1 00:02:26,990 --> 00:02:32,029 ・~ 2 00:02:32,029 --> 00:02:36,029 (梅軒)俺に勝ってみろ 宮本武蔵 3 00:02:40,037 --> 00:02:43,040 (かつ)あんた~ 4 00:02:43,040 --> 00:02:49,046 (梅軒)かつを… 里まで・ 5 00:02:49,046 --> 00:02:52,046 送り届けてやってくれ。 6 00:02:54,051 --> 00:02:57,054 (かつ)あんたの仇は・ 7 00:02:57,054 --> 00:03:00,057 私が 必ず取ってやる。 8 00:03:00,057 --> 00:03:15,072 ・~(テーマ音楽) 9 00:03:15,072 --> 00:03:29,572 ・~ 10 00:04:35,018 --> 00:04:38,018 (雷鳴) 11 00:06:00,537 --> 00:06:03,540 (宮本武蔵) 疲れたら休むぞ。 12 00:06:03,540 --> 00:06:05,540 (かつ)大丈夫。 13 00:06:26,496 --> 00:06:28,496 水が流れてた。 14 00:06:39,509 --> 00:06:41,509 うまい。 15 00:06:45,015 --> 00:06:47,017 「水の味も知らずして・ 16 00:06:47,017 --> 00:06:50,020 ただ 剣だけを磨いても 無意味だ」と・ 17 00:06:50,020 --> 00:06:52,020 言われた事がある。 18 00:06:54,024 --> 00:06:56,026 誰に? 19 00:06:56,026 --> 00:06:58,026 偉い人にだ。 20 00:07:03,033 --> 00:07:05,035 水って すぐそこかい? 21 00:07:05,035 --> 00:07:07,035 すぐ下だ。 22 00:07:12,542 --> 00:07:16,046 水なら 汲んできた。 23 00:07:16,046 --> 00:07:19,546 用を足してくるんだよ。 私も 長吉も。 24 00:07:27,991 --> 00:07:47,010 ・~ 25 00:07:47,010 --> 00:07:50,013 お父の仇を 取るからね。 26 00:07:50,013 --> 00:07:52,015 待ってておくれ。 27 00:07:52,015 --> 00:08:10,533 ・~ 28 00:08:10,533 --> 00:08:12,533 子供は どうする? 29 00:08:15,038 --> 00:08:17,540 子供が…・ 30 00:08:17,540 --> 00:08:20,040 独りになって いいのか? 31 00:08:26,483 --> 00:08:29,986 あの子にとっても あんたは 仇なんだよ。 32 00:08:29,986 --> 00:08:31,988 「女だから…・ 33 00:08:31,988 --> 00:08:34,991 仇討ちだから」といって・ 34 00:08:34,991 --> 00:08:39,996 黙って 討たれる訳にはいかない。 35 00:08:39,996 --> 00:08:42,499 向かってくれば…・ 36 00:08:42,499 --> 00:08:46,503 お前を…・ 37 00:08:46,503 --> 00:08:48,505 斬る。 38 00:08:48,505 --> 00:09:00,016 ・~ 39 00:09:00,016 --> 00:09:02,516 あの子を 独りにするな。 40 00:09:05,021 --> 00:09:07,524 寂しい者が・ 41 00:09:07,524 --> 00:09:10,026 また人 増えるだけだ。 42 00:09:10,026 --> 00:09:12,529 ・(長吉の泣き声) 43 00:09:12,529 --> 00:09:15,031 行って…・ 44 00:09:15,031 --> 00:09:17,033 子供を 連れてこい。 45 00:09:17,033 --> 00:09:19,035 ・(長吉の泣き声) 46 00:09:19,035 --> 00:09:21,538 俺は どんな事があっても・ 47 00:09:21,538 --> 00:09:24,040 お前と あの子を…・ 48 00:09:24,040 --> 00:09:25,975 里まで 送り届ける。 49 00:09:25,975 --> 00:09:33,975 ・(長吉の泣き声) 50 00:09:36,986 --> 00:09:38,986 (床をつつく音) 51 00:09:46,496 --> 00:09:48,496 (床をつつく音) 52 00:09:50,500 --> 00:09:53,503 (床をつつく音) (お通)あっ 53 00:09:53,503 --> 00:09:56,003 (床をつつく音) 54 00:10:06,015 --> 00:10:08,017 あっ 55 00:10:08,017 --> 00:10:43,987 ・~ 56 00:10:43,987 --> 00:10:45,987 あ~っ 57 00:10:57,500 --> 00:10:59,502 俺が 子を抱く。 58 00:10:59,502 --> 00:11:01,504 いいよ。 59 00:11:01,504 --> 00:11:04,504 おっ母さんが 倒れたら困る。 60 00:11:25,962 --> 00:11:28,962 落とさないでおくれ。 分かった。 61 00:11:52,488 --> 00:12:02,498 ・~ 62 00:12:02,498 --> 00:12:06,502 (長吉の泣き声) 63 00:12:06,502 --> 00:12:08,504 泣くな。 64 00:12:08,504 --> 00:12:11,007 (泣き声) 65 00:12:11,007 --> 00:12:14,510 [ あやす武蔵 ] 66 00:12:14,510 --> 00:12:16,512 泣くな おい。 67 00:12:16,512 --> 00:12:22,518 ・~ 68 00:12:22,518 --> 00:12:32,028 (泣き声) 69 00:12:32,028 --> 00:12:34,030 武芸者も・ 70 00:12:34,030 --> 00:12:39,535 子に かかわると だらけになるんだね。 71 00:12:39,535 --> 00:12:42,035 うちの人が そうだった。 72 00:13:58,047 --> 00:14:00,047 (男)どこへ行く・ 73 00:14:10,059 --> 00:14:13,563 (吉弥) なかなか 気丈な女子だの。 74 00:14:13,563 --> 00:14:15,565 何を するんです? 75 00:14:15,565 --> 00:14:17,565 何もせぬわ。 76 00:14:19,569 --> 00:14:22,572 俺たちの仲間に なれ。 77 00:14:22,572 --> 00:14:24,574 ここにいる奴らはな…・ 78 00:14:24,574 --> 00:14:27,510 武士もいる。 百姓もいる。 商人もいる。 79 00:14:27,510 --> 00:14:31,514 みんな 世俗の欲を捨てて ここで暮らしてる。 80 00:14:31,514 --> 00:14:36,018 何もかも捨てて ここに来たんだ。 81 00:14:36,018 --> 00:14:38,521 世俗の欲を捨てると・ 82 00:14:38,521 --> 00:14:41,023 生きるのも 楽になるぞ。 83 00:14:41,023 --> 00:14:44,026 ここから 出して下さい 84 00:14:44,026 --> 00:14:47,029 もう ここからは…・ 85 00:14:47,029 --> 00:14:49,029 出ていけないよ。 86 00:14:54,036 --> 00:14:56,036 あっ… 87 00:14:58,541 --> 00:15:01,043 (栄蔵) 食いな… ほれ。 88 00:15:01,043 --> 00:15:05,543 「同じ物を食らう」… それが 仲間の手始めだ。 89 00:15:11,053 --> 00:15:13,053 はい。 食いな。 90 00:15:15,057 --> 00:15:18,057 あ… あ…。 91 00:15:45,021 --> 00:15:52,028 ・~ 92 00:15:52,028 --> 00:15:56,032 <「どんな事があっても 江戸に行く」…・ 93 00:15:56,032 --> 00:15:59,035 お通は 心に決めていた。・ 94 00:15:59,035 --> 00:16:02,038 「たとえ どんな目に遭おうとも・ 95 00:16:02,038 --> 00:16:06,042 生きて 江戸に たどりついてみせる」…> 96 00:16:06,042 --> 00:16:37,006 ・~ 97 00:16:37,006 --> 00:16:39,008 あ~っ 98 00:16:39,008 --> 00:16:41,010 (男たち)何しやがる・ 99 00:16:41,010 --> 00:16:43,012 来ないで 100 00:16:43,012 --> 00:16:45,014 (男たち)押さえろ 101 00:16:45,014 --> 00:16:52,021 [ 大混乱になる ] 102 00:16:52,021 --> 00:17:37,021 ・~ 103 00:17:47,510 --> 00:17:54,016 (琴)小次郎様が お祈りする姿を 初めて見ました。 104 00:17:54,016 --> 00:17:58,020 (小次郎) 頼りにするのは 己だけ。 105 00:17:58,020 --> 00:18:00,022 武芸者というのは・ 106 00:18:00,022 --> 00:18:03,522 そう思って 生きているものなのだ。 107 00:18:06,028 --> 00:18:09,528 何を祈ったか 聞きたくはないか? 108 00:18:13,035 --> 00:18:15,538 いいえ。 109 00:18:15,538 --> 00:18:20,042 小次郎様が 隣で 手を合わせて下さる…。 110 00:18:20,042 --> 00:18:23,542 私は ただ それだけで いいのです。 111 00:18:26,983 --> 00:18:32,989 ・(太鼓の音) 112 00:18:32,989 --> 00:18:35,992 何か 求めていこう。 113 00:18:35,992 --> 00:18:37,994 はい。 114 00:18:37,994 --> 00:18:40,997 (甚内)蓬莱屋が 江戸に やって参りました 115 00:18:40,997 --> 00:18:42,999 蓬莱屋でございます 116 00:18:42,999 --> 00:18:45,001 さあさあ 皆様 117 00:18:45,001 --> 00:18:48,004 どうぞ ひいきに よろしくお願い致します 118 00:18:48,004 --> 00:18:51,007 遊び女たちを 江戸へ 連れて参りました 119 00:18:51,007 --> 00:18:53,509 (男1)京の連中は 段と にぎやかじゃ。 120 00:18:53,509 --> 00:18:56,512 (男2)女郎衆が 3日も あけずに下ってくる…。 121 00:18:56,512 --> 00:18:59,015 江戸は 大したもんだのう。 122 00:18:59,015 --> 00:19:10,026 ・~ 123 00:19:10,026 --> 00:19:12,028 帰ったよ 着いたよ 124 00:19:12,028 --> 00:19:15,031 新しい遊び女様たちが 着いたよ 125 00:19:15,031 --> 00:19:18,034 足を拭く桶を 出しなさい。 126 00:19:18,034 --> 00:19:20,036 あ~ 疲れた…。 127 00:19:20,036 --> 00:19:25,041 ・~ 128 00:19:25,041 --> 00:19:28,978 お江戸にゃ うまい物が た~んと あるぞ。 129 00:19:28,978 --> 00:19:39,989 ・~ 130 00:19:39,989 --> 00:19:41,991 きれい…。 131 00:19:41,991 --> 00:19:45,491 ・~ 132 00:20:02,011 --> 00:20:09,518 大丈夫か? 133 00:20:09,518 --> 00:20:12,021 (直次郎) どうなさった? 134 00:20:12,021 --> 00:20:15,024 疲れが 出たらしい。 135 00:20:15,024 --> 00:20:18,027 どこまで おいでなさる? 136 00:20:18,027 --> 00:20:21,030 山を越えて 御嶽まで。 137 00:20:21,030 --> 00:20:25,034 今からだと 峠で 日が暮れちまう。 138 00:20:25,034 --> 00:20:30,473 女子供を連れて 山中で 日が暮れたら 大変だぞ。 139 00:20:30,473 --> 00:20:32,475 よかったら・ 140 00:20:32,475 --> 00:20:36,479 この先に 薬草取りのための 小屋がある。 141 00:20:36,479 --> 00:20:39,479 そこで 今日は 休んでいかんか? 142 00:20:42,985 --> 00:20:44,985 かたじけない。 143 00:21:03,506 --> 00:21:07,506 この橋を渡れば すぐに見えてきますよ。 144 00:21:24,026 --> 00:21:26,026 危ない 145 00:21:28,464 --> 00:21:30,464 えい あっ 146 00:21:33,469 --> 00:21:35,471 や~っ 147 00:21:35,471 --> 00:21:42,978 ・~ 148 00:21:42,978 --> 00:21:44,980 (銃声) 149 00:21:44,980 --> 00:21:49,985 ・~ 150 00:21:49,985 --> 00:21:51,987 あ~っ 151 00:21:51,987 --> 00:21:53,989 (銃声) 152 00:21:53,989 --> 00:22:25,989 ・~ 153 00:22:38,534 --> 00:22:40,534 雨か? 154 00:22:42,538 --> 00:22:45,040 いや…。 155 00:22:45,040 --> 00:22:48,043 風が強いから・ 156 00:22:48,043 --> 00:22:52,548 木の葉や小枝が 折れて 降ってくるんだよ。 157 00:22:52,548 --> 00:22:58,053 山の中というのは 何かが降らない夜はない。 158 00:22:58,053 --> 00:23:02,057 月が出ていても 星が見えていても・ 159 00:23:02,057 --> 00:23:05,561 木の葉が 降ったり 山土が 飛んできたり・ 160 00:23:05,561 --> 00:23:11,066 遠くの滝が しぶいてきたりするものなんだ。 161 00:23:11,066 --> 00:23:13,068 俺も…・ 162 00:23:13,068 --> 00:23:15,068 山の中で育った。 163 00:23:23,078 --> 00:23:26,078 何を 思い出しているの? 164 00:23:28,017 --> 00:23:31,020 ふるさとの山だ。 165 00:23:31,020 --> 00:23:34,020 山の中なのかい? あんたの里も。 166 00:23:36,025 --> 00:23:41,030 俺人 村を外れて・ 167 00:23:41,030 --> 00:23:44,533 山の中で 暮らしていた。 168 00:23:44,533 --> 00:23:46,533 そう…。 169 00:23:49,038 --> 00:23:52,038 忘れていた… この音を。 170 00:23:55,044 --> 00:23:57,544 よく 人で 聴いていた。 171 00:24:00,549 --> 00:24:06,555 「俺は 人で 生きていく。・ 172 00:24:06,555 --> 00:24:09,058 強くなって・ 173 00:24:09,058 --> 00:24:13,062 人で 生きていく」…。 174 00:24:13,062 --> 00:24:16,065 この音を 聴きながら・ 175 00:24:16,065 --> 00:24:18,065 よく そう思った。 176 00:24:21,070 --> 00:24:25,074 あの人も よく そう言っていたよ。 177 00:24:25,074 --> 00:24:27,009 「強くなって・ 178 00:24:27,009 --> 00:24:32,014 自分の力だけで この世を 生き抜いてみせる」…。 179 00:24:32,014 --> 00:24:36,514 武者修行をしながら よく そう思っていたって。 180 00:24:38,520 --> 00:24:43,025 私と会って この子が 出来てから・ 181 00:24:43,025 --> 00:24:48,030 梅軒は 臆病者になったんだ。 182 00:24:48,030 --> 00:24:50,030 卑怯者になった。 183 00:24:53,035 --> 00:24:56,535 うれしかったんじゃ ないのか? それが。 184 00:24:59,541 --> 00:25:03,045 お前は…・ 185 00:25:03,045 --> 00:25:08,550 梅軒の気持を 分かってやる心を 持っていた。 186 00:25:08,550 --> 00:25:11,053 だから あの時…・ 187 00:25:11,053 --> 00:25:15,557 夫を失うかもしれないと 思いながら・ 188 00:25:15,557 --> 00:25:17,557 鎖鎌を引いた。 189 00:25:20,062 --> 00:25:24,066 そういうもの なんだろう? 190 00:25:24,066 --> 00:25:28,066 「人とともに生きる」という事は。 191 00:25:36,512 --> 00:25:39,515 俺は…・ 192 00:25:39,515 --> 00:25:45,020 「己の心 己の心」…・ 193 00:25:45,020 --> 00:25:48,023 ただ それだけで生きてきた。 194 00:25:48,023 --> 00:25:52,023 人の気持など 分かる心を 持たなかった。 195 00:25:55,030 --> 00:25:58,033 「人の心が 分からぬ者に・ 196 00:25:58,033 --> 00:26:02,037 己の心など 分からない」と・ 197 00:26:02,037 --> 00:26:04,537 言われた事がある。 198 00:26:06,542 --> 00:26:09,545 その言葉も・ 199 00:26:09,545 --> 00:26:12,045 俺には 分からなかった。 200 00:26:17,052 --> 00:26:20,556 いろいろな人に…・ 201 00:26:20,556 --> 00:26:24,560 いろいろな言葉を かけられた。 202 00:26:24,560 --> 00:26:27,996 でも 俺は…・ 203 00:26:27,996 --> 00:26:30,496 何も 分からなかった。 204 00:26:35,003 --> 00:26:38,006 分かろうとも していなかった。 205 00:26:38,006 --> 00:26:46,014 ・~ 206 00:26:46,014 --> 00:26:49,518 <子供の頃 美作の山の中で・ 207 00:26:49,518 --> 00:26:54,523 武蔵に 火のおこし方を 教えてもらった事があった。・ 208 00:26:54,523 --> 00:26:57,526 その時の事を思い出して・ 209 00:26:57,526 --> 00:27:02,531 お通は 懸命に 木を こすり合わせた> 210 00:27:02,531 --> 00:28:21,043 ・~ 211 00:28:21,043 --> 00:28:23,543 私は 死なない…。 212 00:28:26,982 --> 00:28:29,482 私は 死なない…。 213 00:28:31,486 --> 00:28:33,486 私は 死なない。 214 00:28:45,500 --> 00:28:47,502 (家が揺れる音) 215 00:28:47,502 --> 00:28:49,502 何だ? 216 00:28:52,007 --> 00:29:01,516 (長吉の泣き声) 217 00:29:01,516 --> 00:29:04,019 長吉…。 大丈夫か? 218 00:29:04,019 --> 00:29:09,019 (長吉の泣き声) 219 00:29:14,529 --> 00:29:17,032 (銃声) 220 00:29:17,032 --> 00:29:19,032 何の真似だ・ 221 00:29:23,538 --> 00:29:25,538 や~っ 222 00:29:33,482 --> 00:29:35,484 何の真似だ・ 223 00:29:35,484 --> 00:29:37,484 (男たち)や~っ 224 00:29:44,493 --> 00:29:46,493 うわ~っ 225 00:29:55,504 --> 00:30:00,509 ・~ 226 00:30:00,509 --> 00:30:03,509 (藤次)久しぶりだな 武蔵。 227 00:30:06,515 --> 00:30:10,015 お前が死ぬまで 戦は終わらんのだ 228 00:30:18,527 --> 00:30:20,529 や~っ 229 00:30:20,529 --> 00:30:30,972 ・~ 230 00:30:30,972 --> 00:30:33,475 待て 231 00:30:33,475 --> 00:30:35,477 この男は 俺が叩っ斬る。 232 00:30:35,477 --> 00:31:05,477 ・~ 233 00:31:17,018 --> 00:31:19,018 斬れよ。 234 00:31:21,523 --> 00:31:23,525 武蔵。 235 00:31:23,525 --> 00:31:25,525 無用だ。 236 00:31:49,985 --> 00:31:51,987 (お甲)藤次 237 00:31:51,987 --> 00:31:55,487 必ず あいつを 左手だけで 斬ってみせる。 238 00:32:08,003 --> 00:32:10,505 あの峠を越えれば 御嶽だよ。 239 00:32:10,505 --> 00:32:13,008 そうか。 240 00:32:13,008 --> 00:32:16,011 送ってくれて ありがとう。 241 00:32:16,011 --> 00:32:18,013 いや…。 242 00:32:18,013 --> 00:32:22,517 俺が その鎖鎌に 興味を持たなければ・ 243 00:32:22,517 --> 00:32:26,517 梅軒と三人で あの峠を越えていた。 244 00:32:28,523 --> 00:32:30,523 すまない事をした。 245 00:32:35,030 --> 00:32:37,032 武芸者だから。 246 00:32:37,032 --> 00:32:39,034 え…? 247 00:32:39,034 --> 00:32:41,534 あんたも 梅軒も。 248 00:32:45,040 --> 00:32:49,040 そういうものだろう? 武芸者っていうのは。 249 00:32:54,049 --> 00:32:56,551 あの人は・ 250 00:32:56,551 --> 00:33:01,556 武芸者になりたくて 村を出たの。 251 00:33:01,556 --> 00:33:05,060 武芸者で 死んでいけて・ 252 00:33:05,060 --> 00:33:07,060 幸せ者だったと思う。 253 00:33:39,528 --> 00:33:58,046 ・~ 254 00:33:58,046 --> 00:34:02,046 (布を裂く音) 255 00:34:05,053 --> 00:34:58,540 ・~ 256 00:34:58,540 --> 00:35:01,543 江戸は… 江戸は こっち? 257 00:35:01,543 --> 00:35:03,543 (子供たち)わ~っ 258 00:35:06,047 --> 00:35:08,049 江戸は どっち~・ 259 00:35:08,049 --> 00:35:38,049 ・~ 260 00:35:48,023 --> 00:35:50,023 この下が 私の里。 261 00:35:55,030 --> 00:35:59,034 お父っさんと おっ母さんに 会っていっとくれ。 262 00:35:59,034 --> 00:36:02,537 いや… 俺は ここで去る。 263 00:36:02,537 --> 00:36:04,539 どうして? 264 00:36:04,539 --> 00:36:08,043 親父様と おふくろ様にとっても・ 265 00:36:08,043 --> 00:36:10,043 俺は 仇だ。 266 00:36:12,547 --> 00:36:14,547 行くよ 俺は。 267 00:36:16,551 --> 00:36:20,551 長吉を置いてくるから ここで 待っていておくれ。 268 00:36:26,995 --> 00:36:28,995 待ってて ああ。 269 00:37:05,533 --> 00:37:08,036 これ 山の物だけど。 270 00:37:08,036 --> 00:37:10,036 すまん。 271 00:37:12,040 --> 00:37:15,040 江戸に 女が 待っているの? 272 00:37:17,045 --> 00:37:19,047 いや。 273 00:37:19,047 --> 00:37:21,549 じゃ 何で 江戸へ行くんだい? 274 00:37:21,549 --> 00:37:23,551 武者修行? 275 00:37:23,551 --> 00:37:28,490 子供の頃に よく遊んだ 又八という男が・ 276 00:37:28,490 --> 00:37:30,992 江戸に いるはずなんだ。 277 00:37:30,992 --> 00:37:32,992 そう。 278 00:37:36,498 --> 00:37:39,000 俺は…・ 279 00:37:39,000 --> 00:37:41,000 その男に 斬りつけた。 280 00:37:47,008 --> 00:37:49,511 あの時 俺は・ 281 00:37:49,511 --> 00:37:52,011 己の事しか 考えていなかった。 282 00:37:54,015 --> 00:37:57,018 それを詫びたい。 283 00:37:57,018 --> 00:37:59,521 俺の心も・ 284 00:37:59,521 --> 00:38:01,521 分かってもらいたい。 285 00:38:05,026 --> 00:38:08,029 素直だね。 286 00:38:08,029 --> 00:38:10,031 そうか。 287 00:38:10,031 --> 00:38:13,531 もっと怖い人かと 思っていたよ。 288 00:38:15,537 --> 00:38:18,540 己の心に 素直になるという事は・ 289 00:38:18,540 --> 00:38:20,540 難しい事だ。 290 00:38:22,544 --> 00:38:25,480 人の心に 素直になる…。 291 00:38:25,480 --> 00:38:28,983 自分の心に 素直になる…。 292 00:38:28,983 --> 00:38:33,988 どちらも… 易しい事ではない。 293 00:38:33,988 --> 00:38:37,488 素直になっては いけない時もある。 294 00:38:39,494 --> 00:38:42,530 素直になれない時も あるんだよ。 295 00:38:42,530 --> 00:38:57,545 ・~ 296 00:38:57,545 --> 00:39:00,548 長吉を…・ 297 00:39:00,548 --> 00:39:02,548 大切にな。 298 00:39:06,054 --> 00:39:08,056 では…。 299 00:39:08,056 --> 00:39:22,070 ・~ 300 00:39:22,070 --> 00:39:24,072 う…。 301 00:39:24,072 --> 00:40:22,572 ・~ 302 00:40:58,032 --> 00:41:03,037 私は…・ 303 00:41:03,037 --> 00:41:05,037 死なない。 304 00:41:08,543 --> 00:41:12,547 私は…・ 305 00:41:12,547 --> 00:41:14,547 死なない。 306 00:41:17,552 --> 00:41:20,052 私は 死なない…。 307 00:41:22,557 --> 00:41:28,557 (掛け声) 308 00:41:38,506 --> 00:41:40,508 (又八)おっ母…。 309 00:41:40,508 --> 00:41:42,510 (お杉)又八。 310 00:41:42,510 --> 00:41:45,513 売れた 売れた。 311 00:41:45,513 --> 00:41:47,515 (権六) 水を売ってたのか? 312 00:41:47,515 --> 00:41:51,019 ああ 伏見の城の 普請場で働いてた時に・ 313 00:41:51,019 --> 00:41:55,523 みんなが 喉を渇かして 水を 欲しがったのを思い出したんだよ。 314 00:41:55,523 --> 00:41:59,027 水を仕入れて 埋め立ての 工事場に持ってったら・ 315 00:41:59,027 --> 00:42:01,027 飛ぶように売れた。 316 00:42:08,036 --> 00:42:10,538 ほら… 飲んでくれ。 317 00:42:10,538 --> 00:42:13,041 権爺 飲むか? 318 00:42:13,041 --> 00:42:15,041 ああ 飲む。 319 00:42:21,049 --> 00:42:27,055 うむ… 美作では このような うまい水を よう飲んだ。 320 00:42:27,055 --> 00:42:31,059 権爺の食い気が のうなって 困っていたところなんじゃ。 321 00:42:31,059 --> 00:42:33,061 よかった よかった…。 322 00:42:33,061 --> 00:42:36,064 水で よかったら 毎日でも 持ってくる。 323 00:42:36,064 --> 00:42:38,566 権爺には 無理ばっかり言うた。 324 00:42:38,566 --> 00:42:41,566 元気になって もらわんとな…。 325 00:42:43,571 --> 00:42:46,074 おふくろ…。 326 00:42:46,074 --> 00:42:49,077 俺は 商人になる。 327 00:42:49,077 --> 00:42:52,080 そうか。 328 00:42:52,080 --> 00:42:56,084 銭を貯めて 天下の 金持ちになってみせる 329 00:42:56,084 --> 00:42:58,086 そうか。 330 00:42:58,086 --> 00:43:02,090 武蔵が 武芸者なら 俺は 分限者だ 331 00:43:02,090 --> 00:43:04,092 権爺 もう杯 飲むか? うん。 332 00:43:04,092 --> 00:43:06,094 もう杯。 333 00:43:06,094 --> 00:43:09,097 聞いとるのか? 聞いとるよ。 334 00:43:09,097 --> 00:43:12,097 (お杉)ああ よかったのう。 335 00:43:14,102 --> 00:43:18,606 水~ 水~ 336 00:43:18,606 --> 00:43:21,106 水は いらんか~。 337 00:43:23,111 --> 00:43:26,047 うるせえ おふくろも困るけど・ 338 00:43:26,047 --> 00:43:29,050 何も言わねえ おふくろもなあ…。 339 00:43:29,050 --> 00:43:34,055 ・水~ 水~ 340 00:43:34,055 --> 00:43:38,559 ・(女)ちょっと あんた 水~ 水~ 341 00:43:38,559 --> 00:43:41,562 水を飲ませてやっとくれ。 誰に? 342 00:43:41,562 --> 00:43:43,564 行き倒れの女にだよ。 343 00:43:43,564 --> 00:43:45,566 まだ 息が あるようなんだよ。 344 00:43:45,566 --> 00:43:47,568 早く ほらほら 345 00:43:47,568 --> 00:43:50,571 (男)娘さん ほら…。 346 00:43:50,571 --> 00:43:52,573 ちょっと ごめんなさいね。 347 00:43:52,573 --> 00:43:54,575 ここだよ。 348 00:43:54,575 --> 00:43:56,577 銭 払ってくれよ。 349 00:43:56,577 --> 00:43:58,579 けちな事 言わないで。 350 00:43:58,579 --> 00:44:00,581 こら 水売り 351 00:44:00,581 --> 00:44:02,583 あんたが 払ってくれるのか? 352 00:44:02,583 --> 00:44:04,585 しっかり 353 00:44:04,585 --> 00:44:06,587 娘さん 354 00:44:06,587 --> 00:44:10,091 (男)早く 早く 汚ねえ顔…。 355 00:44:10,091 --> 00:44:13,094 ・~ 356 00:44:13,094 --> 00:44:15,096 お通…? 357 00:44:15,096 --> 00:44:17,098 お通~ 358 00:44:17,098 --> 00:44:20,101 ほんとに まだ 生きてるのか・ 359 00:44:20,101 --> 00:44:22,603 息は まだ ある。 360 00:44:22,603 --> 00:44:24,605 お通 361 00:44:24,605 --> 00:44:26,541 お通~・ 362 00:44:26,541 --> 00:44:30,545 ・~ 363 00:44:30,545 --> 00:44:38,052 <又八は 江戸に いるのだろうか。 お通は どこにいるのだろうか。・ 364 00:44:38,052 --> 00:44:45,059 そう思いながら 武蔵は ひたすら 江戸に向かって 歩き続けた…> 365 00:44:45,059 --> 00:44:49,559 ・~