1 00:01:22,252 --> 00:01:24,252 2 00:01:28,125 --> 00:01:48,145 ♬~ 3 00:01:48,145 --> 00:02:08,165 ♬~ 4 00:02:08,165 --> 00:02:28,118 ♬~ 5 00:02:28,118 --> 00:02:48,138 ♬~ 6 00:02:48,138 --> 00:03:08,158 ♬~ 7 00:03:08,158 --> 00:03:28,111 ♬~ 8 00:03:28,111 --> 00:03:48,131 ♬~ 9 00:03:48,131 --> 00:03:58,131 ♬~ 10 00:04:00,143 --> 00:04:02,145 (女性の悲鳴) 11 00:04:02,145 --> 00:04:04,147 (女性)アアッ! (木曽兵)どけ! 12 00:04:04,147 --> 00:04:07,150 お願いです! (木曽兵)うるさい! 13 00:04:07,150 --> 00:04:10,150 (男性)待ってくれ! 14 00:04:14,157 --> 00:04:18,161 (語り)<怒濤のように 都へ押し寄せた義仲軍は➡ 15 00:04:18,161 --> 00:04:22,099 たちまち 凶暴な略奪者の集団と化した> 16 00:04:22,099 --> 00:04:25,102 <5年続きの飢饉で 疲弊しきった都であれば➡ 17 00:04:25,102 --> 00:04:29,106 庶民の迷惑は このうえもなかった> 18 00:04:29,106 --> 00:04:31,108 (女性)お… お待ちくだされ! 19 00:04:31,108 --> 00:04:34,111 それを持っていかれましては 今夜から私どもは… 20 00:04:34,111 --> 00:04:37,114 (木曽兵)アタタ… (弁慶)馬鹿者! 21 00:04:37,114 --> 00:04:39,116 (弁慶) 盗みをするさえ余りあるに➡ 22 00:04:39,116 --> 00:04:43,120 年老いた者まで足蹴にするとは なんたること!? 23 00:04:43,120 --> 00:04:47,124 心得違いも程がある この たわけ者! 24 00:04:47,124 --> 00:04:49,126 アアッ! 25 00:04:49,126 --> 00:04:51,128 ひどい目に遭うたのぅ 26 00:04:51,128 --> 00:04:53,130 (木曽兵)何じゃ何じゃ? (木曽兵)どうしたんじゃ? 27 00:04:53,130 --> 00:04:56,133 この法師が 横合いから しゃしゃり出てきおったのよ 28 00:04:56,133 --> 00:04:58,135 くそ ふざけた真似しやがって おい 見せしめだ 29 00:04:58,135 --> 00:05:01,138 みんなで からめ捕れ いけー! 30 00:05:01,138 --> 00:05:04,141 (木曽兵たちの力み声) 31 00:05:04,141 --> 00:05:06,143 (木曽兵)加勢しろ! 32 00:05:06,143 --> 00:05:08,145 (木曽兵)ヤーッ! (木曽兵)せ~の! 33 00:05:08,145 --> 00:05:10,147 (木曽兵)やれやれやれ! 34 00:05:10,147 --> 00:05:14,151 (力み声) 35 00:05:14,151 --> 00:05:16,151 ハアッ! 36 00:05:19,156 --> 00:05:23,093 文句のある奴は いつでも相手になってやる 37 00:05:23,093 --> 00:05:27,097 それがしは 新宮十郎行家どのの客将 38 00:05:27,097 --> 00:05:32,102 源九郎義経が家人 武蔵坊弁慶である! 39 00:05:32,102 --> 00:05:36,106 (木曽兵たち)えっ!? (木曽兵)ご… ご無礼をばいたした 40 00:05:36,106 --> 00:05:39,106 お見それし申した! (木曽兵)平に平に! 41 00:05:43,113 --> 00:05:46,113 (拍手) 42 00:05:51,121 --> 00:05:55,125 徳 ほくろ! 43 00:05:55,125 --> 00:05:58,128 (徳)鬼若 いい所があるじゃねえか 44 00:05:58,128 --> 00:06:00,130 同じ源氏だから 見て見ぬふりかと思ったぜ 45 00:06:00,130 --> 00:06:02,132 (ほくろ)鬼若は そんな男ではない 46 00:06:02,132 --> 00:06:07,137 しかし 見ていて胸がすっとしたぞ いい気味じゃ あいつら 47 00:06:07,137 --> 00:06:12,142 ハハハハッ… いやぁ 久しぶりじゃのぅ 48 00:06:12,142 --> 00:06:16,142 ほくろも元気そうで何よりだ 49 00:06:21,151 --> 00:06:25,088 そうか あれから もう3年にもなるか 50 00:06:25,088 --> 00:06:28,091 (徳)早いもんだぜ 51 00:06:28,091 --> 00:06:33,096 駿河路で別れて お前は奥州 俺たちは… 52 00:06:33,096 --> 00:06:35,098 いやぁ あのときは 本当に すまぬことをした 53 00:06:35,098 --> 00:06:40,103 わしもな ほくろのことは 気にかかっていたんだが 54 00:06:40,103 --> 00:06:45,108 …が しかし こうして 元気な姿を見て もう安心した 55 00:06:45,108 --> 00:06:47,110 俺が あのくらいの傷で死ぬものか 56 00:06:47,110 --> 00:06:49,112 なあ 徳? (徳)うん 57 00:06:49,112 --> 00:06:53,116 ああ 良かった 本当に良かった ハハッ… 58 00:06:53,116 --> 00:06:57,120 あっ おぬしたち ところで ややは まだか? 59 00:06:57,120 --> 00:06:59,122 余計なお世話じゃ 60 00:06:59,122 --> 00:07:02,125 いろいろと 励んじゃいるんだけどな 61 00:07:02,125 --> 00:07:04,127 一向に その兆しが見えねえんだ 62 00:07:04,127 --> 00:07:06,129 徳の馬鹿! 余計なこと言うな 63 00:07:06,129 --> 00:07:10,133 あのな 俺を 「徳 徳」って 呼び捨てにするの やめてくれ 64 00:07:10,133 --> 00:07:12,135 俺は仮にも お前の亭主だぞ 65 00:07:12,135 --> 00:07:15,138 イテッ! 何すんだよ? 66 00:07:15,138 --> 00:07:18,141 蚊だ (徳)もう少し優しくやってくれ 67 00:07:18,141 --> 00:07:20,143 男のくせに べらべらと 68 00:07:20,143 --> 00:07:24,081 余計なことまで しゃべりすぎるんだよ 69 00:07:24,081 --> 00:07:27,084 ハハッ… 変わらんのぅ ほくろは 70 00:07:27,084 --> 00:07:30,087 少しは 女らしゅうなったと思うたに 71 00:07:30,087 --> 00:07:34,091 変わるどころか ますます じゃじゃ馬になりやがって 72 00:07:34,091 --> 00:07:36,093 鬼若 少し言ってやってくれよ 73 00:07:36,093 --> 00:07:40,097 いやいや ややでも できれば また変わるであろう 74 00:07:40,097 --> 00:07:43,100 そういうもんかな? うむ… 75 00:07:43,100 --> 00:07:49,106 ところでな おぬしら 何しに都に来たんだ? 76 00:07:49,106 --> 00:07:51,108 それなんだがな 77 00:07:51,108 --> 00:07:55,112 今 播磨で 少し ごたつきがあってな 78 00:07:55,112 --> 00:07:57,114 ごたつき? うん 79 00:07:57,114 --> 00:07:59,116 頑入の野郎 覚えてるだろう? 80 00:07:59,116 --> 00:08:02,119 平家の知盛の家来になった あの野郎よ 81 00:08:02,119 --> 00:08:05,122 ああ 頑入が どうかしたか? 82 00:08:05,122 --> 00:08:09,126 あの野郎 俺たちの仲間を唆して➡ 83 00:08:09,126 --> 00:08:11,128 何人か 引き抜いていきやがったんだ 84 00:08:11,128 --> 00:08:14,131 ふ~む… おおかた 平家のために➡ 85 00:08:14,131 --> 00:08:16,133 何か よからぬことを 考えてるんだろう 86 00:08:16,133 --> 00:08:19,136 ああ すまん 87 00:08:19,136 --> 00:08:22,072 ンンッ! 88 00:08:22,072 --> 00:08:25,075 まったく 木曽勢が上洛してきてから➡ 89 00:08:25,075 --> 00:08:29,079 ますます 世の中は狂ってきやがった 90 00:08:29,079 --> 00:08:33,083 そこらのならず者より 性質が悪いからな 91 00:08:33,083 --> 00:08:35,085 木曽の山猿どもは 92 00:08:35,085 --> 00:08:38,088 (ほくろ)これでは 平家の 世の中のほうが まだ ましじゃ 93 00:08:38,088 --> 00:08:40,090 町の者も みんな そう言ってる 94 00:08:40,090 --> 00:08:46,096 鬼若 これが お前の 待ち望んでいた世の中なのか? 95 00:08:46,096 --> 00:08:51,101 源氏の世の中とは こういうことだったのか 96 00:08:51,101 --> 00:08:57,101 ンン… それを言われるとな 一言もない 97 00:08:59,109 --> 00:09:01,109 (鳥の鳴き声) 98 00:09:10,120 --> 00:09:13,120 (家臣)殿! 殿! 99 00:09:17,127 --> 00:09:19,127 (義仲)ハァ… (家臣)殿! 100 00:09:22,065 --> 00:09:27,070 (家臣)殿 いかがでござりました? 一院のご返事は 101 00:09:27,070 --> 00:09:30,073 フン… 本日は 御気色とやらが すぐれんとかで 102 00:09:30,073 --> 00:09:32,075 会うてもくれなんだわな 103 00:09:32,075 --> 00:09:34,077 (家臣)ならば 今度は いつ? (義仲)知るか! 104 00:09:34,077 --> 00:09:36,079 のらりくらりと 気を持たせるばかりで➡ 105 00:09:36,079 --> 00:09:38,081 一向に埒が明かん 106 00:09:38,081 --> 00:09:40,083 都の流儀というものは しち面倒くさいものぜ 107 00:09:40,083 --> 00:09:42,085 (家臣)ああ 弱りましたな 108 00:09:42,085 --> 00:09:45,088 1日も早よう 安徳帝に代わる 次の帝を決めていただかねば➡ 109 00:09:45,088 --> 00:09:47,090 我らも動きが取れぬ 110 00:09:47,090 --> 00:09:49,092 もしや 一院は➡ 111 00:09:49,092 --> 00:09:54,097 以仁王の御子を帝にするのに ご異存がおわりなのでは? 112 00:09:54,097 --> 00:09:56,099 馬鹿を申せ 113 00:09:56,099 --> 00:10:00,103 そもそも この度の平家追討は 以仁王の令旨があったればこそ 114 00:10:00,103 --> 00:10:04,107 宮は いわば 源氏再興の礎となられたお方じゃ 115 00:10:04,107 --> 00:10:06,109 そのお方の忘れ形見を もり立てていくのが➡ 116 00:10:06,109 --> 00:10:08,111 我らの筋というもんずら (家臣)うむ… 117 00:10:08,111 --> 00:10:11,114 しかし 一院が それほどに思うておわすかどうか 118 00:10:11,114 --> 00:10:16,119 ンン… 俺は どうあっても 以仁王のご意志に報いたい 119 00:10:16,119 --> 00:10:18,121 ほかのことは どうであれ➡ 120 00:10:18,121 --> 00:10:20,121 この儀ばかりは 後白河院にも譲れぬ! 121 00:10:28,064 --> 00:10:31,067 (家臣)それにしても 我らが入京をした当座は➡ 122 00:10:31,067 --> 00:10:35,071 「朝日将軍 朝日将軍よ」と 大層 もてはやしておられたに 123 00:10:35,071 --> 00:10:37,073 近ごろでは 手のひらを返したように 124 00:10:37,073 --> 00:10:39,075 (家臣)とにかく これからは➡ 125 00:10:39,075 --> 00:10:43,075 あまり気を許さぬほうが よいかもしれぬな 126 00:10:45,081 --> 00:10:51,087 都は… 都は食えねえ奴らばかりじゃ 127 00:10:51,087 --> 00:10:56,092 俺が山猿なら 後白河院は大天狗よ 128 00:10:56,092 --> 00:11:00,096 取り巻きの公卿どもは 小天狗 からす天狗のたぐいぜ 129 00:11:00,096 --> 00:11:03,099 (からすの羽音) 130 00:11:03,099 --> 00:11:08,104 彼奴らが 腹の底で何を考えてるか➡ 131 00:11:08,104 --> 00:11:11,104 一度 断ち割って 中をのぞいてやりたいわな 132 00:11:16,112 --> 00:11:18,114 (公卿)ほっ! ホホホホッ… 133 00:11:18,114 --> 00:11:20,116 (十郎)いやいや それがしも➡ 134 00:11:20,116 --> 00:11:24,120 木曽勢の あの狼藉ぶりには ただただ あきれ返るばかりで 135 00:11:24,120 --> 00:11:28,124 いかに計らえばよいものかと 136 00:11:28,124 --> 00:11:32,128 (公卿)後白河院も 深くお心を痛めておられて 137 00:11:32,128 --> 00:11:37,133 あれでは追い剥ぎ 野盗のたぐいと 同じではないかと仰せられて 138 00:11:37,133 --> 00:11:40,136 げにもって 恐れ多い極みでござります 139 00:11:40,136 --> 00:11:45,141 同じ源氏として それがしもお恥ずかしいかぎりで 140 00:11:45,141 --> 00:11:52,148 備前守 おことのために よかれと思うて忠告するが 141 00:11:52,148 --> 00:11:55,151 ここらが 思案のしどころでおじゃるぞ 142 00:11:55,151 --> 00:11:58,154 …と申されますと? 143 00:11:58,154 --> 00:12:04,154 一院は もう義仲のことは 頼りに思うてはおわさん 144 00:12:07,163 --> 00:12:12,168 今 お心ひそかに 頼りになされておわすは➡ 145 00:12:12,168 --> 00:12:16,172 備前守どの おことのことじゃ 146 00:12:16,172 --> 00:12:19,175 それは 誠で? 147 00:12:19,175 --> 00:12:23,113 都が今のような体たらくでは➡ 148 00:12:23,113 --> 00:12:28,118 もはや義仲に任せてはおけまい うん? 149 00:12:28,118 --> 00:12:31,118 フフフフッ… 150 00:12:33,123 --> 00:12:39,129 (公卿)麻呂も かねがね 木曽勢の中で語るに足る人物は➡ 151 00:12:39,129 --> 00:12:44,134 備前守をおいて ほかにおじゃらぬと思うておる 152 00:12:44,134 --> 00:12:47,137 (公卿)叔父 甥の間柄から申せば➡ 153 00:12:47,137 --> 00:12:52,142 当然 義仲などより 頭に立つべきにのぅ 154 00:12:52,142 --> 00:12:55,145 なぜに備前守どのは➡ 155 00:12:55,145 --> 00:13:00,150 家人並みの扱いに 甘んじておじゃるのやら 156 00:13:00,150 --> 00:13:03,153 オホホホッ… 出た出た 157 00:13:03,153 --> 00:13:10,160 備前守どのが備後国をたまわれば 義仲は越後国 158 00:13:10,160 --> 00:13:17,167 備前国をたまわれば 伊予国よと 常に上へ上へ行こうとする➡ 159 00:13:17,167 --> 00:13:22,105 義仲の あの押しの太さよ 160 00:13:22,105 --> 00:13:24,107 (公卿たちの笑い声) 161 00:13:24,107 --> 00:13:31,114 木曽の山家育ちが 都の作法など わきまえている道理がない 162 00:13:31,114 --> 00:13:37,120 (公卿)分相応に山猿相手に 暮らしておじゃればよいものを 163 00:13:37,120 --> 00:13:41,120 (公卿たちの笑い声) 164 00:13:43,126 --> 00:13:48,131 まあ とくとお考えなされませ 165 00:13:48,131 --> 00:13:53,136 いつまでも義仲についていては ろくなことにはならぬ 166 00:13:53,136 --> 00:13:59,142 ホホホホッ… 備前どののような あっぱれな武士が 167 00:13:59,142 --> 00:14:04,147 いや 惜しや 惜しや 168 00:14:04,147 --> 00:14:09,147 (公卿たちの笑い声) 169 00:14:11,154 --> 00:14:17,154 (八条女院)弁慶 義仲は 一体 どうしたというのじゃ? 170 00:14:20,163 --> 00:14:26,102 (八条女院)巷での狼藉 わらわの耳にも届いております 171 00:14:26,102 --> 00:14:29,105 はっ… 172 00:14:29,105 --> 00:14:34,110 それにつきましては それがしも 心を痛めておりまするが 173 00:14:34,110 --> 00:14:37,113 なんともはや 174 00:14:37,113 --> 00:14:42,118 兵たちの略奪を いつまでも許しておるようでは➡ 175 00:14:42,118 --> 00:14:48,124 義仲も 大した人物ではなさそうじゃのぅ 176 00:14:48,124 --> 00:14:51,127 いや お言葉ながら➡ 177 00:14:51,127 --> 00:14:56,132 木曽どのは いささか 粗野で一本気ではござりまするが 178 00:14:56,132 --> 00:15:00,136 また 一方 頼りがいのある御仁かと 179 00:15:00,136 --> 00:15:04,140 ならば なぜ すぐに兵たちの狼藉をやめさせぬ 180 00:15:04,140 --> 00:15:11,147 それは今 後白河院との応対に 手いっぱいのご様子ゆえ 181 00:15:11,147 --> 00:15:13,149 フフッ… 182 00:15:13,149 --> 00:15:20,156 今 都で義仲の肩を持つのは そなたくらいのものであろう 183 00:15:20,156 --> 00:15:22,091 はっ… 184 00:15:22,091 --> 00:15:26,095 九郎と比べて どうじゃ? 185 00:15:26,095 --> 00:15:31,095 将として どちらが大器であろうかのぅ? 186 00:15:39,108 --> 00:15:46,108 木曽どのには また 木曽どのの優れた所がございます 187 00:15:48,117 --> 00:15:54,123 そなたが それほど申すなら わらわも一度 会うてもよい 188 00:15:54,123 --> 00:15:57,126 おお お会いいただけまするか 189 00:15:57,126 --> 00:16:02,131 しかし 会うたからとて 何も約束はできぬ 190 00:16:02,131 --> 00:16:09,138 わらわは ただ 義仲という人物に 興味があるのじゃ 191 00:16:09,138 --> 00:16:12,141 結構でござりまする 192 00:16:12,141 --> 00:16:15,144 いやぁ そうしていただきますれば 193 00:16:15,144 --> 00:16:21,150 木曽どのも 心のゆとりが出ようというもの 194 00:16:21,150 --> 00:16:23,086 ははっ! 195 00:16:23,086 --> 00:16:26,089 (女性)アアッ! やめて! 196 00:16:26,089 --> 00:16:35,098 (女性の悲鳴) 197 00:16:35,098 --> 00:16:42,098 (頑入)《そうだ その調子だ 奪え 奪い尽くせ!》 198 00:16:51,114 --> 00:16:53,116 一院は どのようなお心で➡ 199 00:16:53,116 --> 00:16:57,120 以仁王の御子が帝になられるのを 渋っておられるのか 200 00:16:57,120 --> 00:17:03,126 八条女院どのなら ご存じのはず その訳をお聞かせいただきたい 201 00:17:03,126 --> 00:17:09,132 今日は そのような話をするために そなたと会うているのではない 202 00:17:09,132 --> 00:17:11,134 いや 待てませぬ 203 00:17:11,134 --> 00:17:16,139 都に来てから 何のかのと 御託を聞かされては待たされ通し 204 00:17:16,139 --> 00:17:19,142 待つのは もう飽き飽きでござります 205 00:17:19,142 --> 00:17:25,081 (八条女院)弁慶から 何も聞いてはおりませぬのか? 206 00:17:25,081 --> 00:17:29,085 フゥ… 政の話は一切するなとの ことでございましたが 207 00:17:29,085 --> 00:17:32,088 それでは意味がござらん! 208 00:17:32,088 --> 00:17:36,092 八条女院は 一院の妹君 また➡ 209 00:17:36,092 --> 00:17:40,096 以仁王のご養母に当たられ 大の源氏贔屓とか 210 00:17:40,096 --> 00:17:46,102 本日は 是非 お力にすがらねばと 参上つかまつりました 211 00:17:46,102 --> 00:17:52,108 ハァ… わらわは尼の身 212 00:17:52,108 --> 00:17:57,113 政には何の関わりもない 213 00:17:57,113 --> 00:17:59,113 お逃げなされまするか! 214 00:18:01,117 --> 00:18:06,122 女院は 入道相国ですら 手が出せなかったほどの➡ 215 00:18:06,122 --> 00:18:08,124 隠然たる勢力をお持ちのお方 216 00:18:08,124 --> 00:18:12,128 ひと言… ひと言 お口添えいただければ➡ 217 00:18:12,128 --> 00:18:16,132 一院の側近たちも この義仲に一目置くはず 218 00:18:16,132 --> 00:18:19,135 ならば尋ねるが 義仲 219 00:18:19,135 --> 00:18:22,071 わらわに それを頼む前に➡ 220 00:18:22,071 --> 00:18:28,077 なぜ兵たちの行いを 改めさせようとはせぬのじゃ? 221 00:18:28,077 --> 00:18:32,081 木曽の兵が都の町々を荒らし回り 222 00:18:32,081 --> 00:18:36,085 人々は 塗炭の苦しみに あえいでおるとか 223 00:18:36,085 --> 00:18:41,090 なぜ そのような非道を 見過ごしておられるのじゃ? 224 00:18:41,090 --> 00:18:45,094 兵も人の子 食わぬば生きてゆけませぬ 225 00:18:45,094 --> 00:18:48,097 なんという身勝手な 226 00:18:48,097 --> 00:18:54,103 都は数年来の飢饉で 5万人もの死人が出たほどじゃ 227 00:18:54,103 --> 00:19:00,109 それをまた 木曽勢に 食べ物をかすめ取られては 228 00:19:00,109 --> 00:19:03,112 飢饉は都だけではござらん 229 00:19:03,112 --> 00:19:08,117 我が兵たちも 草の根をかじり 泥水をすすって➡ 230 00:19:08,117 --> 00:19:10,119 都まで攻め上ってまいりました 231 00:19:10,119 --> 00:19:15,124 飢えを知らずに ぬくぬくと肥え太っておられるは 232 00:19:15,124 --> 00:19:17,126 御身さま方 やんごとなき方々では ござりませぬか! 233 00:19:17,126 --> 00:19:22,064 義仲 少し言葉が過ぎようぞ 234 00:19:22,064 --> 00:19:27,064 それがし 嘘や追従は大っ嫌いでござる 235 00:19:30,072 --> 00:19:34,076 お気に障ったら お許しを 236 00:19:34,076 --> 00:19:41,083 ♬~ 237 00:19:41,083 --> 00:19:43,085 (馬の駆ける音) 238 00:19:43,085 --> 00:19:47,089 ヤーッ! ハアッ! 239 00:19:47,089 --> 00:19:51,089 ハアッ! ハアッ! 240 00:19:53,095 --> 00:19:55,095 ハアッ! 241 00:19:57,099 --> 00:20:00,102 (義仲)ハァ… フフフフッ… 242 00:20:00,102 --> 00:20:03,105 ああ 久しぶりに汗をかいて すっきりしたわな 243 00:20:03,105 --> 00:20:08,110 (巴御前)フフッ… 出かけるときは 浮かぬ顔であったに 244 00:20:08,110 --> 00:20:11,110 もう忘れた 思い出させるな! 245 00:20:14,116 --> 00:20:19,116 八条女院との話 うまくいかなんだのであろう? 246 00:20:21,123 --> 00:20:24,060 言いたいことは全部 言ってきた 247 00:20:24,060 --> 00:20:28,064 八条女院が どう思おうと もう どうでもよい 248 00:20:28,064 --> 00:20:32,068 武蔵坊の せっかくのとりなしも 249 00:20:32,068 --> 00:20:37,073 俺は もう 一院との応対で うじうじ思い煩うのは やめにした 250 00:20:37,073 --> 00:20:40,076 我が敵は あくまで平家じゃ 251 00:20:40,076 --> 00:20:45,081 これからは 平家を討つことのみを 考えることにしようず 252 00:20:45,081 --> 00:20:47,083 それでこそ次郎どのよ 253 00:20:47,083 --> 00:20:50,086 どうじゃ? 縁起直しに一番来るか? 254 00:20:50,086 --> 00:20:55,091 うん? こいつ あとで泣きっ面かくなや 255 00:20:55,091 --> 00:20:59,095 よっ! よっ! (巴御前)ハハハハッ… 256 00:20:59,095 --> 00:21:01,097 よっ! (巴御前)ウワッ! アアッ! 257 00:21:01,097 --> 00:21:03,099 この… (義仲)よっ! 258 00:21:03,099 --> 00:21:07,103 ハハハハッ… よっ! 259 00:21:07,103 --> 00:21:18,114 ♬~ 260 00:21:18,114 --> 00:21:22,118 (巴御前の笑い声) 261 00:21:22,118 --> 00:21:24,118 巴! 262 00:21:27,123 --> 00:21:33,129 さようでございましたか やはり 木曽どのとは… 263 00:21:33,129 --> 00:21:37,133 そなたの気持ちは 分からぬではないが➡ 264 00:21:37,133 --> 00:21:40,136 あの一本気が恐ろしい 265 00:21:40,136 --> 00:21:45,141 追い詰められたら 一体 何をしでかすやら 266 00:21:45,141 --> 00:21:49,145 なればこそ 追い詰めぬように お会いいただきましたのに 267 00:21:49,145 --> 00:21:52,145 そうは申してものぅ 268 00:21:54,150 --> 00:21:57,153 恐れながら➡ 269 00:21:57,153 --> 00:22:02,158 後白河院のお気持ちは どうなのでござりましょうか? 270 00:22:02,158 --> 00:22:04,160 「どう」とは? 271 00:22:04,160 --> 00:22:07,163 以仁王の御子を➡ 272 00:22:07,163 --> 00:22:11,167 帝になさるお気持ちが おありかどうか 273 00:22:11,167 --> 00:22:17,173 弁慶 ここだけの話じゃ 274 00:22:17,173 --> 00:22:20,173 決して口外すまいぞ 275 00:22:22,111 --> 00:22:25,114 はっ! 276 00:22:25,114 --> 00:22:28,117 わらわの見るところ 兄君は➡ 277 00:22:28,117 --> 00:22:34,123 先の帝 高倉上皇の四宮を➡ 278 00:22:34,123 --> 00:22:38,127 次の帝にと お考えのご様子 279 00:22:38,127 --> 00:22:41,130 四宮? 280 00:22:41,130 --> 00:22:45,134 すると 安徳帝の弟宮を? 281 00:22:45,134 --> 00:22:48,137 それを知ったら あの男 282 00:22:48,137 --> 00:22:52,137 気が触れたように 怒りくるうことであろう 283 00:22:54,143 --> 00:22:57,146 それを見越して 一院は➡ 284 00:22:57,146 --> 00:23:05,154 鎌倉の頼朝に 何やら働きかけておられるご様子 285 00:23:05,154 --> 00:23:12,154 これからは 鎌倉を 当てになさるおつもりやもしれぬ 286 00:23:14,163 --> 00:23:16,165 (ため息) 287 00:23:16,165 --> 00:23:19,165 (せみの鳴き声) 288 00:23:27,109 --> 00:23:30,112 (政子)暑さしのぎに 瓜をむいてまいりました 289 00:23:30,112 --> 00:23:33,115 冷たいうちに お召し上がりを 290 00:23:33,115 --> 00:23:35,115 (頼朝)うむ… 291 00:23:41,123 --> 00:23:45,123 (政子)都から 何ぞ言うてまいりましたか? 292 00:23:47,129 --> 00:23:54,136 後白河院が わしをまた 右兵衛佐に任じてくれるそうじゃ 293 00:23:54,136 --> 00:23:58,140 ああ それは ようございました 294 00:23:58,140 --> 00:24:04,146 なれば これで名実ともに佐殿に 295 00:24:04,146 --> 00:24:07,146 おめでとうございます 296 00:24:10,152 --> 00:24:13,155 めでたいか? 297 00:24:13,155 --> 00:24:15,157 それでも 後白河院が➡ 298 00:24:15,157 --> 00:24:20,157 あなたさまを頼りにしておられる 証しでござりましょうに 299 00:24:25,101 --> 00:24:28,104 これには裏があるのよ 300 00:24:28,104 --> 00:24:33,104 うかつには喜べぬ 301 00:24:35,111 --> 00:24:38,114 ≪(義高)こっちだ こっちだ! ≪(大姫)待てー! 302 00:24:38,114 --> 00:24:40,116 (義高)早よう早よう! (大姫)待って! 303 00:24:40,116 --> 00:24:43,119 こっちだ! ほら こっちだ 304 00:24:43,119 --> 00:24:48,124 (政子)姫 あまり義高どのを 困らせてはなりませんぞえ 305 00:24:48,124 --> 00:24:50,126 (大姫)待てー! 306 00:24:50,126 --> 00:24:57,133 (政子)オホホホッ… 大姫にも よい遊び友達ができて 307 00:24:57,133 --> 00:25:01,133 院も とうとう義仲を見限ったか 308 00:25:03,139 --> 00:25:06,139 ≪(義高)こっちだ! ≪(大姫)待てー! 309 00:25:09,145 --> 00:25:12,148 ≪(義高)早よう早よう! 310 00:25:12,148 --> 00:25:14,148 待てー! (義高)早よう早よう! 311 00:25:19,155 --> 00:25:21,155 ≪(義高)こっちだ 312 00:25:23,092 --> 00:25:26,092 (雷鳴) 313 00:25:28,097 --> 00:25:32,097 (からすの鳴き声) 314 00:25:34,103 --> 00:25:39,108 (常陸坊)どうやら 思わしくないようでございますな 315 00:25:39,108 --> 00:25:42,108 (常陸坊)武蔵坊からの便りでは 316 00:25:44,113 --> 00:25:50,119 (義経)木曽どのの評判は 日増しに悪くなる一方じゃそうな 317 00:25:50,119 --> 00:25:55,124 殿上人の中には 平家の巻き返しを 望む声もあるらしい 318 00:25:55,124 --> 00:25:58,127 佐殿のもとにも➡ 319 00:25:58,127 --> 00:26:02,127 出馬を促す使いが 都から まいっているとか 320 00:26:04,133 --> 00:26:09,138 兄上は やはり 木曽どのに先を越されて➡ 321 00:26:09,138 --> 00:26:12,141 快く思っては おられないのであろうか 322 00:26:12,141 --> 00:26:18,147 ハァ… 今の世の中は 非常に微妙な所で➡ 323 00:26:18,147 --> 00:26:21,150 釣り合いを保っているような ものでござります 324 00:26:21,150 --> 00:26:25,087 西海では 平家が反撃の時をうかがい➡ 325 00:26:25,087 --> 00:26:31,093 都は木曽どのが押さえ この坂東には佐殿がおわす 326 00:26:31,093 --> 00:26:36,093 いずれ その釣り合いが崩れるのは 時の問題かと 327 00:26:38,100 --> 00:26:43,105 わしに また 出陣の命令が下るのであろうか? 328 00:26:43,105 --> 00:26:46,108 御曹司 あるいは➡ 329 00:26:46,108 --> 00:26:49,111 覚悟をお決めになられたほうが よいかもしれませぬ 330 00:26:49,111 --> 00:26:54,116 佐殿は 源氏の棟梁が2人もおることを➡ 331 00:26:54,116 --> 00:26:57,116 決して お認めにはなりますまい 332 00:27:00,122 --> 00:27:04,126 フゥ… 物心ついたときから➡ 333 00:27:04,126 --> 00:27:09,126 わしの戦うべき相手は 平家じゃと 強く心に念じてきたに 334 00:27:12,134 --> 00:27:16,134 まさか このような巡り合わせに なろうとはのぅ 335 00:27:27,082 --> 00:27:29,084 (雷鳴) 336 00:27:29,084 --> 00:27:33,084 (雨の音) 337 00:27:44,099 --> 00:27:46,099 (雷鳴) 338 00:27:54,109 --> 00:27:57,112 <その年の10月> 339 00:27:57,112 --> 00:28:04,112 <義仲は形勢の立て直しを図って 備中 水島に兵を進めた> 340 00:28:06,121 --> 00:28:08,123 <だが 結果は➡ 341 00:28:08,123 --> 00:28:12,127 水軍に巧みな平家軍に さんざんに翻弄され➡ 342 00:28:12,127 --> 00:28:16,131 手痛い敗退を喫したのみであった> 343 00:28:16,131 --> 00:28:18,133 俺は ここを動かん! 344 00:28:18,133 --> 00:28:21,136 敵を前にして やられっぱなしで おめおめ都に戻れるか! 345 00:28:21,136 --> 00:28:24,073 しかし 殿 兼光からの知らせによれば➡ 346 00:28:24,073 --> 00:28:29,078 十郎行家どのが一院に取り入り 何事か企てているとの気配 347 00:28:29,078 --> 00:28:32,081 ここは やはり 一度 帰らねば 348 00:28:32,081 --> 00:28:36,085 それに 何やら 鎌倉の動きも 不穏でござりまするぞ 349 00:28:36,085 --> 00:28:39,088 一院は ひそかに佐殿と 通じたもうたとの風聞もござる 350 00:28:39,088 --> 00:28:44,093 ここで ぐずぐずしていれば 都を 鎌倉勢に乗っ取られるおそれも 351 00:28:44,093 --> 00:28:49,098 ♬~ 352 00:28:49,098 --> 00:28:51,098 出陣? 353 00:28:53,102 --> 00:28:56,105 行家どのは 何を血迷われて このようなときに 354 00:28:56,105 --> 00:28:59,108 いや 別に血迷うてなどはおらん 355 00:28:59,108 --> 00:29:03,112 一院の図らざるお言葉により 義仲が わしを誤解して➡ 356 00:29:03,112 --> 00:29:06,115 烈火のごとく怒っておると 申すからな 357 00:29:06,115 --> 00:29:12,121 だから わしも平家追討に向かい なんとか仲直りを図ろうと 358 00:29:12,121 --> 00:29:14,121 行家どの 359 00:29:17,126 --> 00:29:21,130 して いずこへまいられる? 360 00:29:21,130 --> 00:29:23,065 おお されば➡ 361 00:29:23,065 --> 00:29:28,070 丹波路から播磨の室の津へ 出陣いたす所存じゃ 362 00:29:28,070 --> 00:29:31,073 室の津? 室は瀬戸内の喉元に当たる 363 00:29:31,073 --> 00:29:35,077 室を押さえれば 平家方の手足を扼したも同然よ 364 00:29:35,077 --> 00:29:40,082 どうじゃ? 妙案であろうが 365 00:29:40,082 --> 00:29:42,082 (ため息) 366 00:29:58,100 --> 00:30:01,103 (小玉虫)のう かかさま 367 00:30:01,103 --> 00:30:04,106 (玉虫)あっ 何じゃ? 小玉虫 368 00:30:04,106 --> 00:30:07,109 ととさまも この海を渡って➡ 369 00:30:07,109 --> 00:30:11,113 源氏と一緒に 攻めてくるのであろうか? 370 00:30:11,113 --> 00:30:17,119 そうよのぅ そうでなければよいがのぅ 371 00:30:17,119 --> 00:30:20,122 でも ととさまに会えるのなら➡ 372 00:30:20,122 --> 00:30:24,059 1日も早く 戦になればよい 373 00:30:24,059 --> 00:30:26,061 これ 小玉虫 374 00:30:26,061 --> 00:30:30,065 そのような悲しいことを 申すものではない 375 00:30:30,065 --> 00:30:35,070 それくらいの道理は もう分かっていように 376 00:30:35,070 --> 00:30:37,072 (玉虫)お方さま 377 00:30:37,072 --> 00:30:39,074 (右京大夫) また海を眺めていやったのか? 378 00:30:39,074 --> 00:30:43,078 (玉虫)おそばを離れて 申し訳ござりませぬ 379 00:30:43,078 --> 00:30:49,084 よいよい 別に用などありませぬが そなたたちの姿が見えぬゆえ 380 00:30:49,084 --> 00:30:53,088 (玉虫)小玉虫に せがまれまして 381 00:30:53,088 --> 00:30:55,088 つらかろうのぅ 382 00:31:06,101 --> 00:31:09,104 わらわも そなたたちを呼び戻して➡ 383 00:31:09,104 --> 00:31:13,108 罪なことをしたと 悔やんでおります 384 00:31:13,108 --> 00:31:16,111 いいえ そのようなお気遣いは… 385 00:31:16,111 --> 00:31:19,114 ≪(馬のいななき) 386 00:31:19,114 --> 00:31:24,119 今日は朝から 陣中が騒がしゅうござりまするが 387 00:31:24,119 --> 00:31:27,122 水島沖で木曽勢を打ち破り➡ 388 00:31:27,122 --> 00:31:32,122 ここで一挙に 都へ押し戻るのじゃと あのように 389 00:31:34,129 --> 00:31:38,133 また ひと戦あるのでござりましょうか 390 00:31:38,133 --> 00:31:43,133 女子には 戦に はやる 殿御の気持ちは分かりませぬ 391 00:31:45,140 --> 00:31:48,143 (ため息) 392 00:31:48,143 --> 00:31:54,149 わらわは もう 都へなど戻りとうはない 393 00:31:54,149 --> 00:31:58,149 ここで のんびり 暮らせるものならば それでも 394 00:32:01,156 --> 00:32:03,156 さようでござりまするか 395 00:32:05,160 --> 00:32:08,160 ハァ… また戦が 396 00:32:23,111 --> 00:32:25,113 <数日後> 397 00:32:25,113 --> 00:32:30,118 <弁慶の止めるのも聞かず 行家は室の津へ出陣し➡ 398 00:32:30,118 --> 00:32:36,124 入れ違いに義仲の率いる木曽勢が 都に帰ってきた> 399 00:32:36,124 --> 00:32:40,128 (人々の悲鳴) 400 00:32:40,128 --> 00:32:44,132 <再び義仲軍の略奪が始まった> 401 00:32:44,132 --> 00:32:50,132 <戦い敗れた兵士の凶暴さは 目を覆うものがあった> 402 00:32:52,140 --> 00:32:57,145 焼き払え! 奪い尽くせ! 403 00:32:57,145 --> 00:33:02,150 どうせ明日は分からぬ命じゃ 生きてるうちに貪り尽くせ! 404 00:33:02,150 --> 00:33:05,150 (女性の悲鳴) 405 00:33:08,156 --> 00:33:10,158 (女性)アアッ! アアッ! 406 00:33:10,158 --> 00:33:12,160 (矢の刺さる音) 407 00:33:12,160 --> 00:33:14,162 ンッ! 408 00:33:14,162 --> 00:33:32,114 ♬~ 409 00:33:32,114 --> 00:33:34,116 (刺す音) 410 00:33:34,116 --> 00:33:43,125 ♬~ 411 00:33:43,125 --> 00:33:45,127 ンッ! (徳)ンンッ! 412 00:33:45,127 --> 00:33:52,134 ♬~ 413 00:33:52,134 --> 00:33:54,134 (徳)ウワッ! 414 00:33:57,139 --> 00:34:00,142 (木曽兵)どけ! おら くそ どけ! 415 00:34:00,142 --> 00:34:09,151 ♬~ 416 00:34:09,151 --> 00:34:13,155 徳! (徳)頑入は? 417 00:34:13,155 --> 00:34:15,155 行くぞ 418 00:34:37,112 --> 00:34:39,112 木曽どの 419 00:34:42,117 --> 00:34:47,117 弁慶か おぬしも飲まぬか? 420 00:34:49,124 --> 00:34:52,124 ご相伴つかまつろう 421 00:35:09,144 --> 00:35:12,144 ちょうだいつかまつる 422 00:35:18,153 --> 00:35:20,153 さあ… 423 00:35:37,105 --> 00:35:43,111 今宵は 一向に酔わぬ 424 00:35:43,111 --> 00:35:47,115 都の酒まで 俺に逆らいおるわな 425 00:35:47,115 --> 00:35:50,115 ハハハハッ… さあ 一献 426 00:35:57,125 --> 00:36:03,125 木曽どの なぜでござる? 427 00:36:05,133 --> 00:36:07,133 このままでは… 428 00:36:09,137 --> 00:36:15,143 今のありさまでは 鎌倉どのも黙ってはおりますまい 429 00:36:15,143 --> 00:36:20,143 もう一度 おやり直しくだされぬか? 430 00:36:24,085 --> 00:36:29,090 (義仲)人の心は分からんもんぜ 431 00:36:29,090 --> 00:36:33,094 あれほど ぬしを頼っておった新宮も➡ 432 00:36:33,094 --> 00:36:37,098 ハッ… 今は一院の思うがまま 433 00:36:37,098 --> 00:36:43,104 ハァ… 木曽から生死を共にし➡ 434 00:36:43,104 --> 00:36:48,104 攻め上ってきた兵たちは 僅かになってしまった 435 00:36:53,114 --> 00:37:00,121 木曽どの… 木曽どの まだ遅くはござりませんぞ 436 00:37:00,121 --> 00:37:05,126 ここは ひとまず 木曽へお戻りなさりませぬか? 437 00:37:05,126 --> 00:37:12,133 かの地で兵を集め じ~っと お待ちなされ 438 00:37:12,133 --> 00:37:17,133 再び平家を打ち破る日も やってまいりましょう 439 00:37:25,080 --> 00:37:27,080 生きてくだされ 440 00:37:30,085 --> 00:37:34,089 是非とも生きてくだされ 441 00:37:34,089 --> 00:37:39,089 鎌倉におわす 義高御曹司のためにも 442 00:37:45,100 --> 00:37:47,100 弁慶 443 00:37:51,106 --> 00:37:55,110 俺は戻らん 444 00:37:55,110 --> 00:38:01,110 このまま… このまま行くしかない 445 00:38:04,119 --> 00:38:06,121 木曽どの 446 00:38:06,121 --> 00:38:12,127 ♬~ 447 00:38:12,127 --> 00:38:18,133 ハァ… 俺は やはり木曽の山猿ぜ 448 00:38:18,133 --> 00:38:24,072 山猿は こんまま山猿でいきたい 449 00:38:24,072 --> 00:38:33,081 ♬~ 450 00:38:33,081 --> 00:38:35,081 (盃を置く音) 451 00:38:38,086 --> 00:38:40,086 (義仲)鎌倉の… 452 00:38:43,091 --> 00:38:45,091 義高は どうしておるずらか? 453 00:38:49,097 --> 00:38:52,100 ありゃ… 454 00:38:52,100 --> 00:38:58,100 木曽の山育ちゆえ 海を見たがってのぅ 455 00:39:00,108 --> 00:39:06,114 鎌倉の海では 波も荒いずらのぅ 456 00:39:06,114 --> 00:39:18,126 ♬~ 457 00:39:18,126 --> 00:39:20,128 木曽どの 458 00:39:20,128 --> 00:39:33,074 ♬~ 459 00:39:33,074 --> 00:39:45,074 ♬~ 460 00:39:48,089 --> 00:39:52,093 追えー! 1人残らず討ち滅ぼせ! (兵士たち)おう! 461 00:39:52,093 --> 00:39:54,095 <そのころ 室の津では➡ 462 00:39:54,095 --> 00:40:01,095 行家の軍勢が平家方の奇襲を受け 壊滅的な打撃をこうむっていた> 463 00:40:04,105 --> 00:40:09,105 (風の音) 464 00:40:33,068 --> 00:40:40,068 九郎 行け すぐさま兵を集めて 京へ出陣せい 465 00:40:42,077 --> 00:40:45,080 後白河院からのお召しじゃ 466 00:40:45,080 --> 00:40:52,087 ♬~ 467 00:40:52,087 --> 00:40:56,087 木曽の冠者を討ち滅ぼせ 468 00:41:00,095 --> 00:41:02,097 はっ! 469 00:41:02,097 --> 00:41:20,097 ♬~ 470 00:41:22,117 --> 00:41:27,122 次郎どの (義仲)うん? 471 00:41:27,122 --> 00:41:31,126 もっと早よう 武蔵坊に出会うていたら➡ 472 00:41:31,126 --> 00:41:35,126 掛けがえのない友で いられたであろうにのぅ 473 00:41:42,137 --> 00:41:46,137 木曽は さだめし 雪が深いずらな 474 00:41:52,147 --> 00:41:54,147 木曽は いい 475 00:41:57,152 --> 00:42:00,155 都の醜さ 476 00:42:00,155 --> 00:42:05,155 ハァ… 愚かしく 悪意に満ちた殿上人に比べると… 477 00:42:07,162 --> 00:42:10,162 木曽の山賤のほうが数段 貴いわな 478 00:42:13,168 --> 00:42:19,174 それほどまでに仰せなら 殿… 479 00:42:19,174 --> 00:42:26,114 ♬~ 480 00:42:26,114 --> 00:42:28,116 殿! 481 00:42:28,116 --> 00:42:32,120 兵を集めろ! これより法住寺殿に討って出る 482 00:42:32,120 --> 00:42:36,124 次郎どの 正気か!? 483 00:42:36,124 --> 00:42:39,127 <法住寺殿を攻めるということは➡ 484 00:42:39,127 --> 00:42:45,133 すなわち 後白河法皇に敢然と 反旗を翻すということである> 485 00:42:45,133 --> 00:42:48,136 <供か 愚か> 486 00:42:48,136 --> 00:42:51,139 <義仲は ついに 堪忍袋の緒を切った> 487 00:42:51,139 --> 00:42:53,139 待たれよ! 488 00:42:55,143 --> 00:42:58,146 木曽どの お待ちくだされ 489 00:42:58,146 --> 00:43:01,149 弁慶 なぜ戻った? どけ! 490 00:43:01,149 --> 00:43:05,153 どきません この軍勢は何事でござるか? 491 00:43:05,153 --> 00:43:08,156 これより 法住寺殿を攻めるのよ 492 00:43:08,156 --> 00:43:10,156 なに!? 493 00:43:12,160 --> 00:43:14,160 さらばじゃ 弁慶… ハアッ! 494 00:43:26,107 --> 00:43:29,107 ≪(巴御前)弁慶! 弁慶! 495 00:43:33,114 --> 00:43:36,117 弁慶 496 00:43:36,117 --> 00:43:41,122 次郎どのが おぬしに 礼を申してくれと言うておった 497 00:43:41,122 --> 00:43:45,126 わしからも礼を言う 498 00:43:45,126 --> 00:43:48,129 短いつきあいじゃったが➡ 499 00:43:48,129 --> 00:43:52,129 おぬしとは100年の知己にでも 巡り会うたような気がする 500 00:43:59,140 --> 00:44:01,140 さらば 501 00:44:06,147 --> 00:44:20,161 ♬~ 502 00:44:20,161 --> 00:44:34,108 ♬~ 503 00:44:34,108 --> 00:44:42,108 <避けられぬ運命とは知りつつ それでも弁慶は無性に悲しかった> 504 00:44:45,119 --> 00:44:50,119 <戦乱の世は 友情をも引き裂く> 505 00:44:52,126 --> 00:44:59,133 <弁慶は索漠たる思いで 世の無常をかみしめていた> 506 00:44:59,133 --> 00:45:14,133 ♬~