1 00:02:26,506 --> 00:02:29,509 ・~ 2 00:02:29,509 --> 00:02:31,544 (宮本武蔵)石舟斎殿に・ 3 00:02:31,544 --> 00:02:34,046 伝えてほしい事がある。 4 00:02:34,046 --> 00:02:37,049 「鳥の声を聞きました」と。 5 00:02:37,049 --> 00:02:39,051 (柳生宗矩)父上の苦しみが・ 6 00:02:39,051 --> 00:02:41,554 俺の血となり 肉となってきた。 7 00:02:41,554 --> 00:02:47,560 (石舟斎)よそ様の子は わしの 言う事を 素直に聞いてくれるが・ 8 00:02:47,560 --> 00:02:51,063 己の子は 伝わらぬものじゃ。 9 00:02:51,063 --> 00:02:53,065 己の力ではなく・ 10 00:02:53,065 --> 00:02:56,569 相手の力を用いて 敵を倒す。 11 00:02:56,569 --> 00:02:59,572 政とは そういうものなのです。 12 00:02:59,572 --> 00:03:14,587 ・~ (テーマ音楽) 13 00:03:14,587 --> 00:03:30,087 ・~ 14 00:05:47,039 --> 00:05:49,539 よく描けたな これ。 15 00:05:53,045 --> 00:05:55,047 (松之助)あいつだ 16 00:05:55,047 --> 00:05:57,049 (総太郎)あいつが来た 17 00:05:57,049 --> 00:05:59,051 (子供たち)あいつだ 18 00:05:59,051 --> 00:06:01,053 待て 待て 19 00:06:01,053 --> 00:06:03,556 私の客人だ。 20 00:06:03,556 --> 00:06:05,558 (松之助)「客人」? 21 00:06:05,558 --> 00:06:07,558 三之助… 入れ。 22 00:06:14,567 --> 00:06:16,569 下手な絵。 23 00:06:16,569 --> 00:06:18,571 (子供たち)何だと 24 00:06:18,571 --> 00:06:20,571 待てっ 25 00:06:27,513 --> 00:06:31,016 無礼な事を 言うんじゃない 三之助。 26 00:06:31,016 --> 00:06:33,519 爺が 「会いたい」と 言うてた。 27 00:06:33,519 --> 00:06:36,021 児島様が? 明日 屋敷に来てくれ。 28 00:06:36,021 --> 00:06:38,021 分かった。 29 00:06:47,032 --> 00:06:49,034 (備前) おう 宮本殿。 30 00:06:49,034 --> 00:06:52,037 誰ぞ 使いに出そうと 思っておったら・ 31 00:06:52,037 --> 00:06:54,540 三之助が 聞きつけて・ 32 00:06:54,540 --> 00:06:56,542 先に走ってしもうた。 33 00:06:56,542 --> 00:06:58,544 失礼を致した。 34 00:06:58,544 --> 00:07:01,544 いえ。 さ こちらへ。 35 00:07:10,556 --> 00:07:12,558 (家臣)どうなさいました? 36 00:07:12,558 --> 00:07:14,558 いかが なさった? 宮本殿。 37 00:07:17,563 --> 00:07:20,566 ・~ 38 00:07:20,566 --> 00:07:22,568 さ… こちらへ。 39 00:07:22,568 --> 00:07:52,531 ・~ 40 00:07:52,531 --> 00:07:55,531 いや… 私の負けじゃ。 41 00:07:57,536 --> 00:07:59,538 実はのう…・ 42 00:07:59,538 --> 00:08:02,541 あの廊下の陰に あの者が・ 43 00:08:02,541 --> 00:08:07,546 刀の鯉を切って 待っておったのだ。 44 00:08:07,546 --> 00:08:09,548 そうですか。 45 00:08:09,548 --> 00:08:13,548 それゆえ わざと 幾度も お呼びを致した。 46 00:08:18,557 --> 00:08:21,560 あの時 宮本殿は なぜ…・ 47 00:08:21,560 --> 00:08:25,497 後ろに戻って 庭を お回りになられたのか・ 48 00:08:25,497 --> 00:08:27,499 それを 伺いたい。 49 00:08:27,499 --> 00:08:29,501 行く手に・ 50 00:08:29,501 --> 00:08:33,005 何か 好ましからぬものの 気配を感じたからです。 51 00:08:33,005 --> 00:08:35,007 「感じた」とは? 52 00:08:35,007 --> 00:08:37,509 危うきを 避けようとする・ 53 00:08:37,509 --> 00:08:39,511 勘のようなものです。 54 00:08:39,511 --> 00:08:41,513 なるほど…。 55 00:08:41,513 --> 00:08:43,515 天下に 名を…。 56 00:08:43,515 --> 00:08:46,018 腕を試す おつもりで・ 57 00:08:46,018 --> 00:08:49,021 私を お呼びに なったのですか? 58 00:08:49,021 --> 00:08:51,023 いや…・ 59 00:08:51,023 --> 00:08:53,523 これは お許し願いたい。 60 00:08:57,529 --> 00:09:00,532 実はな…・ 61 00:09:00,532 --> 00:09:04,536 当細川家に仕える気が おありか どうか…・ 62 00:09:04,536 --> 00:09:06,538 それを お聞きしたい。 63 00:09:06,538 --> 00:09:10,042 「仕官」… という 事でしょうか? 64 00:09:10,042 --> 00:09:13,045 佐々木小次郎と 申す者が・ 65 00:09:13,045 --> 00:09:17,549 忠利様の お供として 国もとに下った。 66 00:09:17,549 --> 00:09:19,551 「佐々木小次郎」…? 67 00:09:19,551 --> 00:09:23,055 これが なかなかの 使い手でのう…。 68 00:09:23,055 --> 00:09:26,492 忠利様の父上の 忠興様が・ 69 00:09:26,492 --> 00:09:29,995 「小次郎に負けぬ武芸者を 捜し出して・ 70 00:09:29,995 --> 00:09:35,501 豊前に連れて参れ」と きつく お命じに なられたのだ。 71 00:09:35,501 --> 00:09:39,505 それで 貴殿の事を 思い出してのう…・ 72 00:09:39,505 --> 00:09:44,009 失礼ながら どれほどの腕前なのか・ 73 00:09:44,009 --> 00:09:46,512 試してみたという しだいじゃ。 74 00:09:46,512 --> 00:09:50,015 私は 今…・ 75 00:09:50,015 --> 00:09:52,518 仕官をする気持は ありません。 76 00:09:52,518 --> 00:09:54,520 なぜ? 77 00:09:54,520 --> 00:09:59,024 それほどの腕前を 無にする おつもりか? 78 00:09:59,024 --> 00:10:02,528 私には…・ 79 00:10:02,528 --> 00:10:05,030 待つ人がいます。 80 00:10:05,030 --> 00:10:07,533 その者が 帰るまでは・ 81 00:10:07,533 --> 00:10:10,536 江戸を離れる気持は ありません。 82 00:10:10,536 --> 00:10:16,542 では… そのお方が 帰られた後には? 83 00:10:16,542 --> 00:10:18,544 私は…・ 84 00:10:18,544 --> 00:10:22,544 今の暮らしが 何よりも大切なのです。 85 00:10:25,484 --> 00:10:30,489 児島様の お気持…・ 86 00:10:30,489 --> 00:10:32,491 お許し下さいませ。 87 00:10:32,491 --> 00:10:47,491 ・~ 88 00:10:54,513 --> 00:10:58,517 (兵庫助)なぜ もっと早く おいでにならんのです? 89 00:10:58,517 --> 00:11:02,517 大殿は もう 話す事も できないのですぞ。 90 00:11:17,536 --> 00:11:19,538 父上は・ 91 00:11:19,538 --> 00:11:23,542 昔 戦で負うた傷が 痛んでいるのです。 92 00:11:23,542 --> 00:11:28,480 それが 大殿の見舞いと かかわりが あるのですか? 93 00:11:28,480 --> 00:11:30,482 傷が痛むと あの人は・ 94 00:11:30,482 --> 00:11:33,986 人が変わったように 癇症になられて・ 95 00:11:33,986 --> 00:11:37,986 取りつくしまも のうなって しまうのじゃ。 96 00:11:41,493 --> 00:11:45,998 大殿は 何も 話されませんでしたが・ 97 00:11:45,998 --> 00:11:50,002 元気なうちに 父上や 叔父上たちに 会いたいと・ 98 00:11:50,002 --> 00:11:53,505 心のうちでは ずっと 願われていたのです。 99 00:11:53,505 --> 00:11:55,505 あの お方は? 100 00:11:59,011 --> 00:12:01,011 (お通) 通と申します。 101 00:12:04,016 --> 00:12:07,519 大殿が 「会いたい」と言われて・ 102 00:12:07,519 --> 00:12:11,523 はるばる 江戸から 来てもろうたのです。 103 00:12:11,523 --> 00:12:15,527 それは 御苦労な事で ございます。 104 00:12:15,527 --> 00:12:18,030 遠くの者は 来ておるのに・ 105 00:12:18,030 --> 00:12:23,035 なぜ 近くの父上が なかなか お顔を お見せにならんのです? 106 00:12:23,035 --> 00:12:27,539 「大殿様には 会いたくない」…。 107 00:12:27,539 --> 00:12:31,039 父上は そう思って おられるのです。 108 00:12:33,545 --> 00:12:38,050 大殿様の御期待に 添えなかった事を・ 109 00:12:38,050 --> 00:12:42,554 父上は ずっと 気にして おられるのじゃ。 110 00:12:42,554 --> 00:12:45,057 「御期待に 添えなかった事」? 111 00:12:45,057 --> 00:12:49,061 だから… ひたすら・ 112 00:12:49,061 --> 00:12:53,065 身を隠すようにして 暮らしてきたのです。 113 00:12:53,065 --> 00:13:01,573 ・~ 114 00:13:01,573 --> 00:13:03,575 お前も…・ 115 00:13:03,575 --> 00:13:08,580 大殿様の事だけではなくて・ 116 00:13:08,580 --> 00:13:10,582 少しは 父上の心も・ 117 00:13:10,582 --> 00:13:14,086 分かってあげなくては…。 118 00:13:14,086 --> 00:13:16,088 兵庫。 119 00:13:16,088 --> 00:13:22,594 ・~ 120 00:13:22,594 --> 00:13:27,032 ようこそ おいで下さいました。 叔父上。 121 00:13:27,032 --> 00:13:29,034 父上の具合は? 122 00:13:29,034 --> 00:13:32,538 恐らく 長くは…。 123 00:13:32,538 --> 00:13:34,540 そうか…。 124 00:13:34,540 --> 00:13:36,540 こちらへ 叔父上。 125 00:13:41,046 --> 00:13:43,048 大殿…。 126 00:13:43,048 --> 00:14:03,569 ・~ 127 00:14:03,569 --> 00:14:09,575 <武蔵との約束の時は とうに 過ぎていた。・ 128 00:14:09,575 --> 00:14:13,078 約束どおりに 江戸に戻ってこない自分を・ 129 00:14:13,078 --> 00:14:16,578 武蔵は どう思っているのだろう> 130 00:14:18,584 --> 00:14:20,586 お通さん。 131 00:14:20,586 --> 00:14:23,088 大殿が…。 132 00:14:23,088 --> 00:14:28,026 ・~ 133 00:14:28,026 --> 00:14:33,526 <この時 柳生石舟斎が その生涯を閉じた> 134 00:14:37,035 --> 00:14:39,538 <晩年の 20年 石舟斎は・ 135 00:14:39,538 --> 00:14:44,042 柳生の地から 出ようとは しなかった。・ 136 00:14:44,042 --> 00:14:50,048 この 美しい里と 柳生新陰流を 世に残した その生涯は・ 137 00:14:50,048 --> 00:14:54,052 満足のいく 人生であったのだろうか…。・ 138 00:14:54,052 --> 00:15:00,058 それとも 悔いの残る 人生だったのであろうか…。・ 139 00:15:00,058 --> 00:15:03,061 石舟斎が残した句には・ 140 00:15:03,061 --> 00:15:08,567 戦国の世を生き抜いた 地方の小領主の 苦悩する心が・ 141 00:15:08,567 --> 00:15:12,070 深く 詠み込まれている> 142 00:15:25,517 --> 00:15:30,022 (朱実)又八さんの 商いの やり方 感心したよ。 (又八)そうか。 143 00:15:30,022 --> 00:15:33,525 相手が 売りたがってるのを 見抜いて・ 144 00:15:33,525 --> 00:15:35,527 安く買いたたくんだもの。 145 00:15:35,527 --> 00:15:38,030 傍で見ていて 気が すっとしたよ。 146 00:15:38,030 --> 00:15:41,533 商いは 相手との 駆け引きなんだ。 147 00:15:41,533 --> 00:15:44,036 又八さんには 商いの才があるよ。 148 00:15:44,036 --> 00:15:47,039 人には 何か 取り柄が あるもんだね。 149 00:15:47,039 --> 00:15:49,541 え~ ハッハッハッ…。 150 00:15:49,541 --> 00:15:51,541 何 笑ってんだ…。 151 00:15:57,549 --> 00:15:59,549 和尚 152 00:16:01,553 --> 00:16:03,555 又八…。 153 00:16:03,555 --> 00:16:06,558 又八 どこに行く? 江戸に戻るんだ。 154 00:16:06,558 --> 00:16:11,563 又八さん 京で 古着を いっぱい 仕入れて 船に積んだんだよ。 155 00:16:11,563 --> 00:16:15,067 無事に 江戸に着いたら 大もうけだ。 156 00:16:15,067 --> 00:16:17,069 そりゃ よかった。 157 00:16:17,069 --> 00:16:21,573 和尚… 何してんだ? こんな所で。 158 00:16:21,573 --> 00:16:23,573 諸国行脚の旅じゃ。 159 00:16:29,014 --> 00:16:33,018 江戸城で 徳川様に 禅を教えている和尚が・ 160 00:16:33,018 --> 00:16:36,021 こんな所で 托鉢をしてるのか? 161 00:16:36,021 --> 00:16:38,023 武蔵に 言われたのじゃ。 162 00:16:38,023 --> 00:16:40,523 武蔵さんに? 何を? 163 00:16:42,527 --> 00:16:44,529 「禅の教えとは・ 164 00:16:44,529 --> 00:16:47,032 人に説くものではない。・ 165 00:16:47,032 --> 00:16:50,035 己の心に 説くものじゃ」と。 166 00:16:50,035 --> 00:16:52,035 武蔵が そんな事を…。 167 00:16:54,539 --> 00:16:57,042 又八。 はい。 168 00:16:57,042 --> 00:16:59,044 大きな財を得ても・ 169 00:16:59,044 --> 00:17:04,549 それで 己が 大きゅうなったと思うなよ。 170 00:17:04,549 --> 00:17:09,554 身近にある 小さなものを 大事にする心が・ 171 00:17:09,554 --> 00:17:12,054 人を 大きくしてくれる。 172 00:17:16,561 --> 00:17:20,065 宗矩は なぜ 来んのだ 173 00:17:20,065 --> 00:17:25,504 (久斎)将軍家お世継ぎ・秀忠様が 上洛をされるとの噂…。 174 00:17:25,504 --> 00:17:29,508 そうなれば 宗矩も 秀忠様の お供として・ 175 00:17:29,508 --> 00:17:32,511 京に上る事に なるのですよ 兄上。 176 00:17:32,511 --> 00:17:35,514 宗矩は 我々の中で・ 177 00:17:35,514 --> 00:17:38,014 番の出世頭ですからな。 178 00:17:45,524 --> 00:17:47,526 兄上は…・ 179 00:17:47,526 --> 00:17:52,531 己の ふがいなさを ずっと 悔やんでおられる。 180 00:17:52,531 --> 00:17:58,537 父上が 兵庫に 新陰流を 継がせようとしていた事も・ 181 00:17:58,537 --> 00:18:02,541 己の ふがいなさゆえと 思っているのだ。 182 00:18:02,541 --> 00:18:05,544 私も この徳斎も・ 183 00:18:05,544 --> 00:18:10,549 父上の跡を継ぐほど 強くは なれなかった。 184 00:18:10,549 --> 00:18:15,053 だから こうして 己の身つのほかは・ 185 00:18:15,053 --> 00:18:19,057 守るべきものを 何も持たぬ暮らしをしている。 186 00:18:19,057 --> 00:18:22,060 お前は 我らに代わって・ 187 00:18:22,060 --> 00:18:24,563 父上の道を 歩んでほしい。 188 00:18:24,563 --> 00:18:26,498 私も 徳斎も・ 189 00:18:26,498 --> 00:18:29,501 そう思うているのだよ 兵庫。 190 00:18:29,501 --> 00:18:31,501 はい。 191 00:18:38,009 --> 00:18:41,513 大殿様が もう…? 192 00:18:41,513 --> 00:18:43,513 (兵庫助)はい。 193 00:18:45,517 --> 00:18:47,517 遅かったのですね…。 194 00:18:51,523 --> 00:18:55,527 はるばる… 御苦労さまでした。 195 00:18:55,527 --> 00:18:57,527 こちらへ。 196 00:19:06,538 --> 00:19:08,538 なぜ もっと早く来ぬ? 197 00:19:12,544 --> 00:19:15,547 宗矩は なぜ…・ 198 00:19:15,547 --> 00:19:17,547 なぜ 来ぬのだ 199 00:19:19,551 --> 00:19:26,491 宗矩は 人を思いやる心を どんどん 失っておるのでは…? 200 00:19:26,491 --> 00:19:29,494 りん 201 00:19:29,494 --> 00:19:32,497 人を思いやる心など 持っていては・ 202 00:19:32,497 --> 00:19:37,502 権勢や 企みの中では 生きてはいけぬか…。 203 00:19:37,502 --> 00:19:42,507 そう… 宗矩は・ 204 00:19:42,507 --> 00:19:46,511 人を信じる心を 日々 失っておる。 205 00:19:46,511 --> 00:19:49,514 人を信じぬ 冷ややかな心で・ 206 00:19:49,514 --> 00:19:52,517 権勢や企みの中で 生き抜く事に・ 207 00:19:52,517 --> 00:19:54,519 喜びを 感じておる。 208 00:19:54,519 --> 00:19:58,519 父上… 少し 言いすぎでは ありませぬか? 209 00:20:01,526 --> 00:20:03,528 宗矩が来たら・ 210 00:20:03,528 --> 00:20:06,528 そう言ってやろうと 思ってた。 211 00:20:12,537 --> 00:20:17,542 宗矩様が 番会いたく 思うておられたのは・ 212 00:20:17,542 --> 00:20:19,542 大殿様だと思います。 213 00:20:21,546 --> 00:20:24,983 あの方の心には・ 214 00:20:24,983 --> 00:20:27,983 いつも 大殿様が おられるのです。 215 00:20:30,488 --> 00:20:34,492 あの方が 思うておられるのは ただ人…・ 216 00:20:34,492 --> 00:20:37,492 大殿様だけ かもしれません。 217 00:20:39,998 --> 00:20:42,500 ・(侍)柳生殿 218 00:20:42,500 --> 00:20:45,003 屋敷より 書状が…。 219 00:20:45,003 --> 00:20:47,005 かたじけない。 220 00:20:47,005 --> 00:21:15,505 ・~ 221 00:21:25,977 --> 00:21:29,977 た け ぞ う~。 222 00:21:34,486 --> 00:21:36,988 武蔵…。 223 00:21:36,988 --> 00:21:39,491 京から 戻ってきたのか? 又やん。 224 00:21:39,491 --> 00:21:43,495 ああ。 古着を 山ほど 船に積んで 江戸に送った。 225 00:21:43,495 --> 00:21:46,498 今日 明日にでも 江戸に着くぞ。 226 00:21:46,498 --> 00:21:50,498 そうすりゃ 俺は… 大金持ちだ 227 00:21:52,504 --> 00:21:55,006 お通は まだか? 228 00:21:55,006 --> 00:21:57,008 ああ。 229 00:21:57,008 --> 00:22:01,012 柳生家から 「もう少し残る」と 言づけがあった。 230 00:22:01,012 --> 00:22:04,015 「柳生の殿様が死んだ」 という噂を・ 231 00:22:04,015 --> 00:22:06,515 旅の商人から 聞いたぞ。 232 00:22:08,520 --> 00:22:10,522 何? 233 00:22:10,522 --> 00:22:13,024 ・(朱美)又八さん 234 00:22:13,024 --> 00:22:15,026 どうした? 朱美。 235 00:22:15,026 --> 00:22:18,530 船が 遠州の沖で 時化に遭って 沈んだって。 236 00:22:18,530 --> 00:22:20,532 荷は どうした 237 00:22:20,532 --> 00:22:22,532 行くぞ 朱美 238 00:22:24,536 --> 00:22:27,539 <柳生石舟斎が死んだ…。・ 239 00:22:27,539 --> 00:22:32,544 あの時 矍鑠として 自分を 道場の床に投げ飛ばした・ 240 00:22:32,544 --> 00:22:36,548 あの石舟斎が 死んだ…。・ 241 00:22:36,548 --> 00:22:40,051 人の命には 限りがある。・ 242 00:22:40,051 --> 00:22:45,557 限りある命を なぜ 人は 与えられるのだろうか…。・ 243 00:22:45,557 --> 00:22:53,565 石舟斎の死は 人が生きていく事の 無常を 武蔵に 強く感じさせた> 244 00:22:53,565 --> 00:23:01,573 ・~ 245 00:23:01,573 --> 00:23:03,573 (兵庫助)お通さん…。 246 00:23:06,077 --> 00:23:08,577 笛を 吹いてくれぬか? 247 00:23:11,082 --> 00:23:16,588 大殿は お通さんの笛を 聴きながら・ 248 00:23:16,588 --> 00:23:20,088 この里を 見ているのが 好きだった。 249 00:23:23,595 --> 00:23:27,031 「お通さんの笛が 里に流れると・ 250 00:23:27,031 --> 00:23:31,536 わしの してきた事は 正しかったと思える」と・ 251 00:23:31,536 --> 00:23:34,036 よう 言うておられた。 252 00:23:36,040 --> 00:23:38,042 お通さん…。 253 00:23:38,042 --> 00:23:40,542 吹いてくれぬか? 254 00:23:43,548 --> 00:23:45,548 はい。 255 00:23:57,061 --> 00:24:04,569 ・~(笛) 256 00:24:04,569 --> 00:24:06,569 [ 回想 ] (掛け声) 257 00:24:11,075 --> 00:24:14,579 [ 回想 ] (石舟斎)わしを 超えろよ。 258 00:24:14,579 --> 00:24:31,529 ・~(笛) 259 00:24:31,529 --> 00:24:42,540 [ 回想 ] ・~(笛) 260 00:24:42,540 --> 00:24:57,555 ・~(笛) 261 00:24:57,555 --> 00:25:02,060 [ 回想 ] ・~(笛) 262 00:25:02,060 --> 00:25:07,065 ・~(笛) 263 00:25:07,065 --> 00:25:27,518 [ 回想 ] ・~(笛) 264 00:25:27,518 --> 00:25:31,522 [ 回想 ] (石舟斎) 人を包むものの意味を 問い・ 265 00:25:31,522 --> 00:25:34,025 生きる事の喜びを 問う。 266 00:25:34,025 --> 00:25:37,528 [ 回想 ] ・~(笛) 267 00:25:37,528 --> 00:25:53,528 ・~(笛) 268 00:25:59,050 --> 00:26:02,050 (久斎)誰に習うた? その笛を。 269 00:26:04,055 --> 00:26:07,058 習った訳では ありません。 270 00:26:07,058 --> 00:26:11,562 子供の頃 いつの間にか 会得しておりました。 271 00:26:11,562 --> 00:26:15,566 この笛は お通さんの母上の 形見なのです。 272 00:26:15,566 --> 00:26:20,071 (久斎)その笛の調べには 聞き覚えがある。 273 00:26:20,071 --> 00:26:23,074 わしの庵から 山つ向こうで・ 274 00:26:23,074 --> 00:26:26,010 笛を吹く女子に 会った事がある。 275 00:26:26,010 --> 00:26:28,012 (兵庫助) 年の頃は? 276 00:26:28,012 --> 00:26:31,015 (久斎)50歳を 過ぎたくらいか…。 277 00:26:31,015 --> 00:26:36,521 お通さんが吹いた調べと そっくり 同じようだった。 278 00:26:36,521 --> 00:26:39,524 ひょっとして…・ 279 00:26:39,524 --> 00:26:42,527 母上か? 280 00:26:42,527 --> 00:26:59,544 ・~ 281 00:26:59,544 --> 00:27:03,047 支度が できましたか? お通さん。 282 00:27:03,047 --> 00:27:05,049 ええ。 283 00:27:05,049 --> 00:27:07,051 久斎様と 兵庫助様も・ 284 00:27:07,051 --> 00:27:10,054 支度をして 待っておられますよ。 285 00:27:10,054 --> 00:27:12,054 はい。 286 00:27:14,058 --> 00:27:17,562 どうか したのですか? 287 00:27:17,562 --> 00:27:20,064 私は…・ 288 00:27:20,064 --> 00:27:23,564 江戸に 帰らなければ なりません。 289 00:27:26,504 --> 00:27:29,507 でも 生き別れになった母様と・ 290 00:27:29,507 --> 00:27:32,010 会えるかも しれないのですよ。 291 00:27:32,010 --> 00:27:35,513 りん様。 はい。 292 00:27:35,513 --> 00:27:37,515 人は…・ 293 00:27:37,515 --> 00:27:42,020 どのぐらい 人を 信じていられるものでしょうか? 294 00:27:42,020 --> 00:27:44,022 え…? 295 00:27:44,022 --> 00:27:48,526 親に 慈しみを かけてもらえなかった者は・ 296 00:27:48,526 --> 00:27:53,526 人を信じる心を 持てぬまま 育っていくのです。 297 00:27:58,036 --> 00:28:00,038 どうした? お通さん。 298 00:28:00,038 --> 00:28:02,040 久斎様も お待ちだ。 299 00:28:02,040 --> 00:28:04,040 そろそろ 出立しよう。 300 00:28:06,544 --> 00:28:08,546 お通さんは 今…。 301 00:28:08,546 --> 00:28:10,546 りん様…。 302 00:28:15,053 --> 00:28:21,059 生みの親に 会えるかも しれないのです。 303 00:28:21,059 --> 00:28:23,559 やはり 行って参ります。 304 00:28:31,502 --> 00:28:33,504 あの荷を 買うた元手は・ 305 00:28:33,504 --> 00:28:36,507 俺だけのものじゃ ないんだ。 306 00:28:36,507 --> 00:28:40,011 何人かに 銭を 出してもろうて・ 307 00:28:40,011 --> 00:28:42,511 古着を 買い集めたんだ。 308 00:28:44,515 --> 00:28:46,515 どうする? 309 00:28:48,519 --> 00:28:52,523 銭が 戻らなければ…・ 310 00:28:52,523 --> 00:28:54,525 首つりだな。 311 00:28:54,525 --> 00:28:56,527 「首つり」なんて 嫌だよ。 312 00:28:56,527 --> 00:28:59,530 好きな者が いるか? 313 00:28:59,530 --> 00:29:01,532 あ~…。 314 00:29:01,532 --> 00:29:05,532 どうすりゃ いいんだ? 50両もの金を…。 315 00:29:14,545 --> 00:29:17,048 お通は どうした? 316 00:29:17,048 --> 00:29:21,552 柳生の殿様の弔いも とっくに済んだだろうに・ 317 00:29:21,552 --> 00:29:24,555 どうして 戻ってこないんだ? 318 00:29:24,555 --> 00:29:26,491 何をしてんだ? あいつは…。 319 00:29:26,491 --> 00:29:29,494 お通さんに 八つ当たりしないでよ。 320 00:29:29,494 --> 00:29:31,494 でも 遅いじゃないか 321 00:30:26,484 --> 00:30:28,484 これは…? 322 00:30:35,493 --> 00:30:38,993 キリシタンだったのか? あの女子は…。 323 00:30:46,504 --> 00:30:49,504 (久斎)よく 木を 彫っていたのだ。 324 00:30:51,509 --> 00:30:56,514 ここを去る時に 村の者に 置いていったのだろう。 325 00:30:56,514 --> 00:31:11,529 ・~ 326 00:31:11,529 --> 00:31:16,033 <お通には 初めて見る 像であった。・ 327 00:31:16,033 --> 00:31:21,038 これを 彫ったのは 母なのだろうか…。・ 328 00:31:21,038 --> 00:31:26,477 母は 戦乱の世の 犠牲となって 売られていった。・ 329 00:31:26,477 --> 00:31:31,482 それから どんな人生を生きて 誰と出会って・ 330 00:31:31,482 --> 00:31:35,482 異国の教えに すがったのであろうか…> 331 00:31:37,488 --> 00:31:39,490 お通さん。 332 00:31:39,490 --> 00:31:44,996 村の者も 「行方は知らぬ」と 言っておる。 333 00:31:44,996 --> 00:31:49,000 いろいろと ありがとうございました。 334 00:31:49,000 --> 00:31:51,002 すまない。 335 00:31:51,002 --> 00:31:54,505 お通さんに 無駄な旅を させてしもうた。 336 00:31:54,505 --> 00:31:56,507 いいえ。 337 00:31:56,507 --> 00:31:58,509 柳生に戻って・ 338 00:31:58,509 --> 00:32:01,512 お通さんを 江戸に 帰します。 339 00:32:01,512 --> 00:32:03,514 では… 私は ここで。 340 00:32:03,514 --> 00:32:38,049 ・~ 341 00:32:38,049 --> 00:32:40,051 (審判)始め 342 00:32:40,051 --> 00:32:42,051 (武芸者1)とお~っ 343 00:32:45,056 --> 00:32:47,056 (審判)それまでっ 344 00:32:49,060 --> 00:32:52,560 (小次郎)直心流の腕は たかが これしきか? 345 00:32:54,565 --> 00:32:57,068 (審判) 次 346 00:32:57,068 --> 00:33:00,068 (武芸者2)持念流 浜田関四郎 347 00:33:21,592 --> 00:33:23,592 (審判)始めっ せ~いっ 348 00:33:28,532 --> 00:33:30,532 それまでっ 349 00:33:41,545 --> 00:33:46,550 この上は いかなる得物でも お相手つかまつる。 350 00:33:46,550 --> 00:33:49,550 我と思わん者は お立ちなされ 351 00:33:51,555 --> 00:33:54,558 (武芸者3)いずれの得物でも よいと いうのか 352 00:33:54,558 --> 00:33:56,560 たとえ 弓 鉄砲でも・ 353 00:33:56,560 --> 00:33:58,562 お相手つかまつる。 354 00:33:58,562 --> 00:34:20,584 ・~ 355 00:34:20,584 --> 00:34:22,584 それまでっ 356 00:34:26,524 --> 00:34:30,027 豊前の兵法は これしきのものかっ 357 00:34:30,027 --> 00:34:43,541 ・~ 358 00:34:43,541 --> 00:34:47,044 (角兵衛)私が 命じたのでございます。 359 00:34:47,044 --> 00:34:49,046 (忠利)何を? 360 00:34:49,046 --> 00:34:52,550 「御領内の武芸者たちを 挑発し・ 361 00:34:52,550 --> 00:34:55,553 ことごとく たたきのめせ」と。 362 00:34:55,553 --> 00:34:58,556 あの男には それが できるのです。 363 00:34:58,556 --> 00:35:04,061 剣術指南は 腕が立てばよいと いうものでは あるまい。 364 00:35:04,061 --> 00:35:09,066 申しにくい事を 申しても よろしいですか? 365 00:35:09,066 --> 00:35:11,068 何だ? 366 00:35:11,068 --> 00:35:15,072 将軍家の後ろ盾が あるだけで・ 367 00:35:15,072 --> 00:35:20,077 細川家の当主に なれる訳では ございませぬ。 368 00:35:20,077 --> 00:35:22,079 何? 369 00:35:22,079 --> 00:35:27,518 当家は 先代 幽斎様 当主 忠興様の許に・ 370 00:35:27,518 --> 00:35:31,522 戦国の世を 戦い抜いて参りました。 371 00:35:31,522 --> 00:35:36,527 それに負けぬ 激しさ 強さがなければ・ 372 00:35:36,527 --> 00:35:41,027 家中の者が 忠利様を 認めないのです。 373 00:35:43,033 --> 00:35:47,533 そのために あの男が 必要なのです。 374 00:35:49,540 --> 00:35:56,046 明日は 児島備前殿の御次男 当家剣術指南役である・ 375 00:35:56,046 --> 00:36:01,051 善之助様と 小次郎を 闘わせてみせます。 376 00:36:01,051 --> 00:36:03,053 それで勝てば・ 377 00:36:03,053 --> 00:36:07,558 もはや 家中の者も 小次郎の力を…・ 378 00:36:07,558 --> 00:36:13,558 ひいては 忠利様の お力を 認めざるをえないでしょう。 379 00:36:16,066 --> 00:36:20,070 屋敷と道場を 持てる事になった。 380 00:36:20,070 --> 00:36:23,073 (お篠) おめでとうございます。 381 00:36:23,073 --> 00:36:26,010 俺に ついてこい。 382 00:36:26,010 --> 00:36:29,513 いいえ。 なぜだ? 383 00:36:29,513 --> 00:36:32,516 私のような者が お屋敷にいては・ 384 00:36:32,516 --> 00:36:36,520 小次郎様の出世に障ります。 かまわぬ。 385 00:36:36,520 --> 00:36:39,523 文句を言う奴がいれば・ 386 00:36:39,523 --> 00:36:42,526 俺は ここを去る。 387 00:36:42,526 --> 00:36:45,529 今 この地には・ 388 00:36:45,529 --> 00:36:48,532 俺が 必要なのだ。 389 00:36:48,532 --> 00:36:51,032 この俺の力が 必要なのだ。 390 00:36:59,043 --> 00:37:01,045 明日 俺は…・ 391 00:37:01,045 --> 00:37:03,547 児島善之助を たたきのめす。 392 00:37:03,547 --> 00:37:08,552 そうすれば もう 敵は おらぬ。 393 00:37:08,552 --> 00:37:13,552 領内の兵法者は すべて 俺に ひれ伏す事になる。 394 00:37:15,559 --> 00:37:19,563 誰にも そなたの事で 文句など 言わせぬ。 395 00:37:19,563 --> 00:37:35,512 ・~ 396 00:37:35,512 --> 00:37:38,015 無礼だぞ 小次郎殿。 397 00:37:38,015 --> 00:37:40,017 私を 誰と心得る? 398 00:37:40,017 --> 00:37:45,522 細川家剣術指南役 児島善之助殿と 伺っております。 399 00:37:45,522 --> 00:37:49,026 そんな物で 勝てると 思っているのか? 400 00:37:49,026 --> 00:37:51,528 思っております。 無礼だ。 401 00:37:51,528 --> 00:37:55,032 無礼か どうか 立ち合ってから 言われたら? 402 00:37:55,032 --> 00:37:57,034 何 403 00:37:57,034 --> 00:38:01,038 それで 私に 勝つ事が できますかな? 404 00:38:01,038 --> 00:38:10,547 ・~ 405 00:38:10,547 --> 00:38:12,549 (審判)始めっ 406 00:38:12,549 --> 00:38:25,496 ・~ 407 00:38:25,496 --> 00:38:27,496 うわ~っ 408 00:38:29,500 --> 00:38:32,002 (審判)それまでっ 409 00:38:32,002 --> 00:38:34,002 いかがか? 410 00:39:01,031 --> 00:39:04,034 水が引かぬと 舟は 出ぬそうだ。 411 00:39:04,034 --> 00:39:07,037 いつ 引くのです? 412 00:39:07,037 --> 00:39:09,540 この雨が やんで 4~5日…。 413 00:39:09,540 --> 00:39:13,043 お通さんには 悪い事を したと思うておる。 414 00:39:13,043 --> 00:39:15,045 何をですか? 415 00:39:15,045 --> 00:39:18,048 まっすぐに 江戸に帰せば よかった。 416 00:39:18,048 --> 00:39:21,051 私も 母に 会いとうございました。 417 00:39:21,051 --> 00:39:26,051 江戸にいる 武蔵殿の事が 気になるのであろう? 418 00:39:32,496 --> 00:39:34,498 私が…・ 419 00:39:34,498 --> 00:39:41,004 お通さんを 江戸に 帰したくなかったのかも…。 420 00:39:41,004 --> 00:39:43,507 あの人が…・ 421 00:39:43,507 --> 00:39:46,510 武蔵様が…・ 422 00:39:46,510 --> 00:39:50,514 私を信じていてくれるか…・ 423 00:39:50,514 --> 00:39:53,016 それが 心配なのです。 424 00:39:53,016 --> 00:39:56,019 え…? 425 00:39:56,019 --> 00:39:59,022 人というものは…・ 426 00:39:59,022 --> 00:40:03,527 どこかで 信じられないもの…。 427 00:40:03,527 --> 00:40:08,527 そんな 冷ややかなものが 心の奥底にはある。 428 00:40:12,035 --> 00:40:14,538 それと同じものが…・ 429 00:40:14,538 --> 00:40:18,542 あの人の中にも あるように思えるのです。 430 00:40:18,542 --> 00:40:21,545 ですから つい…・ 431 00:40:21,545 --> 00:40:24,982 心が 急いたのです。 432 00:40:24,982 --> 00:40:27,484 雨が やんだら・ 433 00:40:27,484 --> 00:40:29,987 すぐに 手はずを整える。 434 00:40:29,987 --> 00:40:31,989 え? 435 00:40:31,989 --> 00:40:34,491 誰か 供の者を呼んで・ 436 00:40:34,491 --> 00:40:36,493 柳生には戻らず…・ 437 00:40:36,493 --> 00:40:39,997 このまま 江戸に 向かえるようにしよう。 438 00:40:39,997 --> 00:40:51,997 ・~ 439 00:40:56,513 --> 00:41:00,517 (備前)急ぎ 国へ 帰る事になりました。 440 00:41:00,517 --> 00:41:03,520 国もとより 使者が参り…・ 441 00:41:03,520 --> 00:41:07,020 「次男の善之助が 自害をした」と。 442 00:41:09,026 --> 00:41:12,529 佐々木小次郎に 立ち合いで敗れ・ 443 00:41:12,529 --> 00:41:16,533 その屈辱に 耐えられなくなったと。 444 00:41:16,533 --> 00:41:18,535 「小次郎」…。 445 00:41:18,535 --> 00:41:22,539 その男 「尋常な 強さではない」と・ 446 00:41:22,539 --> 00:41:25,475 国もとでは 噂じゃ。 447 00:41:25,475 --> 00:41:31,481 …して 待ち人は まだ 戻られぬのか? 448 00:41:31,481 --> 00:41:33,483 はい。 449 00:41:33,483 --> 00:41:35,983 それは 残念じゃのう…。 450 00:41:38,488 --> 00:41:40,490 戻られておったら・ 451 00:41:40,490 --> 00:41:46,997 共に 国もとまで 来てもらおうと思っておった。 452 00:41:46,997 --> 00:41:49,499 児島様…。 453 00:41:49,499 --> 00:41:52,502 申し訳ありません。 454 00:41:52,502 --> 00:41:55,505 (三之助)爺様を 助けてあげてよ。 455 00:41:55,505 --> 00:41:59,509 爺様は 元気を なくしているんだ。 456 00:41:59,509 --> 00:42:02,012 助けてあげてよ 武蔵。 457 00:42:02,012 --> 00:42:05,515 勝手な事を 言うではない 458 00:42:05,515 --> 00:42:07,517 さ… 参るぞ。 459 00:42:07,517 --> 00:42:09,517 御免。 460 00:42:15,525 --> 00:42:19,025 江戸の残る三之助を お頼み申す。 461 00:42:29,539 --> 00:42:35,045 <武蔵は 児島備前に 人の ぬくもりを感じていた。・ 462 00:42:35,045 --> 00:42:40,050 その備前に 助けの手を 差し出せぬ事に・ 463 00:42:40,050 --> 00:42:43,553 武蔵は 心の痛みを感じた。・ 464 00:42:43,553 --> 00:42:49,559 しかし 今の武蔵には 政に 巻き込まれる気持は なかった。・ 465 00:42:49,559 --> 00:42:54,564 俺は お通を 待っていなければならない。・ 466 00:42:54,564 --> 00:42:59,569 お通は 必ず ここへ戻ってくる…。・ 467 00:42:59,569 --> 00:43:03,573 武蔵は 心に そう言い聞かせた> 468 00:43:03,573 --> 00:43:06,576 ・~ 469 00:43:06,576 --> 00:43:08,578 (旅人1) 人改めだってよ。 470 00:43:08,578 --> 00:43:13,578 (旅人2)近くで 揆があって 百姓が 大勢 逃げ出したってよ。 471 00:43:15,585 --> 00:43:17,585 (下役)おい 次 472 00:43:20,590 --> 00:43:23,093 (上役) 荷を ここへ出せ。 え? 473 00:43:23,093 --> 00:43:25,093 いいから 出せ。 474 00:43:49,052 --> 00:43:51,054 これは? 475 00:43:51,054 --> 00:43:54,554 旅の お守りとして 持っている物です。 476 00:44:00,063 --> 00:44:02,065 こちらへ参れ。 477 00:44:02,065 --> 00:44:04,067 何故に ございますか? 478 00:44:04,067 --> 00:44:06,069 近くの村で 揆があってな・ 479 00:44:06,069 --> 00:44:11,575 「キリシタンが 揆を扇動した」との 知らせが来ておるのだ。 480 00:44:11,575 --> 00:44:15,579 ・~ 481 00:44:15,579 --> 00:44:22,586 <花が咲き始めようとする頃 まだ お通は 戻らなかった。・ 482 00:44:22,586 --> 00:44:27,524 出かける前に お通が 何度も ためらっていた事を・ 483 00:44:27,524 --> 00:44:29,526 武蔵は 思い出した。・ 484 00:44:29,526 --> 00:44:33,530 あの時 お通は ここへ帰ってこられない事を・ 485 00:44:33,530 --> 00:44:36,033 予感していたのだろうか…。・ 486 00:44:36,033 --> 00:44:42,039 二度と 会えないかもしれぬと 思っていたのであろうか…。・ 487 00:44:42,039 --> 00:44:45,542 武蔵の心は 揺れ始めていた> 488 00:44:45,542 --> 00:44:49,542 ・~