482 人を生かす剣なのだ。 152 00:16:03,486 --> 00:16:05,488 生きるためです。 153 00:16:05,488 --> 00:16:07,490 (沢庵)「生きるため」とは? 154 00:16:07,490 --> 00:16:10,493 共に生きる者の・ 155 00:16:10,493 --> 00:16:13,496 喜ぶ顔を見るため。 156 00:16:13,496 --> 00:16:15,998 ただ それだけのために・ 157 00:16:15,998 --> 00:16:20,002 当家に仕えたいと申すのか? はい。 158 00:16:20,002 --> 00:16:22,004 「剣術指南」というのは・ 159 00:16:22,004 --> 00:16:24,006 剣の道を教えるもの。 160 00:16:24,006 --> 00:16:26,008 「剣術」とは・ 161 00:16:26,008 --> 00:16:29,945 身をもって 命を懸けて覚えるものだと・ 162 00:16:29,945 --> 00:16:31,947 私は 思っております。 163 00:16:31,947 --> 00:16:34,950 たやすく 人に 教えられるものではないと…。 164 00:16:34,950 --> 00:16:37,453 なら なぜ ここへ来た? 165 00:16:37,453 --> 00:16:39,955 柳生殿が・ 166 00:16:39,955 --> 00:16:43,959 「私に会うてみたい」と 言われたからです。 167 00:16:43,959 --> 00:16:50,959 ・~ 168 00:16:54,470 --> 00:16:56,970 俺の矢が 斬れるか? 小次郎。 169 00:16:59,475 --> 00:17:01,477 どんな矢を? 170 00:17:01,477 --> 00:17:04,480 そなたに向かって 矢を放つ。 171 00:17:04,480 --> 00:17:07,980 それを斬る事ができるか? 燕のように。 172 00:17:11,487 --> 00:17:15,491 「命を懸けて 渡り合う事こそ兵法」…。 173 00:17:15,491 --> 00:17:18,494 先程 お主は そう言った。 174 00:17:18,494 --> 00:17:21,497 「斬れ」と仰せなら・ 175 00:17:21,497 --> 00:17:23,997 斬って御覧に入れましょう。 176 00:17:26,001 --> 00:17:27,937 弓矢を これへ持て。 177 00:17:27,937 --> 00:17:29,937 (小姓)はっ。 178 00:17:35,444 --> 00:17:39,949 過ぎたる自信は 身を滅ぼす事もある。 179 00:17:39,949 --> 00:17:42,451 私の自信は・ 180 00:17:42,451 --> 00:17:45,451 そのようなものでは ありません。 181 00:18:02,471 --> 00:18:04,974 (りん)何を なさっているのです? 182 00:18:04,974 --> 00:18:07,977 おやめ下さい そんな無体な事。 183 00:18:07,977 --> 00:18:10,977 あの男が 求めた事でもあるのです。 184 00:18:27,930 --> 00:18:47,950 ・~ 185 00:18:47,950 --> 00:18:49,952 (琴)お帰りなさいませ。 186 00:18:49,952 --> 00:18:58,460 ・~ 187 00:18:58,460 --> 00:19:01,463 どうされたのです? 188 00:19:01,463 --> 00:19:03,966 久しぶりに・ 189 00:19:03,966 --> 00:19:05,966 血が騒いだ。 190 00:19:08,470 --> 00:19:11,974 何が あったのです? 191 00:19:11,974 --> 00:19:14,977 久しぶりに・ 192 00:19:14,977 --> 00:19:18,981 強い者に出会うたのだ。 193 00:19:18,981 --> 00:19:20,981 久しぶりに…。 194 00:19:22,985 --> 00:19:25,988 俺の剣の技を 見せてやった。 195 00:19:25,988 --> 00:19:30,926 ・~ 196 00:19:30,926 --> 00:19:33,929 あの時と同じ…。 197 00:19:33,929 --> 00:19:35,929 燕を斬った 198 00:19:38,934 --> 00:19:40,936 燕を斬った 199 00:19:40,936 --> 00:19:48,444 ・~ 200 00:19:48,444 --> 00:19:50,446 何を なさいます。・ 201 00:19:50,446 --> 00:19:52,948 いけません 人を呼びま… 202 00:19:52,948 --> 00:20:06,462 ・~ 203 00:20:06,462 --> 00:20:10,466 男の方の心が 高ぶるのは…・ 204 00:20:10,466 --> 00:20:14,466 やはり 御自分に 自信を持った時。 205 00:20:17,973 --> 00:20:19,973 女は どんな時に…? 206 00:20:29,918 --> 00:20:36,925 「この方こそは」と 思える人に…・ 207 00:20:36,925 --> 00:20:38,927 出会えた時です。 208 00:20:38,927 --> 00:20:47,927 ・~ 209 00:20:57,946 --> 00:21:03,952 なぜ お断りになったのですか? あの お方の仕官を。 210 00:21:03,952 --> 00:21:05,954 小次郎か? 211 00:21:05,954 --> 00:21:07,956 はい。 212 00:21:07,956 --> 00:21:11,460 命懸けの立ち合いで 腕を見ておきながら・ 213 00:21:11,460 --> 00:21:14,463 お召し抱えにならぬのは 情のない事…。 214 00:21:14,463 --> 00:21:17,463 そなたが を出す事ではない。 215 00:21:19,968 --> 00:21:21,968 はい。 216 00:21:25,974 --> 00:21:28,410 江戸に来て・ 217 00:21:28,410 --> 00:21:30,910 よかったと 思っているか? 218 00:21:33,916 --> 00:21:36,919 宗矩様に 呼んで頂いた事…・ 219 00:21:36,919 --> 00:21:39,919 私は うれしく 思っております。 220 00:21:42,925 --> 00:21:45,427 本当に そう思っているか? 221 00:21:45,427 --> 00:21:47,427 はい。 222 00:22:01,944 --> 00:22:06,448 長吉よ… 元気にしておったか? 223 00:22:06,448 --> 00:22:10,948 留守の間 母さんを 困らせておらんかったか? 224 00:22:13,956 --> 00:22:15,958 やはり 京だな…。 225 00:22:15,958 --> 00:22:19,958 子供の遊びに こんな雅な物を 作っておる。 226 00:22:25,467 --> 00:22:30,472 堺でも 近江でも そんな鉄砲が 数多く 作られている。 227 00:22:30,472 --> 00:22:33,475 「もう度 大きな戦が あるに違いない」と・ 228 00:22:33,475 --> 00:22:35,978 堺の 鍛冶屋が 言うとった。 229 00:22:35,978 --> 00:22:37,980 これなら うちでも作れる。 230 00:22:37,980 --> 00:22:41,980 …だろう。 だから つ 求めてきたのよ。 231 00:22:45,988 --> 00:22:48,490 変な武者修行が来た。 232 00:22:48,490 --> 00:22:50,492 「武者修行」? 233 00:22:50,492 --> 00:22:53,495 藤六さんの所に 住みついているらしいが・ 234 00:22:53,495 --> 00:22:57,499 「鎖鎌の術を 教えてほしい」と うちまで 来たんだよ。 235 00:22:57,499 --> 00:23:01,503 「あんたが帰ったら 聞いておく」と言っといたけどね。 236 00:23:01,503 --> 00:23:03,505 何という男だ? 237 00:23:03,505 --> 00:23:06,508 「宮本武蔵」。 何? 238 00:23:06,508 --> 00:23:08,510 知ってるのかい? 239 00:23:08,510 --> 00:23:14,016 京の吉岡を倒して 名を挙げた 「宮本武蔵」という男がいる。 240 00:23:14,016 --> 00:23:16,018 あの男が…。 241 00:23:16,018 --> 00:23:21,023 兄・辻風典馬を倒した 「新免武蔵」という男と・ 242 00:23:21,023 --> 00:23:23,525 どうやら 同じ男らしい。 243 00:23:23,525 --> 00:23:26,025 仇かい? あの男は。 244 00:23:30,966 --> 00:23:37,472 ・~ 245 00:23:37,472 --> 00:23:40,475 や~っ 246 00:23:40,475 --> 00:23:42,477 (典馬)あ~っ 247 00:23:42,477 --> 00:24:03,498 ・~ 248 00:24:03,498 --> 00:24:07,002 (掛け声) 249 00:24:07,002 --> 00:24:09,004 (男1)参った 250 00:24:09,004 --> 00:24:11,006 次 251 00:24:11,006 --> 00:24:17,012 (声援) 252 00:24:17,012 --> 00:24:19,014 (男2)参った 253 00:24:19,014 --> 00:24:21,516 「腕が立つ」…・ 254 00:24:21,516 --> 00:24:26,021 それだけでは 剣術指南に なれぬものなのじゃ。 255 00:24:26,021 --> 00:24:28,457 分かっております。 256 00:24:28,457 --> 00:24:33,462 徳川は 今 堅牢な石垣を 築く事を 第としておる。 257 00:24:33,462 --> 00:24:35,464 そのためには・ 258 00:24:35,464 --> 00:24:37,966 どのように 大きな石でも・ 259 00:24:37,966 --> 00:24:40,969 どのように 得難い名石でも・ 260 00:24:40,969 --> 00:24:46,975 うまく納まらぬものは 後になって 石垣を崩す。 261 00:24:46,975 --> 00:24:51,480 宗矩殿が そなたを断ったのは そういう事なのじゃ。 262 00:24:51,480 --> 00:24:56,480 私も 石垣の石に なるつもりは ありません。 263 00:24:58,487 --> 00:25:03,492 これからは 剣で 渡り合うのではなく・ 264 00:25:03,492 --> 00:25:08,497 いかにして 剣で 天下を 治めていくかが 肝要な事となる。 265 00:25:08,497 --> 00:25:11,500 その事を おっしゃるために・ 266 00:25:11,500 --> 00:25:14,503 ここまで 来て下さったのですか? 267 00:25:14,503 --> 00:25:18,507 私は そなたと同じように・ 268 00:25:18,507 --> 00:25:23,011 自信が 着物を着ているような 男を知っておってな…。 269 00:25:23,011 --> 00:25:26,448 その男の事を 思い出したのじゃ。 270 00:25:26,448 --> 00:25:28,448 そうですか。 271 00:25:31,953 --> 00:25:35,957 ここで 稽古を つけておるのか? 272 00:25:35,957 --> 00:25:38,960 はい。 273 00:25:38,960 --> 00:25:42,460 わしも 手 立ち合うてみたいのう。 274 00:25:44,966 --> 00:25:46,966 お望みなら。 275 00:26:02,484 --> 00:26:05,487 それで 稽古を つけておるのか? 276 00:26:05,487 --> 00:26:07,989 師の稽古が・ 277 00:26:07,989 --> 00:26:09,989 これでしたので。 278 00:26:17,499 --> 00:26:20,502 (お杉)沢庵様 待った~ 279 00:26:20,502 --> 00:26:23,505 沢庵様では ございませぬか? 280 00:26:23,505 --> 00:26:25,505 お杉婆…。 281 00:26:29,444 --> 00:26:31,446 (権六)こんな物しか…。 282 00:26:31,446 --> 00:26:34,449 又八を追うて 江戸に来てな…・ 283 00:26:34,449 --> 00:26:38,453 ひょんな事から 弥次兵衛さんに 世話になって…。 284 00:26:38,453 --> 00:26:41,957 そりゃ よかった。 江戸には 荒くれが多い。 285 00:26:41,957 --> 00:26:45,961 荒くれの 真っただ中に おるんじゃ。 そうじゃ。 286 00:26:45,961 --> 00:26:49,965 荒くれどもも なじみになると 妙に かわいい。 287 00:26:49,965 --> 00:26:53,468 皆 わが子のように思えてきての。 288 00:26:53,468 --> 00:26:55,470 …で 又八とは? 289 00:26:55,470 --> 00:26:57,472 会うた。 290 00:26:57,472 --> 00:26:59,975 会うには会うたが・ 291 00:26:59,975 --> 00:27:02,477 妙に 気が抜けてしもうての。 292 00:27:02,477 --> 00:27:04,479 「気が抜けた」? 293 00:27:04,479 --> 00:27:06,982 お杉婆と 出会うてなかったら・ 294 00:27:06,982 --> 00:27:09,985 又八は 磔に なっていたかも…。 295 00:27:09,985 --> 00:27:12,988 「磔」? 296 00:27:12,988 --> 00:27:15,991 「母の思いは 岩をも貫く」というが・ 297 00:27:15,991 --> 00:27:20,495 わしは お杉婆が 又八を 追っかけてきた事が・ 298 00:27:20,495 --> 00:27:22,998 少しも 無駄ではなかったと…。 299 00:27:22,998 --> 00:27:27,435 この婆の 息子に寄せる思いを 見直したんじゃ。 300 00:27:27,435 --> 00:27:29,437 なのに お杉婆は・ 301 00:27:29,437 --> 00:27:33,441 気の抜けた酒みたいに なってしもうて…。 302 00:27:33,441 --> 00:27:36,941 ・~ 303 00:27:39,948 --> 00:27:43,451 母の思いに 感謝しておるか? はい。 304 00:27:43,451 --> 00:27:45,954 ならば どうして 呼んでやらん? 305 00:27:45,954 --> 00:27:49,457 「来い」と言うとるが 向こうが 来ないんだ。 306 00:27:49,457 --> 00:27:53,461 必死で追いかけてきて 気が抜けたのかのう? 307 00:27:53,461 --> 00:27:55,463 俺も ほっとしてんだ。 308 00:27:55,463 --> 00:27:58,466 このまま ずっと 気が抜けていてほしいと。 309 00:27:58,466 --> 00:28:00,966 何か言ったか? いやいや…。 310 00:28:05,974 --> 00:28:09,477 「朱実という女子と 緒に暮らしている」と・ 311 00:28:09,477 --> 00:28:11,479 お杉婆が 言うとった…。 312 00:28:11,479 --> 00:28:15,483 「又八の嫁にしてもよいと 考えておる」と。 313 00:28:15,483 --> 00:28:17,485 出ていった。 314 00:28:17,485 --> 00:28:19,487 「出ていった」? 315 00:28:19,487 --> 00:28:23,491 「いなくなって 初めて 大事だと分かる」…。 316 00:28:23,491 --> 00:28:25,994 俺に そう思わせたいのかも…。 317 00:28:25,994 --> 00:28:27,929 そう思うておるのか? 318 00:28:27,929 --> 00:28:29,931 分からん。 319 00:28:29,931 --> 00:28:32,434 これから どうするつもりじゃ? 320 00:28:32,434 --> 00:28:34,436 分からん。 321 00:28:34,436 --> 00:28:36,938 俺は 俺の道を 歩くだけだ…。 322 00:28:36,938 --> 00:28:39,941 やっと そう思えるように なったんだ。 323 00:28:39,941 --> 00:28:41,943 そうか…。 324 00:28:41,943 --> 00:28:45,947 「俺は 武蔵とは違うのだ」と 思えるようになった。 325 00:28:45,947 --> 00:28:47,947 うむ…。 326 00:28:49,951 --> 00:28:53,455 俺の手は 剣を握るようには 出来ていない…。 327 00:28:53,455 --> 00:28:56,458 今になって 初めて その事に気づいた。 328 00:28:56,458 --> 00:28:58,460 武蔵と会うたか? 京で。 329 00:28:58,460 --> 00:29:02,464 武蔵が 条寺で 吉岡と闘う前に。 330 00:29:02,464 --> 00:29:06,968 武蔵は あの時 名目人の子供を 斬るはめになった。 331 00:29:06,968 --> 00:29:08,970 え~っ・ 332 00:29:08,970 --> 00:29:11,970 それしか ほかに 道は なかった。 333 00:29:13,975 --> 00:29:17,979 武蔵の頭には 剣しかない。 334 00:29:17,979 --> 00:29:22,984 お通にも その事は よう分かってるはずだ。 335 00:29:22,984 --> 00:29:27,923 お前と お通が いたから 武蔵は 生きてこられた。 336 00:29:27,923 --> 00:29:29,925 お前と お通が いなかったら・ 337 00:29:29,925 --> 00:29:33,929 武蔵の心は もっと ねじ曲がっていたと思う。 338 00:29:33,929 --> 00:29:37,933 武蔵の心を まっすぐにしたのは・ 339 00:29:37,933 --> 00:29:39,933 お前と お通じゃ。 340 00:29:41,937 --> 00:29:44,940 その事を 武蔵に教えてやりたい。 341 00:29:44,940 --> 00:29:47,943 そんな大層な事 俺は してないよ。 342 00:29:47,943 --> 00:29:51,446 いや 村の誰もが 相手にしなかった武蔵と・ 343 00:29:51,446 --> 00:29:53,448 お前は 遊んでやったのじゃ。 344 00:29:53,448 --> 00:29:56,952 それが どんなに勇気のいる事か…・ 345 00:29:56,952 --> 00:29:58,954 武蔵は 考えた事もないじゃろう。 346 00:29:58,954 --> 00:30:00,956 勇気なんて 俺にはない。 347 00:30:00,956 --> 00:30:02,958 いや ある。 348 00:30:02,958 --> 00:30:04,960 人のしない事をする…。 349 00:30:04,960 --> 00:30:07,963 人の できない事をする…。 350 00:30:07,963 --> 00:30:11,466 それが どんなに大切な事なのか…・ 351 00:30:11,466 --> 00:30:15,466 諸国を巡ってきた わしには よう分かる。 352 00:30:17,472 --> 00:30:21,476 お前の勇気に 気づかんかぎり…・ 353 00:30:21,476 --> 00:30:24,476 武蔵は 本当の意味で 強うなれん。 354 00:30:28,917 --> 00:30:30,919 どうした? 355 00:30:30,919 --> 00:30:33,922 京で 武蔵に斬られた。 「武蔵に」? 356 00:30:33,922 --> 00:30:38,927 弥二郎が 「兄の仇だ」と 武蔵に 向かっていったんだ。 357 00:30:38,927 --> 00:30:43,927 武蔵は 吉岡清十郎に 打ち負かされた すぐ後だった。 358 00:30:48,436 --> 00:30:50,436 (弥二郎)え~い 弥二郎 359 00:31:03,952 --> 00:31:05,952 又やん… 360 00:31:08,456 --> 00:31:11,960 何が あったんだ? 361 00:31:11,960 --> 00:31:14,462 何が あった? 362 00:31:14,462 --> 00:31:17,966 又やん 363 00:31:17,966 --> 00:31:19,968 俺は…・ 364 00:31:19,968 --> 00:31:22,971 俺は…・ 365 00:31:22,971 --> 00:31:26,971 吉岡清十郎に… 366 00:31:29,411 --> 00:31:31,413 武蔵 367 00:31:31,413 --> 00:31:37,419 ・~ 368 00:31:37,419 --> 00:31:40,919 今は この傷が 妙に いとおしいんだ。 369 00:31:42,924 --> 00:31:45,427 それと同じ傷が・ 370 00:31:45,427 --> 00:31:48,430 武蔵の心の中にも あるじゃろう。 371 00:31:48,430 --> 00:32:20,930 ・~ 372 00:32:39,981 --> 00:32:42,981 長らく お世話になりました。 373 00:32:44,986 --> 00:32:49,991 (藤六)わしらも そろそろ いい木を求めて 移るんじゃ。 374 00:32:49,991 --> 00:32:51,993 そうですか。 375 00:32:51,993 --> 00:32:56,998 満足な器を 作るところまでは いかんじゃっただろう? 376 00:32:56,998 --> 00:33:00,001 わしらに ついてきても いいぞ。 377 00:33:00,001 --> 00:33:04,005 器を作るよりも・ 378 00:33:04,005 --> 00:33:07,008 もっと大切な事を・ 379 00:33:07,008 --> 00:33:09,010 私は 教わりました。 380 00:33:09,010 --> 00:33:12,013 わしらが 何を教えた? 381 00:33:12,013 --> 00:33:16,518 人と 人が・ 382 00:33:16,518 --> 00:33:20,018 共に生きていくという事を。 383 00:33:22,023 --> 00:33:27,023 このところで 番 うまく出来た器じゃ。 384 00:33:30,465 --> 00:33:32,465 私に? 385 00:33:40,975 --> 00:33:52,487 ・~ 386 00:33:52,487 --> 00:33:54,489 では…。 387 00:33:54,489 --> 00:34:03,498 ・~ 388 00:34:03,498 --> 00:34:05,500 達者でな 389 00:34:05,500 --> 00:34:26,955 ・~ 390 00:34:26,955 --> 00:34:32,961 <木地師夫婦と過ごした 冬の経験が 武蔵の心に・ 391 00:34:32,961 --> 00:34:38,466 人と人との つながりの尊さを 深く 染み込ませた> 392 00:34:38,466 --> 00:36:01,966 ・~ 393 00:36:28,443 --> 00:36:33,448 そなたの願い事は 聞けぬ…。 394 00:36:33,448 --> 00:36:36,451 朱実…。 395 00:36:36,451 --> 00:36:39,954 今 どこで 暮らしてんだ? 396 00:36:39,954 --> 00:36:42,957 なぜ 急に出ていった? 待て 朱実 397 00:36:42,957 --> 00:36:44,957 朱実 398 00:36:49,464 --> 00:36:51,464 帰ってこい 朱実。 399 00:36:56,971 --> 00:37:01,471 (朱実)私が いなくなって ほっとしたでしょう? 400 00:37:05,980 --> 00:37:07,980 そんな事ない。 401 00:37:09,984 --> 00:37:11,984 そんな事ないよ。 402 00:37:18,993 --> 00:37:20,993 朱実 403 00:37:27,935 --> 00:37:29,935 (沢庵)馳走になりました。 404 00:37:36,444 --> 00:37:40,948 (りん)江戸は 海辺ゆえ いろいろ おいしい物が ございますよ。 405 00:37:40,948 --> 00:37:44,952 りん殿は 遠江の生まれで ございましたな? 406 00:37:44,952 --> 00:37:48,956 はい 父の所領が 遠江にございました。 407 00:37:48,956 --> 00:37:50,958 ですから 沢庵様に・ 408 00:37:50,958 --> 00:37:54,962 東国の 美味な物を 召し上がり 頂きとうございました。 409 00:37:54,962 --> 00:37:56,964 が おごりますとな…・ 410 00:37:56,964 --> 00:38:01,969 人は 権勢や財宝に 屈するようになるのです。 411 00:38:01,969 --> 00:38:04,472 形だけの仏法を 説き・ 412 00:38:04,472 --> 00:38:08,976 小さな世界で 禅を いじくり回すようになる。 413 00:38:08,976 --> 00:38:12,480 ひもじさを 紛らわす物さえあれば・ 414 00:38:12,480 --> 00:38:15,983 人は 生きていけるのです。 415 00:38:15,983 --> 00:38:17,983 そうでしょうか? 416 00:38:19,987 --> 00:38:24,992 伏見からは 手伝いの者しか 連れてこなかったので・ 417 00:38:24,992 --> 00:38:28,930 ここでは 話し相手も いないのです。 418 00:38:28,930 --> 00:38:33,434 は 満ち足りても 心は ひもじい。 419 00:38:33,434 --> 00:38:38,940 宗矩様は 私の父の つてで 徳川家と つながりを持てた事を・ 420 00:38:38,940 --> 00:38:41,442 ずっと 気になさって いるのです。 421 00:38:41,442 --> 00:38:44,946 裏切りを防ぐために 嫁をもらい・ 422 00:38:44,946 --> 00:38:48,449 敵と結ぶために 嫁にやる…。 423 00:38:48,449 --> 00:38:51,953 それは 戦国の世の 武家の習い。 424 00:38:51,953 --> 00:38:54,956 宗矩殿が 気になさっておるのは・ 425 00:38:54,956 --> 00:38:58,960 りん殿を いとおしく 思われている 証しでしょう。 426 00:38:58,960 --> 00:39:00,960 いいえ。 427 00:39:03,464 --> 00:39:05,466 あの お方は・ 428 00:39:05,466 --> 00:39:10,972 御自分の力だけで 強くなった… そう思いたいのです。 429 00:39:10,972 --> 00:39:17,972 己の力だけを信じて 生きて いきたいと 思っておられます。 430 00:39:19,981 --> 00:39:23,985 佐々木小次郎という お方に 厳しく当たられたのも・ 431 00:39:23,985 --> 00:39:28,923 小次郎様が 「俺は 自分の力だけで 生きてきた」と・ 432 00:39:28,923 --> 00:39:31,923 言い張られたからでしょう。 433 00:39:35,429 --> 00:39:38,933 宗矩様の心には・ 434 00:39:38,933 --> 00:39:40,935 わが父の事が・ 435 00:39:40,935 --> 00:39:43,938 取りたくても取れぬ 棘のように・ 436 00:39:43,938 --> 00:39:46,938 突き刺さっているのです。 437 00:39:52,947 --> 00:39:54,949 宗矩殿は・ 438 00:39:54,949 --> 00:39:59,954 とにかく りん殿を 江戸に連れてこられた。 439 00:39:59,954 --> 00:40:04,458 宗矩殿の心を 汲む事こそ 妻の役目…。 440 00:40:04,458 --> 00:40:07,958 そう お思いには なりませんか? 441 00:40:10,965 --> 00:40:17,471 人と人が 共に生きていくのは 難しいもの。 442 00:40:17,471 --> 00:40:21,475 気にではなく 少しずつ・ 443 00:40:21,475 --> 00:40:24,475 共に歩めば よいのです。 444 00:40:26,914 --> 00:40:30,918 「時が 夫婦にする」…。 445 00:40:30,918 --> 00:40:35,418 柳生の お殿様が そう おっしゃておりました。 446 00:40:41,929 --> 00:40:44,932 (沢庵)「時」というのは・ 447 00:40:44,932 --> 00:40:47,435 ある時は 優しいもの…。 448 00:40:47,435 --> 00:40:50,438 また ある時は むごいもの…。 449 00:40:50,438 --> 00:40:55,943 また ある時は いろんな事を 教えてくれるもの。 450 00:40:55,943 --> 00:40:59,947 宗矩殿が つかもうと している 時の流れに・ 451 00:40:59,947 --> 00:41:04,952 私も 身を投げかけてみようと思い 江戸に来ました。 452 00:41:04,952 --> 00:41:10,958 果たして 時が 何を教えてくれるのか…・ 453 00:41:10,958 --> 00:41:14,958 今の私には しかとは 分かっておりません。 454 00:41:16,964 --> 00:41:21,969 時は むごいものなのか…・ 455 00:41:21,969 --> 00:41:25,973 あるいは 優しいものなのか…。 456 00:41:25,973 --> 00:41:49,473 ・~ 457 00:42:25,466 --> 00:42:27,966 (藤次)どこへ行く? 娘さん。 458 00:42:31,972 --> 00:42:33,974 どいて下さい。 459 00:42:33,974 --> 00:42:36,977 こんな山の中を 人で旅をするなんて・ 460 00:42:36,977 --> 00:42:39,980 よほどの覚悟が できているんだな。 461 00:42:39,980 --> 00:42:41,982 この山はな…・ 462 00:42:41,982 --> 00:42:44,485 俺たちの領地なんだ。 463 00:42:44,485 --> 00:42:49,990 ここを通る者には 路銀を 置いていってもらう。 464 00:42:49,990 --> 00:42:52,993 いくら払えば いいのです? 465 00:42:52,993 --> 00:42:56,497 ただだよ。 466 00:42:56,497 --> 00:42:58,999 美しい娘さんからは・ 467 00:42:58,999 --> 00:43:00,999 銭は 取らない。 468 00:43:03,003 --> 00:43:05,003 行きな。 469 00:43:07,508 --> 00:43:09,508 行っていいんだよ。 470 00:43:45,980 --> 00:43:48,983 うちへ寄っていくかい? 471 00:43:48,983 --> 00:43:53,487 鎖鎌の術を 教えてほしいんだろう? ええ。 472 00:43:53,487 --> 00:43:56,991 連れ合いが 帰ってきて あんたの話をしたら・ 473 00:43:56,991 --> 00:44:01,495 「教えてもいい」って言ってるんだ。 474 00:44:01,495 --> 00:44:04,498 来るかい? うちへ。 475 00:44:04,498 --> 00:44:06,498 はい。 476 00:44:09,003 --> 00:44:35,462 ・~ 477 00:44:35,462 --> 00:44:42,469 <自分を 兄の仇と憎む 宍戸梅軒が待ち受けているとは・ 478 00:44:42,469 --> 00:44:46,974 その時 武蔵は 知る由もなかった> 479 00:44:46,974 --> 00:44:50,974 ・~