1 00:00:01,602 --> 00:00:06,440 「鳴門秘帖」探索のために 江戸をたった法月弦之丞。 2 00:00:06,440 --> 00:00:10,110 見返りお綱 目明し万吉は➡ 3 00:00:10,110 --> 00:00:14,281 阿波へ渡る船が 蜂須賀家に差し止められ➡ 4 00:00:14,281 --> 00:00:17,117 大坂で足止めを食らう。➡ 5 00:00:17,117 --> 00:00:19,786 お綱は 旅の途中に知り合った➡ 6 00:00:19,786 --> 00:00:23,957 藍玉問屋内儀 お久良の助けを 得ようとするが➡ 7 00:00:23,957 --> 00:00:28,128 そのお久良の口から 行方を絶った甲賀世阿弥が➡ 8 00:00:28,128 --> 00:00:31,164 実の父親だと知らされる。➡ 9 00:00:31,164 --> 00:00:35,469 そんな頃 阿波の藩士 森 啓之助に犯され➡ 10 00:00:35,469 --> 00:00:37,971 自暴自棄となった娘 お米は➡ 11 00:00:37,971 --> 00:00:42,643 阿波への手引きを餌に 恋い慕う弦之丞へ迫る。➡ 12 00:00:42,643 --> 00:00:47,481 一方 とらわれの身であった 世阿弥の娘 千絵は➡ 13 00:00:47,481 --> 00:00:50,150 旅川周馬から逃げ出す途中➡ 14 00:00:50,150 --> 00:00:54,488 万吉と遭遇するも 弦之丞を狙う天堂一角➡ 15 00:00:54,488 --> 00:00:56,990 お十夜孫兵衛の仲間に襲われ➡ 16 00:00:56,990 --> 00:01:00,527 元与力 常木鴻山に救われる。➡ 17 00:01:00,527 --> 00:01:03,096 弦之丞は 常木の屋敷で➡ 18 00:01:03,096 --> 00:01:07,768 熱にうなされる千絵と 10年ぶりの再会を果たしたが➡ 19 00:01:07,768 --> 00:01:15,108 その姿をかいま見たお綱に 激しい思いを打ち明けられる。 20 00:01:15,108 --> 00:01:20,781 ♬~ 21 00:01:20,781 --> 00:01:28,121 (お綱) あたし 妹の思う人を奪ってまで 幸せになろうなんて➡ 22 00:01:28,121 --> 00:01:31,158 そんな事は思ってません。 23 00:01:31,158 --> 00:01:37,631 だから ほんの僅かな間だけ。 24 00:01:37,631 --> 00:01:43,503 阿波へ渡って 大望を遂げる その日まで➡ 25 00:01:43,503 --> 00:01:47,641 その道連れの間だけ➡ 26 00:01:47,641 --> 00:01:50,944 どうか この思いを許して下さいな。 27 00:01:52,512 --> 00:01:56,817 ほんの僅か…➡ 28 00:01:56,817 --> 00:02:01,788 ほんの僅かの間だけで ようござんす。 29 00:02:01,788 --> 00:02:07,461 だから 今だけ➡ 30 00:02:07,461 --> 00:02:10,931 この思い 許して下さいな。 31 00:02:10,931 --> 00:02:13,633 弦之丞様。 32 00:02:34,121 --> 00:02:38,792 <その日 大坂 安治川沿いの阿州屋敷に➡ 33 00:02:38,792 --> 00:02:42,629 この男が 阿波から出張ってきていた> 34 00:02:42,629 --> 00:02:45,532 (啓之助)江戸より 法月弦之丞を追ってきた➡ 35 00:02:45,532 --> 00:02:52,139 天堂一角に関谷孫兵衛 そして 甲賀の旅川周馬でございます。 36 00:02:52,139 --> 00:02:56,810 甲賀? 甲賀者が どないして ここにおわしゃるのや。 37 00:02:56,810 --> 00:02:59,479 おかしいやないか。 38 00:02:59,479 --> 00:03:03,083 その事ですが…。 (周馬)呉越同舟。 39 00:03:03,083 --> 00:03:05,018 何? 40 00:03:05,018 --> 00:03:07,921 それがし 甲賀家門弟筆頭では ありましたが➡ 41 00:03:07,921 --> 00:03:11,758 甲賀世阿弥の娘 千絵をだまして 我が手から奪い➡ 42 00:03:11,758 --> 00:03:15,262 甲賀家を絶家同然と追いやった 法月弦之丞を➡ 43 00:03:15,262 --> 00:03:17,197 生涯の敵と思うております。 44 00:03:17,197 --> 00:03:20,100 法月弦之丞を敵として狙うは➡ 45 00:03:20,100 --> 00:03:24,271 三位卿様はじめ こちらにおわす方々と同じかと。 46 00:03:24,271 --> 00:03:27,307 はあ… 甘い甘い。 47 00:03:27,307 --> 00:03:32,145 それを信じろいうのは いかにも甘い。 48 00:03:32,145 --> 00:03:34,281 我が配下の忍びによると➡ 49 00:03:34,281 --> 00:03:37,184 先年 三位卿様を 阿波へと追いやった➡ 50 00:03:37,184 --> 00:03:43,290 松平左京之介めが 京都所司代に 再び就く事が決まったそうだとか。 51 00:03:43,290 --> 00:03:46,626 何? 更に その片腕といわれた➡ 52 00:03:46,626 --> 00:03:50,797 常木鴻山も 再び 与力となるとの うわさでございます。 53 00:03:50,797 --> 00:03:53,700 (竹屋三位卿)あの2人が 再び表舞台に出てくるとは。 54 00:03:53,700 --> 00:04:00,907 「鳴門秘帖」を手に入れた暁には 必ず鉄ついを下してくれるわ。 55 00:04:00,907 --> 00:04:05,078 ふう~。 悪い知らせじゃが➡ 56 00:04:05,078 --> 00:04:09,750 知ると知らぬとでは 天地の差じゃ。 57 00:04:09,750 --> 00:04:13,053 よし 分かった。 58 00:04:13,053 --> 00:04:16,590 え~ 旅川周馬とやら➡ 59 00:04:16,590 --> 00:04:22,262 これからは 忍びを使い まろの手足となるように。➡ 60 00:04:22,262 --> 00:04:24,564 よいな。 61 00:04:27,934 --> 00:04:32,272 三位卿様 その法月弦之丞と つながる女が➡ 62 00:04:32,272 --> 00:04:36,610 四国屋の内儀 お久良と 何やら 親しそうにしていたのを➡ 63 00:04:36,610 --> 00:04:39,513 私のところの中間が 見たそうでございます。➡ 64 00:04:39,513 --> 00:04:42,415 もしや 阿波入りのためではないかと。 65 00:04:42,415 --> 00:04:46,319 いや 四国屋の内儀は 阿波の者のはず。 66 00:04:46,319 --> 00:04:49,623 四国屋も 蜂須賀家の御用商人。 67 00:04:49,623 --> 00:04:56,796 法月弦之丞に連なる女が 何で懇意にしておるのやろ。 68 00:04:56,796 --> 00:04:58,732 四国屋を それとなく探りましょうか。 69 00:04:58,732 --> 00:05:00,767 そんなまどろっこしい事 する事はない。 70 00:05:00,767 --> 00:05:04,104 俺たちで これから 四国屋へ出向けばいいのだ。 71 00:05:04,104 --> 00:05:07,107 この雁首そろえて行けば 大概 泥を吐くに決まってる。 72 00:05:07,107 --> 00:05:09,409 ああ 向こうは御用商人。 73 00:05:09,409 --> 00:05:11,444 こっちは 蜂須賀家のお名前をかざして➡ 74 00:05:11,444 --> 00:05:15,282 あくまで 脅しの詮議と出る。 こちらには証人がいるんだ。 75 00:05:15,282 --> 00:05:18,752 法月弦之丞の居所を知らないとは 言わせやしない。 76 00:05:18,752 --> 00:05:21,788 ばかな。 事を大きくしてどうする。 77 00:05:21,788 --> 00:05:25,525 ん? 何だと? 78 00:05:25,525 --> 00:05:29,396 いや~ そのとおり。 79 00:05:29,396 --> 00:05:33,767 四国屋の船ならば こよい 船出のはず。 80 00:05:33,767 --> 00:05:38,104 弦之丞めが 何も知らずに乗り込むならば➡ 81 00:05:38,104 --> 00:05:42,776 魚が 自ら 網の中に 入ってくるようなものじゃ。 82 00:05:42,776 --> 00:05:46,947 ハハハハハハハ アハ ハ…。 83 00:05:46,947 --> 00:05:48,882 近う。 84 00:05:48,882 --> 00:05:52,085 皆 近う 近う。 85 00:06:04,431 --> 00:06:08,902 あの忍び者 取り入るのがうまい男だな。 86 00:06:08,902 --> 00:06:11,404 俺は虫が好かん。 87 00:06:11,404 --> 00:06:15,242 どうでもいい そんな事は。 何? 88 00:06:15,242 --> 00:06:18,578 九鬼を斬った法月弦之丞を 倒すためなら➡ 89 00:06:18,578 --> 00:06:21,882 わしは 地獄の閻魔とだって 手を組む。 90 00:06:23,450 --> 00:06:29,222 そうかい。 法月弦之丞だけは許せぬ! 91 00:06:29,222 --> 00:06:33,426 (常木)左京之介様の密命を帯びて 阿波まで行かれるか。 92 00:06:33,426 --> 00:06:37,597 世阿弥殿といい 弦之丞殿といい➡ 93 00:06:37,597 --> 00:06:43,403 「鳴門秘帖」とは 人の定めを狂わせる代物でござる。 94 00:06:43,403 --> 00:06:45,772 (弦之丞)これも天命。 95 00:06:45,772 --> 00:06:49,109 常木殿には 私だけではなく➡ 96 00:06:49,109 --> 00:06:52,612 千絵殿や供の者も やっかいになる事となり➡ 97 00:06:52,612 --> 00:06:56,082 申し訳ござらぬ。 それも天命。 98 00:06:56,082 --> 00:06:58,151 アハハハ。 99 00:06:58,151 --> 00:07:01,888 左京之介様のもとで 与力を務めていた者ですから➡ 100 00:07:01,888 --> 00:07:03,823 当然の事。 101 00:07:03,823 --> 00:07:07,761 あの方は 癖多き人ですが 力のあるお方。 102 00:07:07,761 --> 00:07:11,231 はい。 こたび 左京之介様は➡ 103 00:07:11,231 --> 00:07:15,101 所司代として 再び 辣腕を振るわれる事になられ➡ 104 00:07:15,101 --> 00:07:18,004 私も 与力として おそばに参らねばなりません。 105 00:07:18,004 --> 00:07:21,408 もっとも その前に 弦之丞殿たちを➡ 106 00:07:21,408 --> 00:07:25,278 阿波へ送り込むという大仕事が 持ち上がりましたが。 107 00:07:25,278 --> 00:07:29,916 連れの者の話では こよい 四国屋の船に➡ 108 00:07:29,916 --> 00:07:31,851 便乗する手だてに なっておるようですが。 109 00:07:31,851 --> 00:07:34,254 四国屋? 110 00:07:34,254 --> 00:07:37,090 ならば 私にも 多少の縁があります。 111 00:07:37,090 --> 00:07:40,593 ですが 敵方も心得ておるでしょう。➡ 112 00:07:40,593 --> 00:07:44,431 策を練らねばなりませんな。 113 00:07:44,431 --> 00:07:46,433 確かに。 114 00:07:50,770 --> 00:07:57,944 (万吉)千絵様が おめえと姉妹とはな。 驚いたぜ。 115 00:07:57,944 --> 00:08:00,714 あたしも。 116 00:08:00,714 --> 00:08:04,884 大丈夫か? お綱。 117 00:08:04,884 --> 00:08:09,723 えっ? つれえところだなと思ってよ。 118 00:08:09,723 --> 00:08:14,227 けど 辛抱するしか…。 分かってますよ 親分。 119 00:08:14,227 --> 00:08:18,898 心配なさらないで下さいな。 120 00:08:18,898 --> 00:08:24,070 義理とはいえ 妹なんですから 千絵様は。 121 00:08:24,070 --> 00:08:27,907 (千絵)はあはあ…。 122 00:08:27,907 --> 00:08:30,577 どんな夢を見てるんだろうな。 123 00:08:30,577 --> 00:08:34,280 おおかた 弦之丞様の…。 124 00:08:51,765 --> 00:08:57,570 (お米)お役に立ちたいのです。 うちにできる事なら 何でも。 125 00:08:57,570 --> 00:09:00,206 よいのか? 126 00:09:00,206 --> 00:09:02,709 はい。 127 00:09:07,881 --> 00:09:13,053 どこにも行くな。 俺のそばにおれ。 128 00:09:13,053 --> 00:09:15,555 おるやおへんか。 129 00:09:15,555 --> 00:09:17,590 俺と阿波へ行くのだ。 130 00:09:17,590 --> 00:09:21,795 行って 2人だけで…。 131 00:09:26,066 --> 00:09:32,839 分かっておるな? あい。 132 00:09:32,839 --> 00:09:35,141 ほんとだな? 133 00:09:39,245 --> 00:09:41,247 あい。 134 00:09:55,595 --> 00:09:58,431 (啓之助)宅助。 あっ へい! 135 00:09:58,431 --> 00:10:02,769 お米から目を離すな。 阿波へ渡るのは今夜だ。 136 00:10:02,769 --> 00:10:05,271 この間のように いなくなられては困る。 137 00:10:05,271 --> 00:10:09,609 それに 三位卿は あの女の事は知らんのだ。 138 00:10:09,609 --> 00:10:13,480 姿を見られては…。 分かるな? 139 00:10:13,480 --> 00:10:16,483 お任せを。 頼んだ。 140 00:10:24,624 --> 00:10:29,429 あ~ しけてやがるぜ いっつも いっつも。 141 00:10:34,334 --> 00:10:36,970 お嬢様。 142 00:10:36,970 --> 00:10:40,473 また あの男のとこですかい。 143 00:10:43,643 --> 00:10:50,149 違う。 うちは このままやったら 死ぬしかないと思てる。 144 00:10:50,149 --> 00:10:52,986 死ぬって…。 どうして 急に そんな。 145 00:10:52,986 --> 00:10:55,889 あんな薄情な男に 振り回されたところを➡ 146 00:10:55,889 --> 00:11:00,793 見られてしまったくせに お前に 口止めまでさせて…。 147 00:11:00,793 --> 00:11:04,931 つくづく 自分の浅はかさが 嫌になったから…。 148 00:11:04,931 --> 00:11:08,268 だからって 死ぬなんて 悪い了見でさ。 149 00:11:08,268 --> 00:11:12,138 あんな 法月なんて男の事は忘れて➡ 150 00:11:12,138 --> 00:11:15,775 あっしらと 阿波へと渡りゃいいんです。 151 00:11:15,775 --> 00:11:18,611 でも いくら うちが厚かましくても➡ 152 00:11:18,611 --> 00:11:22,782 わがままばかりしておいて 今更 お前に…。 153 00:11:22,782 --> 00:11:25,685 な~に あっしは構わねえ。 154 00:11:25,685 --> 00:11:33,293 旦那様には 法月の事は 内証にしておきますから。 155 00:11:33,293 --> 00:11:39,465 うれしい! お前は ほんとに優しいなあ。 156 00:11:39,465 --> 00:11:45,638 お前となら これからも うまくやっていけそうやわ。 157 00:11:45,638 --> 00:11:50,510 へい あっしもです。 158 00:11:50,510 --> 00:11:53,813 頼んだで。 159 00:12:13,600 --> 00:12:16,436 三位卿…。 160 00:12:16,436 --> 00:12:19,339 ほな どうしても 今夜の船に➡ 161 00:12:19,339 --> 00:12:22,942 お綱さんと そのお連れを乗せると おっしゃるんだすな? 162 00:12:22,942 --> 00:12:27,280 (お久良)なんとか ええ工夫をして 阿波まで乗せてってほしいんや。 163 00:12:27,280 --> 00:12:29,949 せやないと あたしの気持ちが済まへん。 164 00:12:29,949 --> 00:12:33,286 ただし ごりょんさんは ここ大坂にとどまり➡ 165 00:12:33,286 --> 00:12:36,189 今度の船でお帰りになるのは 見合わせて下さい。 166 00:12:36,189 --> 00:12:39,092 それなら この新吉の一存でやった事。 167 00:12:39,092 --> 00:12:41,027 万が一の時も➡ 168 00:12:41,027 --> 00:12:43,296 お店に関わりないように 言い抜けられます。 169 00:12:43,296 --> 00:12:48,468 すまないね。 苦労かけるけど よろしく頼んだで。 170 00:12:48,468 --> 00:12:52,805 ただ 案じられるのは 安治川を出るまでの間➡ 171 00:12:52,805 --> 00:12:56,476 特に 蜂須賀様の阿州屋敷の 水見番所では➡ 172 00:12:56,476 --> 00:12:59,979 厳しいおあらためがあるかと。 もしもの事を考えたら➡ 173 00:12:59,979 --> 00:13:02,882 どうやって おあらためを かいくぐって➡ 174 00:13:02,882 --> 00:13:06,185 運んだらええのんか。 はい。 175 00:13:09,789 --> 00:13:13,993 ごりょんさん。 よい思いつきがございます。 176 00:13:16,262 --> 00:13:18,264 (お久良)あっ。 177 00:13:19,932 --> 00:13:22,769 ごりょんさん。 何や? 178 00:13:22,769 --> 00:13:26,272 竹屋三位卿様と 蜂須賀様ご家中の森様が➡ 179 00:13:26,272 --> 00:13:29,308 いらっしゃいました。 180 00:13:29,308 --> 00:13:31,778 ああ… ハハハハ。 181 00:13:31,778 --> 00:13:36,616 いや~ すまぬなあ~。 船が出るまでの間➡ 182 00:13:36,616 --> 00:13:39,452 ここに やっかいになっておった方が➡ 183 00:13:39,452 --> 00:13:43,956 何かと便利やからと この森が言わしゃるでなあ。 184 00:13:43,956 --> 00:13:46,626 申し訳ござらぬ。 いいえ。 185 00:13:46,626 --> 00:13:51,497 何のお構いも出来まへんが。 けど 三位卿様は➡ 186 00:13:51,497 --> 00:13:54,967 大坂へ いらしたばかりでは ありまへんか? 187 00:13:54,967 --> 00:13:59,472 これでも なかなか忙しい。 ウフフフフフ。 188 00:13:59,472 --> 00:14:03,342 ところで お内儀。 つかぬ事を伺うが➡ 189 00:14:03,342 --> 00:14:07,914 今度の船に乗る者は さぞや多いのであろうな。 190 00:14:07,914 --> 00:14:10,817 さて… 新吉。 191 00:14:10,817 --> 00:14:14,687 商い船でございますから さほどは。 まあ それでも➡ 192 00:14:14,687 --> 00:14:17,623 向こうに よんどころのない 用があるお方やら➡ 193 00:14:17,623 --> 00:14:21,260 四国参りの方 手形を持ったあきんどやらと➡ 194 00:14:21,260 --> 00:14:25,131 ここのところ 便船が滞っておりますので はい。 195 00:14:25,131 --> 00:14:27,767 何か? あ… いや~➡ 196 00:14:27,767 --> 00:14:31,270 よからぬ者まで乗っておると 困ると思うたまで。 197 00:14:31,270 --> 00:14:35,942 あ じゃが 四国屋なら 蜂須賀家の御用達。➡ 198 00:14:35,942 --> 00:14:41,748 う~ん 安心 安心。 ウフ ウハハハハ。 199 00:14:41,748 --> 00:14:47,053 ハハハハハハ…。 200 00:14:57,964 --> 00:15:01,734 これは常木様。 あっ 実は 店に…。 201 00:15:01,734 --> 00:15:04,070 三位卿が来ているのであろう。 へえ。 202 00:15:04,070 --> 00:15:06,906 だから お久良ではなく お前を呼んだのだ。 203 00:15:06,906 --> 00:15:09,208 実はな…。 204 00:15:12,779 --> 00:15:16,082 さようで。 そのお方たちの事なら➡ 205 00:15:16,082 --> 00:15:18,017 ごりょんさんから 万事任されております。 206 00:15:18,017 --> 00:15:21,954 ですが 三位卿様が船に乗るまで 店におられるとの事だして。 207 00:15:21,954 --> 00:15:24,323 油断ならぬ男だ。 208 00:15:24,323 --> 00:15:28,728 ならば 念には念を入れて 支度をせねばならんな。へえ。 209 00:15:30,763 --> 00:15:34,100 (万吉)ああ 痛え! (源内)だから動くな。➡ 210 00:15:34,100 --> 00:15:37,136 動くと痛いに決まってる。 痛えから動くんだよ! 211 00:15:37,136 --> 00:15:42,275 うっ… 弦之丞様 医者を代えてくれねえかな。➡ 212 00:15:42,275 --> 00:15:44,944 こんなやぶ医者じゃ 治るもんも治らねえんだよ。 213 00:15:44,944 --> 00:15:47,447 やぶとは何だ やぶとは。 そうですよ。 214 00:15:47,447 --> 00:15:51,617 源内先生がいなかったら 親分 死んじまってたとこなんですよ。 215 00:15:51,617 --> 00:15:57,123 けどよ じれってえからよ この体が… この傷が。 216 00:15:57,123 --> 00:15:59,625 この傷さえどうにかなりゃ➡ 217 00:15:59,625 --> 00:16:02,528 阿波へ行く事なんざ どうって事ねえのによ。 218 00:16:02,528 --> 00:16:07,433 万吉 お前には ここにいてもらわねばならぬ。 219 00:16:07,433 --> 00:16:09,435 え? 220 00:16:09,435 --> 00:16:14,073 千絵殿の事を頼めるのは…➡ 221 00:16:14,073 --> 00:16:16,909 お前しかおらぬのだ。 222 00:16:16,909 --> 00:16:19,745 あたしたちは 千絵様を置いて➡ 223 00:16:19,745 --> 00:16:23,583 今夜の船で 阿波へ行くしかないんです。 224 00:16:23,583 --> 00:16:27,753 千絵様をお願いできるのは 親分だけなんですから。 225 00:16:27,753 --> 00:16:30,256 けどな…。 お前がいてくれなくては➡ 226 00:16:30,256 --> 00:16:35,127 千絵殿が目覚めた時 心細かろう。 227 00:16:35,127 --> 00:16:37,430 のう 千絵殿。 228 00:16:40,600 --> 00:16:44,103 あたしが代わってやれりゃ…。 229 00:16:44,103 --> 00:16:51,777 お前とて 実の父である 世阿弥殿には会いたかろう。 230 00:16:51,777 --> 00:16:54,680 でも…。 231 00:16:54,680 --> 00:16:58,651 考えてみりゃ 阿波へ行きたいと 思っていなさるのは➡ 232 00:16:58,651 --> 00:17:02,889 弦之丞様やお綱だけじゃねえ。➡ 233 00:17:02,889 --> 00:17:05,791 お父上に会いたい千絵様だって そうだ。 234 00:17:05,791 --> 00:17:09,562 なのに こんな事になっちまって➡ 235 00:17:09,562 --> 00:17:14,400 おかわいそうだ 千絵様が。 236 00:17:14,400 --> 00:17:16,402 親分…。 237 00:17:18,905 --> 00:17:23,075 あ~! ああ 分かりましたよ。 238 00:17:23,075 --> 00:17:27,914 勝手に 俺を置いて 阿波へでも どこへでも行きゃいいさ! 239 00:17:27,914 --> 00:17:33,786 ハハッ やっかいなものだな 江戸っ子というのは。 240 00:17:33,786 --> 00:17:36,088 よし! 終わった。 241 00:17:36,088 --> 00:17:42,094 あ~! だから いってえんだよ~。 242 00:17:45,798 --> 00:17:48,668 四国屋が あなたたちがいた とま船に➡ 243 00:17:48,668 --> 00:17:51,437 支度を整えておる事に なっております。 244 00:17:51,437 --> 00:17:54,340 あとは手はずどおりに。 ご面倒をおかけ致しました。 245 00:17:54,340 --> 00:17:56,309 このご恩は 必ず。 246 00:17:56,309 --> 00:17:58,778 (常木)それには及びませぬ。➡ 247 00:17:58,778 --> 00:18:02,214 左京之介様の与力として 当然の事をしているまで。 248 00:18:02,214 --> 00:18:07,086 当然ですか。 俺には 余計な事としか思えない。 249 00:18:07,086 --> 00:18:09,555 源内さん。 今からでも遅くない。 250 00:18:09,555 --> 00:18:12,391 やめたらどうだい 阿波へなんぞ行くのは。 251 00:18:12,391 --> 00:18:15,895 先生 そのお話は…。 (源内)何度でも言う。➡ 252 00:18:15,895 --> 00:18:18,731 くだらねえ事だ 「鳴門秘帖」なんざ。 253 00:18:18,731 --> 00:18:20,666 はい。 254 00:18:20,666 --> 00:18:25,404 柔らかな笑顔だが 頑固者だ あんたは。➡ 255 00:18:25,404 --> 00:18:29,075 大変だな お綱さんも。 いや そんな事…。 256 00:18:29,075 --> 00:18:31,744 先生…。 うん。 257 00:18:31,744 --> 00:18:34,246 妹さんの事は任せておきなさい。➡ 258 00:18:34,246 --> 00:18:37,917 目が覚めた時 きちんと あんたの事を話しておく。 259 00:18:37,917 --> 00:18:40,953 ありがとうございます。 260 00:18:40,953 --> 00:18:42,955 では。 261 00:18:48,928 --> 00:18:53,599 惜しい男だ。 え? 262 00:18:53,599 --> 00:18:56,268 「鳴門秘帖」なんかに 首を突っ込んで➡ 263 00:18:56,268 --> 00:18:59,939 おしまいになんか させたくねえって事ですよ。 264 00:18:59,939 --> 00:19:13,486 ♬~ 265 00:19:13,486 --> 00:19:15,488 何だい? 266 00:19:20,259 --> 00:19:22,461 何だい? 267 00:19:24,897 --> 00:19:27,199 弦之丞様…。 268 00:19:30,703 --> 00:19:34,573 (竹屋三位卿) ハハハハ… おお おお。 269 00:19:34,573 --> 00:19:36,876 ハハハハ。 270 00:19:39,412 --> 00:19:43,582 <お久良は 三位卿たちをもてなした。➡ 271 00:19:43,582 --> 00:19:47,386 せいぜい油断をさせるためである> 272 00:19:49,088 --> 00:19:51,290 <そんな頃…> 273 00:19:57,263 --> 00:20:00,599 (新吉)あ~ ご苦労さん。➡ 274 00:20:00,599 --> 00:20:04,437 いや~ 桜間さん お待ちしておりました。➡ 275 00:20:04,437 --> 00:20:10,109 ささ 船が出るまでの間 店の奥で ごゆるりとお休み下さい。➡ 276 00:20:10,109 --> 00:20:14,980 せわしないさなかで 満足にお相手もでけしまへんが➡ 277 00:20:14,980 --> 00:20:17,283 よろしおますな? 278 00:20:20,820 --> 00:20:24,957 ⚟(新吉)ごりょんさん! 桜間さんがお着きだす! 279 00:20:24,957 --> 00:20:26,892 桜間? 280 00:20:26,892 --> 00:20:31,730 知り合いのお身内で お侍崩れの 旅役者の方でございます。 281 00:20:31,730 --> 00:20:37,470 ちょっと訳ありな お連れの方との 忍び旅。ほう~。 282 00:20:37,470 --> 00:20:42,675 ほう~ それはそれは。 そしたら 失礼致します。 283 00:20:49,081 --> 00:20:51,383 啓之助。 284 00:20:54,320 --> 00:20:57,990 あ… あら どちらへ? いや…。 285 00:20:57,990 --> 00:20:59,925 あっ そうでございました。 286 00:20:59,925 --> 00:21:03,596 今夜のお船で あなた様のご懇意なお方も➡ 287 00:21:03,596 --> 00:21:06,098 阿波までお送り致す事に なっておりました。 288 00:21:06,098 --> 00:21:09,602 ああ そうであった。 つい 礼を申すのも忘れていた。 289 00:21:09,602 --> 00:21:14,774 いいえ。 せっかく同じお船やのに 何で ご一緒なされへんのだすか? 290 00:21:14,774 --> 00:21:17,676 いや… 実は その…。 291 00:21:17,676 --> 00:21:23,783 三位卿様には話されぬ女なのだ。 まっ。 桜間様とおんなじ。 292 00:21:23,783 --> 00:21:27,653 何分 内密に。 よろしゅうございます。 293 00:21:27,653 --> 00:21:30,289 そういう訳とは存じませんで ただいま➡ 294 00:21:30,289 --> 00:21:33,793 お船のお席の方も ご一緒の方が よいかと思いまして➡ 295 00:21:33,793 --> 00:21:37,296 お部屋にお伺いに戻ろうと しておりましたところ…。 296 00:21:37,296 --> 00:21:41,600 いや それは とんでもない事。 ではな。 297 00:21:45,471 --> 00:21:51,811 (竹屋三位卿) そうかぁ ハハハハ 面白いなあ。 298 00:21:51,811 --> 00:21:56,649 どうやった? いや 怪しいところは 何も。 299 00:21:56,649 --> 00:21:58,951 ほうか。 300 00:22:05,925 --> 00:22:09,595 船の中では わてと 船頭の松兵衛という者が➡ 301 00:22:09,595 --> 00:22:11,630 万事計らいますので ご安心を。 302 00:22:11,630 --> 00:22:15,434 すまぬ。 新吉さん 何とお礼を…。 303 00:22:21,774 --> 00:22:23,776 あっ! 304 00:22:33,285 --> 00:22:38,624 お久良様。 弦之丞様 こちらの おかみさんです。 305 00:22:38,624 --> 00:22:40,659 法月弦之丞と申す。 306 00:22:40,659 --> 00:22:44,296 久良でございます。 新吉に聞きました。 307 00:22:44,296 --> 00:22:47,132 常木様と 懇意でいらっしゃるとか。 308 00:22:47,132 --> 00:22:49,969 おかみさん 何とお礼を言ったらいいか…。 309 00:22:49,969 --> 00:22:53,639 まだまだこれからだす。 三位卿が ここに陣取るという事は➡ 310 00:22:53,639 --> 00:22:57,509 周りも固められている…。 お内儀➡ 311 00:22:57,509 --> 00:22:59,812 もとより危険は覚悟の上。 312 00:22:59,812 --> 00:23:05,084 ただ こちらに累が及ばぬかと それだけが気がかり。 313 00:23:05,084 --> 00:23:10,256 乗りかかった船 ご懸念には及びまへん。➡ 314 00:23:10,256 --> 00:23:15,127 ほな 新吉。 さあ お二人を 早う 天神の船待場へ。 315 00:23:15,127 --> 00:23:19,765 私は 三位卿たちを案内して わざと道をたがえて行きますから。 316 00:23:19,765 --> 00:23:21,767 (新吉)へい。 317 00:23:23,435 --> 00:23:25,371 おい! 318 00:23:25,371 --> 00:23:31,076 奥の部屋… つづら…。 319 00:23:32,778 --> 00:23:35,447 つづら? 320 00:23:35,447 --> 00:23:58,971 ♬~ 321 00:23:58,971 --> 00:24:00,939 つづら? 322 00:24:00,939 --> 00:24:03,409 怪しいのは その辺りかと。 323 00:24:03,409 --> 00:24:08,914 ほう つづらを探せ。 まろも すぐ行く。はっ。 324 00:24:11,150 --> 00:24:13,419 三位卿様。 お…。 325 00:24:13,419 --> 00:24:17,289 ただいま 船待場の方へ ご案内致します。いやいや➡ 326 00:24:17,289 --> 00:24:20,192 森と2人でな…。 いえいえ。 327 00:24:20,192 --> 00:24:23,929 天神の河岸の方は 人や荷物で 混み合っておりますから➡ 328 00:24:23,929 --> 00:24:26,598 水夫がどんなご無礼を働くか 分かりませぬ。 329 00:24:26,598 --> 00:24:29,435 それに 船のお席の事もございますので➡ 330 00:24:29,435 --> 00:24:33,605 ちょっとお待ち下さいませ。 ただいまお供つかまつりますので。 331 00:24:33,605 --> 00:24:38,944 あ… いや あの… いらぬおせっかいを。 332 00:24:38,944 --> 00:24:42,748 いかがなされました? うん? 何でもない。 333 00:24:48,454 --> 00:24:53,125 少しの間の辛抱でございます。 後ほど また。 334 00:24:53,125 --> 00:25:06,772 ♬~ 335 00:25:06,772 --> 00:25:10,409 う~ 遅いな ったく。 336 00:25:10,409 --> 00:25:13,245 またぞろ逃げたんじゃなかろうな。 337 00:25:13,245 --> 00:25:16,749 (浪人たち)待て 待て! どけ! 338 00:25:21,920 --> 00:25:23,856 あっ 旦那。 339 00:25:23,856 --> 00:25:26,759 森のところの中間ではないか。 どうした? 340 00:25:26,759 --> 00:25:31,597 今 怪しい編み笠をかぶった侍を 追って お仲間たちが…。 341 00:25:31,597 --> 00:25:34,800 どっち行った? 向こうへ。 342 00:25:40,939 --> 00:25:46,445 はあ~。 捜しましたぜ お米お嬢様。 343 00:25:57,289 --> 00:26:00,893 (浪人)待て! お主 何者! 344 00:26:00,893 --> 00:26:04,430 待て! 345 00:26:04,430 --> 00:26:08,233 待て~! 待てい。 346 00:26:19,244 --> 00:26:21,914 やられたか! 347 00:26:21,914 --> 00:26:24,950 斬り口から見て ただ者ではない。 348 00:26:24,950 --> 00:26:27,453 法月弦之丞! 349 00:26:29,788 --> 00:26:31,924 おい どうしたのだ。 350 00:26:31,924 --> 00:26:35,260 法月だ。 雇った者たちが やられた! 351 00:26:35,260 --> 00:26:38,764 まさか そないな事が…。 352 00:26:38,764 --> 00:26:41,467 どういう事だ。 353 00:26:45,537 --> 00:26:50,109 忘れちゃいねえだろうな お嬢様よ。 354 00:26:50,109 --> 00:26:53,011 何や? 355 00:26:53,011 --> 00:26:58,617 阿波へと渡ったら 約束をたがえず➡ 356 00:26:58,617 --> 00:27:03,388 俺にも おこぼれ頂戴するって話だよ。 357 00:27:03,388 --> 00:27:05,724 分かってる。 358 00:27:05,724 --> 00:27:07,759 ほんとに分かって…。 (戸が開く音) 359 00:27:07,759 --> 00:27:11,230 宅助 いるか? はい。 ああ 啓之助様。 360 00:27:11,230 --> 00:27:14,066 うん。 お米もいたのか。 361 00:27:14,066 --> 00:27:18,237 よいか。 しばらくしたら ここに三位卿様が来るが➡ 362 00:27:18,237 --> 00:27:22,107 私とお前たちは知らぬ仲だからな。 363 00:27:22,107 --> 00:27:26,745 お米 阿波へ着くまでの しばらくの辛抱だ。 364 00:27:26,745 --> 00:27:28,747 あい。 365 00:27:33,619 --> 00:27:41,093 ハッハハハハ。 どちらにしても 人がよすぎるぜ あの旦那も。 366 00:27:41,093 --> 00:27:45,264 フフ なあ…。 やめて こんなとこで。 367 00:27:45,264 --> 00:27:48,167 いいじゃねえかよ そのうち そうなるんだからよ。 368 00:27:48,167 --> 00:27:51,603 嫌ゆうたら 今は嫌! お米。 369 00:27:51,603 --> 00:27:53,605 (刺さる音) うっ! 370 00:28:14,560 --> 00:28:17,596 弦之丞様。 371 00:28:17,596 --> 00:28:20,098 よいのだな お米。 372 00:28:22,301 --> 00:28:24,303 はい。 373 00:28:37,583 --> 00:28:43,255 うちは 命を懸けて 弦之丞様をお守りするんや。 374 00:28:43,255 --> 00:28:48,594 あんたより うちのほうが ほれてるんや。 375 00:28:48,594 --> 00:28:52,397 (せきこみ) 376 00:29:01,540 --> 00:29:03,842 早く。 377 00:29:06,878 --> 00:29:08,880 千絵様! 378 00:29:13,552 --> 00:29:16,355 親分 ここは? 379 00:29:21,226 --> 00:29:26,565 おお! 目が覚めたかい。 380 00:29:26,565 --> 00:29:29,368 ここは 一体…。 381 00:29:35,574 --> 00:29:38,910 親分 弦之丞様は? 382 00:29:38,910 --> 00:29:40,846 弦之丞様はどこですか? 383 00:29:40,846 --> 00:29:46,551 実は… うん その事だが。 384 00:29:50,088 --> 00:29:54,960 おい! ああ~ 千絵様! 385 00:29:54,960 --> 00:29:57,829 <千絵は 弦之丞を追った。➡ 386 00:29:57,829 --> 00:30:01,433 弦之丞と共に 阿波へと行かねばならない。➡ 387 00:30:01,433 --> 00:30:03,935 弦之丞と共に> 388 00:30:10,142 --> 00:30:12,844 あっ 待てい そこの2人。 389 00:30:16,915 --> 00:30:22,120 (竹屋三位卿)啓之助 あの者どもを問いただしてみよ。 390 00:30:27,292 --> 00:30:31,129 し… しばらく お待ちを。 391 00:30:31,129 --> 00:30:33,165 何じゃ? 392 00:30:33,165 --> 00:30:36,935 これは その… 実は➡ 393 00:30:36,935 --> 00:30:41,139 この者は 手前どもの中間で 宅助と申し➡ 394 00:30:41,139 --> 00:30:45,811 もう一人は その… 私の身寄りの者でして。 395 00:30:45,811 --> 00:30:48,847 (竹屋三位卿) 身寄り? そんな話…。 396 00:30:48,847 --> 00:30:54,152 なるほど。 397 00:30:54,152 --> 00:30:59,324 隠し女か? う? ウハハハハ。 398 00:30:59,324 --> 00:31:02,928 そういう事でおじゃったか。 ハハハハハ。 399 00:31:02,928 --> 00:31:06,765 宅助! 何をぐずぐずしておるのだ たわけ者めが! 400 00:31:06,765 --> 00:31:10,469 森様を怒らせてはいけません。 早うなさい! 401 00:31:17,275 --> 00:31:21,613 つづらは 今し方 小屋の奥から 船の中へ運び込まれたようです。 402 00:31:21,613 --> 00:31:26,451 編み笠の侍のしわざは 我々の目をごまかすためかと。 403 00:31:26,451 --> 00:31:29,121 あ そうか。 404 00:31:29,121 --> 00:31:32,157 あ では お内儀 ここで。 405 00:31:32,157 --> 00:31:36,294 まことに 行き届かぬ事ばかりで ございました。 406 00:31:36,294 --> 00:31:40,132 商い船なので お席も むさ苦しゅうございますが➡ 407 00:31:40,132 --> 00:31:42,067 どうぞ ご辛抱下さいませ。 408 00:31:42,067 --> 00:31:44,302 新吉。 (新吉)へい。頼んだで。 409 00:31:44,302 --> 00:32:09,094 ♬~ 410 00:32:09,094 --> 00:32:15,600 <二百石船は 貝触れとともに 港を離れた> 411 00:32:15,600 --> 00:32:20,105  心の声  法月様 お綱さん お達者で。➡ 412 00:32:20,105 --> 00:32:24,409 ご武運を お祈り致しております。 413 00:32:26,611 --> 00:32:32,317 常木様。ご苦労だった お久良。 はい。 414 00:32:43,161 --> 00:32:45,997 千絵殿! 415 00:32:45,997 --> 00:32:49,301 遅かった。 416 00:32:49,301 --> 00:32:54,806 弦之丞様が… 弦之丞様が! 417 00:33:03,248 --> 00:33:06,585 弦之丞様~! 418 00:33:06,585 --> 00:33:19,931 ♬~ 419 00:33:19,931 --> 00:33:22,601 <三位卿が動き出したのは➡ 420 00:33:22,601 --> 00:33:29,107 安治川沿いの阿州屋敷の 水見番所が近くなった頃である> 421 00:33:29,107 --> 00:33:33,278 (竹屋三位卿)松兵衛 ここにある 2つの荷つづら➡ 422 00:33:33,278 --> 00:33:37,115 この中の品物は何か? 423 00:33:37,115 --> 00:33:41,453 中をあらためさせよと 言うておるのじゃ。 424 00:33:41,453 --> 00:33:46,291 (松兵衛)それは ごめんこうむる。 船の上では 船頭がご城主様だ。 425 00:33:46,291 --> 00:33:49,127 船頭の言う事を聞いて頂く。 426 00:33:49,127 --> 00:33:53,999 では 新吉。 そなたに問う。 427 00:33:53,999 --> 00:33:58,470 このつづらの中の品物は何か? 428 00:33:58,470 --> 00:34:00,405 こ… 困ります 三位卿様。➡ 429 00:34:00,405 --> 00:34:03,241 こ… これは 梅渓家からお預かりした➡ 430 00:34:03,241 --> 00:34:05,744 蜂須賀様にお届けする貴重なお品。 431 00:34:05,744 --> 00:34:08,780 三位卿様なら この雪のせ笹の御紋は➡ 432 00:34:08,780 --> 00:34:11,550 梅渓家ご所有のものと ご存じのはず。 433 00:34:11,550 --> 00:34:16,755 言うな! このつづらの紋を 何よりのものと心得て➡ 434 00:34:16,755 --> 00:34:19,224 梅渓家の威光を借りて➡ 435 00:34:19,224 --> 00:34:22,928 我らが手出しできぬと 思うているのであろう。 436 00:34:22,928 --> 00:34:26,431 抜け乗りの者が潜んでいる事は➡ 437 00:34:26,431 --> 00:34:29,334 四国屋を出る時から 読めていた事じゃ。 438 00:34:29,334 --> 00:34:32,103 そのような事は…。 え~い 黙らっしゃい! 439 00:34:32,103 --> 00:34:36,107 天堂! 関谷! 旅川! ⚟(天堂 関谷 旅川)はっ! 440 00:34:40,779 --> 00:34:47,452 このつづらの中 刀で探ってみよ。 (天堂 関谷 旅川)はっ! 441 00:34:47,452 --> 00:34:50,355 ちょっと… お待ち下さい! どけ! 442 00:34:50,355 --> 00:34:52,324 ああ。 ちょっ…! 443 00:34:52,324 --> 00:35:00,031 ♬~ 444 00:35:00,031 --> 00:35:04,936 ⚟(爪で引っかくような音) 445 00:35:04,936 --> 00:35:09,407 (新吉)三位卿様! (竹屋三位卿)言うか? 言わぬか! 446 00:35:09,407 --> 00:35:12,911 ですから これは 梅渓様からの お荷物で…! 447 00:35:12,911 --> 00:35:16,748 ええい! まだ言うか! 448 00:35:16,748 --> 00:35:18,783 やれ。 449 00:35:18,783 --> 00:35:20,785 たあ! 450 00:35:26,925 --> 00:35:32,597 これでも抗弁致すか。 松兵衛! 新吉! 451 00:35:32,597 --> 00:35:35,266 そ… それは…。 452 00:35:35,266 --> 00:35:45,910 ♬~ 453 00:35:45,910 --> 00:35:50,281 三位卿様 水見番所からのはしけが 近づいてきております。 454 00:35:50,281 --> 00:35:53,952 そのはしけ この下に呼びなされ。 455 00:35:53,952 --> 00:35:58,790 このつづら 屋敷まで運び出すのじゃ。 456 00:35:58,790 --> 00:36:00,792 はっ。 457 00:36:05,563 --> 00:36:08,466 とうとう法月弦之丞をしとめたぞ。 458 00:36:08,466 --> 00:36:12,070 ああ。 そのようだな。 459 00:36:12,070 --> 00:36:16,408 どうした? これで 九鬼も浮かばれる。 460 00:36:16,408 --> 00:36:32,857 ♬~ 461 00:36:32,857 --> 00:36:38,096 ああ。 まだ多少は 息の根が残っておるやもしれぬ。 462 00:36:38,096 --> 00:36:42,767 中の2人を 引きずり出しなはれ。 463 00:36:42,767 --> 00:36:45,470 はっ。 それ! 464 00:36:53,945 --> 00:36:56,281 では。 開けます。 465 00:36:56,281 --> 00:36:58,216 ああ。 466 00:36:58,216 --> 00:37:02,087 ♬~ 467 00:37:02,087 --> 00:37:04,556 こ… これは! 468 00:37:04,556 --> 00:37:07,225 いかが致した? 469 00:37:07,225 --> 00:37:10,562 嘘だ。 何~? 470 00:37:10,562 --> 00:37:14,566 嘘じゃ 嘘じゃ~! 471 00:37:21,906 --> 00:37:28,246 この女は 弦之丞の連れの者ではないのか? 472 00:37:28,246 --> 00:37:32,417 この女は 森の女。 ええ? 473 00:37:32,417 --> 00:37:35,753 向こうのつづらも また 森の中間。 474 00:37:35,753 --> 00:37:39,591 なんという事だ! なんという…。 475 00:37:39,591 --> 00:37:44,095 え~い うまうまと たばかられたか! 476 00:37:44,095 --> 00:37:46,598 あっ。 そうじゃ。 477 00:37:46,598 --> 00:37:53,271 あの時の船待小屋の怪しい男女。 それを お前が えっ? 478 00:37:53,271 --> 00:37:57,776 お前が いらぬ口出しをした ばっかりに! う~ えい! 479 00:37:57,776 --> 00:38:00,678 このあほうが! あほうが! 480 00:38:00,678 --> 00:38:04,215 お前が お前が この…! 481 00:38:04,215 --> 00:38:08,086 うわ~! (竹屋三位卿)ああ~! ひい~! 482 00:38:08,086 --> 00:38:15,226 米… 米~! ああ~! 483 00:38:15,226 --> 00:38:20,398 嫌じゃ 嫌じゃ~! 484 00:38:20,398 --> 00:38:22,433 米~。 485 00:38:22,433 --> 00:38:28,640 なぜこのような…。 米~。 486 00:38:31,576 --> 00:38:36,447  回想  (お米)弦之丞様 お達者で。 487 00:38:36,447 --> 00:39:00,738 ♬~ 488 00:39:00,738 --> 00:39:03,441 とんだ事になっちまって。 489 00:39:07,879 --> 00:39:11,749 やっぱり止めるべきでした。 490 00:39:11,749 --> 00:39:14,052 私のせいだ。 491 00:39:21,059 --> 00:39:23,061 何だい? 492 00:39:25,230 --> 00:39:28,900 何だい? 493 00:39:28,900 --> 00:39:31,202 弦之丞様…。 494 00:39:35,406 --> 00:39:39,911 あなたのためなら何でもします。 495 00:39:39,911 --> 00:39:43,615 何でもおっしゃって下さい。 496 00:39:46,251 --> 00:39:50,255 (せきこみ) 497 00:39:52,123 --> 00:39:57,428 うちの体は 長うない。 498 00:39:57,428 --> 00:40:03,434 どうせ はかない命なら あなたに差し出します。 499 00:40:05,103 --> 00:40:07,605 駄目 そんな事言っては駄目! 500 00:40:07,605 --> 00:40:09,607 口出しせんといて。 501 00:40:14,379 --> 00:40:17,782 何をすればよいのですか?➡ 502 00:40:17,782 --> 00:40:26,591 教えて下さい。 何でもおっしゃって下さい。 503 00:40:30,295 --> 00:40:34,632 うちの…➡ 504 00:40:34,632 --> 00:40:40,138 うちの弦之丞様のためやもん。 505 00:40:43,641 --> 00:40:47,979 何でも致します。 506 00:40:47,979 --> 00:41:05,463 ♬~ 507 00:41:05,463 --> 00:41:10,101 <文字どおり お米の命を懸けた恋が➡ 508 00:41:10,101 --> 00:41:12,804 終わったのである> 509 00:41:16,607 --> 00:41:19,444 やはり 私は➡ 510 00:41:19,444 --> 00:41:22,480 人でなしの道を歩くしか ないらしい。 511 00:41:22,480 --> 00:41:26,784 そのような言い方をしては➡ 512 00:41:26,784 --> 00:41:31,122 お米さんの覚悟が水の泡です。 513 00:41:31,122 --> 00:41:33,057 そうだな。 514 00:41:33,057 --> 00:41:37,462 (笑い声) 515 00:41:37,462 --> 00:41:40,365 お前たちは! どうだい 驚いたかい。 516 00:41:40,365 --> 00:41:43,134 三位卿の目はかすめても➡ 517 00:41:43,134 --> 00:41:45,636 この孫兵衛が あんな甘手に 引っかかるものか! 518 00:41:45,636 --> 00:41:48,139 船待小屋から出ていく お前たち2人➡ 519 00:41:48,139 --> 00:41:51,042 どうにも気になり 船から降りずにいたのだ。 520 00:41:51,042 --> 00:41:55,313 お綱 船の下は鳴門のうず。➡ 521 00:41:55,313 --> 00:41:57,815 ここが 法月弦之丞の墓場となる。 522 00:41:57,815 --> 00:42:02,420 お前はどうする? 俺と来るか 墓場へ行くか! 523 00:42:02,420 --> 00:42:04,756 しゃらくせえ。 524 00:42:04,756 --> 00:42:07,258 墓場に行くのは そっちだよ。 525 00:42:08,926 --> 00:42:10,928 死ね! 526 00:42:20,638 --> 00:42:23,141 お綱 覚悟せよ。 527 00:42:27,945 --> 00:42:32,116 鳴門のうずの中へと 身を翻した弦之丞とお綱。 528 00:42:32,116 --> 00:42:34,919 さて その運命やいかに。