1 00:02:26,161 --> 00:02:29,161 ・~ 2 00:02:32,201 --> 00:02:34,201 (お通)武蔵…。 3 00:02:37,206 --> 00:02:39,208 (宮本武蔵)お通…。 4 00:02:39,208 --> 00:02:42,711 (沢庵)人の気持を 分かってやるというのは・ 5 00:02:42,711 --> 00:02:45,214 そう難しい事ではない。 6 00:02:45,214 --> 00:02:48,217 己の心で 相手を縛るのではなく・ 7 00:02:48,217 --> 00:02:51,220 そのまま 受け止めてやればよい。 8 00:02:51,220 --> 00:02:57,220 剣の道も 人の道も同じ事ぞ 武蔵。 9 00:02:59,228 --> 00:03:14,243 ・~(テーマ音楽) 10 00:03:14,243 --> 00:03:29,743 ・~ 11 00:05:39,187 --> 00:05:44,192 (子供たちの はしゃぐ声) 12 00:05:44,192 --> 00:05:49,197 <武蔵が お通の病を癒やして 数か月がたった。・ 13 00:05:49,197 --> 00:05:54,202 江戸での暮らしを支えるために 武蔵が選んだのは・ 14 00:05:54,202 --> 00:05:59,708 剣の道ではなく 近所の子供相手の 読み書き指南であった> 15 00:05:59,708 --> 00:06:02,210 こらっ 喧嘩は よせ 16 00:06:02,210 --> 00:06:05,213 ほ~ら…。 17 00:06:05,213 --> 00:06:07,713 正太に 源太は 座っていろ。 18 00:06:17,225 --> 00:06:19,225 (子供1)書けた 19 00:06:22,731 --> 00:06:25,167 字というのはな…・ 20 00:06:25,167 --> 00:06:28,170 形ではない。 心だ。 21 00:06:28,170 --> 00:06:30,172 表の看板を見て・ 22 00:06:30,172 --> 00:06:35,177 「よみかきしなんの字としては 下手くそだ」と笑う者がいる。 23 00:06:35,177 --> 00:06:39,181 だがな… 俺は あの字を 生懸命に書いた。 24 00:06:39,181 --> 00:06:43,185 松も この字を 生懸命に書いた。 25 00:06:43,185 --> 00:06:45,187 どんな字であろうと・ 26 00:06:45,187 --> 00:06:49,191 心を込めて書けば それで いいんだ。 27 00:06:49,191 --> 00:06:51,193 分かったか・ 28 00:06:51,193 --> 00:06:53,193 ・(子供たち)は~い。 29 00:06:58,200 --> 00:07:00,702 (騒ぐ声) 30 00:07:00,702 --> 00:07:03,205 静かになさい 31 00:07:03,205 --> 00:07:06,705 騒いでばかりいると 心が乱れます。 32 00:07:09,211 --> 00:07:11,213 少しは…・ 33 00:07:11,213 --> 00:07:14,216 しつけも教えないと 駄目ですよ 先生。 34 00:07:14,216 --> 00:07:18,220 俺は 子供たちと 緒にいるだけで 楽しいんだ。 35 00:07:18,220 --> 00:07:20,720 それでは 指南になりません。 36 00:07:22,724 --> 00:07:24,659 はい 37 00:07:24,659 --> 00:07:34,169 ・~ 38 00:07:34,169 --> 00:07:37,172 <武蔵にとっても お通にとっても・ 39 00:07:37,172 --> 00:07:41,172 生まれて初めて得た 平穏な日々であった> 40 00:07:45,180 --> 00:07:51,186 <日が昇り 何事もなく日が過ぎ そして 日が沈む…。・ 41 00:07:51,186 --> 00:07:55,190 平凡な日常が 武蔵と お通にとっては・ 42 00:07:55,190 --> 00:08:01,196 何物にも替え難い 掛けがえのない宝物であった。・ 43 00:08:01,196 --> 00:08:06,201 やっと得た宝物を 手放したくない…。・ 44 00:08:06,201 --> 00:08:11,206 武蔵も お通も 強く そう思っていた> 45 00:08:11,206 --> 00:08:17,706 ・~ 46 00:08:29,157 --> 00:08:32,160 柳生の里で 取れた物です。 47 00:08:32,160 --> 00:08:36,164 大殿が 「りん殿に渡してくれ」と 私に持たせたのです。 48 00:08:36,164 --> 00:08:39,167 (りん)お心遣い ありがとうございます。 49 00:08:39,167 --> 00:08:43,171 (宗矩)お変わりないか? 父上は。 50 00:08:43,171 --> 00:08:47,676 少し… お体が 弱られました。 51 00:08:47,676 --> 00:08:49,678 大丈夫なのですか? 52 00:08:49,678 --> 00:08:53,682 昔と変わらず 元気には しておられますが…・ 53 00:08:53,682 --> 00:08:59,187 道場で 教えを受けている時に ふと 感じる事があるのです。 54 00:08:59,187 --> 00:09:02,691 御様子を うかがいに 柳生に参らねば…? 55 00:09:02,691 --> 00:09:04,693 私が 江戸に下ったのも・ 56 00:09:04,693 --> 00:09:06,693 つは そのためなのです。 57 00:09:08,697 --> 00:09:11,199 今は 江戸を 離れられぬ。 58 00:09:11,199 --> 00:09:13,201 え? 59 00:09:13,201 --> 00:09:15,704 年が替わると すぐに・ 60 00:09:15,704 --> 00:09:19,207 秀忠様が 上洛を される事になる。 61 00:09:19,207 --> 00:09:21,710 わしが思うに 家康公は・ 62 00:09:21,710 --> 00:09:27,148 将軍の座を 秀忠様に お譲りになるおつもりだ。 63 00:09:27,148 --> 00:09:31,653 将軍の座が 徳川家の 世襲になるという事ですか? 64 00:09:31,653 --> 00:09:33,655 うん。 65 00:09:33,655 --> 00:09:36,658 豊臣家も 黙っては おりますまい。 66 00:09:36,658 --> 00:09:39,160 秀忠様が 上洛する事になれば・ 67 00:09:39,160 --> 00:09:41,663 わしも お供を せねばならぬ。 68 00:09:41,663 --> 00:09:46,167 今は 江戸を 離れる訳にはいかぬのだ。 69 00:09:46,167 --> 00:09:48,169 分かりました。 70 00:09:48,169 --> 00:09:52,173 では 私が 大殿様の お見舞いに参ります。 71 00:09:52,173 --> 00:09:55,677 叔父上が 大事を なされようとしている時です。 72 00:09:55,677 --> 00:09:59,681 りん殿も この家を 守っていなければ…。 73 00:09:59,681 --> 00:10:01,683 はい…。 74 00:10:01,683 --> 00:10:07,188 江戸に下った訳が ほかにも あるのであろう? 75 00:10:07,188 --> 00:10:09,691 大殿が…・ 76 00:10:09,691 --> 00:10:14,696 柳生新陰流の すべてを 私に相伝され…・ 77 00:10:14,696 --> 00:10:17,699 「二代目を継がせる」との 仰せです。 78 00:10:17,699 --> 00:10:21,703 「叔父上に その事を お伝えせよ」と…。 79 00:10:21,703 --> 00:10:24,205 俺に伝えて 何になる? 80 00:10:24,205 --> 00:10:28,143 本来なら 叔父上こそ 新陰流を継がれる お方…。 81 00:10:28,143 --> 00:10:30,645 新陰流二代目など…・ 82 00:10:30,645 --> 00:10:34,149 俺には どうでもよい事。 83 00:10:34,149 --> 00:10:38,649 俺は もっと大きなものを 手にしたいのだ。 84 00:10:40,655 --> 00:10:44,659 いつまでも 剣術指南役に とどまるつもりはない。 85 00:10:44,659 --> 00:10:47,159 そう 父上に 伝えてくれ。 86 00:10:50,165 --> 00:10:52,165 分かりました。 87 00:10:59,174 --> 00:11:01,676 ・(余五郎) 佐々木小次郎という男を・ 88 00:11:01,676 --> 00:11:04,179 何としてでも 倒さねばならぬ。 89 00:11:04,179 --> 00:11:08,183 ぜひ 我々に 助太刀を お願いしたいのです。 90 00:11:08,183 --> 00:11:11,186 (門人)高名な 宮本武蔵殿のほかに・ 91 00:11:11,186 --> 00:11:14,689 あの男を倒せる者は おらぬのです。 92 00:11:14,689 --> 00:11:17,192 私は…・ 93 00:11:17,192 --> 00:11:23,198 今は 下手な読み書きを教えている ただ それだけの者です。 94 00:11:23,198 --> 00:11:25,133 せっかくですが・ 95 00:11:25,133 --> 00:11:28,136 お役に立つ事は できません。 96 00:11:28,136 --> 00:11:30,138 敵討ちが 成就すれば・ 97 00:11:30,138 --> 00:11:34,142 我らの なしうるかぎりの お礼を させて頂く。 98 00:11:34,142 --> 00:11:40,148 佐々木小次郎を相手に 争うのは おやめになったほうが いい。 99 00:11:40,148 --> 00:11:43,151 生半可な器量の者では・ 100 00:11:43,151 --> 00:11:45,153 太刀打ちできぬ男です。 101 00:11:45,153 --> 00:11:48,156 そういう訳には いかんのだ 102 00:11:48,156 --> 00:11:50,158 あの男を倒さねば・ 103 00:11:50,158 --> 00:11:54,162 大山軍学所は ただ 滅びていくだけだ 104 00:11:54,162 --> 00:11:56,164 申し訳ない。 105 00:11:56,164 --> 00:12:03,171 ・~ 106 00:12:03,171 --> 00:12:06,174 なかなか…・ 107 00:12:06,174 --> 00:12:11,179 ほうっておいては くれませんね…。 108 00:12:11,179 --> 00:12:13,179 天下の宮本武蔵を。 109 00:12:18,186 --> 00:12:22,190 俺は 武蔵だ。 110 00:12:22,190 --> 00:12:26,194 そう思ってくれ お通。 111 00:12:26,194 --> 00:12:28,194 はい。 112 00:12:30,198 --> 00:12:32,200 ・(男)お頼み申す。 113 00:12:32,200 --> 00:12:34,200 ・お頼み申す 114 00:12:36,204 --> 00:12:38,204 はい 115 00:12:41,709 --> 00:12:45,213 (助九郎)こちらは 宮本武蔵殿の お住まいか? 116 00:12:45,213 --> 00:12:47,215 はい。 117 00:12:47,215 --> 00:12:52,220 某は 柳生家家臣 木村助久郎と申す者。 118 00:12:52,220 --> 00:12:54,222 どうした? お通。 119 00:12:54,222 --> 00:12:56,224 宮本殿…。 120 00:12:56,224 --> 00:12:58,226 わが主・宗矩様が・ 121 00:12:58,226 --> 00:13:02,230 「今度 屋敷に おいで願いたい」 との事でござる。 122 00:13:02,230 --> 00:13:05,733 何の御用で? 子細は 存ぜぬが・ 123 00:13:05,733 --> 00:13:08,233 ぜひ 御足労 願いたい。 124 00:13:30,191 --> 00:13:33,194 胤舜殿…。 125 00:13:33,194 --> 00:13:36,698 お主と 今度 立ち合いたいと・ 126 00:13:36,698 --> 00:13:40,201 私は ずっと 思っておったのだ。 127 00:13:40,201 --> 00:13:42,704 柳生殿に お頼みして・ 128 00:13:42,704 --> 00:13:45,204 この機を つくって頂いた。 129 00:13:52,714 --> 00:13:55,214 よく 足を 運んでくれたな。 130 00:13:57,719 --> 00:13:59,721 甥の 兵庫助だ。 131 00:13:59,721 --> 00:14:02,223 宮本武蔵と申す。 132 00:14:02,223 --> 00:14:05,226 お主が 柳生の地に 来た時には・ 133 00:14:05,226 --> 00:14:08,229 会う事は できなかった。 134 00:14:08,229 --> 00:14:12,233 (宗矩)兵庫は 父上に 大層 気に入られての。 135 00:14:12,233 --> 00:14:16,237 近々 柳生新陰流を 継ぐ事となる。 136 00:14:16,237 --> 00:14:19,240 「そなたの剣の腕を ぜひ見たい」と・ 137 00:14:19,240 --> 00:14:21,740 兵庫も 申しておるのだ。 138 00:14:24,245 --> 00:14:26,681 せっかくの お招きですが・ 139 00:14:26,681 --> 00:14:31,185 私は 立ち合う気持は ありませぬ。 140 00:14:31,185 --> 00:14:33,685 そうは いかぬのだよ 武蔵。 141 00:14:35,690 --> 00:14:38,693 将軍家お世継ぎ・秀忠様も 142 00:14:38,693 --> 00:14:43,197 「ぜひ 二人の 立ち合いを見たい。 143 00:14:43,197 --> 00:14:47,201 江戸城内にて 立ち合え」 との仰せなのだ。 144 00:14:47,201 --> 00:15:18,232 ~ 145 00:15:18,232 --> 00:15:22,737 (秀忠)京で 名を 轟かせたという 宮本武蔵。 146 00:15:22,737 --> 00:15:29,177 奈良では 知らぬ者は ないという 槍の宝蔵院の当主・胤舜。 147 00:15:29,177 --> 00:15:32,680 どんな立ち合いを 見せてくれるのか 148 00:15:32,680 --> 00:15:35,180 私は 楽しみに しているのだ。 149 00:15:39,187 --> 00:15:42,187 双方 得物を選べ。 150 00:15:53,201 --> 00:15:57,705 あの時の俺と 思うなよ 武蔵。 151 00:15:57,705 --> 00:16:02,210 私も… 152 00:16:02,210 --> 00:16:07,215 あの時の俺では… 153 00:16:07,215 --> 00:16:09,215 ありません。 154 00:16:40,681 --> 00:17:15,181 ~ 155 00:18:26,154 --> 00:18:28,154 見事…。 156 00:18:36,164 --> 00:19:17,205 ~ 157 00:19:17,205 --> 00:19:21,205 これにて 御免つかまつります。 158 00:19:25,646 --> 00:19:27,646 (秀忠)武蔵。 159 00:19:31,652 --> 00:19:34,155 はい。 160 00:19:34,155 --> 00:19:36,155 柳生家に 身を寄せろ。 161 00:19:39,160 --> 00:19:43,164 共に 剣の道を 志す者として 162 00:19:43,164 --> 00:19:45,164 宗矩を 助けてやれ。 163 00:19:48,669 --> 00:19:50,671 おそれながら 164 00:19:50,671 --> 00:19:52,673 私は… 165 00:19:52,673 --> 00:19:56,677 剣を教える事は できませぬ。 166 00:19:56,677 --> 00:19:59,180 なぜだ? 武蔵。 167 00:19:59,180 --> 00:20:01,682 剣を教える言葉を 168 00:20:01,682 --> 00:20:05,186 私は 持ちませぬ。 169 00:20:05,186 --> 00:20:10,191 お主には お主の歩んできた 剣の道が あるはず。 170 00:20:10,191 --> 00:20:14,195 その道を 人に教える事は できるはずだ。 171 00:20:14,195 --> 00:20:18,199 私は 剣の道ではなく 172 00:20:18,199 --> 00:20:22,703 修羅の道を 歩んで参りました。 173 00:20:22,703 --> 00:20:26,641 修羅を 174 00:20:26,641 --> 00:20:29,143 人に 教える事は できませぬ。 175 00:20:29,143 --> 00:20:40,154 ~ 176 00:20:40,154 --> 00:20:45,159 (兵庫助)なかなかの男ですね… 武蔵というのは。 177 00:20:45,159 --> 00:20:47,161 噂だけの事はある。 178 00:20:47,161 --> 00:20:49,163 あの男… 179 00:20:49,163 --> 00:20:54,163 秀忠様の前で 「俺に 仕えるのは嫌だ」と言った。 180 00:20:57,171 --> 00:21:02,176 思いのままに ならぬ者もいます 叔父上。 181 00:21:02,176 --> 00:21:04,178 何? 182 00:21:04,178 --> 00:21:08,182 「すべての者を 思いのままに 動かしたい… 183 00:21:08,182 --> 00:21:11,686 権勢を振るう者の 陥りやすい過ちだ」と 184 00:21:11,686 --> 00:21:15,189 大殿が よく仰せでした。 185 00:21:15,189 --> 00:21:18,693 「そして それが… 186 00:21:18,693 --> 00:21:21,696 命取りになる」と。 187 00:21:21,696 --> 00:21:24,632 俺に 説教を するつもりか? 188 00:21:24,632 --> 00:21:29,632 私は 大殿の仰せを 思い出したまでの事です。 189 00:21:33,140 --> 00:21:36,143 父上は… 190 00:21:36,143 --> 00:21:40,648 「俺と武蔵が 似ている」と 言うていたそうだ。 191 00:21:40,648 --> 00:21:44,151 だが… 192 00:21:44,151 --> 00:21:46,153 俺は あの男とは違う。 193 00:21:46,153 --> 00:21:55,153 ~ 194 00:22:04,171 --> 00:22:07,171 (鐘の音) 195 00:22:10,177 --> 00:22:13,180 お杉婆。 196 00:22:13,180 --> 00:22:16,183 武蔵…。 197 00:22:16,183 --> 00:22:18,185 な な 何の用じゃ? 198 00:22:18,185 --> 00:22:22,690 又やんに聞いて 度 訪ねようと 思っていた。 199 00:22:22,690 --> 00:22:24,692 権爺の具合は どうだ? 200 00:22:24,692 --> 00:22:30,192 お前に 権爺の心配なんぞ してもらわなくてもよい 201 00:22:41,709 --> 00:22:44,211 権爺…。 202 00:22:44,211 --> 00:22:47,214 武蔵だ。 203 00:22:47,214 --> 00:22:49,216 (権六)「武蔵」…? 204 00:22:49,216 --> 00:22:51,218 分かるか? 205 00:22:51,218 --> 00:22:53,220 仕返しに来たのか? 206 00:22:53,220 --> 00:22:56,223 お杉婆の様子を 見にきたんだ。 207 00:22:56,223 --> 00:22:59,226 俺も 今は 江戸に住んでるんだ。 208 00:22:59,226 --> 00:23:04,732 お通と緒に 住んでるんだろうが? そうだ。 209 00:23:04,732 --> 00:23:11,739 伜・又八の許嫁を取って さぞや うれしかろうの? 210 00:23:11,739 --> 00:23:16,739 「お通の傍に 居てやれ」と 言ってくれたのは 又やんだ。 211 00:23:18,746 --> 00:23:23,751 俺は 又八という友がいて よかったと・ 212 00:23:23,751 --> 00:23:25,751 心から そう思ってる。 213 00:23:28,189 --> 00:23:32,193 武蔵…。 何だ? 214 00:23:32,193 --> 00:23:36,197 わしは ず~っと お前が怖かったんじゃ。 215 00:23:36,197 --> 00:23:38,699 「怖い」? 216 00:23:38,699 --> 00:23:40,699 今は 怖くないぞ 武蔵。 217 00:23:43,704 --> 00:23:47,208 又やんは 今 どこに いる? 218 00:23:47,208 --> 00:23:49,710 大きな商いを しようとな…・ 219 00:23:49,710 --> 00:23:53,714 連れを求めて 江戸を走り回っとるわ。 220 00:23:53,714 --> 00:23:56,217 又八はな… お前なんかよりも・ 221 00:23:56,217 --> 00:24:00,717 ずっと ずっと 立派に生きとるんじゃよ。 222 00:24:04,725 --> 00:24:12,233 (にぎやかな声) 223 00:24:12,233 --> 00:24:14,735 (又八)おい 今日は 俺の奢りだ 224 00:24:14,735 --> 00:24:17,738 遠慮なく にぎやかに やってくれ 225 00:24:17,738 --> 00:24:24,245 (はしゃぐ声) 226 00:24:24,245 --> 00:24:28,245 (女)あ お千代さん こちら お願いね あいよ。 227 00:24:31,685 --> 00:24:33,687 あなた お千代さんかい? 228 00:24:33,687 --> 00:24:35,687 狸みたいな顔…? 229 00:24:38,192 --> 00:24:40,194 朱実・ 又八さん。 230 00:24:40,194 --> 00:24:42,196 何してんだ お前・ 231 00:24:42,196 --> 00:24:46,200 「湯女にはならない」って 言ってたじゃないか 232 00:24:46,200 --> 00:24:51,205 こんな所で 男の相手をしてたら 京にいた時と 同じじゃないか 233 00:24:51,205 --> 00:24:53,205 待て こらっ 234 00:24:55,209 --> 00:24:57,211 何やってんだ・ お前は。 235 00:24:57,211 --> 00:24:59,213 ほっといてよ 236 00:24:59,213 --> 00:25:03,717 私は 又八さんの女でも 何でもないんだから 237 00:25:03,717 --> 00:25:05,717 朱実 238 00:25:08,722 --> 00:25:11,725 (沢庵)お通 239 00:25:11,725 --> 00:25:13,727 沢庵様 240 00:25:13,727 --> 00:25:16,230 すっかり 元気に なったようじゃの。 241 00:25:16,230 --> 00:25:19,233 沢庵様のお陰で。 わしゃ 何もしとらん。 242 00:25:19,233 --> 00:25:22,736 「沢庵様に言われた事が 身に染みた」と・ 243 00:25:22,736 --> 00:25:24,672 武蔵は 言っておりました。 244 00:25:24,672 --> 00:25:27,174 少し 話があるんだ。 おるか? 245 00:25:27,174 --> 00:25:29,174 はい どうぞ。 246 00:25:36,684 --> 00:25:38,684 和尚…。 247 00:25:43,691 --> 00:25:45,693 武蔵…。 248 00:25:45,693 --> 00:25:50,197 柳生家の誘い 断ったそうじゃの? 249 00:25:50,197 --> 00:25:53,200 私は 今…・ 250 00:25:53,200 --> 00:25:57,204 この暮らしで 十分なのです。 251 00:25:57,204 --> 00:26:01,709 それ以外に 何か求めようとは 思っていません。 252 00:26:01,709 --> 00:26:06,213 余り かたくなに 仕官を断ると・ 253 00:26:06,213 --> 00:26:10,718 生きる道を 狭める事になるぞ。 254 00:26:10,718 --> 00:26:14,722 かたくなに なってるつもりは ありません。 255 00:26:14,722 --> 00:26:16,724 今の暮らしが・ 256 00:26:16,724 --> 00:26:22,229 どんなものよりも 大切に思える…・ 257 00:26:22,229 --> 00:26:24,229 ただ それだけの事です。 258 00:26:27,668 --> 00:26:29,670 今…・ 259 00:26:29,670 --> 00:26:34,174 日が出るのが うれしい。 260 00:26:34,174 --> 00:26:40,180 日が昇るのも 日が沈むのも うれしく思える。 261 00:26:40,180 --> 00:26:42,683 そんな暮らしを…・ 262 00:26:42,683 --> 00:26:44,683 した事は なかった。 263 00:26:47,187 --> 00:26:49,690 お前の気持は よう分かる。 264 00:26:49,690 --> 00:26:51,692 じゃがな…・ 265 00:26:51,692 --> 00:26:56,697 世の中に出ていくという事も 大切な事ぞ。 266 00:26:56,697 --> 00:26:59,697 生きる道を 狭めてはならん。 267 00:27:06,206 --> 00:27:08,709 私は ここで…・ 268 00:27:08,709 --> 00:27:13,714 子供たちと 下手な字を書いています。 269 00:27:13,714 --> 00:27:16,216 教えているのではなく・ 270 00:27:16,216 --> 00:27:20,220 子供たちとともに 学んでいるのです。 271 00:27:20,220 --> 00:27:22,222 毎日毎日が・ 272 00:27:22,222 --> 00:27:27,161 掛けがえのない 大切な時なのです。 273 00:27:27,161 --> 00:27:29,163 私は 今まで…・ 274 00:27:29,163 --> 00:27:32,163 人とともに 生きた事は なかった。 275 00:27:40,174 --> 00:27:43,177 私は…・ 276 00:27:43,177 --> 00:27:47,177 和尚に 禅の心を教わりました。 277 00:27:49,183 --> 00:27:52,186 言葉ではなく…・ 278 00:27:52,186 --> 00:27:55,689 和尚の 生きている姿から・ 279 00:27:55,689 --> 00:27:58,189 禅の心を教わったのです。 280 00:28:00,194 --> 00:28:02,696 何も持たず…・ 281 00:28:02,696 --> 00:28:04,698 何を得ようともせず…・ 282 00:28:04,698 --> 00:28:09,703 道々の人に食を請い 諸国を行脚している和尚の姿に・ 283 00:28:09,703 --> 00:28:14,703 俺は 多くのものを 学んだような気がします。 284 00:28:16,710 --> 00:28:19,713 今の この暮らしを・ 285 00:28:19,713 --> 00:28:24,218 何よりも 大切に思えるのも・ 286 00:28:24,218 --> 00:28:26,653 和尚の姿が・ 287 00:28:26,653 --> 00:28:31,153 俺の心の中に あったからです。 288 00:28:33,660 --> 00:28:37,164 わしの 今の生きかたが・ 289 00:28:37,164 --> 00:28:40,164 間違うておると申すのか? 290 00:28:43,170 --> 00:28:46,173 和尚は・ 291 00:28:46,173 --> 00:28:51,678 人の心を 揺るがす力を 持っておられる。 292 00:28:51,678 --> 00:28:55,182 和尚の してきた事は・ 293 00:28:55,182 --> 00:28:58,185 今 やっている事よりも・ 294 00:28:58,185 --> 00:29:00,685 ずっと ずっと 大きい。 295 00:29:03,190 --> 00:29:06,193 私は ささやかな暮らしを・ 296 00:29:06,193 --> 00:29:11,193 百石 五十石の禄高と 引き換えにするつもりはない。 297 00:29:13,200 --> 00:29:17,204 和尚の姿を 見てきたからこそ・ 298 00:29:17,204 --> 00:29:21,208 はっきりと そう思えるのです。 299 00:29:21,208 --> 00:29:32,152 ・~ 300 00:29:32,152 --> 00:29:35,155 「江戸を去る」? (沢庵)はい。 301 00:29:35,155 --> 00:29:39,159 流浪の旅に 出てみとうなりまして。 302 00:29:39,159 --> 00:29:44,164 それが 僧 本来の 姿ではないかと。 303 00:29:44,164 --> 00:29:48,164 それだけかな? 沢庵殿。 304 00:29:56,677 --> 00:30:05,185 「日が昇り そして 何事もなく 日が沈む…・ 305 00:30:05,185 --> 00:30:10,185 そんな日々が どんな事よりも 大切に思える」…。 306 00:30:14,194 --> 00:30:17,194 武蔵が そう申しておりました。 307 00:30:21,201 --> 00:30:24,204 今度 禅の心を・ 308 00:30:24,204 --> 00:30:30,143 己に 問いかけてみなければならぬ…・ 309 00:30:30,143 --> 00:30:32,143 私は そう思うたのです。 310 00:30:59,172 --> 00:31:02,172 何を考えて おられるのですか? 311 00:31:08,682 --> 00:31:16,189 「鳥の声 風の音を 聞いた事があるか」…。 312 00:31:16,189 --> 00:31:18,689 父上に よく言われた。 313 00:31:21,194 --> 00:31:26,694 はい。 大殿様は よく そう言われておりました。 314 00:31:28,635 --> 00:31:32,639 武蔵という男が 同じ事を言う。 315 00:31:32,639 --> 00:31:34,641 え…? 316 00:31:34,641 --> 00:31:42,149 「日が昇り そして 何事もなく 日が沈む…・ 317 00:31:42,149 --> 00:31:47,149 そんな日々が どんなものよりも 大切に思える」と。 318 00:31:55,162 --> 00:31:59,162 大きなものを望んでは いかぬのか? りん。 319 00:32:01,668 --> 00:32:06,668 身近なものだけを 大切にしなければ ならぬのか? 320 00:32:09,176 --> 00:32:12,179 たかが 地侍にすぎぬ柳生家は・ 321 00:32:12,179 --> 00:32:16,183 大きなものに翻弄され続けてきた。 322 00:32:16,183 --> 00:32:20,687 俺は 父上の 血の滲むような苦しみを・ 323 00:32:20,687 --> 00:32:23,690 反吐を 吐きたくなる悔しさを・ 324 00:32:23,690 --> 00:32:26,190 ずっと 見続けてきたのだ。 325 00:32:28,195 --> 00:32:31,698 鳥の声を聞き 風の音を聞き・ 326 00:32:31,698 --> 00:32:35,202 日が昇り 日が沈んでいくのを見る…。 327 00:32:35,202 --> 00:32:38,705 そんな暮らしを するのもいい。 328 00:32:38,705 --> 00:32:40,707 だが 俺は…・ 329 00:32:40,707 --> 00:32:44,711 もっと大きなものに なりたいのだ。 330 00:32:44,711 --> 00:32:47,211 それが いかぬのか? りん。 331 00:32:49,216 --> 00:32:53,220 兵庫も 沢庵も 武蔵も…・ 332 00:32:53,220 --> 00:32:57,220 俺のする事を 認めようとはせぬ。 333 00:32:59,226 --> 00:33:01,226 なぜだ? りん。 334 00:33:05,232 --> 00:33:08,235 父上の苦しみが…・ 335 00:33:08,235 --> 00:33:12,239 父上の悔しさが…・ 336 00:33:12,239 --> 00:33:15,739 俺の血となり 肉となってきた。 337 00:33:18,245 --> 00:33:22,249 その苦しみや 悔しさを…・ 338 00:33:22,249 --> 00:33:25,685 このままには しておきたくないのだ。 339 00:33:25,685 --> 00:33:43,203 ・~ 340 00:33:43,203 --> 00:33:46,206 そこにおるのは 誰じゃ? 341 00:33:46,206 --> 00:33:48,206 誰じゃ・ 342 00:33:51,211 --> 00:33:55,715 なぜ 刀を取ろうと なさりませぬ? 343 00:33:55,715 --> 00:34:00,720 わしを殺めに来る者など もう おらんのだよ。 344 00:34:00,720 --> 00:34:07,227 ゆったりと 座っておられるお姿 羨ましゅう存じました。 345 00:34:07,227 --> 00:34:09,229 誰じゃ? 346 00:34:09,229 --> 00:34:13,233 あかね屋絃三と申す者です。 347 00:34:13,233 --> 00:34:16,236 その方が あかね屋絃三か。 348 00:34:16,236 --> 00:34:19,239 度 会うてみたかった。 349 00:34:19,239 --> 00:34:25,178 私も 度 石舟斎様に 会うておかねばと・ 350 00:34:25,178 --> 00:34:27,180 そう思うておりました。 351 00:34:27,180 --> 00:34:31,685 早う会わねば あの世に いってしまうと思うたのか? 352 00:34:31,685 --> 00:34:36,189 それは 御自身が よく御存じのはず。 353 00:34:36,189 --> 00:34:39,189 (笑い声) 354 00:34:41,194 --> 00:34:48,201 (紘三)鳥の声を聞き 風の音を知る者には・ 355 00:34:48,201 --> 00:34:51,701 己の命は おのずと分かるもの。 356 00:34:53,707 --> 00:34:57,210 お主も 鳥の声を聞くのか? 357 00:34:57,210 --> 00:35:03,216 いえ そんな風流とは 縁のない男。 358 00:35:03,216 --> 00:35:08,221 ただ 己の死ぬる姿は 見えております。 359 00:35:08,221 --> 00:35:11,224 どのような姿じゃ? 360 00:35:11,224 --> 00:35:17,230 磔にされて なお 悪態をついている姿。 361 00:35:17,230 --> 00:35:19,232 誰に悪態をつく? 362 00:35:19,232 --> 00:35:25,172 家康公でしょうか? それとも 跡を継ぐ 秀忠公…? 363 00:35:25,172 --> 00:35:32,179 いや あるいは 石舟斎様の御子息・宗矩殿。 364 00:35:32,179 --> 00:35:35,182 それを言いとうて ここへ来たのか? 365 00:35:35,182 --> 00:35:38,185 いいえ。 366 00:35:38,185 --> 00:35:44,191 柳生の里を 何よりも 大切になされている お姿に・ 367 00:35:44,191 --> 00:35:49,191 度 敬意を表したいと 思うたのです。 368 00:35:53,200 --> 00:35:56,200 美しい里ですなあ。 369 00:35:58,205 --> 00:36:04,211 「この小さな里に 勝るものはない」 そう お思いでしょうな。 370 00:36:04,211 --> 00:36:06,213 そうだよ。 371 00:36:06,213 --> 00:36:12,219 忍びにも 忍びの 誇りがあります。 372 00:36:12,219 --> 00:36:19,226 それが 私めには 何よりも大切に思えるのです。 373 00:36:19,226 --> 00:36:23,226 石舟斎様にとっての この里のように。 374 00:36:25,165 --> 00:36:31,171 そのような事を なぜ わしに言いに来た? 375 00:36:31,171 --> 00:36:38,678 どなたかに 分かってほしかったの でしょうな 己の心を。 376 00:36:38,678 --> 00:36:40,680 そうか…。 377 00:36:40,680 --> 00:36:44,184 ・(野鳥の声) 378 00:36:44,184 --> 00:36:46,686 いい声じゃ。 379 00:36:46,686 --> 00:36:48,686 いかにも。 380 00:36:50,690 --> 00:36:53,693 よう来てくれたのう。 381 00:36:53,693 --> 00:36:56,196 私も 死ぬる前に・ 382 00:36:56,196 --> 00:37:00,700 ゆっくりと 鳥の声を 聞く事ができました。 383 00:37:00,700 --> 00:37:05,205 ・~ 384 00:37:05,205 --> 00:37:07,707 「石舟斎様が 御病気」? 385 00:37:07,707 --> 00:37:13,213 (助九郎)それで 兵庫助様が 急ぎ 江戸に下られたのだ。 386 00:37:13,213 --> 00:37:15,713 「兵庫助様が 江戸へ」? 387 00:37:21,221 --> 00:37:23,723 お通さん 兵庫助様…。 388 00:37:23,723 --> 00:37:26,159 江戸に いたのか? 389 00:37:26,159 --> 00:37:29,659 石舟斎様の お加減が 悪いのですか? 390 00:37:31,665 --> 00:37:34,167 少しな…。 391 00:37:34,167 --> 00:37:37,170 「私に会いたい」と 仰せだとか…? 392 00:37:37,170 --> 00:37:40,674 ああ お通さんの事は よく 話に出るのだ。 393 00:37:40,674 --> 00:37:44,678 「柳生屋敷も あの折は 華やかであった」と。 394 00:37:44,678 --> 00:37:48,181 私も お見舞いに 行きとうございます。 395 00:37:48,181 --> 00:37:50,183 人暮らしなのか? お通さん。 396 00:37:50,183 --> 00:37:55,689 宮本殿と 緒に 読み書きの 指南をしておられるのです。 397 00:37:55,689 --> 00:37:57,691 武蔵殿と? はい。 398 00:37:57,691 --> 00:38:02,696 それでは そうたやすく 柳生に行く訳には いかんだろう。 399 00:38:02,696 --> 00:38:06,199 石舟斎様には お世話になりました。 400 00:38:06,199 --> 00:38:10,203 叔父上も りん様も すぐには来られぬという事での。 401 00:38:10,203 --> 00:38:14,708 そなたが来てくれると 大殿を 落胆させずに すむのだがな。 402 00:38:14,708 --> 00:38:19,713 (助九郎)兵庫助様が お戻りの時に 御緒なされたら いかがかな? 403 00:38:19,713 --> 00:38:22,215 後からの人旅では 心細かろう? 404 00:38:22,215 --> 00:38:26,653 よければ 武蔵殿も御緒に 柳生に来られては…? 405 00:38:26,653 --> 00:38:32,158 宗矩様は 「お通殿に お父上を 見舞ってほしい」と仰せです。 406 00:38:32,158 --> 00:38:37,163 「石舟斎様の お気を晴らせるのは 美しい女子しかおらぬ」と。 407 00:38:37,163 --> 00:38:41,167 宗矩様は お父上の心を よく御存じなのです。 408 00:38:41,167 --> 00:38:46,167 叔父上が 何と申そうが お通さんにも 事情があるのだ。 409 00:38:51,678 --> 00:38:53,680 俺も 緒にか? 410 00:38:53,680 --> 00:38:58,184 そう おっしゃって 下さったのです 兵庫助様は。 411 00:38:58,184 --> 00:39:01,187 使いを よこしたのは 兵庫助殿か? 412 00:39:01,187 --> 00:39:04,187 いいえ 宗矩様の家臣の方が。 413 00:39:06,192 --> 00:39:09,192 宗矩殿が 「俺も 共に行け」と? 414 00:39:11,197 --> 00:39:13,199 いえ…。 415 00:39:13,199 --> 00:39:18,705 「私が行って 石舟斎様の お気を晴らせてほしい」と。 416 00:39:18,705 --> 00:39:23,209 では…・ 417 00:39:23,209 --> 00:39:26,209 俺が行く訳には いかないだろう。 418 00:39:32,152 --> 00:39:34,654 武蔵が行かないのなら・ 419 00:39:34,654 --> 00:39:37,157 私も行きません。 420 00:39:37,157 --> 00:39:41,661 だがな お通…。 421 00:39:41,661 --> 00:39:46,666 「石舟斎様が病」と聞けば・ 422 00:39:46,666 --> 00:39:50,166 行かぬ訳には いかないだろう? 423 00:39:57,177 --> 00:39:59,179 「お通を 柳生に行かせる」? 424 00:39:59,179 --> 00:40:01,181 やめろ 武蔵 425 00:40:01,181 --> 00:40:03,183 そうは いかないんだ。 426 00:40:03,183 --> 00:40:06,186 お通が行くなら お前も ついて行け。 427 00:40:06,186 --> 00:40:08,688 向こうが 来てほしいのは お通なんだ。 428 00:40:08,688 --> 00:40:10,690 いいから 行け 429 00:40:10,690 --> 00:40:13,193 見舞いに 行くだけの事だ。 430 00:40:13,193 --> 00:40:15,195 待ってれば 帰ってくる。 431 00:40:15,195 --> 00:40:18,695 今 お前と お通が離れるのは 心配なんだよ。 432 00:40:20,700 --> 00:40:23,200 お前は そうは思わぬか? 433 00:40:37,650 --> 00:40:41,154 本当に いいのですね? 434 00:40:41,154 --> 00:40:44,654 行かねば お前の心に よどみが残る。 435 00:40:47,160 --> 00:40:52,665 よどみなぞ…・ 436 00:40:52,665 --> 00:40:54,665 残ってもいい。 437 00:40:58,671 --> 00:41:00,671 私は 武蔵と いる 438 00:41:04,177 --> 00:41:07,180 石舟斎殿に…・ 439 00:41:07,180 --> 00:41:10,683 もしもの事があれば…・ 440 00:41:10,683 --> 00:41:13,183 生 悔やむ事になるぞ。 441 00:41:15,188 --> 00:41:17,190 武蔵は・ 442 00:41:17,190 --> 00:41:19,190 私を行かせたいの・ 443 00:41:22,195 --> 00:41:24,197 そんな事は ない。 444 00:41:24,197 --> 00:41:32,138 ・~ 445 00:41:32,138 --> 00:41:36,643 お通…。 446 00:41:36,643 --> 00:41:41,147 そんな 大げさな事じゃないよ。 447 00:41:41,147 --> 00:41:51,157 ・~ 448 00:41:51,157 --> 00:41:53,159 そうね。 449 00:41:53,159 --> 00:41:57,163 ・~ 450 00:41:57,163 --> 00:41:59,165 そうだ。 451 00:41:59,165 --> 00:42:09,165 ・~ 452 00:42:14,180 --> 00:42:16,683 石舟斎殿に・ 453 00:42:16,683 --> 00:42:18,685 伝えてほしい事がある。 454 00:42:18,685 --> 00:42:20,685 何を? 455 00:42:22,689 --> 00:42:25,692 「乗寺で…・ 456 00:42:25,692 --> 00:42:28,695 俺は…・ 457 00:42:28,695 --> 00:42:31,195 鳥の声を聞きました」と。 458 00:42:35,201 --> 00:42:37,201 はい。 459 00:42:46,212 --> 00:42:49,716 あの時 俺は…・ 460 00:42:49,716 --> 00:42:54,220 人を斬る事に 嫌気が さしていた。 461 00:42:54,220 --> 00:42:57,223 どうにでもなれ…・ 462 00:42:57,223 --> 00:43:01,728 そんな 捨てばちな心を 持っていた。 463 00:43:01,728 --> 00:43:05,231 その時…・ 464 00:43:05,231 --> 00:43:07,231 鳥の声が聞こえた。 465 00:43:15,241 --> 00:43:17,241 生きようと思った。 466 00:43:19,245 --> 00:43:22,248 最後の最後まで・ 467 00:43:22,248 --> 00:43:24,250 生きていようと思った。 468 00:43:24,250 --> 00:43:57,216 ・~ 469 00:43:57,216 --> 00:43:59,218 大殿を見舞ったら・ 470 00:43:59,218 --> 00:44:02,722 助九郎に 必ず お通殿を 送り届けさせる。 471 00:44:02,722 --> 00:44:04,724 はい。 472 00:44:04,724 --> 00:44:24,677 ・~ 473 00:44:24,677 --> 00:44:27,680 <武蔵と お通は・ 474 00:44:27,680 --> 00:44:33,186 運命が 再び 自分たちを 引き裂こうとしている事を・ 475 00:44:33,186 --> 00:44:37,190 この時 知る由も なかった…> 476 00:44:37,190 --> 00:44:41,190 ・~