1 00:01:22,129 --> 00:01:24,129 2 00:01:28,002 --> 00:01:48,022 ♬~ 3 00:01:48,022 --> 00:02:08,042 ♬~ 4 00:02:08,042 --> 00:02:27,995 ♬~ 5 00:02:27,995 --> 00:02:48,015 ♬~ 6 00:02:48,015 --> 00:03:08,035 ♬~ 7 00:03:08,035 --> 00:03:27,988 ♬~ 8 00:03:27,988 --> 00:03:48,008 ♬~ 9 00:03:48,008 --> 00:03:58,008 ♬~ 10 00:04:00,020 --> 00:04:02,022 (打ちつける音) (法師)アアッ! 11 00:04:02,022 --> 00:04:04,022 (遮那王)どうした! 12 00:04:06,026 --> 00:04:10,030 どうした! そんなことで敵の首が取れるか 13 00:04:10,030 --> 00:04:12,032 死ぬ気で かかってこい 死ぬ気で 14 00:04:12,032 --> 00:04:14,034 (打ち合う音) 15 00:04:14,034 --> 00:04:16,036 (法師)ヤーッ! 16 00:04:16,036 --> 00:04:20,040 (法師)遮那王 もうやめじゃ! (遮那王)卑怯者 逃げるか! 17 00:04:20,040 --> 00:04:22,976 ヤーッ! トーッ! (法師)ウワッ! 18 00:04:22,976 --> 00:04:25,979 (遮那王)怨敵 平清盛 見参! 19 00:04:25,979 --> 00:04:27,981 トーッ! (打ちつける音) 20 00:04:27,981 --> 00:04:30,984 (遮那王)父の恨み 思い知れ! 21 00:04:30,984 --> 00:04:32,986 (打ちつける音) トーッ! 22 00:04:32,986 --> 00:04:34,988 オリャー! 待てー! 23 00:04:34,988 --> 00:04:38,992 (阿闍梨)あれでは 法師たちが使い物にならぬぞ 24 00:04:38,992 --> 00:04:41,995 (常陸坊)はっ… いや まったく ハハハハッ… 25 00:04:41,995 --> 00:04:45,999 笑い事ではあるまいぞ (常陸坊)はっ… 26 00:04:45,999 --> 00:04:49,002 (常陸坊)しかし それにしても➡ 27 00:04:49,002 --> 00:04:52,005 よくぞ これまで 成人あそばされたものと➡ 28 00:04:52,005 --> 00:04:55,008 阿闍梨どのには感謝してござる 29 00:04:55,008 --> 00:05:00,013 御曹司が母御前の常盤さまから 引き離されたのが➡ 30 00:05:00,013 --> 00:05:03,016 御年3歳の折でござった 31 00:05:03,016 --> 00:05:07,020 お体も弱く 夜になると➡ 32 00:05:07,020 --> 00:05:11,024 「母は いずこじゃ 母者は いずこ」とお泣きになられ 33 00:05:11,024 --> 00:05:14,027 これは とても たくましい御曹司には育つまいと 34 00:05:14,027 --> 00:05:17,030 半ば諦めておりましたが 35 00:05:17,030 --> 00:05:22,970 この鞍馬山に入られてからは 身も心も見違えるほど たくましく 36 00:05:22,970 --> 00:05:24,972 それもこれも ひとえに➡ 37 00:05:24,972 --> 00:05:27,975 阿闍梨どのの ご薫陶のたまものと 感謝してござります 38 00:05:27,975 --> 00:05:29,977 何を申すぞ 常陸坊 39 00:05:29,977 --> 00:05:32,980 おとなしく 経を読んでいるかと思えば➡ 40 00:05:32,980 --> 00:05:36,984 『六韜三略』を読みふけり いや それは まだよいとして 41 00:05:36,984 --> 00:05:40,988 常陸坊 父の敵の怨敵のと➡ 42 00:05:40,988 --> 00:05:43,991 里の者が聞けば 目を回すようなことを➡ 43 00:05:43,991 --> 00:05:45,993 大声で わめきおる 44 00:05:45,993 --> 00:05:48,996 これが六波羅に聞こえてみよ 45 00:05:48,996 --> 00:05:56,003 遮那王のみならず このわしまでも 謀反人にされかねまいな 46 00:05:56,003 --> 00:05:58,005 申し訳ござりませぬ 47 00:05:58,005 --> 00:06:02,009 そのことなれば それがしから 御曹司に よくよくと 48 00:06:02,009 --> 00:06:07,014 わしは今日まで あえて 遮那王の出家を延ばしてはきたが 49 00:06:07,014 --> 00:06:10,017 もう これ以上はのぅ 50 00:06:10,017 --> 00:06:16,023 ご坊のお情けのほどは 我らも肝に銘じておりまする 51 00:06:16,023 --> 00:06:22,963 遮那王には どこぞに もっと よい所がないものかのぅ 52 00:06:22,963 --> 00:06:28,969 ご坊は 御曹司に ここを出よと仰せあるか 53 00:06:28,969 --> 00:06:33,974 悪く思われるな 常陸坊 御曹司には もっと伸び伸びと➡ 54 00:06:33,974 --> 00:06:40,981 誰にも気兼ねなしに暮らせる所が ないものかとのぅ 55 00:06:40,981 --> 00:06:42,981 それは… 56 00:07:00,000 --> 00:07:03,003 ♪(笛の演奏) 57 00:07:03,003 --> 00:07:08,008 ♪~ 58 00:07:08,008 --> 00:07:10,010 (語り)<鞍馬の遮那王> 59 00:07:10,010 --> 00:07:14,014 <日がな一日 戦の稽古に明け暮れ➡ 60 00:07:14,014 --> 00:07:20,020 母親譲りの笛で 荒らげた心を 癒やす 孤独な少年であった> 61 00:07:20,020 --> 00:07:26,020 ♪~ 62 00:07:57,991 --> 00:08:02,996 (弁慶)どうじゃ? どれもよい品ばかりじゃろう 63 00:08:02,996 --> 00:08:05,999 それなぞは 殿上人か➡ 64 00:08:05,999 --> 00:08:09,002 平家の公達ぐらいしか 持てぬ品物じゃ 65 00:08:09,002 --> 00:08:14,007 (道具屋)あんた… いやぁ あんた これ どっから持ってきなはった? 66 00:08:14,007 --> 00:08:17,010 こりゃ確かに立派な品物やけど 67 00:08:17,010 --> 00:08:21,014 出どころの怪しげな物を つかまされたら かなわんでな 68 00:08:21,014 --> 00:08:24,951 いや 決して怪しい品物ではない 69 00:08:24,951 --> 00:08:28,955 我が家 先祖伝来の 由緒ある品物ばかりじゃ 70 00:08:28,955 --> 00:08:33,960 へえ… ほな あんた お公卿さんの出ぇだすか? 71 00:08:33,960 --> 00:08:36,963 とても そうは見えまへんけどな 72 00:08:36,963 --> 00:08:40,963 皮肉を申すな これには訳があるのじゃ 73 00:08:42,969 --> 00:08:44,971 望むとあらばな 74 00:08:44,971 --> 00:08:48,975 このぐらいの品物は まだ腐るほどあるぞ 75 00:08:48,975 --> 00:08:51,978 そんなに? ああ 76 00:08:51,978 --> 00:08:55,982 なぁに こちらは馬が欲しいだけじゃ 77 00:08:55,982 --> 00:08:59,986 馬が2頭… いや 1頭でもよい 78 00:08:59,986 --> 00:09:02,989 その代わりな 飛び切りの駿馬をだ 79 00:09:02,989 --> 00:09:07,989 まさか あんた 毎晩 五条の大橋辺りで出てる… 80 00:09:12,999 --> 00:09:14,999 ンン… 81 00:09:18,004 --> 00:09:21,007 だったら どうする? ウウ… 82 00:09:21,007 --> 00:09:22,943 ハハハハッ… 83 00:09:22,943 --> 00:09:26,947 いやぁ 冗談じゃ 冗談じゃ ハハハハッ… 84 00:09:26,947 --> 00:09:30,951 いやぁ 誰か これを 買うてくれる奴は おらんかのぅ? 85 00:09:30,951 --> 00:09:32,953 痛い痛い 痛い痛い 86 00:09:32,953 --> 00:09:35,956 私の手ぇでは とても とても… 87 00:09:35,956 --> 00:09:38,959 そうや よいお方がおられますわ 88 00:09:38,959 --> 00:09:41,962 そのお方やったら なんぼでも買うてくれるかも 89 00:09:41,962 --> 00:09:44,965 そのお方を ちょっと呼んでまいりましょう 90 00:09:44,965 --> 00:09:47,968 アアッ! 六波羅の役人ではあるまいのぅ? 91 00:09:47,968 --> 00:09:51,972 とんでもない! そんなお話やったら 真っ平や 92 00:09:51,972 --> 00:09:53,974 ハァ… ハァハァ… 93 00:09:53,974 --> 00:09:58,979 宿の… 陸奥の商人で いっつも ぎょうさん買い物をして帰る 94 00:09:58,979 --> 00:10:02,983 あの… ここで待っててくだされよ すぐそこに お泊まりなはる 95 00:10:02,983 --> 00:10:04,983 よ… 呼んでまいります 96 00:10:10,991 --> 00:10:12,993 (舌打ち) 97 00:10:12,993 --> 00:10:16,993 ハァ… どうして売れんのかのぅ 98 00:10:18,999 --> 00:10:23,937 (子供たちの騒ぎ声) 99 00:10:23,937 --> 00:10:27,941 <やがて 道具屋の亭主が連れてきたのは➡ 100 00:10:27,941 --> 00:10:30,944 身なり物腰は あくまで商人ながら 101 00:10:30,944 --> 00:10:34,944 どこか不敵なにおいのする 旅の男であった> 102 00:11:07,981 --> 00:11:10,984 (吉次)ほかにもあるそうだな? 103 00:11:10,984 --> 00:11:13,987 ああ? ああ 104 00:11:13,987 --> 00:11:17,991 あるにはあるが 一度に運べん わしのねぐらにある 105 00:11:17,991 --> 00:11:19,993 見せてもらえますかな? 106 00:11:19,993 --> 00:11:24,998 みんな この程度の品物なら 全部 引き取ってもいい 107 00:11:24,998 --> 00:11:29,002 全部!? 無論 即金で 108 00:11:29,002 --> 00:11:34,007 ンン… 出どころを 確かめずともよいのか? 109 00:11:34,007 --> 00:11:38,011 私のほうは品物さえよければ 一向にかまいません 110 00:11:38,011 --> 00:11:43,016 たとえ あなたが どんな恐ろしい化け物でも 111 00:11:43,016 --> 00:11:45,018 えっ? 112 00:11:45,018 --> 00:11:52,025 さあ 案内してください どこですか? あなたのねぐらは 113 00:11:52,025 --> 00:11:54,025 うむ… 114 00:12:07,040 --> 00:12:10,043 おぬし ただの商人ではなさそうだな 115 00:12:10,043 --> 00:12:14,047 何者だ? あなたがご心配の➡ 116 00:12:14,047 --> 00:12:17,047 六波羅の役人でないことは 確かです 117 00:12:20,053 --> 00:12:22,989 陸奥の商人とか申したな 118 00:12:22,989 --> 00:12:27,994 砂金を扱うとりますゆえ 都では 金売りの吉次で通っております 119 00:12:27,994 --> 00:12:30,997 金売り吉次? 120 00:12:30,997 --> 00:12:36,002 奥州 平泉の 藤原秀衡さまを ご存じで? 121 00:12:36,002 --> 00:12:39,005 おお 存じておるとも 122 00:12:39,005 --> 00:12:43,009 すると おぬし 秀衡公の… 123 00:12:43,009 --> 00:12:47,013 あなたさまは… 武蔵坊さまでは? 124 00:12:47,013 --> 00:12:49,015 ああ いやぁ いかにも 125 00:12:49,015 --> 00:12:53,019 やはり五条大橋のお化けさまで 126 00:12:53,019 --> 00:12:56,022 ンン… 127 00:12:56,022 --> 00:12:58,022 ンッ! 128 00:13:00,026 --> 00:13:05,031 最前の分を入れて 999本ある 129 00:13:05,031 --> 00:13:09,035 999本? おう 130 00:13:09,035 --> 00:13:12,038 全部 あなたさまが おひとりで? うむ… 131 00:13:12,038 --> 00:13:15,041 1000本にして 切りのよいところで やめようと思うていたがな 132 00:13:15,041 --> 00:13:18,044 最後の1本で とんでもない稚児に出会うてのぅ 133 00:13:18,044 --> 00:13:21,982 家来を集めて 旗揚げするつもりが➡ 134 00:13:21,982 --> 00:13:24,985 こっちが 家来にさせられてしもうた 135 00:13:24,985 --> 00:13:26,987 ハハハハッ… 136 00:13:26,987 --> 00:13:28,989 あなたさまのよう豪傑を 家来に持てば➡ 137 00:13:28,989 --> 00:13:32,989 その稚児どのも さぞかし 心強いことでござりましょうな 138 00:13:34,995 --> 00:13:37,998 不運なお方でのぅ 139 00:13:37,998 --> 00:13:42,002 いやぁ 実は そのお方に➡ 140 00:13:42,002 --> 00:13:45,005 馬を 買うてさし上げようと思うたのよ 141 00:13:45,005 --> 00:13:48,008 れっきとした武将のお子に 生まれながら➡ 142 00:13:48,008 --> 00:13:52,008 身寄りもなく さるお寺で 不遇をかこっておられるゆえ 143 00:13:54,014 --> 00:13:56,016 武蔵坊さま うん? 144 00:13:56,016 --> 00:14:01,021 もしや そのお方 鞍馬山におわす… 145 00:14:01,021 --> 00:14:06,026 おお ご存じか? その遮那王どのよ 146 00:14:06,026 --> 00:14:08,028 さようでござりましたか 147 00:14:08,028 --> 00:14:11,031 これは また 縁とは異なものでござりますな 148 00:14:11,031 --> 00:14:13,033 うん? 149 00:14:13,033 --> 00:14:17,037 実は私も さる やんごとなきお方に頼まれて 150 00:14:17,037 --> 00:14:21,041 御曹司の母君 常盤さまの お世話をいたしております 151 00:14:21,041 --> 00:14:23,977 なに? 152 00:14:23,977 --> 00:14:26,980 御曹司は 親御がないと申されておったが➡ 153 00:14:26,980 --> 00:14:29,983 母君は生きておわすのか? 154 00:14:29,983 --> 00:14:32,986 ご存じないので? いやぁ 知らん 155 00:14:32,986 --> 00:14:36,990 なんでも 清水寺に葬られてるとかで➡ 156 00:14:36,990 --> 00:14:39,993 御曹司は毎晩お参りに 157 00:14:39,993 --> 00:14:44,993 まさか御曹司が知らぬはずは… う~ん… 158 00:14:47,000 --> 00:14:52,005 のう 吉次どの 御曹司の母君は 今いずこに? 159 00:14:52,005 --> 00:14:55,008 はい その後 縁あって➡ 160 00:14:55,008 --> 00:14:59,012 大蔵卿の一条長成さまの 奥方に望まれ➡ 161 00:14:59,012 --> 00:15:05,018 今は 8歳になられる良成さまと いうお子もござりまして お幸せに 162 00:15:05,018 --> 00:15:11,018 そうか そうであったか 163 00:15:13,026 --> 00:15:16,029 武蔵坊さま 164 00:15:16,029 --> 00:15:21,034 ♬~ 165 00:15:21,034 --> 00:15:26,973 <その翌日 弁慶は 馬を見に行こうと遮那王を誘った> 166 00:15:26,973 --> 00:15:30,977 <持ち馬を手放す公卿がいると いうのである> 167 00:15:30,977 --> 00:15:32,979 それにしても 弁慶 はっ… 168 00:15:32,979 --> 00:15:35,982 馬を買う金はあるのか? 169 00:15:35,982 --> 00:15:38,985 なに 馬の1頭や2頭 何でもござらん 170 00:15:38,985 --> 00:15:42,989 ハハハッ… 大きく出たのぅ ああ ハハハハッ… 171 00:15:42,989 --> 00:15:47,994 さては おぬし 平家の公達から 巻き上げた刀を売りさばいたな? 172 00:15:47,994 --> 00:15:50,997 おお ご明察 173 00:15:50,997 --> 00:15:55,001 それでは私も 太刀泥棒の仲間になってしまう 174 00:15:55,001 --> 00:16:01,007 いや 御曹司とは 生涯の道連れでござりますれば 175 00:16:01,007 --> 00:16:05,011 一蓮托生 こやつめ 176 00:16:05,011 --> 00:16:08,014 (2人の笑い声) 177 00:16:08,014 --> 00:16:12,018 さあさあ おいでくだされ ハハハハッ… 178 00:16:12,018 --> 00:16:22,962 ♬~ 179 00:16:22,962 --> 00:16:32,962 ♬~ 180 00:16:34,974 --> 00:16:37,977 いかがなされた? 181 00:16:37,977 --> 00:16:41,981 馬を譲るという公卿は 何というお方ぞ? 182 00:16:41,981 --> 00:16:47,987 それがしも詳しいことは存ぜぬが ほれ あのお屋敷でござる 183 00:16:47,987 --> 00:16:49,987 帰る 184 00:16:51,991 --> 00:16:54,994 御曹司! 何をするぞ 離せ! 185 00:16:54,994 --> 00:16:56,996 なぜ そのように お逃げなさるや 186 00:16:56,996 --> 00:17:01,000 そのほうの知ったことか 離せと言うに! 187 00:17:01,000 --> 00:17:03,002 察するところ 御曹司には➡ 188 00:17:03,002 --> 00:17:06,005 あの屋敷の主が どなたかご存じと見えまするな 189 00:17:06,005 --> 00:17:09,008 知らぬ! いいや 存ぜぬはずはない 190 00:17:09,008 --> 00:17:14,013 あの屋敷の奥方が どなたかも 191 00:17:14,013 --> 00:17:18,013 弁慶 そのほう 何か たくらんでおるな? 192 00:17:20,019 --> 00:17:22,019 御曹司 193 00:17:26,960 --> 00:17:28,960 御曹司! 194 00:17:30,964 --> 00:17:34,968 御曹司は それがしに 母君は亡くなられたと申された 195 00:17:34,968 --> 00:17:37,971 しかし 母君 常盤御前は生きておわす 196 00:17:37,971 --> 00:17:40,974 なぜ それをお隠し召さるや? 197 00:17:40,974 --> 00:17:44,974 生きていても 会えなければ 死んだも同じであろうが 198 00:17:46,980 --> 00:17:52,986 ハハハハッ… 武蔵坊には よう分かり申した 199 00:17:52,986 --> 00:17:58,992 何が どう分かったと申すか 勝手な当て推量は迷惑じゃ 200 00:17:58,992 --> 00:18:01,995 夜ごと 清水詣でと称して お山を抜け出し➡ 201 00:18:01,995 --> 00:18:05,999 この辺りをうじうじと うろつき回っていたに違いない 202 00:18:05,999 --> 00:18:09,002 「うじうじ」じゃと? 言葉が過ぎるぞ 弁慶 203 00:18:09,002 --> 00:18:11,004 うじうじで悪かったら いじいじだ よさぬか! 204 00:18:11,004 --> 00:18:13,004 御曹司! 205 00:18:23,950 --> 00:18:29,950 この武蔵坊の申すこと お心静かに お聞きくだされ 206 00:18:32,959 --> 00:18:36,963 それがし 御曹司に ひと目お会いしてより➡ 207 00:18:36,963 --> 00:18:42,969 その俊敏さ 機転の鋭さ 加えて 何ものをも恐れぬ大胆不敵さに➡ 208 00:18:42,969 --> 00:18:44,971 ほとほと感心いたすれど 209 00:18:44,971 --> 00:18:51,971 ただ一点 気になるは そのお心に宿る陰でござった 210 00:18:53,980 --> 00:18:56,980 それは何ものによるものか 211 00:18:58,985 --> 00:19:03,990 もし御曹司が いつの日にか 旗揚げをなされるなら➡ 212 00:19:03,990 --> 00:19:07,994 全幅の信頼を寄せ合える家人を 集めなければなりません 213 00:19:07,994 --> 00:19:14,000 そのためには まず そのお心に宿る陰を拭い去り 214 00:19:14,000 --> 00:19:20,006 小事にこだわらぬ度量の 大きさこそ 必要でござりましょう 215 00:19:20,006 --> 00:19:22,942 それとこれと 何のつながりがあろう 216 00:19:22,942 --> 00:19:25,942 母が生きていようと いまいと 217 00:19:28,948 --> 00:19:30,948 御曹司! 218 00:19:33,953 --> 00:19:39,953 人の噂に惑わされてはなりません 219 00:19:41,961 --> 00:19:48,961 まずは ご自分の目で その目で お確かめなされよ 220 00:19:50,970 --> 00:19:53,973 母君が どのようなお方か 221 00:19:53,973 --> 00:20:01,981 ♬~ 222 00:20:01,981 --> 00:20:03,983 御曹司 223 00:20:03,983 --> 00:20:21,934 ♬~ 224 00:20:21,934 --> 00:20:24,934 会えばよいのであろう? 225 00:20:26,939 --> 00:20:28,939 私を捨てた母に 226 00:20:30,943 --> 00:20:32,945 はい 227 00:20:32,945 --> 00:20:43,945 ♬~ 228 00:21:08,981 --> 00:21:10,981 (馬のいななき) 229 00:21:14,987 --> 00:21:17,987 武蔵坊さま お待ちいたしておりました 230 00:21:19,992 --> 00:21:21,992 (話し声) 231 00:21:25,998 --> 00:21:27,998 御曹司 232 00:22:04,036 --> 00:22:07,039 ≪(足音) ≪(雑仕女)良成さま 良成さま 233 00:22:07,039 --> 00:22:10,042 (雑仕女)申し訳ござりません 234 00:22:10,042 --> 00:22:13,042 良成さま さあ あちらへまいりましょう 235 00:22:15,047 --> 00:22:20,052 そなた 良成どのと申されるか? (良成)はい 236 00:22:20,052 --> 00:22:23,990 お年は? (良成)8歳にござります 237 00:22:23,990 --> 00:22:27,990 賢いお子じゃ ハハハハッ… 兄上は おいくつじゃ? 238 00:22:29,996 --> 00:22:31,998 兄上? 239 00:22:31,998 --> 00:22:40,006 ♬~ 240 00:22:40,006 --> 00:22:43,006 兄上は おいくつじゃ? 241 00:22:47,013 --> 00:22:50,016 (雑仕女)良成さま お客さまに ご迷惑でござりましょう 242 00:22:50,016 --> 00:22:52,018 さあさあ あちらへ 243 00:22:52,018 --> 00:23:04,030 ♬~ 244 00:23:04,030 --> 00:23:09,030 やはり 来るのではなかった 245 00:23:12,038 --> 00:23:14,040 御曹司 246 00:23:14,040 --> 00:23:20,046 ♬~ 247 00:23:20,046 --> 00:23:22,046 ≪(物音) 248 00:23:27,987 --> 00:23:29,987 (常盤)牛若どのか? 249 00:23:32,992 --> 00:23:34,994 母上 250 00:23:34,994 --> 00:23:37,997 <遮那王の母 常盤は➡ 251 00:23:37,997 --> 00:23:43,002 近衛天皇の皇后 呈子に仕えた 雑仕女であった> 252 00:23:43,002 --> 00:23:48,007 <やがて 16歳で 源氏の棟梁 源義朝の 寵愛を受け➡ 253 00:23:48,007 --> 00:23:51,010 今若 乙若 牛若の 3児をもうけたが➡ 254 00:23:51,010 --> 00:23:55,014 15年前の平治の乱で義朝が破れ 255 00:23:55,014 --> 00:23:59,018 厳しい平家の追及の手を 逃れながらの雪の逃避行は➡ 256 00:23:59,018 --> 00:24:04,018 『平治物語』の名場面として 今に伝えられている> 257 00:24:06,025 --> 00:24:08,027 <「ころは如月10日なり」> 258 00:24:08,027 --> 00:24:13,032 <「余寒 なお激しくて 雪は暇なく降りにけり」> 259 00:24:13,032 --> 00:24:17,036 <「今若どのを先に立て 乙若どのの手を引き➡ 260 00:24:17,036 --> 00:24:20,039 牛若どのを懐に抱き➡ 261 00:24:20,039 --> 00:24:22,975 2人の幼き人には 物をも履かさず➡ 262 00:24:22,975 --> 00:24:27,975 氷の上を はだしにてぞ歩ませけり」> 263 00:24:30,983 --> 00:24:32,985 <当時1歳の遮那王が➡ 264 00:24:32,985 --> 00:24:36,989 母の懐のぬくもりを 覚えていようはずもなかったが➡ 265 00:24:36,989 --> 00:24:43,996 常盤にしてみれば 15年の歳月が さながら 春の淡雪のごとく➡ 266 00:24:43,996 --> 00:24:47,996 一瞬にして解けるほどの 歓喜の再会に違いなかった> 267 00:24:55,007 --> 00:24:58,010 (泣き声) 268 00:24:58,010 --> 00:25:01,013 牛若どの 269 00:25:01,013 --> 00:25:08,020 いいや 今は 鞍馬の遮那王どのであったのぅ 270 00:25:08,020 --> 00:25:14,020 よくぞ訪ねてくれました お礼を申しますぞ 271 00:25:16,028 --> 00:25:22,968 今日 母上をお訪ねしたのは これなる武蔵坊が 272 00:25:22,968 --> 00:25:26,972 おお そうであったか 273 00:25:26,972 --> 00:25:30,976 それでは 法師どのにも お礼を申しませねばのぅ 274 00:25:30,976 --> 00:25:36,982 なんの 愚僧… いや それがしの出過ぎた申し出を➡ 275 00:25:36,982 --> 00:25:40,986 快くお受けくだすったのは 御曹司にござります 276 00:25:40,986 --> 00:25:44,986 では それがしは これにて 277 00:26:00,005 --> 00:26:06,005 母上に ひと言お尋ねしても よろしゅうござりましょうや? 278 00:26:09,014 --> 00:26:13,018 ならば お尋ねいたしまする 279 00:26:13,018 --> 00:26:19,024 母上は 源氏の棟梁の 側室の身でありながら➡ 280 00:26:19,024 --> 00:26:24,964 入道相国 平清盛の 寵を受けたと聞きましたが 281 00:26:24,964 --> 00:26:27,967 そは誠でござりましょうや? 282 00:26:27,967 --> 00:26:30,970 なんと 283 00:26:30,970 --> 00:26:32,970 (遮那王)しかとお答えくだされ 284 00:26:39,979 --> 00:26:41,979 誠じゃ 285 00:26:44,984 --> 00:26:51,991 入道相国は 父上を殺せし 怨敵にござりまする 286 00:26:51,991 --> 00:26:55,995 そのにっくき敵の寵を受けて➡ 287 00:26:55,995 --> 00:26:58,995 母上は 恥ずかしいとは思いませぬか? 288 00:27:02,001 --> 00:27:08,007 それを どうしても 答えねばなりませぬか? 289 00:27:08,007 --> 00:27:14,013 お嫌ならば 無理にとは申しませぬ 290 00:27:14,013 --> 00:27:18,013 何ゆえ そのようなことを お尋ねになるのじゃ? 291 00:27:20,019 --> 00:27:25,019 遮那王どのは 相手を困らせるのが お好きか? 292 00:27:26,959 --> 00:27:30,963 天に恥じぬことなれば 答えられるはず 293 00:27:30,963 --> 00:27:36,969 それができぬは 母上の心に 何か やましいことがあるからじゃ 294 00:27:36,969 --> 00:27:39,972 源氏の身でありながら➡ 295 00:27:39,972 --> 00:27:43,972 我が身惜しさに 平家の情けに すがって生きようとは 296 00:27:45,978 --> 00:27:49,978 そのような女子 母とは呼びとうない! 297 00:27:53,986 --> 00:28:00,993 よもや我が子に そのように あしざまに言われようとはのぅ 298 00:28:00,993 --> 00:28:05,998 ♬~ 299 00:28:05,998 --> 00:28:09,001 遮那王どの 300 00:28:09,001 --> 00:28:13,001 これだけは そなたには 言うまいと思うていたが 301 00:28:15,007 --> 00:28:18,010 遮那王どの 302 00:28:18,010 --> 00:28:23,010 いいや 牛若どの 303 00:28:24,950 --> 00:28:26,950 よう聞きや 304 00:28:30,956 --> 00:28:32,958 御身は今 305 00:28:32,958 --> 00:28:37,963 わらわが 我が身惜しさに➡ 306 00:28:37,963 --> 00:28:42,963 平家の情けにすがって 生き長らえたように申されたが… 307 00:28:44,970 --> 00:28:47,970 惜しかったのは我が身ではない 308 00:28:49,975 --> 00:28:51,975 そなたたちじゃ 309 00:28:54,980 --> 00:28:59,980 母上は 我ら子供のために 身を犠牲にしたと申されますか? 310 00:29:03,989 --> 00:29:05,989 今の そなたには… 311 00:29:07,993 --> 00:29:10,993 言い訳としか聞こえまへがのぅ 312 00:29:12,998 --> 00:29:17,002 女子には 源氏も平氏もないものよ 313 00:29:17,002 --> 00:29:20,002 あるは ただひとつ 314 00:29:21,941 --> 00:29:25,945 母としてじゃ 315 00:29:25,945 --> 00:29:30,950 我が子と引き換えに どちらを選ぶかと言われれば➡ 316 00:29:30,950 --> 00:29:34,954 なんで我が身の恥など いとおうか 317 00:29:34,954 --> 00:29:37,957 まして➡ 318 00:29:37,957 --> 00:29:42,962 北の方さまのお子 頼朝どのも既に捕らえられ➡ 319 00:29:42,962 --> 00:29:48,968 これで源氏の血が 絶えるかもしれぬとあらば 320 00:29:48,968 --> 00:29:54,968 なんで… なんで我が身の恥など 321 00:29:57,977 --> 00:30:01,981 女子とは誠 重宝なもの 322 00:30:01,981 --> 00:30:06,981 我が子のためと言えば 何でも許されると思うてか? 323 00:30:09,989 --> 00:30:16,996 それが証拠に 入道に捨てられても なお昔の栄華を忘れ難く➡ 324 00:30:16,996 --> 00:30:21,934 こうして 大蔵卿の情けに すがって生きている 325 00:30:21,934 --> 00:30:26,934 これは母としてか? それとも 女子としてか? 326 00:30:29,942 --> 00:30:32,945 牛若… 327 00:30:32,945 --> 00:30:34,947 ≪(足音) 328 00:30:34,947 --> 00:30:37,950 帰れ! 帰れ! 329 00:30:37,950 --> 00:30:41,954 良成 これ! 兄上に向かって なんということを 330 00:30:41,954 --> 00:30:45,958 こんな兄は要らぬ! 母上をいじめる奴は兄ではない 331 00:30:45,958 --> 00:30:49,962 帰れ! 帰れ! (常盤)良成 おやめなされ 332 00:30:49,962 --> 00:30:52,965 (良成)帰れ! 帰れ! 333 00:30:52,965 --> 00:30:54,967 帰れ帰れ! (常盤)良成 おやめなされ 334 00:30:54,967 --> 00:30:58,971 帰れ! 帰れ! (常盤)良成 335 00:30:58,971 --> 00:31:03,976 帰れ! 帰れ! (常盤)良成 おやめなされ 336 00:31:03,976 --> 00:31:06,976 ≪(長成)これ 良成! (良成)父上! 337 00:31:10,983 --> 00:31:14,987 (長成) 遮那王とやら 堪忍してたもれ 338 00:31:14,987 --> 00:31:19,992 ゆうべ 金売りの吉次から そなたが来ると聞いて 339 00:31:19,992 --> 00:31:22,995 良成は楽しみにしておったのじゃ 340 00:31:22,995 --> 00:31:26,995 「兄上が来る 兄が来る」とのぅ 341 00:31:29,001 --> 00:31:31,003 (長成)さあ 良成 342 00:31:31,003 --> 00:31:39,003 ♬~ 343 00:31:47,019 --> 00:31:49,019 …とはいうものの 344 00:31:51,023 --> 00:31:54,023 悲しきは女の性とやら 345 00:31:56,028 --> 00:32:01,033 かつては 夜ごと 悔し涙に暮れながらも 346 00:32:01,033 --> 00:32:07,039 入道どのとの間に お廊という女の子までなし 347 00:32:07,039 --> 00:32:15,039 今 また こうして 父の違う弟がおってはのぅ 348 00:32:24,990 --> 00:32:32,990 そなたは 乳飲み子であったゆえ 覚えてはおるまいがのぅ 349 00:32:36,001 --> 00:32:43,008 やはり あのとき 大和へ落ち延びる吹雪の中で➡ 350 00:32:43,008 --> 00:32:51,016 そなたたち3人を道連れに 死ぬべきであったやもしれぬ 351 00:32:51,016 --> 00:32:59,016 それなれば こうまで 我が子に蔑まれずに済んだものを 352 00:33:02,027 --> 00:33:04,027 愚かしや 353 00:33:06,031 --> 00:33:14,031 何のために 今日まで 生き恥をさらしてきたのやら 354 00:33:20,045 --> 00:33:27,045 かのうものなら もう一度 あの日に戻りたい 355 00:33:28,987 --> 00:33:33,987 あの吹雪の中へ… 356 00:33:38,997 --> 00:33:42,000 (遮那王)知らぬ! 357 00:33:42,000 --> 00:33:45,003 何も覚えてはおらぬ 358 00:33:45,003 --> 00:33:51,009 私には 母上と 過ごした記憶が何ひとつない 359 00:33:51,009 --> 00:33:54,009 牛若 360 00:33:57,015 --> 00:34:04,022 母上… 母上は この遮那王が 鞍馬にあると知りながら➡ 361 00:34:04,022 --> 00:34:07,022 なぜ今日まで会いに来ては くださらなかったのじゃ? 362 00:34:11,029 --> 00:34:14,032 冷たい母と呪いながら➡ 363 00:34:14,032 --> 00:34:19,037 何度 この屋敷の周りを 歩き回ったことか 364 00:34:19,037 --> 00:34:26,979 母者人とは どのようなお方か どのようなお声か 365 00:34:26,979 --> 00:34:33,986 母のぬくもりは 母のにおいは 366 00:34:33,986 --> 00:34:36,989 (遮那王の泣き声) 367 00:34:36,989 --> 00:34:41,989 牛若… ここじゃ 368 00:34:43,996 --> 00:34:46,999 あの吹雪の夜 369 00:34:46,999 --> 00:34:53,005 そなたは確かに この母の懐に 抱かれておったのじゃ 370 00:34:53,005 --> 00:34:56,005 思い出すがよい 371 00:34:58,010 --> 00:35:00,010 母上 372 00:35:03,015 --> 00:35:05,015 牛若! 373 00:35:07,019 --> 00:35:13,019 これが… これが母のぬくもりじゃ 374 00:35:15,027 --> 00:35:19,031 思い出してたもれ 375 00:35:19,031 --> 00:35:24,031 思い出してたもれ 牛若 376 00:35:25,971 --> 00:35:28,974 母上! (常盤)牛若! 377 00:35:28,974 --> 00:35:35,981 (泣き声) 378 00:35:35,981 --> 00:35:38,984 <常盤と遮那王は今➡ 379 00:35:38,984 --> 00:35:43,989 15年前の あの吹雪の中を さまよっていた> 380 00:35:43,989 --> 00:35:56,001 ♬~ 381 00:35:56,001 --> 00:36:07,012 ♬~ 382 00:36:07,012 --> 00:36:11,012 《これでよい… これでよい》 383 00:36:14,019 --> 00:36:16,019 ハァ… 384 00:36:21,960 --> 00:36:24,963 (吉次)いかがでござりましょう? この辺りで 385 00:36:24,963 --> 00:36:26,965 ああ できることなら 御曹司には➡ 386 00:36:26,965 --> 00:36:29,968 白馬が似合うと 思うたのじゃがのぅ 387 00:36:29,968 --> 00:36:35,974 あまり目立ちすぎましても それもそうじゃな 388 00:36:35,974 --> 00:36:40,979 おお これは なかなか 気の荒そうな奴じゃ 389 00:36:40,979 --> 00:36:44,983 いけませぬか? いやぁ なに このぐらいがよい 390 00:36:44,983 --> 00:36:48,987 御曹司も なかなかの駻馬じゃでのぅ 391 00:36:48,987 --> 00:36:50,989 (笑い声) 392 00:36:50,989 --> 00:36:53,992 ≪(良成) エイッ エイッ エイッ エイッ! 393 00:36:53,992 --> 00:36:55,994 ≪(遮那王) ほれ 良成どの ここじゃ ここじゃ 394 00:36:55,994 --> 00:36:57,996 エイッ エイッ エイッ エイッ! 395 00:36:57,996 --> 00:37:02,000 (長成) おお それ 良成 兄者に負けまいぞ 396 00:37:02,000 --> 00:37:04,002 ハハハハッ… 397 00:37:04,002 --> 00:37:06,002 ホイ ホイ 398 00:37:11,009 --> 00:37:14,012 ドウドウドウ… 399 00:37:14,012 --> 00:37:17,015 よろしゅうござりましたな 400 00:37:17,015 --> 00:37:19,017 いっときは どうなることかと思いましたが 401 00:37:19,017 --> 00:37:22,954 ああ そこが御曹司の器量の大なる所よ 402 00:37:22,954 --> 00:37:25,957 吐き出すものさえ 吐き出してしまえば➡ 403 00:37:25,957 --> 00:37:29,961 あとは爽やかな若者に戻られる 404 00:37:29,961 --> 00:37:31,963 わしには よう分かる 405 00:37:31,963 --> 00:37:33,965 いや 見てるとな 406 00:37:33,965 --> 00:37:38,970 そこら辺りの激しい揺れ動きが どうも たまらんのよぅ 407 00:37:38,970 --> 00:37:42,974 あなたさまも相当な変わり者で ござりますな えっ? 408 00:37:42,974 --> 00:37:45,977 およそ 人という人 武士という武士が➡ 409 00:37:45,977 --> 00:37:48,980 欲得ずくで 結び付いている このご時世に 410 00:37:48,980 --> 00:37:50,982 おう わしはな 411 00:37:50,982 --> 00:37:54,986 この世の あらゆる欲と戦うために 遣わされたのよ 412 00:37:54,986 --> 00:37:57,989 どなたさまに? 413 00:37:57,989 --> 00:38:01,993 不動明王に決まっておるだろうが 414 00:38:01,993 --> 00:38:04,996 不動明王に? うむ… 415 00:38:04,996 --> 00:38:10,996 かたじけなくも おかしこくも 不動明王の化身ぞ わしは 416 00:38:13,004 --> 00:38:16,007 なあ? 417 00:38:16,007 --> 00:38:19,007 (いななき) 418 00:38:25,951 --> 00:38:29,951 <そして そのころ 鞍馬山では…> 419 00:38:41,967 --> 00:38:45,967 (資盛)ハァ… ハァ… 420 00:39:04,990 --> 00:39:24,943 ♬~ 421 00:39:24,943 --> 00:39:26,945 ≪(良成) 早く 支度は? 早く早く! 422 00:39:26,945 --> 00:39:30,949 ≪(長成)これこれ 良成 ≪(常盤)静かにおし 423 00:39:30,949 --> 00:39:33,952 (長成)邪魔をしてはならぬぞ これこれ 良成 424 00:39:33,952 --> 00:39:38,957 (常盤)良成 父上に叱られますぞ 425 00:39:38,957 --> 00:39:40,959 (長成)ああ 良成… 426 00:39:40,959 --> 00:39:52,971 ♬~ 427 00:39:52,971 --> 00:39:55,974 ≪(常盤)良成 いけません 428 00:39:55,974 --> 00:40:02,981 ♬~ 429 00:40:02,981 --> 00:40:08,987 女子とは 悲しいものよのぅ 430 00:40:08,987 --> 00:40:23,987 ♬~ 431 00:40:32,944 --> 00:40:34,946 これはこれは 432 00:40:34,946 --> 00:40:38,950 このような夜分に 何ぞ お取り調べでも? 433 00:40:38,950 --> 00:40:42,954 (知盛)平知盛じゃ (阿闍梨)おっ 知盛さま 434 00:40:42,954 --> 00:40:46,958 同じく 資盛 遮那王はおるか? 435 00:40:46,958 --> 00:40:50,962 遮那王なれば ただいま出かけて 436 00:40:50,962 --> 00:40:54,966 (資盛)遮那王は預け人ぞ いずれへ まいった? 437 00:40:54,966 --> 00:40:58,970 それが 近くの寺に法会がござりまして 438 00:40:58,970 --> 00:41:01,973 隠すと ためにならんぞ! 439 00:41:01,973 --> 00:41:03,975 とんでもございませぬ 440 00:41:03,975 --> 00:41:08,980 ならば 戻るまで待たせてもらおう (阿闍梨)しかし… 441 00:41:08,980 --> 00:41:11,980 案ずるな 顔が見たいだけじゃ 442 00:41:42,013 --> 00:41:46,017 今宵は皆さまに お楽しみいただこうと思いまして 443 00:41:46,017 --> 00:41:50,021 かわいい白拍子を 連れてまいりました 444 00:41:50,021 --> 00:41:52,023 よろしゅうござりましょうか? 445 00:41:52,023 --> 00:41:57,028 おお おお いつもながら 吉次の心配りには痛み入る 446 00:41:57,028 --> 00:42:00,031 遮那王にも珍しかろう さあさあ 早よう これへ 447 00:42:00,031 --> 00:42:03,031 かしこまりました 448 00:42:43,007 --> 00:42:50,007 (静)静と申しまする つたなき舞なれど ひと差し 449 00:42:56,020 --> 00:43:15,039 ♪ 初瀬の山に雲たちて 450 00:43:15,039 --> 00:43:32,991 ♪ かいま見し君 今いずこ 451 00:43:32,991 --> 00:43:49,991 ♪ ちぎるべき折もなく 折もなく 452 00:43:53,011 --> 00:43:57,015 ♪(静)かいま見し… 453 00:43:57,015 --> 00:43:59,015 《美しい…》 454 00:44:02,020 --> 00:44:09,027 ♪ 今いずこ 455 00:44:09,027 --> 00:44:14,032 <その少女の名を静といった> 456 00:44:14,032 --> 00:44:19,037 <今 正に 初花の匂うばかりの 美少女であった> 457 00:44:19,037 --> 00:44:34,986 ♬~ 458 00:44:34,986 --> 00:44:39,991 《誠 女子は美しく 悲しいもの》 459 00:44:39,991 --> 00:44:44,996 《御曹司 それをお忘れ召さるな》 460 00:44:44,996 --> 00:44:58,009 ♬~ 461 00:44:58,009 --> 00:45:02,013 <遮那王にとって それは➡ 462 00:45:02,013 --> 00:45:05,016 ほんの つかの間の 安らぎであった> 463 00:45:05,016 --> 00:45:16,016 ♬~