1 00:00:01,235 --> 00:00:06,139 ♬~ 2 00:00:06,139 --> 00:00:08,609 (ピョートル・リコルド)カムチャツカ。 3 00:00:08,609 --> 00:00:12,279 (文治)恐ろしい所でございますなあ! 4 00:00:12,279 --> 00:00:14,214 (大砲の音) 5 00:00:14,214 --> 00:00:16,617 (オリーカ) ナポレオンが モスクワを攻め落とした。 6 00:00:16,617 --> 00:00:18,552 オロシャが消えるかもしれない。 7 00:00:18,552 --> 00:00:21,488 (高田屋嘉兵衛)オロシャがなくなる? 大将! 8 00:00:21,488 --> 00:00:25,959 (おふさ)嘉兵衛が無事に戻ったら 離縁してもらう。 9 00:00:25,959 --> 00:00:32,299 〽 我と そなたは女夫星 10 00:00:32,299 --> 00:00:36,303 死んでやる! 大将! 11 00:00:42,943 --> 00:00:48,315 ♬~ 12 00:00:48,315 --> 00:00:52,986 <文化10年 ロシア暦1813年の早春。➡ 13 00:00:52,986 --> 00:00:59,326 高田屋嘉兵衛は ペトロパブロフスクで 帰国の日を待っていた。➡ 14 00:00:59,326 --> 00:01:04,932 冬の間に イルクーツク総督が署名した フヴォストフ事件の謝罪状も届き➡ 15 00:01:04,932 --> 00:01:10,270 ディアナ号には 食料や水が積み込まれ始めた。➡ 16 00:01:10,270 --> 00:01:16,143 カムチャツカ上陸以来 半年が過ぎようとしていた> 17 00:01:16,143 --> 00:01:29,289 ♬~ (テーマ音楽) 18 00:01:29,289 --> 00:02:01,588 ♬~ 19 00:02:01,588 --> 00:02:09,296 オロシャ国の皆さんの 深い思いやりの心に感謝いたします。 20 00:02:10,931 --> 00:02:17,270 <4月。 カムチャツカは まだ 雪と氷に閉ざされていた。➡ 21 00:02:17,270 --> 00:02:22,609 このころ ロシアの人々は 亡くなった3人の日本人のために➡ 22 00:02:22,609 --> 00:02:26,913 凍った土を掘り 新しい墓を作った> 23 00:02:28,949 --> 00:02:35,622 なぜなら この丘に来て この墓標を見た人々は➡ 24 00:02:35,622 --> 00:02:41,294 このカムサスカの地に来た日本人が オロシャの人々から➡ 25 00:02:41,294 --> 00:02:47,634 深い哀悼の思い 大きな愛に 包まれていた事を知るでありましょう。 26 00:02:47,634 --> 00:02:56,309 この墓は 日本とオロシャの友情の証しなのです。 27 00:02:56,309 --> 00:03:00,580 これからも この場所が➡ 28 00:03:00,580 --> 00:03:08,922 この土地の人々に いたわれていくよう 心より念じております。 29 00:03:08,922 --> 00:03:12,592 (ロシア語で) 30 00:03:12,592 --> 00:03:17,264 (拍手) 31 00:03:17,264 --> 00:03:23,603 カヒ。 ミッカゴニ シュッコウスル。 32 00:03:23,603 --> 00:03:26,306 三日後? 33 00:03:30,944 --> 00:03:50,931 ♬~ 34 00:04:22,229 --> 00:04:24,931 カヒ。 また勝っちゃった。そうか。 35 00:04:27,134 --> 00:04:31,138 ルダコフ。 これ お前にやる。 36 00:04:34,274 --> 00:04:36,943 カヒ もったいないよ。 ルダコフなんかに。 37 00:04:36,943 --> 00:04:42,282 いいんだ。 出世して 立派な軍人になれる事を祈っておる。 38 00:04:42,282 --> 00:04:44,985 (ロシア語) 39 00:04:57,297 --> 00:04:59,966 オリーカ。 日本を見とうないか? 40 00:04:59,966 --> 00:05:05,272 見たい。 カヒが帰るのを見たい。 そうか。 41 00:05:29,129 --> 00:05:33,600 <文化10年4月18日。➡ 42 00:05:33,600 --> 00:05:40,307 この日の日没後 ディアナ号は ペトロパブロフスクの沖を出帆した> 43 00:05:43,944 --> 00:05:46,613 サモワールか? 44 00:05:46,613 --> 00:05:49,282 (ロシア語) 45 00:05:49,282 --> 00:05:52,619 船を下りる時 サモワールをくれるって。 46 00:05:52,619 --> 00:05:56,957 駄目や。 日本は オランダ以外の国とは交易ができん。 47 00:05:56,957 --> 00:06:00,660 密貿易という事にされて 首を斬られる。 48 00:06:06,233 --> 00:06:09,569 たくさんの国と友達になる方が良いと 言ってるよ。 49 00:06:09,569 --> 00:06:13,907 全く そのとおりや。 50 00:06:13,907 --> 00:06:21,781 つい今しがた 港を出たばかりなのに もう カムサスカが懐かしいよ。 51 00:06:21,781 --> 00:06:25,085 (ロシア語) 52 00:06:29,256 --> 00:06:35,128 カヒ。 コドモ ナンニン? 53 00:06:35,128 --> 00:06:40,600 三人や。 ソウ! コドモノコト➡ 54 00:06:40,600 --> 00:06:43,303 アマリ シャベラナカッタ。 55 00:06:45,272 --> 00:06:54,981 (ロシア語で) 56 00:06:57,851 --> 00:07:00,553 ナマエ コドモ…。 57 00:07:00,553 --> 00:07:05,225 弥吉。 くに。 嘉吉。 58 00:07:05,225 --> 00:07:10,230 ヤキチ。 クニ。 カキチ。 59 00:07:12,899 --> 00:07:21,241 オリーカ。 弥吉は悪い子でな 子どものころ 勘当して 寺に入れた。 60 00:07:21,241 --> 00:07:23,910 「勘当」? うん。 61 00:07:23,910 --> 00:07:29,249 父でもない 子でもないと 親と子の間の縁を切ってしまう事だ。 62 00:07:29,249 --> 00:07:31,584 何で そんな事をするんです? 63 00:07:31,584 --> 00:07:36,289 僕なんか 父に会いたいけど 会えないのに。 64 00:07:38,258 --> 00:07:40,927 チョット マッテ! 65 00:07:40,927 --> 00:07:43,263 大丈夫? 66 00:07:43,263 --> 00:07:46,166 そよ風 そよ風! 67 00:07:46,166 --> 00:07:49,936 オリーカ。 日本に着いたら このわしの子にならんか? 68 00:07:49,936 --> 00:07:53,273 嫌だ。 僕は オロシャの子ども。 69 00:07:53,273 --> 00:07:56,943 そうか。 オロシャが好きか? 70 00:07:56,943 --> 00:07:59,279 うん。 71 00:07:59,279 --> 00:08:04,117 ♬~ 72 00:08:04,117 --> 00:08:10,557  回想 (弥吉) おとっつぁん! おとっつぁん! 73 00:08:10,557 --> 00:08:14,427 弥吉… 弥吉! 74 00:08:14,427 --> 00:08:37,584 ♬~ 75 00:08:37,584 --> 00:08:41,921 大きくなったろうなあ。 76 00:08:41,921 --> 00:08:52,232 ♬~ 77 00:08:55,268 --> 00:08:57,937 (ため息) 78 00:08:57,937 --> 00:09:02,208 (播州はん)弥吉っつぁんの事が 何にも書いてないいう事は➡ 79 00:09:02,208 --> 00:09:05,111 真面目にやってるいう事でっしゃろ。 80 00:09:05,111 --> 00:09:09,082 金兵衛さんは そういう人やない。 81 00:09:09,082 --> 00:09:12,852 うちが どれだけ 弥吉の事で胸を痛めているか➡ 82 00:09:12,852 --> 00:09:15,221 よう分かってる。 83 00:09:15,221 --> 00:09:21,895 それなのに 文には 一行も 弥吉の事が書かれていない。 84 00:09:21,895 --> 00:09:26,766 あの子 よっぽど あかんのやなあ。 85 00:09:26,766 --> 00:09:29,769 そないな事 ありますかいな。 86 00:09:29,769 --> 00:09:34,908 男の子は 年を取ると 父親に似てくるいいますやろ。 87 00:09:34,908 --> 00:09:39,779 心配要りまへん。 高田屋嘉兵衛の お子やないですか。 88 00:09:39,779 --> 00:09:43,583 種が良うても 畑が悪いのやわ。 89 00:09:43,583 --> 00:09:50,457 何をおっしゃいます。 網屋の娘でござりましょ? 90 00:09:50,457 --> 00:09:54,227 父は 怠け者でした。 91 00:09:54,227 --> 00:09:58,932 男気のある人やったけど…。 92 00:09:58,932 --> 00:10:01,835 なあ 播州はん。 93 00:10:01,835 --> 00:10:06,606 おとっつぁんが働いてるの 見た事ないやろ。 94 00:10:06,606 --> 00:10:15,915 忘れなはれ。 お子様の事より こいさんのお体の事でござりましょ。 95 00:10:20,954 --> 00:10:22,889 はい! おにぎり。 96 00:10:22,889 --> 00:10:30,897 子どもの事は どうにもならん。 つらい…。 97 00:10:32,565 --> 00:10:37,570 こいさん。 ほれ おにぎり。 お水 お水。 98 00:10:42,242 --> 00:10:46,980 <洋上で 5月になり 海が 春めかしくなった> 99 00:10:46,980 --> 00:10:50,850 吉三郎 平蔵 見ろ。 100 00:10:50,850 --> 00:10:57,991 あら 懐かしや 懐かしや。 101 00:10:57,991 --> 00:11:01,594 あの島影は 夢にまで見た日本じゃないかいのう。 102 00:11:01,594 --> 00:11:03,530 (吉三郎)エトロフじゃ。 103 00:11:03,530 --> 00:11:11,838 (平蔵)大将。 ほんま 生きてあの島が拝めたものでございます。 104 00:11:17,610 --> 00:11:21,481 ハハハハ…! 105 00:11:21,481 --> 00:11:26,486 <それから 海は 濃い霧に覆われた> 106 00:11:36,296 --> 00:11:39,966 (吉三郎)あれが シコタン島やろ。 107 00:11:39,966 --> 00:11:44,637 もうそろそろ クナシリが見えるはずや。 108 00:11:44,637 --> 00:11:46,639 (リコルド)クナシリ。 109 00:11:50,510 --> 00:11:52,512 とうとう着いたぞ。 110 00:11:52,512 --> 00:11:54,647 クナシリや! 111 00:11:54,647 --> 00:12:02,455 ♬~ 112 00:12:02,455 --> 00:12:05,925 リコルド。 日本や。 113 00:12:05,925 --> 00:12:07,860 ハイ。 114 00:12:07,860 --> 00:12:17,270 ♬~ 115 00:12:17,270 --> 00:12:19,939 <5月26日。➡ 116 00:12:19,939 --> 00:12:24,277 クナシリ島 ケラムイ岬の奥 泊湾に着く。➡ 117 00:12:24,277 --> 00:12:28,147 ロシア側は ここを「背信湾」と呼んでいた。➡ 118 00:12:28,147 --> 00:12:30,617 「裏切りの湾」という名にしたのは➡ 119 00:12:30,617 --> 00:12:34,954 ゴローニン達が捕らえられた恨みを 決して忘れないためだった。➡ 120 00:12:34,954 --> 00:12:38,291 日本側は 厳重に警戒していた> 121 00:12:38,291 --> 00:12:40,226 急げ 急げ! 122 00:12:40,226 --> 00:12:43,630 (太田彦助)むやみに発砲してはならんぞ。 よいな! 123 00:12:43,630 --> 00:12:45,632 ⚟はっ! 124 00:13:01,114 --> 00:13:03,116 (2人)大将。 125 00:13:05,251 --> 00:13:29,942 ♬~ 126 00:13:29,942 --> 00:13:33,246 大将。 死ぬつもりですか? 127 00:13:34,814 --> 00:13:41,954 心配するな。 万が一 このわしの身に何かあったら➡ 128 00:13:41,954 --> 00:13:49,262 これを おふさに渡してくれ。 頼んだぞ。 129 00:13:54,300 --> 00:14:08,581 ♬~ 130 00:14:08,581 --> 00:14:12,452 (ロシア語) 131 00:14:12,452 --> 00:14:16,456 クナシリの長官への手紙を渡しましたか? 132 00:14:16,456 --> 00:14:18,925 (ロシア語で) 133 00:14:18,925 --> 00:14:21,260 (ロシア語) 134 00:14:21,260 --> 00:14:23,930 なぜ 二人を陸にやったのですか? 135 00:14:23,930 --> 00:14:28,601 二人は日本人だ。 ここは 日本ではないか。 136 00:14:28,601 --> 00:14:33,940 あの二人について あなたから なぜという事を聞かれる筋合いはない。 137 00:14:33,940 --> 00:14:38,277 私は 二人を助けるために陸にやった。 138 00:14:38,277 --> 00:14:40,580 それだけや。 139 00:14:45,952 --> 00:14:48,287 大将 けんかになるよ。 140 00:14:48,287 --> 00:14:52,592 かまわん。 言ったとおりに伝えろ。 141 00:15:11,511 --> 00:15:18,217 戦をするか。 面白い。 喜んで見物する。 142 00:15:32,265 --> 00:15:34,600 わしは 脅しには乗らん。 143 00:15:34,600 --> 00:15:39,272 戦をするとか オホーツクに連れて行くとか➡ 144 00:15:39,272 --> 00:15:42,275 まこと正気とは思えん。 145 00:15:46,946 --> 00:15:50,616 ♬~ 146 00:15:50,616 --> 00:15:55,955 リコルド。 わしは 何のために カムサスカに行ったんや。 147 00:15:55,955 --> 00:16:01,227 何のために 仲間を三人 死なせたんや。 148 00:16:01,227 --> 00:16:04,564 この上は 斬り死にじゃ。 149 00:16:04,564 --> 00:16:08,901 この船の七十二人を 斬って 斬って 斬りまくり➡ 150 00:16:08,901 --> 00:16:12,238 わしも腹を切って死ぬ。 151 00:16:12,238 --> 00:16:27,587 ♬~ 152 00:16:27,587 --> 00:16:29,889 タイショウ。 153 00:16:39,932 --> 00:16:43,636 よし 分かった。 154 00:16:48,274 --> 00:16:50,943 お前と一騎打ちや。 155 00:16:50,943 --> 00:16:55,815 タイショウ ナニ? ドウシタ? 156 00:16:55,815 --> 00:16:57,817 来い。 157 00:16:57,817 --> 00:17:00,519 カヒ! 158 00:17:06,225 --> 00:17:08,227 どけ! 159 00:17:22,575 --> 00:17:26,445 リコルド。 ここへ来い。 160 00:17:26,445 --> 00:17:31,450 物見台にて このわしと 一騎打ちせん。 161 00:17:59,946 --> 00:18:05,751 大将! リコルドが 何でも言う事を聞くから下りてくれって。 162 00:18:05,751 --> 00:18:12,525 リコルド。 このわしを信じてくれ。 陸に上げろ。 163 00:18:12,525 --> 00:18:19,231 このわしが 必ず日本の役人と話をつける。 信じてくれ! 164 00:18:19,231 --> 00:18:21,901 このわしが 人質のままでは➡ 165 00:18:21,901 --> 00:18:25,604 日本が どうして オロシャ国の言う事を聞くか! 166 00:18:33,245 --> 00:18:46,792 ♬~ 167 00:18:46,792 --> 00:18:53,265 <2人は お互いが この交渉に 命を懸けている事を確認した。➡ 168 00:18:53,265 --> 00:18:59,271 リコルドは 最後まで 嘉兵衛を信頼し すべてを任せたのである> 169 00:19:00,873 --> 00:19:05,211 <翌朝 嘉兵衛は ボートで泊村に向かった。➡ 170 00:19:05,211 --> 00:19:08,114 リコルドみずからが 水兵達を指揮した。➡ 171 00:19:08,114 --> 00:19:11,083 これは異例の事だった。➡ 172 00:19:11,083 --> 00:19:15,087 リコルドは 腰の剣も外していた> 173 00:19:19,558 --> 00:19:23,229 タイショウ ミロ! キチサブロウ ヘイゾウガ イル! 174 00:19:23,229 --> 00:19:28,567 いや いい。 今 わしは 天を見ておる。 天だ。 175 00:19:28,567 --> 00:19:32,905 テン? テンハ ヒトツ。 176 00:19:32,905 --> 00:19:39,612 そうや。 天は 一つや。 我々は皆 一つの天の下に生きとる。 177 00:19:59,598 --> 00:20:04,470 オリーカ。 日本や。 178 00:20:04,470 --> 00:20:09,608 タイショウ。 ニッポンノツチ アルイテモ イイデスカ? 179 00:20:09,608 --> 00:20:12,311 歩いてくれ。 180 00:20:16,482 --> 00:20:19,185 オリーカ。 181 00:20:29,295 --> 00:20:32,198 (吉三郎)大将! おう! 182 00:20:32,198 --> 00:20:35,201 (平蔵)大将! 吉三郎 平蔵。 183 00:20:38,637 --> 00:20:43,943 無事やったか? 大将!大将! 184 00:20:47,646 --> 00:20:50,549 リコルドからもらった品は➡ 185 00:20:50,549 --> 00:20:55,321 お役人様が 一つ残らず オロシャに返せと 仰せになられました。 186 00:20:55,321 --> 00:20:58,023 タイショウ。 187 00:21:03,596 --> 00:21:09,935 日本国の 法による処置や。 どこの国にも 法はある。 188 00:21:09,935 --> 00:21:15,641 大きな交渉の前や。 落ち着いてくれ。 なっ? 189 00:21:25,484 --> 00:21:29,288 すべてを わしに任せる約束ではないか。 190 00:21:29,288 --> 00:21:34,160 <リコルドは 一瞬のうちに 嘉兵衛の気持ちを理解した。➡ 191 00:21:34,160 --> 00:21:37,963 もし この文書の内容が 悪いものであったら➡ 192 00:21:37,963 --> 00:21:41,834 最悪の場合 ゴローニンが 病死でもしたという事だったら➡ 193 00:21:41,834 --> 00:21:44,837 事態は 一挙に緊迫するのである> 194 00:21:46,639 --> 00:21:50,342 このわしに 日本と交渉させてくれ。 195 00:21:59,652 --> 00:22:05,357 シンユウ。 アス アサッテ…。 196 00:22:10,596 --> 00:22:13,299 コレ モッテカエル。 197 00:22:19,939 --> 00:22:25,611 親友。 明日 必ず帰る。 198 00:22:25,611 --> 00:22:34,954 ♬~ 199 00:22:34,954 --> 00:22:38,657 おい! 入って控えておれ。 200 00:22:41,827 --> 00:22:45,130 お前らは向こうだ。 連れて行け! 201 00:22:49,301 --> 00:22:54,306 オロシャの片割れ。 それへ控えろ! 202 00:22:59,645 --> 00:23:05,251 <「情けない。 日本に戻って なぜ…」。➡ 203 00:23:05,251 --> 00:23:09,121 嘉兵衛は 心の中で 火のように怒っていた。➡ 204 00:23:09,121 --> 00:23:14,126 しかし 怒ってしまえば すべてが無駄になる> 205 00:23:23,936 --> 00:23:27,940 (太田)嘉兵衛。 面を上げよ。 206 00:23:35,948 --> 00:23:42,288 恥ずかしながら ただいま カムサスカより戻りましてございます。 207 00:23:42,288 --> 00:23:45,624 無事で大慶である。 208 00:23:45,624 --> 00:23:49,495 水主のうち二名 蝦夷人一名➡ 209 00:23:49,495 --> 00:23:54,633 かの地にて病死したる旨 昨日 二人より聞いた。 210 00:23:54,633 --> 00:23:59,305 さぞ心配した事と存ずる。 211 00:23:59,305 --> 00:24:06,912 まず 休息せよ。 ただし そのほう儀は 御陣屋に すぐに入る事は相成り申さぬ。➡ 212 00:24:06,912 --> 00:24:11,250 この門の外の 仮小屋にて 休息いたせ。 213 00:24:11,250 --> 00:24:13,552 ⚟立ちませい! 214 00:24:17,122 --> 00:24:24,263 待て。 それは 日本がオロシャに宛てた 正式な文書ではないか。 215 00:24:24,263 --> 00:24:31,136 (増田金五郎)嘉兵衛。 あの軍艦の艦長は その文書では不服と申したのか? 216 00:24:31,136 --> 00:24:35,274 ご心配になられずとも よろしゅうございます。 217 00:24:35,274 --> 00:24:40,279 委細は すべて その仮小屋とやらで お話しいたしましょう。 218 00:24:44,950 --> 00:24:51,290 (太田)怒るな。 嘉兵衛の気持ちは よく分かる。➡ 219 00:24:51,290 --> 00:24:57,963 遠く異郷より戻って 何一つ 温かい扱いをされぬのでは…。➡ 220 00:24:57,963 --> 00:24:59,898 許せ。 221 00:24:59,898 --> 00:25:06,572 太田様。 私は怒っているのではございません。 222 00:25:06,572 --> 00:25:10,442 私は情けない。 223 00:25:10,442 --> 00:25:13,912 日本とオロシャの間を 取り持ちたいがために➡ 224 00:25:13,912 --> 00:25:22,254 自害もせず 遠いカムサスカまで行き 仲間を三人も死なせ➡ 225 00:25:22,254 --> 00:25:29,928 いっときは リコルドを殺し 自刃しようとさえ思ったものを➡ 226 00:25:29,928 --> 00:25:35,601 いかに国法とは申せ 荒筵に土下座させられ➡ 227 00:25:35,601 --> 00:25:39,471 まるで 罪人を見るような目で見られる。 228 00:25:39,471 --> 00:25:43,475 もとはと言えば この島の人々は皆➡ 229 00:25:43,475 --> 00:25:46,245 このわしの船で この島に渡ったのでありましょう。 230 00:25:46,245 --> 00:25:52,151 まあ そう言うな。 あくまで国法に従ってるまでの事。 231 00:25:52,151 --> 00:25:57,856 増田様。 私は 自分の事を言ってるのではございません。 232 00:25:57,856 --> 00:26:00,225 では? 233 00:26:00,225 --> 00:26:06,098 だからこそ オロシャとは心で話をしてもらいたい。 234 00:26:06,098 --> 00:26:08,567 そう申しておるのです。 235 00:26:08,567 --> 00:26:13,272 嘉兵衛。 とにかく その書状を見るとよい。 236 00:26:44,470 --> 00:26:48,173 ゴローニンも ほかのオロシャ人も 皆 元気や。 237 00:26:51,143 --> 00:26:53,946 ありがたい。 238 00:26:53,946 --> 00:26:58,617 (太田)安堵したか? はっ! 239 00:26:58,617 --> 00:27:02,888 オロシャよりの書状は 急ぎ 松前へ送る。 240 00:27:02,888 --> 00:27:07,559 いずれ どなたかが 松前より お越しになろうが➡ 241 00:27:07,559 --> 00:27:09,495 それまで ゆるりと休息いたせ。 242 00:27:09,495 --> 00:27:14,233 太田様。 私は勝手に ディアナ号と ここを往復いたしますが➡ 243 00:27:14,233 --> 00:27:16,168 よろしいでしょうか? 何? 244 00:27:16,168 --> 00:27:20,906 ならん。 何を申す。 お前は 国禁を犯し 異国に行った者だ。 245 00:27:20,906 --> 00:27:23,575 何を言いやがる。 246 00:27:23,575 --> 00:27:29,915 わしが オロシャ人と話をするんや。 わし以外の誰がいる! 247 00:27:29,915 --> 00:27:37,789 わしはな この布きれを リコルドに見せなくてはならんのだ。 248 00:27:37,789 --> 00:27:42,494 信頼だ。 友情なのだ。 249 00:27:42,494 --> 00:27:56,208 ♬~ 250 00:28:10,222 --> 00:28:13,892 グラブニンの書いた書状をくれって。 251 00:28:13,892 --> 00:28:16,195 何で? 252 00:28:40,118 --> 00:28:43,889 フィラトフ! わしを信じろ! 253 00:28:43,889 --> 00:28:46,592 (ロシア語で) 254 00:28:46,592 --> 00:28:59,304 ♬~ 255 00:29:43,782 --> 00:29:46,485 人を 何やと思うてんねん。 256 00:29:48,920 --> 00:29:53,258 これでは カムサスカのほうが まだましや。 257 00:29:53,258 --> 00:29:56,595 たくあんと飯だけか。 258 00:29:56,595 --> 00:30:00,465 お前。 賄いの銭をくすねておるんやろ。 259 00:30:00,465 --> 00:30:03,268 何! 口利くな! 260 00:30:03,268 --> 00:30:07,606 この人を誰や思うとる。 茶ぐらい持ってこい。 261 00:30:07,606 --> 00:30:12,477 わしはな 飯の事で怒ってるのではない。 262 00:30:12,477 --> 00:30:16,948 もっと 人間をいたわる気持ちを持て 言うとんのや。 263 00:30:16,948 --> 00:30:22,821 おい お前な。 その辺の漁師を集めて 一緒に魚をとってこい。 264 00:30:22,821 --> 00:30:26,625 わしがかい? 言うとおりにせい! へい…。 265 00:30:26,625 --> 00:30:30,295 それでな その魚を ディアナ号に運べ。 266 00:30:30,295 --> 00:30:32,631 冗談じゃねえ! 打ち首になる。 267 00:30:32,631 --> 00:30:35,534 ハハハハ…! 冗談じゃ! 268 00:30:35,534 --> 00:30:38,837 魚は わしが運ぶ。 お前な…。 269 00:30:40,505 --> 00:30:43,975 松前に ゴローニンの事について書状を送った。 270 00:30:43,975 --> 00:30:46,645 たぶん 二十日ぐらいかかるだろう。 271 00:30:46,645 --> 00:30:48,580 それまで ディアナ号は大丈夫か? 272 00:30:48,580 --> 00:30:53,285 心配ご無用にございます。 リコルドがおりますから。 273 00:30:57,289 --> 00:30:59,991 こい こい こい…! 274 00:30:59,991 --> 00:31:02,694 ああ~! 275 00:31:04,262 --> 00:31:09,601 (つね)金兵衛さん! クナシリから 今。 276 00:31:09,601 --> 00:31:11,603 クナシリ? 277 00:31:14,272 --> 00:31:17,943 兄やん。 旦那はんが戻ったんですか? 278 00:31:17,943 --> 00:31:20,645 弥吉! 弥吉! 279 00:31:23,615 --> 00:31:26,284 あっ 叔父さん。 280 00:31:26,284 --> 00:31:29,955 あれやで 今は ちょっと 休み時やから遊んでるんやで。 281 00:31:29,955 --> 00:31:32,624 大丈夫 大丈夫。 座って 座って…。 282 00:31:32,624 --> 00:31:35,527 兄やんが クナシリに戻らはった。 283 00:31:35,527 --> 00:31:40,298 ほんまですか? いやあ 思いのほか はよ帰れてよかったな。 284 00:31:40,298 --> 00:31:42,968 お母はんのほうには 私から文を出しときますわ。 285 00:31:42,968 --> 00:31:47,272 いや それは よかった! よかったついでに もう一勝負…! 286 00:31:51,309 --> 00:31:53,979 あっ! こいさん! 287 00:31:53,979 --> 00:31:57,849 ⚟(カラスの鳴き声) 288 00:31:57,849 --> 00:32:10,929 ♬~ 289 00:32:10,929 --> 00:32:15,634 <大砲は いつでも発砲可能な状態だった> 290 00:32:17,269 --> 00:32:22,941 高田屋。 六月に 松前より高橋様が来る事になった。 291 00:32:22,941 --> 00:32:26,812 その時に オロシャの捕虜二人 連れて来る事になった。 292 00:32:26,812 --> 00:32:29,614 さようにございまするか。 293 00:32:29,614 --> 00:32:33,952 もしや ゴローニンの直筆の手紙が 届いたのでは? 294 00:32:33,952 --> 00:32:37,622 お前は ものを尋ねてはならぬ。 返事だけでよい。 295 00:32:37,622 --> 00:32:39,558 はっ。 296 00:32:39,558 --> 00:32:42,494 ディアナ号に届けてくれ。 297 00:32:42,494 --> 00:32:45,197 かしこまりました。 298 00:32:59,311 --> 00:33:02,214 (ロシア語) 299 00:33:02,214 --> 00:33:08,119 ゴローニンの手紙ですか? 分からん。 オロシャの文字は分からん。 300 00:33:08,119 --> 00:33:10,822 (ロシア語) 301 00:33:37,949 --> 00:33:51,663 (歓声) 302 00:34:01,907 --> 00:34:04,576 夢じゃなかろうか。 303 00:34:04,576 --> 00:34:07,579 おかみさんが戻られましたよ! 304 00:34:09,447 --> 00:34:13,251 おかみさん。 よく お戻りで。 305 00:34:13,251 --> 00:34:19,591 ⚟おかみさん! おかえりなさいませ。 ⚟おかえりなさいませ! 306 00:34:19,591 --> 00:34:22,928 おかみさん…! まあ…! 307 00:34:22,928 --> 00:34:25,263 義姉さん! 308 00:34:25,263 --> 00:34:27,933 義姉さん 大丈夫か? 309 00:34:27,933 --> 00:34:30,268 はよ 奥に 布団だ! ⚟はい! 310 00:34:30,268 --> 00:34:32,604 嘉兵衛は? 帰ってきたで。 311 00:34:32,604 --> 00:34:36,474 まだ クナシリにおるけどな。 無事に帰ってきたで。 312 00:34:36,474 --> 00:34:39,177 そうか…。 313 00:34:45,183 --> 00:34:49,154 お母はん! 無事やったんか? 314 00:34:49,154 --> 00:34:52,290 どないしたんや こないな姿になってしもうて。 315 00:34:52,290 --> 00:34:55,193 しっかりしてくれなあかんやないか。 316 00:34:55,193 --> 00:34:59,197 何や! あんたが一緒におって 何で お母はん こないにしたんや! 317 00:35:02,567 --> 00:35:07,238 何や? どないしたんや お母はん。 318 00:35:07,238 --> 00:35:13,578 白粉のにおいさせて この子は…。 319 00:35:13,578 --> 00:35:18,450 弥吉! 何しとんのや。 はよ おぶって 布団に運ばんかい。 320 00:35:18,450 --> 00:35:27,926 ♬~ 321 00:35:27,926 --> 00:35:33,264 <6月。 1艘の きらびやかな大船が 泊湾に現れた。➡ 322 00:35:33,264 --> 00:35:38,136 松前奉行所 所属の官船 長春丸である。➡ 323 00:35:38,136 --> 00:35:42,440 嘉兵衛は 直ちに陣屋へ呼び出された> 324 00:35:44,275 --> 00:35:46,277 (高橋三平)来たか。 325 00:35:50,148 --> 00:35:52,150 嘉兵衛。 326 00:35:52,150 --> 00:35:55,286 高橋様。 327 00:35:55,286 --> 00:35:58,289 苦労をかけたな。 328 00:36:02,093 --> 00:36:06,898 誠に苦労をかけたな。 329 00:36:06,898 --> 00:36:14,572 お国のためと思えば苦労などとは…。 330 00:36:14,572 --> 00:36:17,475 申し訳ござりませぬ。 331 00:36:17,475 --> 00:36:20,779 年のせいか 涙もろくなりました。 332 00:36:23,248 --> 00:36:26,251 (高橋)さあ 入ってくれ。 333 00:36:33,591 --> 00:36:35,527 (高橋)ディアナ号の乗組員で➡ 334 00:36:35,527 --> 00:36:40,465 ゴローニンと一緒に捕らえられた ドミトリー・シーモノフだ。 335 00:36:40,465 --> 00:36:45,603 シーモノフさん。 この人が 話をした高田屋嘉兵衛です。 336 00:36:45,603 --> 00:36:51,309 (ロシア語) 337 00:36:54,279 --> 00:36:56,948 二人と聞き及びましたが。 338 00:36:56,948 --> 00:37:01,553 もう一人の アレクセイと申す者は 具合が悪いので休ませている。 339 00:37:01,553 --> 00:37:08,259 ひどく悪いのですか? いや 大した事はない。 上原殿。 340 00:37:14,899 --> 00:37:17,802 (上原熊次郎) 「貴カムサスカ長官においては➡ 341 00:37:17,802 --> 00:37:22,774 高田屋嘉兵衛を 予の代表者として 認められん事を要請するものである」。➡ 342 00:37:22,774 --> 00:37:25,543 オロシャ語の文についてのようです。 343 00:37:25,543 --> 00:37:28,446 (高橋)要するに 日本の代表として➡ 344 00:37:28,446 --> 00:37:31,449 私の代わりに オロシャとしゃべってくれという事だ。 345 00:37:31,449 --> 00:37:35,220 かしこまりました。 それで 私は➡ 346 00:37:35,220 --> 00:37:37,922 どのように オロシャに 申したらよろしいのでしょうか? 347 00:37:37,922 --> 00:37:39,858 まず お前の事だが➡ 348 00:37:39,858 --> 00:37:44,796 鎖国の禁を破り 出国した 重罪人になってもらわねばならぬ。 349 00:37:44,796 --> 00:37:48,500 鎖国の禁を破り 出国した重罪人。 350 00:37:51,269 --> 00:37:56,941 もちろん 私は 最初から そのつもりでございました。 351 00:37:56,941 --> 00:38:00,211 ディアナ号で連れて行かれる時に➡ 352 00:38:00,211 --> 00:38:04,883 私は 日本とオロシャの間を 平らかにするために➡ 353 00:38:04,883 --> 00:38:08,219 望んで異国に行くと申し上げたはずです。 354 00:38:08,219 --> 00:38:13,558 そのとおりだ。 もし そうでないなら 日本としては➡ 355 00:38:13,558 --> 00:38:18,429 嘉兵衛ほか 五名を連行した件の詫び状を 要求しなければならん。 356 00:38:18,429 --> 00:38:21,232 そうすると 話し合いができなくなる。 357 00:38:21,232 --> 00:38:25,570 おそれながら ゴローニンの拿捕は もともと➡ 358 00:38:25,570 --> 00:38:28,473 フヴォストフが この辺りを荒らし回った事が発端で➡ 359 00:38:28,473 --> 00:38:32,443 その事についての詫び状は オロシャ側が作成し➡ 360 00:38:32,443 --> 00:38:35,580 すでに 増田様に お渡しいたしました。 361 00:38:35,580 --> 00:38:40,285 いや あれでは 不十分なのだ。 362 00:38:42,453 --> 00:38:46,925 我が国の誇りというものがあってな。 363 00:38:46,925 --> 00:38:52,597 何なりと この高田屋に お申しつけくださいませ。 364 00:38:52,597 --> 00:38:54,599 不十分とは? 365 00:39:00,205 --> 00:39:04,876 「フヴォストフが 樺太 千島列島において奪った➡ 366 00:39:04,876 --> 00:39:07,779 米 衣以外の物品を返す事。➡ 367 00:39:07,779 --> 00:39:13,551 つまり 甲冑 刀 槍 弓矢などの武具類。➡ 368 00:39:13,551 --> 00:39:17,422 これらの品物は 日本国の名誉に関わる。➡ 369 00:39:17,422 --> 00:39:20,225 もし それらが発見できなければ➡ 370 00:39:20,225 --> 00:39:24,896 それらの品は すでに存在しないという 証明書を発行してもらいたい。➡ 371 00:39:24,896 --> 00:39:28,233 フヴォストフ事件が オロシャ政府の指示 意向とは➡ 372 00:39:28,233 --> 00:39:31,569 全く関係がない旨の釈明書を 要求したい。➡ 373 00:39:31,569 --> 00:39:39,277 そののち 改めて 日本 オロシャ両国の 正式な交渉を 箱館にて行う」。 374 00:39:44,148 --> 00:39:48,586 日本側の公文書の形式にのっとった文書を 受け取りたい。 375 00:39:48,586 --> 00:39:50,922 その文書さえあれば➡ 376 00:39:50,922 --> 00:39:57,228 日本がフヴォストフから受けた 国家的な屈辱 損害を 帳消しにする。 377 00:40:11,943 --> 00:40:15,613 私は決めました。 すぐ オホーツクに行き➡ 378 00:40:15,613 --> 00:40:20,285 正式な詫び状を持って帰ってきます。 379 00:40:20,285 --> 00:40:23,187 (ロシア語で) 380 00:40:23,187 --> 00:40:27,158 神のご加護があるでしょう。 381 00:40:27,158 --> 00:40:32,163 オリーカ。 お前は 大した通詞や。 382 00:40:33,831 --> 00:40:38,836 <嘉兵衛が箱館に戻ったのは 7月になってからだった> 383 00:40:41,572 --> 00:40:45,310 ⚟大将! 大将! 384 00:40:45,310 --> 00:40:48,613 お父はん! 弥吉です! 385 00:40:50,982 --> 00:40:53,885 弥吉…。 386 00:40:53,885 --> 00:41:01,259 何や… 怒ってんのと違う? お父はん 昔と同じやないか。 怖いわ。 387 00:41:01,259 --> 00:41:25,283 ♬~ 388 00:41:25,283 --> 00:41:30,621 兄やん。 八十八ヶ所にお参りが終わって 戻っておるぞ。 389 00:41:30,621 --> 00:41:33,524 そうか。 体は どうや? 390 00:41:33,524 --> 00:41:39,297 それがな お大師様の御利益やろか 途中 少し危なくなったんやけど➡ 391 00:41:39,297 --> 00:41:44,635 暖かくなって 熱も下がって 少し元気になった。 392 00:41:44,635 --> 00:41:47,305 元気になったか…。 393 00:41:47,305 --> 00:41:49,640 お母はんの事なら わてが面倒見てるよって➡ 394 00:41:49,640 --> 00:41:54,312 心配要らへんで。 それより お父はん 顔が黒くなったな。 真っ黒や。 395 00:41:54,312 --> 00:41:57,648 向こうで よっぽど疲れたんやな。 396 00:41:57,648 --> 00:42:05,456 誰や お前は。 腐った雛人形のような面をしよって。 397 00:42:05,456 --> 00:42:13,598 金兵衛。 お前は ばかか。 何を考えとるんや。 398 00:42:13,598 --> 00:42:18,936 まるで どさ回りの役者の格好じゃい! 399 00:42:18,936 --> 00:42:24,242 怒られたやろ。 高田屋の跡取りなんやから きちんとせな。 400 00:42:28,279 --> 00:42:31,182 せやけど これは お父はんが戻ってくる時のために➡ 401 00:42:31,182 --> 00:42:33,151 気張って こしらえたんですぜ。 402 00:42:33,151 --> 00:42:35,953 あっ…! 403 00:42:35,953 --> 00:42:38,289 毎日 酒と女と博打か? 404 00:42:38,289 --> 00:42:41,626 お父はんは わてが嫌いなんや。 405 00:42:41,626 --> 00:42:46,964 わしはな 命を懸けて働かんようなやつは 大嫌いや。 406 00:42:46,964 --> 00:42:49,634 お前は 怠け者の面をしておる。 407 00:42:49,634 --> 00:42:52,303 本気で たたかんでも…。 408 00:42:52,303 --> 00:42:54,972 カムサスカで会った オロシャ人の中には➡ 409 00:42:54,972 --> 00:42:59,310 お前のような面をした者は 一人もいなかった。 410 00:42:59,310 --> 00:43:03,314 皆 風雪に耐えた ええ顔をしておった。 411 00:43:05,116 --> 00:43:25,470 ♬~ 412 00:43:25,470 --> 00:43:31,242 <上陸した嘉兵衛は まず 墓に香華を手向けた。➡ 413 00:43:31,242 --> 00:43:35,146 ディアナ号に拿捕された時に 海に逃げようとして溺れた➡ 414 00:43:35,146 --> 00:43:38,950 観世丸の乗組員9名の墓である> 415 00:43:38,950 --> 00:43:49,594 ♬~ 416 00:43:49,594 --> 00:43:54,298 旦那様! おかえりなさいませ! おかえりなさいませ! 417 00:43:54,298 --> 00:43:58,169 おかえりなさいませ! おかえりなさいませ! 418 00:43:58,169 --> 00:44:01,906 旦那様…! おかえりなさいませ! 419 00:44:01,906 --> 00:44:04,609 旦那様…! 420 00:44:18,456 --> 00:44:23,160 お戻りなさりませ。 (一同)お戻りなさりませ。 421 00:44:26,130 --> 00:44:44,482 ♬~ 422 00:44:44,482 --> 00:44:48,286 心配をかけた。 423 00:44:48,286 --> 00:44:51,956 あんた…。 424 00:44:51,956 --> 00:44:55,259 お四国巡りをしてくれたそうやな。 425 00:45:00,565 --> 00:45:03,267 おふさ。 426 00:45:15,913 --> 00:45:23,621 わしは… 今なお こうして 生きて戻ったような気がせん。 427 00:45:27,258 --> 00:45:31,929 死んで当然だったんや。 428 00:45:31,929 --> 00:45:35,600 このように生きて戻れたのも➡ 429 00:45:35,600 --> 00:45:43,307 八十八ヶ所のお大師様のご加護が あったからや。 430 00:45:45,276 --> 00:45:47,979 おふさ…。 431 00:45:50,948 --> 00:45:53,851 お前のおかげや。 432 00:45:53,851 --> 00:46:14,905 ♬~ 433 00:46:14,905 --> 00:46:19,610 弥吉! 弥吉! 434 00:46:21,579 --> 00:46:25,449 弥吉…。 435 00:46:25,449 --> 00:46:31,455 金兵衛。 弥吉は どこへ行ったんや? 436 00:46:33,924 --> 00:46:38,229 みんな 弥吉を捜してくれ。 (一同)へい! 437 00:46:53,277 --> 00:46:56,280 (雷鳴) 438 00:47:01,552 --> 00:47:07,224 弥吉 京へ帰った。 439 00:47:07,224 --> 00:47:10,227 何やて? (雷鳴) 440 00:47:20,237 --> 00:47:26,944 (泣き声) 441 00:47:32,583 --> 00:47:38,923 どうや? お前に よう似とるやろ。 442 00:47:38,923 --> 00:47:43,594 髪が金色やわ。 そうや。 443 00:47:43,594 --> 00:47:47,264 向こうは 金色の人が多い。 444 00:47:47,264 --> 00:47:54,939 じゃがな 黒い人も茶色い人もおった。 445 00:47:54,939 --> 00:47:59,610 きれいな人 ようけ いるんでしょ? 446 00:47:59,610 --> 00:48:03,881 そら みんな きれいや。 447 00:48:03,881 --> 00:48:11,589 子ども 作ってきたんやろ。 あほ。 そないな事するかいな。 448 00:48:25,569 --> 00:48:29,240 何や? 449 00:48:29,240 --> 00:48:34,945 口 吸ったんやな。 450 00:48:36,580 --> 00:48:40,584 何でも分かる。 はずれや。 451 00:48:45,589 --> 00:48:47,925 何も してへん。 452 00:48:47,925 --> 00:48:51,629 ⚟(金兵衛)兄やん 入るで。 453 00:48:58,269 --> 00:49:03,541 弥吉 船を仕立てて 津軽に渡ったらしい。 454 00:49:03,541 --> 00:49:05,476 津軽へ? 455 00:49:05,476 --> 00:49:08,412 うん。 昼過ぎらしいわ。 456 00:49:08,412 --> 00:49:12,416 兄やんが陸に上がって 半刻ぐらいあとやな。 457 00:49:50,588 --> 00:49:54,592 親やな。 兄やん。 458 00:49:57,461 --> 00:50:04,134 弥吉が 奉公先から 兄やんに持ってきた茶やろ。 459 00:50:04,134 --> 00:50:07,838 ええ色や。 460 00:50:12,843 --> 00:50:18,949 弥吉に 船を仕立てて 京へ帰したか? 461 00:50:18,949 --> 00:50:25,823 兄やん。 弥吉は わしの一存で追い返した。 462 00:50:25,823 --> 00:50:31,128 色里で 遊女と 一つの布団に入っておった。 463 00:50:33,297 --> 00:50:42,006 金兵衛。 高田屋は お前に任せる。 464 00:50:43,641 --> 00:50:48,979 この先 きっと厳しい時代が来る。 465 00:50:48,979 --> 00:50:56,654 たぶん ご公儀は 蝦夷地を 松前藩に返すやろう。 466 00:50:56,654 --> 00:50:59,557 松前藩が 必死に働きかけておる。 467 00:50:59,557 --> 00:51:06,463 ご公儀も 蝦夷地の経営に 昔ほどの思いがない。 468 00:51:06,463 --> 00:51:14,138 たぶん 松前藩に返る。 すると どうなる? 469 00:51:14,138 --> 00:51:21,612 松前藩は 高田屋を 目の敵にしてくるやろう。 470 00:51:21,612 --> 00:51:27,952 その時に 弥吉では乗り切れん。 471 00:51:27,952 --> 00:51:35,292 そうなったら 弥吉でも 誰でも たとえ この俺でも無理やろうよ。 472 00:51:35,292 --> 00:51:42,299 金兵衛。 高田屋を潰すな。 473 00:51:47,638 --> 00:51:50,975 わしは疲れたよ。 474 00:51:50,975 --> 00:51:57,314 カムサスカは たった八か月だったが➡ 475 00:51:57,314 --> 00:52:02,319 体の中は 空っぽになったような気がする。 476 00:52:10,260 --> 00:52:18,602 まあ 日本のためになったと思うて それはそれで 慰めはつく。 477 00:52:18,602 --> 00:52:22,606 しかし わしは疲れた。 478 00:52:24,274 --> 00:52:29,613 その茶の葉 弥吉が 兄やんのために➡ 479 00:52:29,613 --> 00:52:33,951 一生懸命 手でもんで作ってくれたんかのう。 480 00:52:33,951 --> 00:52:38,288 弥吉は 普通の男よの。 481 00:52:38,288 --> 00:52:45,629 海の事ばかり考えていた こんな親父を持った哀れな子よ。 482 00:52:45,629 --> 00:52:55,973 ♬~ 483 00:52:55,973 --> 00:52:58,976 ええ香りや。 484 00:53:01,245 --> 00:53:09,920 弥吉。 すまん。 すまんのう。 485 00:53:09,920 --> 00:53:26,470 ♬~ 486 00:53:26,470 --> 00:53:32,176 <9月16日。 ディアナ号が箱館港に入った> 487 00:53:40,884 --> 00:53:44,288 <翌日 リコルドは➡ 488 00:53:44,288 --> 00:53:49,593 ロシアから松前奉行に宛てた公式文書を 嘉兵衛に手渡した> 489 00:54:01,238 --> 00:54:03,240 ⚟おふさ。 490 00:54:05,576 --> 00:54:07,578 おふさ。 491 00:54:09,913 --> 00:54:14,585 おふさ。 リコルドが ディアナ号を見に来てくれと言うとる。 492 00:54:14,585 --> 00:54:16,920 どうや? 一緒に行かんか。 493 00:54:16,920 --> 00:54:19,590 二度と見られるような船ではないぞ。 494 00:54:19,590 --> 00:54:24,261 艦長室で オロシャの菓子を食べ チャイという茶を飲み➡ 495 00:54:24,261 --> 00:54:29,133 できれば 箱館湾じゅうを走ってもらおう。 496 00:54:29,133 --> 00:54:32,603 もう お仕事は 全部 済んだんですか? 497 00:54:32,603 --> 00:54:37,274 もう 済んだも同じ事じゃ。 あとは 人質を引き渡すだけや。 498 00:54:37,274 --> 00:54:41,612 そうすれば わしの役目は終わりや。 499 00:54:41,612 --> 00:54:44,948 オロシャの人を引き渡すのは いつ? 500 00:54:44,948 --> 00:54:47,618 いつとは? 501 00:54:47,618 --> 00:54:53,924 それを見届けて うちは 淡路へ帰ります。 502 00:54:56,627 --> 00:55:03,333 そうか。 一緒に帰ろう。 なっ。 503 00:55:09,907 --> 00:55:15,612 淡路のほうが暖かですよって 体のためには ええですやろ。 504 00:55:17,581 --> 00:55:22,586 おふさ。 お前 何を考えておるんや? 505 00:55:24,254 --> 00:55:29,927 うち 離縁してほしいんです。 506 00:55:29,927 --> 00:55:34,798 何やと? こいさん。 離縁って…。 507 00:55:34,798 --> 00:55:37,801 夫婦別れしたいんや。 508 00:55:37,801 --> 00:55:42,272 おふさ…。 509 00:55:42,272 --> 00:55:49,613 八十八ヶ所のお大師様に 願かけましたんや。 510 00:55:49,613 --> 00:55:58,956 嘉兵衛が無事に戻ったら 命も要らん。 夫婦別れもする。 511 00:55:58,956 --> 00:56:02,826 お大師様との約束や。 512 00:56:02,826 --> 00:56:07,531 破ったら罰が当たります。 うそをつくな。 513 00:56:10,567 --> 00:56:13,870 弥吉の事やろ? 514 00:56:15,439 --> 00:56:17,441 そうやな? 515 00:56:28,118 --> 00:56:39,263 謝っても謝りきれん。 おふさ。 お前のせいやない。 516 00:56:39,263 --> 00:56:44,601 弥吉に継いでほしかったんや。 517 00:56:44,601 --> 00:56:48,305 高田屋を 弥吉に継いでほしかったんや! 518 00:56:53,277 --> 00:57:00,083 うちは あの子が かわいいんや。 519 00:57:00,083 --> 00:57:07,791 なんぼ 出来の悪い子でも うちが産んだ子や。 520 00:57:09,559 --> 00:57:15,899 弥吉にはな 高田屋を継ぐ器量がないんや。 521 00:57:15,899 --> 00:57:20,237 あんたに そんな事 言う資格ないわ! 522 00:57:20,237 --> 00:57:24,107 そもそも 高田屋は うちが作った店や。 523 00:57:24,107 --> 00:57:28,578 あんたは 来る日も来る日も ただ 船に乗ってただけや。 524 00:57:28,578 --> 00:57:31,481 湊々に 女子を作り 子を作り➡ 525 00:57:31,481 --> 00:57:34,918 あんたは ただの 助平な船乗りや。 526 00:57:34,918 --> 00:57:37,821 なのに 偉そうに高田屋嘉兵衛やて➡ 527 00:57:37,821 --> 00:57:44,528 あほかいな あんた! はよ 弥吉 呼んどいで! はよ! 528 00:57:47,931 --> 00:57:54,237 おふさ! おふさ! おふさ! しっかりせい。 おふさ! おふさ! 529 00:58:01,478 --> 00:58:05,882 <ゴローニンほか 5名のロシア人の 引き渡しは➡ 530 00:58:05,882 --> 00:58:10,220 桟橋近くの箱館役所で行われた> 531 00:58:10,220 --> 00:58:17,561 ♬~ 532 00:58:17,561 --> 00:58:20,897 (歓声) 533 00:58:20,897 --> 00:58:52,829 ♬~ 534 00:58:52,829 --> 00:58:57,801 嘉兵衛。 どうした? どうしたのだ? 535 00:58:57,801 --> 00:59:01,872 おふさの具合が 芳しくないので。 536 00:59:01,872 --> 00:59:07,210 そうか。 いとうてやれ。 537 00:59:07,210 --> 00:59:10,914 はい。 失礼いたします。 538 00:59:17,854 --> 00:59:20,557 おふさ。 539 00:59:53,256 --> 00:59:55,592 鮭と棒鱈も届けてくれ。 兄やん。 540 00:59:55,592 --> 00:59:59,930 あんまり 気前ようすると オロシャに肩入れしとると噂になるぞ。 541 00:59:59,930 --> 01:00:03,266 知った事か。 わしらは 同じ 海の男なんや。 542 01:00:03,266 --> 01:00:05,936 けちけちしすぎや 金兵衛。 543 01:00:05,936 --> 01:00:08,271 ⚟高田屋殿。 544 01:00:08,271 --> 01:00:12,142 これは 通詞の上原殿 ご苦労さまでございます。 545 01:00:12,142 --> 01:00:15,946 ディアナ号のリコルドより 伝言がございました。 546 01:00:15,946 --> 01:00:17,948 リコルドから? 547 01:00:29,493 --> 01:00:31,795 おふさ。 548 01:00:35,632 --> 01:00:39,302 おぶされ。 549 01:00:39,302 --> 01:00:42,639 旦那様…。 550 01:00:42,639 --> 01:00:50,514 おふさ。 ディアナ号や。 大きな船やろ。 551 01:00:50,514 --> 01:00:55,652 わしはな あの船に乗って カムサスカまで行ったんや。 552 01:00:55,652 --> 01:00:58,321 帆柱が 三本あるやろ。 553 01:00:58,321 --> 01:01:04,127 あの帆柱に 白い帆が たなびいてのう。 きれいなんじゃい。 554 01:01:04,127 --> 01:01:07,931 辰悦丸。 555 01:01:07,931 --> 01:01:13,803 辰悦丸は このわしが 初めて持った船や。 あれは ディアナ号や。 556 01:01:13,803 --> 01:01:18,942 辰悦丸。 長慶丸。 柔遠丸。 瑞穂丸。 557 01:01:18,942 --> 01:01:24,281 寧済丸。 福祉丸。 安焉丸。 辰吉丸。 558 01:01:24,281 --> 01:01:28,952 貞宝丸。 辰運丸。 559 01:01:28,952 --> 01:01:36,293 皆 わしが造った船や。 よう覚えておる。 560 01:01:36,293 --> 01:01:41,598 柔遠丸。 瑞穂丸。 寧済丸。 福祉丸…。 561 01:01:43,633 --> 01:01:46,536 ドウゾ。 562 01:01:46,536 --> 01:01:49,239 おふさ。 563 01:02:11,595 --> 01:02:18,902 ワタシ リコルド。 タイショウノ シンユウデス。 564 01:02:20,937 --> 01:02:23,640 おふさ。 565 01:02:43,193 --> 01:02:48,164 コレ オフササン。 566 01:02:48,164 --> 01:02:54,170 ワタシ カヒサンカラ モライマシタ。 567 01:02:57,307 --> 01:03:04,314 コノ キモノ カヒサン ジブンデ ヌイマシタ。 568 01:03:06,916 --> 01:03:10,787 ジョウルリ キキマシタ。 569 01:03:10,787 --> 01:03:15,492 ♬~(歌声) 570 01:03:21,264 --> 01:03:27,937 カヒサン。 オフササント➡ 571 01:03:27,937 --> 01:03:34,811 アイタイ アイタイ。 イキル イキル。 572 01:03:34,811 --> 01:03:41,951 ソレデ ワタシタチ シンユウニ ナリマシタ。 573 01:03:41,951 --> 01:03:45,822 ソレデ ブジニ ニッポンニ キテ➡ 574 01:03:45,822 --> 01:03:53,129 グラブニン オロシヤノ ヘイタイ キョウ ツレテカエリマス。 575 01:04:10,580 --> 01:04:18,254 タイショウ ブジ。 グラブニン ブジ。 576 01:04:18,254 --> 01:04:25,128 オロシヤ ニッポン ブジ。 577 01:04:25,128 --> 01:04:31,134 ソレハ ミナ アナタデス。 578 01:04:34,270 --> 01:04:41,144 オフササン イル。 カヒ イキル。 579 01:04:41,144 --> 01:04:46,616 オフササン イル。 カヒ イキル。 580 01:04:46,616 --> 01:04:51,921 アリガトウゴザイマシタ。 581 01:04:58,628 --> 01:05:06,436 おふさ。 生きるんや。 なっ。 582 01:05:06,436 --> 01:05:50,280 ♬~ 583 01:05:50,280 --> 01:05:55,585 おふさ。 別れの時が来たぞ。 584 01:05:58,154 --> 01:06:01,891 (一同)ウラァ タイショウ! ウラァ タイショウ!  585 01:06:01,891 --> 01:06:05,562 ウラァ! (一同)ウラァ タイショウ! 586 01:06:05,562 --> 01:06:10,266 (一同)ウラァ タイショウ! ウラァ! ウラァ! 587 01:06:15,572 --> 01:06:18,908 おふさ。 588 01:06:18,908 --> 01:06:23,213 あれは みんな このわしのオロシャの友や。 589 01:06:26,249 --> 01:06:31,588 あんた…。 何や? 590 01:06:31,588 --> 01:06:36,926 うち 今➡ 591 01:06:36,926 --> 01:06:41,798 黄色い菜の花が見えた。 592 01:06:41,798 --> 01:06:46,936 そうか。 菜の花が見えたか? 593 01:06:46,936 --> 01:06:54,644 そうか。 おふさ 淡路へ帰ろうな。 594 01:07:00,483 --> 01:07:07,557 うちは 一人で淡路へ帰ります。 595 01:07:07,557 --> 01:07:15,231 あんたを助けたら 命 放り出しますと➡ 596 01:07:15,231 --> 01:07:18,935 お大師様に お約束しましたんや。 597 01:07:24,240 --> 01:07:31,581 今日で お別れです。 598 01:07:31,581 --> 01:07:38,254 何を言うてるんや おふさ。 599 01:07:38,254 --> 01:07:41,157 何を言うとんねん。 ⚟(一同)ウラァ タイショウ! 600 01:07:41,157 --> 01:07:46,930 見ろ。 みんなが「ウラァ タイショウ」と 叫んでくれてるやないか。 601 01:07:46,930 --> 01:07:54,604 おふさ。 ずっと一緒や。 なっ。 ずっと一緒や。 602 01:07:54,604 --> 01:07:57,941 ⚟(一同)ウラァ タイショウ! ウラァ タイショウ! 603 01:07:57,941 --> 01:08:01,210 ウラァ! ウラァ! 604 01:08:01,210 --> 01:08:04,113 (一同)ウラァ タイショウ! ウラァ タイショウ! 605 01:08:04,113 --> 01:08:06,416 ウラァ タイショウ! 606 01:08:11,220 --> 01:08:27,236 〽 一足づゝに消えて行く 607 01:08:27,236 --> 01:08:48,257 〽 夢の夢こそ あはれなれ 608 01:08:48,257 --> 01:09:17,253 ♬~ 609 01:09:27,096 --> 01:09:31,801  心の声 カムサスカ。➡ 610 01:09:31,801 --> 01:09:35,772 生きて帰れたのが不思議だった。➡ 611 01:09:35,772 --> 01:09:42,912 お前の おかげよのう。 おふさ。➡ 612 01:09:42,912 --> 01:09:48,785 おふさ。 わしは お前の言ったとおり➡ 613 01:09:48,785 --> 01:09:55,258 ただ 船に乗っていただけの あほな男よ。➡ 614 01:09:55,258 --> 01:10:01,931 わしが 一生の間 何をしたかといえば➡ 615 01:10:01,931 --> 01:10:04,834 この菜の花よ。➡ 616 01:10:04,834 --> 01:10:12,942 実になると 油になり いろんな国に 船で運ばれる。➡ 617 01:10:12,942 --> 01:10:18,281 例えば 遠いエトロフ島の番小屋で➡ 618 01:10:18,281 --> 01:10:23,953 夜なべ仕事の網繕いをする人の 手元を照らしている。➡ 619 01:10:23,953 --> 01:10:33,963 その網でとれた魚が肥料になって この都志の畑に戻ってくる。➡ 620 01:10:33,963 --> 01:10:40,269 わしは そういう 回り舞台の奈落におった男よ。 621 01:10:45,575 --> 01:10:54,283 おい みんな。 頼みがあんだがよ。 622 01:10:54,283 --> 01:10:57,653 このわしに 死ぬ時が来たら➡ 623 01:10:57,653 --> 01:11:05,461 「ウラァ タイショウ! ウラァ タイショウ!」➡ 624 01:11:05,461 --> 01:11:10,233 そう叫んでくれや。 625 01:11:10,233 --> 01:11:16,139 なあ 頼むで。 626 01:11:16,139 --> 01:11:19,142 行くぞ。 627 01:11:37,293 --> 01:11:40,963 <文政10年の春 4月5日。➡ 628 01:11:40,963 --> 01:11:45,635 高田屋嘉兵衛は この世を去った。➡ 629 01:11:45,635 --> 01:11:50,506 大坂にいた息子の弥吉は 臨終の知らせを聞いて駆けつけたが➡ 630 01:11:50,506 --> 01:11:55,311 間に合わず 泣き崩れたと伝わっている。➡ 631 01:11:55,311 --> 01:11:59,982 おふさと嘉兵衛は そのころ 別々に暮らしていた。➡ 632 01:11:59,982 --> 01:12:03,286 別居の理由は伝わっていない> 633 01:12:06,589 --> 01:12:09,926 <隆盛を誇った高田屋は➡ 634 01:12:09,926 --> 01:12:16,599 天保2年 ロシアとの密貿易の疑いで 取りつぶされた。➡ 635 01:12:16,599 --> 01:12:21,604 高田屋は 嘉兵衛とともに消えたと言ってよい> 636 01:12:30,446 --> 01:13:54,463 ♬~