1 00:00:32,664 --> 00:00:37,068 旗本七千石の嫡子 法月弦之丞は➡ 2 00:00:37,068 --> 00:00:41,406 公儀隠密甲賀家の娘 千絵への 思いを断ち切り➡ 3 00:00:41,406 --> 00:00:45,276 剣の修行へ旅立って 数年の後➡ 4 00:00:45,276 --> 00:00:49,748 まさに 一子相伝 師である夕雲を斬り➡ 5 00:00:49,748 --> 00:00:53,618 弦之丞は 免許皆伝の腕となる。➡ 6 00:00:53,618 --> 00:00:56,621 しかし 剣は人を斬る道具であり➡ 7 00:00:56,621 --> 00:00:59,758 人でなしの道に堕ちると悟り➡ 8 00:00:59,758 --> 00:01:04,629 失意のうちに 虚無僧になり 江戸に戻った 弦之丞。➡ 9 00:01:04,629 --> 00:01:07,632 辻斬り お十夜孫兵衛➡ 10 00:01:07,632 --> 00:01:12,337 更には 女掏摸 見返りお綱との 運命的な出会いを果たし➡ 11 00:01:12,337 --> 00:01:16,107 更に 千絵の父 世阿弥が 行方をくらまし➡ 12 00:01:16,107 --> 00:01:19,778 甲賀家断絶の瀬戸際である事を 知る。➡ 13 00:01:19,778 --> 00:01:24,649 目明し万吉の手下 銀五郎の おせっかいな勧めもあり➡ 14 00:01:24,649 --> 00:01:27,452 千絵と会おうとする弦之丞だが➡ 15 00:01:27,452 --> 00:01:30,722 世阿弥の弟子 旅川周馬に➡ 16 00:01:30,722 --> 00:01:33,391 けんもほろろの扱いを受け➡ 17 00:01:33,391 --> 00:01:37,729 その帰り道 甲賀の忍びたちに 命を狙われ➡ 18 00:01:37,729 --> 00:01:40,632 更には 阿波徳島藩の原士➡ 19 00:01:40,632 --> 00:01:43,401 天堂一角と名乗る男たちにまで➡ 20 00:01:43,401 --> 00:01:46,304 突如 襲われるのであった。 21 00:01:46,304 --> 00:01:49,074 (弦之丞)何故 阿波の方々が私を! 22 00:01:49,074 --> 00:01:51,074 (一角)黙れ! 23 00:01:53,745 --> 00:01:57,415 鳴門秘帖に関わる事 相成らぬ! 24 00:01:57,415 --> 00:01:59,415 何!? 25 00:02:06,758 --> 00:02:08,758 (銃声) 26 00:02:19,104 --> 00:02:21,104 引け! 27 00:02:25,977 --> 00:02:28,977 鳴門秘帖…。 28 00:02:42,327 --> 00:02:44,262 <弦之丞は➡ 29 00:02:44,262 --> 00:02:48,733 元京都所司代 松平左京之介を 訪ねた。➡ 30 00:02:48,733 --> 00:02:52,403 左京之介から 千絵の父 世阿弥の件で➡ 31 00:02:52,403 --> 00:02:55,740 呼び出しを受けていたからである> 32 00:02:55,740 --> 00:02:59,410 虚無僧に身をやつしておる との事だったが➡ 33 00:02:59,410 --> 00:03:01,346 まことであったか。 34 00:03:01,346 --> 00:03:03,646 まあ 入れ。 35 00:03:12,423 --> 00:03:15,093 一学は 何と申しておる? 36 00:03:15,093 --> 00:03:18,429 父とは まだ会うてはおりませぬ。 37 00:03:18,429 --> 00:03:22,767 剣の修行のため 江戸を出て 10年と聞く。 38 00:03:22,767 --> 00:03:27,639 その間 一度も 会うてはおらぬのであろう。 39 00:03:27,639 --> 00:03:29,641 まあ よい。 40 00:03:29,641 --> 00:03:31,576 手紙は読んだな。 41 00:03:31,576 --> 00:03:34,712 世阿弥殿の事とありましたが…➡ 42 00:03:34,712 --> 00:03:37,382 世阿弥殿は いずこへ参られ➡ 43 00:03:37,382 --> 00:03:40,051 行きがた知れずとなったので ございますか? 44 00:03:40,051 --> 00:03:43,388 阿波よ。 阿波? 45 00:03:43,388 --> 00:03:45,323 (左京之介)鳴門のうずの先➡ 46 00:03:45,323 --> 00:03:52,623 四国徳島藩 蜂須賀重喜様のもとへ お上の密命を帯びてな。 47 00:03:54,732 --> 00:03:58,403 鳴門…。 どうした? 48 00:03:58,403 --> 00:04:02,273 鳴門秘帖に関わる事 相成らぬ! 49 00:04:02,273 --> 00:04:05,276 阿波の原士といったか そやつは。 50 00:04:05,276 --> 00:04:07,745 はい。 51 00:04:07,745 --> 00:04:12,617 原士とは 阿波でいう地侍の事。 52 00:04:12,617 --> 00:04:20,091 そやつの口から漏れたという事は 秘帖があるのは間違いない。 53 00:04:20,091 --> 00:04:23,962 わしの読みに狂いはなかった。 54 00:04:23,962 --> 00:04:26,764 フフフフフ…。 55 00:04:26,764 --> 00:04:30,101 鳴門秘帖とは 一体? 56 00:04:30,101 --> 00:04:33,972 宝暦の変を知っておるか?➡ 57 00:04:33,972 --> 00:04:38,376 10年前 京の公家たちが語らい➡ 58 00:04:38,376 --> 00:04:41,279 ご公儀転覆を計ったのだが…➡ 59 00:04:41,279 --> 00:04:43,715 それを企んだ公家の一人➡ 60 00:04:43,715 --> 00:04:48,386 竹屋三位卿藤原有村という男➡ 61 00:04:48,386 --> 00:04:52,724 今は 阿波に匿われておる。 62 00:04:52,724 --> 00:04:57,595 鳴門のうずを境に 秘密を包むには 都合よく➡ 63 00:04:57,595 --> 00:05:03,735 一朝淡路を足掛かりとして 大坂 京へと根を張る時は➡ 64 00:05:03,735 --> 00:05:10,074 西国大名と呼応し 屈強な立場となる。 65 00:05:10,074 --> 00:05:13,945 阿波は 表向き二十五万石。 66 00:05:13,945 --> 00:05:20,084 だが 藍染めにはなくてはならぬ 藍玉造りを独り占めにし➡ 67 00:05:20,084 --> 00:05:24,756 その出来高 五十万石に匹敵する。 68 00:05:24,756 --> 00:05:29,093 都合 七十五万石。 69 00:05:29,093 --> 00:05:33,698 その金を元に手を組む 西国大名とは➡ 70 00:05:33,698 --> 00:05:40,371 島津か 毛利か はたまた…。 71 00:05:40,371 --> 00:05:44,042 その血判状とされるのが➡ 72 00:05:44,042 --> 00:05:47,912 鳴門秘帖。 73 00:05:47,912 --> 00:05:51,716 では 世阿弥殿は…。 74 00:05:51,716 --> 00:05:58,389 その秘帖を求めて 阿波へと渡り 行方を絶った。 75 00:05:58,389 --> 00:06:06,064 弦之丞 そちは 世阿弥とは 因縁浅からぬ仲と聞く。 76 00:06:06,064 --> 00:06:10,935 日の本を 再び戦乱のうずに 巻き込んではならぬ。 77 00:06:10,935 --> 00:06:13,404 鳴門秘帖を探し出し➡ 78 00:06:13,404 --> 00:06:18,076 よからぬ動きをする者たちに 鉄鎚を下す事こそ➡ 79 00:06:18,076 --> 00:06:21,746 すなわち正義! 80 00:06:21,746 --> 00:06:28,419 そちの剣 正義のために使ってはみぬか? 81 00:06:28,419 --> 00:06:36,227 剣とは 所詮 人を斬るためのもの 人でなしの道だと➡ 82 00:06:36,227 --> 00:06:38,696 師 夕雲に教わりました。 83 00:06:38,696 --> 00:06:40,631 何だと? 84 00:06:40,631 --> 00:06:47,372 人でなしの道が 正義への道へと通じましょうか。 85 00:06:47,372 --> 00:06:51,072 お上の密命じゃ。 86 00:06:53,711 --> 00:06:55,711 御免。 87 00:07:03,388 --> 00:07:06,290 しとめたか!? 88 00:07:06,290 --> 00:07:08,259 逃げられました。 89 00:07:08,259 --> 00:07:12,063 ただの ねずみ。 90 00:07:12,063 --> 00:07:15,363 して 返事は? 91 00:07:22,073 --> 00:07:26,373 銀五郎 出てこい。 92 00:07:30,882 --> 00:07:34,352 (銀五郎) 何だい 旦那にはお見通しかい。 93 00:07:34,352 --> 00:07:37,688 何故 天井裏に潜んでおった。 94 00:07:37,688 --> 00:07:43,027 実は 旦那の姿を見かけたんでね つい…。 95 00:07:43,027 --> 00:07:47,698 わっしは 元盗人でして。 96 00:07:47,698 --> 00:07:50,601 …で 阿波には行く事になさったんで? 97 00:07:50,601 --> 00:07:52,570 これ以上 口を挟むな。 98 00:07:52,570 --> 00:07:55,373 命が いくつあっても 足りぬやもしれぬ。 99 00:07:55,373 --> 00:07:58,042 だからって ここで引き下がったんじゃ➡ 100 00:07:58,042 --> 00:07:59,977 男が立たねえ。 101 00:07:59,977 --> 00:08:03,714 わっしを盗人の世界から 救ってくれたのは 万吉親分だ。 102 00:08:03,714 --> 00:08:09,053 その親分が贔屓にしてる旦那なら この命 あげたってよござんすよ。 103 00:08:09,053 --> 00:08:10,988 いらぬ。 104 00:08:10,988 --> 00:08:12,924 わっしだって 男だ! 105 00:08:12,924 --> 00:08:16,727 一度吐いた台詞を 飲む訳にはいかねえ。 106 00:08:16,727 --> 00:08:20,598 この唐草銀五郎の命 たった今から旦那にお預けしやす。 107 00:08:20,598 --> 00:08:24,068 煮るなり焼くなり 好き勝手使ってくれて構わねえ。 108 00:08:24,068 --> 00:08:28,406 さあ これから どうします? わっしは 何をしたらいいですか? 109 00:08:28,406 --> 00:08:30,341 困ったやつだ。 110 00:08:30,341 --> 00:08:32,677 困る事はねえ! 111 00:08:32,677 --> 00:08:35,346 思う存分 お使いなさればいいだけだ。 112 00:08:35,346 --> 00:08:38,249 さあ 言って下せえ。 そう 急くな。 113 00:08:38,249 --> 00:08:41,219 まずは 千絵殿に知らせねばならぬ。 114 00:08:41,219 --> 00:08:43,688 鳴門秘帖なるものを追って➡ 115 00:08:43,688 --> 00:08:47,024 世阿弥殿が姿をくらました 阿波へ行くという密命を➡ 116 00:08:47,024 --> 00:08:48,960 お上に受けた事をな。 117 00:08:48,960 --> 00:08:51,696 では 阿波に行かれるんで? 118 00:08:51,696 --> 00:08:54,365 まだ決めてはおらぬ。 119 00:08:54,365 --> 00:08:58,236 千絵殿が行ってくれと言えば 行かねばなるまい。 120 00:08:58,236 --> 00:09:00,238 だが…。 121 00:09:00,238 --> 00:09:03,708 阿波へは そう やすやすとは渡れぬ。 122 00:09:03,708 --> 00:09:06,611 幾人もの命を奪う事になり➡ 123 00:09:06,611 --> 00:09:11,048 人でなしの道を 歩み続ける事になる。 124 00:09:11,048 --> 00:09:14,719 けど その何とか秘帖っていうのを 探しに行きゃ➡ 125 00:09:14,719 --> 00:09:17,054 千絵様のお父上に 会えるかもしれねえ。 126 00:09:17,054 --> 00:09:18,990 そうすりゃ 千絵様だって➡ 127 00:09:18,990 --> 00:09:21,726 どんなに お喜びになるか 分からねえ。 128 00:09:21,726 --> 00:09:23,661 旦那。 129 00:09:23,661 --> 00:09:25,596 何だ? 130 00:09:25,596 --> 00:09:29,400 いつでも わっしは 旦那のそばにいやす。 131 00:09:29,400 --> 00:09:32,670 旦那を 人でなしになんか させやしねえ。 132 00:09:32,670 --> 00:09:38,009 いや 旦那は 人でなしになんか なっちゃならねえ。 133 00:09:38,009 --> 00:09:39,944 銀五郎…。 134 00:09:39,944 --> 00:09:43,347 もっとも 千絵様に お知らせするったって➡ 135 00:09:43,347 --> 00:09:49,220 甲賀屋敷に出向いたところで けんもほろろ…。 136 00:09:49,220 --> 00:09:51,689 そうだ 旦那。 137 00:09:51,689 --> 00:09:54,358 千絵様に 手紙を書いて下せえ。 138 00:09:54,358 --> 00:09:56,294 お屋敷に忍び込んで➡ 139 00:09:56,294 --> 00:09:59,030 返事をもらって すぐに戻ってきやす。 140 00:09:59,030 --> 00:10:15,580 ♬~ 141 00:10:15,580 --> 00:10:18,280 (千絵)これを。 142 00:10:20,051 --> 00:10:23,751 ご武運を お祈り致しております。 143 00:10:26,924 --> 00:10:29,924 弦之丞様…。 144 00:10:35,066 --> 00:10:37,735 (多市) 食べなければ お体に障ります。 145 00:10:37,735 --> 00:10:40,071 いりません。 千絵様! 146 00:10:40,071 --> 00:10:42,771 いらないったら いらない! 147 00:10:48,412 --> 00:10:51,749 (周馬)困ったお人だ。 148 00:10:51,749 --> 00:10:56,420 周馬様。 まことに 法月弦之丞とやらは➡ 149 00:10:56,420 --> 00:10:59,090 千絵様と会わぬと 申されたのですか? 150 00:10:59,090 --> 00:11:01,025 なぜだ。 151 00:11:01,025 --> 00:11:04,428 常日頃から 千絵様が お話しして下さる人とは➡ 152 00:11:04,428 --> 00:11:06,364 思えぬものですから…。 153 00:11:06,364 --> 00:11:08,299 人は変わる。 ですが…! 154 00:11:08,299 --> 00:11:13,437 甲賀が このありさまでは 触らぬ神に祟りなし…。 155 00:11:13,437 --> 00:11:17,775 たとえ 法月弦之丞様と申せ そう思っても当然。 156 00:11:17,775 --> 00:11:20,111 それが まことなら あまりにも理不尽! 157 00:11:20,111 --> 00:11:22,446 俺も そう思う。 158 00:11:22,446 --> 00:11:27,746 だが 今は我慢の時。 分かるな? 159 00:11:30,121 --> 00:11:32,121 はい…。 160 00:11:52,376 --> 00:11:56,076 一切 頭の中に たたき込みました。 161 00:12:01,752 --> 00:12:05,623 よいか。 くれぐれも無理をしてはならぬ。 162 00:12:05,623 --> 00:12:08,626 相手は ただの武家ではない。 甲賀の者じゃ。 163 00:12:08,626 --> 00:12:12,763 唐草の銀五郎 そんなドジは 踏みやしませんよ。 164 00:12:12,763 --> 00:12:18,436 この先に 小さな祠があります。 そこで お待ちになってて下せえ。 165 00:12:18,436 --> 00:12:20,436 相分かった。 166 00:12:24,775 --> 00:13:02,613 ♬~ 167 00:13:02,613 --> 00:13:11,088 (鈴の音) 168 00:13:11,088 --> 00:13:13,424 佐嶋! 169 00:13:13,424 --> 00:13:17,294 何者かが入ったようだ。 調べろ。 (佐嶋)はっ! 170 00:13:17,294 --> 00:13:26,771 ♬~ 171 00:13:26,771 --> 00:13:28,706 行け! 172 00:13:28,706 --> 00:13:38,048 ♬~ 173 00:13:38,048 --> 00:13:40,384 追え! 逃がすな! 174 00:13:40,384 --> 00:13:42,319 (周馬)千絵様! 175 00:13:42,319 --> 00:13:45,055 何の騒ぎですか? (周馬)賊が現れました。 176 00:13:45,055 --> 00:13:47,391 賊? 我が屋敷に誰が? 177 00:13:47,391 --> 00:13:49,326 まさかとは思いますが…。 178 00:13:49,326 --> 00:13:51,729 何ですか? 179 00:13:51,729 --> 00:13:56,600 実は 本日 元京都所司代 松平左京之介様の屋敷を➡ 180 00:13:56,600 --> 00:13:59,603 法月様が お訪ねになったとの 知らせが入っております。 181 00:13:59,603 --> 00:14:03,073 世阿弥様が 行きがた知れずとなって10年➡ 182 00:14:03,073 --> 00:14:05,743 絶家となるやもしれぬ 我が甲賀の動きを➡ 183 00:14:05,743 --> 00:14:08,646 左京之介様が 気になさっている との噂がございます。 184 00:14:08,646 --> 00:14:10,614 となれば…。 185 00:14:10,614 --> 00:14:12,616 左京之介様に指図された➡ 186 00:14:12,616 --> 00:14:15,753 弦之丞様の手の者だと 言いたいのですか? 187 00:14:15,753 --> 00:14:19,623 左京之介様は 幕閣でも 奸物といわれるお方。 188 00:14:19,623 --> 00:14:23,427 お若い法月様を手玉に取るくらい たやすい事かと…。 189 00:14:23,427 --> 00:14:25,362 そんな…。 190 00:14:25,362 --> 00:14:29,300 そのような事が… あるはずがありません! 191 00:14:29,300 --> 00:14:33,000 しかし 先日の 別れのご挨拶の事がございます! 192 00:14:34,705 --> 00:14:37,608 これを 千絵殿にお渡し下さい。 193 00:14:37,608 --> 00:14:41,378 法月様は もう お会いにはなれないと➡ 194 00:14:41,378 --> 00:14:44,281 それを伝えに参られたのです。 195 00:14:44,281 --> 00:14:47,581 嘘です… 嘘です! 196 00:14:49,720 --> 00:14:54,592 そのような事が… まさか…。 197 00:14:54,592 --> 00:15:10,407 ♬~ 198 00:15:10,407 --> 00:15:13,744 [ 心の声 ] (銀五郎)旦那… しくじった! 199 00:15:13,744 --> 00:15:19,416 <銀五郎の声が 弦之丞に聞こえた> 200 00:15:19,416 --> 00:15:22,086 [ 心の声 ] (銀五郎)旦那 すまねえ! 201 00:15:22,086 --> 00:15:25,422 <聞こえるはずのない 銀五郎の声が➡ 202 00:15:25,422 --> 00:15:28,759 確かに 聞こえていた> 203 00:15:28,759 --> 00:15:43,707 ♬~ 204 00:15:43,707 --> 00:15:46,377 これは…。 205 00:15:46,377 --> 00:15:48,377 銀五郎! 206 00:15:52,049 --> 00:15:58,389 (お綱)♬「雲にかけ橋」 207 00:15:58,389 --> 00:16:05,062 ♬「かすみにちどり」 208 00:16:05,062 --> 00:16:07,762 おっ…! ごめんよ! 209 00:16:09,400 --> 00:16:11,400 あいつ…。 210 00:16:14,071 --> 00:16:16,071 あっ ちょいと…。 211 00:16:18,742 --> 00:16:23,042 手癖が悪いにも 程があるってもんだ…。 212 00:16:30,688 --> 00:16:35,559 法月弦之丞…。 213 00:16:35,559 --> 00:16:37,559 千絵? 214 00:16:43,033 --> 00:16:47,705 はあ はあ はあ…。 215 00:16:47,705 --> 00:16:51,375 はあ… はあ… はあ…。 216 00:16:51,375 --> 00:16:55,375 はあ… はあ… はあ…。 217 00:16:57,247 --> 00:16:59,247 手紙…! 218 00:17:02,386 --> 00:17:04,321 あのアマ! 219 00:17:04,321 --> 00:17:06,256 うっ…! 220 00:17:06,256 --> 00:17:08,726 うっ! 221 00:17:08,726 --> 00:17:14,598 この間 法月弦之丞と共に 屋敷を訪ねてきた男だな? 222 00:17:14,598 --> 00:17:17,735 何故 屋敷に忍び入った! 223 00:17:17,735 --> 00:17:21,405 何のこった… し… 知らねえな。 224 00:17:21,405 --> 00:17:24,405 そうか。 ううっ…! 225 00:17:26,744 --> 00:17:30,080 金がなくて 残念だったな。 226 00:17:30,080 --> 00:17:32,016 ほざけ! やれ! 227 00:17:32,016 --> 00:17:43,360 ♬~ 228 00:17:43,360 --> 00:17:45,696 うっ! うっ…。 229 00:17:45,696 --> 00:17:49,566 うっ! ああ~! 230 00:17:49,566 --> 00:17:53,037 ううっ…。 231 00:17:53,037 --> 00:17:56,907 ツクトントン ツンツクトンと。 232 00:17:56,907 --> 00:17:58,909 ハハハハハ! 233 00:17:58,909 --> 00:18:01,609 ん? 先生? 234 00:18:04,381 --> 00:18:06,381 貸せ! 235 00:18:11,055 --> 00:18:13,755 こりゃ 大変だ! 236 00:18:15,926 --> 00:18:17,928 (万吉)ああ 弦之丞様。 237 00:18:17,928 --> 00:18:20,064 こんな朝早く どうしなすったんで? 238 00:18:20,064 --> 00:18:22,733 銀五郎は戻ってきたか? 銀の字ですか? 239 00:18:22,733 --> 00:18:25,069 いいえ 昨日から 顔見てませんけど。 240 00:18:25,069 --> 00:18:27,738 あの野郎が どうかしましたか? 241 00:18:27,738 --> 00:18:31,341 大変だ! 大変だ 親分! おう 熊か どうした!? 242 00:18:31,341 --> 00:18:34,244 銀五郎が… 源内先生んとこ 運ばれた! 243 00:18:34,244 --> 00:18:50,027 ♬~ 244 00:18:50,027 --> 00:18:53,697 源内先生! 親分…。 245 00:18:53,697 --> 00:18:56,600 そんな…。 246 00:18:56,600 --> 00:18:59,570 おい 銀五郎…。 247 00:18:59,570 --> 00:19:01,572 一体 誰にやられた! 248 00:19:01,572 --> 00:19:03,707 忍びだ。 249 00:19:03,707 --> 00:19:05,642 (万吉)忍び? 250 00:19:05,642 --> 00:19:11,381 忍び姿の男たち数人に 襲われていたところに行き合った。 251 00:19:11,381 --> 00:19:16,081 どうやら あんたには 心当たりがありそうだ。 252 00:19:19,723 --> 00:19:21,658 かわいそうによ…。➡ 253 00:19:21,658 --> 00:19:25,062 お武家の争いに 巻き込まれたってとこか。 254 00:19:25,062 --> 00:19:27,731 う… うう…。 255 00:19:27,731 --> 00:19:31,602 おう 銀五郎 しっかりしろ。 256 00:19:31,602 --> 00:19:35,339 親分…。 257 00:19:35,339 --> 00:19:40,210 旦那…。 258 00:19:40,210 --> 00:19:43,013 すまぬ 銀五郎…。 259 00:19:43,013 --> 00:19:45,682 私のせいだ。 260 00:19:45,682 --> 00:19:48,585 とんでもねえ…。 261 00:19:48,585 --> 00:19:51,555 とんだドジを踏んじまって…。 262 00:19:51,555 --> 00:19:54,358 こっちこそ すまねえ 旦那…。 263 00:19:54,358 --> 00:19:57,027 もう よい。 264 00:19:57,027 --> 00:19:59,363 私のせいだ。 265 00:19:59,363 --> 00:20:04,234 私のせいで こんな…。 266 00:20:04,234 --> 00:20:07,704 私は やはり…➡ 267 00:20:07,704 --> 00:20:09,640 人でなしのようだな。 268 00:20:09,640 --> 00:20:14,578 そ… そんな事言っちゃいけねえ! 269 00:20:14,578 --> 00:20:17,381 い… 言ったでしょ。 270 00:20:17,381 --> 00:20:20,284 わっしがついてる…。 271 00:20:20,284 --> 00:20:26,723 死んでも… 旦那のそばには わっしがついてる。 272 00:20:26,723 --> 00:20:33,597 旦那を ひ… 人でなしになんか させやしねえ! 273 00:20:33,597 --> 00:20:35,732 だから…➡ 274 00:20:35,732 --> 00:20:39,069 ううっ… だから! 275 00:20:39,069 --> 00:20:42,406 千絵様を…➡ 276 00:20:42,406 --> 00:20:47,277 千絵様のために…。 277 00:20:47,277 --> 00:20:51,081 旦那! 何とか言って下せえ! 278 00:20:51,081 --> 00:20:53,016 このままじゃ…➡ 279 00:20:53,016 --> 00:20:55,752 このままじゃ➡ 280 00:20:55,752 --> 00:21:01,091 死んでも死にきれねえ…。 281 00:21:01,091 --> 00:21:05,429 分かった 銀五郎…。 282 00:21:05,429 --> 00:21:09,766 いまわの際に よう聞いておけ! 283 00:21:09,766 --> 00:21:15,466 お前の頼み 今 確かに受け止めた。 284 00:21:17,107 --> 00:21:22,779 必ず 千絵殿を 骨身にかけて救ってみせる。 285 00:21:22,779 --> 00:21:26,116 忘れた事のない あの笑顔を 取り戻してみせる。 286 00:21:26,116 --> 00:21:28,051 阿波へと渡り➡ 287 00:21:28,051 --> 00:21:31,722 世阿弥殿の生死を見届け➡ 288 00:21:31,722 --> 00:21:35,722 秘帖の在りかも 確かめてみせよう! 289 00:21:38,061 --> 00:21:42,399 よいか 銀五郎…。 290 00:21:42,399 --> 00:21:46,270 聞いておるか。 291 00:21:46,270 --> 00:21:48,570 聞いて…! 292 00:21:51,742 --> 00:21:54,442 銀五郎! 293 00:21:56,413 --> 00:21:59,113 銀五郎…。 294 00:22:04,288 --> 00:22:06,423 お前さん…。 295 00:22:06,423 --> 00:22:09,326 たった今 くたばっちまった…。 296 00:22:09,326 --> 00:22:12,626 銀五郎の馬鹿野郎! 297 00:22:15,766 --> 00:22:18,669 銀の字…。 298 00:22:18,669 --> 00:22:23,640 何してんだよ! 目を開けるんだよ! 299 00:22:23,640 --> 00:22:26,109 銀の字! 300 00:22:26,109 --> 00:22:29,780 目を… 目を開けておくれよ! 301 00:22:29,780 --> 00:22:33,650 よさねえか 死んじまったんだよ 銀五郎は…。 302 00:22:33,650 --> 00:22:38,055 嫌だよ! 銀の字! 303 00:22:38,055 --> 00:22:56,239 ♬~ 304 00:22:56,239 --> 00:22:58,742 <そのころ お綱は➡ 305 00:22:58,742 --> 00:23:02,412 弦之丞の手紙を掏摸取った事を 悔やんでいた。➡ 306 00:23:02,412 --> 00:23:10,112 勝手に動いた己の手と 己の業に 嫌気がさしている> 307 00:23:13,423 --> 00:23:16,760 段平かざして 盗人かい 孫の旦那。 308 00:23:16,760 --> 00:23:21,631 (孫兵衛)惚れた女のとこに 忍び込んだだけよ。 309 00:23:21,631 --> 00:23:27,931 ゆっくりだ。 ゆっくりと 懐から手を出せ。 310 00:23:33,243 --> 00:23:35,943 向こうに放れ。 311 00:23:41,918 --> 00:23:45,722 いい女には しつこいタチでな。 312 00:23:45,722 --> 00:23:51,395 さて どうしてくれようか…。 313 00:23:51,395 --> 00:23:53,330 何だ? こいつは。 314 00:23:53,330 --> 00:23:55,630 やめとくれ! 315 00:23:58,068 --> 00:24:00,404 ほう… 阿波がらみか。 316 00:24:00,404 --> 00:24:03,306 とんだところで とんだものに出くわしたもんだ。 317 00:24:03,306 --> 00:24:05,742 このような手紙を なぜ お前が持ってる? 318 00:24:05,742 --> 00:24:08,645 知らないね。 こいつは お前の役には立たん。 319 00:24:08,645 --> 00:24:11,081 しかし 俺なら金にできる。 もらっとくぞ。 320 00:24:11,081 --> 00:24:13,081 やめとくれよ! これは 返さなきゃならない手紙なんだ! 321 00:24:24,428 --> 00:24:31,034 惜しい… 実に惜しいが➡ 322 00:24:31,034 --> 00:24:34,734 今は 金が先だ…。 323 00:24:43,613 --> 00:24:46,049 (万吉) 銀五郎は 男気のあるやつで➡ 324 00:24:46,049 --> 00:24:48,385 盗みをやって 捕まった時も➡ 325 00:24:48,385 --> 00:24:52,055 仲間の事についちゃ 一切 口を割ろうとしねえ。 326 00:24:52,055 --> 00:24:53,990 そいつを見込んで➡ 327 00:24:53,990 --> 00:24:57,727 役人の旦那に頭下げて 下ッ引きにしたんです。 328 00:24:57,727 --> 00:25:00,397 「わっしには親もねえ 子もねえ。➡ 329 00:25:00,397 --> 00:25:03,733 親分 いつでも わっしの命預けます」➡ 330 00:25:03,733 --> 00:25:07,604 そう言って…。 331 00:25:07,604 --> 00:25:10,607 けど そうですか。 332 00:25:10,607 --> 00:25:14,744 弦之丞様にも そんな事を。 333 00:25:14,744 --> 00:25:20,083 そいつは よっぽど 気に入ったんだな 弦之丞様が。 334 00:25:20,083 --> 00:25:22,752 すまぬ。 335 00:25:22,752 --> 00:25:27,624 私のせいで 惜しい男を亡くしてしまった。 336 00:25:27,624 --> 00:25:29,626 よしましょう。 337 00:25:29,626 --> 00:25:33,697 終わっちまった事を ぐずぐず 言ったところで しかたねえ。 338 00:25:33,697 --> 00:25:40,570 ただ… 銀五郎の気持ちを 無駄にしねえ事だ。 339 00:25:40,570 --> 00:25:43,373 弦之丞様が書いた 手紙の一件ですが➡ 340 00:25:43,373 --> 00:25:46,276 銀五郎が 持ってなかったという事は➡ 341 00:25:46,276 --> 00:25:50,714 忍びの手に落ちたか 千絵様の手に渡ったか…。 342 00:25:50,714 --> 00:25:54,050 けど どうして 甲賀の忍びが➡ 343 00:25:54,050 --> 00:25:56,720 弦之丞様や銀五郎を 襲わなきゃならねえんで? 344 00:25:56,720 --> 00:25:59,055 甲賀は 千絵様のお味方のはずだ。 345 00:25:59,055 --> 00:26:00,991 それは分からぬ。 346 00:26:00,991 --> 00:26:03,393 だが お前の言うとおり➡ 347 00:26:03,393 --> 00:26:06,730 銀五郎との約束は 果たさねばならぬ。 348 00:26:06,730 --> 00:26:09,399 私は 阿波へ行く。 349 00:26:09,399 --> 00:26:12,068 秘帖とやらを お探しにでございますか? 350 00:26:12,068 --> 00:26:14,004 それもある。 351 00:26:14,004 --> 00:26:18,742 だが まずは 世阿弥殿の生死を 確かめねばなるまい。 352 00:26:18,742 --> 00:26:20,677 千絵様のためですね。 353 00:26:20,677 --> 00:26:22,612 千絵殿のためでもあり➡ 354 00:26:22,612 --> 00:26:25,615 銀五郎の死に報いるためにも。 355 00:26:25,615 --> 00:26:32,289 死んでも… 旦那のそばには わっしがついてる。 356 00:26:32,289 --> 00:26:38,989 旦那を ひ… 人でなしになんか させやしねえ! 357 00:26:42,933 --> 00:26:48,705 <ここは 弦之丞を襲った 天堂一角らの隠れが> 358 00:26:48,705 --> 00:26:52,405 誰だ! (一角)待て! 359 00:26:55,045 --> 00:27:00,917 久しぶりだな 天堂一角。 捜したぞ。 360 00:27:00,917 --> 00:27:05,055 関谷孫兵衛か。 361 00:27:05,055 --> 00:27:08,925 我らと同じ阿波の原士だった男だ。 362 00:27:08,925 --> 00:27:12,929 諸国流浪の旅に出たと 聞いておったが➡ 363 00:27:12,929 --> 00:27:16,399 そうか 江戸にいたのか。 364 00:27:16,399 --> 00:27:20,270 いつでも頭巾を外さぬ 変わった男でな。 365 00:27:20,270 --> 00:27:24,741 ほう 顔に傷でもあるのか? 366 00:27:24,741 --> 00:27:26,676 お主には関わりない。 367 00:27:26,676 --> 00:27:28,612 何!? (一角)よせ。 368 00:27:28,612 --> 00:27:32,349 孫兵衛は 丹石流据えもの斬りの 技の持ち主だ。 369 00:27:32,349 --> 00:27:35,251 お主のかなう相手ではない。 370 00:27:35,251 --> 00:27:37,220 (舌打ち) 371 00:27:37,220 --> 00:27:41,220 (一角)…で 何の用だ? 372 00:27:46,896 --> 00:27:50,896 手紙を買わぬか。 手紙? 373 00:27:53,036 --> 00:27:56,373 阿波 甲賀世阿弥 鳴門秘帖…。 374 00:27:56,373 --> 00:28:01,044 面白き文字がおどっておる。 375 00:28:01,044 --> 00:28:03,713 待て。 376 00:28:03,713 --> 00:28:08,051 松平左京之介を追って 江戸に入った お主の事は➡ 377 00:28:08,051 --> 00:28:10,954 風の噂で聞いていた。 378 00:28:10,954 --> 00:28:18,695 この手紙 お主に出世の蔓を つかませるかもしれぬぞ。 379 00:28:18,695 --> 00:28:20,695 見せろ。 380 00:28:23,400 --> 00:28:25,700 法月…。 381 00:28:32,208 --> 00:28:37,914 なるほど… やつめ やはり 密命を受けておったか。 382 00:28:37,914 --> 00:28:39,883 知っておったのか。 383 00:28:39,883 --> 00:28:41,885 この腕は そいつにやられたものだ! 384 00:28:41,885 --> 00:28:46,356 虚無僧に身をやつしておったが その腕は かなりのものだ。 385 00:28:46,356 --> 00:28:50,026 なに 虚無僧? ああ。 386 00:28:50,026 --> 00:28:52,326 ♬~(尺八) 387 00:28:55,699 --> 00:28:57,634 あいつか! 388 00:28:57,634 --> 00:29:01,571 そうか… 俺といい お前といい➡ 389 00:29:01,571 --> 00:29:06,342 知らぬところで 法月弦之丞と いわく因縁があったという事か。 390 00:29:06,342 --> 00:29:10,714 今度 会ったら たたき斬って やろうと思ってたところよ。 391 00:29:10,714 --> 00:29:14,584 ならば 手紙は買えぬな。 392 00:29:14,584 --> 00:29:17,387 何!? だが➡ 393 00:29:17,387 --> 00:29:20,290 お主の腕を買おう。 394 00:29:20,290 --> 00:29:23,059 法月弦之丞なる男➡ 395 00:29:23,059 --> 00:29:26,396 甲賀世阿弥ともつながる。 396 00:29:26,396 --> 00:29:29,733 斬り倒せば お主の言うとおり➡ 397 00:29:29,733 --> 00:29:33,002 出世の蔓をつかむのも 夢ではないのかもしれぬ。 398 00:29:33,002 --> 00:29:35,905 どうだ? 399 00:29:35,905 --> 00:29:39,676 さて どうするか…。 400 00:29:39,676 --> 00:29:42,579 もったいぶるな。 401 00:29:42,579 --> 00:29:45,579 金がないのだろ? 402 00:29:49,018 --> 00:29:52,889 そろそろ 辻斬り稼業にも 飽きてきたところだ。 403 00:29:52,889 --> 00:29:54,891 よかろう。 404 00:29:54,891 --> 00:29:59,362 阿波へと戻る よい糸口になるやもしれぬ。 405 00:29:59,362 --> 00:30:04,701 <こうして 弦之丞に敵対する 天堂一角と関谷孫兵衛が➡ 406 00:30:04,701 --> 00:30:07,036 手を組む事になった> 407 00:30:07,036 --> 00:30:12,375 ハハハハハハ! ハハハハ! 408 00:30:12,375 --> 00:30:18,047 <一方 ここは 弦之丞の父親 法月一学の屋敷> 409 00:30:18,047 --> 00:30:22,719 弦之丞が 松平左京之介様とな? 410 00:30:22,719 --> 00:30:25,054 どうやら そのようでして。 411 00:30:25,054 --> 00:30:27,957 あのお方は 一筋縄では行かぬ。 412 00:30:27,957 --> 00:30:31,394 世阿弥にも そのように申したのだが➡ 413 00:30:31,394 --> 00:30:34,731 弦之丞もまた…。 414 00:30:34,731 --> 00:30:37,634 弦之丞様は 阿波へ行かれる事に なると思います。 415 00:30:37,634 --> 00:30:40,603 左京之介様の口車に乗って➡ 416 00:30:40,603 --> 00:30:43,406 死に急ぐような事があっては ならぬ。 417 00:30:43,406 --> 00:30:45,341 ならぬが…➡ 418 00:30:45,341 --> 00:30:48,077 世阿弥の事もある。 419 00:30:48,077 --> 00:30:53,750 お上の密命ならば しかたもあるまい。 420 00:30:53,750 --> 00:30:56,653 だが 万吉。 へい。 421 00:30:56,653 --> 00:30:58,621 その時は 頼む。 422 00:30:58,621 --> 00:31:00,623 陰になり日向となって➡ 423 00:31:00,623 --> 00:31:03,092 弦之丞を助けてくれ。 424 00:31:03,092 --> 00:31:06,963 今のわしには お前だけが頼りだ。 425 00:31:06,963 --> 00:31:08,963 へい。 426 00:31:13,436 --> 00:31:17,307 もし! 弦之丞様では? 427 00:31:17,307 --> 00:31:19,307 すみません。 428 00:31:21,311 --> 00:31:24,080 あっ…。 429 00:31:24,080 --> 00:31:26,449 私に 何か用か? 430 00:31:26,449 --> 00:31:28,384 あ…。 431 00:31:28,384 --> 00:31:32,255 あの… 私を 覚えておいでじゃありませんか? 432 00:31:32,255 --> 00:31:37,255 こないだの満月の夜 明神橋で会った 掏摸の女です。 433 00:31:39,028 --> 00:31:41,397 番屋でも どこでも 突き出しゃいいじゃないか! 434 00:31:41,397 --> 00:31:44,300 あの時の…。 435 00:31:44,300 --> 00:31:47,270 見返りお綱とか申すようだな。 436 00:31:47,270 --> 00:31:49,272 ご存じでしたか…。 437 00:31:49,272 --> 00:31:52,408 そのお綱が 何の用だ? 438 00:31:52,408 --> 00:31:54,408 それが…。 439 00:31:56,279 --> 00:31:58,281 実は この間の夜➡ 440 00:31:58,281 --> 00:32:02,418 下ッ引きの懐から あなた様のお手紙を…➡ 441 00:32:02,418 --> 00:32:05,088 いえ 掏ろうと思って 掏ったんじゃござんせん。 442 00:32:05,088 --> 00:32:07,023 そんなつもりは これっぱかしもなかったんです。 443 00:32:07,023 --> 00:32:08,958 けど…。 掏ったのだな。 444 00:32:08,958 --> 00:32:10,960 はい…。 445 00:32:10,960 --> 00:32:13,960 来い。 えっ? 446 00:32:17,667 --> 00:32:21,638 あの男の墓だ。 447 00:32:21,638 --> 00:32:24,107 あの手紙を渡すために➡ 448 00:32:24,107 --> 00:32:28,778 とある屋敷に忍び込んで もらったのだが叶わず➡ 449 00:32:28,778 --> 00:32:31,047 逃げる途中 殺された。 450 00:32:31,047 --> 00:32:33,716 そんな…。 451 00:32:33,716 --> 00:32:38,388 手紙を掏ったお前を 責めるつもりは 毛頭ない。 452 00:32:38,388 --> 00:32:42,688 手紙を渡した私が 殺したようなものなのだ。 453 00:32:44,727 --> 00:32:47,630 …で 手紙は? 454 00:32:47,630 --> 00:32:50,400 あ… それが その…➡ 455 00:32:50,400 --> 00:32:56,739 あ… ほら あの時 あの橋の上で あなた様を襲った あの辻斬り➡ 456 00:32:56,739 --> 00:32:59,642 あの男が 金になるとか何とか言って➡ 457 00:32:59,642 --> 00:33:01,611 持ち出してしまったんです。 458 00:33:01,611 --> 00:33:04,614 金に? あの手紙が? 459 00:33:04,614 --> 00:33:08,351 はい。 あいつは そんなふうに言ってました。 460 00:33:08,351 --> 00:33:11,287 お十夜孫兵衛とかいう 嫌なやつ。 461 00:33:11,287 --> 00:33:13,756 そうか。 462 00:33:13,756 --> 00:33:18,628 ともあれ 手紙の行方が分かった。 463 00:33:18,628 --> 00:33:22,628 わざわざ知らせてくれた事 礼を言う。 464 00:33:25,768 --> 00:33:28,671 弦之丞様! 465 00:33:28,671 --> 00:33:31,574 悪いとは思ったんですが…➡ 466 00:33:31,574 --> 00:33:36,045 お手紙を読ませてもらいました。 467 00:33:36,045 --> 00:33:41,384 甲賀の千絵様ってお人は 弦之丞様の…➡ 468 00:33:41,384 --> 00:33:44,721 いえ 立ち入った事を 聞こうってんじゃありません。 469 00:33:44,721 --> 00:33:48,591 ただ… その 千絵様ってお人は➡ 470 00:33:48,591 --> 00:33:53,062 きっと 弦之丞様を 待ってらっしゃるんだと思います。 471 00:33:53,062 --> 00:33:55,062 何? 472 00:33:57,400 --> 00:33:59,736 この銀五郎って人も➡ 473 00:33:59,736 --> 00:34:05,408 千絵様と弦之丞様を会わせようと こんなはめになっちまった。 474 00:34:05,408 --> 00:34:08,311 お二人を会わす事が できずじまいじゃ➡ 475 00:34:08,311 --> 00:34:11,748 成仏なんかできっこありません。 476 00:34:11,748 --> 00:34:14,448 何が言いたい。 477 00:34:16,419 --> 00:34:20,757 手紙を掏ったのも 何かの縁。 478 00:34:20,757 --> 00:34:26,629 この私が手助けしてさしあげます。 479 00:34:26,629 --> 00:34:29,766 お前が? はい。 480 00:34:29,766 --> 00:34:32,368 この見返りお綱➡ 481 00:34:32,368 --> 00:34:37,668 甲賀のお屋敷には ちょいとした 手蔓がございますんで。 482 00:34:43,379 --> 00:34:47,717 弦之丞様を けんもほろろの扱いにした男➡ 483 00:34:47,717 --> 00:34:51,054 旅川周馬って男じゃ ありませんか? 484 00:34:51,054 --> 00:34:53,723 そうだ。 やっぱり。 485 00:34:53,723 --> 00:34:57,393 あいつが絡んでるなら なおさら信じちゃいけませんよ。 486 00:34:57,393 --> 00:35:00,296 あいつは お十夜孫兵衛に 負けず劣らず➡ 487 00:35:00,296 --> 00:35:02,732 ろくでもない男なんです。 488 00:35:02,732 --> 00:35:05,401 知っておるのか? 489 00:35:05,401 --> 00:35:08,071 「蛇の道は蛇」。 490 00:35:08,071 --> 00:35:11,407 時々 賭場で落ち合って… まあ そうは言っても➡ 491 00:35:11,407 --> 00:35:13,743 懇意ってほどじゃ ないんですけど➡ 492 00:35:13,743 --> 00:35:16,646 百両近い金の立て替えを してましてね。 493 00:35:16,646 --> 00:35:19,615 金だ。 494 00:35:19,615 --> 00:35:22,915 もったいつけるな。 495 00:35:25,354 --> 00:35:30,093 ところが 貸した金を催促しても のらりくらり。 496 00:35:30,093 --> 00:35:32,028 業腹だから お屋敷に乗り込んで➡ 497 00:35:32,028 --> 00:35:34,697 啖呵切ってやろうかと 思ってたところなんですよ。 498 00:35:34,697 --> 00:35:36,632 啖呵? 499 00:35:36,632 --> 00:35:41,571 いえ… 申し訳ござんせん。 生まれ育ちが がさつなもので。 500 00:35:41,571 --> 00:35:43,706 構わぬ。 501 00:35:43,706 --> 00:35:46,609 それで どうする? 502 00:35:46,609 --> 00:35:51,047 夜になって あたしが周馬を誘い出します。 503 00:35:51,047 --> 00:35:53,716 その隙に忍び込めばいいんです。 504 00:35:53,716 --> 00:35:58,387 中にさえ入れれば 屋敷内の事は分かる。 505 00:35:58,387 --> 00:36:03,259 そんなにお親しい間柄なのですね 千絵様ってお人は。 506 00:36:03,259 --> 00:36:06,262 幼き頃より見知っておる。 507 00:36:06,262 --> 00:36:13,736 私のわがままで 10年の間 たった一人にさせてしまった。 508 00:36:13,736 --> 00:36:20,036 だが どうして 私に ここまでしてくれるのだ? 509 00:36:22,078 --> 00:36:27,416 実は 随分と遠い昔 湯島で…。 510 00:36:27,416 --> 00:36:29,416 湯島? 511 00:36:32,688 --> 00:36:35,358 どうした? 512 00:36:35,358 --> 00:36:39,028 いえ 何でもありゃしません。 513 00:36:39,028 --> 00:36:44,700 こないだの満月の夜 あなた様は あたしを番屋に突き出せるのに➡ 514 00:36:44,700 --> 00:36:47,036 そうしなかったじゃありませんか。 515 00:36:47,036 --> 00:36:50,706 そのお礼みたいなもんですよ。 516 00:36:50,706 --> 00:36:52,642 そうか。 517 00:36:52,642 --> 00:36:56,379 <いや そうではない。➡ 518 00:36:56,379 --> 00:37:00,249 幼かった あの時の出会い。➡ 519 00:37:00,249 --> 00:37:02,251 あの時もまた…> 520 00:37:02,251 --> 00:37:04,253 見なかった事にする。 521 00:37:04,253 --> 00:37:07,990 <弦之丞は お綱を救ってくれていたのだ。➡ 522 00:37:07,990 --> 00:37:09,926 だが…> 523 00:37:09,926 --> 00:37:13,396 [ 心の声 ] 覚えてる訳がないんだ…。➡ 524 00:37:13,396 --> 00:37:15,331 いいんだ それでも。➡ 525 00:37:15,331 --> 00:37:20,269 あの時の事は あたしだけの 胸ん中にしまっておきゃ➡ 526 00:37:20,269 --> 00:37:22,969 それでいいのさ。 527 00:37:27,743 --> 00:37:33,443 <ここにも一人 弦之丞を思う女がいる> 528 00:37:37,019 --> 00:37:38,955 これは? 529 00:37:38,955 --> 00:37:40,890 早ずしです。 530 00:37:40,890 --> 00:37:45,361 これなら 千絵様の好物と思い 買い求めてまいりました。 531 00:37:45,361 --> 00:37:48,698 優しい子です 多市は。 532 00:37:48,698 --> 00:37:52,034 千絵様のお体が心配なだけです。 533 00:37:52,034 --> 00:37:57,734 ありがとう。 では 多市の心を頂きましょう。 534 00:38:20,062 --> 00:38:21,998 おいしい。 535 00:38:21,998 --> 00:38:24,400 ようございました。 536 00:38:24,400 --> 00:38:28,070 お前だけです 私の事を心配してくれるのは。 537 00:38:28,070 --> 00:38:30,006 そんな事はありません。 538 00:38:30,006 --> 00:38:35,344 旅川様も ほかの者たちも 千絵様の事を労っておいでです。 539 00:38:35,344 --> 00:38:37,280 そうでしょうか…。 540 00:38:37,280 --> 00:38:40,216 ここ半年 私は幽閉の身。 541 00:38:40,216 --> 00:38:42,685 周馬の言いなりになってばかり。 542 00:38:42,685 --> 00:38:47,556 千絵様… 私を困らせないで下さい。 543 00:38:47,556 --> 00:38:49,556 そうですね。 544 00:38:54,297 --> 00:38:57,233 何だ お綱か。 545 00:38:57,233 --> 00:39:00,703 ご挨拶だねぇ 旅川の旦那。 546 00:39:00,703 --> 00:39:04,040 今夜こそは 貸した金 返してもらいますよ! 547 00:39:04,040 --> 00:39:06,375 おい! 大きな声を出すな。 548 00:39:06,375 --> 00:39:08,311 何 言ってんだい! 549 00:39:08,311 --> 00:39:11,714 金を借りる時だけは いいかっこしやがって。 550 00:39:11,714 --> 00:39:15,584 この見返りお綱を 馬鹿にしてもらっちゃ困る! 551 00:39:15,584 --> 00:39:17,586 中で話をつけようじゃないか。 552 00:39:17,586 --> 00:39:19,588 入らせてもらうよ。 553 00:39:19,588 --> 00:39:21,724 うっ…。 そいつは困る。 何でだい! 554 00:39:21,724 --> 00:39:25,594 ちょっと こっちへ来い! 放せ! 放せ! 555 00:39:25,594 --> 00:39:27,596 うっ… あっ! 556 00:39:27,596 --> 00:39:32,335 何だよ 何でだよ! 放しとくれっつってんだろ! 557 00:39:32,335 --> 00:39:34,270 何だよ! 558 00:39:34,270 --> 00:40:26,589 ♬~ 559 00:40:26,589 --> 00:40:33,062 (鈴の音) 560 00:40:33,062 --> 00:40:36,732 (指笛の音) 561 00:40:36,732 --> 00:40:39,068 どうしたんですかい 旦那! 放せ! 562 00:40:39,068 --> 00:40:41,737 何ですか! また来い! 563 00:40:41,737 --> 00:40:49,412 ♬~ 564 00:40:49,412 --> 00:40:53,082 法月弦之丞か。 曲者だ! 逃がすな! 565 00:40:53,082 --> 00:40:55,382 待て! ああ~! 566 00:41:02,758 --> 00:41:04,758 た~! 567 00:41:09,632 --> 00:41:13,402 曲者を逃してはならぬ! 息の根を止めよ! 568 00:41:13,402 --> 00:41:17,106 何を言うか! 千絵殿はどこじゃ! 千絵殿! 569 00:41:17,106 --> 00:41:19,106 (爆発音) 570 00:41:25,781 --> 00:41:27,781 (爆発音) 571 00:41:31,387 --> 00:41:33,322 千絵殿! 572 00:41:33,322 --> 00:41:35,257 (剣戟音) 573 00:41:35,257 --> 00:41:37,257 千絵殿! 574 00:41:39,261 --> 00:41:42,398 千絵殿! 575 00:41:42,398 --> 00:41:45,067 弦之丞様! 576 00:41:45,067 --> 00:41:47,002 うっ…。 577 00:41:47,002 --> 00:41:49,002 弦之丞様! 578 00:41:51,941 --> 00:41:54,076 千絵殿! 579 00:41:54,076 --> 00:41:57,413 弦之丞様! 580 00:41:57,413 --> 00:41:59,748 弦之丞様! 581 00:41:59,748 --> 00:42:01,684 千絵殿! 582 00:42:01,684 --> 00:42:28,110 ♬~ 583 00:42:28,110 --> 00:42:31,714 仲間を何人殺す! 許せぬ! 584 00:42:31,714 --> 00:42:33,649 うわ~! 585 00:42:33,649 --> 00:42:40,389 ♬~ 586 00:42:40,389 --> 00:42:42,324 多市! 587 00:42:42,324 --> 00:42:47,730 ♬~ 588 00:42:47,730 --> 00:42:49,665 弦之丞様! 589 00:42:49,665 --> 00:42:51,665 (銃声) 590 00:42:54,603 --> 00:42:59,341 千絵との ようやくの再会も 火の手に遮られるか 弦之丞! 591 00:42:59,341 --> 00:43:01,277 風雲急を告げる➡ 592 00:43:01,277 --> 00:43:04,577 弦之丞 千絵 お綱の 運命やいかに!