1 00:01:22,276 --> 00:01:24,276 2 00:01:28,149 --> 00:01:48,169 ♬~ 3 00:01:48,169 --> 00:02:08,189 ♬~ 4 00:02:08,189 --> 00:02:28,142 ♬~ 5 00:02:28,142 --> 00:02:48,162 ♬~ 6 00:02:48,162 --> 00:03:08,182 ♬~ 7 00:03:08,182 --> 00:03:28,135 ♬~ 8 00:03:28,135 --> 00:03:48,155 ♬~ 9 00:03:48,155 --> 00:03:58,155 ♬~ 10 00:04:02,169 --> 00:04:05,172 (義経)では どうあっても… 11 00:04:05,172 --> 00:04:10,177 (弁慶)はい 不承知でござる 12 00:04:10,177 --> 00:04:17,184 ♬~ 13 00:04:17,184 --> 00:04:22,122 (語り) <義経は鎌倉方との戦を決意した> 14 00:04:22,122 --> 00:04:29,129 <それに反対する弁慶は ついに義経と袂を分かった> 15 00:04:29,129 --> 00:04:34,134 <別れは同時に 出会いのときでもあった> 16 00:04:34,134 --> 00:04:52,152 ♬~ 17 00:04:52,152 --> 00:04:55,155 <いとしい妻と娘を連れて➡ 18 00:04:55,155 --> 00:05:00,160 武蔵坊弁慶は いずこともなく 姿を消したのである> 19 00:05:00,160 --> 00:05:07,167 ♬~ 20 00:05:07,167 --> 00:05:09,169 (鳥の鳴き声) 21 00:05:09,169 --> 00:05:13,169 <弁慶が去った夜は 駆け足で明けた> 22 00:05:18,178 --> 00:05:22,178 (伊勢)チッ… ハァ… 23 00:05:24,118 --> 00:05:26,120 ≪(足音) 24 00:05:26,120 --> 00:05:29,123 おお どうじゃった? (経春)いや おらん 25 00:05:29,123 --> 00:05:32,126 (伊勢)見かけた者は? (為春)それもござらん 26 00:05:32,126 --> 00:05:36,130 あっ 関所からは? (伊勢)いやぁ 知らせはない 27 00:05:36,130 --> 00:05:39,130 ハァ… 困ったのぅ 28 00:05:45,139 --> 00:05:49,143 女連れ? (亀井)2人でござる 29 00:05:49,143 --> 00:05:53,143 両手に花か (行方)いや 1人は子供とのこと 30 00:05:56,150 --> 00:06:01,155 玉虫どのと小玉虫だ (経春)弁慶どのの泣きどころだ 31 00:06:01,155 --> 00:06:05,159 …で どこ行った? (行方)路地を右へ 32 00:06:05,159 --> 00:06:09,163 (伊勢)ンン… そうか 33 00:06:09,163 --> 00:06:13,167 妻子と会った 泣かれた 主君か妻子か 妻子じゃ 34 00:06:13,167 --> 00:06:17,171 逃げる… よくある話じゃが 35 00:06:17,171 --> 00:06:20,174 (伊勢)経春 お前も そうなるか? 36 00:06:20,174 --> 00:06:23,110 わしはせん 37 00:06:23,110 --> 00:06:28,110 お前がやっても 武蔵坊はせん (経春)分かっとるって 38 00:06:32,119 --> 00:06:36,119 朱雀の六条は? (行方)ここも行ったぞ 39 00:06:39,126 --> 00:06:42,129 (伊勢)おお 忠信 どうであった? 40 00:06:42,129 --> 00:06:47,134 (忠信)ハァ… 駄目じゃ (伊勢)そうか チッ… 41 00:06:47,134 --> 00:06:50,137 よ~し みんな いちから やり直しだ 42 00:06:50,137 --> 00:06:53,140 必ず武蔵坊を見つけだすんだ 43 00:06:53,140 --> 00:06:55,140 よいか! (一同)よし! 44 00:07:03,150 --> 00:07:08,155 (常陸坊) 殿 武蔵坊は我ら郎党の要でござる 45 00:07:08,155 --> 00:07:12,159 なればこそ 皆 あのように 46 00:07:12,159 --> 00:07:17,164 それを訳もおっしゃらずに ただ 「暇を出しただけ」では➡ 47 00:07:17,164 --> 00:07:21,164 郎党どもが なかんずく この常陸坊が得心いたしませぬ 48 00:07:24,104 --> 00:07:29,109 初めて会うたときから 武蔵坊こそ➡ 49 00:07:29,109 --> 00:07:35,115 殿の右腕になる男と それがし 直感したのでござる 50 00:07:35,115 --> 00:07:37,117 ((フン…)) 51 00:07:37,117 --> 00:07:40,120 ((源氏の 平氏のと くだらん話に 首を突っ込む気はない)) 52 00:07:40,120 --> 00:07:42,122 ((くだらん話かどうか➡ 53 00:07:42,122 --> 00:07:45,125 御曹司に会うてから決めても 遅うはあるまい)) 54 00:07:45,125 --> 00:07:47,125 ((御曹司?)) 55 00:07:51,131 --> 00:07:55,131 (義経)喜三太 馬じゃ 出かけるぞ (常陸坊)殿! 56 00:07:57,137 --> 00:08:03,143 弁慶の代わりの侍頭は 伊勢三郎か佐藤忠信じゃ 57 00:08:03,143 --> 00:08:07,143 どちらを選ぶかは そちに任す 58 00:08:15,155 --> 00:08:17,155 ンン… 59 00:08:21,161 --> 00:08:25,098 三郎 (伊勢)何だ? みんな出ておるぞ 60 00:08:25,098 --> 00:08:29,102 ああ いや 気がかりなのだ 61 00:08:29,102 --> 00:08:31,104 弁慶どのは大っぴらではなく➡ 62 00:08:31,104 --> 00:08:34,104 こっそり 捜したほうがよいのではないか? 63 00:08:36,109 --> 00:08:40,113 武蔵坊弁慶はいないか? 64 00:08:40,113 --> 00:08:43,116 武蔵坊弁慶はいないか!? 65 00:08:43,116 --> 00:08:45,118 どこに違いがあるんだよ? 66 00:08:45,118 --> 00:08:48,121 今は 鎌倉に知られんほうがよいのだ 67 00:08:48,121 --> 00:08:51,124 弁慶どのが消えたことを 悪いほうに勘ぐられかねない 68 00:08:51,124 --> 00:08:55,128 分かった おぬしは捜すのが嫌なんじゃ 69 00:08:55,128 --> 00:08:57,130 なぜ話を曲げる? 70 00:08:57,130 --> 00:09:02,135 忠信 おぬしは 武蔵坊の後釜を狙ってる 違うか? 71 00:09:02,135 --> 00:09:04,137 また話を曲げた 72 00:09:04,137 --> 00:09:08,141 その大目玉が野心に燃えておるぞ 73 00:09:08,141 --> 00:09:10,143 もうよい! 74 00:09:10,143 --> 00:09:14,147 そう ほざくなら わしが 弁慶どのを捜し当ててみせる 75 00:09:14,147 --> 00:09:16,149 ああ ひとつ その意気で頼むぜ 76 00:09:16,149 --> 00:09:18,149 (忠信)チッ… 77 00:09:21,154 --> 00:09:23,090 (店主)傘は要らんか? 78 00:09:23,090 --> 00:09:27,090 (話し声) 79 00:09:30,097 --> 00:09:34,101 (十郎) でかしたぞ 九郎 ようやった 80 00:09:34,101 --> 00:09:38,105 これで ようやく おぬしも 1人歩きができるというものじゃ 81 00:09:38,105 --> 00:09:40,107 (笑い声) 82 00:09:40,107 --> 00:09:43,110 まだ心細いのか? (義経)なんの 83 00:09:43,110 --> 00:09:45,112 (十郎)フフフフッ… 84 00:09:45,112 --> 00:09:49,116 弁慶は 昨夜 わしを脅かしよった 85 00:09:49,116 --> 00:09:52,119 いや もう そのことは もうお許しあれ 86 00:09:52,119 --> 00:09:54,121 あんな無頼の輩が➡ 87 00:09:54,121 --> 00:09:57,124 おぬしの… 源氏の家人で あっていいはずがない 88 00:09:57,124 --> 00:10:01,128 もともと あやつは 書写山 円教寺 火つけのお尋ね者じゃ 89 00:10:01,128 --> 00:10:03,130 おぬしと出会ったときも確か… 90 00:10:03,130 --> 00:10:07,134 ♪(笛の演奏) 91 00:10:07,134 --> 00:10:09,136 ((待たれい)) 92 00:10:09,136 --> 00:10:11,138 (舌打ち) 93 00:10:11,138 --> 00:10:15,138 ♪~ 94 00:10:20,147 --> 00:10:22,147 ((ハアッ!)) 95 00:10:24,084 --> 00:10:27,084 ((ンンッ! ハアッ!)) 96 00:10:33,093 --> 00:10:35,095 ((ンンッ!)) 97 00:10:35,095 --> 00:10:41,101 ♪~ 98 00:10:41,101 --> 00:10:43,101 ((ターッ!)) 99 00:10:47,107 --> 00:10:54,114 弁慶も それがしも 無分別なほど威勢がようござった 100 00:10:54,114 --> 00:10:56,116 ((ハアッ!)) 101 00:10:56,116 --> 00:10:58,116 ((ハアッ! ヤーッ!)) 102 00:11:00,120 --> 00:11:02,120 ((トーッ!)) ((ンンッ!)) 103 00:11:06,126 --> 00:11:09,129 (斬る音) ((オッ…)) 104 00:11:09,129 --> 00:11:14,134 (斬る音) 105 00:11:14,134 --> 00:11:16,134 ((オッ…)) 106 00:11:26,146 --> 00:11:31,146 相変わらず下手じゃのぅ おぬし やれ 107 00:11:50,170 --> 00:11:54,174 ((生まれ落ちたときは 皆 平等)) 108 00:11:54,174 --> 00:11:57,177 ((そう思えば➡ 109 00:11:57,177 --> 00:12:01,181 己の力ひとつで➡ 110 00:12:01,181 --> 00:12:06,186 何ができるか 満々たる闘志が湧いてきます)) 111 00:12:06,186 --> 00:12:11,191 ((武蔵坊 私のそばにいてくれぬか?)) 112 00:12:11,191 --> 00:12:17,191 ((この武蔵坊 いまだ修行中の未熟者なれど…)) 113 00:12:19,199 --> 00:12:22,199 ((遮那王どのと一緒に…)) 114 00:12:24,137 --> 00:12:28,141 ((旅が しとうなりました)) 115 00:12:28,141 --> 00:12:30,143 ((共に歩いてくれるか?)) 116 00:12:30,143 --> 00:12:45,158 ♬~ 117 00:12:45,158 --> 00:12:47,160 ((弁慶)) 118 00:12:47,160 --> 00:12:57,170 ♬~ 119 00:12:57,170 --> 00:12:59,172 ((御曹司)) 120 00:12:59,172 --> 00:13:11,172 ♬~ 121 00:13:24,131 --> 00:13:26,131 (店主)さあさあ いらっしゃ~い 122 00:13:31,138 --> 00:13:33,140 (店主)あっ いらっしゃいませ 123 00:13:33,140 --> 00:13:38,145 弁慶がおると聞いてきたんじゃが (店主)ああ おるよ かわいいぞ 124 00:13:38,145 --> 00:13:41,145 見たいのか? 今連れてくる 125 00:13:43,150 --> 00:13:47,154 ハァ… (経春)犬か猫の子じゃ どうする? 126 00:13:47,154 --> 00:13:49,154 こうする 127 00:13:54,161 --> 00:13:56,163 (店主)はいはい はいはいはい 128 00:13:56,163 --> 00:14:00,167 ああ お侍が2人おらなんだか? (玉虫)あっ いいえ 129 00:14:00,167 --> 00:14:02,169 なんじゃ なあ? 130 00:14:02,169 --> 00:14:07,174 かわいい! この犬 名は? (店主)武蔵坊弁慶 131 00:14:07,174 --> 00:14:11,178 ≪(女性)あの… ちょっと (店主)はいはい 毎度毎度 132 00:14:11,178 --> 00:14:14,178 おっ 本物が呼んでござる 133 00:14:21,188 --> 00:14:27,188 <右京大夫のもとにも 堀川館から亀井六郎が訪れていた> 134 00:14:30,130 --> 00:14:32,132 (右京大夫)分かりました 135 00:14:32,132 --> 00:14:36,136 弁慶どの親子が訪ねてまいったら 136 00:14:36,136 --> 00:14:42,142 堀川館で必死に捜していると 伝えればよいのでございますね? 137 00:14:42,142 --> 00:14:45,142 さようでござる どうぞ よしなに 138 00:15:04,164 --> 00:15:09,164 弁慶どのが 平家に味方しておればのぅ 139 00:15:18,178 --> 00:15:20,180 (知盛) ((むざむざ殺すには惜しい奴)) 140 00:15:20,180 --> 00:15:24,117 ((どうじゃ わしの家人にならぬか?)) 141 00:15:24,117 --> 00:15:26,119 ((断る断る)) 142 00:15:26,119 --> 00:15:31,124 ((源氏に くみする気か?)) ((滅びた者に用はない)) 143 00:15:31,124 --> 00:15:34,127 ((ならば わしの家人になれ 粗末には扱わぬぞ)) 144 00:15:34,127 --> 00:15:36,129 (ため息) 145 00:15:36,129 --> 00:15:39,132 ((何度 同じことを言わせるのだ)) 146 00:15:39,132 --> 00:15:41,132 (殴る音) 147 00:15:55,148 --> 00:16:00,148 知盛さまの運命も 変わっていたかもしれぬ 148 00:16:02,155 --> 00:16:05,158 ≪(知盛) ((なべては 過ぎたことでござる)) 149 00:16:05,158 --> 00:16:11,164 ♬~ 150 00:16:11,164 --> 00:16:14,167 知盛さま 151 00:16:14,167 --> 00:16:19,172 ((平家が滅んだは 前世からの縁というもの)) 152 00:16:19,172 --> 00:16:24,172 ((わしが滅びの家に生を受けたも 縁でござる)) 153 00:16:28,114 --> 00:16:31,117 ((知盛は➡ 154 00:16:31,117 --> 00:16:37,123 この世で成したことは 何ひとつ悔やんではおりません)) 155 00:16:37,123 --> 00:16:43,129 わらわと結ばれなかったことも? 156 00:16:43,129 --> 00:16:47,129 ((この世の恨みも あの世では消える)) 157 00:16:49,135 --> 00:16:51,137 あの世の方は羨ましい 158 00:16:51,137 --> 00:16:57,143 うつしみのわらわは あなたさまに心を残しながら➡ 159 00:16:57,143 --> 00:17:03,149 資盛さまと結ばれ その資盛さまも既に亡く➡ 160 00:17:03,149 --> 00:17:07,149 生きる望みさえ 今は失っております 161 00:17:09,155 --> 00:17:13,155 ((右京どの まいられよ)) 162 00:17:15,161 --> 00:17:18,164 いずこへ? 163 00:17:18,164 --> 00:17:20,164 ((さあ…)) 164 00:17:22,102 --> 00:17:24,104 ((まいられよ)) 165 00:17:24,104 --> 00:17:40,104 ♬~ 166 00:17:43,123 --> 00:17:46,126 どうじゃ? 引き受けてくれぬか? 167 00:17:46,126 --> 00:17:51,131 よしてくれよ 侍頭なんて 俺は そんな柄じゃねえよ 168 00:17:51,131 --> 00:17:53,133 おぬししかおらんのだ 169 00:17:53,133 --> 00:17:57,137 武蔵坊が戻るまで おぬしが 代役を務めるのが筋じゃろうが 170 00:17:57,137 --> 00:18:02,142 わしは束ね役には向かん 人間が暗すぎる 171 00:18:02,142 --> 00:18:07,147 そりゃ単に お経の読み過ぎだ (常陸坊)まあな 172 00:18:07,147 --> 00:18:11,151 まあ 誰であれ 武蔵坊の代役は無理じゃ 173 00:18:11,151 --> 00:18:16,156 フッ… この俺だって はなっから あいつには かなわなかった 174 00:18:16,156 --> 00:18:18,158 (うめき声) 175 00:18:18,158 --> 00:18:20,158 ((ウワーッ!)) 176 00:18:22,095 --> 00:18:25,098 (うめき声) 177 00:18:25,098 --> 00:18:29,102 ((早い話が おぬしは馬泥棒であろうが)) 178 00:18:29,102 --> 00:18:32,102 ((人聞きの悪いことを その大きな声で言うな)) 179 00:18:36,109 --> 00:18:43,116 フッ… かなわねえのは 腕力ばかりじゃなかった 180 00:18:43,116 --> 00:18:47,120 ((ふざけんな そんなんで俺の腹が 治まるとでも思ってんのかよ)) 181 00:18:47,120 --> 00:18:51,124 ((どけ! どけ 武蔵坊)) ((なあ 三郎!)) 182 00:18:51,124 --> 00:18:55,128 ((わしらは これから先も 多くの人を手にかけねばならん)) 183 00:18:55,128 --> 00:18:57,130 ((それが戦だ)) 184 00:18:57,130 --> 00:19:01,134 ((だが 殺さずに済む者までの命を 取るのは➡ 185 00:19:01,134 --> 00:19:04,137 それは殺生というもんだ)) ((いや 治まらねえ!)) 186 00:19:04,137 --> 00:19:07,137 ((どけってんだ 武蔵坊 どけよ どけ!)) 187 00:19:11,144 --> 00:19:16,149 ((そうか… ならば 好きにしろ)) 188 00:19:16,149 --> 00:19:28,094 ♬~ 189 00:19:28,094 --> 00:19:33,099 ((命助けて 平家にでも知られたら どうすんだ)) 190 00:19:33,099 --> 00:19:43,109 ♬~ 191 00:19:43,109 --> 00:19:45,111 ((クッ…)) 192 00:19:45,111 --> 00:19:48,111 ((ヤーッ!)) (投げ捨てる音) 193 00:19:50,116 --> 00:19:52,118 (泣き声) 194 00:19:52,118 --> 00:20:04,130 ♬~ 195 00:20:04,130 --> 00:20:10,136 ((なあ 三郎 そろそろ出かけるとするか)) 196 00:20:10,136 --> 00:20:12,138 ((ああ)) 197 00:20:12,138 --> 00:20:17,138 ♬~ 198 00:20:22,081 --> 00:20:24,081 (伊勢)ンン… 199 00:20:27,086 --> 00:20:32,091 あっ! 忠信がいい 殿だって そのほうが喜ぶ 200 00:20:32,091 --> 00:20:35,094 忠信は若すぎる (伊勢)奴は まっすぐで いい男だ 201 00:20:35,094 --> 00:20:40,099 それにな 情にだって厚い (常陸坊)殿と性格が似すぎとる 202 00:20:40,099 --> 00:20:43,102 それに 同じ性質の 組み合わせでは まずい 203 00:20:43,102 --> 00:20:45,104 いや 忠信にだって 学はあるぜ 204 00:20:45,104 --> 00:20:49,108 学だけなら わしのほうが 武蔵坊より上じゃった 205 00:20:49,108 --> 00:20:52,111 ハァ… わしゃ 知らんもんな 206 00:20:52,111 --> 00:20:56,115 どうじゃ? 引き受けてくれぬか? (伊勢)ハァ… 207 00:20:56,115 --> 00:20:58,115 なっ? 三郎 208 00:21:19,138 --> 00:21:22,138 知盛さま どこまで行きゃる? 209 00:21:24,143 --> 00:21:30,143 ((あの世と この世の境まで もう見えてまいった)) 210 00:21:50,169 --> 00:21:54,169 (知盛)((行かれるか 戻られるか)) 211 00:21:56,175 --> 00:21:58,175 ((迷うておる)) 212 00:22:02,181 --> 00:22:05,184 ((ならば 戻られよ)) 213 00:22:05,184 --> 00:22:09,188 でも 戻ったところで… 214 00:22:09,188 --> 00:22:14,193 ((あの世は極楽 この世は地獄 あの世に この世はない)) 215 00:22:14,193 --> 00:22:19,193 ((だが この世なら あの世も生きられる)) 216 00:22:23,136 --> 00:22:30,143 ハァ… どのように? 217 00:22:30,143 --> 00:22:33,146 (知盛)((そなたは歌詠み)) 218 00:22:33,146 --> 00:22:38,151 ((歌は力を入れずして 天地を動かし➡ 219 00:22:38,151 --> 00:22:42,155 目に見えぬ鬼神も 哀れと思わせる)) 220 00:22:42,155 --> 00:22:46,155 ((この世で あの世を歌うことじゃ)) 221 00:22:48,161 --> 00:22:54,167 ((この世で あの世を歌いなされ そなたは歌詠み)) 222 00:22:54,167 --> 00:23:00,173 ((この世で あの世を歌うことじゃ)) 223 00:23:00,173 --> 00:23:06,179 ((そなたは歌詠み この世で あの世を歌いなされ)) 224 00:23:06,179 --> 00:23:11,179 ♬~ 225 00:23:34,140 --> 00:23:54,160 ♬~ 226 00:23:54,160 --> 00:24:14,180 ♬~ 227 00:24:14,180 --> 00:24:34,133 ♬~ 228 00:24:34,133 --> 00:24:54,153 ♬~ 229 00:24:54,153 --> 00:25:04,153 ♬~ 230 00:25:10,169 --> 00:25:13,172 おお 見つかったのか? (行方)見つかりました 231 00:25:13,172 --> 00:25:15,174 間違いねえだろうな? 232 00:25:15,174 --> 00:25:18,177 忠信どのからの知らせでござるぞ (鷲尾)では 確かだ 233 00:25:18,177 --> 00:25:21,180 ああ でかした 忠信 ハハハハッ… 234 00:25:21,180 --> 00:25:23,115 …で 今 武蔵坊は どこじゃ? 235 00:25:23,115 --> 00:25:27,119 はっ… 洛北の補陀洛寺でござる 経を上げさせてほしいと➡ 236 00:25:27,119 --> 00:25:29,121 立ち寄ったとのことで ござりまする 237 00:25:29,121 --> 00:25:31,123 補陀洛寺は女人禁制のため➡ 238 00:25:31,123 --> 00:25:33,125 玉虫どのは寺の前で 弁慶どのを待っているとのこと 239 00:25:33,125 --> 00:25:35,127 …で 忠信は? 240 00:25:35,127 --> 00:25:37,129 弁慶どのが立ち去らんよう 見張っておりまする 241 00:25:37,129 --> 00:25:40,132 大至急 寺までお越しあれ 242 00:25:40,132 --> 00:25:42,134 よ~し! 243 00:25:42,134 --> 00:25:45,137 鷲尾 行方 手を集めろ 244 00:25:45,137 --> 00:25:48,140 市中に散らばってる者も 補陀洛寺に呼び集めるんじゃ 245 00:25:48,140 --> 00:25:50,142 (2人)承知! 246 00:25:50,142 --> 00:25:52,144 (伊勢)ハハハッ… ンン… 247 00:25:52,144 --> 00:25:55,147 三郎 戦でもする気か? 248 00:25:55,147 --> 00:26:00,147 もちろんじゃ 武蔵坊の奴 力ずくでも引き戻す 249 00:26:36,122 --> 00:26:38,122 (ため息) 250 00:26:43,129 --> 00:26:47,133 ハァ… 長いお経じゃのぅ 251 00:26:47,133 --> 00:26:49,135 (玉虫)これ 252 00:26:49,135 --> 00:26:53,139 (玉虫)ととさまは長い間 判官さまにお仕えしてきた 253 00:26:53,139 --> 00:26:57,139 お暇を出されて ととさまも つらいのですよ 254 00:27:02,148 --> 00:27:07,153 どちらが長く ととさまを知っておられる? 255 00:27:07,153 --> 00:27:10,156 判官さまと かかさまと 256 00:27:10,156 --> 00:27:16,162 それは かかさまのほうが ずっと古い 257 00:27:16,162 --> 00:27:21,167 初めて ととさまに会うたのは ほんに幼いころじゃった 258 00:27:21,167 --> 00:27:23,102 ((ヤーッ!)) 259 00:27:23,102 --> 00:27:27,106 (笑い声) 260 00:27:27,106 --> 00:27:29,108 ((オリャー! ヤーッ!)) 261 00:27:29,108 --> 00:27:32,108 ((あっあっ 目が回る 目が回る!)) 262 00:27:34,113 --> 00:27:36,115 (小玉虫)かかさまは➡ 263 00:27:36,115 --> 00:27:41,120 おんぶされたぐらいで ととさまを 好きになってしまわれたの? 264 00:27:41,120 --> 00:27:47,126 ほんに好きだと分かったのは 十歳もたってからじゃ 265 00:27:47,126 --> 00:27:52,126 ぬれぎぬを着せられてのぅ ととさまは牢屋に入っておられた 266 00:27:54,133 --> 00:27:56,133 ((はい)) 267 00:28:00,139 --> 00:28:02,141 ((アッ!)) ((玉虫?)) 268 00:28:02,141 --> 00:28:05,144 ((どうした? 玉虫!)) 269 00:28:05,144 --> 00:28:08,144 ((鬼若どの! 鬼若どの!)) 270 00:28:10,149 --> 00:28:14,153 ((玉虫~っ!)) 271 00:28:14,153 --> 00:28:20,153 (力み声) 272 00:28:22,094 --> 00:28:28,100 ((わらわは平家にゆかりの者 我が君は 源氏の御曹司の家人)) 273 00:28:28,100 --> 00:28:31,103 ((これで どうして喜べましょう?)) 274 00:28:31,103 --> 00:28:35,107 ((しかし… しかしのぅ 玉虫)) 275 00:28:35,107 --> 00:28:38,110 ((その源氏の御曹司が 旗揚げされたら➡ 276 00:28:38,110 --> 00:28:41,113 入道相国さまは いかがなされましょうや)) 277 00:28:41,113 --> 00:28:48,120 ((それは… そうなれば 天下を二分した戦になる)) 278 00:28:48,120 --> 00:28:51,123 ((それ ご覧なさりませ)) 279 00:28:51,123 --> 00:28:56,128 ((さすれば 我が君と わらわは 敵味方ということに)) 280 00:28:56,128 --> 00:29:00,132 ((いやぁ そんなすぐに敵味方…)) 281 00:29:00,132 --> 00:29:02,134 (玉虫)牢屋を出てから すぐに➡ 282 00:29:02,134 --> 00:29:06,138 ととさまは 判官さまの家人になってのぅ 283 00:29:06,138 --> 00:29:09,141 知ってのとおり ととさま かかさまは➡ 284 00:29:09,141 --> 00:29:12,144 敵味方になってしもうた 285 00:29:12,144 --> 00:29:15,144 随分と腹が立った 286 00:29:17,149 --> 00:29:21,153 それなら なぜ別れなんだ? (玉虫)フフッ… 287 00:29:21,153 --> 00:29:27,093 ととさまは 判官さまに 野心ではなく 夢を懸けたのじゃ 288 00:29:27,093 --> 00:29:29,093 夢? 289 00:29:31,097 --> 00:29:34,100 源氏も平家もない➡ 290 00:29:34,100 --> 00:29:39,105 仏法の花咲く理想郷を この世に作り上げること 291 00:29:39,105 --> 00:29:42,108 それが ととさまの夢じゃ 292 00:29:42,108 --> 00:29:45,108 理想郷って? 293 00:29:48,114 --> 00:29:51,114 戦のない世の中じゃ 294 00:29:55,121 --> 00:29:58,124 途方もない夢じゃのぅ 295 00:29:58,124 --> 00:30:01,127 そう 296 00:30:01,127 --> 00:30:06,132 ととさまは 夢を食べて生きている 297 00:30:06,132 --> 00:30:09,135 だからこそ かかさまも惹かれた 298 00:30:09,135 --> 00:30:13,139 こちらも性根を据えた 299 00:30:13,139 --> 00:30:18,144 ((女子には 源氏も平家もありません)) 300 00:30:18,144 --> 00:30:21,144 ((恋は恩讐を越えるもの)) 301 00:30:24,083 --> 00:30:26,083 ((玉虫…)) 302 00:30:32,091 --> 00:30:34,091 ((玉虫)) 303 00:30:41,100 --> 00:30:43,102 大胆! 304 00:30:43,102 --> 00:30:49,108 大胆が お前を生んだ かかさまに感謝しなされよ 305 00:30:49,108 --> 00:30:55,114 ♬~ 306 00:30:55,114 --> 00:31:00,119 それからは? (玉虫)う~ん それからは… 307 00:31:00,119 --> 00:31:07,126 今こうしているように ず~っと ととさまを待ってばかりいました 308 00:31:07,126 --> 00:31:12,131 待っても帰ってこぬとは 思わなんだの? 309 00:31:12,131 --> 00:31:15,131 思わなんだ (小玉虫)なぜ? 310 00:31:17,136 --> 00:31:22,141 この世に かかさまに勝る女子が いるはずはないもの 311 00:31:22,141 --> 00:31:26,141 フフッ… それは思い上がりじゃ 312 00:31:28,147 --> 00:31:34,153 まず女子は思い上がりを許される 313 00:31:34,153 --> 00:31:40,153 でなければ 到底 男を待ち続けられるものではない 314 00:31:43,162 --> 00:31:45,164 あっ! 315 00:31:45,164 --> 00:31:51,164 ♬~ 316 00:32:34,146 --> 00:32:37,149 フゥ… (筆を置く音) 317 00:32:37,149 --> 00:32:40,152 (紙を丸める音) 318 00:32:40,152 --> 00:32:42,152 静! 319 00:32:50,162 --> 00:32:53,165 (静)使いでございますか? 320 00:32:53,165 --> 00:32:58,170 酒を持て (静)酒には明るすぎまする 321 00:32:58,170 --> 00:33:01,170 かまわぬ 持て 322 00:33:06,178 --> 00:33:09,181 弁慶どののこと… 323 00:33:09,181 --> 00:33:11,181 そちまで弁慶のことを申すのか? 324 00:33:16,188 --> 00:33:21,193 弁慶どのは 殿と静の縁結び 325 00:33:21,193 --> 00:33:27,132 あの日 殿を母君の所に お連れくれたればこそ 326 00:33:27,132 --> 00:33:29,132 そうではございませぬか? 327 00:33:40,145 --> 00:33:42,145 ((御曹司!)) 328 00:33:45,150 --> 00:33:51,150 ((人の噂に 惑わされてはなりません)) 329 00:33:53,158 --> 00:34:00,158 ((まずは ご自分の目で その目で お確かめなされよ)) 330 00:34:02,167 --> 00:34:05,170 ((母君が どのようなお方か)) 331 00:34:05,170 --> 00:34:13,178 ♬~ 332 00:34:13,178 --> 00:34:15,180 ((御曹司)) 333 00:34:15,180 --> 00:34:33,132 ♬~ 334 00:34:33,132 --> 00:34:36,132 ((会えばよいのであろう?)) 335 00:34:38,137 --> 00:34:40,137 ((私を捨てた母に)) 336 00:34:42,141 --> 00:34:44,143 ((はい)) 337 00:34:44,143 --> 00:34:59,158 ♬~ 338 00:34:59,158 --> 00:35:06,158 ((静と申しまする つたなき舞なれど ひと差し)) 339 00:35:09,168 --> 00:35:17,176 ♪((…雲たちて)) 340 00:35:17,176 --> 00:35:33,125 ♪((かいま見し君 今いずこ)) 341 00:35:33,125 --> 00:35:46,125 ♬~ 342 00:35:50,142 --> 00:35:54,142 酒のお強い方でございましたな 343 00:36:02,154 --> 00:36:04,154 力は もっと強かった 344 00:36:06,158 --> 00:36:08,158 ((ンッ!)) 345 00:36:12,164 --> 00:36:16,168 (力み声) (女御)((アッ アッ!)) 346 00:36:16,168 --> 00:36:20,172 (女御) ((アア… 高い! アッ アッ!)) 347 00:36:20,172 --> 00:36:26,111 ♬~ 348 00:36:26,111 --> 00:36:28,111 (力み声) 349 00:36:35,120 --> 00:36:38,123 (話し声) 350 00:36:38,123 --> 00:36:40,125 (伊勢)おっ いたいた! 351 00:36:40,125 --> 00:36:43,128 忠信 忠信! ハハッ… でかしたぞ 352 00:36:43,128 --> 00:36:46,131 …で 武蔵坊は まだ中におるのか? 353 00:36:46,131 --> 00:36:48,133 玉虫どのは? 354 00:36:48,133 --> 00:36:50,135 申し訳ござらん 355 00:36:50,135 --> 00:36:52,135 逃げられたのか? 356 00:36:54,139 --> 00:36:56,139 どうしたんだ? 357 00:37:00,145 --> 00:37:03,148 忠信 はっきりしやがれ! 358 00:37:03,148 --> 00:37:07,152 武蔵坊は どこ行ったんだよ? どこへ行ったって聞いてるんだよ 359 00:37:07,152 --> 00:37:09,154 分からん 360 00:37:09,154 --> 00:37:11,156 みんな聞いたかよ? 「分からねえ」だって 361 00:37:11,156 --> 00:37:16,161 このでくの坊! ええ? それで見張りといえんのか この! 362 00:37:16,161 --> 00:37:19,164 (行方たち)三郎どの! (伊勢)離せ! 363 00:37:19,164 --> 00:37:21,166 忠信! 忠信 訳を言えよ 364 00:37:21,166 --> 00:37:25,166 訳を言えったら なぜだい? なぜなんだよ? 365 00:37:27,105 --> 00:37:31,109 弁慶どのが門より出でしとき➡ 366 00:37:31,109 --> 00:37:34,112 玉虫どの親子が➡ 367 00:37:34,112 --> 00:37:39,117 この上ない うれしげな表情で近づかれた 368 00:37:39,117 --> 00:37:46,117 兄 継信の妻と子にも あのように むつましたかった 369 00:37:49,127 --> 00:37:55,133 そう思ったら わしは とても 弁慶どのに声をかけられなかった 370 00:37:55,133 --> 00:38:00,133 一同 すまん! 371 00:38:04,142 --> 00:38:09,147 ええい! まだ近くにいるはずじゃ みんな 手分けして捜すんじゃ 372 00:38:09,147 --> 00:38:14,147 何をしておる? みんな さあ 早く 行くんじゃ 373 00:38:16,154 --> 00:38:18,156 (伊勢)さあ! 374 00:38:18,156 --> 00:38:22,094 常陸坊 そっちは頼む 俺は こっちだ 375 00:38:22,094 --> 00:38:33,094 ♬~ 376 00:38:35,107 --> 00:38:40,112 <弁慶一家は 都での こんな騒ぎを知る由もない> 377 00:38:40,112 --> 00:38:44,116 ハァ… (小玉虫)かかさま 378 00:38:44,116 --> 00:38:48,120 ととさまは これから どうしやるおつもりか? 379 00:38:48,120 --> 00:38:51,123 さあ? 380 00:38:51,123 --> 00:38:54,126 じゃが 何をするにしても➡ 381 00:38:54,126 --> 00:39:00,132 ご自分の夢だけは お捨てになるまい 382 00:39:00,132 --> 00:39:02,134 かかさまは➡ 383 00:39:02,134 --> 00:39:06,134 ととさまの夢をしっかりと 支えてあげるつもりじゃ 384 00:39:08,140 --> 00:39:12,144 私もお手伝いいたしまする 385 00:39:12,144 --> 00:39:14,146 いいえ 386 00:39:14,146 --> 00:39:19,151 お前には お前の道がある 387 00:39:19,151 --> 00:39:25,090 その道は これから お前が自分で探さねばなりませぬ 388 00:39:25,090 --> 00:39:29,094 かかさまは お強い! 感心します 389 00:39:29,094 --> 00:39:31,094 フフッ… 390 00:39:33,098 --> 00:39:38,103 本当は ととさまより かかさまのほうが お強いのでは? 391 00:39:38,103 --> 00:39:42,107 ととさまに叱られますよ 392 00:39:42,107 --> 00:39:44,109 ととさまだって➡ 393 00:39:44,109 --> 00:39:47,109 きっと かかさまには かなわないと思ってらっしゃる 394 00:39:50,115 --> 00:39:55,120 私も早く かかさまのように強くなりたい 395 00:39:55,120 --> 00:40:07,132 ♬~ 396 00:40:07,132 --> 00:40:12,137 ああ ととさまのようにおなり 397 00:40:12,137 --> 00:40:15,140 強いのは ととさまのほうじゃ 398 00:40:15,140 --> 00:40:17,142 ちっとも強くない 399 00:40:17,142 --> 00:40:21,146 恥ずかしがって 一緒にお湯にも入れないのですよ 400 00:40:21,146 --> 00:40:23,081 フフッ… 401 00:40:23,081 --> 00:40:30,081 ♬~ 402 00:40:41,099 --> 00:40:45,099 ≪(足音) 403 00:40:47,105 --> 00:40:52,110 堀川より 伊勢三郎さまが お見えでございます 404 00:40:52,110 --> 00:40:54,112 三郎が? 405 00:40:54,112 --> 00:40:59,112 いかがいたしますか? (義経)ここに通せ 406 00:41:01,119 --> 00:41:05,123 ああ かたじけない 407 00:41:05,123 --> 00:41:10,128 ああ これは殿 お邪魔いたす 408 00:41:10,128 --> 00:41:13,131 侍頭は 三郎が引き受けてくれるのか? 409 00:41:13,131 --> 00:41:18,136 はっ! …で ご挨拶に 410 00:41:18,136 --> 00:41:23,141 ただし 武蔵坊が戻るまでと ご承知おきくだされ 411 00:41:23,141 --> 00:41:26,144 三郎 412 00:41:26,144 --> 00:41:32,150 わしも考えあって 弁慶には暇を出した 413 00:41:32,150 --> 00:41:36,154 おぬしの気持ちも分かる 言いたいこともあろう 414 00:41:36,154 --> 00:41:40,158 だが 侍頭が➡ 415 00:41:40,158 --> 00:41:44,162 去った者のことばかりに かまけていても困るのだ 416 00:41:44,162 --> 00:41:50,168 殿… これを 417 00:41:50,168 --> 00:41:55,173 本日 武蔵坊弁慶が 補陀洛寺にて したため➡ 418 00:41:55,173 --> 00:42:00,173 寺に納めし祈願状にございます 無理に借りてまいった 419 00:42:12,190 --> 00:42:16,194 殿 それがし 字が読めませぬ 420 00:42:16,194 --> 00:42:20,198 お声を出して お読みくださいませ 421 00:42:20,198 --> 00:42:22,198 うむ… 422 00:42:24,135 --> 00:42:30,141 「源九郎判官義経公に 暇くだされし候は➡ 423 00:42:30,141 --> 00:42:34,145 ひとえに 愚生の不徳の致すところ」 424 00:42:34,145 --> 00:42:39,150 「しかして 痛惜の極みの由」 425 00:42:39,150 --> 00:42:42,153 「前世の因縁か➡ 426 00:42:42,153 --> 00:42:49,160 我ら野心なきこと 天地神明に誓い 相違なきと言えども➡ 427 00:42:49,160 --> 00:42:52,163 ご勘気 解けざるの由➡ 428 00:42:52,163 --> 00:42:56,163 ただただ紅涙を覚えるなり」 429 00:42:58,169 --> 00:43:05,176 「顧みれば 判官公に初めてお目見え候とき➡ 430 00:43:05,176 --> 00:43:09,180 誠 乱暴な振る舞いに及び候」 431 00:43:09,180 --> 00:43:14,185 「それは 愚生が判官公こそ➡ 432 00:43:14,185 --> 00:43:18,189 極楽黄土の天人と悟らざるの由➡ 433 00:43:18,189 --> 00:43:24,189 正に 汗顔の至りに候なり」 434 00:43:26,131 --> 00:43:28,133 <祈願状は➡ 435 00:43:28,133 --> 00:43:34,139 義経への尽きせぬ思いを つづったものであった> 436 00:43:34,139 --> 00:43:40,145 <それは まるで兄が弟に宛てた手紙だった> 437 00:43:40,145 --> 00:43:43,148 <さりげなくも温かな➡ 438 00:43:43,148 --> 00:43:47,152 いたわりの心が 行間に縫い込められている> 439 00:43:47,152 --> 00:43:53,158 《一ノ谷 屋島 壇ノ浦の合戦など 経し候間➡ 440 00:43:53,158 --> 00:43:57,162 ひと度も つらきこと これなく➡ 441 00:43:57,162 --> 00:44:01,166 判官公の愚生に対するお慈しみ➡ 442 00:44:01,166 --> 00:44:08,173 同胞同様 いや それに勝るものと覚え候》 443 00:44:08,173 --> 00:44:15,180 《請い願わくば 御祖師の 広大無辺のお慈悲をもって➡ 444 00:44:15,180 --> 00:44:22,120 源九郎判官義経公に 一層のご加護たまわらんことを➡ 445 00:44:22,120 --> 00:44:27,120 願い上げ奉るの状 くだんのごとし》 446 00:44:29,127 --> 00:44:33,131 《寿永4年9月 吉日》 447 00:44:33,131 --> 00:44:39,137 《熊野国の住人 武蔵坊弁慶》 448 00:44:39,137 --> 00:44:50,148 ♬~ 449 00:44:50,148 --> 00:45:01,159 ♬~ 450 00:45:01,159 --> 00:45:07,159 <こうして 弁慶が消えた日は終わった>