1 00:00:11,458 --> 00:00:16,463 ♬~ 2 00:00:16,463 --> 00:00:19,466 (ナレーター)<徳川の威信が 凋落の兆しを見せ始めた➡ 3 00:00:19,466 --> 00:00:21,468 将軍 家慶のころ➡ 4 00:00:21,468 --> 00:00:23,803 外様大名 薩摩藩を中心に➡ 5 00:00:23,803 --> 00:00:28,141 西国13藩が 不穏の動きを見せ始めた> 6 00:00:28,141 --> 00:00:32,479 <時の老中 水野忠邦の命を受けた 武部仙十郎は➡ 7 00:00:32,479 --> 00:00:35,148 この謀議壊滅を急いだ> 8 00:00:35,148 --> 00:00:39,819 <なぜか江戸をあとに西へ向かう 無頼の徒 眠狂四郎は➡ 9 00:00:39,819 --> 00:00:43,490 知らず知らずのうちに その渦中に巻き込まれていた> 10 00:00:43,490 --> 00:00:48,495 ♬~ 11 00:00:48,495 --> 00:00:52,832 (狂四郎)眠狂四郎と 覚えておいていただこう 12 00:00:52,832 --> 00:01:00,432 ♬~ 13 00:01:14,454 --> 00:01:17,054 フ~ッ フゥ 14 00:01:19,125 --> 00:01:22,128 フ~ッ 15 00:01:22,128 --> 00:01:24,128 こいつはひどいなあ 16 00:01:29,803 --> 00:01:32,472 これはどうも 17 00:01:32,472 --> 00:01:35,072 暮れ方のにわか雨は往生しますな 18 00:01:38,478 --> 00:01:40,480 あれ? 19 00:01:40,480 --> 00:01:43,483 雲が切れてきたようだ 20 00:01:43,483 --> 00:01:45,819 どうやら やみそうですね 21 00:01:45,819 --> 00:01:53,819 ♬~ 22 00:02:00,166 --> 00:02:02,836 ≪(弥藤次)ギャーッ 助けてくれ! 23 00:02:02,836 --> 00:02:07,440 (小萩)キャーッ! (弥藤次)押し込みだ お助け… 24 00:02:07,440 --> 00:02:09,442 (男)この野郎 25 00:02:09,442 --> 00:02:11,444 (男)野郎 26 00:02:11,444 --> 00:02:14,447 ≪(千佐)キャーッ! (小萩)ああ 奥さまが 奥さま~! 27 00:02:14,447 --> 00:02:16,447 ≪(千佐)キャーッ! 28 00:02:17,450 --> 00:02:19,786 ああっ 奴らが奥様を 29 00:02:19,786 --> 00:02:22,455 お侍さま お願いでございます 30 00:02:22,455 --> 00:02:24,457 奥さまを助けてくださいませ 31 00:02:24,457 --> 00:02:27,127 (弥藤次)お願いでございます お慈悲でございます 32 00:02:27,127 --> 00:02:29,129 (弥藤次・小萩) お慈悲でございます 33 00:02:29,129 --> 00:02:32,132 (男たちの笑い声) 34 00:02:32,132 --> 00:02:35,132 (千佐)んんっ ん~っ 35 00:02:36,469 --> 00:02:38,471 (男)野郎~っ 36 00:02:38,471 --> 00:02:53,471 ♬~ 37 00:02:55,155 --> 00:03:00,155 (千佐のうめき声) 38 00:03:10,770 --> 00:03:12,770 (切る音) 39 00:03:20,113 --> 00:03:23,413 ハァ~ ハァ ハァ 40 00:03:29,455 --> 00:03:33,459 やあっ くう ああっ 41 00:03:33,459 --> 00:03:43,469 ♬~ 42 00:03:43,469 --> 00:04:00,486 ♬~ 43 00:04:00,486 --> 00:04:03,489 さすが眠狂四郎 見事だな 44 00:04:03,489 --> 00:04:05,825 吹き針で目を射られておきながら 45 00:04:05,825 --> 00:04:08,761 なお 剣勢は衰えぬ 46 00:04:08,761 --> 00:04:10,763 だが 今宵こそは逃がしはせん 47 00:04:10,763 --> 00:04:12,763 斬れい! (家臣)うわ~っ! 48 00:04:14,434 --> 00:04:16,769 (斬る音) 49 00:04:16,769 --> 00:04:19,772 (家臣たち)何!? 50 00:04:19,772 --> 00:04:22,108 (斬る音) (家臣)おっ うわ~っ 51 00:04:22,108 --> 00:04:25,778 (斬る音) (家臣たち)逃がすな! 待てい 52 00:04:25,778 --> 00:04:36,789 ♬~ 53 00:06:43,783 --> 00:06:49,789 (犬の吠え声) 54 00:06:49,789 --> 00:06:51,789 ≪(家臣)逃がすな 追え! 55 00:07:02,068 --> 00:07:04,070 (家臣)いたぞ 追え! (家臣)逃がすな~っ! 56 00:07:04,070 --> 00:07:07,407 (家臣)待てい! (お蘭)ハッ 旦那! 57 00:07:07,407 --> 00:07:13,746 ♬~ 58 00:07:13,746 --> 00:07:15,746 (家臣たち)うわあっ 59 00:07:17,083 --> 00:07:19,085 (家臣たち)ああっ 60 00:07:19,085 --> 00:07:22,755 (お蘭)旦那! お蘭か? 61 00:07:22,755 --> 00:07:24,755 こちらへ 62 00:07:28,428 --> 00:07:30,763 目が見えぬはず 遠くへ逃げられるはずがない 63 00:07:30,763 --> 00:07:33,099 捜せ (家臣たち)はっ 64 00:07:33,099 --> 00:07:43,109 ♬~ 65 00:07:43,109 --> 00:08:01,709 ♬~ 66 00:08:06,732 --> 00:08:11,332 どうも ご苦労さまでございましたな➡ 67 00:08:19,745 --> 00:08:23,749 千佐さん どうかなさいましたか? 68 00:08:23,749 --> 00:08:25,749 あっ いえ 69 00:08:27,753 --> 00:08:31,090 恐ろしい男だと… 70 00:08:31,090 --> 00:08:34,427 吹き針に目を射られても 少しもたじろがずに 71 00:08:34,427 --> 00:08:37,430 まるで 目が見えるような鋭い剣 72 00:08:37,430 --> 00:08:39,765 ほう 73 00:08:39,765 --> 00:08:42,101 駿河屋さま 74 00:08:42,101 --> 00:08:45,771 侍衆があの男のことを 眠狂四郎と呼んでおりましたが 75 00:08:45,771 --> 00:08:50,109 いったい あの男は 何者なのでございましょう? 76 00:08:50,109 --> 00:08:56,115 (駿河屋)まあ 余計な 詮索はせぬことでございますな➡ 77 00:08:56,115 --> 00:08:59,452 約束通り わたくしは➡ 78 00:08:59,452 --> 00:09:05,391 あなたの吹き針の特技を 3両で利用させていただく➡ 79 00:09:05,391 --> 00:09:07,991 その交換条件として 80 00:09:10,396 --> 00:09:15,735 私はご主人 源之助さまの ご仕官の口添えをする 81 00:09:15,735 --> 00:09:20,735 それが千佐さんとの 商取引でございましたな 82 00:09:27,413 --> 00:09:29,415 ああ そうそう 83 00:09:29,415 --> 00:09:32,084 そのご仕官のことでございますが 84 00:09:32,084 --> 00:09:34,420 ちゃんと 手は打ってございますから 85 00:09:34,420 --> 00:09:37,423 ハァ まことでございますか 86 00:09:37,423 --> 00:09:40,426 それは間違いのないことで ございましょうね? 87 00:09:40,426 --> 00:09:43,763 もちろんでございますとも 88 00:09:43,763 --> 00:09:50,770 商人が 商取引に偽りを申したら 潰れてしまいます 89 00:09:50,770 --> 00:09:53,773 ご心配なさいますな 90 00:09:53,773 --> 00:09:57,773 何とぞ よろしくお願いいたします 91 00:10:05,384 --> 00:10:09,684 (戸の開閉音) 92 00:10:11,724 --> 00:10:18,731 ♬~ 93 00:10:18,731 --> 00:10:22,401 仁兵衛 女は恐ろしいのう 94 00:10:22,401 --> 00:10:28,074 虫も殺さぬ優しい顔をしていて 吹き針の特技とはのう 95 00:10:28,074 --> 00:10:33,746 1寸の針が槍よりも 鋭いといわれる恐ろしい武器だ 96 00:10:33,746 --> 00:10:36,746 ≪(弥十郎)蔵人さま (蔵人)おう 弥十郎か➡ 97 00:10:37,750 --> 00:10:40,419 しとめたか? (弥十郎)いや それが… 98 00:10:40,419 --> 00:10:44,090 逃がしたと申すか? (弥十郎)申し訳ございません 99 00:10:44,090 --> 00:10:46,092 きゃつめ 闇に紛れて… 100 00:10:46,092 --> 00:10:49,095 弥十郎 逃がしたでは済まぬぞ! 101 00:10:49,095 --> 00:10:51,430 (弥十郎)弥藤次と小萩が 行方を追っております➡ 102 00:10:51,430 --> 00:10:55,434 しかし 両目を吹き針に射られての 手負いの身ゆえ➡ 103 00:10:55,434 --> 00:10:57,436 遠くに 逃げられるはずがございません➡ 104 00:10:57,436 --> 00:10:59,772 いずれかに 潜んでいるものと思われます 105 00:10:59,772 --> 00:11:03,376 ええい 捜せ ご家老 調所さまからの厳命だ 106 00:11:03,376 --> 00:11:06,676 捜し出して必ず斬れ! (弥十郎)はっ 107 00:11:10,383 --> 00:11:13,386 しぶとい奴でございますな 108 00:11:13,386 --> 00:11:17,686 両の目を射られて まだ逃げ延びるとは 109 00:11:20,059 --> 00:11:22,728 眠狂四郎とて鬼神ではない 110 00:11:22,728 --> 00:11:25,731 生身の人間ゆえ 必ず弱点はある 111 00:11:25,731 --> 00:11:28,067 まして 今は目が見えぬ 112 00:11:28,067 --> 00:11:30,069 一刻も早く見つけ出し 113 00:11:30,069 --> 00:11:33,069 包み込んで攻め立てれば 討てぬはずはない! 114 00:11:37,076 --> 00:11:39,078 旦那 115 00:11:39,078 --> 00:11:51,090 ♬~ 116 00:11:51,090 --> 00:12:00,433 ♬~ 117 00:12:00,433 --> 00:12:02,435 おう いたか? (家臣)いや 118 00:12:02,435 --> 00:12:04,735 捜せ! (家臣)おうっ 119 00:12:12,445 --> 00:12:14,445 (戸が開く音) 120 00:12:15,781 --> 00:12:18,117 ああ 帰ってきたか 121 00:12:18,117 --> 00:12:21,120 あら お戻りになっていたのですか 122 00:12:21,120 --> 00:12:23,122 お帰りは明朝だとばかり 123 00:12:23,122 --> 00:12:25,124 (戸が閉まる音) (源之助)ああ➡ 124 00:12:25,124 --> 00:12:29,128 三島の問屋筋が 仕入れを渋ってな➡ 125 00:12:29,128 --> 00:12:32,798 どこも商いの手控えで うまくいかん➡ 126 00:12:32,798 --> 00:12:35,798 まっ 根気よく歩くほかはあるまい➡ 127 00:12:37,470 --> 00:12:42,808 帰ってみたら お前はいないし 心配したんだぞ 128 00:12:42,808 --> 00:12:46,145 こんな遅くまで どこ行ってたんだ? 129 00:12:46,145 --> 00:12:51,150 あの… 駿河屋さまに (源之助)駿河屋? 130 00:12:51,150 --> 00:12:55,821 はい 何やら 近くお鷹狩りがあるそうで 131 00:12:55,821 --> 00:12:58,157 ご家中の方の紺足袋を 132 00:12:58,157 --> 00:13:02,094 50足ほど急ぎで 作って欲しいと言われまして 133 00:13:02,094 --> 00:13:07,099 鷹狩りかあ まむし除けだな 134 00:13:07,099 --> 00:13:11,437 それにしても急に50足とはなあ 135 00:13:11,437 --> 00:13:16,437 いやいや この際何足でも 仕事をもらえれば助かるからなあ 136 00:13:20,446 --> 00:13:32,458 ♬~ 137 00:13:32,458 --> 00:13:41,801 ♬~ 138 00:13:41,801 --> 00:13:43,803 それに 139 00:13:43,803 --> 00:13:47,473 かねてから 駿河屋さまにお願いしてあった 140 00:13:47,473 --> 00:13:51,811 あなたのご仕官の件が その後 どうなりましたかと思いまして 141 00:13:51,811 --> 00:13:54,146 また その話か 142 00:13:54,146 --> 00:13:57,817 由緒ある この倉本家の家柄を 143 00:13:57,817 --> 00:14:01,086 このまま足袋作りの身で 朽ちらせてしまっては 144 00:14:01,086 --> 00:14:03,088 ご先祖さまに申し訳が立ちません 145 00:14:03,088 --> 00:14:07,092 千佐 その話はもう… 146 00:14:07,092 --> 00:14:11,096 いいえ わたくしの念願でございます 147 00:14:11,096 --> 00:14:14,099 なんとしてもご仕官の道を 148 00:14:14,099 --> 00:14:16,101 そのためでしたら わたくし… 149 00:14:16,101 --> 00:14:20,105 何度申したら分かるんだ 150 00:14:20,105 --> 00:14:22,441 そのことは二度と口にいたすなと 申したではないか 151 00:14:22,441 --> 00:14:25,778 (千佐)立派な剣法の奥義を 修めたあなたが 152 00:14:25,778 --> 00:14:30,115 いかに身過ぎ世過ぎとはいえ このような足袋作りなど 153 00:14:30,115 --> 00:14:34,115 わたくし そのことを考えただけで 口惜しくて… 154 00:14:36,455 --> 00:14:38,455 (源之助)のう 千佐 155 00:14:40,793 --> 00:14:43,462 お前も知ってのとおり 156 00:14:43,462 --> 00:14:47,062 私は3年前に みずから侍を捨てた男だ 157 00:14:49,134 --> 00:14:52,434 仕官のことなど 毛頭考えてはいない! 158 00:14:54,139 --> 00:14:57,476 でも 159 00:14:57,476 --> 00:15:01,076 子どもには 侍の家を継がせとうございます 160 00:15:02,748 --> 00:15:05,084 子ども? 161 00:15:05,084 --> 00:15:07,084 子どもができたのか? 162 00:15:10,422 --> 00:15:13,092 うそではあるまいな? 163 00:15:13,092 --> 00:15:15,094 はい 164 00:15:15,094 --> 00:15:17,429 そうか 165 00:15:17,429 --> 00:15:20,432 子どもができたか 166 00:15:20,432 --> 00:15:23,032 千佐 めでたい 167 00:15:24,436 --> 00:15:27,773 でかしたぞ! (千佐)フフッ 168 00:15:27,773 --> 00:15:35,773 ♬~ 169 00:15:42,788 --> 00:15:47,126 ハァ 狂四郎の旦那ともあろうお方が 170 00:15:47,126 --> 00:15:50,129 吹き針なんかで 目をやられるとはねえ 171 00:15:50,129 --> 00:15:52,131 ああ… 172 00:15:52,131 --> 00:15:57,469 場所に死角があるごとく 人間にも盲点がある 173 00:15:57,469 --> 00:16:00,472 それが心の隙というものだ 174 00:16:00,472 --> 00:16:05,744 おや 旦那にも 心の隙 なんてもんがあるんですか? 175 00:16:05,744 --> 00:16:07,744 ねえ 旦那 176 00:16:09,081 --> 00:16:11,083 (刺さる音) ≪(弥藤次)うわっ 177 00:16:11,083 --> 00:16:17,089 ♬~ 178 00:16:17,089 --> 00:16:19,091 お蘭 火を消せ 179 00:16:19,091 --> 00:16:39,111 ♬~ 180 00:16:39,111 --> 00:16:51,123 ♬~ 181 00:16:51,123 --> 00:17:00,466 ♬~ 182 00:17:00,466 --> 00:17:03,068 旦那 大丈夫ですか? 183 00:17:03,068 --> 00:17:06,405 心配するな 184 00:17:06,405 --> 00:17:10,405 暗闇ならば こちらに七分の利がある 185 00:17:18,751 --> 00:17:21,351 ここも危なくなってきたねえ 186 00:21:25,764 --> 00:21:35,774 ♬~ 187 00:21:35,774 --> 00:21:52,391 ♬~ 188 00:21:52,391 --> 00:21:54,393 どうじゃな? 189 00:21:54,393 --> 00:21:58,393 明かりの明暗が まぶたに横切りますかな? 190 00:22:01,066 --> 00:22:06,405 幸いなことに 眼球には傷がないようじゃな 191 00:22:06,405 --> 00:22:10,409 しかし まぶたがだいぶ腫れているから 192 00:22:10,409 --> 00:22:14,746 腫れが引くまでは 目が開けられんじゃろう➡ 193 00:22:14,746 --> 00:22:17,082 すまんが戸を開けてくださらんか (お蘭)はい 194 00:22:17,082 --> 00:22:19,751 手当てをいたしますから (お蘭)はい 195 00:22:19,751 --> 00:22:37,051 ♬~ 196 00:22:38,437 --> 00:22:40,439 まだ狂四郎は見つからんのか? 197 00:22:40,439 --> 00:22:43,775 はっ 船具小屋からの 足取りがぷっつりと 198 00:22:43,775 --> 00:22:46,778 みんなで 手分けをして捜しておるんですが 199 00:22:46,778 --> 00:22:51,049 ぐずぐずして 万一 目が見えるようになっては 200 00:22:51,049 --> 00:22:54,052 討つ機会を失ってしまいます 201 00:22:54,052 --> 00:22:57,052 小萩 行け 202 00:23:04,730 --> 00:23:07,733 今のうちなのだ 203 00:23:07,733 --> 00:23:11,733 奴を討つのは 今のうちなのだっ 204 00:23:26,418 --> 00:23:28,418 ≪ お蘭 205 00:23:33,425 --> 00:23:36,428 なんだ 起きてたんですか? 206 00:23:36,428 --> 00:23:38,430 あたしは また寝てるもんだとばかり思って 207 00:23:38,430 --> 00:23:40,432 起こしちゃいけないと思って 208 00:23:40,432 --> 00:23:43,101 薬湯をお持ちしたんですよ 209 00:23:43,101 --> 00:23:46,104 毒が 入っているのではないだろうな? 210 00:23:46,104 --> 00:23:48,774 んんっ 旦那ったら~ 211 00:23:48,774 --> 00:23:51,376 お蘭とて油断はならん 212 00:23:51,376 --> 00:23:56,381 ええ ええ 毒もしびれ薬も た~んと入ってますともさっ 213 00:23:56,381 --> 00:23:58,981 さっ 旦那 はい 214 00:24:09,728 --> 00:24:11,730 でもね 旦那 215 00:24:11,730 --> 00:24:16,401 あたしは 何も すき好んで旦那の 面倒見てるわけじゃないんですよ 216 00:24:16,401 --> 00:24:21,073 目が見えなくて つえがいると思えばこそ 217 00:24:21,073 --> 00:24:24,076 誰も面倒を見てくれと 頼んだ覚えはない 218 00:24:24,076 --> 00:24:26,745 おや 言ってくれるじゃございませんか 219 00:24:26,745 --> 00:24:29,081 ハッ もっとも旦那には 220 00:24:29,081 --> 00:24:32,417 人の親切なんか 分からないでしょうけどね 221 00:24:32,417 --> 00:24:36,755 情けに振り向けば 危険に陥るのみだ 222 00:24:36,755 --> 00:24:40,759 何も背中の死神を 喜ばすことはあるまい 223 00:24:40,759 --> 00:24:45,764 フッ そこまで言われちゃ 腹立ちも足踏みですよ 224 00:24:45,764 --> 00:24:48,100 ハハハハッ ≪(千佐)ごめんください 225 00:24:48,100 --> 00:24:50,702 ≪ 玄庵先生いらっしゃいますか? 226 00:24:50,702 --> 00:24:52,702 はい 227 00:24:57,375 --> 00:25:02,380 ♬~ 228 00:25:02,380 --> 00:25:04,716 あの~ 先生は先ほど 229 00:25:04,716 --> 00:25:08,720 近くの農家で急病人が出たとかで 出かけられましたけど 230 00:25:08,720 --> 00:25:11,723 あっ あたしは 今 先生にご厄介になってる 231 00:25:11,723 --> 00:25:15,393 病人の付き添いで (千佐)ハッ そうですか➡ 232 00:25:15,393 --> 00:25:17,729 それでは…➡ 233 00:25:17,729 --> 00:25:20,065 後ほどまいりますけれども➡ 234 00:25:20,065 --> 00:25:23,735 玄庵先生にこれを 235 00:25:23,735 --> 00:25:26,071 ハッ そうですか 236 00:25:26,071 --> 00:25:35,413 ♬~ 237 00:25:35,413 --> 00:25:39,084 おう 千佐さん来とったんか 千佐さん どうしたんじゃ? 238 00:25:39,084 --> 00:25:43,088 旦那 吹き針の相手は 女だって言いましたね? 239 00:25:43,088 --> 00:25:55,100 ♬~ 240 00:25:55,100 --> 00:26:04,100 ♬~ 241 00:26:12,450 --> 00:26:14,450 (小判の音) 242 00:26:25,130 --> 00:26:27,465 千佐 まさか… 243 00:26:27,465 --> 00:26:29,467 《(拍手)》 244 00:26:29,467 --> 00:26:31,469 《待ってました》 245 00:26:31,469 --> 00:26:42,147 ♬~ 246 00:26:42,147 --> 00:26:48,153 (一同)《ああ~》 《(拍手)》 247 00:26:48,153 --> 00:26:50,153 (男性)《見事 見事》 248 00:26:58,096 --> 00:27:00,098 (源之助)どうしたんだ? (千佐)ハッ 249 00:27:00,098 --> 00:27:04,098 あの 急いで帰ってきたものですから 250 00:27:15,113 --> 00:27:17,782 千佐 251 00:27:17,782 --> 00:27:20,785 私に何か 隠し事しているのではないのか? 252 00:27:20,785 --> 00:27:23,455 アハッ 隠し事など わたくし… 253 00:27:23,455 --> 00:27:26,055 では この大金は いったいどうしたのだ? 254 00:27:29,127 --> 00:27:33,465 それは あの… 駿河屋さまに (源之助)駿河屋に頼まれて 255 00:27:33,465 --> 00:27:36,468 ≪(源之助)また吹き針を 座興の見せ物にしたであろう 256 00:27:36,468 --> 00:27:38,803 ≪(千佐)違います 257 00:27:38,803 --> 00:27:40,803 そのお金は… 258 00:27:43,141 --> 00:27:45,143 50足の急ぎの注文で 259 00:27:45,143 --> 00:27:48,813 駿河屋さまが申し訳ないからと 特別に前金で 260 00:27:48,813 --> 00:27:52,083 しかし 50足の足袋刺しの 代金としてはあまりにも多額だ 261 00:27:52,083 --> 00:27:55,420 いえ そればかりではなく 262 00:27:55,420 --> 00:27:59,424 この際 各問屋筋への卸行商をやめて 263 00:27:59,424 --> 00:28:02,093 駿河屋さまが 一手に引き受けようと 264 00:28:02,093 --> 00:28:05,764 そう申されて その内金に (源之助)駿河屋がか? 265 00:28:05,764 --> 00:28:10,364 はい ゆうべ お話しようと 思ってたんですけれど 266 00:28:12,103 --> 00:28:15,106 偽りではあるまいな? 267 00:28:15,106 --> 00:28:18,443 偽りなど申しません 268 00:28:18,443 --> 00:28:23,448 そうか お前がそういうんなら 269 00:28:23,448 --> 00:28:26,785 私は またお前が吹き針を 270 00:28:26,785 --> 00:28:30,789 (千佐)それは あのとき一度だけでございます 271 00:28:30,789 --> 00:28:36,461 それも あなたが大病なさって 医者にもかかれず 272 00:28:36,461 --> 00:28:39,464 薬代にも事欠いて どうしようもなくて 273 00:28:39,464 --> 00:28:44,469 でも なんとかして 医者代を稼がねばと 274 00:28:44,469 --> 00:28:48,139 駿河屋さまに無理にお願いして… 275 00:28:48,139 --> 00:28:50,809 ハッ 276 00:28:50,809 --> 00:28:53,078 (おう吐) (源之助)どうした? 277 00:28:53,078 --> 00:28:55,378 千佐 大丈夫か? 278 00:28:59,751 --> 00:29:02,351 ハァ ハァ 279 00:29:14,766 --> 00:29:19,104 すまん 疑ったりして 280 00:29:19,104 --> 00:29:21,773 私はのう 千佐 281 00:29:21,773 --> 00:29:24,776 その日 その日を お前と二人で静かに暮らせれば 282 00:29:24,776 --> 00:29:27,112 それでいいと思ってるんだ 283 00:29:27,112 --> 00:29:30,115 決して多くを望んではいない 284 00:29:30,115 --> 00:29:35,453 だが 3両などという 大金を見たもので つい… 285 00:29:35,453 --> 00:29:37,455 あっ そうだ これからは 286 00:29:37,455 --> 00:29:40,755 ≪(源之助) 2人ではなく3人だったな 287 00:34:46,798 --> 00:34:50,802 ハァ さて これでよしと 288 00:34:50,802 --> 00:34:54,802 それでは 一度 包帯を取ってみますかな 289 00:34:57,475 --> 00:34:59,775 腫れが引いてると よろしいんじゃが 290 00:35:01,145 --> 00:35:04,148 迎えが来たようだ 291 00:35:04,148 --> 00:35:06,484 (金を置く音) 世話になった 292 00:35:06,484 --> 00:35:08,484 こんなにたくさん… 293 00:35:10,154 --> 00:35:13,491 私には もう必要なくなるかもしれん 294 00:35:13,491 --> 00:35:15,791 取っておいてもらおう 295 00:35:18,496 --> 00:35:21,165 しかし まだ目が! 296 00:35:21,165 --> 00:35:39,517 ♬~ 297 00:35:39,517 --> 00:35:42,453 (斬る音) ううっ 298 00:35:42,453 --> 00:35:49,127 ♬~ 299 00:35:49,127 --> 00:35:51,129 (玄庵)おっ! 300 00:35:51,129 --> 00:36:01,806 ♬~ 301 00:36:01,806 --> 00:36:04,809 (弥十郎)捜したぞ 眠狂四郎➡ 302 00:36:04,809 --> 00:36:06,811 今日こそは逃がさん 303 00:36:06,811 --> 00:36:25,163 ♬~ 304 00:36:25,163 --> 00:36:27,165 (家臣)いや~っ! 305 00:36:27,165 --> 00:36:29,167 (斬る音) (家臣)うわあっ 306 00:36:29,167 --> 00:36:41,445 ♬~ 307 00:36:41,445 --> 00:36:50,121 ♬~ 308 00:36:50,121 --> 00:36:52,123 (お蘭)旦那! 309 00:36:52,123 --> 00:36:54,458 旦那? あっ 先生 310 00:36:54,458 --> 00:36:57,128 (玄庵)いやあ 何しろ 突然 襲ってきよったんじゃ➡ 311 00:36:57,128 --> 00:37:00,798 何者かは知らんが かなり大勢の人間じゃった 312 00:37:00,798 --> 00:37:03,098 で 旦那はどこへ? (玄庵)いやいやいや 分からん! 313 00:37:04,135 --> 00:37:06,135 旦那 314 00:37:08,139 --> 00:37:11,475 旦那~ ハァ 315 00:37:11,475 --> 00:37:13,811 おやじ ここ置いとくよ (店主)ああ どうも➡ 316 00:37:13,811 --> 00:37:15,811 ありがとうございます 317 00:37:18,482 --> 00:37:20,484 とっつぁん 318 00:37:20,484 --> 00:37:25,156 ああ 源之助さん 珍しいじゃないか 店に来るなんて 319 00:37:25,156 --> 00:37:27,491 鰻の肝があったら 分けてくんねえか? 320 00:37:27,491 --> 00:37:30,494 ああ いいとも だけど 源之助さん 321 00:37:30,494 --> 00:37:33,164 今日はひどくうれしそうだな (源之助)ハハッ 322 00:37:33,164 --> 00:37:35,166 (店主) 何かいいことがあったのかい? 323 00:37:35,166 --> 00:37:38,169 いや~ 女房に子どもができてな 324 00:37:38,169 --> 00:37:40,504 (店主)おう 千佐さんにかい (源之助)ああ 325 00:37:40,504 --> 00:37:43,107 (店主)そりゃ~ めでたいことだ (源之助)ハハッ 326 00:37:43,107 --> 00:37:46,110 それで精がつくようにと思って 327 00:37:46,110 --> 00:37:49,780 何しろ一緒になって4年目だし もう諦めていたところなんだ 328 00:37:49,780 --> 00:37:53,451 (店主)そりゃあ なおさらのこった せいぜい稼がなきゃな 329 00:37:53,451 --> 00:37:55,451 ハハッ 330 00:38:01,459 --> 00:38:03,461 あれ!? 331 00:38:03,461 --> 00:38:07,131 これは あんときの ご浪人じゃありませんか? 332 00:38:07,131 --> 00:38:09,133 お忘れですかい? 333 00:38:09,133 --> 00:38:12,133 昨日の暮れ方 雨宿りをしていて… 334 00:38:13,137 --> 00:38:17,808 目をどうかなさいましたか? いや なんでもない 335 00:38:17,808 --> 00:38:21,812 虫に刺されただけだ 虫に? 336 00:38:21,812 --> 00:38:23,814 そらあ 災難でしたな 337 00:38:23,814 --> 00:38:27,151 (店主) お~い 源之助さん できたよ 338 00:38:27,151 --> 00:38:29,820 いや~ すまん いくらだい? (店主)な~に 339 00:38:29,820 --> 00:38:32,490 銭なんていらねえよ お祝いだわな 340 00:38:32,490 --> 00:38:34,492 そうかい 341 00:38:34,492 --> 00:38:37,792 それじゃ 遠慮なく (店主)ああ お大事にな 342 00:38:42,433 --> 00:38:47,438 (店主)4年目で初めての子じゃ うれしいだろうよな➡ 343 00:38:47,438 --> 00:38:50,107 あんなに夫婦仲がよくて 今までできなかったのが➡ 344 00:38:50,107 --> 00:38:52,407 不思議なくれえなんだから 345 00:38:55,112 --> 00:38:58,449 弥十郎 なんというざまだ 346 00:38:58,449 --> 00:39:02,119 薩摩の隼人党ともあろう者が ふがいない極みだ 347 00:39:02,119 --> 00:39:04,789 申し訳ございません なれど 348 00:39:04,789 --> 00:39:08,125 奴の目が少し見えるようで 349 00:39:08,125 --> 00:39:12,129 何? 目が? (弥十郎)はっ 350 00:39:12,129 --> 00:39:16,801 いや しかし なんとしても この沼津で討ち取らねば 351 00:39:16,801 --> 00:39:19,470 ご家老 調所さまに面目が立たぬ 352 00:39:19,470 --> 00:39:23,474 蔵人さま もう一度 例の吹き針の女を利用して… 353 00:39:23,474 --> 00:39:25,476 愚かなことだ 354 00:39:25,476 --> 00:39:27,812 眠狂四郎 355 00:39:27,812 --> 00:39:30,815 二度と同じ轍は踏まぬ 356 00:39:30,815 --> 00:39:34,485 ハッ そうだ 蔵人さま 357 00:39:34,485 --> 00:39:38,489 吹き針の千佐の亭主 源之助なる者は 358 00:39:38,489 --> 00:39:41,425 確か前は武州 忍藩の 359 00:39:41,425 --> 00:39:45,763 心形刀流の使い手とか 聞いておりますが 360 00:39:45,763 --> 00:39:48,063 (蔵人)心形刀流? 361 00:39:50,434 --> 00:39:55,773 心形刀流と申せば 心の剣だ 362 00:39:55,773 --> 00:39:59,777 心は理 技は形 363 00:39:59,777 --> 00:40:02,113 心が素直であれば 形も素直 364 00:40:02,113 --> 00:40:05,116 心がゆがんでいれば 形もゆがむ 365 00:40:05,116 --> 00:40:09,120 ゆえに 心 形 刀の三者一致 366 00:40:09,120 --> 00:40:11,120 それが奥義だ 367 00:40:13,457 --> 00:40:15,459 そうか 368 00:40:15,459 --> 00:40:20,131 眠狂四郎の円月殺法も心の剣だ 369 00:40:20,131 --> 00:40:25,803 狂四郎の殺法を破るには 心と心… 370 00:40:25,803 --> 00:40:28,803 心形刀流なら破れるかもしれん! 371 00:40:33,811 --> 00:40:37,481 うん よし できたぞ 千佐 372 00:40:37,481 --> 00:40:40,151 さっ 温かいうちに食べるがいい 373 00:40:40,151 --> 00:40:42,820 すいません そんなことまでしていただいて 374 00:40:42,820 --> 00:40:46,157 (源之助) な~に お前は大事な体だ➡ 375 00:40:46,157 --> 00:40:48,826 立派な赤ん坊を産んでもらわねば 困るからな➡ 376 00:40:48,826 --> 00:40:51,426 さっ (千佐)はい 377 00:40:54,832 --> 00:40:57,835 (源之助)そうだ➡ 378 00:40:57,835 --> 00:41:01,172 今日 居酒屋でな➡ 379 00:41:01,172 --> 00:41:05,843 両の目を腫らして 目の不自由な浪人者に会った 380 00:41:05,843 --> 00:41:13,851 ♬~ 381 00:41:13,851 --> 00:41:16,854 確か 382 00:41:16,854 --> 00:41:19,854 虫に刺されたとか言ってたが? 383 00:41:21,525 --> 00:41:25,125 それは お気の毒なことで… 384 00:41:29,533 --> 00:41:32,203 千佐 385 00:41:32,203 --> 00:41:35,206 駿河屋とは 縁を切ったほうがよさそうだな 386 00:41:35,206 --> 00:41:41,145 ♬~ 387 00:41:41,145 --> 00:41:44,815 今 駿河屋さまと 縁を切ったりなどしては 388 00:41:44,815 --> 00:41:47,485 せっかく仕官の道が 目の前だというのに 389 00:41:47,485 --> 00:41:49,820 まだそれを言うのか (千佐)この機会を逃しては 390 00:41:49,820 --> 00:41:51,822 二度と仕官の道はございません 391 00:41:51,822 --> 00:41:55,826 (源之助)くどい! (千佐)いいえ 言わせてください 392 00:41:55,826 --> 00:41:58,162 倉本家は元はといえば 393 00:41:58,162 --> 00:42:03,167 お勘定方 150石の由緒ある家柄でした 394 00:42:03,167 --> 00:42:05,836 禄を離れてより3年 395 00:42:05,836 --> 00:42:09,840 浪々の身を足袋刺しで 暮らしを立ててるとは申せ 396 00:42:09,840 --> 00:42:12,176 いつか いつの日にか 397 00:42:12,176 --> 00:42:16,514 きっとあなたが再び仕官なされて 398 00:42:16,514 --> 00:42:21,852 わたくしはそのことを いちずに 思い続けてきたのでございます 399 00:42:21,852 --> 00:42:23,852 それを… 400 00:42:25,856 --> 00:42:37,868 ♬~ 401 00:42:37,868 --> 00:42:40,871 私はのう 千佐 402 00:42:40,871 --> 00:42:45,142 つくづく 侍の世界がばからしくなったんだ 403 00:42:45,142 --> 00:42:47,478 常に上司の機嫌をうかがい 404 00:42:47,478 --> 00:42:51,482 同僚といえば 微笑の裏に針を持つごとし 405 00:42:51,482 --> 00:42:54,151 隙あらば 仲間を蹴落として出世をと 406 00:42:54,151 --> 00:42:57,154 あること ないことの告げ口 407 00:42:57,154 --> 00:43:01,754 おまけに二言目には 命を賭しても殿に忠義だ 408 00:43:05,162 --> 00:43:10,167 勘定方に出入り商人との 不正事件があった 409 00:43:10,167 --> 00:43:14,838 罰せられたのは その当事者たる上司ではなくて 410 00:43:14,838 --> 00:43:20,177 勘定方 平役のこの私だ 411 00:43:20,177 --> 00:43:23,180 そんなことが 平気でまかり通る世界に 412 00:43:23,180 --> 00:43:25,480 ほとほと愛想が尽きたのだ 413 00:43:27,184 --> 00:43:31,188 侍を捨てて 本当に心から 414 00:43:31,188 --> 00:43:33,488 幸せだとおっしゃるのですか? 415 00:43:35,526 --> 00:43:38,862 (源之助)今の私には自由がある➡ 416 00:43:38,862 --> 00:43:43,467 誰にも拘束されず この命を私自身が握ってるんだ 417 00:43:43,467 --> 00:43:47,471 侍になることだけが すべてではあるまい 418 00:43:47,471 --> 00:43:49,807 この世の中に しっかりと生きていくためには 419 00:43:49,807 --> 00:43:52,142 誰にも頼らず おのれの力で 420 00:43:52,142 --> 00:43:56,146 おのれの腕で 大地に立たねばならんのだ 421 00:43:56,146 --> 00:43:59,149 それが本当の生き方だと思う 422 00:43:59,149 --> 00:44:01,819 (千佐)このような 貧しさに耐えるだけの生活が➡ 423 00:44:01,819 --> 00:44:05,155 本当の人間の生き方だと 申されるのですか? 424 00:44:05,155 --> 00:44:08,158 千佐 (千佐)病気になっても薬代もなく 425 00:44:08,158 --> 00:44:11,495 そんな惨めな暮らしをすることが 人間の生き方だというのですか? 426 00:44:11,495 --> 00:44:13,497 千佐 いいかげんにしないか 427 00:44:13,497 --> 00:44:17,167 いいえ 生まれての 町人暮らしならば何も申しません 428 00:44:17,167 --> 00:44:19,837 でも あなたは侍です➡ 429 00:44:19,837 --> 00:44:21,839 もし ご仕官なされば 430 00:44:21,839 --> 00:44:24,174 あなたの 剣法とご器量を持ってすれば 431 00:44:24,174 --> 00:44:26,844 立派な ご奉公ができるに違いありません 432 00:44:26,844 --> 00:44:29,513 それをあなたは 捨てると申されるのですか? 433 00:44:29,513 --> 00:44:31,515 千佐! 434 00:44:31,515 --> 00:44:33,517 わたくしには納得がいきません 435 00:44:33,517 --> 00:44:36,517 いいえ 耐えられません 436 00:44:39,523 --> 00:44:42,793 ≪(戸をたたく音) 437 00:44:42,793 --> 00:44:45,129 どなたさまで? ≪(男)へえ 438 00:44:45,129 --> 00:44:47,464 ≪ 駿河屋の使いの者でございます 439 00:44:47,464 --> 00:44:49,466 ≪ 夜分 恐れ入りますが 440 00:44:49,466 --> 00:44:52,066 ≪ 千佐さまに 旦那さまからお言づてが 441 00:44:54,471 --> 00:44:56,471 ほっとけ! 442 00:45:13,157 --> 00:45:15,159 (殴る音) (千佐)ううっ 443 00:45:15,159 --> 00:45:20,497 ♬~ 444 00:45:20,497 --> 00:45:22,499 千佐? 445 00:45:22,499 --> 00:45:29,506 ♬~ 446 00:45:29,506 --> 00:45:31,506 千佐 447 00:45:34,845 --> 00:45:36,847 (刺さる音) 448 00:45:36,847 --> 00:45:53,130 ♬~ 449 00:45:53,130 --> 00:45:55,466 「千佐どのをお預かりする」 450 00:45:55,466 --> 00:45:59,136 「命を助けたいなら 受け取りにまいれ」 451 00:45:59,136 --> 00:46:01,436 「駿河屋仁兵衛」 452 00:46:03,140 --> 00:46:05,440 なんということを… 453 00:48:09,766 --> 00:48:11,766 遅いお着きでございますね➡ 454 00:48:13,103 --> 00:48:16,440 どうぞ こちらでございます (お蘭)ええ ありがとう 455 00:48:16,440 --> 00:48:18,440 (男性)失礼いたしました 456 00:48:21,445 --> 00:48:23,447 旦那! 457 00:48:23,447 --> 00:48:26,116 ハッ ちょいと ごめんなさいね (男性)あっ! 458 00:48:26,116 --> 00:48:29,119 心配してたんですよっ 459 00:48:29,119 --> 00:48:31,722 もう あっちこっち 捜し回ったりして 460 00:48:31,722 --> 00:48:34,057 そしたら こんな宿屋に ちゃっかり収まってるなんて 461 00:48:34,057 --> 00:48:36,727 もう… 462 00:48:36,727 --> 00:48:40,397 旦那 目のほう大丈夫なんですか? 463 00:48:40,397 --> 00:48:44,401 ああ ハァ よかった 464 00:48:44,401 --> 00:48:48,739 それより 旦那 思ったとおり あの千佐って女 465 00:48:48,739 --> 00:48:52,409 旦那の目をやった 吹き針の女なんです 466 00:48:52,409 --> 00:48:56,413 駿河屋仁兵衛って奴が 使った女なんですよ 467 00:48:56,413 --> 00:48:59,416 旦那 駿河屋ってのはね 468 00:48:59,416 --> 00:49:03,420 薩摩の捨てかまりの隠れ宿に なってるに違いありません! 469 00:49:03,420 --> 00:49:07,424 用心しないと この沼津中 敵だらけのようですよ 470 00:49:07,424 --> 00:49:10,761 いまさら 惜しい命でもない 471 00:49:10,761 --> 00:49:16,099 旦那ったら もう 人が こんっなに心配してんのに! 472 00:49:16,099 --> 00:49:18,101 憎らしいよ 473 00:49:18,101 --> 00:49:20,437 何 眠狂四郎? 474 00:49:20,437 --> 00:49:22,439 さよう 475 00:49:22,439 --> 00:49:26,443 眠狂四郎なる者を討つために 476 00:49:26,443 --> 00:49:32,382 ぜひとも あなたさまの剣の腕を お借りしたいのでございます 477 00:49:32,382 --> 00:49:34,382 断ったら?➡ 478 00:49:36,720 --> 00:49:38,722 千佐! 479 00:49:38,722 --> 00:49:42,726 条件をおのみ願えますかな? 480 00:49:42,726 --> 00:49:50,734 ♬~ 481 00:49:50,734 --> 00:49:54,404 そうですか そりゃよかった 482 00:49:54,404 --> 00:50:11,421 ♬~ 483 00:50:11,421 --> 00:50:17,761 (鳥の鳴き声) 484 00:50:17,761 --> 00:50:22,432 旦那 まだ寝てんですか? 485 00:50:22,432 --> 00:50:24,434 旦那 486 00:50:24,434 --> 00:50:26,434 あらっ 487 00:50:29,106 --> 00:50:32,376 あれ!? ああ ちょいと (女性)はい 488 00:50:32,376 --> 00:50:34,711 あの ここのお部屋のお客さまは? 489 00:50:34,711 --> 00:50:38,011 (女性)あっ ご浪人さまなら もう おたちになりましたよ 490 00:50:41,385 --> 00:50:43,720 ハァ~ッ 491 00:50:43,720 --> 00:50:47,320 またっ ハァ~ 492 00:51:15,085 --> 00:51:19,089 やはり おぬしだったか 493 00:51:19,089 --> 00:51:22,092 倉本源之助と申す 494 00:51:22,092 --> 00:51:26,096 眠狂四郎どの お手前とは縁もゆかりもない 495 00:51:26,096 --> 00:51:28,432 まして恨みなどない 496 00:51:28,432 --> 00:51:31,368 だが おぬしを斬らねばならん 497 00:51:31,368 --> 00:51:37,040 侍を捨てた男が なにゆえ刀を手にした? 498 00:51:37,040 --> 00:51:39,340 愚かなことだ 499 00:51:45,382 --> 00:51:48,385 何も好んで 命を捨てることはあるまい 500 00:51:48,385 --> 00:51:53,385 妻の命を救うために おぬしを斬らねばならん 501 00:51:55,058 --> 00:52:01,398 ♬~ 502 00:52:01,398 --> 00:52:05,736 眠どの まいるがよいか! 503 00:52:05,736 --> 00:52:25,756 ♬~ 504 00:52:25,756 --> 00:52:44,056 ♬~ 505 00:53:07,798 --> 00:53:27,818 ♬~ 506 00:53:27,818 --> 00:53:44,100 ♬~ 507 00:53:44,100 --> 00:53:46,100 (源之助)うわ~っ! 508 00:53:47,437 --> 00:53:49,439 (斬る音) (源之助)うわっ 509 00:53:49,439 --> 00:53:58,114 ♬~ 510 00:53:58,114 --> 00:54:01,414 これで 二度と刀を握ることはできまい 511 00:54:04,788 --> 00:54:06,790 薩摩のご一党 512 00:54:06,790 --> 00:54:12,128 この男 もはや おぬしたちの役には立たん 513 00:54:12,128 --> 00:54:17,133 妻女を人質に取っとく 必要はなくなったはずだ 514 00:54:17,133 --> 00:54:19,433 放してやってはどうだ? 515 00:54:27,143 --> 00:54:32,343 ハッ ハァ あなた! (源之助)千佐 516 00:54:33,416 --> 00:54:35,416 (刺す音) (千佐)ううっ 517 00:54:38,421 --> 00:54:40,423 千佐! 518 00:54:40,423 --> 00:54:42,759 (斬る音) (源之助)うわっ 519 00:54:42,759 --> 00:54:53,103 ♬~ 520 00:54:53,103 --> 00:54:55,772 (斬る音) (弥十郎)ああっ 521 00:54:55,772 --> 00:55:15,792 ♬~ 522 00:55:15,792 --> 00:55:32,692 ♬~ 523 00:55:33,743 --> 00:55:35,745 (斬る音) ああっ 524 00:55:35,745 --> 00:55:37,747 おお… 525 00:55:37,747 --> 00:55:42,085 おおっ ぐっ おう 526 00:55:42,085 --> 00:55:44,087 眠… 527 00:55:44,087 --> 00:55:46,756 狂四郎… 528 00:55:46,756 --> 00:55:49,092 ハァ ううっ 529 00:55:49,092 --> 00:56:09,112 ♬~ 530 00:56:09,112 --> 00:56:21,124 ♬~ 531 00:56:21,124 --> 00:56:30,467 ♬~ 532 00:56:30,467 --> 00:56:50,420 ♬~ 533 00:56:50,420 --> 00:57:10,440 ♬~ 534 00:57:10,440 --> 00:57:30,460 ♬~ 535 00:57:30,460 --> 00:57:50,413 ♬~ 536 00:57:50,413 --> 00:57:59,756 ♬~ 537 00:59:35,118 --> 00:59:38,454 (ナレーター)<過ぎし日の 遠い昔日をしのぶとき➡ 538 00:59:38,454 --> 00:59:42,125 母として 胸に去来する我が子の面影> 539 00:59:42,125 --> 00:59:44,127 <再び巡り会えた我が子は➡ 540 00:59:44,127 --> 00:59:46,462 遠く手の届かぬ所へ> 541 00:59:46,462 --> 00:59:50,800 <野盗となり 人を刺し殺し 死罪に> 542 00:59:50,800 --> 00:59:53,069 <震える指で爪弾く➡ 543 00:59:53,069 --> 00:59:55,405 手向けの三味の音> 544 00:59:55,405 --> 00:59:59,742 冥土の土産に 円月殺法をご覧に入れよう