1 00:00:06,660 --> 00:00:08,929 母ちゃん…。 2 00:00:08,929 --> 00:00:14,101 気にする事ねえよ。 今更 始まった事でねえんだから。 3 00:00:14,101 --> 00:00:16,970 このうちに 母ちゃんを置いておけない。 4 00:00:16,970 --> 00:00:19,673 東京に連れていく。 5 00:00:19,673 --> 00:00:24,673 その時 おしんは 固く 心に決めていた。 6 00:00:33,654 --> 00:00:35,656 (井戸原)君に➡ 7 00:00:35,656 --> 00:00:40,794 アニメーターとしての可能性が あることだけは➡ 8 00:00:40,794 --> 00:00:43,697 誰もが認めざるをえない。 (仲)合格だ。 9 00:00:43,697 --> 00:00:47,697 (麻子)じゃ 頑張んなさいよ。 (下山)ようこそ 動画の世界へ! 10 00:00:49,503 --> 00:00:54,174 なつは 晴れて アニメーターになりました。 11 00:00:54,174 --> 00:00:56,810 信さん! 12 00:00:56,810 --> 00:01:01,348 見つかったの? (信哉)うん。 13 00:01:01,348 --> 00:01:03,283 (咲太郎)よし…➡ 14 00:01:03,283 --> 00:01:07,154 8月15日 会いに行こう。 15 00:01:07,154 --> 00:01:14,354 なつと咲太郎は 12年前に別れた妹 千遥を訪ねました。 16 00:01:16,363 --> 00:01:18,363 千遥? 17 00:01:28,542 --> 00:01:32,042 千遥か? 千遥なの? 18 00:01:33,513 --> 00:01:36,650 (幸子)違います。 19 00:01:36,650 --> 00:01:38,585 えっ…。 20 00:01:38,585 --> 00:01:41,989 私は… 違います。 21 00:01:41,989 --> 00:01:46,326 私はってことは… それじゃ 千遥は…? 22 00:01:46,326 --> 00:01:48,996 (幸一)あの… あなた方は? 23 00:01:48,996 --> 00:01:53,667 千遥の家族です。 姉と兄です。 24 00:01:53,667 --> 00:01:57,537 千遥に会いに来たんです…。 25 00:01:57,537 --> 00:02:09,216 ♬~ 26 00:02:09,216 --> 00:02:18,358 ♬「重い扉を押し開けたら 暗い道が続いてて」 27 00:02:18,358 --> 00:02:28,035 ♬「めげずに歩いたその先に 知らなかった世界」 28 00:02:28,035 --> 00:02:37,311 ♬「氷を散らす風すら 味方にもできるんだなあ」 29 00:02:37,311 --> 00:02:46,787 ♬「切り取られることのない 丸い大空の色を」 30 00:02:46,787 --> 00:02:56,163 ♬「優しいあの子にも教えたい」 31 00:02:56,163 --> 00:03:05,672 ♬「ルルル…」 32 00:03:05,672 --> 00:03:15,015 ♬「口にする度に泣けるほど 憧れて砕かれて」 33 00:03:15,015 --> 00:03:23,715 ♬「消えかけた火を胸に抱き たどり着いたコタン」 34 00:03:28,562 --> 00:03:31,362 (鈴の音) 35 00:03:44,177 --> 00:03:46,477 どうぞ。 36 00:03:54,488 --> 00:03:58,188 すみません いきなり来て。 37 00:04:02,162 --> 00:04:06,800 としおばさんは いつ亡くなったんですか? 38 00:04:06,800 --> 00:04:11,171 はい… 2年前に病気で…。 39 00:04:11,171 --> 00:04:15,171 これは 下の娘の幸子です。 40 00:04:16,810 --> 00:04:19,679 幸ちゃんか…。 41 00:04:19,679 --> 00:04:23,016 幸ちゃんは 確か 千遥の2つ上だったよね? 42 00:04:23,016 --> 00:04:25,519 今 19です。 43 00:04:25,519 --> 00:04:30,219 千遥が 本当にお世話になって…。 44 00:04:34,628 --> 00:04:40,328 そんで 千遥は 今 どこにいますか? 45 00:04:43,136 --> 00:04:45,639 申し訳ない…。 46 00:04:45,639 --> 00:04:49,139 千遥ちゃんは いないんです。 47 00:04:51,511 --> 00:04:55,649 いないって どういうことですか? 48 00:04:55,649 --> 00:05:00,487 いないんです…。 許して下さい…。 49 00:05:00,487 --> 00:05:04,324 どういうことですか? 50 00:05:04,324 --> 00:05:10,797 千遥は…➡ 51 00:05:10,797 --> 00:05:15,502 死んだということですか? 52 00:05:15,502 --> 00:05:21,308 いえ それが…➡ 53 00:05:21,308 --> 00:05:23,810 家出をしたんです…。 54 00:05:23,810 --> 00:05:27,013 家出? いつですか! 55 00:05:27,013 --> 00:05:34,621 私が復員して しばらくしてから… 21年の夏でした。➡ 56 00:05:34,621 --> 00:05:39,960 警察にも届けたんですが 手がかりはなくて…。 57 00:05:39,960 --> 00:05:44,464 そんな… そんな前に…。 58 00:05:44,464 --> 00:05:49,970 それなら どうして教えてくれなかったんですか!? 59 00:05:49,970 --> 00:05:53,006 (幸一)私は すぐ 千遥ちゃんのいた 孤児院に行ったんです。➡ 60 00:05:53,006 --> 00:05:58,645 そしたら そこには もう 誰もいませんでした。 61 00:05:58,645 --> 00:06:01,481 手紙は? 俺の出した手紙があったはずです。 62 00:06:01,481 --> 00:06:07,154 その手紙には ここにいる なつの住んでた 北海道の住所が書かれていたはずです。 63 00:06:07,154 --> 00:06:11,791 その手紙は 千遥ちゃんが持って出たようです。 64 00:06:11,791 --> 00:06:15,662 千遥が? はい…。 65 00:06:15,662 --> 00:06:19,666 だから… いずれは あなた方に会えるだろうと➡ 66 00:06:19,666 --> 00:06:24,004 私たちは いちるの望みを抱いていたんですが…。 67 00:06:24,004 --> 00:06:30,777 千遥は… 私らに会いたくなって 家出したんですよね? 68 00:06:30,777 --> 00:06:34,777 私や兄に会いたくて…。 69 00:06:38,518 --> 00:06:45,625 うちの母から 逃げたんだと思います。 70 00:06:45,625 --> 00:06:48,128 えっ? (幸一)幸子。 71 00:06:48,128 --> 00:06:50,163 逃げたって…。 どうして? 72 00:06:50,163 --> 00:06:58,163 母が… 千遥ちゃんに きつく当たっていたからだと思います。 73 00:07:01,474 --> 00:07:08,148 (幸子)千遥ちゃんにばかり きつい仕事を言いつけて…➡ 74 00:07:08,148 --> 00:07:16,790 食べ物も 私や兄や姉よりも 少なく与えて…➡ 75 00:07:16,790 --> 00:07:25,332 それで 我慢しきれなくなって 千遥ちゃんは逃げ出したんだと思います。 76 00:07:25,332 --> 00:07:28,668 おばさんが? 77 00:07:28,668 --> 00:07:32,606 おばさんは そんな人じゃなかった…。 78 00:07:32,606 --> 00:07:35,475 俺は よく覚えてます。 79 00:07:35,475 --> 00:07:40,614 母にとって おばさんは 唯一の姉妹みたいな人で…➡ 80 00:07:40,614 --> 00:07:45,452 本当は 俺たち家族全員で 疎開しようとしてたくらいなんです。 81 00:07:45,452 --> 00:07:51,958 あのころの家内は 本当の家内ではなくなっていました。 82 00:07:51,958 --> 00:07:58,465 私が こんな体になって復員して… 幸子の上にも 3人の子どもがいて➡ 83 00:07:58,465 --> 00:08:01,968 食べ物もなくて 働き手もいなくて…。 84 00:08:01,968 --> 00:08:09,668 だから… 千遥を いじめたんですか? 85 00:08:12,145 --> 00:08:20,654 千遥は… ずっと苦しんでたんですか…。 86 00:08:20,654 --> 00:08:25,525 千遥ちゃんは ずっと笑っていました。 87 00:08:25,525 --> 00:08:27,527 えっ? 88 00:08:27,527 --> 00:08:34,527 だから 私も平気なのかと思って…。 89 00:08:36,436 --> 00:08:46,146 千遥ちゃんは 嫌なことがあっても 作り笑いばかり浮かべてて➡ 90 00:08:46,146 --> 00:08:51,451 それで 母は 余計に イライラしてたみたいで…➡ 91 00:08:51,451 --> 00:08:55,151 バカにしてるのかって どなって…。 92 00:08:58,625 --> 00:09:03,496 ごめんなさい… 私たちのせいなんです…。 93 00:09:03,496 --> 00:09:07,967 本当に申し訳ない…。 94 00:09:07,967 --> 00:09:14,641 ♬~ 95 00:09:14,641 --> 00:09:17,143 なつ…。 96 00:09:17,143 --> 00:09:42,268 ♬~ 97 00:09:42,268 --> 00:09:44,604 (千遥)サンキュー。 98 00:09:44,604 --> 00:10:24,144 ♬~ 99 00:10:24,144 --> 00:10:27,180 なんて つらい日だ…。 100 00:10:27,180 --> 00:10:31,651 私は もう そちらには帰れない。 101 00:10:31,651 --> 00:10:39,325 千遥が 今 どうしているのか 2人に 何も話してやれない。 102 00:10:39,325 --> 00:10:43,496 この日は なつたち きょうだいにとっても➡ 103 00:10:43,496 --> 00:10:46,533 特別な日だったのです。 104 00:10:46,533 --> 00:10:49,669 乾杯。 (亜矢美)お祝いしとこ…。 105 00:10:49,669 --> 00:10:51,604 (戸が開く音) 106 00:10:51,604 --> 00:10:54,404 お帰り。 お帰り。 107 00:11:01,181 --> 00:11:03,481 (信哉)どうだった? 108 00:11:05,051 --> 00:11:09,522 千遥は 子どもの頃に 家出をしたらしい。 109 00:11:09,522 --> 00:11:13,022 えっ…。 子どもの頃に? 110 00:11:16,396 --> 00:11:18,832 大丈夫だよ なつ。 111 00:11:18,832 --> 00:11:20,900 警察に届けたと言ってるし…➡ 112 00:11:20,900 --> 00:11:24,204 もし 千遥の身に 何か悪いことが起きたんなら➡ 113 00:11:24,204 --> 00:11:26,139 そういう知らせが とっくにあったはずだよ。 114 00:11:26,139 --> 00:11:29,075 な 信 そう思うだろ? ああ…。 115 00:11:29,075 --> 00:11:32,479 そう… そうね その方が可能性として高いわね。 116 00:11:32,479 --> 00:11:36,149 そういう知らせがないってことは きっと どこかで無事に生きてるってことだわ。 117 00:11:36,149 --> 00:11:42,322 道で暮らす子も 亡くなる子も➡ 118 00:11:42,322 --> 00:11:45,658 街に まだ たくさんいた頃だよ…。 119 00:11:45,658 --> 00:11:50,330 それでも 千遥は… どこかで生きてるよ! 120 00:11:50,330 --> 00:11:54,667 そんな奇跡 信じろって言うの? 121 00:11:54,667 --> 00:11:57,504 お兄ちゃんの手紙だって 持ってってるんでしょ? 122 00:11:57,504 --> 00:12:03,376 それなのに どして連絡がないの! 123 00:12:03,376 --> 00:12:10,683 千遥は 6歳だったんだよ…。 124 00:12:10,683 --> 00:12:13,353 どうやって 一人で生きていくのさ? 125 00:12:13,353 --> 00:12:15,288 一人じゃないかもしれないだろ。 126 00:12:15,288 --> 00:12:17,223 俺やお前も 一人じゃなかった。 127 00:12:17,223 --> 00:12:20,226 だから生きられた。 128 00:12:20,226 --> 00:12:25,226 俺たちが生きられたのだって奇跡だろう。 129 00:12:28,201 --> 00:12:40,480 私は… 何も知らないまま 今まで生きてた…。 130 00:12:40,480 --> 00:12:48,655 千遥の悲しみや絶望を知らないまま…➡ 131 00:12:48,655 --> 00:12:53,526 幸せに…。 132 00:12:53,526 --> 00:12:56,162 千遥を見捨てたのに…。 133 00:12:56,162 --> 00:12:58,097 なつ! なっちゃん…。 そんなふうに考えちゃダメ。 134 00:12:58,097 --> 00:13:05,338 お兄ちゃん… 奇跡なんてないんだわ。 135 00:13:05,338 --> 00:14:03,529 ♬~ 136 00:14:03,529 --> 00:14:09,669 (富士子)「なつ 二十歳の誕生日 おめでとう。➡ 137 00:14:09,669 --> 00:14:13,539 東京へ行って 1年半だね。➡ 138 00:14:13,539 --> 00:14:17,543 仕事には 少し慣れたかい?➡ 139 00:14:17,543 --> 00:14:24,517 なつのことだから きっと 夢中で頑張ってるんだろうね。➡ 140 00:14:24,517 --> 00:14:28,821 二十歳の記念に 万年筆を贈ります。➡ 141 00:14:28,821 --> 00:14:33,292 父さんと選びました。➡ 142 00:14:33,292 --> 00:14:37,630 たまには 手紙書いてね。➡ 143 00:14:37,630 --> 00:14:42,135 みんな喜びます。 母より」。 144 00:14:42,135 --> 00:14:57,984 ♬~ 145 00:14:57,984 --> 00:15:00,984 千遥…。 146 00:15:04,657 --> 00:15:07,957 ごめんね…。 147 00:15:09,529 --> 00:15:15,368 なつよ 二十歳の誕生日 おめでとう。 148 00:15:15,368 --> 00:15:20,673 どうか その夢が その道が➡ 149 00:15:20,673 --> 00:15:23,873 いつまでも続きますように…。