1 00:00:03,918 --> 00:00:07,218 おばあちゃんのためだったら エンヤコラだよ。 2 00:00:09,824 --> 00:00:14,362 なぜ 雪深い その村に おしんが執着するのか➡ 3 00:00:14,362 --> 00:00:16,430 圭には 分からなかった。 4 00:00:16,430 --> 00:00:19,867 …が おしんの思い詰めた表情に➡ 5 00:00:19,867 --> 00:00:24,167 圭は 熱いものを 覚えていたのである。 6 00:00:33,180 --> 00:00:35,850 (なつ)私を ここで働かせて下さい。 7 00:00:35,850 --> 00:00:38,686 何でもします。 (泰樹)いいんでないかい。 8 00:00:38,686 --> 00:00:41,022 その方が その子も ここに いやすいと言っとるんだべ。 9 00:00:41,022 --> 00:00:42,957 (剛男)言ってませんよ。 言ってます! 10 00:00:42,957 --> 00:00:45,192 言ってるんでないか。 (富士子)いいから なっちゃん。 11 00:00:45,192 --> 00:00:48,529 それでこそ 赤の他人じゃ。 お義父さん! 12 00:00:48,529 --> 00:00:51,032 明日から 夜明けとともに起きて働け。 13 00:00:51,032 --> 00:00:53,032 はい! 14 00:00:56,904 --> 00:01:04,211 なつが 北海道の開拓者の一家 柴田家に来て 数日がたちました。 15 00:01:04,211 --> 00:01:06,714 ここで働くと決めたなつは➡ 16 00:01:06,714 --> 00:01:11,052 一日も早く 酪農の仕事を覚えようと 必死でした。 17 00:01:11,052 --> 00:01:13,087 おはようございます! 18 00:01:13,087 --> 00:01:15,356 (鳴き声) 19 00:01:15,356 --> 00:01:27,101 ♬~ 20 00:01:27,101 --> 00:01:36,177 ♬「重い扉を押し開けたら 暗い道が続いてて」 21 00:01:36,177 --> 00:01:45,853 ♬「めげずに歩いたその先に 知らなかった世界」 22 00:01:45,853 --> 00:01:55,196 ♬「氷を散らす風すら 味方にもできるんだなあ」 23 00:01:55,196 --> 00:02:04,705 ♬「切り取られることのない 丸い大空の色を」 24 00:02:04,705 --> 00:02:14,048 ♬「優しいあの子にも教えたい」 25 00:02:14,048 --> 00:02:23,848 ♬「ルルル…」 26 00:02:28,896 --> 00:02:30,931 おはようございます! おはよう なっちゃん。 27 00:02:30,931 --> 00:02:34,668 (菊介)今朝は元気だな。 (悠吉)早起きにも慣れたんかい? 28 00:02:34,668 --> 00:02:38,005 はい。 なっちゃん こっち手伝って。 29 00:02:38,005 --> 00:02:40,674 はい。 はい。 30 00:02:40,674 --> 00:02:44,545 朝は 4時に始まります。 31 00:02:44,545 --> 00:02:49,683 まずは 牛たちに よい乳を たくさん たくさん出してもらえるよう➡ 32 00:02:49,683 --> 00:02:53,320 乾燥させた飼料などを与えます。 33 00:02:53,320 --> 00:02:56,023 おはよう 今日もよろしくね。 34 00:02:56,023 --> 00:03:00,694 よいしょ… 今日もよろしくね。 35 00:03:00,694 --> 00:03:03,894 おはよう。 (鳴き声) 36 00:03:06,867 --> 00:03:09,703 それから 搾乳をします。 37 00:03:09,703 --> 00:03:20,214 ♬~ 38 00:03:20,214 --> 00:03:25,085 なつは まだできません。 39 00:03:25,085 --> 00:03:31,158 そして 牛を放牧して 新鮮な草を食べさせます。 40 00:03:31,158 --> 00:03:34,662 行ってらっしゃ~い! 元気いっぱい 草を食べてね! 41 00:03:34,662 --> 00:03:37,498 糞もしてね! 42 00:03:37,498 --> 00:03:40,301 行ってらっしゃ~い! 行ってらっしゃ~い! 43 00:03:40,301 --> 00:03:44,004 (夕見子 照男)行ってきま~す。 はい 行ってらっしゃい。 44 00:03:44,004 --> 00:03:48,175 行ってらっしゃ~い! 行ってらっしゃ~い! 45 00:03:48,175 --> 00:03:50,845 なっちゃん おはよう! 46 00:03:50,845 --> 00:03:54,682 おはようございま~す! 47 00:03:54,682 --> 00:03:56,717 元気いっぱい 糞もしてね! 48 00:03:56,717 --> 00:03:59,017 行ってらっしゃ~い! 49 00:04:02,189 --> 00:04:05,860 じゃあ 次 糞出しやってくれ。 はい。 50 00:04:05,860 --> 00:04:09,697 牛たちが出ていくと これからが大変です。 51 00:04:09,697 --> 00:04:13,033 牛たちの寝床を きれいにするのです。 52 00:04:13,033 --> 00:04:14,969 なっちゃん 頑張れよ。 53 00:04:14,969 --> 00:04:19,340 牛になりたいべ。 あれら 一日食ってんのが仕事だ。 54 00:04:19,340 --> 00:04:21,275 羨ましいべ。 55 00:04:21,275 --> 00:04:23,878 ハハハハ…。 56 00:04:23,878 --> 00:04:28,215 私は 乳を出せないから➡ 57 00:04:28,215 --> 00:04:31,151 力を出さないと。 58 00:04:31,151 --> 00:04:34,021 なっちゃん…。 59 00:04:34,021 --> 00:04:37,321 子どもの冗談とは思えんべさ。 60 00:04:41,662 --> 00:04:44,164 いいのかい? 61 00:04:44,164 --> 00:04:48,035 このまま なっちゃん 学校にも やらないで。 62 00:04:48,035 --> 00:04:51,305 今は あの子の好きにさせるしかないさ。 63 00:04:51,305 --> 00:04:54,508 あの子にも 意地みたいなもんがあんだわ。 64 00:04:54,508 --> 00:04:57,177 ず~っと 大人に頼らず生きてきたからな。 65 00:04:57,177 --> 00:04:59,680 大人のあんたが連れてきたんでしょ。 66 00:04:59,680 --> 00:05:01,715 無責任だわ そんなの。 67 00:05:01,715 --> 00:05:05,185 なっちゃんは だいぶ 仕事にも慣れた。 68 00:05:05,185 --> 00:05:08,485 自分を認めてもらおうと必死なんだわ。 69 00:05:15,529 --> 00:05:20,701 俺には その気持ち よ~く分かるさ。 70 00:05:20,701 --> 00:05:23,737 はあ… な~して 男って➡ 71 00:05:23,737 --> 00:05:28,342 自分の身に置き換えて 人のことを考えることしかできないのさ。 72 00:05:28,342 --> 00:05:32,646 したけど これから あの子が ここで生きてくためには➡ 73 00:05:32,646 --> 00:05:34,682 大事なことのように思うんだ。 74 00:05:34,682 --> 00:05:37,151 今は見守るしかないよ。 75 00:05:37,151 --> 00:05:41,488 (ため息) 大丈夫だって。 76 00:05:41,488 --> 00:05:43,424 俺が ついてんだから。 77 00:05:43,424 --> 00:05:46,360 だから 心配だべさ! 78 00:05:46,360 --> 00:05:50,998 よし 明美 お父ちゃんとこ来い。 ほら 明美…。 79 00:05:50,998 --> 00:05:55,502 まだ慣れないのか。 ほら 父ちゃんだぞ。 よし おいで おいで おいで…。 80 00:05:55,502 --> 00:05:57,502 よいしょ。 81 00:06:00,307 --> 00:06:05,607 それから 新しい寝ワラを 牛舎に敷き詰めてゆきます。 82 00:06:09,049 --> 00:06:11,518 あっ… 大丈夫? 83 00:06:11,518 --> 00:06:15,689 大丈夫です。 自分でやれます。 84 00:06:15,689 --> 00:06:32,973 ♬~ 85 00:06:32,973 --> 00:06:36,844 (一同)頂きます。 86 00:06:36,844 --> 00:06:41,649 それから やっと朝食です。 87 00:06:41,649 --> 00:06:46,286 食べている時のなつは 本当に幸せでした。 88 00:06:46,286 --> 00:06:49,823 なっちゃんは 本当に いい食いっぷりだな。 89 00:06:49,823 --> 00:06:52,660 あんだけ働けば 腹も減るべさ。 90 00:06:52,660 --> 00:06:56,163 牛に負けんな。 牛と張り合って どうすんだよ。 91 00:06:56,163 --> 00:06:59,833 な~に いいべさ…。 何言ってんだ おやじ。 92 00:06:59,833 --> 00:07:04,033 黙って食え。 うっせえよ おやじも黙って食え。 93 00:07:05,639 --> 00:07:11,178 朝食が終わると 今度は 畑仕事が始まります。 94 00:07:11,178 --> 00:07:17,378 柴田家では 酪農のかたわら 豆やジャガイモを作っていました。 95 00:07:24,191 --> 00:07:31,891 おじいさんは 搾った牛乳を 集乳所まで 馬車で運んでいきます。 96 00:07:41,141 --> 00:07:44,044 お帰りなさい。 97 00:07:44,044 --> 00:07:47,648 お帰りなさい。 いっぱい食べた? 98 00:07:47,648 --> 00:07:49,683 いっぱい糞した? はい ただいま。 99 00:07:49,683 --> 00:07:52,983 ハハッ お帰りなさい。 100 00:07:56,156 --> 00:08:03,156 それから 夕方にも 帰ってきた牛たちの乳を搾ります。 101 00:08:10,671 --> 00:08:17,971 (鳴き声) 102 00:08:24,017 --> 00:08:52,646 ♬~ 103 00:08:52,646 --> 00:08:55,482 おい。 あっ お兄ちゃん! 104 00:08:55,482 --> 00:09:00,354 えっ? 何? えっ? 105 00:09:00,354 --> 00:09:04,158 ハハハ… 何だ 寝ぼけてただけだ。 106 00:09:04,158 --> 00:09:08,158 寝るか食うか どっちかにしろや。 107 00:09:10,664 --> 00:09:14,464 はい… 頂きます。 108 00:09:19,306 --> 00:09:23,177 (泣き声) 109 00:09:23,177 --> 00:09:25,679 なしたの? 110 00:09:25,679 --> 00:09:31,251 だって かわいそうだべさ…。 111 00:09:31,251 --> 00:09:35,122 この いい加減にしろ! この頑固ジジイ! 112 00:09:35,122 --> 00:09:37,958 わしが何したんじゃ。 富士子ちゃん 落ち着いて。 113 00:09:37,958 --> 00:09:40,260 ごめんなさい! なっちゃんはいいんだよ。 114 00:09:40,260 --> 00:09:42,963 ごちそうさん! おい 夕見子! 115 00:09:42,963 --> 00:09:46,466 (泣き声) 116 00:09:46,466 --> 00:09:49,266 どうなってんだ…。 117 00:09:57,644 --> 00:10:00,944 ≪(足音) 118 00:10:02,516 --> 00:10:05,519 もう やだ! 119 00:10:05,519 --> 00:10:08,655 なした? なしたの? 120 00:10:08,655 --> 00:10:10,991 あの子 いびきうるさくて寝られない。 121 00:10:10,991 --> 00:10:16,496 (いびき) 122 00:10:16,496 --> 00:10:18,532 疲れてるんだわ。 123 00:10:18,532 --> 00:10:21,668 夕見子 こっちで寝ろ。 124 00:10:21,668 --> 00:10:25,668 やだ。 おじいちゃんとこで寝る。 125 00:10:28,442 --> 00:10:30,442 夕見子…。 126 00:10:32,179 --> 00:10:41,879 (いびき) 127 00:10:43,891 --> 00:10:46,526 その日は 日曜日でした。 128 00:10:46,526 --> 00:10:50,326 牛には もちろん 日曜日などありません。 129 00:11:11,218 --> 00:11:13,918 おい こっち来い。 130 00:11:18,558 --> 00:11:21,361 やってみろ。 えっ? 131 00:11:21,361 --> 00:11:24,361 搾ってみろ。 132 00:11:27,167 --> 00:11:29,102 はい! 133 00:11:29,102 --> 00:11:32,402 お願いします! 134 00:11:40,180 --> 00:11:42,849 よろしくね。 蹴らないでね。 135 00:11:42,849 --> 00:11:44,785 (鳴き声) 136 00:11:44,785 --> 00:11:46,720 大丈夫 大丈夫…。 137 00:11:46,720 --> 00:11:52,559 牛から離れるな。 おっかなくても くっつく方が安全じゃ。 138 00:11:52,559 --> 00:11:55,195 はい。 139 00:11:55,195 --> 00:12:02,336 まずは このあっためた布で 乳首を拭いてやる。 140 00:12:02,336 --> 00:12:06,336 そして よくあっためるんだ。 はい。 141 00:12:08,542 --> 00:12:12,412 強く刺激してやらんと 乳は出ん。 142 00:12:12,412 --> 00:12:17,712 でも 素早くやらんと 牛が嫌がる。 はい。 143 00:12:23,056 --> 00:12:26,360 よし もういいだろう。 搾れ。 144 00:12:26,360 --> 00:12:28,560 はい。 145 00:12:30,731 --> 00:12:36,837 数を数えるように 上から指を折るようにして搾る。 146 00:12:36,837 --> 00:12:40,507 指を…。 147 00:12:40,507 --> 00:12:42,542 あっ! 148 00:12:42,542 --> 00:12:47,280 そうか そうやるんだ。 149 00:12:47,280 --> 00:12:50,580 おっ おっ おっ おっ…。 150 00:12:55,322 --> 00:12:57,257 あっ。 151 00:12:57,257 --> 00:13:11,705 ♬~ 152 00:13:11,705 --> 00:13:15,575 (剛男)すごい! やったな なっちゃん! 153 00:13:15,575 --> 00:13:19,046 うまいもんだ。 もう調子が出てきたべさ。 154 00:13:19,046 --> 00:13:22,916 なっちゃんは 本当に 俺たちの仕事を よく見てたんだな。 155 00:13:22,916 --> 00:13:25,919 ハハハハハハ…。 156 00:13:25,919 --> 00:13:42,719 ♬~ 157 00:13:44,838 --> 00:13:47,874 随分 上手んなったな。 158 00:13:47,874 --> 00:13:50,310 ダメだよ 俺なんか。 159 00:13:50,310 --> 00:13:52,846 じいちゃんに頼りにされてないし。 160 00:13:52,846 --> 00:13:57,184 ああ… 父さんだって じいちゃんに頼られたことはないよ。 161 00:13:57,184 --> 00:13:59,519 気にすんなよ。 162 00:13:59,519 --> 00:14:03,323 照男 あの子のこと頼むな。 163 00:14:03,323 --> 00:14:06,526 父さんは お前を頼りにしてるんだぞ。 164 00:14:06,526 --> 00:14:10,697 いいよ そんなこと。 そんなことって何だ。 165 00:14:10,697 --> 00:14:14,868 俺は 父さん 偉いと思うよ。 166 00:14:14,868 --> 00:14:20,068 照男… ありがとう。 167 00:14:23,577 --> 00:14:28,348 夕見子 ちょっといいかな? 168 00:14:28,348 --> 00:14:32,152 おっ 勉強か 偉いな。 169 00:14:32,152 --> 00:14:35,989 父さんも 働くより 勉強の方が好きだったな。 170 00:14:35,989 --> 00:14:40,160 夕見子は 父さんに似たんだな。 171 00:14:40,160 --> 00:14:44,030 働けってかい? いや… そうじゃないよ。 172 00:14:44,030 --> 00:14:47,033 じゃ 何? うん…。 173 00:14:47,033 --> 00:14:53,533 父さんが あの子を ここに連れてきた 理由を ちゃんと話そうと思ってな。 174 00:14:56,309 --> 00:14:59,679 あの子がいない! (剛男)えっ? 175 00:14:59,679 --> 00:15:01,715 父さんが どっかに連れてったみたい。 176 00:15:01,715 --> 00:15:03,715 えっ どこへ? 177 00:15:08,855 --> 00:15:12,692 なつは そのころ 荷馬車に乗っていました。 178 00:15:12,692 --> 00:15:17,564 まるで どこかへ売られてゆくように。 179 00:15:17,564 --> 00:15:22,764 なつよ 一体 どこへ揺られてゆくよ。