1 00:00:34,687 --> 00:00:39,525 幕府転覆の血判状 「鳴門秘帖」探索のために➡ 2 00:00:39,525 --> 00:00:41,494 ひそかに阿波入りを謀る➡ 3 00:00:41,494 --> 00:00:45,131 法月弦之丞と 見返りお綱だったが➡ 4 00:00:45,131 --> 00:00:49,635 お十夜孫兵衛と旅川周馬に そのたくらみを見破られ➡ 5 00:00:49,635 --> 00:00:54,140 鳴門のうずに飛び込み 生死不明となる。➡ 6 00:00:54,140 --> 00:00:57,176 だが 弦之丞たちが 阿波入りした事を探り出した➡ 7 00:00:57,176 --> 00:00:59,312 竹屋三位卿は➡ 8 00:00:59,312 --> 00:01:03,483 天堂一角らを伴い 剣山の山狩りに赴き➡ 9 00:01:03,483 --> 00:01:07,353 山牢から脱出を計った 甲賀頭領世阿弥を➡ 10 00:01:07,353 --> 00:01:10,656 三位卿の弓矢が襲う。➡ 11 00:01:10,656 --> 00:01:16,462 一方 神出鬼没の弦之丞の手により 一角は命を落とし➡ 12 00:01:16,462 --> 00:01:19,999 怪我をした世阿弥を発見した 周馬も➡ 13 00:01:19,999 --> 00:01:23,336 世阿弥の持つ「鳴門秘帖」を 奪おうとするも➡ 14 00:01:23,336 --> 00:01:28,007 居合わせた お綱の短筒で 大怪我を負う。➡ 15 00:01:28,007 --> 00:01:32,612 お綱が実の娘であると知った 世阿弥は再会を喜び➡ 16 00:01:32,612 --> 00:01:37,283 「鳴門秘帖」を弦之丞に渡すように 伝えて息絶える。➡ 17 00:01:37,283 --> 00:01:39,218 だが 孫兵衛の手により➡ 18 00:01:39,218 --> 00:01:41,788 「鳴門秘帖」ともども お綱も拉致され➡ 19 00:01:41,788 --> 00:01:44,624 それを阻止しようとした 弦之丞は➡ 20 00:01:44,624 --> 00:01:48,494 竹屋三位卿によって捕らえられる。 21 00:01:48,494 --> 00:01:51,964 それとは知らず 世阿弥の娘 千絵は➡ 22 00:01:51,964 --> 00:01:54,634 目明しの万吉を引き連れ➡ 23 00:01:54,634 --> 00:01:58,137 勇躍 阿波へと向かっていた。 24 00:01:58,137 --> 00:02:02,975 [ 心の声 ] (千絵)弦之丞様 父上 お綱さん➡ 25 00:02:02,975 --> 00:02:06,646 いえ 姉上様➡ 26 00:02:06,646 --> 00:02:08,581 千絵が参ります。➡ 27 00:02:08,581 --> 00:02:13,319 共に戦うため 阿波へ向かっております。 28 00:02:13,319 --> 00:02:18,119 (万吉)千絵様 鳴門のうずです。 29 00:02:24,497 --> 00:02:26,532 <そのころ➡ 30 00:02:26,532 --> 00:02:31,003 徳島城内の牢に幽閉された 弦之丞の前へ➡ 31 00:02:31,003 --> 00:02:33,973 家老 高木龍耳軒が現れた> 32 00:02:33,973 --> 00:02:36,473 法月弦之丞か。 33 00:02:49,488 --> 00:02:51,624 (弦之丞)どなたでござるか。 34 00:02:51,624 --> 00:02:56,128 蜂須賀家筆頭家老 高木龍耳軒。 35 00:02:56,128 --> 00:03:01,467 家老殿が 捕らわれの身の私に 何用でござろう。 36 00:03:01,467 --> 00:03:03,970 ハハッ… 捕らわれの身でありながら➡ 37 00:03:03,970 --> 00:03:06,005 そのふてぶてしき様子。 38 00:03:06,005 --> 00:03:09,308 敵ながら あっぱれじゃ。 39 00:03:09,308 --> 00:03:12,211 世阿弥が買っていた男だけの事は ある。 40 00:03:12,211 --> 00:03:14,180 世阿弥殿? 41 00:03:14,180 --> 00:03:19,819 旗本七千石 大番頭 法月一学の嫡男で➡ 42 00:03:19,819 --> 00:03:24,156 世阿弥の娘と 末を誓った仲でありながら➡ 43 00:03:24,156 --> 00:03:27,827 無住心剣夕雲流を極めんがため➡ 44 00:03:27,827 --> 00:03:31,697 諸国行脚の旅に出たとか。 45 00:03:31,697 --> 00:03:33,633 違うか? 46 00:03:33,633 --> 00:03:37,637 その事を世阿弥殿から? 47 00:03:37,637 --> 00:03:40,773 10年来のつきあいになる。 48 00:03:40,773 --> 00:03:47,546 もっとも 牢の中と外の間柄であったがな。 49 00:03:47,546 --> 00:03:51,117 お主の事を 自慢げに話しておった。 50 00:03:51,117 --> 00:03:54,987 必ず来ると この阿波へな。 51 00:03:54,987 --> 00:03:58,791 たわけた事を申すと 思うておったが➡ 52 00:03:58,791 --> 00:04:03,663 その法月弦之丞が まこと現れた。 53 00:04:03,663 --> 00:04:05,665 愉快じゃ。 54 00:04:05,665 --> 00:04:09,802 まことに愉快じゃ。 ハハハハ…。 55 00:04:09,802 --> 00:04:15,675 世阿弥は死んだが 「鳴門秘帖」は いまだ闇の中。 56 00:04:15,675 --> 00:04:22,148 お主の役目は その「鳴門秘帖」探索のはず。 57 00:04:22,148 --> 00:04:25,651 これから どうする? 法月弦之丞。 58 00:04:25,651 --> 00:04:28,154 それを聞いて どうなさる? 59 00:04:28,154 --> 00:04:30,089 お主のような出来物が➡ 60 00:04:30,089 --> 00:04:33,759 この馬鹿騒ぎに加担して どうなるのじゃ。 61 00:04:33,759 --> 00:04:35,695 馬鹿騒ぎ? 62 00:04:35,695 --> 00:04:38,931 そうよ。 我が殿 重喜公は➡ 63 00:04:38,931 --> 00:04:41,267 出羽の佐竹から➡ 64 00:04:41,267 --> 00:04:46,105 養子として蜂須賀家に迎えられた という事もあり➡ 65 00:04:46,105 --> 00:04:51,911 家臣をまとめようと いささか 功を焦り過ぎてな。 66 00:04:51,911 --> 00:04:55,281 藩の借財は 12万両。 67 00:04:55,281 --> 00:04:58,617 まずは これを どうにかせねばならんと➡ 68 00:04:58,617 --> 00:05:02,121 藍玉造りの利権を握る 大坂の問屋を➡ 69 00:05:02,121 --> 00:05:05,024 押しのけようとしたのだが➡ 70 00:05:05,024 --> 00:05:10,463 困惑した あきんどどもが ご公儀に泣きついたのが➡ 71 00:05:10,463 --> 00:05:12,965 事の発端じゃ。➡ 72 00:05:12,965 --> 00:05:15,301 ご公儀は 表向き➡ 73 00:05:15,301 --> 00:05:20,473 木曽川と揖斐川の治水の普請を 我が藩に押しつけてきた。➡ 74 00:05:20,473 --> 00:05:24,810 おかげで 藩の財政は逼迫。➡ 75 00:05:24,810 --> 00:05:29,315 裏では 幕府転覆の血判状と噂され➡ 76 00:05:29,315 --> 00:05:35,755 蜂須賀家に代々伝わる 「鳴門秘帖」の探索を始めた。 77 00:05:35,755 --> 00:05:38,090 時を同じゅうして➡ 78 00:05:38,090 --> 00:05:42,762 京の都で事を起こした 竹屋三位卿なる公家が➡ 79 00:05:42,762 --> 00:05:46,265 殿に いらざる口を挟みだしてな。 80 00:05:46,265 --> 00:05:53,606 殿もまた 「鳴門秘帖」を盾に 幕府転覆を口にし始めた事から➡ 81 00:05:53,606 --> 00:05:56,642 事が大きくなった。 82 00:05:56,642 --> 00:06:01,781 だが その「鳴門秘帖」なるものは➡ 83 00:06:01,781 --> 00:06:04,617 誰も中身を見た者はおらん。 84 00:06:04,617 --> 00:06:07,286 なのに この騒ぎじゃ。 85 00:06:07,286 --> 00:06:12,086 これを馬鹿騒ぎと言わずして 何とする。 86 00:06:18,297 --> 00:06:20,232 驚かぬようじゃな。 87 00:06:20,232 --> 00:06:23,969 以前 同じような お話を 聞かせてくれた➡ 88 00:06:23,969 --> 00:06:25,905 御仁がおりましたから。 89 00:06:25,905 --> 00:06:31,310 それでも この馬鹿騒ぎに加担しに 阿波にやって来たのか。 90 00:06:31,310 --> 00:06:33,279 はい。 91 00:06:33,279 --> 00:06:36,148 世阿弥を救いにか。 92 00:06:36,148 --> 00:06:39,919 ほかにも理由はありますが。 93 00:06:39,919 --> 00:06:42,822 そうか。 94 00:06:42,822 --> 00:06:48,594 とにもかくにも 「鳴門秘帖」は 表に出してはならぬ代物。 95 00:06:48,594 --> 00:06:51,263 誰もが その正体を知らず➡ 96 00:06:51,263 --> 00:06:55,935 ご公儀にとっても あるのか ないのか 薄気味悪く➡ 97 00:06:55,935 --> 00:06:57,970 あれば それだけで➡ 98 00:06:57,970 --> 00:07:02,441 我が蜂須賀家にとって 命綱となる代物。 99 00:07:02,441 --> 00:07:05,641 なぜ その事を私に。 100 00:07:10,316 --> 00:07:15,116 (錠前を開ける音) 101 00:07:18,791 --> 00:07:20,791 出るがよい。 102 00:07:26,298 --> 00:07:28,634 よいか 弦之丞。 103 00:07:28,634 --> 00:07:32,605 「鳴門秘帖」を 必ず その手に取り戻すのだ。 104 00:07:32,605 --> 00:07:36,075 あとは 煮て食おうが焼いて食おうが➡ 105 00:07:36,075 --> 00:07:38,575 お主の勝手じゃ。 106 00:07:40,246 --> 00:07:43,282 よろしいのですか。 107 00:07:43,282 --> 00:07:45,417 かたじけない。 108 00:07:45,417 --> 00:07:47,417 御免。 109 00:07:54,093 --> 00:07:57,763 頼んだぞ。 110 00:07:57,763 --> 00:08:00,266 誰かある! 111 00:08:00,266 --> 00:08:03,602 法月弦之丞が逃げた! 112 00:08:03,602 --> 00:08:06,102 誰かある! 113 00:08:12,945 --> 00:08:14,980 (竹屋三位卿)龍耳軒。 114 00:08:14,980 --> 00:08:18,617 あ~ これは三位様。 115 00:08:18,617 --> 00:08:21,287 あ~ 不覚でござった。 116 00:08:21,287 --> 00:08:25,958 法月弦之丞とか申す男の 口車に乗せられて➡ 117 00:08:25,958 --> 00:08:28,994 牢から出してしもうた。 118 00:08:28,994 --> 00:08:32,565 牢から出したと言わしゃるのか。 119 00:08:32,565 --> 00:08:35,601 あの男 一筋縄ではいかぬ男…。 120 00:08:35,601 --> 00:08:37,736 ああ 頭が…。 121 00:08:37,736 --> 00:08:40,072 原田 早う手当てせぬか。 (原田)はっ。 122 00:08:40,072 --> 00:08:42,107 ああ ご… ごめんくだされ。 123 00:08:42,107 --> 00:08:44,243 ああ…。 124 00:08:44,243 --> 00:08:54,420 ♬~ 125 00:08:54,420 --> 00:08:59,420 <ここは お十夜孫兵衛の実家である> 126 00:09:13,105 --> 00:09:17,305 (物音) 127 00:09:23,816 --> 00:09:27,653 (孫兵衛)目が覚めたか。 128 00:09:27,653 --> 00:09:31,590 おっと 短筒は ここだ。 129 00:09:31,590 --> 00:09:33,892 まあ 欲しかったら持っていろ。 130 00:09:33,892 --> 00:09:37,396 もっとも 弾は抜いてあるがな。 ほれ! 131 00:09:37,396 --> 00:09:39,396 (お綱)あっ…。 132 00:09:42,067 --> 00:09:46,238 はあ はあ…。 133 00:09:46,238 --> 00:09:48,173 ここは? 134 00:09:48,173 --> 00:09:51,076 俺のうちだ。 135 00:09:51,076 --> 00:09:53,912 昔は 大勢 奉公人もいたが➡ 136 00:09:53,912 --> 00:10:00,252 今は 下男だった年寄りが 時折 掃除をしに来るぐらいだ。 137 00:10:00,252 --> 00:10:04,552 腹が減ったろ。 雑炊を作った。 138 00:10:06,592 --> 00:10:09,928 そば米雑炊といってな➡ 139 00:10:09,928 --> 00:10:13,432 昔 源平の合戦で 逃げ延びた➡ 140 00:10:13,432 --> 00:10:17,303 平家の落人が作ったと されているものだ。 141 00:10:17,303 --> 00:10:22,003 まあ あまり当てにはならんが なかなか うまいぞ。 142 00:10:24,143 --> 00:10:26,979 それにしても よく寝る女だな。 143 00:10:26,979 --> 00:10:29,982 よほど疲れていたのだな。 144 00:10:29,982 --> 00:10:32,451 どうして? 145 00:10:32,451 --> 00:10:34,386 何がだ? 146 00:10:34,386 --> 00:10:38,123 どうして あたしをここへ? 147 00:10:38,123 --> 00:10:40,159 訳などない。 148 00:10:40,159 --> 00:10:43,929 連れてきたかったから 連れてきたまでの事。 149 00:10:43,929 --> 00:10:45,929 ただ それだけだ。 150 00:10:48,133 --> 00:10:50,636 出ていきたかったら 出てくといい。 151 00:10:50,636 --> 00:10:55,507 そのかわり 周りは蜂須賀の家臣だらけだ。 152 00:10:55,507 --> 00:11:00,312 あの男も捕まり 城の牢の中におる。 153 00:11:00,312 --> 00:11:02,648 お前にできる事はない。 154 00:11:02,648 --> 00:11:06,318 弦之丞様が? そうだ。 155 00:11:06,318 --> 00:11:11,490 眠っているお前を盾にしたら 何もできなかったぞ やつは。 156 00:11:11,490 --> 00:11:13,992 卑怯者! 157 00:11:13,992 --> 00:11:18,163 生きるためだ! しかたない。 158 00:11:18,163 --> 00:11:20,199 法月も生きるために➡ 159 00:11:20,199 --> 00:11:23,899 俺の仲間だった天堂一角を 斬り殺した。 160 00:11:30,175 --> 00:11:33,175 冷めてしまうぞ。 早く食え。 161 00:11:35,447 --> 00:11:37,783 痩せても枯れても➡ 162 00:11:37,783 --> 00:11:42,121 裏の稼業じゃ ちょいと名が知れた 見返りお綱さんだ。 163 00:11:42,121 --> 00:11:45,791 旦那の施しなんか受けないよ。 164 00:11:45,791 --> 00:11:48,627 そう つんけんするな。 165 00:11:48,627 --> 00:11:52,464 前にも言ったろ。 俺は お前に惚れておる。 166 00:11:52,464 --> 00:11:55,801 だから 江戸から阿波まで 追ってきたのだ。 167 00:11:55,801 --> 00:11:58,704 ん? 悪いようにはせん。 168 00:11:58,704 --> 00:12:03,475 それに 毒も入っておらん。 169 00:12:03,475 --> 00:12:07,346 <以前 お綱は 下諏訪の料理屋で➡ 170 00:12:07,346 --> 00:12:12,046 孫兵衛に 眠り薬を盛った事があった> 171 00:12:16,188 --> 00:12:19,324 はあ~ うまい! 172 00:12:19,324 --> 00:12:23,524 生まれた土地の食い物は はらわたに染み渡る。 173 00:12:25,130 --> 00:12:28,333 (おなかが鳴る音) 174 00:12:28,333 --> 00:12:33,172 ハハハハ… 体は正直なものだな。 175 00:12:33,172 --> 00:12:35,140 意地を張ってないで食え。 176 00:12:35,140 --> 00:12:38,440 食ったところで 恩に着せたりはせん。 177 00:12:45,751 --> 00:12:47,751 うん! 178 00:12:59,298 --> 00:13:01,967 どうだ うまいだろ。 179 00:13:01,967 --> 00:13:13,767 ♬~ 180 00:13:29,828 --> 00:13:33,699 それにしても お前とは いろいろあった。 181 00:13:33,699 --> 00:13:37,269 そうだ 最初に会ったのは➡ 182 00:13:37,269 --> 00:13:40,105 江戸で辻斬り稼業に精を出し➡ 183 00:13:40,105 --> 00:13:45,611 弦之丞の腰の業物を頂こうとして しくじった時だったな。 184 00:13:45,611 --> 00:13:51,416 女掏摸の見返りお綱とは あたしの事さ! 185 00:13:51,416 --> 00:13:53,352 文句があるんなら➡ 186 00:13:53,352 --> 00:14:00,652 本郷妻恋一丁目 粋な門垣根の 長唄の師匠のうちを訪ねてきな。 187 00:14:02,461 --> 00:14:04,796 あれには参った。 188 00:14:04,796 --> 00:14:09,134 伝法な口調の 鉄火な女に惚れたのも その時だ。 189 00:14:09,134 --> 00:14:11,169 だが そこから…。 190 00:14:11,169 --> 00:14:14,640 さすが 南蛮渡来の眠り薬。 191 00:14:14,640 --> 00:14:16,575 よく効くねぇ。 192 00:14:16,575 --> 00:14:19,511 (孫兵衛) 下諏訪では 眠り薬を盛られ➡ 193 00:14:19,511 --> 00:14:23,815 和蘭歌留多の賭場からも 逃げられ➡ 194 00:14:23,815 --> 00:14:27,115 阿波の海でも これまた…。 195 00:14:31,623 --> 00:14:34,927 江戸から阿波まで 逃げられ続けたが➡ 196 00:14:34,927 --> 00:14:37,627 とうとう捕まえた。 197 00:14:39,765 --> 00:14:43,635 どうだ 俺と手を組まぬか。 198 00:14:43,635 --> 00:14:46,438 旦那と? 199 00:14:46,438 --> 00:14:51,738 一角の悲願であった「鳴門秘帖」 今は 俺の手にある。 200 00:15:03,789 --> 00:15:06,089 そう せくな。 201 00:15:26,812 --> 00:15:29,715 あ~ うまい! 202 00:15:29,715 --> 00:15:34,620 「鳴門秘帖」を手に入れて飲む酒は 格別だ。 203 00:15:34,620 --> 00:15:38,423 いいんですか。 何がだ? 204 00:15:38,423 --> 00:15:44,229 あの秘帖 蜂須賀の殿様が 探してるものなんでしょ? 205 00:15:44,229 --> 00:15:50,435 旦那の懐にしまい込んじまったら 切腹ものじゃありませんか。 206 00:15:50,435 --> 00:15:52,938 たった一日だ。 207 00:15:52,938 --> 00:15:56,775 たった一日だけ 俺のものとして置いておく。 208 00:15:56,775 --> 00:16:01,075 いや 一角のものとしてな。 209 00:16:06,785 --> 00:16:14,526 あとは 俺の金づるとなる 千両か2千両か。 210 00:16:14,526 --> 00:16:20,026 これで 俺も 阿波での暮らしが 立つというものよ。 211 00:16:23,235 --> 00:16:27,105 ここらで安穏な暮らしに戻るのも 悪くない。 212 00:16:27,105 --> 00:16:30,976 旦那が? そうだ。 213 00:16:30,976 --> 00:16:35,947 妻を迎え 2人で この家の畑を耕し➡ 214 00:16:35,947 --> 00:16:39,418 近所の子に手習いを教え➡ 215 00:16:39,418 --> 00:16:42,320 その女が子を宿したあとは➡ 216 00:16:42,320 --> 00:16:48,093 その子が大きくなるのを夢みて 暮らすのだ。 217 00:16:48,093 --> 00:16:52,431 どうだ 俺とここで暮らさぬか。 218 00:16:52,431 --> 00:16:54,766 フッ…。 219 00:16:54,766 --> 00:16:59,438 けど 随分と のんきな事を お言いじゃないか 旦那。 220 00:16:59,438 --> 00:17:03,138 江戸で辻斬り稼業をしていた あんたには似合わないね。 221 00:17:04,776 --> 00:17:06,712 どういう意味だ。 222 00:17:06,712 --> 00:17:09,114 えっ? 223 00:17:09,114 --> 00:17:11,783 生まれた時から 辻斬り稼業をしている輩が➡ 224 00:17:11,783 --> 00:17:14,453 どこにいると思う!? 225 00:17:14,453 --> 00:17:19,291 この俺にも武士として 蜂須賀の原士の子として➡ 226 00:17:19,291 --> 00:17:22,961 普通の暮らしをしていた時も あった。 227 00:17:22,961 --> 00:17:28,133 だが 俺が9歳になったばかりの頃➡ 228 00:17:28,133 --> 00:17:32,404 父が 外に女を作った。 229 00:17:32,404 --> 00:17:35,240 そこから 母が おかしくなった。 230 00:17:35,240 --> 00:17:38,910 天にまします 我らの父よ。 231 00:17:38,910 --> 00:17:43,415 (孫兵衛)気付いた時 母は 隠れキリシタンとなっていた。➡ 232 00:17:43,415 --> 00:17:47,285 神とやらに すがったのだ。➡ 233 00:17:47,285 --> 00:17:49,585 それが間違いだったのよ。 234 00:17:51,757 --> 00:17:54,092 いい加減にしろ! 235 00:17:54,092 --> 00:18:00,265 (孫兵衛)事の露見を恐れた父が 夜ごと母を殴り 酒に狂い➡ 236 00:18:00,265 --> 00:18:03,301 母は母で ますます のめり込んだ。➡ 237 00:18:03,301 --> 00:18:08,006 いつしか 母は 俺にまでキリシタンになれと➡ 238 00:18:08,006 --> 00:18:12,444 毎夜毎夜 ささやくようになり…。 239 00:18:12,444 --> 00:18:15,781 そんな ある夜の事だ。➡ 240 00:18:15,781 --> 00:18:22,120 寝ていた俺が目を覚ますと 傍らに母が座っていた。 241 00:18:22,120 --> 00:18:25,920 孫兵衛 起きなさい。 242 00:18:34,232 --> 00:18:37,932 ううっ うううっ…。 243 00:18:43,942 --> 00:18:49,414 うっ ううっ ううう…。 244 00:18:49,414 --> 00:18:53,084 (孫兵衛)俺が こんな お十夜頭巾をかぶっているのは➡ 245 00:18:53,084 --> 00:18:55,420 あの夜のせいよ。 246 00:18:55,420 --> 00:19:13,605 ♬~ 247 00:19:13,605 --> 00:19:17,776 この事があったから いつしか 母の事も露見し➡ 248 00:19:17,776 --> 00:19:23,476 とうとう 父は 母を殺し 自害し果てた。 249 00:19:29,788 --> 00:19:34,759 どんな人にも いろいろあるんだね。 250 00:19:34,759 --> 00:19:37,459 あたしだって…。 251 00:19:39,464 --> 00:19:43,464 世阿弥の妾の子だったな。 苦労したのか。 252 00:19:46,071 --> 00:19:50,871 旦那ほどじゃないけどね。 人並みにはさ。 253 00:19:52,844 --> 00:19:56,581 そうか。 254 00:19:56,581 --> 00:19:59,618 だが もう それも しまいよ。 255 00:19:59,618 --> 00:20:02,387 「鳴門秘帖」が この手にある。 256 00:20:02,387 --> 00:20:05,290 天下を揺るがす事ができる代物だ。 257 00:20:05,290 --> 00:20:07,292 分かるか お綱。 258 00:20:07,292 --> 00:20:11,763 今の俺は 天下を握ってるも同然なのよ! 259 00:20:11,763 --> 00:20:15,433 フハハハ…。 260 00:20:15,433 --> 00:20:17,369 だから 俺と手を組め。 261 00:20:17,369 --> 00:20:20,105 手を組んで 天下を➡ 262 00:20:20,105 --> 00:20:22,941 富と名声を 手に入れようではないか。 263 00:20:22,941 --> 00:20:25,443 ハハハハ…。 264 00:20:25,443 --> 00:20:30,115 [ 心の声 ] それは違うよ 旦那。➡ 265 00:20:30,115 --> 00:20:36,915 旦那の事は分かったけど そこんとこだけは ちょいと違う。 266 00:21:00,111 --> 00:21:02,180 分かったよ 旦那。 267 00:21:02,180 --> 00:21:05,817 あたしも女だ。 腹くくったよ。 268 00:21:05,817 --> 00:21:10,322 今日は とことん飲もうじゃないか。 269 00:21:10,322 --> 00:21:12,991 また何か たくらんでるんじゃないだろうな。 270 00:21:12,991 --> 00:21:17,191 たくらんでなんかいないよ。 さっ ついでおくれな。 271 00:21:19,164 --> 00:21:21,099 よし。 272 00:21:21,099 --> 00:21:44,122 ♬~ 273 00:21:44,122 --> 00:21:47,625 (周馬)あっ… おいおい 穏やかじゃないな。 274 00:21:47,625 --> 00:21:49,561 (孫兵衛)何をしに来た? 275 00:21:49,561 --> 00:21:51,496 一角に線香をあげに来たのだ。➡ 276 00:21:51,496 --> 00:21:54,796 お主の事だ。 位牌ぐらい作ったのであろう。 277 00:22:03,808 --> 00:22:09,508 ほ~う とんだ珍客がいたもんだ。 278 00:22:12,150 --> 00:22:15,053 その節は世話になったな。 279 00:22:15,053 --> 00:22:17,489 おかげで 足は このざまだ。 280 00:22:17,489 --> 00:22:19,424 父親を殺されそうに なっているのを➡ 281 00:22:19,424 --> 00:22:22,360 黙って見ている馬鹿が どこにいるんだい。 282 00:22:22,360 --> 00:22:25,230 うわ~! 283 00:22:25,230 --> 00:22:27,198 んっ んっ…。 284 00:22:27,198 --> 00:22:31,036 やはり お前は 世阿弥の妾の子だったか。 285 00:22:31,036 --> 00:22:34,272 ほう 感づいていたのか。 286 00:22:34,272 --> 00:22:36,207 江戸の賭場で出会った折➡ 287 00:22:36,207 --> 00:22:39,611 この女の手の甲の痣に気付いた。 288 00:22:39,611 --> 00:22:45,483 千絵と同じ痣だったからな もしやと思ったまでの事さ。 289 00:22:45,483 --> 00:22:48,183 しかし 親子とはな。 290 00:22:54,626 --> 00:22:57,462 (周馬)一角も不運な男だったな。 291 00:22:57,462 --> 00:23:01,633 最初から 法月弦之丞と対しておきながら➡ 292 00:23:01,633 --> 00:23:05,136 最後の最後に 勝負に負けちまった。 293 00:23:05,136 --> 00:23:08,836 で 「鳴門秘帖」は どこだ? 294 00:23:12,477 --> 00:23:15,814 何の話だ。 とぼけるな。 295 00:23:15,814 --> 00:23:17,749 どういう いきさつで➡ 296 00:23:17,749 --> 00:23:20,318 お主たち2人が ここにおるのかは 知らんが➡ 297 00:23:20,318 --> 00:23:22,987 世阿弥は 確かに あの時➡ 298 00:23:22,987 --> 00:23:28,187 「鳴門秘帖」が入った箱を 持っていた。 だろ? 299 00:23:30,161 --> 00:23:34,032 お主たちは まだ 中身を見ておらんはずだ。 300 00:23:34,032 --> 00:23:35,967 あの箱は 船を作る際に使う➡ 301 00:23:35,967 --> 00:23:38,603 にかわで のり付けされておるとの事。 302 00:23:38,603 --> 00:23:43,274 しかも 世阿弥の手によって 更に甲賀の秘法を施してあるはず。 303 00:23:43,274 --> 00:23:47,445 そう たやすく剥がす事はできん。 304 00:23:47,445 --> 00:23:53,785 だが 俺なら そのにかわを剥がす やり方を知っておるぞ。 305 00:23:53,785 --> 00:23:55,720 見て どうなるってんだい。 306 00:23:55,720 --> 00:23:57,655 何? 307 00:23:57,655 --> 00:23:59,657 あたしたちが 「鳴門秘帖」を見たところで➡ 308 00:23:59,657 --> 00:24:02,494 どうなるってもんじゃないだろ。 309 00:24:02,494 --> 00:24:08,133 金になるか ならないか。 違うかい? 孫の旦那。 310 00:24:08,133 --> 00:24:11,803 ああ そういう事だ。 311 00:24:11,803 --> 00:24:14,305 箱の中身が偽物だったら どうする気だ。 312 00:24:14,305 --> 00:24:16,241 偽物? 313 00:24:16,241 --> 00:24:19,644 そうよ あの世阿弥の事だ。 314 00:24:19,644 --> 00:24:21,579 たとえ 我が子だろうと➡ 315 00:24:21,579 --> 00:24:24,482 偽物をつかませる事ぐらい 訳はない。 316 00:24:24,482 --> 00:24:28,987 偽物を高う売ったと分かったら お主たちは ただでは済まぬぞ。 317 00:24:28,987 --> 00:24:30,922 父上は そんな人じゃない! 318 00:24:30,922 --> 00:24:32,857 じゃ 出してみろ! 319 00:24:32,857 --> 00:24:35,857 中を調べたら分かる事だ。 320 00:24:38,796 --> 00:24:40,796 そこにあるのだな。 321 00:24:53,111 --> 00:24:56,014 ハッハッ 孫兵衛 女が逃げたぞ! 322 00:24:56,014 --> 00:24:58,314 んっ! お綱! 323 00:24:59,984 --> 00:25:01,984 どこへ行く! 324 00:25:07,659 --> 00:25:09,661 え~いっ! 325 00:25:09,661 --> 00:25:13,431 姉上様 お助け致します! ち… 千絵様!? 326 00:25:13,431 --> 00:25:15,366 え~いっ! 327 00:25:15,366 --> 00:25:18,066 こざかしいまねをしおって! 328 00:25:21,139 --> 00:25:23,074 親分! おう! 329 00:25:23,074 --> 00:25:25,476 城を見張ってたら この男が現れたんで➡ 330 00:25:25,476 --> 00:25:27,976 後をつけたって寸法よ! 331 00:25:30,982 --> 00:25:32,917 弦之丞!? 332 00:25:32,917 --> 00:25:34,917 弦之丞様! 333 00:25:41,426 --> 00:25:43,761 千絵殿 お綱 大事ないか! 334 00:25:43,761 --> 00:25:45,761 (2人)はい! (孫兵衛)はっ! 335 00:25:49,267 --> 00:25:51,467 おい お綱 こっちだ! 336 00:25:54,439 --> 00:25:57,475 弦之丞様 お会いしとうございました。 337 00:25:57,475 --> 00:25:59,944 今は この場を。 はい。 338 00:25:59,944 --> 00:26:02,744 お前がいると お綱が ものにならん! 339 00:26:10,455 --> 00:26:14,292 千絵! よくも俺の邪魔をしてくれたな! 340 00:26:14,292 --> 00:26:16,961 周馬 お主だけは許さん! 341 00:26:16,961 --> 00:26:19,864 私を欺き続けた事 生涯 許さない! 342 00:26:19,864 --> 00:26:21,864 ほざくな! 343 00:26:30,475 --> 00:26:33,275 いかん この家を燃やす訳にはいかん! 344 00:26:35,246 --> 00:26:38,082 千絵殿! はい! 345 00:26:38,082 --> 00:26:42,920 おい 孫兵衛! 逃げるぞ やつらが! 346 00:26:42,920 --> 00:26:44,920 孫兵衛! 347 00:26:46,791 --> 00:26:48,793 <羽があるのなら➡ 348 00:26:48,793 --> 00:26:52,096 このまま どこか遠くへと 飛んでいきたい。➡ 349 00:26:52,096 --> 00:26:57,769 千絵は そう思っていた> 350 00:26:57,769 --> 00:27:00,672 (重喜)龍耳軒。➡ 351 00:27:00,672 --> 00:27:03,107 愚か者めが!➡ 352 00:27:03,107 --> 00:27:06,144 法月弦之丞を逃がすとは何事か! 353 00:27:06,144 --> 00:27:11,783 この高木龍耳軒 一生の不覚。 354 00:27:11,783 --> 00:27:15,453 ですが 殿 たかが ねずみ一匹➡ 355 00:27:15,453 --> 00:27:19,957 そう騒がしゅうせずとも よろしいのではござりませぬか。 356 00:27:19,957 --> 00:27:21,893 何を言う! 357 00:27:21,893 --> 00:27:24,796 そのねずみに 天堂一角をはじめ➡ 358 00:27:24,796 --> 00:27:28,132 幾人もの原士たちが 斬り殺されたのじゃ! 359 00:27:28,132 --> 00:27:30,068 それもこれも➡ 360 00:27:30,068 --> 00:27:32,904 「鳴門秘帖」なるものが あるがため。 361 00:27:32,904 --> 00:27:34,839 (重喜)何? 362 00:27:34,839 --> 00:27:39,677 この際 あの秘帖は なかった事にしてしまうのも➡ 363 00:27:39,677 --> 00:27:41,612 手ではないかと。 364 00:27:41,612 --> 00:27:44,515 何を言わしゃる。 気でも違うたか! 365 00:27:44,515 --> 00:27:46,451 黙らっしゃい! 366 00:27:46,451 --> 00:27:48,453 ここは 蜂須賀家の居城。 367 00:27:48,453 --> 00:27:52,953 ご主君と臣下の話に 口を挟まれるでない。 368 00:27:55,593 --> 00:27:57,528 殿。 369 00:27:57,528 --> 00:28:00,465 殿の一挙手一投足に➡ 370 00:28:00,465 --> 00:28:03,768 蜂須賀家 七千有余名の家臣と➡ 371 00:28:03,768 --> 00:28:07,438 その家族の首が かかっておりまする。 372 00:28:07,438 --> 00:28:10,341 蜂須賀家は 決して➡ 373 00:28:10,341 --> 00:28:15,179 殿お一人のものでは ござりません。 374 00:28:15,179 --> 00:28:18,449 秘帖なきものとなれば➡ 375 00:28:18,449 --> 00:28:23,749 ご公儀とて 動く気遣いはござりません。 376 00:28:30,061 --> 00:28:31,996 世阿弥様。 377 00:28:31,996 --> 00:28:34,932 この石が墓石代わりでございます。 378 00:28:34,932 --> 00:28:39,232 成仏なすって下せえ。 379 00:29:02,927 --> 00:29:05,927 父上…。 380 00:29:10,101 --> 00:29:15,907 ごめんなさい。 あたしだけが最後に…。 381 00:29:15,907 --> 00:29:19,110 よいのです。 382 00:29:19,110 --> 00:29:26,851 最後に姉上様に会えた父は 喜んでいると思います。 383 00:29:26,851 --> 00:29:31,122 ほんとに そう思って下さいますか。 384 00:29:31,122 --> 00:29:33,122 はい。 385 00:29:39,931 --> 00:29:42,767 父上様。 386 00:29:42,767 --> 00:29:47,467 ようやく 千絵様にお会いできました。 387 00:29:49,240 --> 00:29:53,411 喜んで… 下さい。 388 00:29:53,411 --> 00:29:58,583 姉上様。 389 00:29:58,583 --> 00:30:02,883 千絵と呼んで下さい。 390 00:30:05,456 --> 00:30:11,162 千絵… さん。 391 00:30:11,162 --> 00:30:14,065 これで精いっぱい。 392 00:30:14,065 --> 00:30:16,065 姉上様。 393 00:30:18,769 --> 00:30:20,705 <姉と妹➡ 394 00:30:20,705 --> 00:30:26,405 初めて 温かい何かが通った 瞬間であった> 395 00:30:32,116 --> 00:30:34,952 そうでした。 396 00:30:34,952 --> 00:30:37,288 昔…➡ 397 00:30:37,288 --> 00:30:42,126 昔 父がおっしゃった事が ございます。 398 00:30:42,126 --> 00:30:44,795 この空のどこか下に➡ 399 00:30:44,795 --> 00:30:48,966 お前とつながる者が もう一人いると。 400 00:30:48,966 --> 00:30:52,003 えっ? 401 00:30:52,003 --> 00:30:57,308 (世阿弥)この続く 空のどこかにいるんだ。➡ 402 00:30:57,308 --> 00:31:00,645 覚えておきなさい。 403 00:31:00,645 --> 00:31:04,982 お空の向こう? ああ そうだ。 404 00:31:04,982 --> 00:31:08,653 死んでしまった人なの? 405 00:31:08,653 --> 00:31:12,823 死んではいない。 406 00:31:12,823 --> 00:31:16,523 だが 会えぬ。 407 00:31:21,332 --> 00:31:25,169 父上様が そのような事を。 408 00:31:25,169 --> 00:31:27,672 はい。 409 00:31:27,672 --> 00:31:34,972 父上は いつも 姉上様の事を 心配なすっていたんだと思います。 410 00:31:38,783 --> 00:31:41,452 父上様…。 411 00:31:41,452 --> 00:31:44,288 よかったじゃねえか お綱。 412 00:31:44,288 --> 00:31:46,791 世阿弥様は死んじまったが➡ 413 00:31:46,791 --> 00:31:50,991 おめえの事は 片ときも 忘れちゃいなかったんだ。 414 00:31:55,132 --> 00:31:58,636 [ 心の声 ] 世阿弥殿…。 415 00:31:58,636 --> 00:32:22,326 ♬~ 416 00:32:22,326 --> 00:32:25,663 お綱よ。 417 00:32:25,663 --> 00:32:29,500 千絵様と姉妹の契りをしたんだ。 418 00:32:29,500 --> 00:32:31,769 こっからは弦之丞様の事は…。 419 00:32:31,769 --> 00:32:34,438 分かってるよ 親分。 420 00:32:34,438 --> 00:32:37,942 つらいところだろうけどよ。 421 00:32:37,942 --> 00:32:40,978 つらいよ。 422 00:32:40,978 --> 00:32:44,278 つらすぎて 涙も出やしないよ。 423 00:32:48,586 --> 00:32:51,789 お久しゅうございました。 424 00:32:51,789 --> 00:32:53,724 すまぬ。 425 00:32:53,724 --> 00:32:56,127 何を謝っておられます。 426 00:32:56,127 --> 00:33:01,932 江戸に戻っておったというのに すぐ会いに行けなかった。 427 00:33:01,932 --> 00:33:05,636 その事 恨んでおりました。 428 00:33:05,636 --> 00:33:07,571 千絵殿。 429 00:33:07,571 --> 00:33:10,808 フッ… 嘘でございます。 430 00:33:10,808 --> 00:33:15,479 私も周馬の甘言に弄され 屋敷から一歩も外へと出ず➡ 431 00:33:15,479 --> 00:33:19,150 法月のおじ様さえ 避けておりましたから。 432 00:33:19,150 --> 00:33:23,988 父には 心配をかけ続けていた。 433 00:33:23,988 --> 00:33:27,858 ご苦労なすったのでしょう。 434 00:33:27,858 --> 00:33:32,430 剣とは 所詮 人を斬る道具。 435 00:33:32,430 --> 00:33:40,171 剣の道は 人でなしの道だと教わった。 436 00:33:40,171 --> 00:33:47,778 剣の道に戸惑い 迷うたまま 私は江戸に戻るしかなかった。 437 00:33:47,778 --> 00:33:51,449 そんな私を なぜ そなたに➡ 438 00:33:51,449 --> 00:33:54,118 会いに行ってやらないのかと 叱ってくれたのが➡ 439 00:33:54,118 --> 00:33:57,455 銀五郎という男だ。 440 00:33:57,455 --> 00:33:59,790 銀五郎? 441 00:33:59,790 --> 00:34:04,628 万吉の一の子分でな➡ 442 00:34:04,628 --> 00:34:08,132 よい男であった。 443 00:34:08,132 --> 00:34:12,303 「であった」とは? 444 00:34:12,303 --> 00:34:17,603 殺された。 旅川周馬の策に はまってな。 445 00:34:20,811 --> 00:34:22,847 (銀五郎)このままじゃ➡ 446 00:34:22,847 --> 00:34:28,686 死んでも死にきれねえ…。 447 00:34:28,686 --> 00:34:33,257 分かった 銀五郎…。 448 00:34:33,257 --> 00:34:37,128 いまわの際に よう聞いておけ! 449 00:34:37,128 --> 00:34:42,767 お前の頼み 今 確かに受け止めた。 450 00:34:42,767 --> 00:34:46,637 必ず 千絵殿を 骨身にかけて救ってみせる。 451 00:34:46,637 --> 00:34:50,941 その事があって 縁あった お綱とともに➡ 452 00:34:50,941 --> 00:34:53,241 甲賀屋敷に踏み入り…。 453 00:34:58,449 --> 00:35:01,749 弦之丞様! 千絵殿! 454 00:35:03,954 --> 00:35:05,954 弦之丞様! 455 00:35:08,459 --> 00:35:11,796 仲間を何人殺す! 許せぬ! 456 00:35:11,796 --> 00:35:13,796 うわ~! 457 00:35:19,970 --> 00:35:23,270 多市には かわいそうな事をしました。 458 00:35:26,143 --> 00:35:28,179 許せ。 459 00:35:28,179 --> 00:35:33,250 あのあと 私は 周馬の手によって あちらこちらと連れ出され➡ 460 00:35:33,250 --> 00:35:35,753 とうとう 大坂で➡ 461 00:35:35,753 --> 00:35:41,625 夢うつつの中 あなた様と まみえたような気がしております。 462 00:35:41,625 --> 00:35:44,625 ようやく会えた…。 463 00:35:51,235 --> 00:35:53,170 千絵殿。 464 00:35:53,170 --> 00:35:56,470 弦之丞様。 465 00:36:05,616 --> 00:36:09,453 それが 今 こうして…。 466 00:36:09,453 --> 00:36:14,792 はい。 ようやく…。 467 00:36:14,792 --> 00:36:17,828 会いたかった。 468 00:36:17,828 --> 00:36:20,128 千絵も。 469 00:36:24,969 --> 00:36:30,140 世阿弥殿の事 間に合わなかった。 470 00:36:30,140 --> 00:36:32,076 許せ。 471 00:36:32,076 --> 00:36:35,746 弦之丞様…。 472 00:36:35,746 --> 00:36:47,091 ♬~ 473 00:36:47,091 --> 00:36:49,391 弦之丞様! 474 00:36:52,963 --> 00:36:54,965 千絵! はい! 475 00:36:54,965 --> 00:36:58,435 この野郎! くっ! うっ! 476 00:36:58,435 --> 00:37:01,272 お前たち やめぬか! 小谷! 木下! 477 00:37:01,272 --> 00:37:03,207 甲賀頭領の娘である 私の言う事が➡ 478 00:37:03,207 --> 00:37:05,142 聞けぬのですか! (小谷)千絵様! 479 00:37:05,142 --> 00:37:07,611 お前たちは 旅川に だまされておるのだ。 480 00:37:07,611 --> 00:37:09,546 それが分からぬのですか! 481 00:37:09,546 --> 00:37:11,546 (木下)御免! 482 00:37:15,119 --> 00:37:17,119 お綱。 はい。 483 00:37:21,458 --> 00:37:23,794 お綱! はい! 484 00:37:23,794 --> 00:37:38,075 ♬~ 485 00:37:38,075 --> 00:37:40,010 万吉さん! へい! 486 00:37:40,010 --> 00:37:42,010 あっ! 487 00:37:47,785 --> 00:37:49,787 (銃声) 488 00:37:49,787 --> 00:38:05,169 ♬~ 489 00:38:05,169 --> 00:38:09,606 お主たち 命を惜しむなら すぐ この場を立ち去れ! 490 00:38:09,606 --> 00:38:11,606 うわ~! うっ…。 491 00:38:18,782 --> 00:38:22,953 弦之丞様 ここは危のうございます。 492 00:38:22,953 --> 00:38:25,789 孫兵衛や周馬も おっつけ来るはず。 493 00:38:25,789 --> 00:38:27,789 どうします。 494 00:38:29,460 --> 00:38:31,395 (龍耳軒)よいか 弦之丞。 495 00:38:31,395 --> 00:38:35,733 「鳴門秘帖」を 必ず その手に取り戻すのだ。 496 00:38:35,733 --> 00:38:39,236 あとは 煮て食おうが焼いて食おうが➡ 497 00:38:39,236 --> 00:38:41,236 お主の勝手じゃ。 498 00:38:46,744 --> 00:38:48,744 弦之丞様。 499 00:38:54,618 --> 00:38:56,920 真打ち登場ですぜ。 500 00:38:56,920 --> 00:39:01,592 お綱! 弦之丞! 「鳴門秘帖」を返さぬか! 501 00:39:01,592 --> 00:39:04,094 おあいにく様だね 旦那。 502 00:39:04,094 --> 00:39:07,431 こいつは 旦那の手に余る代物だよ。 503 00:39:07,431 --> 00:39:10,334 諦めておくんなさいよ。 黙らぬか! 504 00:39:10,334 --> 00:39:13,604 俺の気持ちを知っておいて よく そんな事が言えるな! 505 00:39:13,604 --> 00:39:16,273 所詮 あの女は その程度の女よ。 506 00:39:16,273 --> 00:39:19,109 周馬 姉上様に向かって なんて口をきくのですか! 507 00:39:19,109 --> 00:39:21,045 お前は知らんのだ! 508 00:39:21,045 --> 00:39:24,281 その女は 見返りお綱という 二つ名を持つ 女掏摸よ!➡ 509 00:39:24,281 --> 00:39:28,152 賭場にでも出入りするような 性悪女だ! 周馬! 510 00:39:28,152 --> 00:39:31,722 弾は2発しかないんだろ。 511 00:39:31,722 --> 00:39:33,657 孫兵衛 やれ! 512 00:39:33,657 --> 00:39:37,895 おう。 さあ 来い! 弦之丞! 513 00:39:37,895 --> 00:40:05,895 ♬~ 514 00:40:18,535 --> 00:40:21,235 これは俺のもんだ! 515 00:40:23,474 --> 00:40:25,474 お主の負けだ! 516 00:40:31,115 --> 00:40:33,050 そんな…。 517 00:40:33,050 --> 00:40:35,350 やられちまった…。 518 00:40:43,293 --> 00:40:45,793 弦之丞様…。 519 00:40:54,471 --> 00:40:59,810 <再び「鳴門秘帖」を握った お十夜孫兵衛と旅川周馬は➡ 520 00:40:59,810 --> 00:41:05,983 その足で 秘帖を 蜂須賀重喜のもとへと届けた> 521 00:41:05,983 --> 00:41:10,821 関谷孫兵衛 旅川周馬 ようやった! 522 00:41:10,821 --> 00:41:13,490 存分に褒美を取らせようぞ! 523 00:41:13,490 --> 00:41:15,993 はっ! 524 00:41:15,993 --> 00:41:22,693 阿波殿 これで我が方の勝利 間違いなしでおじゃりまするぞ! 525 00:41:24,668 --> 00:41:58,535 ♬~ 526 00:41:58,535 --> 00:42:05,976 [ 心の声 ] 弦之丞 間に合わずか。 527 00:42:05,976 --> 00:43:00,797 ♬~ 528 00:43:00,797 --> 00:43:03,634 <旅川周馬 どうする気なのか!> 529 00:43:03,634 --> 00:43:06,634 次回 最終回。