1 00:01:22,225 --> 00:01:24,225 2 00:01:29,099 --> 00:01:49,119 ♬~ 3 00:01:49,119 --> 00:02:09,139 ♬~ 4 00:02:09,139 --> 00:02:29,092 ♬~ 5 00:02:29,092 --> 00:02:49,112 ♬~ 6 00:02:49,112 --> 00:03:09,132 ♬~ 7 00:03:09,132 --> 00:03:29,085 ♬~ 8 00:03:29,085 --> 00:03:49,105 ♬~ 9 00:03:49,105 --> 00:03:59,105 ♬~ 10 00:04:01,117 --> 00:04:05,121 (語り)<世は 平氏にあらざれば 人にあらずと➡ 11 00:04:05,121 --> 00:04:09,125 自ら豪語した 驕る平家の絶頂期> 12 00:04:09,125 --> 00:04:12,128 <初めは 寺の自衛手段であった僧兵も➡ 13 00:04:12,128 --> 00:04:15,131 次第に 武装集団に膨れ上がっていった> 14 00:04:15,131 --> 00:04:17,133 <いまだ 人生の目的を持たぬ➡ 15 00:04:17,133 --> 00:04:21,137 武蔵坊弁慶も そのひとりであった> 16 00:04:21,137 --> 00:04:24,137 (信濃坊の悲鳴) 17 00:05:12,121 --> 00:05:16,125 (太平)ほくろ 何を見てるんだ? 18 00:05:16,125 --> 00:05:20,129 (ほくろ)鬼若は あれっきり 口も利いてくれん 19 00:05:20,129 --> 00:05:24,067 寺を焼いたことを 悔やんでおるんじゃ 20 00:05:24,067 --> 00:05:26,069 フン… あんな寺の1つや2つ 21 00:05:26,069 --> 00:05:32,075 鬼若は まだ 僧侶の心を 失うては おらなんだ 22 00:05:32,075 --> 00:05:35,075 そっとしといてやれ 23 00:05:41,084 --> 00:05:43,084 (常陸坊)おう 24 00:05:46,089 --> 00:05:50,093 (弁慶)ンン… 要らん 25 00:05:50,093 --> 00:05:55,093 食べろ さあ ほら ああ… すまん 26 00:06:01,104 --> 00:06:04,104 (常陸坊)どうする気だ? これから 27 00:06:07,110 --> 00:06:12,110 どうじゃ? わしと一緒に京へ行かんか? 28 00:06:14,117 --> 00:06:17,120 京か… 29 00:06:17,120 --> 00:06:21,120 京には会いたい女子もいるがのぅ 30 00:06:23,059 --> 00:06:25,061 のう 武蔵坊 31 00:06:25,061 --> 00:06:28,064 おぬしに 会わせたいお方がおるのじゃ 32 00:06:28,064 --> 00:06:30,064 わしと一緒に京へ行こう 33 00:06:32,068 --> 00:06:36,068 しかし おぬし 一体 なんで俺に そう かまう… 34 00:06:38,074 --> 00:06:42,078 おぬし 一体 何者だ? 35 00:06:42,078 --> 00:06:46,082 三井寺の学僧とは 世を忍ぶ仮の姿 36 00:06:46,082 --> 00:06:48,082 誠は… 37 00:06:50,086 --> 00:06:56,092 平治の乱で不運な最期を遂げた 源義朝公の家臣にして➡ 38 00:06:56,092 --> 00:07:00,096 れっきとした源氏の郎党… いや やめた 39 00:07:00,096 --> 00:07:03,099 いや 是非とも聞いてくれ フン… 40 00:07:03,099 --> 00:07:07,103 源氏の 平氏のと くだらん話に 首を突っ込む気はない 41 00:07:07,103 --> 00:07:09,105 くだらん話かどうか➡ 42 00:07:09,105 --> 00:07:11,107 御曹司に会うてから決めても 遅うはあるまい 43 00:07:11,107 --> 00:07:13,109 御曹司? しーっ! 44 00:07:13,109 --> 00:07:15,111 (拍手と歓声) 45 00:07:15,111 --> 00:07:20,116 ♪(傀儡たち) 極楽浄土の めでたさは… 46 00:07:20,116 --> 00:07:27,056 義朝公の 御忘れ形見 牛若丸さまが➡ 47 00:07:27,056 --> 00:07:30,059 鞍馬の 東光坊阿闍梨どののもとで➡ 48 00:07:30,059 --> 00:07:34,059 稚児僧をして 不遇をかこっておわすのじゃ 49 00:07:36,065 --> 00:07:39,068 御年16歳 50 00:07:39,068 --> 00:07:46,075 今は 鞍馬の遮那王とて 稀に見る麒麟児にておわす 51 00:07:46,075 --> 00:07:49,078 天狗飛び切りの術を会得してのぅ 52 00:07:49,078 --> 00:07:51,080 まずは 武蔵坊の怪力をもってしても➡ 53 00:07:51,080 --> 00:07:54,083 遠く及ばぬであろう 54 00:07:54,083 --> 00:07:56,085 何が 55 00:07:56,085 --> 00:07:59,088 たかが16歳の小童に➡ 56 00:07:59,088 --> 00:08:04,093 この武蔵坊が 負けると思うか? ヘッ! 57 00:08:04,093 --> 00:08:08,097 ♪ ひとつも あだなることぞなき 58 00:08:08,097 --> 00:08:13,102 ほくろ 腹がくちくなったら 元気になった 59 00:08:13,102 --> 00:08:19,108 ♪ 吹く風 立つ波 鳥も皆 60 00:08:19,108 --> 00:08:23,045 ♪ 妙なる法をぞ 唱うなる 61 00:08:23,045 --> 00:08:28,050 ♪ 妙なる法をぞ 唱うなる 62 00:08:28,050 --> 00:08:32,054 ♪ 我らは何して老いぬらん 63 00:08:32,054 --> 00:08:37,059 ♪ 我らは何して老いぬらん 64 00:08:37,059 --> 00:08:41,063 ♪ 思えば いとこそ 哀れなれ 65 00:08:41,063 --> 00:08:46,068 ♪ 思えば いとこそ 哀れなれ 66 00:08:46,068 --> 00:08:50,068 ♪ 今は西方極楽の… 67 00:08:54,076 --> 00:08:56,078 (知盛)円教寺が焼けた? 68 00:08:56,078 --> 00:08:58,080 (家臣)はっ… 誠に恐れ多きことながら➡ 69 00:08:58,080 --> 00:09:00,082 飾磨の代官からの 報告によりますれば➡ 70 00:09:00,082 --> 00:09:04,086 昨夜 食堂より出火いたしまして 本堂 講堂は申すに及ばず➡ 71 00:09:04,086 --> 00:09:07,089 堂塔伽藍 54か所に飛び火し 一山 ことごとく灰に 72 00:09:07,089 --> 00:09:12,094 たわけ 円教寺と申さば 西の比叡山といわれる大道場ぞ 73 00:09:12,094 --> 00:09:14,096 ただの失火では分からん 74 00:09:14,096 --> 00:09:16,098 さ… されば➡ 75 00:09:16,098 --> 00:09:19,101 修行者同士の争いが高じての つけ火の由にござりまする 76 00:09:19,101 --> 00:09:21,103 つけ火? 誰が? 77 00:09:21,103 --> 00:09:23,039 法師たちの 申し立てによりますれば➡ 78 00:09:23,039 --> 00:09:25,041 熊野の別当のせがれにて➡ 79 00:09:25,041 --> 00:09:28,044 比叡山を追われし悪僧 武蔵坊弁慶とやら 80 00:09:28,044 --> 00:09:33,049 おのれ… 法衣をまとう法師に あるまじき にっくき所業 81 00:09:33,049 --> 00:09:36,049 そやつをひっ捕らえよ (家臣)はっ! 82 00:09:39,055 --> 00:09:48,064 ♪(維盛)そよ 君が代は 83 00:09:48,064 --> 00:09:52,068 ♪ 千世に ひと… 84 00:09:52,068 --> 00:09:54,070 (足音) 85 00:09:54,070 --> 00:09:57,073 (維盛) おお… これはこれは 叔父上 86 00:09:57,073 --> 00:10:02,078 中宮の女房たちが おじじさまの お見舞いに参上するそうな 87 00:10:02,078 --> 00:10:06,078 お楽しみでございますな! (知盛)それどころではない 88 00:10:09,085 --> 00:10:12,088 (資盛)何を怒っておられるのやら 89 00:10:12,088 --> 00:10:17,088 我が平家を ひとりで背負うてござるよなぁ 90 00:10:19,095 --> 00:10:21,097 (清盛)これじゃ 91 00:10:21,097 --> 00:10:25,034 <そのころ 一度は病で太政大臣を退き➡ 92 00:10:25,034 --> 00:10:29,038 政権を 長男 重盛に委ねて 出家した清盛は➡ 93 00:10:29,038 --> 00:10:35,044 身は浄海入道と称しながらも 高倉天皇の中宮 徳子の父として➡ 94 00:10:35,044 --> 00:10:39,048 絶大な権力を駆使して 天下に にらみを利かせていた> 95 00:10:39,048 --> 00:10:41,050 (清盛)合うた 合うた 96 00:10:41,050 --> 00:10:43,052 いやぁ 見事じゃ見事じゃ 合うたのぅ 97 00:10:43,052 --> 00:10:47,056 ≪(知盛)知盛にござります (清盛)おう 入るがよい 98 00:10:47,056 --> 00:10:50,059 (清盛)それではのぅ これは… 99 00:10:50,059 --> 00:10:54,063 (知盛)お臈 父上に大事な話がある 女房たちに遊んでもらえ 100 00:10:54,063 --> 00:10:56,065 (臈の方)はい 101 00:10:56,065 --> 00:10:59,065 それじゃ またな うん はい 102 00:11:14,083 --> 00:11:18,087 流れ者の法師が 円教寺を焼きましたそうな 103 00:11:18,087 --> 00:11:22,091 ようやく比叡山が 静かになったかと思えば➡ 104 00:11:22,091 --> 00:11:24,093 お膝元の播磨で このざま 105 00:11:24,093 --> 00:11:28,097 近ごろ 法師どもの思い上がり 目に余りまする 106 00:11:28,097 --> 00:11:30,099 (清盛)いやぁ 捨て置け 107 00:11:30,099 --> 00:11:34,103 法師どもが騒いだとて いかほどのことやある 108 00:11:34,103 --> 00:11:38,107 (知盛)それは分かりません 後白河院は名うての大天狗 109 00:11:38,107 --> 00:11:41,110 法師どもを操って 世情を騒がすくらい 朝飯前 110 00:11:41,110 --> 00:11:44,113 油断は禁物でござります 111 00:11:44,113 --> 00:11:48,117 (清盛)それだけか? 話は (知盛)父上 112 00:11:48,117 --> 00:11:52,121 (清盛)お臈を 下がらせたところを見ると➡ 113 00:11:52,121 --> 00:11:56,125 また 鞍馬の遮那王の話であろう 114 00:11:56,125 --> 00:12:00,129 父こそ違え お臈と遮那王は兄妹 115 00:12:00,129 --> 00:12:03,132 まさか 妹の前で兄を討つ話もできません 116 00:12:03,132 --> 00:12:08,137 (清盛) ハハハハッ… お臈は まだ子供ぞ 117 00:12:08,137 --> 00:12:12,141 子供子供と申しておられるうちに 鞍馬の遮那王も早や16 118 00:12:12,141 --> 00:12:16,145 危険な芽を摘み取るなら 今が潮時かと 119 00:12:16,145 --> 00:12:21,150 なぜ そのように 遮那王を目の敵にするぞ? 120 00:12:21,150 --> 00:12:27,089 危険というなら 伊豆へ流した頼朝こそ➡ 121 00:12:27,089 --> 00:12:30,092 危険というべきであろう (知盛)鞍馬は都のお膝元 122 00:12:30,092 --> 00:12:33,095 数百里離れた伊豆とは 比べものになりません 123 00:12:33,095 --> 00:12:39,101 もし遮那王に 義朝の残党どもが 源氏再興の夢を懸けでもしたら… 124 00:12:39,101 --> 00:12:46,108 案ずるな 床に伏せっておっても 一天四海 全て我が掌中じゃ 125 00:12:46,108 --> 00:12:52,108 源氏の残党ごときに 何ができよう フフッ… 126 00:12:56,118 --> 00:12:59,121 父上がご健在であれば 案ずることも ござりますまいが➡ 127 00:12:59,121 --> 00:13:02,124 果たして それが いつまで続きましょうや 128 00:13:02,124 --> 00:13:06,128 (清盛)なんじゃと? (知盛)我が一門を当て見れば➡ 129 00:13:06,128 --> 00:13:10,132 日ごと夜ごと遊芸に うつつを抜かし 恋にくるい… 130 00:13:10,132 --> 00:13:13,135 知盛は 父上亡きあとも➡ 131 00:13:13,135 --> 00:13:16,138 この平氏の世を 盤石のものとするために… 132 00:13:16,138 --> 00:13:19,138 (清盛)言葉を慎め 知盛 133 00:13:21,143 --> 00:13:26,082 何事にも用心深い父上が 過ぐる平治の乱の折 134 00:13:26,082 --> 00:13:30,086 何ゆえ 源氏の血筋を この世に残されたのか➡ 135 00:13:30,086 --> 00:13:32,088 知盛には解せません 136 00:13:32,088 --> 00:13:39,095 うん… 無論 初めは わしも 1人残らず首をはねる気であった 137 00:13:39,095 --> 00:13:46,102 ただ 母御前の池の尼に いたく せがまれてのぅ 138 00:13:46,102 --> 00:13:52,108 頼朝が 幼うして死んだ家盛に 面ざしが似ておると 139 00:13:52,108 --> 00:13:56,112 ならば なにも 常盤の子まで 助けずとも (清盛)うん? 140 00:13:56,112 --> 00:14:02,112 それがしのような子供の目にも 常盤は美しゅうござりましたな 141 00:14:04,120 --> 00:14:07,123 父上は女子に甘すぎます! 142 00:14:07,123 --> 00:14:11,127 この辺りで 一門の気を 締め直していただかねば 143 00:14:11,127 --> 00:14:13,129 下がれ! 144 00:14:13,129 --> 00:14:33,082 ♬~ 145 00:14:33,082 --> 00:14:43,092 ♬~ 146 00:14:43,092 --> 00:14:46,095 あれは 何ゆえ➡ 147 00:14:46,095 --> 00:14:51,100 遮那王のことになると あのように むきになるのか 148 00:14:51,100 --> 00:14:54,103 (時子)あれで 母思いの子でござりますれば 149 00:14:54,103 --> 00:15:01,110 フフッ… そちのために 常盤を憎んでいると申すか 150 00:15:01,110 --> 00:15:04,113 子供のころ 父上を常盤に取られたと➡ 151 00:15:04,113 --> 00:15:06,115 大層 悔しがっておりました 152 00:15:06,115 --> 00:15:10,119 フフッ… ハハッ… 埒もない 153 00:15:10,119 --> 00:15:14,123 知盛どのとて なにがしかのお役に就けば➡ 154 00:15:14,123 --> 00:15:16,125 少しは素直にもなりましょう 155 00:15:16,125 --> 00:15:22,064 父上のお役に立ちたいのが 本心でござりますれば 156 00:15:22,064 --> 00:15:30,072 あのように たけだけしゅうては 雲上人の相手もできまい 157 00:15:30,072 --> 00:15:34,076 あれの目には狂気がある 158 00:15:34,076 --> 00:15:39,081 あの子とて 平氏の行く末を案ずればこそ 159 00:15:39,081 --> 00:15:45,087 しかるべき仕事を与えれば 随分と 兄たちの力にもなりましょう 160 00:15:45,087 --> 00:15:51,087 まあ 折を見てのぅ ハハッ… 161 00:16:07,109 --> 00:16:09,109 ≪(徳)頭! 162 00:16:12,114 --> 00:16:16,118 (徳)港も街道も 役人でいっぱいだ 当分 里へは下りらんねえ 163 00:16:16,118 --> 00:16:19,121 (太平)ンン… 164 00:16:19,121 --> 00:16:23,121 ≪(鳥の鳴き声) 165 00:16:27,062 --> 00:16:30,065 妙だな 166 00:16:30,065 --> 00:16:35,070 徳よ お前 人に つけられやしなかったか? 167 00:16:35,070 --> 00:16:37,072 そんなはずはねえ 168 00:16:37,072 --> 00:16:40,075 俺たちが通る道は 生半可な奴は通れねえ 169 00:16:40,075 --> 00:16:44,075 とすると ほかに ここを知ってる奴は… 170 00:16:47,082 --> 00:16:51,082 頑入だ (徳)あの野郎… 171 00:17:00,095 --> 00:17:03,098 やい 頑入 出てこい! 172 00:17:03,098 --> 00:17:06,101 裏切ったら どういうことになるか 俺が教えてやる 173 00:17:06,101 --> 00:17:08,101 出てこい! 174 00:17:14,109 --> 00:17:16,111 (吹き矢の音) (ほくろ)ウッ! 175 00:17:16,111 --> 00:17:18,111 ほくろ! 176 00:17:26,055 --> 00:17:29,055 鬼若 動くな 毒が回る 177 00:17:32,061 --> 00:17:34,063 野郎… もう勘弁ならねえ! 178 00:17:34,063 --> 00:17:37,066 頑入 出てこい! こら! 179 00:17:37,066 --> 00:17:39,068 (役人)ウワッ! 180 00:17:39,068 --> 00:17:41,068 (役人)ヤーッ! 181 00:17:46,075 --> 00:17:48,077 (吹き矢の音) 182 00:17:48,077 --> 00:17:53,077 野郎… 野郎! 183 00:17:58,087 --> 00:18:00,087 やい 頑入! 184 00:18:02,091 --> 00:18:04,091 頑入? 185 00:18:13,102 --> 00:18:19,108 じい 奴らの目当ては俺ひとり ここは俺に任して 早く逃げろ 186 00:18:19,108 --> 00:18:22,044 むざむざ捕まる気か? 187 00:18:22,044 --> 00:18:26,048 平家にだって 話の分かる奴が ひとりぐらい いるだろう 188 00:18:26,048 --> 00:18:30,052 このまま一生 悪僧の汚名を しょわされて生きるのは真っ平だ 189 00:18:30,052 --> 00:18:32,054 鬼若! 190 00:18:32,054 --> 00:18:36,058 ほくろ 達者でいろよ 191 00:18:36,058 --> 00:18:44,066 聞け! 比叡山は最強の荒法師 武蔵坊弁慶とは我がことなり! 192 00:18:44,066 --> 00:18:48,070 ほかの者に手を出さずば いずれへなりとも行ってやる 193 00:18:48,070 --> 00:18:50,072 聞け! 聞け! 194 00:18:50,072 --> 00:18:52,074 (役人)ええい! 195 00:18:52,074 --> 00:18:58,080 ♬~ 196 00:18:58,080 --> 00:19:00,082 武蔵坊! 197 00:19:00,082 --> 00:19:19,101 ♬~ 198 00:19:19,101 --> 00:19:37,101 ♬~ 199 00:19:41,056 --> 00:19:45,060 <それから3日後のことである> 200 00:19:45,060 --> 00:19:50,065 <京の都は 西八条なる 入道相国の館へ向かう➡ 201 00:19:50,065 --> 00:19:53,065 網代車の一行があった> 202 00:19:55,070 --> 00:19:59,074 (右京大夫) 相国さまのご機嫌は いかに候や? 203 00:19:59,074 --> 00:20:02,077 (鈴の前)徳子の御方さまの ご名代とあれば➡ 204 00:20:02,077 --> 00:20:04,079 きっと お喜びになられましょう 205 00:20:04,079 --> 00:20:09,084 そうであればよいが 相国さまは気難しいお方ゆえ 206 00:20:09,084 --> 00:20:13,088 それに お美しい右京大夫さまが お見えになられたと聞けば➡ 207 00:20:13,088 --> 00:20:16,091 りりしい公達や若殿ばらが 放ってはおきませぬ 208 00:20:16,091 --> 00:20:21,096 ああ 今宵は何が起こるやら 思うただけで胸がどきどき 209 00:20:21,096 --> 00:20:23,031 のう? 玉虫どの 210 00:20:23,031 --> 00:20:25,033 (玉虫)浮かれているのは 鈴の前 お前ひとりじゃ 211 00:20:25,033 --> 00:20:27,035 一緒にされては迷惑です 212 00:20:27,035 --> 00:20:30,038 気詰まりな女子じゃのぅ 玉虫どのは 213 00:20:30,038 --> 00:20:34,042 久々のお出かけというに (玉虫)物見遊山ではありませぬ 214 00:20:34,042 --> 00:20:38,046 入道相国さまのご機嫌伺いですよ それをお忘れなく 215 00:20:38,046 --> 00:20:41,049 お方さま 近ごろ 玉虫どのは➡ 216 00:20:41,049 --> 00:20:44,052 何かというと ぷんぷん怒ってばかり 217 00:20:44,052 --> 00:20:47,055 何ぞ よい薬はないものでしょうか 218 00:20:47,055 --> 00:20:50,058 さあ… どんな薬がよいやらのぅ 219 00:20:50,058 --> 00:20:56,058 (笑い声) 220 00:20:58,066 --> 00:21:02,066 ≪(車副)静まれ 静まれ! 右京大夫さまのお車なるぞ! 221 00:21:04,072 --> 00:21:08,076 (玉虫)これ あの騒ぎは何事ぞ? 222 00:21:08,076 --> 00:21:11,079 (役人)行く手をお騒がせいたし 申し訳ござりませぬ 223 00:21:11,079 --> 00:21:16,084 円教寺を焼いた比叡山の悪僧を 護送中の者にござりまする 224 00:21:16,084 --> 00:21:19,087 (玉虫)比叡山の悪僧とな 225 00:21:19,087 --> 00:21:23,091 (役人) しばらく… しばらくのご辛抱を 226 00:21:23,091 --> 00:21:30,098 (騒ぎ声) 227 00:21:30,098 --> 00:21:34,102 どうした どうした? もたもたするな 228 00:21:34,102 --> 00:21:38,106 俺を そこらの法師と ひとからげにするから いかんのだ 229 00:21:38,106 --> 00:21:43,111 さあ 元気を出せ 早く清盛の所へ連れていけ! 230 00:21:43,111 --> 00:21:46,114 あの声は… 231 00:21:46,114 --> 00:21:48,116 ((ウオーッ!)) 232 00:21:48,116 --> 00:21:51,119 (玉虫)((目が回る 目が回る!)) 233 00:21:51,119 --> 00:21:55,119 ((ハハハハッ… ウオーッ!)) 234 00:21:57,125 --> 00:22:00,128 (右京大夫) 玉虫? いかがいたしたのじゃ? 235 00:22:00,128 --> 00:22:04,132 お… 鬼若じゃ あの鬼若どのじゃ! 236 00:22:04,132 --> 00:22:08,136 わしを早く 清盛の所へ連れていけ 行くぞ! 237 00:22:08,136 --> 00:22:11,136 それ~! (役人たち)ウワーッ! 238 00:22:13,141 --> 00:22:17,145 見つけました とうとう見つけました 239 00:22:17,145 --> 00:22:22,084 力は百人力 論議をすれば 人に負けたことがなく➡ 240 00:22:22,084 --> 00:22:25,087 ひと度 野山を駆ければ 嵐を巻き起こし… 241 00:22:25,087 --> 00:22:28,090 おお… そなたが いつも自慢している➡ 242 00:22:28,090 --> 00:22:30,092 力持ちの法師のことか 243 00:22:30,092 --> 00:22:32,094 はい! 244 00:22:32,094 --> 00:22:38,100 ♬~ 245 00:22:38,100 --> 00:22:43,100 (水滴の音) 246 00:22:53,115 --> 00:23:02,124 ♪(雅楽) 247 00:23:02,124 --> 00:23:17,139 ♪ 新年 春来れば 248 00:23:17,139 --> 00:23:33,088 ♪ 門に松こそ 立てりけれ 249 00:23:33,088 --> 00:23:47,102 ♪ 松は祝いの物なれば 250 00:23:47,102 --> 00:23:51,106 お方さま ご覧なさりませ 251 00:23:51,106 --> 00:23:54,109 相国さまが あのように ご機嫌 麗しゅう 252 00:23:54,109 --> 00:24:03,118 ♪ 長からん 253 00:24:03,118 --> 00:24:09,124 ♪~ 254 00:24:09,124 --> 00:24:13,128 それにしても 知盛さまの気難しいお顔 255 00:24:13,128 --> 00:24:18,133 ♪~ 256 00:24:18,133 --> 00:24:23,071 (鈴の前)そのお隣が 小松殿 重盛卿のご嫡子 維盛さま 257 00:24:23,071 --> 00:24:27,075 そのお隣が 弟君の資盛さま 258 00:24:27,075 --> 00:24:32,075 ほんに いずれ劣らぬ 美男ぞろいでござりまするな 259 00:24:36,084 --> 00:24:42,090 資盛 こちらを見ているぞ 260 00:24:42,090 --> 00:24:49,097 噂に たがわぬ美貌よのぅ 右京大夫は 261 00:24:49,097 --> 00:25:05,113 ♪~ 262 00:25:05,113 --> 00:25:20,128 ♪~ 263 00:25:20,128 --> 00:25:22,063 それ 見ろ 264 00:25:22,063 --> 00:25:30,071 ♪~ 265 00:25:30,071 --> 00:25:46,087 ♪ 新年 春来れば 266 00:25:46,087 --> 00:25:49,090 お方さま 267 00:25:49,090 --> 00:26:01,102 ♪ 松こそ 立てりけれ 268 00:26:01,102 --> 00:26:16,117 ♪ 松は祝いの物なれば 269 00:26:16,117 --> 00:26:27,062 ♪ 君が命ぞ… 270 00:26:27,062 --> 00:26:33,068 《鬼若どの どこで どうしておじゃるのやら》 271 00:26:33,068 --> 00:26:36,071 《痛ましや 鬼若どの》 272 00:26:36,071 --> 00:26:40,075 ♪~ 273 00:26:40,075 --> 00:26:42,077 (拍手) 274 00:26:42,077 --> 00:26:46,081 (清盛) いやぁ 見事じゃ 見事であった 275 00:26:46,081 --> 00:26:50,085 祇福 松王の両名に褒美を取らせよ 276 00:26:50,085 --> 00:26:57,092 右京大夫 久々に 白拍子の舞を堪能させてもろうた 277 00:26:57,092 --> 00:27:02,097 御所へ戻ったら 中宮に よろしくお伝えしてくれ 278 00:27:02,097 --> 00:27:07,097 お見舞い 確かに ちょうだいいたしたとのぅ 279 00:27:09,104 --> 00:27:13,108 お父君の今のお言葉を お伝えいたしましたならば➡ 280 00:27:13,108 --> 00:27:16,111 中宮 徳子の御方さまも➡ 281 00:27:16,111 --> 00:27:19,114 どんなにか お喜びになられましょう 282 00:27:19,114 --> 00:27:22,050 右京も お役に立てて うれしゅうござりまする 283 00:27:22,050 --> 00:27:26,054 やあやあ 大儀であった そちたちにも褒美を取らそう 284 00:27:26,054 --> 00:27:29,057 いいえ それは もったいのうござります 285 00:27:29,057 --> 00:27:32,060 あ~ いや 遠慮せずともよい 何なりと申すがよい 286 00:27:32,060 --> 00:27:36,064 (資盛)右京どの おじじさまは よほどのお喜びと見える 287 00:27:36,064 --> 00:27:40,068 遠慮せずに申されよ (維盛)さよう これも座興じゃ 288 00:27:40,068 --> 00:27:44,072 無理難題を吹きかけて おじじさまを困らせるという 289 00:27:44,072 --> 00:27:48,076 ホホホッ… それは趣向じゃ ハハハッ… 290 00:27:48,076 --> 00:27:53,081 果たして 当代随一の才女は何を望むや 291 00:27:53,081 --> 00:27:57,085 男ならば ここに より取り見取りじゃ! 292 00:27:57,085 --> 00:28:00,088 (維盛たちの笑い声) 293 00:28:00,088 --> 00:28:04,092 ほんに お言葉に甘えても よろしゅうござりましょうや? 294 00:28:04,092 --> 00:28:07,092 おうおう よいとも 申してみよ 295 00:28:11,099 --> 00:28:14,099 されば… 296 00:28:18,106 --> 00:28:22,043 比叡山の荒法師をひとり 297 00:28:22,043 --> 00:28:25,046 何と? 298 00:28:25,046 --> 00:28:28,049 お方さま (知盛)控えよ 右京大夫 299 00:28:28,049 --> 00:28:32,053 武蔵坊弁慶なる悪僧ならば 円教寺を焼き払うた大悪人 300 00:28:32,053 --> 00:28:35,056 甘い顔も ほどほどにせい 301 00:28:35,056 --> 00:28:39,060 お怒りは ごもっともで ござりますれど これには訳が 302 00:28:39,060 --> 00:28:41,062 (時子)これ 知盛どの 303 00:28:41,062 --> 00:28:44,065 そのような大罪人ならば なおのこと 304 00:28:44,065 --> 00:28:47,068 右京どのとて 座興で申したのではあるまい 305 00:28:47,068 --> 00:28:50,068 訳を聞いておあげなされ 306 00:28:52,073 --> 00:28:54,073 (清盛)申してみよ 307 00:28:58,079 --> 00:29:02,083 6~7年ほど前になりましょうか 308 00:29:02,083 --> 00:29:08,089 徳子の御方さまが まだ 中宮に お成りあそばされる前のこと 309 00:29:08,089 --> 00:29:13,094 後白河院のお供で 熊野へ参詣のみぎり➡ 310 00:29:13,094 --> 00:29:19,100 これなる女房の玉虫が道に迷い 悪人どもに襲われて➡ 311 00:29:19,100 --> 00:29:23,038 危ういところを 助けてくれましたのが➡ 312 00:29:23,038 --> 00:29:30,045 鬼若こと 武蔵坊弁慶なる 法師でござりましたそうな 313 00:29:30,045 --> 00:29:37,052 更に 玉虫が申しまするには 決して 噂のような悪僧ではなく➡ 314 00:29:37,052 --> 00:29:43,058 事の理非をわきまえた 誠 あっぱれな剛の者とか 315 00:29:43,058 --> 00:29:47,062 そのときの恩に報いて 助けたいと申すか 316 00:29:47,062 --> 00:29:50,065 誠の悪僧ならば 命ごいなど いたしませぬ 317 00:29:50,065 --> 00:29:52,067 よくよくお調べを 318 00:29:52,067 --> 00:29:56,071 ふむ… 玉虫とやら (玉虫)はい 319 00:29:56,071 --> 00:30:01,076 (清盛) その法師 それほどの剛の者か? 320 00:30:01,076 --> 00:30:03,078 はい! 321 00:30:03,078 --> 00:30:06,081 力は百人力 論議をすれば 人に負けたことがなく➡ 322 00:30:06,081 --> 00:30:08,083 ひと度 野山を駆ければ 嵐を巻き起こし… 323 00:30:08,083 --> 00:30:13,088 (笑い声) 324 00:30:13,088 --> 00:30:18,093 (清盛)右京大夫 余が調べてみて➡ 325 00:30:18,093 --> 00:30:24,093 誠の悪僧であったら首をはねるが それでもよいか? 326 00:30:26,034 --> 00:30:31,039 そのときは… ご随意に 327 00:30:31,039 --> 00:30:44,052 ♬~ 328 00:30:44,052 --> 00:30:57,065 ♬~ 329 00:30:57,065 --> 00:31:00,068 お方さま 申し訳ござりませぬ 330 00:31:00,068 --> 00:31:05,068 私が 鬼若どのことを 申し上げたばかりに 331 00:31:07,075 --> 00:31:12,080 女子にとって 恋は命じゃ 玉虫 332 00:31:12,080 --> 00:31:14,080 ほかに何があろうか 333 00:31:17,085 --> 00:31:19,085 お方さま… 334 00:31:21,089 --> 00:31:26,094 この上は 相国さまのお裁きに お任せするのじゃ 335 00:31:26,094 --> 00:31:31,094 これも 先の世からの運命と思うてのぅ 336 00:31:33,101 --> 00:31:35,103 はい 337 00:31:35,103 --> 00:31:40,103 ♬~ 338 00:31:50,118 --> 00:31:52,118 (足音) 339 00:32:01,129 --> 00:32:04,132 (清盛)フフフフッ… 340 00:32:04,132 --> 00:32:07,135 書写山 円教寺を灰にした➡ 341 00:32:07,135 --> 00:32:13,135 比叡山の悪僧 武蔵坊弁慶とは そのほうか 342 00:32:17,145 --> 00:32:19,147 フッ… 343 00:32:19,147 --> 00:32:23,084 詮議もせずに悪僧と言わるるは 迷惑千万だ 344 00:32:23,084 --> 00:32:26,087 (家臣)控えい! 入道相国さまの御前なるぞ! 345 00:32:26,087 --> 00:32:29,090 聞かずとも分かっておるわ 346 00:32:29,090 --> 00:32:34,095 そのほう 何歳になる? 347 00:32:34,095 --> 00:32:37,098 人の年を聞いて 何と召さる? 348 00:32:37,098 --> 00:32:40,101 汝の命を惜しむ心からよ 349 00:32:40,101 --> 00:32:46,107 おお… 年など忘れて候 350 00:32:46,107 --> 00:32:50,111 聞けば 汝は 叡山において 悪行の限りを尽くし➡ 351 00:32:50,111 --> 00:32:53,114 山を追われしよな 352 00:32:53,114 --> 00:32:56,117 否 こっちで山を見捨てて候 353 00:32:56,117 --> 00:33:03,124 果ては 流浪の末 書写に登り 堂塔伽藍を滅ぼしたる罪 軽からず 354 00:33:03,124 --> 00:33:10,131 頭を丸め 法衣をまとう法師の道に 背くとは思わざるか? 355 00:33:10,131 --> 00:33:13,134 ハハハハッ… 356 00:33:13,134 --> 00:33:17,138 一向に思わん ハハハハッ… 357 00:33:17,138 --> 00:33:21,142 おのれ いちいち憎さげな口ぶりよな 358 00:33:21,142 --> 00:33:25,079 そのこうべを 入道が拳で打ち砕いてくれようか 359 00:33:25,079 --> 00:33:28,082 拳が逆さに砕けて候 360 00:33:28,082 --> 00:33:31,085 なれば その首 はねてくれようか 361 00:33:31,085 --> 00:33:36,090 刀が折れて候 (清盛)口の減らぬ奴め 362 00:33:36,090 --> 00:33:41,095 口が減っては飯が食えぬで候 黙らぬか! 363 00:33:41,095 --> 00:33:45,099 聞き候え 入道相国 364 00:33:45,099 --> 00:33:50,104 それがしを悪僧というは 相手の臆病が言わしむること 365 00:33:50,104 --> 00:33:54,108 また 書写山 炎上は それがしのせいにあらず 366 00:33:54,108 --> 00:33:56,110 喧嘩に負けた衆徒が➡ 367 00:33:56,110 --> 00:34:00,114 腹いせに それがしを おとしめんとて 火を放ち➡ 368 00:34:00,114 --> 00:34:04,118 折からの谷風にあおられて 大事に至りしもの 369 00:34:04,118 --> 00:34:10,124 その罪 軽からずと申されるなら まずは信濃坊なる法師と➡ 370 00:34:10,124 --> 00:34:14,128 風の神を 詮議いたすべきではござらぬか 371 00:34:14,128 --> 00:34:18,132 黙れ 武蔵坊 言わせておけば 抜け抜けと 372 00:34:18,132 --> 00:34:21,135 「盗っ人たけだけしい」とは おのれのことじゃ 373 00:34:21,135 --> 00:34:28,076 なんの 盗っ人たけだけしいは そちらが先じゃ 374 00:34:28,076 --> 00:34:33,081 袈裟 衣を身にまとい 頭を丸めた入道が➡ 375 00:34:33,081 --> 00:34:36,084 こうべを打ち砕かんとて 拳を振り上げるは➡ 376 00:34:36,084 --> 00:34:38,086 法衣をまといし者の姿にあらず 377 00:34:38,086 --> 00:34:43,091 それこそ 法師の道に 背くこととは思わざるか? 378 00:34:43,091 --> 00:34:45,093 この儀 いかに!? 379 00:34:45,093 --> 00:34:48,096 言うことは それだけか? 380 00:34:48,096 --> 00:34:53,101 なお 重ねて申すなら 過ぐる保元の戦の折 381 00:34:53,101 --> 00:35:00,108 おじ 平忠正を殺し あまつさえ 崇徳上皇を讃岐に流し奉るは➡ 382 00:35:00,108 --> 00:35:03,111 人の行う道にあらず 383 00:35:03,111 --> 00:35:10,118 この武蔵坊 いささか力を持て余し 暴れはいたすれど➡ 384 00:35:10,118 --> 00:35:13,121 いまだかつて 肉親を殺し➡ 385 00:35:13,121 --> 00:35:16,124 尊き御方を おとしめたる ためしなし 386 00:35:16,124 --> 00:35:19,127 さすれば 天下の大罪人は➡ 387 00:35:19,127 --> 00:35:25,066 浄海入道 平清盛自身ではござらぬか!? 388 00:35:25,066 --> 00:35:29,070 なんじゃと!? もし 己の非を認めるならば➡ 389 00:35:29,070 --> 00:35:33,074 書写山 炎上と この武蔵坊弁慶とは➡ 390 00:35:33,074 --> 00:35:39,080 一切 関わりなしとの 即刻 触れを出されよ 391 00:35:39,080 --> 00:35:44,085 ぬれぎぬが晴れるまで それがし ここを動かん 392 00:35:44,085 --> 00:35:47,088 ほう… よくぞ申した 393 00:35:47,088 --> 00:35:51,092 決して そこを動くまいぞ 394 00:35:51,092 --> 00:35:57,092 知盛 問答無用じゃ こやつの首をはねい 395 00:36:07,108 --> 00:36:15,116 (笑い声) 396 00:36:15,116 --> 00:36:20,121 おい 平家の へろへろ公達 397 00:36:20,121 --> 00:36:23,057 いささか 渇きを覚えて候 398 00:36:23,057 --> 00:36:27,061 早く酒を持ってこい 持ってこずば 縄を切って暴れるぞ 399 00:36:27,061 --> 00:36:31,065 (家臣)こやつ 図に乗りおって! 400 00:36:31,065 --> 00:36:37,071 むざむざ殺すには惜しい奴 どうじゃ わしの家人にならぬか? 401 00:36:37,071 --> 00:36:39,073 いやいや 断る断る 402 00:36:39,073 --> 00:36:44,078 源氏に くみする気か? 滅びた者に用はない 403 00:36:44,078 --> 00:36:47,081 ならば わしの家人になれ 粗末には扱わぬぞ 404 00:36:47,081 --> 00:36:49,083 (ため息) 405 00:36:49,083 --> 00:36:52,086 何度 同じことを言わせるのだ 406 00:36:52,086 --> 00:36:57,086 それより おい へろへろ 早く酒を持ってこぬか 407 00:36:59,093 --> 00:37:01,093 (殴る音) 408 00:37:05,099 --> 00:37:07,101 (ため息) 409 00:37:07,101 --> 00:37:12,106 明日まで こやつを放り込んどけ (家臣たち)はっ! 410 00:37:12,106 --> 00:37:15,109 (家臣)立てい! 411 00:37:15,109 --> 00:37:29,056 ♪ 仏も昔は人なりき 412 00:37:29,056 --> 00:37:42,056 ♪ 我らも ついには仏なり 413 00:37:45,072 --> 00:37:50,077 ♪(笛の演奏) 414 00:37:50,077 --> 00:38:07,094 ♪~ 415 00:38:07,094 --> 00:38:25,046 ♪~ 416 00:38:25,046 --> 00:38:27,048 (玉虫)ハァ… 417 00:38:27,048 --> 00:38:36,057 ♪~ 418 00:38:36,057 --> 00:38:41,062 ≪(いびき) 419 00:38:41,062 --> 00:38:51,062 ♪~ 420 00:38:56,077 --> 00:39:01,077 (いびき) 421 00:39:03,084 --> 00:39:05,084 ンッ… 422 00:39:09,090 --> 00:39:14,090 (いびき) 423 00:39:16,097 --> 00:39:20,101 (玉虫)もし… もし… 424 00:39:20,101 --> 00:39:22,036 うん? 425 00:39:22,036 --> 00:39:25,039 もしや そこにおじゃるは➡ 426 00:39:25,039 --> 00:39:30,044 比叡山の法師にて 鬼若どのと申されまいか? 427 00:39:30,044 --> 00:39:34,048 誰じゃ? わしの名を呼ぶのは 428 00:39:34,048 --> 00:39:38,052 アア… やはり 鬼若どのか 429 00:39:38,052 --> 00:39:41,052 おう そういう… 430 00:39:45,059 --> 00:39:47,061 ハハハハッ… 431 00:39:47,061 --> 00:39:51,065 アア… さては もののけが たぶらかしに来よったか 432 00:39:51,065 --> 00:39:54,068 ハハハハッ… 433 00:39:54,068 --> 00:39:59,073 鬼若どの 玉虫でござります 434 00:39:59,073 --> 00:40:03,077 いつぞや 熊野の山中で➡ 435 00:40:03,077 --> 00:40:07,081 山賊に襲われ 危ういところを 助けていただきました➡ 436 00:40:07,081 --> 00:40:11,085 玉虫にござります お忘れですか 鬼若どの 437 00:40:11,085 --> 00:40:18,092 な… なんと 玉虫… 玉虫どのか! 438 00:40:18,092 --> 00:40:22,029 鬼若どの! 玉虫! 439 00:40:22,029 --> 00:40:30,037 おお… おお… 誠 玉虫か 440 00:40:30,037 --> 00:40:34,041 覚えておいででしょうか この玉虫を 441 00:40:34,041 --> 00:40:41,048 おお 忘れるものか 覚えているぞ 覚えているぞ 442 00:40:41,048 --> 00:40:44,051 鬼若どの 443 00:40:44,051 --> 00:40:55,062 ♬~ 444 00:40:55,062 --> 00:41:00,067 おお… 玉虫 445 00:41:00,067 --> 00:41:11,078 アア… 紛れもなく あのときの鬼若どのじゃ 446 00:41:11,078 --> 00:41:15,082 どんなにか そなたさまに お会いしたかったことか 447 00:41:15,082 --> 00:41:22,089 聞いた そなたが熊野まで わざわざ訪ねて来てくれたことも 448 00:41:22,089 --> 00:41:27,094 鬼若どのは わらわの命の恩人 449 00:41:27,094 --> 00:41:31,098 あの日から 1日たりと 忘れたことはござりませぬ 450 00:41:31,098 --> 00:41:38,098 そうか それほどまでに わしを思うてくれてたのか 451 00:41:42,109 --> 00:41:47,114 で… でも まさか このような所でお会いしようとは 452 00:41:47,114 --> 00:41:50,117 うん? 453 00:41:50,117 --> 00:41:53,120 鬼若どのが恨めしゅうござります 454 00:41:53,120 --> 00:41:59,126 アア… アア… そう言われれば そうじゃのぅ 455 00:41:59,126 --> 00:42:03,126 このような所で いや すまん 456 00:42:05,132 --> 00:42:08,132 鬼若どのに… 457 00:42:11,138 --> 00:42:14,138 もしものことがあったら… 458 00:42:16,143 --> 00:42:19,143 この玉虫とて生きてはおりません 459 00:42:21,148 --> 00:42:24,084 うん? あっ これ! いっそ このまま 一緒にお供を… 460 00:42:24,084 --> 00:42:29,089 何を早まっておるのだ 早まってはならんぞ 玉虫 461 00:42:29,089 --> 00:42:33,093 でも こうなってしまったからには もう… 462 00:42:33,093 --> 00:42:36,096 いや… そうか… 463 00:42:36,096 --> 00:42:41,101 いや… おお これ… 何を泣くのだ 464 00:42:41,101 --> 00:42:45,105 (泣き声) ああ よしよし いや わしもな 465 00:42:45,105 --> 00:42:49,109 なにも このような陰気な所に 長居をする義理はないのだ 466 00:42:49,109 --> 00:42:52,112 ただな ひと夜の… いや… 467 00:42:52,112 --> 00:42:57,112 よし 今からな そなたと一緒に ここを逃げよう 468 00:43:00,120 --> 00:43:05,125 誠でござりまするか? おお 469 00:43:05,125 --> 00:43:09,129 うれしゅうござります 470 00:43:09,129 --> 00:43:11,131 アア… 471 00:43:11,131 --> 00:43:14,134 これが ちんちろりんの ちろちろか 472 00:43:14,134 --> 00:43:17,137 えっ? あっ いや 473 00:43:17,137 --> 00:43:21,141 さあ それでな この縄に傷をつけてくれ よいか? 474 00:43:21,141 --> 00:43:24,078 でも どうやって ここから… 475 00:43:24,078 --> 00:43:28,082 いや よいから わしに任せて さあ 早くしろ 476 00:43:28,082 --> 00:43:30,082 はい 477 00:43:35,089 --> 00:43:37,091 アッ! 玉虫? 478 00:43:37,091 --> 00:43:39,093 どうした? 玉虫! 479 00:43:39,093 --> 00:43:41,095 鬼若どの! 鬼若どの! 480 00:43:41,095 --> 00:43:46,100 玉虫! 玉虫! 481 00:43:46,100 --> 00:43:51,105 玉虫! 玉虫~! 482 00:43:51,105 --> 00:43:57,105 武蔵坊 望みどおり首をはねてやる 覚悟せい 483 00:44:00,114 --> 00:44:05,114 おのれ… 484 00:44:12,126 --> 00:44:18,132 玉虫~っ! 485 00:44:18,132 --> 00:44:20,134 ウワーッ! 486 00:44:20,134 --> 00:44:31,078 (力み声) 487 00:44:31,078 --> 00:44:33,080 (殴る音) 488 00:44:33,080 --> 00:44:36,083 (家臣)なんという奴だ (家臣)化け物じゃ 489 00:44:36,083 --> 00:44:38,085 (力み声) 490 00:44:38,085 --> 00:44:40,087 (突き破る音) 491 00:44:40,087 --> 00:44:47,094 ♬~ 492 00:44:47,094 --> 00:44:51,098 玉虫~! 493 00:44:51,098 --> 00:45:04,111 ♬~ 494 00:45:04,111 --> 00:45:07,114 <その すさまじい憤怒の形相は➡ 495 00:45:07,114 --> 00:45:13,120 まさしく 不動明王の化身そのものであった> 496 00:45:13,120 --> 00:45:16,120 玉虫~!