1 00:02:28,829 --> 00:02:57,892 ・~ 2 00:02:57,892 --> 00:02:59,894 (兵庫助)どけ 武蔵。 3 00:02:59,894 --> 00:03:01,896 (宮本武蔵)どかぬ。 4 00:03:01,896 --> 00:03:03,898 どかぬと・ 5 00:03:03,898 --> 00:03:06,901 そなたを斬る。 6 00:03:06,901 --> 00:03:21,916 ・~ (テーマ音楽) 7 00:03:21,916 --> 00:03:35,916 ・~ 8 00:06:20,895 --> 00:06:22,895 動くな。 9 00:06:28,836 --> 00:06:30,836 (又八)お通。 10 00:06:32,840 --> 00:06:34,842 (お通)武蔵… 兵庫助…。 11 00:06:34,842 --> 00:06:36,842 俺を 殺しに来たんだ。 12 00:06:39,847 --> 00:06:42,850 やめて 武蔵。 13 00:06:42,850 --> 00:06:44,852 兵庫助様 14 00:06:44,852 --> 00:06:46,852 おやめ下さい 15 00:06:57,865 --> 00:06:59,865 お通 16 00:07:07,374 --> 00:07:11,374 どかないと 危ないぞ お通。 17 00:07:13,881 --> 00:07:15,881 どきませぬ。 18 00:07:27,828 --> 00:08:18,379 ・~ 19 00:08:18,379 --> 00:08:22,879 これ以上 動くな… 本位田又八。 20 00:08:25,386 --> 00:08:29,323 そうせぬと…・ 21 00:08:29,323 --> 00:08:31,823 いずれ 斬る事になる。 22 00:08:36,830 --> 00:08:38,830 兵庫助様 23 00:08:42,836 --> 00:08:44,836 ありがとうございます。 24 00:08:47,841 --> 00:08:51,845 押し入ったのは・ 25 00:08:51,845 --> 00:08:53,845 私の方だ。 26 00:08:56,850 --> 00:09:00,350 そなたが いるとは 思わなかった。 27 00:09:02,856 --> 00:09:04,856 武蔵殿が いるとも…。 28 00:09:10,864 --> 00:09:12,864 兵庫助殿 29 00:09:15,869 --> 00:09:17,869 何だ? 30 00:09:25,879 --> 00:09:29,817 宗矩殿に・ 31 00:09:29,817 --> 00:09:31,817 お会いしたい。 32 00:09:37,324 --> 00:09:40,327 なぜ? 33 00:09:40,327 --> 00:09:42,827 問いたい事が あるのです。 34 00:09:51,338 --> 00:09:54,338 いずれ 使いの者をよこす。 35 00:10:32,312 --> 00:10:35,816 ・又八さん 危ない事は やめて。 36 00:10:35,816 --> 00:10:39,816 やめたら 俺は 何者にも なれねえ 37 00:10:45,826 --> 00:10:47,828 誰かが いる。 38 00:10:47,828 --> 00:10:49,828 また来たのか? 柳生が。 39 00:10:52,332 --> 00:10:55,836 ・(お甲)誰か… 誰か いないのかい? 40 00:10:55,836 --> 00:10:59,339 お甲 お甲さん…? 41 00:10:59,339 --> 00:11:01,842 お甲 42 00:11:01,842 --> 00:11:04,845 お甲さん…。 生きてたのですか? 43 00:11:04,845 --> 00:11:07,848 お通さん… 武蔵。 44 00:11:07,848 --> 00:11:10,350 無事だったのか? ああ…。 45 00:11:10,350 --> 00:11:13,353 どこに いたんですか? 46 00:11:13,353 --> 00:11:16,356 いいかい? おう。 47 00:11:16,356 --> 00:11:19,860 斬られて 河原で 倒れているところを・ 48 00:11:19,860 --> 00:11:22,362 薬草取りに 助けられてね…。 49 00:11:22,362 --> 00:11:26,366 それで 山で ずっと 養生してたんだよ。 50 00:11:26,366 --> 00:11:29,366 村の者は ほとんど 死んだそうだ。 51 00:11:31,305 --> 00:11:35,309 おふくろを おぶって 美作に行った俺は 無事だった。 52 00:11:35,309 --> 00:11:37,311 そうだったのかい…。 53 00:11:37,311 --> 00:11:41,811 おふくろ様が 又八さんの命を 救ったのです。 54 00:11:44,318 --> 00:11:46,318 でも よく御無事でした。 55 00:11:48,322 --> 00:11:50,324 私もね…・ 56 00:11:50,324 --> 00:11:52,826 朱実が 助けてくれたんだよ。 57 00:11:52,826 --> 00:11:54,828 「朱実」が? 58 00:11:54,828 --> 00:11:58,332 「朱実に会うまでは 死んでたまるか」って・ 59 00:11:58,332 --> 00:12:01,335 川まで 這っていったんだよ。 60 00:12:01,335 --> 00:12:05,339 朱実がいなければ とうに くたばってる。 61 00:12:05,339 --> 00:12:07,839 朱実は どこにいるんだ? 62 00:12:09,843 --> 00:12:11,845 生きてれば…・ 63 00:12:11,845 --> 00:12:15,345 今頃 もう 子が生まれてると思うよ。 64 00:12:27,361 --> 00:12:31,365 ここまで来るのに 苦労したんだよ。 65 00:12:31,365 --> 00:12:34,368 豊臣方と疑われた百姓が・ 66 00:12:34,368 --> 00:12:38,372 ただ それだけで 見せしめのために・ 67 00:12:38,372 --> 00:12:43,377 両手の指を 切り落とされたって 話も 聞いたしね…。 68 00:12:43,377 --> 00:12:45,379 そうだったのですか…。 69 00:12:45,379 --> 00:12:49,383 美濃へ 行ってみるか… お甲。 70 00:12:49,383 --> 00:12:51,385 「美濃」へ? 71 00:12:51,385 --> 00:12:55,389 生まれ育った 美濃の話を 朱実は よくしていた。 72 00:12:55,389 --> 00:12:57,891 人になって 戻るといえば・ 73 00:12:57,891 --> 00:12:59,893 ふるさとしか ないだろう。 74 00:12:59,893 --> 00:13:02,396 朱実を 捜しに行ってくれるのかい? 75 00:13:02,396 --> 00:13:05,399 徳川方の軍勢が たむろしている。 76 00:13:05,399 --> 00:13:07,401 うかつな事をしたら・ 77 00:13:07,401 --> 00:13:09,403 命にかかわるぞ。 78 00:13:09,403 --> 00:13:11,905 朱実のために 度ぐらいは・ 79 00:13:11,905 --> 00:13:14,408 命を懸けてやらねえとな。 80 00:13:14,408 --> 00:13:18,412 武蔵は 村の者のために 命を懸けようとしている。 81 00:13:18,412 --> 00:13:22,416 お通だって 武蔵のために 命を懸けてる。 82 00:13:22,416 --> 00:13:24,418 行くか? お甲 83 00:13:24,418 --> 00:13:26,420 行くよ 84 00:13:26,420 --> 00:13:35,862 ・~ 85 00:13:35,862 --> 00:13:37,862 おっ…。 86 00:13:39,866 --> 00:13:42,369 大丈夫だよ。 87 00:13:42,369 --> 00:13:46,373 捕らえられたら 指を切られ 磔だぞ。 88 00:13:46,373 --> 00:13:50,877 私は 度 死んだんだ。 怖いものなんかないよ。 89 00:13:50,877 --> 00:13:52,879 朱実に 会いたいのか? 90 00:13:52,879 --> 00:13:54,881 あんたは? 91 00:13:54,881 --> 00:13:57,884 会いたくなきゃ 命は懸けねえよ。 92 00:13:57,884 --> 00:14:30,350 ・~ 93 00:14:30,350 --> 00:14:32,350 (枝が折れる音) 94 00:14:36,857 --> 00:14:38,859 誰だっ 95 00:14:38,859 --> 00:14:41,862 逃げろっ。 待て~ 逃がすな~ 96 00:14:41,862 --> 00:14:56,877 ・~ 97 00:14:56,877 --> 00:14:59,880 (赤ん坊の泣き声) 98 00:14:59,880 --> 00:15:01,882 ・~ 99 00:15:01,882 --> 00:15:06,386 <慶長19年11月… 大坂城を 遠巻きにして・ 100 00:15:06,386 --> 00:15:10,886 20万を超える 徳川方の軍勢が 陣についた> 101 00:15:14,394 --> 00:15:19,900 <記録には 幅3間に 200人余りが 押し込まれており・ 102 00:15:19,900 --> 00:15:23,900 鼠の這い出る透き間もない 有様であった> 103 00:15:26,907 --> 00:15:32,846 <徳川軍は 11月19日の開戦から 圧倒的な兵力で勝ち続け・ 104 00:15:32,846 --> 00:15:36,846 その包囲網を より 強固にしていった> 105 00:15:39,853 --> 00:15:43,357 <12月4日 徳川軍は 勢いに乗り・ 106 00:15:43,357 --> 00:15:47,361 大坂城の南方に築かれた 真田丸を 攻撃した> 107 00:15:47,361 --> 00:15:54,868 (銃声) 108 00:15:54,868 --> 00:15:59,873 <しかし 籠城戦を得意とする 真田幸村の策略により・ 109 00:15:59,873 --> 00:16:02,873 大きな打撃を受け 敗退する> 110 00:16:04,878 --> 00:16:06,880 (治長)徳川方より・ 111 00:16:06,880 --> 00:16:10,884 「和議を結びたい」と 言うてきておりまする。 112 00:16:10,884 --> 00:16:14,388 家康の 思いつきそうな事じゃのう。 113 00:16:14,388 --> 00:16:16,390 方で 脅しておいて・ 114 00:16:16,390 --> 00:16:18,892 方で なだめすかす。 115 00:16:18,892 --> 00:16:26,400 「鼠匹 通り抜ける事はできぬ」と 徳川の者が 言うておるとおり・ 116 00:16:26,400 --> 00:16:29,336 わが城は 包囲されております。 117 00:16:29,336 --> 00:16:34,841 ここは 和議に応じるのが 得策かと…。 118 00:16:34,841 --> 00:16:38,845 徳川の軍勢が押し寄せた時 この幸村が・ 119 00:16:38,845 --> 00:16:42,849 見事 打ち負かしたではないか。 120 00:16:42,849 --> 00:16:44,851 家康は・ 121 00:16:44,851 --> 00:16:49,356 真田父子に 二度にわたって 敗れた事を 思い出し・ 122 00:16:49,356 --> 00:16:51,858 震えあがったというぞ。 123 00:16:51,858 --> 00:16:55,862 それで あわてて 大砲を 撃ち込んできたのじゃ。 124 00:16:55,862 --> 00:17:01,868 (幸村)今 徳川方は 大砲を 撃ち込む事で 手いっぱいとなり・ 125 00:17:01,868 --> 00:17:03,870 各陣 があります。 126 00:17:03,870 --> 00:17:06,873 夜陰に乗じて 大砲の陣を 打ち破り・ 127 00:17:06,873 --> 00:17:11,878 その勢いで 茶臼山の家康本陣を 突いて御覧にいれましょう。 128 00:17:11,878 --> 00:17:14,881 (秀頼) まこと できるか? 幸村。 129 00:17:14,881 --> 00:17:16,883 勝算は ございます。 130 00:17:16,883 --> 00:17:18,885 うむ やってみせい。 131 00:17:18,885 --> 00:17:20,887 はっ。 132 00:17:20,887 --> 00:17:24,391 家康が どのような条件を 出してこようと・ 133 00:17:24,391 --> 00:17:26,893 わしは 和議に応じない。 134 00:17:26,893 --> 00:17:29,830 家康に そう言うておけ 治長。 135 00:17:29,830 --> 00:17:31,832 ははっ。 136 00:17:31,832 --> 00:17:34,835 (正信) とにかく 大御所様は・ 137 00:17:34,835 --> 00:17:38,839 またしても 真田幸村に してやられた事を・ 138 00:17:38,839 --> 00:17:41,339 いたく お怒りなのだ。 139 00:17:45,345 --> 00:17:48,849 片桐且元が描いた 大坂城の絵図じゃ。 140 00:17:48,849 --> 00:17:52,853 「これをもとに 各陣より 大砲を撃ち込め」と・ 141 00:17:52,853 --> 00:17:54,855 大御所様の御下命だ。 142 00:17:54,855 --> 00:17:56,857 かしこまりました。 143 00:17:56,857 --> 00:18:00,360 大砲を 続けざまに 城に撃ち込み・ 144 00:18:00,360 --> 00:18:02,863 城方を 脅かすのじゃ。 145 00:18:02,863 --> 00:18:08,368 大坂城は 櫓や鉄砲狭間を 丈夫に 造り替えたとか…。 146 00:18:08,368 --> 00:18:10,370 大御所様は・ 147 00:18:10,370 --> 00:18:14,875 大坂との和議も 進めるおつもりなのじゃ。 148 00:18:14,875 --> 00:18:20,875 城攻めは いたずらに 兵の命を 損なう事を よく御存じじゃ。 149 00:18:22,883 --> 00:18:25,385 いずれにせよ 今日よりは・ 150 00:18:25,385 --> 00:18:29,322 昼夜を問わず 大砲を撃ち込み・ 151 00:18:29,322 --> 00:18:34,327 更に 至るところで閧の声を上げさせる。 152 00:18:34,327 --> 00:18:36,329 各陣に しかと伝えよ。 153 00:18:36,329 --> 00:18:38,331 (同)はっ。 154 00:18:38,331 --> 00:18:40,333 (大砲の音) 155 00:18:40,333 --> 00:18:43,336 撃て~ (砲声) 156 00:18:43,336 --> 00:18:49,342 <「大坂冬の陣」は これまでの 鉄砲を主力とする戦いから・ 157 00:18:49,342 --> 00:18:54,342 大砲を主力とする戦いに 替わった戦であった> 158 00:18:56,349 --> 00:18:59,352 <数百門から放たれる大砲の音は・ 159 00:18:59,352 --> 00:19:05,859 はるか 京まで届いたという記録が あるほど すさまじかった。・ 160 00:19:05,859 --> 00:19:10,363 その破壊力と轟音で 大坂籠城軍を 疲弊させ・ 161 00:19:10,363 --> 00:19:13,867 戦意の喪失を ねらったのである> 162 00:19:13,867 --> 00:19:15,869 (同)えい えい おう 163 00:19:15,869 --> 00:19:18,371 えい えい おう 164 00:19:18,371 --> 00:19:25,378 ・(閧の声) 165 00:19:25,378 --> 00:19:34,321 ・(砲声と閧の声) 166 00:19:34,321 --> 00:19:38,321 又やんは 大坂から 出られただろうか? 167 00:19:41,828 --> 00:19:45,832 又八さんは 随分 強くなりました。 168 00:19:45,832 --> 00:19:51,838 きっと 無事に 朱実さんの所に 行けると思いますよ。 169 00:19:51,838 --> 00:19:53,838 そうだな。 170 00:19:56,843 --> 00:19:59,846 ・(砲声) 171 00:19:59,846 --> 00:20:02,849 城の出丸で 真田幸村殿が・ 172 00:20:02,849 --> 00:20:06,349 見事に 徳川方の軍勢を 破ったそうだ。 173 00:20:19,866 --> 00:20:21,868 兵庫助殿は・ 174 00:20:21,868 --> 00:20:25,872 本当に 使いを よこしてくれるだろうか? 175 00:20:25,872 --> 00:20:27,807 あの お方は・ 176 00:20:27,807 --> 00:20:32,312 言った事は お守りになると思います。 177 00:20:32,312 --> 00:20:36,316 使いが来れば 行かねばならぬ。 178 00:20:36,316 --> 00:20:38,316 それで よいか? 179 00:20:40,320 --> 00:20:42,322 はい。 180 00:20:42,322 --> 00:20:49,329 ・~ 181 00:20:49,329 --> 00:20:51,831 (幸村)いい月だな。 182 00:20:51,831 --> 00:20:53,833 (大助)はい。 母上も 183 00:20:53,833 --> 00:20:57,837 九度山で この月を見て おられるのでしょうか? 184 00:20:57,837 --> 00:21:02,842 夜討ちを かけるなら もっと 大がかりに すべきだったが…。 185 00:21:02,842 --> 00:21:06,846 城を囲まれた時には ただ 座しておるより 186 00:21:06,846 --> 00:21:09,849 奇策をもって 応じねば 勝てぬ…。 187 00:21:09,849 --> 00:21:13,853 わしは 父上から 教えられたのだ。 188 00:21:13,853 --> 00:21:16,356 おじい様は 二度にわたって 189 00:21:16,356 --> 00:21:18,858 家康を 破ったのでしょう? 190 00:21:18,858 --> 00:21:20,860 少ない軍勢でな。 191 00:21:20,860 --> 00:21:24,860 こたびも きっと 勝つ事が できますね? 192 00:21:27,801 --> 00:21:29,803 大助…。 193 00:21:29,803 --> 00:21:31,805 はい。 194 00:21:31,805 --> 00:21:34,808 いずれ この出丸を討って出て 195 00:21:34,808 --> 00:21:37,811 徳川の陣に 斬り込む時がくる。 196 00:21:37,811 --> 00:21:40,811 その覚悟は できております。 197 00:21:43,817 --> 00:21:46,820 お前は 秀頼様の傍にいて 198 00:21:46,820 --> 00:21:50,824 最後まで お守りしてほしいのだ。 199 00:21:50,824 --> 00:21:53,827 父上とともには 行けぬのですか? 200 00:21:53,827 --> 00:21:56,830 お前と わしが 共に死んでも 何の意味もない。 201 00:21:56,830 --> 00:22:01,334 「意味のない死は するな」と 父上に よく言われた。 202 00:22:01,334 --> 00:22:03,336 秀頼様を お守りして 203 00:22:03,336 --> 00:22:07,340 いざという時には 死出の旅の お供をせよ。 204 00:22:07,340 --> 00:22:11,340 それでこそ お前の死も 意味がある。 205 00:22:13,346 --> 00:22:15,849 父上とともに死ぬ…。 206 00:22:15,849 --> 00:22:19,853 そう思って 私は 九度山を出たのです。 207 00:22:19,853 --> 00:22:22,355 離れて死んでも… 208 00:22:22,355 --> 00:22:24,357 見る月は 同じだ。 209 00:22:24,357 --> 00:22:47,881 ~ 210 00:22:47,881 --> 00:22:51,885 (常高院)「いかに 大砲で 脅されようとも 211 00:22:51,885 --> 00:22:56,885 和議に応ずる心は ない」と 仰せなのです。 212 00:22:58,892 --> 00:23:05,392 <徳川軍の砲撃が 繰り返される中 和平交渉が 行われた> 213 00:23:07,400 --> 00:23:13,406 <使者は 徳川方が 本多正信の嫡子 正純。 214 00:23:13,406 --> 00:23:15,909 そして 阿茶局。 215 00:23:15,909 --> 00:23:19,913 阿茶局は 家康の愛妾の人である。 216 00:23:19,913 --> 00:23:22,916 方 豊臣方の使者は 217 00:23:22,916 --> 00:23:26,419 大野治長の意を受けた 常高院。 218 00:23:26,419 --> 00:23:29,856 淀殿の妹である。 219 00:23:29,856 --> 00:23:32,859 和平交渉という 重大な場の使者が 220 00:23:32,859 --> 00:23:38,859 女性に任されたという事は 当時 珍しい事であった> 221 00:23:40,867 --> 00:23:42,869 (秀頼)そうか…。 222 00:23:42,869 --> 00:23:46,372 して これは…? 223 00:23:46,372 --> 00:23:50,376 大御所より 御嫡男 国松君への 224 00:23:50,376 --> 00:23:52,378 土産でございます。 225 00:23:52,378 --> 00:23:54,378 「大砲」に 「土産」か。 226 00:23:59,385 --> 00:24:02,889 その お姿… いかがなされたのです? 227 00:24:02,889 --> 00:24:06,389 城内を巡り 兵を力づけてきた。 228 00:24:08,394 --> 00:24:10,897 足軽の女房たちまでが 229 00:24:10,897 --> 00:24:14,901 「いざという時には 石や瓦を 投げてでも 230 00:24:14,901 --> 00:24:18,404 徳川方と戦う」と 言うてくれておる。 231 00:24:18,404 --> 00:24:22,408 常高院様 和議より お戻りにございます。 232 00:24:22,408 --> 00:24:24,410 御苦労であった。 233 00:24:24,410 --> 00:24:28,848 して 家康は 何と…? 234 00:24:28,848 --> 00:24:33,353 「姉上は 質には取らぬ」と 言うております。 235 00:24:33,353 --> 00:24:35,355 それで…? 236 00:24:35,355 --> 00:24:39,859 「この治長の許より 質を出せ」と。 237 00:24:39,859 --> 00:24:44,864 「城内の牢人たちの 罪は問わぬ」との 誓い文を 238 00:24:44,864 --> 00:24:48,368 両御所より出す事にも なっております。 239 00:24:48,368 --> 00:24:51,371 もうつ… 240 00:24:51,371 --> 00:24:54,874 「この城は 本丸のみを残して 241 00:24:54,874 --> 00:24:57,874 二の丸 三の丸は 破却せよ」と。 242 00:24:59,879 --> 00:25:03,883 家康は 勝った気で いるようだの。 243 00:25:03,883 --> 00:25:09,389 「質は取る 罪は問わぬ 城は壊せ」などと…。 244 00:25:09,389 --> 00:25:13,893 そのような高飛車な和議など われらは 応じられぬ 245 00:25:13,893 --> 00:25:18,398 家康公は 今や 70を過ぎたる 御高齢…。 246 00:25:18,398 --> 00:25:20,900 先は 見えております。 247 00:25:20,900 --> 00:25:23,903 今 ここで 和議を結んだとて・ 248 00:25:23,903 --> 00:25:27,840 その恥をそそぐ事は すぐに できましょう。 249 00:25:27,840 --> 00:25:33,346 わしも そのような和議に 応じるつもりは ないぞ。 250 00:25:33,346 --> 00:25:36,349 家康の撃ち込む 大砲の音には・ 251 00:25:36,349 --> 00:25:38,851 わしは もう慣れた。 252 00:25:38,851 --> 00:25:42,855 今では 心地よい音にすら 思えてきたわ。 253 00:25:42,855 --> 00:25:44,857 そうじゃ 秀頼。 254 00:25:44,857 --> 00:25:46,859 そのとおりじゃ。 255 00:25:46,859 --> 00:25:50,863 ハッハッハッ…。 256 00:25:50,863 --> 00:25:54,867 <しかし 城内の兵士たちは 大砲に 恐れ始め・ 257 00:25:54,867 --> 00:25:57,370 眠れぬ日々を 送っていた…> 258 00:25:57,370 --> 00:26:01,870 (砲声) 259 00:26:11,884 --> 00:26:14,887 (破裂音) 260 00:26:14,887 --> 00:26:16,887 (淀殿)あ…。 261 00:26:19,392 --> 00:26:21,394 治長…。 262 00:26:21,394 --> 00:26:23,396 お方様…。 263 00:26:23,396 --> 00:26:27,834 <この時の有様が 徹底抗戦を主張していた淀殿を・ 264 00:26:27,834 --> 00:26:31,834 気に 和議に 向かわせる事になった> 265 00:26:49,856 --> 00:26:52,859 大砲の音が やみましたね。 266 00:26:52,859 --> 00:26:55,359 戦が 終わったのだろうか? 267 00:26:57,363 --> 00:26:59,363 ・(戸をたたく音) 268 00:27:01,868 --> 00:27:03,868 ・(戸をたたく音) 269 00:27:21,387 --> 00:27:25,892 柳生兵庫助様の 使いの者でございます。 270 00:27:25,892 --> 00:27:29,892 「宮本武蔵様を 案内するように」と。 271 00:27:31,831 --> 00:27:33,831 御苦労さまです。 272 00:27:35,835 --> 00:27:37,835 お待ち下さい。 273 00:28:04,363 --> 00:28:06,866 兵庫助様の…・ 274 00:28:06,866 --> 00:28:09,869 使いの方が…。 275 00:28:09,869 --> 00:28:19,869 ・~ 276 00:28:22,882 --> 00:28:24,884 行ってくる。 277 00:28:24,884 --> 00:28:26,886 はい。 278 00:28:26,886 --> 00:28:34,327 ・~ 279 00:28:34,327 --> 00:28:36,329 お待たせしました。 280 00:28:36,329 --> 00:28:55,348 ・~ 281 00:28:55,348 --> 00:28:58,351 <二度と会えないのかもしれぬ…・ 282 00:28:58,351 --> 00:29:01,354 お通は 覚悟していた。・ 283 00:29:01,354 --> 00:29:03,356 「命を懸けてでも・ 284 00:29:03,356 --> 00:29:08,361 宗矩に 問いたださねば ならない事がある」…・ 285 00:29:08,361 --> 00:29:13,866 お通は そんな武蔵の気持が 痛いほど 分かっていた> 286 00:29:13,866 --> 00:29:27,866 ・~ 287 00:29:31,817 --> 00:29:38,824 ・~ 288 00:29:38,824 --> 00:29:41,327 そなたが 事を起こせば・ 289 00:29:41,327 --> 00:29:43,327 私は そなたを斬る。 290 00:29:45,331 --> 00:29:48,834 叔父上が どのような事を したとしても・ 291 00:29:48,834 --> 00:29:52,838 私は 叔父上を 守らねばならぬのだ。 292 00:29:52,838 --> 00:29:56,842 兵庫助殿に お願いが あります。 293 00:29:56,842 --> 00:29:59,345 何だ? 294 00:29:59,345 --> 00:30:01,347 本位田又八を・ 295 00:30:01,347 --> 00:30:04,347 見逃して 頂きたいのです。 296 00:30:08,854 --> 00:30:12,858 聞こう そなたの願いを。 297 00:30:12,858 --> 00:30:15,361 かたじけのうございます。 298 00:30:15,361 --> 00:30:27,861 ・~ 299 00:30:34,313 --> 00:30:37,817 お目通りが叶い・ 300 00:30:37,817 --> 00:30:39,817 うれしゅうございます。 301 00:30:41,821 --> 00:30:46,821 どうしても 叔父上に 問わねばならぬ事があるとの事。 302 00:30:48,828 --> 00:30:51,831 よう来てくれた。 303 00:30:51,831 --> 00:30:56,836 して… 「わしに 問わねばならぬ事」とは? 304 00:30:56,836 --> 00:30:58,838 あの村は・ 305 00:30:58,838 --> 00:31:03,843 徳川様に いささかの 謀反の心も ありません。 306 00:31:03,843 --> 00:31:05,845 宗矩殿が・ 307 00:31:05,845 --> 00:31:08,848 なぜ 敵となされたのか…・ 308 00:31:08,848 --> 00:31:13,853 それを伺いたく 参ったしだいです。 309 00:31:13,853 --> 00:31:15,855 ほほう…。 310 00:31:15,855 --> 00:31:17,857 それを 聞きたいがために・ 311 00:31:17,857 --> 00:31:21,861 そなたは 命を懸けて ここへ参ったのか? 312 00:31:21,861 --> 00:31:23,863 領主にとっても・ 313 00:31:23,863 --> 00:31:26,866 家臣 領民は 何よりも大事と・ 314 00:31:26,866 --> 00:31:29,802 思われる事も あるはずです。 315 00:31:29,802 --> 00:31:33,806 豊臣恩顧の大名が 大御所様についたのも・ 316 00:31:33,806 --> 00:31:36,809 己の意地よりも 家臣 領民を大事と…。 317 00:31:36,809 --> 00:31:38,809 それは 言い訳だ。 318 00:31:41,814 --> 00:31:45,318 私は 人を斬り…・ 319 00:31:45,318 --> 00:31:47,820 人を傷つけ…・ 320 00:31:47,820 --> 00:31:54,327 その果てに あの村の大事さに 思い至ったのです。 321 00:31:54,327 --> 00:31:56,329 あの村の者たちも・ 322 00:31:56,329 --> 00:32:00,333 私に 命を預けてくれました。 323 00:32:00,333 --> 00:32:02,335 あの村には・ 324 00:32:02,335 --> 00:32:04,835 女 子供も いたのです。 325 00:32:06,839 --> 00:32:11,344 その者たちも…・ 326 00:32:11,344 --> 00:32:13,344 命を落としました。 327 00:32:55,888 --> 00:32:58,891 そなたが それほど…・ 328 00:32:58,891 --> 00:33:03,896 わしを憎いというのなら…・ 329 00:33:03,896 --> 00:33:06,896 その刀で わしを斬ってみよ。 330 00:33:08,901 --> 00:33:11,904 確かに…・ 331 00:33:11,904 --> 00:33:14,904 わしは 「村を潰せ」と言うた。 332 00:33:16,909 --> 00:33:22,915 時の権勢に不満を持つ者は いつの世にでもおる。 333 00:33:22,915 --> 00:33:27,853 その者が そなたの許に 集まる事を わしは危惧した。 334 00:33:27,853 --> 00:33:31,853 後の世の太平を 乱す源となるからだ。 335 00:33:35,361 --> 00:33:37,363 蚊の集まりが…・ 336 00:33:37,363 --> 00:33:40,866 やがて 虻となり 蜂となり…・ 337 00:33:40,866 --> 00:33:42,866 鷹のようになる。 338 00:33:44,870 --> 00:33:48,874 事が大きくならぬうちに 手を打つ…。 339 00:33:48,874 --> 00:33:50,874 それが 「政」。 340 00:33:52,878 --> 00:33:55,378 わしの やり方だ 武蔵。 341 00:34:33,853 --> 00:34:40,860 ・~ 342 00:34:40,860 --> 00:34:43,362 宗矩殿が・ 343 00:34:43,362 --> 00:34:50,870 私を憎い あの村を憎いと思い 村を潰したのなら・ 344 00:34:50,870 --> 00:34:53,873 納得する事ができる。 345 00:34:53,873 --> 00:34:56,876 なれど 「政のために・ 346 00:34:56,876 --> 00:34:58,878 あの村を潰した…・ 347 00:34:58,878 --> 00:35:06,385 村の者を殺した」と言われれば…・ 348 00:35:06,385 --> 00:35:09,889 私は そなたを許す事はできぬ。 349 00:35:09,889 --> 00:35:15,895 わしは そなたに 許してもらおうとは思うておらぬ。 350 00:35:15,895 --> 00:35:19,899 そなたに 守りたいものがあるように・ 351 00:35:19,899 --> 00:35:24,904 わしにも 守らねばならぬものがある。 352 00:35:24,904 --> 00:35:29,341 後の世の太平と・ 353 00:35:29,341 --> 00:35:31,343 柳生の心だ。 354 00:35:31,343 --> 00:35:37,349 ・~ 355 00:35:37,349 --> 00:35:41,353 武蔵殿…。 356 00:35:41,353 --> 00:35:44,857 引け。 357 00:35:44,857 --> 00:35:46,859 俺も引く。 358 00:35:46,859 --> 00:36:06,879 ・~ 359 00:36:06,879 --> 00:36:08,881 (刀を捨てる音) 360 00:36:08,881 --> 00:36:28,834 ・~ 361 00:36:28,834 --> 00:36:30,836 引け。 362 00:36:30,836 --> 00:36:32,838 (家来たち)はっ。 363 00:36:32,838 --> 00:36:38,844 ・~ 364 00:36:38,844 --> 00:36:40,846 お送り申す。 365 00:36:40,846 --> 00:36:47,346 ・~ 366 00:36:52,358 --> 00:36:54,358 私は 柳生に戻る。 367 00:36:56,362 --> 00:36:58,364 私には…・ 368 00:36:58,364 --> 00:37:02,868 柳生の地が 番 性に合うてる。 369 00:37:02,868 --> 00:37:05,371 いま度…・ 370 00:37:05,371 --> 00:37:08,374 柳生新陰流を 究めるために・ 371 00:37:08,374 --> 00:37:12,374 から出直したいと 思うておるのだ。 372 00:37:14,880 --> 00:37:18,884 兵庫助殿…。 373 00:37:18,884 --> 00:37:22,384 かたじけなく 思っています。 374 00:37:34,333 --> 00:37:38,837 叔父上は 政の中で 生きる事を決めた時…・ 375 00:37:38,837 --> 00:37:42,341 その心を 捨てようとなされた。 376 00:37:42,341 --> 00:37:44,343 権勢とつになって・ 377 00:37:44,343 --> 00:37:48,347 己の心など 捨てようと…。 378 00:37:48,347 --> 00:37:50,849 それが 政の中で 生きる事だと・ 379 00:37:50,849 --> 00:37:52,849 心に決められたのだ。 380 00:37:56,355 --> 00:38:00,359 なれど 叔父上も 柳生の者。 381 00:38:00,359 --> 00:38:05,364 武芸の心は なくそうとしても なくなりはせぬ。 382 00:38:05,364 --> 00:38:07,866 だから…・ 383 00:38:07,866 --> 00:38:11,870 人で 武芸の道に生きる 武蔵殿に対して・ 384 00:38:11,870 --> 00:38:14,870 あのように いらだつのだ。 385 00:38:18,377 --> 00:38:23,882 お主と 人と人で 相対したい…。 386 00:38:23,882 --> 00:38:27,319 叔父上も 心の中の どこかでは・ 387 00:38:27,319 --> 00:38:30,322 そう思っておられるはずだ。 388 00:38:30,322 --> 00:39:28,814 ・~ 389 00:39:28,814 --> 00:39:30,816 武蔵…。 390 00:39:30,816 --> 00:39:37,823 ・~ 391 00:39:37,823 --> 00:39:40,325 御無事だったのですね。 392 00:39:40,325 --> 00:40:03,849 ・~ 393 00:40:03,849 --> 00:40:05,851 <柳生兵庫助は・ 394 00:40:05,851 --> 00:40:11,857 後に 尾張徳川家の 兵法指南役 として 迎えられる事となる。・ 395 00:40:11,857 --> 00:40:17,362 柳生の技と心を 守り続けた 兵庫助の思いは・ 396 00:40:17,362 --> 00:40:20,362 今も 受け継がれている…> 397 00:40:42,821 --> 00:40:44,821 (お甲)朱実…。 398 00:40:47,826 --> 00:40:49,826 朱実~ 399 00:40:58,337 --> 00:41:01,340 (朱実)おっ母さん…。 400 00:41:01,340 --> 00:41:03,340 朱実…。 401 00:41:06,345 --> 00:41:09,348 (赤ん坊の声) 402 00:41:09,348 --> 00:41:12,848 やっぱり… 子が できたのかい? 403 00:41:14,853 --> 00:41:16,853 元気そうな子だね…。 404 00:41:27,799 --> 00:41:29,799 ほら 405 00:41:55,327 --> 00:41:59,827 又八… 命懸けで 大坂から出てきたんだよ。 406 00:42:01,833 --> 00:42:04,336 命懸けで・ 407 00:42:04,336 --> 00:42:07,336 あんたを 捜しにきたんだよ。 408 00:42:10,342 --> 00:42:12,344 大丈夫か? 409 00:42:12,344 --> 00:42:14,346 何が? 410 00:42:14,346 --> 00:42:17,349 「何が」って…。 411 00:42:17,349 --> 00:42:19,851 子を産んで…。 412 00:42:19,851 --> 00:42:22,854 大丈夫よ。 私は 強いから。 413 00:42:22,854 --> 00:42:24,856 そうだな…。 414 00:42:24,856 --> 00:42:27,859 「俺といると 強くなる」…・ 415 00:42:27,859 --> 00:42:29,861 そう言うていたな。 416 00:42:29,861 --> 00:42:31,861 そうだよ。 417 00:42:33,865 --> 00:42:36,868 ほら… あんたの子だよ。 418 00:42:36,868 --> 00:42:38,868 おっ母さん。 419 00:42:40,872 --> 00:42:43,875 あ… 違うのかい? 420 00:42:43,875 --> 00:42:45,875 違うんだってさ。 421 00:42:54,386 --> 00:43:23,415 ・~ 422 00:43:23,415 --> 00:43:25,417 この家…・ 423 00:43:25,417 --> 00:43:27,853 ちっとも 変わってないね。 424 00:43:27,853 --> 00:43:36,862 ・~ 425 00:43:36,862 --> 00:43:38,864 よく寝てるな。 426 00:43:38,864 --> 00:43:50,864 ・~ 427 00:43:57,382 --> 00:44:01,386 <「大坂 冬の陣」は 1か月で終わったが…・ 428 00:44:01,386 --> 00:44:04,389 徳川と 豊臣の間には・ 429 00:44:04,389 --> 00:44:07,389 火種が くすぶり続けていた> 430 00:44:10,896 --> 00:44:14,900 <柳生宗矩が目指す 太平の世…。・ 431 00:44:14,900 --> 00:44:17,900 手段を選ばぬ 「太平の世」とは…> 432 00:44:19,905 --> 00:44:25,410 <これまで 人で生き ただ人で 敵に向かっていった武蔵は・ 433 00:44:25,410 --> 00:44:31,850 再び 宗矩と相対する事を 確信していた。・ 434 00:44:31,850 --> 00:44:36,850 武蔵の戦いも まだ 終わっていなかった…>