1 00:02:27,150 --> 00:02:31,188 ・~ 2 00:02:31,188 --> 00:02:33,690 (宮本武蔵)私は…・ 3 00:02:33,690 --> 00:02:37,194 剣で生きる道を…・ 4 00:02:37,194 --> 00:02:40,197 捨てた。 5 00:02:40,197 --> 00:02:46,703 <幼い日に別れた父 無二斎の 消息を知らされた 武蔵…。・ 6 00:02:46,703 --> 00:02:52,209 しかし この事が 細川家の内紛に 自らが 投じられ・ 7 00:02:52,209 --> 00:02:56,213 小次郎との闘いに 挑む事になる事を・ 8 00:02:56,213 --> 00:03:00,217 武蔵は 知る由もなかった> 9 00:03:00,217 --> 00:03:15,232 ・~ (テーマ音楽) 10 00:03:15,232 --> 00:03:29,732 ・~ 11 00:05:50,187 --> 00:05:55,192 <お通は やっと 江戸に帰ってきた。・ 12 00:05:55,192 --> 00:06:01,192 武蔵の許を離れて 半年近くの月日が 流れていた> 13 00:06:28,658 --> 00:06:52,682 ・~ 14 00:06:52,682 --> 00:06:56,186 ・(襖の開く音) 15 00:06:56,186 --> 00:06:59,189 (お通)武蔵 16 00:06:59,189 --> 00:07:02,192 又八さん。 (又八)お通…。 17 00:07:02,192 --> 00:07:05,195 帰ってきたのか? 18 00:07:05,195 --> 00:07:07,697 武蔵は? 19 00:07:07,697 --> 00:07:09,699 いない。 20 00:07:09,699 --> 00:07:11,701 出ていってしもうた。 21 00:07:11,701 --> 00:07:15,205 どうして もっと早く 帰ってこなかった? 22 00:07:15,205 --> 00:07:18,208 柳生に行って 戻ってくるのに・ 23 00:07:18,208 --> 00:07:22,208 なぜ こんなに 長い月日が かかるんだ? 24 00:07:24,214 --> 00:07:27,651 (太鼓の音) 25 00:07:27,651 --> 00:07:31,154 (家康)わしは 駿府に 隠居をするが・ 26 00:07:31,154 --> 00:07:34,157 江戸の事を よろしく頼むぞ。 27 00:07:34,157 --> 00:07:39,663 秀忠は 政では まだまだ 未熟者じゃ。 28 00:07:39,663 --> 00:07:42,165 (本多) 大御所様 御同様に・ 29 00:07:42,165 --> 00:07:46,670 政を分かれというのは 到底 無理な事。 30 00:07:46,670 --> 00:07:50,173 駿府には 駿府の 江戸には 江戸の・ 31 00:07:50,173 --> 00:07:52,676 舵の取りかたがある。 32 00:07:52,676 --> 00:07:55,178 それを 心得てほしいのだ。 33 00:07:55,178 --> 00:07:59,182 この後も 徳川の天下が続くという事は・ 34 00:07:59,182 --> 00:08:03,687 秀忠様に 将軍職を お譲りになった事で・ 35 00:08:03,687 --> 00:08:07,190 諸大名も よ~く 分かっておられるはず。 36 00:08:07,190 --> 00:08:09,192 そうでは あるまい。 37 00:08:09,192 --> 00:08:14,698 「徳川のために 城の普請の 手伝いを命じられるのは・ 38 00:08:14,698 --> 00:08:19,703 筋が通らぬ」と 不平を 言っている外様が多い事を・ 39 00:08:19,703 --> 00:08:23,707 この宗矩が 聞きつけておるぞ。 40 00:08:23,707 --> 00:08:25,642 (本多)まことか? 41 00:08:25,642 --> 00:08:27,644 は。 42 00:08:27,644 --> 00:08:29,646 さすがは 柳生。 43 00:08:29,646 --> 00:08:32,649 至るところに 忍びを放っておるの。 44 00:08:32,649 --> 00:08:34,651 宗矩。 は。 45 00:08:34,651 --> 00:08:39,656 お主に 気を配ってほしいのは 九州の諸大名だ。 46 00:08:39,656 --> 00:08:41,658 承知しております。 47 00:08:41,658 --> 00:08:44,661 特に 島津 細川…。 48 00:08:44,661 --> 00:08:49,666 以前 島津義久は 上洛をして・ 49 00:08:49,666 --> 00:08:53,169 わしに挨拶をするのを 拒んでおった。 50 00:08:53,169 --> 00:08:57,674 細川忠興も 今も なお かたくなに・ 51 00:08:57,674 --> 00:09:02,174 息子に 当主の座を 譲ろうとはせぬ。 52 00:09:04,180 --> 00:09:07,684 九州の地は 先頃まで 群雄が割拠し・ 53 00:09:07,684 --> 00:09:10,687 戦いに 明け暮れておりました。 54 00:09:10,687 --> 00:09:14,691 その雄として残った 島津公 細川公の・ 55 00:09:14,691 --> 00:09:20,196 命を懸けて 生き抜いてきたという 武将の意地が・ 56 00:09:20,196 --> 00:09:24,701 恐れながら 私めには 痛いほど分かるのです。 57 00:09:24,701 --> 00:09:28,638 島津とか 細川のごとく 大きくなると・ 58 00:09:28,638 --> 00:09:35,145 なお 「やすやすと 戦国を 戦い抜いてきた武将の心意気は・ 59 00:09:35,145 --> 00:09:37,647 曲げられぬ」と そう言うのだな? 60 00:09:37,647 --> 00:09:41,151 世が 太平に 向かおうと している今…・ 61 00:09:41,151 --> 00:09:44,654 「必死の生きかたを捨てよ」と 言われても・ 62 00:09:44,654 --> 00:09:47,654 容易には できぬ事だと存じます。 63 00:09:50,160 --> 00:09:54,164 されど 正信 宗矩…。 64 00:09:54,164 --> 00:09:56,666 (二人)はは…。 65 00:09:56,666 --> 00:10:01,171 必死の生きかたなど もう 要らぬ。 66 00:10:01,171 --> 00:10:05,175 こののち 必要となるのは・ 67 00:10:05,175 --> 00:10:08,678 「徳川に従う心」。 68 00:10:08,678 --> 00:10:14,678 それを 諸大名の心中に しかと 植え付けねばならぬ。 69 00:10:22,692 --> 00:10:24,692 (銃声) 70 00:10:30,633 --> 00:10:32,633 (銃声) 71 00:10:51,654 --> 00:10:53,654 ・(男)いたぞ 72 00:11:12,675 --> 00:11:18,681 ・~ 73 00:11:18,681 --> 00:11:20,681 (銃声) 74 00:11:22,685 --> 00:11:24,685 (侍1)何だ 貴様 75 00:11:27,123 --> 00:11:30,126 や~っ 76 00:11:30,126 --> 00:11:32,128 うおっ 77 00:11:32,128 --> 00:11:36,132 ・~ 78 00:11:36,132 --> 00:11:38,134 立てるか? 79 00:11:38,134 --> 00:11:44,641 ・~ 80 00:11:44,641 --> 00:11:46,643 (たたく音) 81 00:11:46,643 --> 00:12:00,143 ・~ 82 00:12:12,669 --> 00:12:17,674 幸い 弾は 浅い所で とどまっておった。 83 00:12:17,674 --> 00:12:22,174 2~3日 安静にしてれば 立てるようになる。 84 00:12:24,180 --> 00:12:26,182 そりゃ よかった。 85 00:12:26,182 --> 00:12:29,185 安心しました。 86 00:12:29,185 --> 00:12:32,188 では 私は…。 87 00:12:32,188 --> 00:12:34,190 行かれるのか? 88 00:12:34,190 --> 00:12:38,695 はい。 私とは 何の縁もない者。 89 00:12:38,695 --> 00:12:43,199 もう 私に できる事は ありません。 90 00:12:43,199 --> 00:12:47,203 あの女子が どういう者か 御存じかの? 91 00:12:47,203 --> 00:12:49,205 いいえ。 92 00:12:49,205 --> 00:12:54,210 この地を治めている 岩井家の 重臣 片倉重之進殿を・ 93 00:12:54,210 --> 00:12:57,714 鉄砲で撃った女子。 94 00:12:57,714 --> 00:13:00,717 病を治す事をな 生業としているゆえに・ 95 00:13:00,717 --> 00:13:04,721 覚悟の上で この家に入れた。 96 00:13:04,721 --> 00:13:08,224 あの女子を 担ぎ込んできた そなたにも・ 97 00:13:08,224 --> 00:13:11,227 それなりの覚悟を してもらわねば…。 98 00:13:11,227 --> 00:13:13,229 しかし 私は…。 99 00:13:13,229 --> 00:13:15,732 あの女子が 元気になるまでは・ 100 00:13:15,732 --> 00:13:17,732 奥の部屋で 匿おう。 101 00:13:20,236 --> 00:13:22,736 その後は お主に任せる。 102 00:13:25,241 --> 00:14:21,241 ・~ 103 00:14:36,179 --> 00:14:40,179 なぜ 私を助けたのですか? 104 00:14:42,185 --> 00:14:45,688 「なぜ」? 105 00:14:45,688 --> 00:14:49,688 ほうっておいて くれれば よかった。 106 00:14:51,694 --> 00:14:56,699 そなたは 撃たれようと していたんだ。 107 00:14:56,699 --> 00:14:59,699 助けるのは 当然の事だろう? 108 00:15:02,705 --> 00:15:06,209 お主とは 何の縁もない。 109 00:15:06,209 --> 00:15:09,212 そのまま 去ろうと思ったが・ 110 00:15:09,212 --> 00:15:13,212 「去っては困る」と 薬師に言われたんだ。 111 00:15:15,218 --> 00:15:17,218 気が付いたか? お菊。 112 00:15:27,163 --> 00:15:30,667 2~3日で 腫れも引く。 113 00:15:30,667 --> 00:15:37,173 立てるようになったら ここから 出ていってくれ。 114 00:15:37,173 --> 00:15:39,175 はい。 115 00:15:39,175 --> 00:15:44,175 お主を 置いておくと わしにも お咎めがくるのだ。 116 00:15:46,182 --> 00:15:48,182 分かりました。 117 00:15:51,187 --> 00:15:54,190 ・(男)典膳先生 ・(女)助けて下され 118 00:15:54,190 --> 00:15:56,192 ・(赤ん坊の泣き声) 119 00:15:56,192 --> 00:15:58,194 どうした? 120 00:15:58,194 --> 00:16:01,197 裏山で 狩りの矢に 当たったんです 121 00:16:01,197 --> 00:16:05,201 抜こうにも 鏃が引っかかって…。 122 00:16:05,201 --> 00:16:08,204 (泣き声) 123 00:16:08,204 --> 00:16:10,204 (女)大丈夫だからね 124 00:16:14,711 --> 00:16:16,711 あ~っ 125 00:16:20,216 --> 00:16:23,219 手伝ってくれるか? お侍。 126 00:16:23,219 --> 00:16:25,219 ああ。 127 00:16:29,659 --> 00:16:33,162 (子供の泣き声) 128 00:16:33,162 --> 00:16:35,164 我慢じゃ 我慢。 129 00:16:35,164 --> 00:16:37,164 すぐ終わる。 130 00:16:39,168 --> 00:16:41,170 もう 大丈夫じゃ。 131 00:16:41,170 --> 00:16:43,172 連れて帰って 大丈夫だぞ。 132 00:16:43,172 --> 00:16:46,175 (二人) ありがとうございます。 133 00:16:46,175 --> 00:16:49,178 明日 また 薬を塗りに 来るとよい。 134 00:16:49,178 --> 00:16:52,181 はい ありがとう ございました。 135 00:16:52,181 --> 00:16:55,181 (二人)ありがとう ございました。 136 00:17:02,692 --> 00:17:05,695 手助け かたじけない。 137 00:17:05,695 --> 00:17:07,695 いえ。 138 00:17:09,699 --> 00:17:13,199 武芸の心得が おありなのですね? 139 00:17:22,712 --> 00:17:24,714 元は…・ 140 00:17:24,714 --> 00:17:27,214 岩井家の 人斬りでの。 141 00:17:30,153 --> 00:17:32,155 「人斬り」? 142 00:17:32,155 --> 00:17:34,655 罪を犯した者を 斬る。 143 00:17:37,160 --> 00:17:39,160 なぜ 薬師に? 144 00:17:44,167 --> 00:17:49,172 人を斬るのが 嫌になってのう…。 145 00:17:49,172 --> 00:17:52,672 人を助ける生業に 転じたのよ。 146 00:18:07,190 --> 00:18:12,695 ・(典膳)お菊の父親は 近江の鉄砲衆の親方での…。 147 00:18:12,695 --> 00:18:14,697 ・「鉄砲衆」? 148 00:18:14,697 --> 00:18:19,202 ・鉄砲鍛冶や 火薬職人たちの事だ。 149 00:18:19,202 --> 00:18:22,705 ・戦の世で 鉄砲衆を味方にすれば・ 150 00:18:22,705 --> 00:18:24,705 それは 大きな力となる。 151 00:18:27,643 --> 00:18:33,149 岩井家も 元は 豊臣恩顧の家での…。 152 00:18:33,149 --> 00:18:36,152 それが いつか 重臣たちが・ 153 00:18:36,152 --> 00:18:42,158 豊臣 徳川の2派に分かれて 争いを始めた。 154 00:18:42,158 --> 00:18:44,160 そんな折…・ 155 00:18:44,160 --> 00:18:48,164 徳川寄りの重臣 片倉重之進が・ 156 00:18:48,164 --> 00:18:50,164 ある画策をした。 157 00:18:52,168 --> 00:18:55,671 ・(典膳)片倉は お菊の父 半佐衛門が・ 158 00:18:55,671 --> 00:19:01,177 花火なる物を 作り出そうと していた事を 利用したのだ。 159 00:19:01,177 --> 00:19:04,180 「花火」? 160 00:19:04,180 --> 00:19:07,683 空に揚がると…・ 161 00:19:07,683 --> 00:19:11,183 それは 美しい光を放つもの…。 162 00:19:19,195 --> 00:19:26,135 琵琶湖で 家康公への お月見の宴が 催された折…・ 163 00:19:26,135 --> 00:19:32,135 片倉は 半佐衛門に 「花火を 打ち上げろ」と伝えた。 164 00:19:34,143 --> 00:19:36,646 それが 罠だった。 165 00:19:36,646 --> 00:19:40,650 家康公が見る事など 知らない半佐衛門は・ 166 00:19:40,650 --> 00:19:44,153 言われたとおりに 花火を打ち上げた。 167 00:19:44,153 --> 00:19:47,156 だが 片倉は…・ 168 00:19:47,156 --> 00:19:50,159 「あの 花火なるものは・ 169 00:19:50,159 --> 00:19:57,166 鉄砲衆の 家康公への 謀反の狼煙だ」とし・ 170 00:19:57,166 --> 00:20:00,670 鉄砲衆を 罰したのだ。 171 00:20:00,670 --> 00:20:02,672 ・そして 片倉は・ 172 00:20:02,672 --> 00:20:08,177 鉄砲衆が 徳川の支配に なる事を条件に・ 173 00:20:08,177 --> 00:20:14,183 親方の 半佐衛門だけを 打ち首にした。 174 00:20:14,183 --> 00:20:19,689 ・それを知って お菊殿は…。 175 00:20:19,689 --> 00:20:22,191 ・そうだ。 176 00:20:22,191 --> 00:20:24,193 ・お菊は・ 177 00:20:24,193 --> 00:20:28,130 父が 慣れ親しんだ火薬で・ 178 00:20:28,130 --> 00:20:30,132 片倉を 撃った。 179 00:20:30,132 --> 00:20:32,134 [ 回想 ] 180 00:20:32,134 --> 00:20:49,652 ・~ 181 00:20:49,652 --> 00:20:52,154 (銃声) 182 00:20:52,154 --> 00:20:57,159 ・~ 183 00:20:57,159 --> 00:21:02,164 (典膳)苦心の花火が…・ 184 00:21:02,164 --> 00:21:04,166 皮肉なものだ。 185 00:21:04,166 --> 00:21:29,125 ・~ 186 00:21:29,125 --> 00:21:31,125 お通 187 00:21:34,630 --> 00:21:37,133 おう。 188 00:21:37,133 --> 00:21:39,635 俺んとこに来い。 189 00:21:39,635 --> 00:21:44,140 俺は 材木で儲けて 道三堀に 家を借りたんだ。 190 00:21:44,140 --> 00:21:47,143 ここで 人でいても しょうがねえ。 191 00:21:47,143 --> 00:21:49,145 俺のほうに来い。 192 00:21:49,145 --> 00:21:51,147 でも…。 193 00:21:51,147 --> 00:21:54,650 武蔵は 度 決めた事を 翻す奴じゃない。 194 00:21:54,650 --> 00:21:57,150 ここで待ってても 帰ってこないぞ。 195 00:21:59,155 --> 00:22:01,155 ・俺の所に来いよ お通。 196 00:22:05,161 --> 00:22:07,663 おい 来いよ お通。 197 00:22:07,663 --> 00:22:11,167 ほら… 来いよ~ 198 00:22:11,167 --> 00:22:13,169 来いよ~ お通…。 199 00:22:13,169 --> 00:22:15,171 ・(戸が開く音) 200 00:22:15,171 --> 00:22:17,173 うわ~ びっくりした 201 00:22:17,173 --> 00:22:21,173 [ 弁解する又八 ] 202 00:22:27,183 --> 00:22:29,185 (朱実) そうしなよ お通さん。 203 00:22:29,185 --> 00:22:31,187 え…? 204 00:22:31,187 --> 00:22:33,189 うちへ…。 205 00:22:33,189 --> 00:22:36,689 ううん… 又八さんの家へ おいでよ。 206 00:22:57,213 --> 00:23:01,217 約束だ。 出ていってもらおう。 207 00:23:01,217 --> 00:23:05,217 岩井の者が あちこち 聞き歩いてるらしい。 208 00:23:07,223 --> 00:23:09,223 はい。 209 00:23:11,227 --> 00:23:13,729 ・(男)典膳 おるか 210 00:23:13,729 --> 00:23:16,232 隠れろ。 211 00:23:16,232 --> 00:23:19,235 隠れろ 212 00:23:19,235 --> 00:23:21,737 三木様…。 213 00:23:21,737 --> 00:23:26,737 3日前 ここに 女が 担ぎ込まれたのを見た者がおる。 214 00:23:28,677 --> 00:23:31,180 ・(襖が開く音) 215 00:23:31,180 --> 00:23:33,180 (家臣)あ… 貴様 216 00:23:39,188 --> 00:23:42,188 私が… 担ぎ込みました。 217 00:23:49,198 --> 00:23:52,701 …で 女は? 218 00:23:52,701 --> 00:23:56,205 もう 出立を致しました。 219 00:23:56,205 --> 00:24:27,670 ・~ 220 00:24:27,670 --> 00:24:29,672 三木様…。 221 00:24:29,672 --> 00:24:35,177 この方は 傷ついた女子を ここへ運んだだけです。 222 00:24:35,177 --> 00:24:37,179 いいだろう…。 223 00:24:37,179 --> 00:24:39,682 ただし…・ 224 00:24:39,682 --> 00:24:43,185 もし 匿ったりすると・ 225 00:24:43,185 --> 00:24:46,188 お主たちの命はない。 226 00:24:46,188 --> 00:24:48,190 覚えておけ。 227 00:24:48,190 --> 00:25:30,190 ・~ 228 00:25:43,679 --> 00:25:45,681 行こう。 229 00:25:45,681 --> 00:25:49,181 ここにいると 典膳殿に 迷惑がかかる。 230 00:26:27,656 --> 00:26:29,656 毒だ 231 00:26:37,666 --> 00:26:39,666 よせっ 232 00:26:45,674 --> 00:26:50,179 なぜ 死なせて下さらないのです? 233 00:26:50,179 --> 00:26:53,179 なぜ 死なせて下さらないのです 234 00:26:55,184 --> 00:26:57,186 私は…・ 235 00:26:57,186 --> 00:27:01,190 あの時 鉄砲に撃たれて 死にたかった。 236 00:27:01,190 --> 00:27:05,194 助けてほしくなかった 237 00:27:05,194 --> 00:27:07,696 助かった命を・ 238 00:27:07,696 --> 00:27:10,196 なぜ 捨てようとする? 239 00:27:13,202 --> 00:27:15,704 あの世にいる…・ 240 00:27:15,704 --> 00:27:17,704 父の所へ行きたい。 241 00:27:19,708 --> 00:27:24,213 典膳殿は 必死で そなたを救ったんだ。 242 00:27:24,213 --> 00:27:26,148 なぜ 分かろうとしない 243 00:27:26,148 --> 00:27:39,161 ~ 244 00:27:39,161 --> 00:27:43,165 私は… 245 00:27:43,165 --> 00:27:46,168 お前の父の首を 斬った。 246 00:27:46,168 --> 00:27:54,676 ~ 247 00:27:54,676 --> 00:27:56,678 だから… 248 00:27:56,678 --> 00:27:59,681 お前には… 249 00:27:59,681 --> 00:28:02,684 何としてでも… 250 00:28:02,684 --> 00:28:04,686 助かってもらいたい。 251 00:28:04,686 --> 00:28:28,186 ~ 252 00:28:37,152 --> 00:28:41,152 典膳殿を お恨みするなよ。 253 00:28:46,161 --> 00:28:49,164 分かっております。 254 00:28:49,164 --> 00:28:51,164 座れ。 255 00:29:03,178 --> 00:29:09,178 助けて頂いた事は ありがたいと思っています。 256 00:29:11,687 --> 00:29:14,189 でも… 257 00:29:14,189 --> 00:29:16,191 私は もう 258 00:29:16,191 --> 00:29:19,191 生きる力を 使い果たしました。 259 00:29:24,199 --> 00:29:26,635 ある人に 260 00:29:26,635 --> 00:29:28,635 言われた事がある…。 261 00:29:32,140 --> 00:29:36,144 「生きようと思え。 262 00:29:36,144 --> 00:29:44,152 最後の最後まで 生きていようと思え。 263 00:29:44,152 --> 00:29:50,659 どんなに追い詰められても 生きようと思え。 264 00:29:50,659 --> 00:29:53,161 そうすれば 265 00:29:53,161 --> 00:29:56,164 いつか 必ず… 266 00:29:56,164 --> 00:29:59,164 命より大切なものが 見つかる」。 267 00:30:08,176 --> 00:30:10,178 私は… 268 00:30:10,178 --> 00:30:13,178 その言葉に 生かされた。 269 00:30:16,184 --> 00:30:18,184 生きていろ お菊殿。 270 00:30:20,689 --> 00:30:23,191 (三木)典膳。 271 00:30:23,191 --> 00:30:25,191 典膳 272 00:30:27,629 --> 00:30:31,633 方々を捜したが お菊は いなかった。 273 00:30:31,633 --> 00:30:33,635 そうですか。 274 00:30:33,635 --> 00:30:35,671 だがな… 275 00:30:35,671 --> 00:30:38,674 岩井家軍師 三木軍兵衛。 276 00:30:38,674 --> 00:30:42,177 手ぶらで帰る訳には いかんのだ。 277 00:30:42,177 --> 00:30:44,177 (小声で)隠れろ。 278 00:30:49,184 --> 00:30:53,184 お主を お菊を逃がした咎で 罰する。 279 00:31:02,197 --> 00:31:04,199 うわっ 280 00:31:04,199 --> 00:31:06,199 や~っ 281 00:31:13,208 --> 00:31:15,208 や~っ 282 00:31:34,663 --> 00:31:37,165 これも 浮世の 巡り合わせだ。 283 00:31:37,165 --> 00:31:39,167 早く発ったほうがいい。 284 00:31:39,167 --> 00:31:42,170 ここにいると 面倒な事になる。 285 00:31:42,170 --> 00:31:46,174 典膳殿こそ 面倒に巻き込まれるのでは? 286 00:31:46,174 --> 00:31:49,177 己の事は 己が始末する。 287 00:31:49,177 --> 00:31:51,179 お菊を… 288 00:31:51,179 --> 00:31:56,184 国境まで 送り届けてやってくれ。 289 00:31:56,184 --> 00:31:59,187 分かりました。 290 00:31:59,187 --> 00:32:01,187 お菊…。 291 00:32:04,693 --> 00:32:07,195 お主が… 292 00:32:07,195 --> 00:32:12,200 父の仇を討った気持… 293 00:32:12,200 --> 00:32:14,200 わしには よう分かる。 294 00:32:24,212 --> 00:32:26,212 命を 無駄にするな。 295 00:32:34,723 --> 00:32:36,723 はい。 296 00:32:40,228 --> 00:32:42,228 宮本様…。 297 00:32:44,232 --> 00:32:46,232 私は ここで…。 298 00:32:48,236 --> 00:32:51,236 ありがとう ございました。 299 00:32:54,242 --> 00:32:56,242 死ぬな。 300 00:32:58,246 --> 00:33:02,250 道中 何度も 同じ事を言われました。 301 00:33:02,250 --> 00:33:07,250 仇討ちだけが 生きるすべてではない。 302 00:33:09,257 --> 00:33:14,763 生きていれば ほかに したいと思う事が出てくる。 303 00:33:14,763 --> 00:33:16,763 何を? 304 00:33:18,767 --> 00:33:20,767 たとえば 何を? 305 00:33:23,271 --> 00:33:27,209 たとえば…・ 306 00:33:27,209 --> 00:33:29,209 人を思うとか。 307 00:33:32,214 --> 00:33:36,214 人を 思っているのですね? 宮本様は。 308 00:33:39,221 --> 00:33:44,221 それで どんな事があっても 生きていようと…。 309 00:33:54,736 --> 00:33:59,241 私にも そんな お方がいれば…・ 310 00:33:59,241 --> 00:34:01,241 生き抜いていけます。 311 00:34:03,745 --> 00:34:05,745 別れてきたんだ。 312 00:34:07,749 --> 00:34:11,253 私の弱い心が…・ 313 00:34:11,253 --> 00:34:14,253 その者を 待っていられなかった。 314 00:34:16,258 --> 00:34:19,261 信じきれなかった。 315 00:34:19,261 --> 00:34:22,261 それで 時折 悲しい お顔を? 316 00:34:25,267 --> 00:34:27,202 私も…・ 317 00:34:27,202 --> 00:34:31,206 そんなふうに 人に思われてみたいもの。 318 00:34:31,206 --> 00:34:34,209 思うてみたいもの。 319 00:34:34,209 --> 00:34:36,711 生きていれば・ 320 00:34:36,711 --> 00:34:39,211 そうなるかも しれない。 321 00:34:41,716 --> 00:34:44,219 私も…・ 322 00:34:44,219 --> 00:34:48,723 己が こんなふうに 人を思う心を持つとは・ 323 00:34:48,723 --> 00:34:50,723 思ってもいなかった。 324 00:34:56,231 --> 00:34:58,233 命を 粗末にするな。 325 00:34:58,233 --> 00:35:09,244 ・~ 326 00:35:09,244 --> 00:35:11,246 国へ戻って…・ 327 00:35:11,246 --> 00:35:16,251 どんな事があっても 生きていようと思った時には・ 328 00:35:16,251 --> 00:35:19,251 宮本様へ お知らせします。 329 00:35:21,256 --> 00:35:24,259 私の気持が 強ければ・ 330 00:35:24,259 --> 00:35:27,759 宮本様の許へ 届くやも しれません。 331 00:35:32,701 --> 00:35:35,203 この先は 花折峠。 332 00:35:35,203 --> 00:35:39,207 どうか 気を付けて お越え下さいませ。 333 00:35:39,207 --> 00:36:21,207 ・~ 334 00:36:24,252 --> 00:36:27,252 ・(破裂音) 335 00:36:31,693 --> 00:36:35,196 <夜空に揚がった 美しい花火は・ 336 00:36:35,196 --> 00:36:40,702 生きる力が 出てきた事を お菊が 知らせてきたのだと・ 337 00:36:40,702 --> 00:36:42,702 武蔵は 思った> 338 00:37:09,731 --> 00:37:14,231 新免無二斎殿の道場は こちらか? 339 00:37:21,242 --> 00:37:23,745 無二斎殿か? 340 00:37:23,745 --> 00:37:26,181 (無二斎)そうだ。 341 00:37:26,181 --> 00:37:30,685 御子息 宮本武蔵殿の事で・ 342 00:37:30,685 --> 00:37:32,685 ちと 話がしたい。 343 00:37:36,191 --> 00:37:38,191 「宮本武蔵」? 344 00:37:40,195 --> 00:37:45,200 (備前)新免無二斎を 京へ向かわせました。 345 00:37:45,200 --> 00:37:47,202 首尾よく いったか? 346 00:37:47,202 --> 00:37:49,204 はい。 347 00:37:49,204 --> 00:37:53,204 父の願いを聞かぬ子は おりますまい。 348 00:37:55,210 --> 00:38:00,715 佐々木小次郎という者 九州の地に 名が轟いて・ 349 00:38:00,715 --> 00:38:06,221 道場には 訪れる者 引きも切らずの 有様らしい。 350 00:38:06,221 --> 00:38:12,227 わしは 何としても 武蔵という男を 召し抱えたい。 351 00:38:12,227 --> 00:38:19,234 このままでは わしの世が すぐに 忠利に 取って代わられる。 352 00:38:19,234 --> 00:38:24,239 お望みを 叶える事ができると 思うております。 353 00:38:24,239 --> 00:38:37,239 ・~ 354 00:38:40,188 --> 00:38:54,702 ・~ 355 00:38:54,702 --> 00:38:57,705 <武蔵は 京に向かった。・ 356 00:38:57,705 --> 00:39:01,209 京で 父 無二斎が 待っている。・ 357 00:39:01,209 --> 00:39:05,713 父を超えるために 剣の道を目指した 自分…。・ 358 00:39:05,713 --> 00:39:10,218 何としても 父と会わなければ ならない> 359 00:39:10,218 --> 00:40:04,218 ・~ 360 00:40:09,210 --> 00:40:11,210 親父様…。 361 00:40:20,722 --> 00:40:23,722 名を上げたようだの 武蔵。 362 00:40:26,161 --> 00:40:29,164 九州の地にも…・ 363 00:40:29,164 --> 00:40:32,667 お前の名が 聞こえてきておる。 364 00:40:32,667 --> 00:40:36,167 「宮本武蔵」… とな。 365 00:40:38,173 --> 00:40:40,173 偉くなったのう。 366 00:40:52,187 --> 00:40:55,690 お父上は…・ 367 00:40:55,690 --> 00:40:58,693 お元気ですか? 368 00:40:58,693 --> 00:41:02,197 見てのとおりの 老いぼれよ。 369 00:41:02,197 --> 00:41:05,197 まだまだ そのようには 見えません。 370 00:41:07,202 --> 00:41:09,702 父に向かって 世辞は よせ。 371 00:41:12,707 --> 00:41:15,210 お前…・ 372 00:41:15,210 --> 00:41:18,713 細川家の仕官の話に・ 373 00:41:18,713 --> 00:41:23,218 色よい返答を しなかったそうだな? 374 00:41:23,218 --> 00:41:25,220 はい。 375 00:41:25,220 --> 00:41:28,656 なぜだ? 376 00:41:28,656 --> 00:41:34,162 別の生きかたを したいと思ったからです。 377 00:41:34,162 --> 00:41:38,166 「別の生きかた」…? 378 00:41:38,166 --> 00:41:41,166 剣を取らぬ 生きかたです。 379 00:41:46,174 --> 00:41:50,178 剣で 天下に 名を轟かせておいて・ 380 00:41:50,178 --> 00:41:52,680 お前 何を言ってるんだ? 381 00:41:52,680 --> 00:41:55,680 何のために 剣の修行をしてきた? 382 00:42:00,188 --> 00:42:03,191 私は 父上に…・ 383 00:42:03,191 --> 00:42:05,193 「お前は 弱い。・ 384 00:42:05,193 --> 00:42:09,197 悔しかったら 強くなってみろ」 と言われました。 385 00:42:09,197 --> 00:42:12,700 その言葉を 肝に銘じて・ 386 00:42:12,700 --> 00:42:16,200 ひたすら 強くなろうと 思ったんです。 387 00:42:18,206 --> 00:42:20,708 そうか。 388 00:42:20,708 --> 00:42:23,211 それなら…・ 389 00:42:23,211 --> 00:42:26,714 細川家へ仕官してくれ。 390 00:42:26,714 --> 00:42:30,214 武蔵… 小倉へ行ってくれ。 391 00:42:32,220 --> 00:42:34,220 頼む。 392 00:42:37,225 --> 00:42:39,727 お前が 仕官すれば・ 393 00:42:39,727 --> 00:42:43,731 わしは 二百石もらえる。 394 00:42:43,731 --> 00:42:46,234 二百石あれば・ 395 00:42:46,234 --> 00:42:50,238 去っていった門人たちも 帰ってくる。 396 00:42:50,238 --> 00:42:53,741 もう 誰も おらんのじゃ。 397 00:42:53,741 --> 00:42:56,744 お前しか…・ 398 00:42:56,744 --> 00:43:01,249 今の わしを 助けてくれる者は おらんのじゃ。 399 00:43:01,249 --> 00:43:03,249 武蔵 400 00:43:05,253 --> 00:43:10,258 いや… 宮本武蔵殿。 401 00:43:10,258 --> 00:43:12,260 わしを助けると思うて・ 402 00:43:12,260 --> 00:43:14,262 小倉へ行ってくれ。 403 00:43:14,262 --> 00:43:17,265 やめて下さい。 404 00:43:17,265 --> 00:43:19,767 頼む。 このとおりだ。 405 00:43:19,767 --> 00:43:21,767 頭を 上げて下さい。 406 00:43:27,709 --> 00:43:30,211 父上が…・ 407 00:43:30,211 --> 00:43:32,714 弱くなっては 困る。 408 00:43:32,714 --> 00:43:34,716 父上は・ 409 00:43:34,716 --> 00:43:38,216 強いままで いなければ 困るのです 410 00:43:41,222 --> 00:43:45,226 父上は 私に・ 411 00:43:45,226 --> 00:43:47,228 「お前は 弱い。・ 412 00:43:47,228 --> 00:43:50,231 もっと強くなれ」と言った 413 00:43:50,231 --> 00:43:53,234 「俺のように 強くなってみろ」と 414 00:43:53,234 --> 00:43:56,237 だから 俺は 強くなったのです 415 00:43:56,237 --> 00:43:58,239 今の…・ 416 00:43:58,239 --> 00:44:01,242 「宮本武蔵」に なったんです 417 00:44:01,242 --> 00:44:18,259 ・~ 418 00:44:18,259 --> 00:44:20,261 武蔵殿…。 419 00:44:20,261 --> 00:44:23,264 小倉へ 行って下さい。 420 00:44:23,264 --> 00:44:25,266 わしのためと思うて・ 421 00:44:25,266 --> 00:44:27,201 仕官をして下され 422 00:44:27,201 --> 00:44:29,203 やめて下され。 423 00:44:29,203 --> 00:44:31,205 やめて下さい 424 00:44:31,205 --> 00:44:34,208 やめて下さい 父上 425 00:44:34,208 --> 00:44:36,210 頭を 上げて下さい 426 00:44:36,210 --> 00:44:39,710 父上 頭を… 父上 427 00:44:41,716 --> 00:44:43,716 父上 428 00:44:46,220 --> 00:44:48,222 父上~っ 429 00:44:48,222 --> 00:44:50,222 ・~