1 00:00:32,739 --> 00:00:37,477 幕府転覆の血判状 鳴門秘帖探索の密命を帯び➡ 2 00:00:37,477 --> 00:00:40,380 江戸を発った 法月弦之丞。➡ 3 00:00:40,380 --> 00:00:42,816 中山道 妻籠宿で➡ 4 00:00:42,816 --> 00:00:45,151 天下の奇人 平賀源内に➡ 5 00:00:45,151 --> 00:00:48,488 鳴門秘帖の件は 藍玉造りを巡る➡ 6 00:00:48,488 --> 00:00:52,826 幕府と阿波の金がらみの対立が もとであり➡ 7 00:00:52,826 --> 00:00:55,495 全ては茶番だといわれる。➡ 8 00:00:55,495 --> 00:00:58,398 そんな弦之丞を 江戸から追ってきた➡ 9 00:00:58,398 --> 00:01:00,366 掏摸の見返りお綱と➡ 10 00:01:00,366 --> 00:01:02,368 目明しの万吉は➡ 11 00:01:02,368 --> 00:01:05,839 ひょんな事から 阿波の藍玉問屋の内儀➡ 12 00:01:05,839 --> 00:01:07,774 お久良と知り合う。➡ 13 00:01:07,774 --> 00:01:11,511 一方 弦之丞に恋い焦がれるお米は➡ 14 00:01:11,511 --> 00:01:14,180 弦之丞との密会を企むが➡ 15 00:01:14,180 --> 00:01:18,518 横恋慕する 蜂須賀家家臣 森 啓之助の手によって➡ 16 00:01:18,518 --> 00:01:20,453 手込めにされてしまう。➡ 17 00:01:20,453 --> 00:01:26,192 そのころ 10年前に行方を絶った 父 甲賀世阿弥を追って➡ 18 00:01:26,192 --> 00:01:28,528 阿波に向かう 娘の千絵が➡ 19 00:01:28,528 --> 00:01:32,131 捕らわれていた 旅川周馬の手から逃げ出し➡ 20 00:01:32,131 --> 00:01:34,067 お綱と遭遇。➡ 21 00:01:34,067 --> 00:01:37,470 一旦は 弦之丞を巡り 対立する2人だが➡ 22 00:01:37,470 --> 00:01:42,342 お綱のとりなしで 共に弦之丞を捜す事を決意する。➡ 23 00:01:42,342 --> 00:01:46,145 しかし 弦之丞を討ち漏らした 周馬に襲われ➡ 24 00:01:46,145 --> 00:01:49,482 千絵をかばおうとした お綱は 怪我を負い➡ 25 00:01:49,482 --> 00:01:52,385 千絵も再び 連れ去られてしまう。 26 00:01:52,385 --> 00:01:54,821 阿波の刺客 天堂一角➡ 27 00:01:54,821 --> 00:01:58,491 お十夜孫兵衛らとの戦いを凌いだ 弦之丞は➡ 28 00:01:58,491 --> 00:02:03,791 傷ついたお綱を 優しく いたわるのであった。 29 00:02:15,041 --> 00:02:17,510 (重喜)江戸のやつが…➡ 30 00:02:17,510 --> 00:02:22,181 江戸の隠密が来る…! 31 00:02:22,181 --> 00:02:26,519 江戸の隠密? はて…。 32 00:02:26,519 --> 00:02:29,422 法月弦之丞じゃ! 33 00:02:29,422 --> 00:02:36,796 あの剣山の山牢に閉じ込めておる 世阿弥につながる男らしい。 34 00:02:36,796 --> 00:02:41,668 何たる事じゃ… どうする… どうすればよい? 35 00:02:41,668 --> 00:02:44,137 殿…。 うるさい! 36 00:02:44,137 --> 00:02:47,807 世阿弥一人でさえ 手を焼いておる そちの言う事など➡ 37 00:02:47,807 --> 00:02:49,742 聞く耳持たぬ!➡ 38 00:02:49,742 --> 00:02:51,678 いまだに 世阿弥が持ち去った➡ 39 00:02:51,678 --> 00:02:56,816 鳴門秘帖の在りかも 分かってはおらぬではないか! 40 00:02:56,816 --> 00:02:59,485 法月弦之丞が➡ 41 00:02:59,485 --> 00:03:05,158 鳴門のうずを挟んで すぐそこまで来ておるのじゃ! 42 00:03:05,158 --> 00:03:09,028 ここに書いてある ここに! 43 00:03:09,028 --> 00:03:11,497 ハハハハ! 44 00:03:11,497 --> 00:03:14,497 ヘヘヘヘ…。 45 00:03:17,837 --> 00:03:19,772 あ~…。 46 00:03:19,772 --> 00:03:24,177 江戸の隠密 何するものぞ! 47 00:03:24,177 --> 00:03:29,515 都はもとより 筑後柳川をはじめとする諸大名➡ 48 00:03:29,515 --> 00:03:33,786 まろが同志 山県大弐も 江戸で動きだし➡ 49 00:03:33,786 --> 00:03:36,122 無論 そうなれば➡ 50 00:03:36,122 --> 00:03:43,463 ご当家の先陣は このまろが承ると 心得てあらしゃれるはず。 51 00:03:43,463 --> 00:03:45,398 ああ… しかし➡ 52 00:03:45,398 --> 00:03:50,336 家中の者一党の生殺を預かる 阿波守じゃ。 53 00:03:50,336 --> 00:03:54,807 自然と お手前には お分かりにならない➡ 54 00:03:54,807 --> 00:03:57,143 心遣いをせねばならぬ。 55 00:03:57,143 --> 00:04:00,046 大坂からの道者船の出入りは 差し止め➡ 56 00:04:00,046 --> 00:04:05,818 海の関 山の関 手配りも 厳しく固めておりまするぞ。 57 00:04:05,818 --> 00:04:11,691 そうであらしゃいますなぁ 高木殿? 58 00:04:11,691 --> 00:04:13,693 はぁ…。 59 00:04:13,693 --> 00:04:18,398 (竹屋三位卿)それでもなお お気になると思われるならば…。 60 00:04:18,398 --> 00:04:20,366 ならば? 61 00:04:20,366 --> 00:04:26,139 まろが 大坂まで出向き その隠密 法月弦之丞とやらを➡ 62 00:04:26,139 --> 00:04:29,842 迎え撃って ご覧に入れるでおじゃる! 63 00:04:29,842 --> 00:04:34,447 おお! まことでござるか 三位卿様! 64 00:04:34,447 --> 00:04:37,116 お任せ下しゃれ。 65 00:04:37,116 --> 00:04:44,457 ハハハハ! ウフフ… ウフフフフ。 66 00:04:44,457 --> 00:04:47,360 ハハハハハ…。 67 00:04:47,360 --> 00:04:50,797 まったくもって 田舎芝居よのう。 68 00:04:50,797 --> 00:04:53,132 たった一人の隠密に➡ 69 00:04:53,132 --> 00:04:55,802 二十五万石の大名と➡ 70 00:04:55,802 --> 00:04:59,138 落ちぶれ果てたとはいえ 都の公家が➡ 71 00:04:59,138 --> 00:05:03,009 ああでもない こうでもないと…。 ハハハハ…。 72 00:05:03,009 --> 00:05:08,815 (世阿弥) その隠密の名は いま一度…。 73 00:05:08,815 --> 00:05:12,485 法月弦之丞。➡ 74 00:05:12,485 --> 00:05:17,156 お主の存じおる男だそうじゃのう。 75 00:05:17,156 --> 00:05:22,495 それがしが 娘婿になるはずだった男。 76 00:05:22,495 --> 00:05:28,167 ほう… 腕は立つらしいが。 77 00:05:28,167 --> 00:05:30,867 さて…。 78 00:05:33,439 --> 00:05:36,342 ご油断召さるな。 何? 79 00:05:36,342 --> 00:05:39,312 やけどで済めばよいが➡ 80 00:05:39,312 --> 00:05:47,453 この阿波一国 火の海となるやもしれませぬぞ。 81 00:05:47,453 --> 00:05:52,753 あの弦之丞が来る…。 82 00:05:55,328 --> 00:05:58,097 弦之丞が…。 83 00:05:58,097 --> 00:06:05,805 ハハ… ハハハ… ハハハハハ!➡ 84 00:06:05,805 --> 00:06:08,805 ハハハハ…。 85 00:06:13,146 --> 00:06:17,846 死に花を咲かせねばなるまい…。 86 00:06:21,020 --> 00:06:25,725 死に花を咲かせましょうぞ。 87 00:06:25,725 --> 00:06:29,495 <剣山の山牢に閉じ込められて 10年。➡ 88 00:06:29,495 --> 00:06:33,366 弦之丞が阿波に向かっていると 知った 世阿弥に➡ 89 00:06:33,366 --> 00:06:37,303 希望の炎がともった> 90 00:06:37,303 --> 00:06:40,003 うう…。 91 00:06:44,443 --> 00:06:47,780 <希望薄れる時 人は老い➡ 92 00:06:47,780 --> 00:06:52,451 希望燃ゆる時 人は若やぐ> 93 00:06:52,451 --> 00:06:54,451 ああ! 94 00:07:09,001 --> 00:07:12,772 (お綱)月代は このままにしておきますか? 95 00:07:12,772 --> 00:07:17,143 (弦之丞)大望を遂げて後 サッパリと落とそう。 96 00:07:17,143 --> 00:07:19,143 はい。 97 00:07:22,815 --> 00:07:25,151 (足音) 98 00:07:25,151 --> 00:07:30,489 (万吉)おっと お邪魔でしたかい? ご両人と。 99 00:07:30,489 --> 00:07:33,759 嫌な親分。 着流しに変わったので➡ 100 00:07:33,759 --> 00:07:36,429 弦之丞様の髪を結い直している だけじゃござんせんか。 101 00:07:36,429 --> 00:07:38,364 ヘヘヘヘ…。 102 00:07:38,364 --> 00:07:40,299 江戸から百と四十里余り➡ 103 00:07:40,299 --> 00:07:43,302 ようやく 大坂にまで たどりついたはいいが➡ 104 00:07:43,302 --> 00:07:46,439 足止め食らって 苫舟暮らしだ。 なあ。 105 00:07:46,439 --> 00:07:49,342 これ 箱寿司ってんだそうだ。 106 00:07:49,342 --> 00:07:52,111 寿司は こっちじゃ こうやって食うんだとさ。 107 00:07:52,111 --> 00:07:54,046 やれやれだぜ。 108 00:07:54,046 --> 00:07:55,982 うまそうではないか。 109 00:07:55,982 --> 00:07:58,985 さいですか? 110 00:07:58,985 --> 00:08:02,455 こっから 海の向こうは すぐ 阿波だってのに➡ 111 00:08:02,455 --> 00:08:04,390 鳴門のうずは ともかく➡ 112 00:08:04,390 --> 00:08:07,326 徳島藩のお達しで 船も満足に出てやしねえ。 113 00:08:07,326 --> 00:08:10,329 親分 あたし 思ったんですけど…。 (万吉)何でえ? 114 00:08:10,329 --> 00:08:14,467 ほら あの四国屋のおかみさん。 四国屋? 115 00:08:14,467 --> 00:08:18,137 <お綱たちは 中山道 妻籠宿で➡ 116 00:08:18,137 --> 00:08:22,008 阿波の藍玉問屋 四国屋 内儀 お久良と➡ 117 00:08:22,008 --> 00:08:25,811 ひょんな事から知り合っていた> 118 00:08:25,811 --> 00:08:28,481 そうか その手があったか! 119 00:08:28,481 --> 00:08:31,083 こっちにも店があるって話で…。 おっと 皆まで言うな。 120 00:08:31,083 --> 00:08:33,019 合点承知の助だ。 なぁ。 121 00:08:33,019 --> 00:08:34,954 これから 一っ走り行って 俺が 話つけてくるわ。 122 00:08:34,954 --> 00:08:36,956 あたしが…。 いや いいって事よ。 123 00:08:36,956 --> 00:08:38,958 弦之丞様を頼んだぜ。 124 00:08:38,958 --> 00:08:40,958 えっ? 125 00:08:44,096 --> 00:08:46,032 うん こりゃ うめえや。 126 00:08:46,032 --> 00:08:48,032 お二人さんで どうぞ。 127 00:08:56,676 --> 00:09:02,376 お綱… 一度は 思いのたけを伝えてみるこった。 128 00:09:09,322 --> 00:09:12,792 お気に召さないかも しれませんが➡ 129 00:09:12,792 --> 00:09:16,462 よく お似合いです。 130 00:09:16,462 --> 00:09:21,334 …といっても 鏡もありませんが。 131 00:09:21,334 --> 00:09:24,034 造作をかけた。 132 00:09:26,472 --> 00:09:29,141 どうした? 133 00:09:29,141 --> 00:09:34,747 何もかも ないものだらけで 2人っきり…。 134 00:09:34,747 --> 00:09:40,086 新所帯というのは こういうものなのかもしれぬな。 135 00:09:40,086 --> 00:09:42,086 え? 136 00:09:43,756 --> 00:09:46,425 他意はない。 137 00:09:46,425 --> 00:09:50,096 額の傷も もう分からぬようになった。 138 00:09:50,096 --> 00:09:55,434 千絵殿に代わって 礼を言う。 139 00:09:55,434 --> 00:09:59,734 そのお方の名前は 出さないで下さいな。 140 00:10:04,443 --> 00:10:07,113 ごめんなさい。 141 00:10:07,113 --> 00:10:10,983 でも しばらく…➡ 142 00:10:10,983 --> 00:10:15,788 このまま しばらく 聞いて下さいまし。 143 00:10:15,788 --> 00:10:18,124 お綱。 144 00:10:18,124 --> 00:10:24,124 お願いです。 黙って聞いて下さい。 145 00:10:25,798 --> 00:10:30,136 さだめし はしたない女…➡ 146 00:10:30,136 --> 00:10:37,476 身の程知らぬ女と お蔑みになるでしょう。 147 00:10:37,476 --> 00:10:40,476 でも だからこそ…。 148 00:10:43,349 --> 00:10:46,819 あなたに 千絵様という 恋しいお方がいるのを➡ 149 00:10:46,819 --> 00:10:48,754 分かっていながら➡ 150 00:10:48,754 --> 00:10:50,689 だからこそ 今…。 151 00:10:50,689 --> 00:10:53,692 ≪(男)それ 苫をはねろ! 152 00:10:53,692 --> 00:10:55,992 うわっ! ぐっ…。 153 00:10:58,164 --> 00:11:00,099 刃向かい致すか! 154 00:11:00,099 --> 00:11:04,503 これは… 奉行所の方々か。 155 00:11:04,503 --> 00:11:08,374 しかし 一体 なぜ 我らの船に踏み込まれたのか。 156 00:11:08,374 --> 00:11:11,377 四の五の言わずに 奉行所まで参れ。 157 00:11:11,377 --> 00:11:13,846 どういう理由で 引き立てようと言われるのか。 158 00:11:13,846 --> 00:11:18,184 売女狩りじゃ。 近頃 舟を使っての 売女が横行しておる。 159 00:11:18,184 --> 00:11:20,119 そこの女 隠し売女であろうが! 160 00:11:20,119 --> 00:11:22,054 冗談じゃないよ! 161 00:11:22,054 --> 00:11:24,523 あたしが そんな女に 見えるってんですかい!? 162 00:11:24,523 --> 00:11:26,459 お役人。 163 00:11:26,459 --> 00:11:29,395 素性は申しかねるが 我らは 江戸の者。 164 00:11:29,395 --> 00:11:32,131 この女も そのような女ではない事➡ 165 00:11:32,131 --> 00:11:36,001 よくよく ご覧になれば 分かるというもの。 いかがか? 166 00:11:36,001 --> 00:11:39,004 では 何をしておった! 何をしようと勝手じゃないか! 167 00:11:39,004 --> 00:11:41,474 野暮天にも 程があるってもんだ! お綱! 168 00:11:41,474 --> 00:11:43,409 我らに向かって なんという口の利き方! 169 00:11:43,409 --> 00:11:45,811 構わぬ ひっ捕らえろ! 170 00:11:45,811 --> 00:11:50,683 ♬~ 171 00:11:50,683 --> 00:11:52,685 逃げよ お綱。 ですけど…。 172 00:11:52,685 --> 00:11:54,820 いいから! 173 00:11:54,820 --> 00:11:56,755 待て! 174 00:11:56,755 --> 00:12:04,163 ♬~ 175 00:12:04,163 --> 00:12:06,163 待て! 176 00:12:09,502 --> 00:12:11,437 [ 回想 ] (千絵)言いなさい!➡ 177 00:12:11,437 --> 00:12:14,173 あなたは 弦之丞様の何ですか! 178 00:12:14,173 --> 00:12:16,108 あたしの名は 綱。 179 00:12:16,108 --> 00:12:19,512 弦之丞様の ただの助っ人です。 180 00:12:19,512 --> 00:12:21,847 (周馬)だまされてはなりませぬ 千絵様!➡ 181 00:12:21,847 --> 00:12:24,517 この女は 江戸で 見返りお綱と呼ばれる➡ 182 00:12:24,517 --> 00:12:27,186 二つ名を持つ 口先だけの性悪女です! 183 00:12:27,186 --> 00:12:30,789 千絵様 この男の言う事を 聞いてはいけません。 184 00:12:30,789 --> 00:12:35,661 この男こそ とんでもない悪党なんです! 185 00:12:35,661 --> 00:12:37,661 (戸が開く音) 186 00:12:40,799 --> 00:12:43,702 近づいてはなりませぬ! 187 00:12:43,702 --> 00:12:46,138 まだ それがしをお疑いですか? 188 00:12:46,138 --> 00:12:48,474 腑に落ちぬのです。 189 00:12:48,474 --> 00:12:52,811 中山道の山奥で会った あの お綱という女➡ 190 00:12:52,811 --> 00:12:55,714 嘘をついているようには 思えませんでした。 191 00:12:55,714 --> 00:12:59,485 ならば それがしが 嘘をついているとでもいわれるか。 192 00:12:59,485 --> 00:13:04,156 お父上 世阿弥様の門弟筆頭である この旅川周馬が➡ 193 00:13:04,156 --> 00:13:07,826 なぜ 嘘をつかねばなりませぬ。 それは…。 194 00:13:07,826 --> 00:13:11,163 嘆かわしい…。 世阿弥様に会うため➡ 195 00:13:11,163 --> 00:13:14,833 この大坂に来るまで どれほどの苦労を重ねたか➡ 196 00:13:14,833 --> 00:13:17,736 千絵様は お分かりになっておりませぬ。 197 00:13:17,736 --> 00:13:19,705 恩に着せるつもりですか? 198 00:13:19,705 --> 00:13:22,708 そうではありませぬが 甲賀安泰のためには➡ 199 00:13:22,708 --> 00:13:25,177 この旅川周馬の力が なくてはならぬ事ぐらい➡ 200 00:13:25,177 --> 00:13:28,847 なぜ 分かりませぬ? 口をお慎みなさい! 201 00:13:28,847 --> 00:13:34,119 そのような言い方 はしたないとは思いませぬか。 202 00:13:34,119 --> 00:13:39,792 あのお方なら 決して そのような言い方はなさりませぬ。 203 00:13:39,792 --> 00:13:41,727 あのお方…? 204 00:13:41,727 --> 00:13:44,129 何ですか? 205 00:13:44,129 --> 00:13:48,467 あのお方とは 誰の事だ? 206 00:13:48,467 --> 00:13:50,467 うっ…。 207 00:13:53,138 --> 00:13:55,074 何をする! 208 00:13:55,074 --> 00:13:57,009 何もせぬ。 そなたが➡ 209 00:13:57,009 --> 00:13:59,812 おとなしくしてさえいれば 何もせぬ。 210 00:13:59,812 --> 00:14:04,683 阿波の 世阿弥のもとへと 連れていこう。 だが…。 211 00:14:04,683 --> 00:14:08,153 なぜ この俺に 今のような口を利く。 212 00:14:08,153 --> 00:14:10,823 あのお方とは 弦之丞の事か? 213 00:14:10,823 --> 00:14:13,726 弦之丞が そなたに何をしてくれた! 214 00:14:13,726 --> 00:14:16,495 俺がいなければ何もできぬ 小娘のくせに➡ 215 00:14:16,495 --> 00:14:19,164 何だ 今の口の利き方は! 216 00:14:19,164 --> 00:14:22,835 今度 そのような口を利いてみろ。 217 00:14:22,835 --> 00:14:25,170 お前の命はない。 218 00:14:25,170 --> 00:14:30,776 よいか! 俺を裏切った途端 お前の生きる道は無くなるのだ。 219 00:14:30,776 --> 00:14:34,113 それが どういう意味か分かるか? 220 00:14:34,113 --> 00:14:36,448 分かるか! 221 00:14:36,448 --> 00:14:39,785 よく考えろ。 222 00:14:39,785 --> 00:14:42,688 よいか。 223 00:14:42,688 --> 00:14:45,688 よく考えるのだ。 224 00:15:05,010 --> 00:15:08,480 うっ… ううっ…。 225 00:15:08,480 --> 00:15:11,383 ううっ うっ…。 226 00:15:11,383 --> 00:15:15,354 うう…。 227 00:15:15,354 --> 00:15:19,825 <その足で 周馬が向かった先は➡ 228 00:15:19,825 --> 00:15:22,161 蜂須賀家の大坂屋敷➡ 229 00:15:22,161 --> 00:15:25,064 通称 阿州屋敷> 230 00:15:25,064 --> 00:15:27,032 (一角)甲賀の? 231 00:15:27,032 --> 00:15:29,032 (孫兵衛)おい。 232 00:15:30,969 --> 00:15:35,708 甲賀の者なら 弦之丞と 世阿弥の娘の味方のはずだろ。 233 00:15:35,708 --> 00:15:38,110 俺の味方は 俺だけだ。 234 00:15:38,110 --> 00:15:42,448 世阿弥の一人娘といえども 役に立たなければ用はない。 235 00:15:42,448 --> 00:15:47,786 最初から 俺にとっても お前たちにとっても 敵は一人➡ 236 00:15:47,786 --> 00:15:49,722 法月弦之丞。 237 00:15:49,722 --> 00:15:51,657 その話が まことなればな。 238 00:15:51,657 --> 00:15:55,127 信じないのならば この話は なしだ。 239 00:15:55,127 --> 00:15:57,062 (一角)待て。 240 00:15:57,062 --> 00:16:00,799 …で どうしようというのだ? 241 00:16:00,799 --> 00:16:02,735 弦之丞は 今 どこにおる? 242 00:16:02,735 --> 00:16:06,672 分からぬ。 だが 船に乗るには 商い船しかない。➡ 243 00:16:06,672 --> 00:16:08,674 今 四国屋を張らせておる。 244 00:16:08,674 --> 00:16:12,144 現れたが最後 斬る。 245 00:16:12,144 --> 00:16:16,815 そこに千絵を絡ませれば 弦之丞は 罠にはまる。 246 00:16:16,815 --> 00:16:20,815 弦之丞にとって 唯一の弱みが あの娘だからな。 247 00:16:35,768 --> 00:16:39,638 たまんねえな…。 248 00:16:39,638 --> 00:16:41,640 うっ! あっ…。 249 00:16:41,640 --> 00:16:44,443 うう… あっ…。 250 00:16:44,443 --> 00:16:58,991 ♬~ 251 00:16:58,991 --> 00:17:00,993 うっ…。 252 00:17:00,993 --> 00:17:04,293 どうした? たった今 逃げられました…。 253 00:17:08,467 --> 00:17:11,467 恥をかかせおって! 254 00:17:13,138 --> 00:17:15,474 こんなところまで呼んでおいて 何だ…。 255 00:17:15,474 --> 00:17:19,812 黙れ! お主たちだけで あの男を殺せると思うのか? 256 00:17:19,812 --> 00:17:22,714 文句を言う前に 捜せ! 257 00:17:22,714 --> 00:17:27,686 あいつの言うとおりだ。 女が手に入れば こちらのものだ。 258 00:17:27,686 --> 00:17:30,456 どうだかな。 259 00:17:30,456 --> 00:17:35,761 ♬~ 260 00:17:35,761 --> 00:17:37,761 どけ! どけ! 261 00:17:42,634 --> 00:17:46,104 クソ… 目障りなやつらだぜ。 262 00:17:46,104 --> 00:17:48,404 出直すか。 263 00:17:50,976 --> 00:17:53,445 大丈夫かい? 申し訳ありません。 264 00:17:53,445 --> 00:17:56,348 千絵様!? 265 00:17:56,348 --> 00:17:59,348 そうだ 千絵様だ! 266 00:18:01,119 --> 00:18:03,055 覚えてませんか? 267 00:18:03,055 --> 00:18:05,457 法月の殿様のところに 出入りしていた➡ 268 00:18:05,457 --> 00:18:07,392 目明しの万吉でございます! 269 00:18:07,392 --> 00:18:10,128 目明し… 万吉さん!? 270 00:18:10,128 --> 00:18:12,464 どうして こんなところに? 旅川の野郎は? 271 00:18:12,464 --> 00:18:15,801 逃げてきました。 弦之丞様は… 弦之丞様は ご一緒では? 272 00:18:15,801 --> 00:18:18,470 一緒です。 ここじゃあ まずい。 さあ ご一緒に! 273 00:18:18,470 --> 00:18:20,405 おい 待て! 274 00:18:20,405 --> 00:18:23,141 お前 下諏訪で会った 目明しではないか! 275 00:18:23,141 --> 00:18:26,812 は? 何のお話で? ごまかすな! その娘は何だ? 276 00:18:26,812 --> 00:18:28,747 …何の事でしょ? さあ 行きましょう。 277 00:18:28,747 --> 00:18:31,416 待てと申すに! うるせえ この野郎! 278 00:18:31,416 --> 00:18:33,352 やれ! 279 00:18:33,352 --> 00:18:36,088 ぐっ…! ああ~! 280 00:18:36,088 --> 00:18:38,088 や~! 281 00:18:41,760 --> 00:18:43,695 や~! 282 00:18:43,695 --> 00:18:45,631 ううっ! 283 00:18:45,631 --> 00:18:51,436 ♬~ 284 00:18:51,436 --> 00:18:54,106 千絵様! 危ねえ! 285 00:18:54,106 --> 00:18:56,041 あっ…! とどめじゃ! 286 00:18:56,041 --> 00:18:58,341 や~! うっ…! 287 00:19:00,445 --> 00:19:04,745 万吉さん! 万吉さん! 288 00:19:06,785 --> 00:19:09,121 深手だ。 すぐ屋敷に運ぼう。 289 00:19:09,121 --> 00:19:11,056 あなた様は? 290 00:19:11,056 --> 00:19:13,792 常木鴻山。 これでも 元与力。 291 00:19:13,792 --> 00:19:16,695 私 江戸から来ました 甲賀の娘 千絵と申します。 292 00:19:16,695 --> 00:19:20,132 では 世阿弥の娘か? 父を ご存じですか? 293 00:19:20,132 --> 00:19:22,467 話は 後だ。 おい! 294 00:19:22,467 --> 00:19:33,467 ♬~ 295 00:19:35,047 --> 00:19:37,416 おい 九鬼! 296 00:19:37,416 --> 00:19:42,116 編み笠の男が…。 297 00:19:44,089 --> 00:19:47,759 これは… 千絵の物だ。 298 00:19:47,759 --> 00:19:52,631 編み笠の男… あいつしかおらぬな。 299 00:19:52,631 --> 00:19:55,434 法月弦之丞…! 300 00:19:55,434 --> 00:19:57,369 許せん! 301 00:19:57,369 --> 00:19:59,369 (櫛を折る音) 302 00:20:02,774 --> 00:20:05,444 (鼻歌) 303 00:20:05,444 --> 00:20:07,779 (常木)源内さん 頼む! 304 00:20:07,779 --> 00:20:11,650 (源内)ああ ああ… こりゃ どうした事で…➡ 305 00:20:11,650 --> 00:20:14,653 親分!? 万吉親分じゃないか! 306 00:20:14,653 --> 00:20:18,353 うう…。 307 00:20:21,126 --> 00:20:23,462 (吹きかける音) うう~! 308 00:20:23,462 --> 00:20:25,397 うう…。 309 00:20:25,397 --> 00:20:27,799 深手だが 大丈夫。 必ず治る。 310 00:20:27,799 --> 00:20:30,135 いや 治してみせる。 311 00:20:30,135 --> 00:20:32,471 ありがとうございます。 (万吉)うう…。 312 00:20:32,471 --> 00:20:34,406 ありがとうございます…。 313 00:20:34,406 --> 00:20:36,341 いかがした!? 314 00:20:36,341 --> 00:20:40,041 はあ… 患者が増えたか。 315 00:20:42,481 --> 00:20:47,152 (宅助)あっ もし… 四国屋のおかみさん? 316 00:20:47,152 --> 00:20:49,488 (お久良)あんさんは確か…。 317 00:20:49,488 --> 00:20:52,157 へい。 蜂須賀家お船手組 森 啓之助様のところの➡ 318 00:20:52,157 --> 00:20:54,092 中間でございます。 319 00:20:54,092 --> 00:20:56,828 確か… 宅助さん。 へい。 320 00:20:56,828 --> 00:20:59,164 つかぬ事をお聞きしますが➡ 321 00:20:59,164 --> 00:21:02,501 お米お嬢様を 見かけませんでしたか? 322 00:21:02,501 --> 00:21:05,837 お米さん? 川長さんとこの? 323 00:21:05,837 --> 00:21:09,708 善光寺参りを兼ねての 養生旅に出ておりまして➡ 324 00:21:09,708 --> 00:21:12,177 つい 先頃 こっちに戻ったんですが➡ 325 00:21:12,177 --> 00:21:14,846 一度 実家に戻ると 言われたのはいいが➡ 326 00:21:14,846 --> 00:21:18,717 川長のお宅から そのまま いなくなっちまいましてね。 327 00:21:18,717 --> 00:21:21,720 森様に 大目玉 食らってしまって…。 328 00:21:21,720 --> 00:21:24,189 お米さんは 森様のお気に入りでしたね。 329 00:21:24,189 --> 00:21:26,124 そうなんで。 330 00:21:26,124 --> 00:21:28,860 森様と一緒に 次の四国屋さんの船に➡ 331 00:21:28,860 --> 00:21:32,130 便乗させて頂く手はずに なっているっていうのに➡ 332 00:21:32,130 --> 00:21:35,467 弱っちまって…。 見かけまへんなぁ。 333 00:21:35,467 --> 00:21:39,337 さいですか。 参ったなぁ…。 334 00:21:39,337 --> 00:21:41,807 見かけたら 知らせますよって。 335 00:21:41,807 --> 00:21:44,476 へい お願い致します。 336 00:21:44,476 --> 00:21:47,476 ごりょんさん あのお人…。 337 00:21:50,348 --> 00:21:53,151 (お久良)あ…。 いつぞや 木曽路で➡ 338 00:21:53,151 --> 00:21:55,087 私たちを助けてくれはった 若い旅のお方やありまへんか? 339 00:21:55,087 --> 00:21:57,022 せや せや あの人や。 340 00:21:57,022 --> 00:22:00,025 もし 失礼でございますが…。 341 00:22:00,025 --> 00:22:03,795 あ… あの時の四国屋さん。 342 00:22:03,795 --> 00:22:05,731 やぁ その節は➡ 343 00:22:05,731 --> 00:22:09,501 途方に暮れた私どもを ご親切に救って頂き➡ 344 00:22:09,501 --> 00:22:11,837 ろくに お礼も言えへんまま 別れてしまい➡ 345 00:22:11,837 --> 00:22:14,172 ほんまに申し訳ありまへんだした。 346 00:22:14,172 --> 00:22:17,075 あれは 旅先の気まぐれ。 347 00:22:17,075 --> 00:22:20,045 けど こんな所で お会いできるなんて…。 348 00:22:20,045 --> 00:22:22,514 そうだ 万吉親分が…➡ 349 00:22:22,514 --> 00:22:25,417 あ… いえ あの時 連れだった者が➡ 350 00:22:25,417 --> 00:22:28,186 そちらに伺っていると 思うんですが…。 351 00:22:28,186 --> 00:22:32,057 えっ? いや 新吉 知ってるか? いえ 一向に…。 352 00:22:32,057 --> 00:22:34,793 どうしたんだろ 親分…。 353 00:22:34,793 --> 00:22:38,663 あ… いえ 大坂まで来たのは いいのだけれど➡ 354 00:22:38,663 --> 00:22:41,466 ちょいと 足止めを食らってしまって➡ 355 00:22:41,466 --> 00:22:45,804 ついては 四国屋さんに ご相談がてら お伺いしようかと➡ 356 00:22:45,804 --> 00:22:48,473 そう 話しておりましたもので…。 357 00:22:48,473 --> 00:22:51,376 相談? そしたら 店の方で。 358 00:22:51,376 --> 00:22:53,376 ほん近くですよって。 359 00:22:55,347 --> 00:22:57,347 ただいま。 360 00:23:01,052 --> 00:23:04,052 うう…。 361 00:23:08,160 --> 00:23:14,032 そうですか。 この人が千絵様…。 362 00:23:14,032 --> 00:23:17,502 世阿弥から話を聞いておったが➡ 363 00:23:17,502 --> 00:23:20,172 大坂まで出てくるとは。 364 00:23:20,172 --> 00:23:25,844 疲れが たまっております。 熱が引くまで 数日かかるかと。 365 00:23:25,844 --> 00:23:31,449 弦之丞様… 弦之丞様…。 366 00:23:31,449 --> 00:23:33,385 弦之丞? 367 00:23:33,385 --> 00:23:38,790 ご公儀の隠密 法月弦之丞様。 368 00:23:38,790 --> 00:23:43,128 鳴門秘帖に絡んで 阿波に渡った 甲賀の頭領 世阿弥様と➡ 369 00:23:43,128 --> 00:23:46,031 その娘 千絵様を救うために➡ 370 00:23:46,031 --> 00:23:49,801 阿波に渡ると仰せでした。 371 00:23:49,801 --> 00:23:53,471 存外 骨のあるお方でした。 372 00:23:53,471 --> 00:23:57,809 相変わらず 知らぬ事のない お人だな 源内さんは。 373 00:23:57,809 --> 00:24:00,509 いやいや ハハハハハ…。 374 00:24:08,820 --> 00:24:11,156 阿波へ? 375 00:24:11,156 --> 00:24:13,091 僅かな縁につけいって➡ 376 00:24:13,091 --> 00:24:17,028 厚かましいお願いをすると お思いなさるかもしれません。 377 00:24:17,028 --> 00:24:22,167 もちろん 関所の改めが厳しいのも 重々承知の上。 378 00:24:22,167 --> 00:24:25,503 では お役人の目を盗んで? 379 00:24:25,503 --> 00:24:29,841 はい ごく内密に。 380 00:24:29,841 --> 00:24:32,444 四国屋さんのお情けで➡ 381 00:24:32,444 --> 00:24:35,113 積み荷の中にでも隠れて 渡る事ができれば…。 382 00:24:35,113 --> 00:24:37,048 お綱さんとやら それは…! 383 00:24:37,048 --> 00:24:39,985 新吉。 はい…。 384 00:24:39,985 --> 00:24:45,457 秘密に海を渡ろうとする者を 商いの船に乗せて➡ 385 00:24:45,457 --> 00:24:51,329 それが 露見したとなれば この四国屋の身代は潰れます。 386 00:24:51,329 --> 00:24:54,132 それは お分かりだすな。 387 00:24:54,132 --> 00:24:56,468 その時は…➡ 388 00:24:56,468 --> 00:24:59,804 この命 差し上げます。 389 00:24:59,804 --> 00:25:04,476 どうしても 阿波に渡らなければ ならない お方のためなのです。 390 00:25:04,476 --> 00:25:09,814 あんたの命と 四国屋を 天秤にかける訳にはまいりまへん。 391 00:25:09,814 --> 00:25:12,484 決して ご迷惑はおかけ致しません! 392 00:25:12,484 --> 00:25:16,484 このとおりです。 お願い致します! 393 00:25:20,358 --> 00:25:24,496 お綱さん あんた 父親は? 394 00:25:24,496 --> 00:25:26,431 えっ? 395 00:25:26,431 --> 00:25:30,769 お父上様は いてはりますか? 396 00:25:30,769 --> 00:25:32,704 …いました。 397 00:25:32,704 --> 00:25:36,641 いた? …というと? 398 00:25:36,641 --> 00:25:41,112 江戸を発つ前に 死にました。 399 00:25:41,112 --> 00:25:44,015 しかも 死ぬ間際に➡ 400 00:25:44,015 --> 00:25:46,985 本当のお父っつあんは 他にいると…。 401 00:25:46,985 --> 00:25:50,455 おめえの父親はな➡ 402 00:25:50,455 --> 00:25:55,794 立派なお武家様だよ。 403 00:25:55,794 --> 00:25:58,697 その人は 今…➡ 404 00:25:58,697 --> 00:26:02,667 西国に…。 405 00:26:02,667 --> 00:26:06,805 お父っつあん! 406 00:26:06,805 --> 00:26:10,475 西国に…? 407 00:26:10,475 --> 00:26:12,811 何か? 408 00:26:12,811 --> 00:26:15,480 あんたの手の甲の痣…➡ 409 00:26:15,480 --> 00:26:19,351 そんな痣がある娘がおると 私に話してくれた➡ 410 00:26:19,351 --> 00:26:22,821 お武家様がいらっしゃいます。 411 00:26:22,821 --> 00:26:26,691 そのお方は 10年前 阿波へ渡ったまま➡ 412 00:26:26,691 --> 00:26:30,628 いまだ 戻ってきてはらしまへん。 413 00:26:30,628 --> 00:26:36,101 まさか そのお方とは…。 414 00:26:36,101 --> 00:26:40,972 甲賀宗家世阿弥様というお方だす。 415 00:26:40,972 --> 00:26:42,974 (雷鳴) 416 00:26:42,974 --> 00:26:46,444 世阿弥様とは あるお方とのつながりで➡ 417 00:26:46,444 --> 00:26:49,114 親しくさせてもろうておりました。 418 00:26:49,114 --> 00:26:52,784 その世阿弥様が 10年前 阿波へ渡る時➡ 419 00:26:52,784 --> 00:26:56,454 四国屋の船に便乗なさいました。 420 00:26:56,454 --> 00:27:01,326 その折 娘の千絵様の 首筋にある痣と➡ 421 00:27:01,326 --> 00:27:07,465 同じ痣を持つ娘が もう一人おると おっしゃって。 422 00:27:07,465 --> 00:27:10,135 千絵様と…!? 423 00:27:10,135 --> 00:27:13,471 世阿弥様は 江戸を発つ時に➡ 424 00:27:13,471 --> 00:27:19,344 その娘に会うてきた もう思い残す事はないと…➡ 425 00:27:19,344 --> 00:27:25,083 阿波へ旅立つ前に お話し下さいましたが。 426 00:27:25,083 --> 00:27:27,783 10年前…。 427 00:27:34,426 --> 00:27:39,297 母を… 大事にな。 428 00:27:39,297 --> 00:27:48,773 ♬~ 429 00:27:48,773 --> 00:27:54,446 あの時… あの時の人が…➡ 430 00:27:54,446 --> 00:27:57,446 世阿弥様…。 431 00:27:59,117 --> 00:28:02,787 悪い事をしたと仰せだした。 432 00:28:02,787 --> 00:28:07,459 芸者に生ませ 家に入れる事もできず➡ 433 00:28:07,459 --> 00:28:10,361 放っといた悪い父だったと…。 434 00:28:10,361 --> 00:28:16,468 弟を背負い 幼い妹の手を引いて けなげに生きている その姿が➡ 435 00:28:16,468 --> 00:28:20,338 不憫やったと…➡ 436 00:28:20,338 --> 00:28:25,143 泣いておいでのように お見受けしました。 437 00:28:25,143 --> 00:28:31,143 そんな… そんな事…。 438 00:28:37,088 --> 00:28:40,758 私も まさかと…。 439 00:28:40,758 --> 00:28:45,096 いえ…。 440 00:28:45,096 --> 00:28:49,767 ありがとうございました。 441 00:28:49,767 --> 00:28:55,106 これで 心のつかえが取れました。 442 00:28:55,106 --> 00:28:58,977 ありがとう…➡ 443 00:28:58,977 --> 00:29:01,977 ありがとうござ…。 444 00:29:05,450 --> 00:29:11,322 お綱さん。 阿波へお渡ししましょう。 445 00:29:11,322 --> 00:29:13,324 ごりょんさん! 446 00:29:13,324 --> 00:29:15,460 お前は黙っときなはれ。 447 00:29:15,460 --> 00:29:18,796 これも 何かの縁だす。 448 00:29:18,796 --> 00:29:25,136 世阿弥様の娘と分かったら 四の五の言う事もありまへん。➡ 449 00:29:25,136 --> 00:29:31,436 大船に乗ったつもりで この四国屋に お任せ下さいな。 450 00:29:33,745 --> 00:29:35,680 はい…。 451 00:29:35,680 --> 00:29:37,615 <阿波へ行ける。➡ 452 00:29:37,615 --> 00:29:41,419 だが しかし あの千絵が 義理とはいえ妹だと知った➡ 453 00:29:41,419 --> 00:29:45,089 お綱の心中は 穏やかではない> 454 00:29:45,089 --> 00:29:47,025 (雷鳴) 455 00:29:47,025 --> 00:29:48,960 <そのころ…> 456 00:29:48,960 --> 00:29:51,429 (お米)嫌…。 457 00:29:51,429 --> 00:29:54,129 嫌…! 458 00:29:59,103 --> 00:30:02,103 (宅助)お嬢様! 459 00:30:05,777 --> 00:30:08,112 よして下せえ。 460 00:30:08,112 --> 00:30:10,782 何や 宅助か。 461 00:30:10,782 --> 00:30:12,717 ほっといて。 462 00:30:12,717 --> 00:30:18,122 うちは もう お嬢様やなんて 呼ばれるような女子やない。 463 00:30:18,122 --> 00:30:24,996 啓之助様に おもちゃにされた 長生きできない女子なんよ…。 464 00:30:24,996 --> 00:30:33,471 (せきこみ) 465 00:30:33,471 --> 00:30:36,374 このまま 惨めに泣いて 終わるんやったら➡ 466 00:30:36,374 --> 00:30:39,811 この命 パッと咲かせて終わった方が➡ 467 00:30:39,811 --> 00:30:41,746 よっぽど ええわ。 468 00:30:41,746 --> 00:30:45,483 似合わねえな お嬢様。 469 00:30:45,483 --> 00:30:50,355 いいじゃありませんか 啓之助様の おそばにいりゃ➡ 470 00:30:50,355 --> 00:30:54,158 阿波に行ったら 左うちわだ。 471 00:30:54,158 --> 00:30:56,094 うるさい! ほっといて! 472 00:30:56,094 --> 00:30:58,029 啓之助様がお捜しなんですって。 473 00:30:58,029 --> 00:31:00,498 やめて! お嬢様…。 474 00:31:00,498 --> 00:31:02,433 うわっ…! 475 00:31:02,433 --> 00:31:05,370 な…! あっ おめえ…! 476 00:31:05,370 --> 00:31:08,370 ああ~! 477 00:31:15,046 --> 00:31:17,849 弦之丞様…! 478 00:31:17,849 --> 00:31:23,721 そなたは… お米さんか? 479 00:31:23,721 --> 00:31:26,858 ひどい。 480 00:31:26,858 --> 00:31:32,664 あの時… あなた様さえ 来て下さっていたなら➡ 481 00:31:32,664 --> 00:31:37,135 こんな… こんな 変わり果てた姿には…。 482 00:31:37,135 --> 00:31:39,804 何? 483 00:31:39,804 --> 00:31:44,475 いいえ… いいんです。 484 00:31:44,475 --> 00:31:46,811 会えたんやから。 485 00:31:46,811 --> 00:31:51,511 こうして また 会えたんですから…。 486 00:31:58,423 --> 00:32:03,161 もう離さない… いいですよね。 487 00:32:03,161 --> 00:32:05,496 離しまへんから。 488 00:32:05,496 --> 00:32:07,496 お米さん…。 489 00:32:09,367 --> 00:32:14,839 阿波へ行くのでしょう 弦之丞様は。 490 00:32:14,839 --> 00:32:16,774 なぜ それを? 491 00:32:16,774 --> 00:32:20,712 次の船は 四国屋の商い船。 492 00:32:20,712 --> 00:32:23,181 …でございましょ? 493 00:32:23,181 --> 00:32:25,116 そうなのか? 494 00:32:25,116 --> 00:32:28,052 言うたではありませんか。 495 00:32:28,052 --> 00:32:34,792 阿波蜂須賀家 お船手組の 森 啓之助というお方➡ 496 00:32:34,792 --> 00:32:38,129 うちの知り合いなのです。 497 00:32:38,129 --> 00:32:41,799 そのお方を通じて あちらの事を➡ 498 00:32:41,799 --> 00:32:44,702 弦之丞様に それとなく お伝えする事かて➡ 499 00:32:44,702 --> 00:32:47,472 うちには できます。 500 00:32:47,472 --> 00:32:49,407 いや しかし…。 501 00:32:49,407 --> 00:32:52,143 お役に立ちたいのです。 502 00:32:52,143 --> 00:32:54,078 うちにできる事なら何でも。 503 00:32:54,078 --> 00:32:58,816 <この時 弦之丞の心に 悪魔が忍び込む。➡ 504 00:32:58,816 --> 00:33:01,152 この女を利用すれば➡ 505 00:33:01,152 --> 00:33:04,822 阿波へ渡る事が できるやもしれぬと…> 506 00:33:04,822 --> 00:33:06,758 そうか。 507 00:33:06,758 --> 00:33:08,693 では…。 508 00:33:08,693 --> 00:33:11,693 弦之丞様。 509 00:33:16,834 --> 00:33:20,705 あんさんは…! あんた…。 510 00:33:20,705 --> 00:33:24,175 確か 下諏訪で? 511 00:33:24,175 --> 00:33:27,845 どうせ 月夜の晩にひいた風邪じゃないか。 512 00:33:27,845 --> 00:33:33,117 骨の髄まで風邪ひいてやるんだ あたしゃ。 513 00:33:33,117 --> 00:33:35,787 何言ってんだろ あたしったら…。 514 00:33:35,787 --> 00:33:39,787 ううん。 うちも そうしたい。 515 00:33:41,459 --> 00:33:47,159 弦之丞様 この人とは どういう…? 516 00:33:51,469 --> 00:33:55,339 あんたが言ってた人って まさか…。 517 00:33:55,339 --> 00:34:00,144 <とどのつまり 弦之丞に恋した女2人が➡ 518 00:34:00,144 --> 00:34:04,816 大坂で まみえるはめになった> 519 00:34:04,816 --> 00:34:11,155 弦之丞様 四国屋さんと つなぎが とれました。 520 00:34:11,155 --> 00:34:16,494 向こう様にお会いになる前に 一度 あの苫舟でお話しを。 521 00:34:16,494 --> 00:34:18,429 さようか。 522 00:34:18,429 --> 00:34:20,832 待って下さい 弦之丞様! 523 00:34:20,832 --> 00:34:24,502 お互い 月夜の晩にひいた 風邪だって言ったろ。 524 00:34:24,502 --> 00:34:26,437 そのうち治るよ。 525 00:34:26,437 --> 00:34:29,841 いや 治さなきゃ。 526 00:34:29,841 --> 00:34:33,841 もう知らん そんな話。 527 00:34:36,447 --> 00:34:41,319 弦之丞様 必ず また お目にかかります。 528 00:34:41,319 --> 00:34:43,619 必ず…。 529 00:34:51,996 --> 00:34:57,468 切ないねぇ… 分かるよ。 530 00:34:57,468 --> 00:35:00,805 何か言ったか? 531 00:35:00,805 --> 00:35:03,505 いえ…。 532 00:35:15,820 --> 00:35:18,820 お嬢様 お待ちを! 533 00:35:23,494 --> 00:35:26,831 あっ… あれは? 源内殿? 534 00:35:26,831 --> 00:35:28,766 おお よかった! 535 00:35:28,766 --> 00:35:30,701 この付近に止まっている 苫舟にいると➡ 536 00:35:30,701 --> 00:35:32,637 万吉親分に聞いてきたのだ。 537 00:35:32,637 --> 00:35:34,639 親分は ちょいと来られないのでな。 538 00:35:34,639 --> 00:35:37,441 万吉親分が どうかしたんですか? 539 00:35:37,441 --> 00:35:39,377 それがな…➡ 540 00:35:39,377 --> 00:35:41,312 誰かに斬られたんだ。 541 00:35:41,312 --> 00:35:43,314 斬られた!? まことか!? 542 00:35:43,314 --> 00:35:46,784 落ち着きなされ。 傷は深いが 死ぬ事はない。 543 00:35:46,784 --> 00:35:50,121 それよりもだ ほれ あんたが捜していた➡ 544 00:35:50,121 --> 00:35:52,056 甲賀世阿弥様の娘さん。 545 00:35:52,056 --> 00:35:53,991 千絵殿か? そうだ。 546 00:35:53,991 --> 00:35:56,794 その人が 万吉親分と一緒にいるんだ。 547 00:35:56,794 --> 00:35:58,729 千絵様が!? 548 00:35:58,729 --> 00:36:00,665 今 熱に うなされておる。 549 00:36:00,665 --> 00:36:04,669 疲れが たまっておるらしく こちらは眠ったままだ。 550 00:36:04,669 --> 00:36:07,138 それで 千絵殿は どこに!? 551 00:36:07,138 --> 00:36:11,138 天満にある 元与力 常木鴻山様のお屋敷だよ。 552 00:36:12,810 --> 00:36:15,510 おい! 弦之丞様! 553 00:36:17,148 --> 00:36:20,448 [ 心の声 ] 千絵殿… 千絵殿! 554 00:36:22,019 --> 00:36:27,019 弦之丞様… 弦之丞様…。 555 00:36:37,768 --> 00:36:40,438 こちらの方へ 戸板で運ばれた男に➡ 556 00:36:40,438 --> 00:36:43,341 武家の女と編み笠の男が 付き添っていたそうだ。 557 00:36:43,341 --> 00:36:45,309 間違いないな。 558 00:36:45,309 --> 00:36:47,311 お頭! 559 00:36:47,311 --> 00:36:49,311 ん? 560 00:36:52,450 --> 00:36:54,385 法月!? 561 00:36:54,385 --> 00:36:56,385 くっ…! 562 00:36:59,323 --> 00:37:18,476 ♬~ 563 00:37:18,476 --> 00:37:20,411 (銃声) 564 00:37:20,411 --> 00:37:22,813 おい! 引け! 565 00:37:22,813 --> 00:37:45,770 ♬~ 566 00:37:45,770 --> 00:37:48,439 常木鴻山殿のお屋敷と お見受けする! 567 00:37:48,439 --> 00:37:51,439 それがし 法月弦之丞と申す! 568 00:37:53,310 --> 00:37:57,448 弦之丞様… 弦之丞様…。 569 00:37:57,448 --> 00:37:59,383 千絵殿! 570 00:37:59,383 --> 00:38:01,318 弦之丞様…。 571 00:38:01,318 --> 00:38:04,789 大事ないか? へい。 572 00:38:04,789 --> 00:38:08,789 申し訳ねえ… あっしが こんなざまで。 573 00:38:26,811 --> 00:38:33,084 ようやく会えた…。 574 00:38:33,084 --> 00:38:35,784 ようやく…。 575 00:38:44,695 --> 00:38:47,631 千絵殿。 576 00:38:47,631 --> 00:38:51,631 弦之丞様…。 577 00:39:08,786 --> 00:39:25,336 ♬~ 578 00:39:25,336 --> 00:39:31,041 千絵殿 ゆっくり眠るといい。 579 00:39:31,041 --> 00:39:34,945 私が そばにおる。 580 00:39:34,945 --> 00:39:41,418 だから ゆっくりと…。 581 00:39:41,418 --> 00:39:57,434 ♬~ 582 00:39:57,434 --> 00:40:00,104 お綱…。 583 00:40:00,104 --> 00:40:12,683 ♬~ 584 00:40:12,683 --> 00:40:16,120 <お綱は 歩きながら念じていた。➡ 585 00:40:16,120 --> 00:40:21,992 月夜の晩にひいた風邪じゃないか 自分で治すしかないじゃないか➡ 586 00:40:21,992 --> 00:40:23,994 治すしか…。➡ 587 00:40:23,994 --> 00:40:26,994 …と その時> 588 00:40:30,668 --> 00:40:32,670 弦之丞様…。 589 00:40:32,670 --> 00:40:34,970 どこへ行く? 590 00:40:37,141 --> 00:40:40,044 あたしは もう…➡ 591 00:40:40,044 --> 00:40:43,814 弦之丞様のおそばには いられないんです。 592 00:40:43,814 --> 00:40:46,483 だって…➡ 593 00:40:46,483 --> 00:40:48,419 だって あたしは 千絵様の…。 594 00:40:48,419 --> 00:40:51,155 姉なのだな。 595 00:40:51,155 --> 00:40:55,855 世阿弥殿の娘御であったか。 596 00:41:00,831 --> 00:41:05,169 やはり そうか。 597 00:41:05,169 --> 00:41:08,072 なぜ 分かった? 598 00:41:08,072 --> 00:41:15,772 四国屋のおかみさんが 世阿弥様と お知り合いでした。 599 00:41:18,716 --> 00:41:23,854 でも 弦之丞様こそ なぜ その事を? 600 00:41:23,854 --> 00:41:29,526 その痣が 千絵殿の痣と似ていた。 601 00:41:29,526 --> 00:41:36,333 そして 虎五郎の話を聞いた時 もしやと思ったのだ。 602 00:41:36,333 --> 00:41:38,335 ならば なおさら➡ 603 00:41:38,335 --> 00:41:42,473 目覚めぬ千絵殿の代わりに 阿波へ行くのは➡ 604 00:41:42,473 --> 00:41:45,376 お前しかおらぬ。 605 00:41:45,376 --> 00:41:47,811 え? 606 00:41:47,811 --> 00:41:51,148 お前の気持ちが 分かっていながら➡ 607 00:41:51,148 --> 00:41:54,818 酷な事を言っていると思う。 608 00:41:54,818 --> 00:41:58,489 だが…。 いいえ。 609 00:41:58,489 --> 00:42:01,825 弦之丞様…。 610 00:42:01,825 --> 00:42:04,728 覚えてますか? 611 00:42:04,728 --> 00:42:07,698 10年以上前の事…➡ 612 00:42:07,698 --> 00:42:13,837 あたし 明神橋で出会った時と同じ事を➡ 613 00:42:13,837 --> 00:42:16,537 弦之丞様に言われたんです。 614 00:42:18,509 --> 00:42:20,509 見なかった事にする。 615 00:42:22,846 --> 00:42:25,516 確かに 幼い頃➡ 616 00:42:25,516 --> 00:42:29,816 小さな娘の出来心を たしなめた事がある。 617 00:42:32,122 --> 00:42:35,025 あれが…? 618 00:42:35,025 --> 00:42:39,463 覚えててくれた…。 619 00:42:39,463 --> 00:42:42,463 うれしい…。 620 00:42:46,136 --> 00:42:51,008 そんな事が 2つ重なったと分かった時➡ 621 00:42:51,008 --> 00:42:53,477 あたし 勝手に弦之丞様の事を…。 622 00:42:53,477 --> 00:42:56,814 お綱…。 今だけ このままで。 623 00:42:56,814 --> 00:43:05,814 ♬~