1 00:00:35,111 --> 00:00:38,581 <ご存じ 鼠小僧が生きていた時代は➡ 2 00:00:38,581 --> 00:00:40,516 浮世絵の黄金期といわれる➡ 3 00:00:40,516 --> 00:00:44,086 江戸の町人文化が 花開いた時代である。➡ 4 00:00:44,086 --> 00:00:46,989 その一方で 側近政治が はびこり➡ 5 00:00:46,989 --> 00:00:49,892 江戸の風紀は 乱れがちであった。➡ 6 00:00:49,892 --> 00:00:57,099 町に生きる庶民の暮らしは その苦しさを増すばかりであった> 7 00:00:57,099 --> 00:01:01,399 (戸をたたく音) 8 00:01:04,607 --> 00:01:07,443 お豊ちゃん…。 9 00:01:07,443 --> 00:01:10,143 どうしたの? 10 00:01:12,114 --> 00:01:14,784 (お豊)お別れを言いたくて…。 11 00:01:14,784 --> 00:01:18,287 お別れ? 12 00:01:18,287 --> 00:01:20,787 兄さん! 13 00:01:22,958 --> 00:01:27,463 お豊 どこへ行く気だ? 14 00:01:27,463 --> 00:01:29,463 まあ 入んな。 15 00:01:31,801 --> 00:01:35,071 吉原に参ります。 吉原!? 16 00:01:35,071 --> 00:01:40,409 長い間… お世話になりました。 17 00:01:40,409 --> 00:01:42,345 お豊…。 18 00:01:42,345 --> 00:01:47,917 次郎吉さん 小袖さん…➡ 19 00:01:47,917 --> 00:01:50,586 おっ母さんの事➡ 20 00:01:50,586 --> 00:01:54,256 どうか お頼み申します。 21 00:01:54,256 --> 00:01:56,192 お前…。 22 00:01:56,192 --> 00:01:59,762 おい 早くしろ! 寒くて たまんねえや! 23 00:01:59,762 --> 00:02:02,798 はい…。 24 00:02:02,798 --> 00:02:07,798 それじゃ… お達者で。 25 00:02:15,111 --> 00:02:17,411 お豊ちゃん! 26 00:02:20,449 --> 00:02:22,385 お豊! 27 00:02:22,385 --> 00:02:24,320 おっ母さん! お稲! 28 00:02:24,320 --> 00:02:28,791 お豊! お豊! 来い! お豊! 29 00:02:28,791 --> 00:02:31,827 お豊! お豊! しかたがねえ…。 30 00:02:31,827 --> 00:02:36,065 何が しかたないんだ! あんたのせいだよ あんたの!➡ 31 00:02:36,065 --> 00:02:38,567 お豊! お豊! 32 00:02:38,567 --> 00:02:44,240 達造さん まさか また 賭場通い してたんじゃねえだろうな。 33 00:02:44,240 --> 00:02:47,576 そのために お豊ちゃんは 吉原に? 34 00:02:47,576 --> 00:02:50,479 しかたねえだろ! 博打でも やんなきゃ➡ 35 00:02:50,479 --> 00:02:53,015 こいつの病だって 治せねえんだ! 36 00:02:53,015 --> 00:02:56,252 うちにも 鼠小僧が来てくれりゃあよ。 37 00:02:56,252 --> 00:02:58,587 何が 鼠小僧だ! 38 00:02:58,587 --> 00:03:01,090 うちのような貧乏人 見過ごしやがって! 39 00:03:01,090 --> 00:03:05,261 バカ 言え! 鼠小僧が…➡ 40 00:03:05,261 --> 00:03:09,432 仮に そんな者がいたとしてもだ➡ 41 00:03:09,432 --> 00:03:12,468 博打の借金を 返してくれるもんかい! 42 00:03:12,468 --> 00:03:14,937 そうなりゃ 俺だって 心を入れ替えるさ!➡ 43 00:03:14,937 --> 00:03:17,840 でもな そんな者は いやしねえんだ! 44 00:03:17,840 --> 00:03:19,809 神様と同じよ! 45 00:03:19,809 --> 00:03:23,609 一度だって 願いを 聞き入れてもらえた事はねえや! 46 00:03:28,784 --> 00:03:52,007 ♬~ 47 00:03:52,007 --> 00:03:57,246 あ~ 寒い! だから 冬場は 働きたくねえんだよな…。 48 00:03:57,246 --> 00:03:59,582 (呼び子の音) 49 00:03:59,582 --> 00:04:04,086 何でい! 見張っていたのか。 50 00:04:04,086 --> 00:04:08,924 いるぞ いるぞ! この目で 見たんでえ。 間違いねえ。 51 00:04:08,924 --> 00:04:10,960 おい! お前ら 向こうに回れ! 52 00:04:10,960 --> 00:04:13,762 暗い方に 鼠をおびき寄せるんでえ! 53 00:04:13,762 --> 00:04:19,462 行け! ほら 行け! 早く行けって言ってんだよ! 54 00:04:23,272 --> 00:04:25,207 おっ! 55 00:04:25,207 --> 00:04:30,779 ♬~ 56 00:04:30,779 --> 00:04:32,715 おっ! 57 00:04:32,715 --> 00:04:50,132 ♬~ 58 00:04:50,132 --> 00:04:52,132 うん? 59 00:04:53,903 --> 00:04:55,838 (呼び子の音) 60 00:04:55,838 --> 00:04:59,074 この野郎! 61 00:04:59,074 --> 00:05:02,111 (呼び子の音) 逃がさねえぞ! 62 00:05:02,111 --> 00:05:04,246 (呼び子の音) おっとっとっと! 63 00:05:04,246 --> 00:05:08,584 何で あちこちから 呼び子が 聞こえてくるんでえ? こっちだ! 64 00:05:08,584 --> 00:05:12,254 (呼び子の音) やっぱり こっちだ! 65 00:05:12,254 --> 00:05:18,594 (呼び子の音) 66 00:05:18,594 --> 00:05:26,794 ♬~ 67 00:05:29,104 --> 00:05:32,875 ♬~ 68 00:05:32,875 --> 00:06:21,575 ♬~ 69 00:06:23,192 --> 00:06:28,998 (浅蜊売りの声) 70 00:06:28,998 --> 00:06:31,998 ≪あっ おくれ。 ≪へい! 71 00:06:39,375 --> 00:06:42,878 「ご苦労さま」と 堂々と言えないのが➡ 72 00:06:42,878 --> 00:06:45,578 私のつらいところね。 73 00:06:55,057 --> 00:06:57,357 今日も きれいだね! 74 00:07:02,931 --> 00:07:05,234 ごめんよ! おう 甘酒屋! 75 00:07:05,234 --> 00:07:08,137 よう 遊び人! 皆さん お早いですね。 76 00:07:08,137 --> 00:07:10,906 何が早いもんか! こちとら 商い終えて➡ 77 00:07:10,906 --> 00:07:13,575 ようやく おまんまに ありつこうってとこだ! 78 00:07:13,575 --> 00:07:16,345 そうだよ お前! 甘酒屋は 今頃 起きだしてきたのか? 79 00:07:16,345 --> 00:07:18,280 甘酒は 夜の方が売れるもんでね。 80 00:07:18,280 --> 00:07:21,183 どこで売ってるんだい? 一度 あんたの甘酒 飲んでみたいや。 81 00:07:21,183 --> 00:07:24,420 駄目 駄目! 誰も見た事がないんだから➡ 82 00:07:24,420 --> 00:07:26,455 次郎吉さんが 甘酒 売ってる姿。 83 00:07:26,455 --> 00:07:28,590 ねっ! ねっ! 84 00:07:28,590 --> 00:07:31,093 (お染)盛り? かけ? 寒いから かけで。 85 00:07:31,093 --> 00:07:33,793 あっ しっぽくにしておくれ。 あいよ! 86 00:07:35,531 --> 00:07:40,402 しっぽくとは 起き抜けから豪勢だな 甘酒屋! 87 00:07:40,402 --> 00:07:42,404 徳五郎親分 いらしてたんですか。 88 00:07:42,404 --> 00:07:44,540 「いらしてたんですか」じゃねえよ この野郎! 89 00:07:44,540 --> 00:07:48,711 親分は 昨夜 大変だったんだよ。 遅えんだ この野郎! 90 00:07:48,711 --> 00:07:52,581 あの鼠が また出たのさ! へえ! 91 00:07:52,581 --> 00:07:55,484 ここんとこ 怠けてたようだもんな 鼠も。 92 00:07:55,484 --> 00:07:58,387 読み売りが張り切ってたぜ。 久しぶりに 江戸の夜風に➡ 93 00:07:58,387 --> 00:08:01,423 呼び子の音が響いたってな。 あっ 私も聞いた! 94 00:08:01,423 --> 00:08:04,259 けど 今度は どこのお武家さんが やられたんだい? 95 00:08:04,259 --> 00:08:06,261 読み売りでも知らないそうだよ。 96 00:08:06,261 --> 00:08:08,897 親分なら 当然 知ってるでしょうね? 97 00:08:08,897 --> 00:08:11,233 名乗り 出ねえや。 えっ? 98 00:08:11,233 --> 00:08:15,571 ひょっとすると 盗まれた家は➡ 99 00:08:15,571 --> 00:08:19,408 まだ 盗まれた事に 気付いてねえのかもしれねえな。 100 00:08:19,408 --> 00:08:23,278 じゃあ 昨夜の捕り物は? 俺が見たのよ。 101 00:08:23,278 --> 00:08:28,083 確かに この目で 鼠の姿をよ! コンチクショー! 102 00:08:28,083 --> 00:08:32,688 さすが! さすがだね 鼠は! 103 00:08:32,688 --> 00:08:35,724 百両や千両 盗まれたって 気付かないような➡ 104 00:08:35,724 --> 00:08:38,494 武家屋敷からしか 盗らないんだよ 鼠は! 105 00:08:38,494 --> 00:08:41,396 それを 貧しい庶民に分け与えてんのさ。 106 00:08:41,396 --> 00:08:45,200 けなげだね~! 泥棒の鑑だよ! 107 00:08:45,200 --> 00:08:48,237 女将 しっぽくそば! はいよ! 108 00:08:48,237 --> 00:08:51,006 鼠小僧様 どうか おうちに来て下さい! 109 00:08:51,006 --> 00:08:55,844 お待ちしております! 冗談じゃねえ この野郎! 110 00:08:55,844 --> 00:08:59,548 捕まりゃ 死罪は確実の 大盗っ人でえ! 111 00:08:59,548 --> 00:09:03,886 そんな者 あがめる お前たちも 地獄に落ちるぞ! この野郎! 112 00:09:03,886 --> 00:09:07,723 (太助)痛い 痛い! 痛い 痛い! 113 00:09:07,723 --> 00:09:10,392 何を 大きな声 出してるんだい? 徳五郎。 114 00:09:10,392 --> 00:09:13,228 おう こりゃ 旦那! 115 00:09:13,228 --> 00:09:15,898 やっぱり ここにいたのか。 116 00:09:15,898 --> 00:09:18,734 (与平)出てきま~す。 あっ この野郎! 117 00:09:18,734 --> 00:09:23,405 お前 昨夜も 鼠を取り逃がしたんだってな? 118 00:09:23,405 --> 00:09:26,308 それで こんな所で 酒 飲んで 管 巻いてるようじゃ➡ 119 00:09:26,308 --> 00:09:29,077 この先も 見込みはないぞ。 120 00:09:29,077 --> 00:09:33,048 へい! 分かっておりやす! いいか? 121 00:09:33,048 --> 00:09:37,519 お前を目明かしにした父と 私は違うんだ。 122 00:09:37,519 --> 00:09:39,555 いつまでも のんびり 構えてもらっちゃ困るぞ。 123 00:09:39,555 --> 00:09:41,690 へい! 124 00:09:41,690 --> 00:09:44,359 早崎の旦那 盛りにしますか? かけに…。 125 00:09:44,359 --> 00:09:46,359 何も要らん! 126 00:09:49,198 --> 00:09:52,034 甘酒屋か。 127 00:09:52,034 --> 00:09:56,905 こんな遊び人と つきあってたって 鼠の尻尾も つかめやしない。 128 00:09:56,905 --> 00:10:01,376 旦那。 旦那は 昨夜 どちらに? 129 00:10:01,376 --> 00:10:04,880 私が遊んでいたとでも思うのか? いえいえ いえいえ! 130 00:10:04,880 --> 00:10:08,750 昨夜は 辻斬りがあったんだ。 お前に 何も知らせなかったのは➡ 131 00:10:08,750 --> 00:10:11,653 お前に 鼠を任せたからじゃないか! 132 00:10:11,653 --> 00:10:15,057 また 辻斬りですか? 133 00:10:15,057 --> 00:10:21,830 ああ。 鼠に辻斬り…。 ふらちなものが はやって困る。 134 00:10:21,830 --> 00:10:26,330 一緒にしないで下さいよ。 はあ? 135 00:10:35,077 --> 00:10:40,415 いつまでたっても 小袖殿の剣術には かないません。 136 00:10:40,415 --> 00:10:43,752 広之進様も 随分 腕を上げられましたよ。 137 00:10:43,752 --> 00:10:46,421 いやいや この程度の腕前では➡ 138 00:10:46,421 --> 00:10:49,925 武家の次男 三男に 生きる道などござりませぬ。 139 00:10:49,925 --> 00:10:52,828 一生 部屋住みかもしれません。 140 00:10:52,828 --> 00:10:57,266 私だって そうです。 一生 このままです。 141 00:10:57,266 --> 00:11:01,937 えっ? 小袖殿は なぜ 剣術を? 142 00:11:01,937 --> 00:11:05,440 ただ 強くなるためです。 143 00:11:05,440 --> 00:11:10,640 私は 誰からも助けられては ならない身分なのです。 144 00:11:20,289 --> 00:11:28,630 ♬~ 145 00:11:28,630 --> 00:11:32,234 ♬~ 146 00:11:32,234 --> 00:11:46,415 ♬~ 147 00:11:46,415 --> 00:11:48,415 あっ。 148 00:11:51,286 --> 00:11:55,424 辻斬りとは卑劣な! 149 00:11:55,424 --> 00:11:59,094 私が相手だ! は~っ! 150 00:11:59,094 --> 00:12:21,483 ♬~ 151 00:12:21,483 --> 00:12:25,283 お役人だ! お役人が来たぞ! 152 00:12:33,095 --> 00:12:38,233 大丈夫? ありがとうございます。 153 00:12:38,233 --> 00:12:42,104 どうしたの? この中に 大事な茶碗が…。 154 00:12:42,104 --> 00:12:44,406 茶碗? 155 00:12:44,406 --> 00:12:47,075 中を確かめるのは 後。 ここにいては 危ない。 156 00:12:47,075 --> 00:12:49,411 私が送っていくわ。 それも危ない! 157 00:12:49,411 --> 00:12:52,914 あなたが送るのと どっちが危ないの? 158 00:12:52,914 --> 00:12:55,714 お頼み申します…。 159 00:12:59,421 --> 00:13:03,592 へえ~ 随分 立派な お店ね。 160 00:13:03,592 --> 00:13:07,262 すが! おすが! おすが様…。 161 00:13:07,262 --> 00:13:09,197 どうしたのだ? こんなに遅くまで。 162 00:13:09,197 --> 00:13:11,133 今 迎えに行こうと 思っていたのだ。 163 00:13:11,133 --> 00:13:14,036 すみません。 辻斬りに遭ったところを➡ 164 00:13:14,036 --> 00:13:17,336 この方に助けて頂いたのです。 なんと! 165 00:13:19,975 --> 00:13:22,277 (すが)私は 無事に済みましたが➡ 166 00:13:22,277 --> 00:13:24,780 お借りした大事な茶碗を 落としてしまったのです。 167 00:13:24,780 --> 00:13:29,951 お前が無事なら それでいい。 けれど それが ただの茶碗では…。 168 00:13:29,951 --> 00:13:34,389 あの~ 私は これで…。 いや お待ち下さい! 169 00:13:34,389 --> 00:13:38,226 大事な娘の命を助けて頂いて ただ お帰しする訳には まいりません。 170 00:13:38,226 --> 00:13:40,729 いいんです そんな! 先を急ぎますので。 171 00:13:40,729 --> 00:13:43,729 なら せめて お住まいだけでも! 172 00:13:47,402 --> 00:13:51,239 しかし 妙だな その辻斬りは。 173 00:13:51,239 --> 00:13:55,577 妙じゃない辻斬りなんて いないでしょ。 そうじゃねえ。 174 00:13:55,577 --> 00:13:59,247 辻斬りとは思えねえから 言ってるんだ。 どういう事? 175 00:13:59,247 --> 00:14:02,851 その娘は 誰かに つけられていたと言ったんだろ? 176 00:14:02,851 --> 00:14:08,090 そうよ。 足音が消えたと思ったら 前から現れたって。 177 00:14:08,090 --> 00:14:13,428 後をつけてきて 目星の場所で 先回りしたんだ。 178 00:14:13,428 --> 00:14:15,363 …って事は? 179 00:14:15,363 --> 00:14:17,599 そこに通りかかった誰かを➡ 180 00:14:17,599 --> 00:14:21,770 相手構わず 斬り捨てる 辻斬りとは違う。 181 00:14:21,770 --> 00:14:27,070 初めっから その娘を狙っていたんだ。 182 00:14:35,050 --> 00:14:40,722 娘の命をお救い下さったご恩には とても報いる事はできませんが➡ 183 00:14:40,722 --> 00:14:45,494 せめて 心ばかりの品を どうか お納め下さい。 184 00:14:45,494 --> 00:14:47,896 いけません そんな事は…。 185 00:14:47,896 --> 00:14:51,733 いいえ。 また 何かの折には➡ 186 00:14:51,733 --> 00:14:57,033 どうか 娘の すがを よろしく お願い申します。 187 00:14:59,074 --> 00:15:04,412 弥兵衛さん それは ありがたく 受け取りますが…。 兄さん! 188 00:15:04,412 --> 00:15:06,748 茶碗は どうなりましたか? 189 00:15:06,748 --> 00:15:11,987 あっ そうそう おすがさんが ひどく 気にしておいででした。 190 00:15:11,987 --> 00:15:14,956 木箱の中で割れたんじゃないかと。 191 00:15:14,956 --> 00:15:18,093 よほど 大事な茶碗だったんでしょ? 192 00:15:18,093 --> 00:15:22,597 確かに割れてございました。 193 00:15:22,597 --> 00:15:29,938 しかし 元はといえば 娘に 使いを頼んだ私が悪いのです。 194 00:15:29,938 --> 00:15:33,542 娘を 危ない目に 遭わせてしまいました。 195 00:15:33,542 --> 00:15:39,714 そんな大事な茶碗 よく借りられましたね。 196 00:15:39,714 --> 00:15:42,617 私は これで…。 197 00:15:42,617 --> 00:15:45,117 お邪魔致しました。 198 00:15:48,723 --> 00:15:52,423 まあ 兄さん 10両も! 199 00:15:55,063 --> 00:15:58,063 ほかにも 何か入ってる。 200 00:16:01,403 --> 00:16:08,176 何? これ。 これが 割れた茶碗かしら? 201 00:16:08,176 --> 00:16:10,876 どうして そんなものが…。 202 00:16:14,416 --> 00:16:16,716 これは…。 203 00:16:19,921 --> 00:16:23,258 どうしたの? 次郎吉さん。 そんなもの 眺めて。 204 00:16:23,258 --> 00:16:27,596 よっぽど 暇そうだね。 女将 これが 何か分かるかい? 205 00:16:27,596 --> 00:16:31,766 うん? 茶碗か何かの かけらじゃないの? 206 00:16:31,766 --> 00:16:37,572 ああ。 その割れた縁に 何か ついてるだろ? うん? 207 00:16:37,572 --> 00:16:41,042 あ~ これは 焼き継ぎした跡だよ。 208 00:16:41,042 --> 00:16:42,978 やっぱり そうか。 209 00:16:42,978 --> 00:16:45,914 私も よく 焼き継ぎ屋に頼むからね。 210 00:16:45,914 --> 00:16:50,614 だけど これは 随分 高価な 茶碗だったんじゃないのかい? 211 00:17:04,733 --> 00:17:09,233 ごめんよ! 弥兵衛さん いるかい? 212 00:17:11,072 --> 00:17:13,072 (番頭)はい。 213 00:17:14,943 --> 00:17:18,947 これは その節は どうも…。 214 00:17:18,947 --> 00:17:21,249 次郎吉が来たと伝えてくれ。 215 00:17:21,249 --> 00:17:25,587 主人は 先ほど… 亡くなりました。 216 00:17:25,587 --> 00:17:27,922 何だって!? どうしてだい? 217 00:17:27,922 --> 00:17:30,258 お手討ちに遭ったのです。 218 00:17:30,258 --> 00:17:35,030 何でも 新田藩主が かつて 豊臣秀吉公から拝領した➡ 219 00:17:35,030 --> 00:17:38,066 家宝の茶碗を割ったという事で➡ 220 00:17:38,066 --> 00:17:42,537 いきりたった家臣の侍に 斬られたのです。 221 00:17:42,537 --> 00:17:47,737 そんな…。 で おすがさんは? 222 00:17:57,552 --> 00:18:03,425 父は… 私のせいで殺されたのです。 223 00:18:03,425 --> 00:18:06,625 私のせいで…。 224 00:18:09,564 --> 00:18:15,236 おすがさん 妹の小袖が あんたを送っていったあと➡ 225 00:18:15,236 --> 00:18:18,073 あんたも 割れた茶碗を見たのかい? 226 00:18:18,073 --> 00:18:20,373 いいえ…。 227 00:18:25,747 --> 00:18:32,547 どうでした? ああ。 やっぱり 割れていたよ。 228 00:18:34,856 --> 00:18:41,029 けど 心配するな。 お前のせいじゃない。 229 00:18:41,029 --> 00:18:45,529 断じて お前のせいではない。 230 00:18:47,535 --> 00:18:50,438 私のせいです! 231 00:18:50,438 --> 00:18:54,638 私が 父を殺したのです! 232 00:18:58,046 --> 00:19:01,916 おすがさん その茶碗は➡ 233 00:19:01,916 --> 00:19:06,388 新田藩邸から あなたが 借り受けてきたのですか? 234 00:19:06,388 --> 00:19:09,290 違います…。 235 00:19:09,290 --> 00:19:12,260 茶碗を貸して下さったのは➡ 236 00:19:12,260 --> 00:19:17,399 父の茶道の師である 宗庵様です。 237 00:19:17,399 --> 00:19:21,899 父が 近々 茶会を開くので そこで使えるようにと。 238 00:19:29,744 --> 00:19:36,551 ハハハハハ。 いや~ まさか おすがさんが見えるとは…。 239 00:19:36,551 --> 00:19:39,554 随分と待たせて すまなかったね。 240 00:19:39,554 --> 00:19:43,391 いえ この度は 無理を申して すみません。 241 00:19:43,391 --> 00:19:47,228 いや 待ったかいがあったよ。 242 00:19:47,228 --> 00:19:51,366 すばらしい茶碗を お貸しできる事になった。 243 00:19:51,366 --> 00:19:56,871 これは 新田藩主のお家に 代々伝わる名器➡ 244 00:19:56,871 --> 00:19:59,371 天目茶碗だ。 245 00:20:05,547 --> 00:20:12,720 これを 若君様が お貸し下さると 言って下さった。 246 00:20:12,720 --> 00:20:14,656 大名家の若君が? 247 00:20:14,656 --> 00:20:23,956 うむ。 これで そなたの父の茶会も 箔が付くというものだ。 248 00:20:28,269 --> 00:20:31,573 そんな茶碗くらいで どうして 殺されなくちゃいけないのよ! 249 00:20:31,573 --> 00:20:35,443 そう 大きい声を出すな。 250 00:20:35,443 --> 00:20:41,243 おすがさんが かわいそう…。 一生 自分のせいだと苦しむわ。 251 00:20:43,184 --> 00:20:49,591 そうしないために これを 俺たちに託したのかもな。 252 00:20:49,591 --> 00:20:54,095 それが何よ? 253 00:20:54,095 --> 00:20:59,767 その茶碗は 初めっから 割れていたんだ。 254 00:20:59,767 --> 00:21:01,703 えっ? 255 00:21:01,703 --> 00:21:06,207 ほら 見ろ。 焼き継ぎした跡がある。 256 00:21:06,207 --> 00:21:08,142 あっ。 257 00:21:08,142 --> 00:21:10,945 弥兵衛さんは それに気付いたんだ。 258 00:21:10,945 --> 00:21:14,282 宗庵に たぶらかされた事に。 259 00:21:14,282 --> 00:21:16,784 それで殺されたの? 260 00:21:16,784 --> 00:21:19,821 それなのに なぜ わざわざ 大名家に 謝りに行ったのよ? 261 00:21:19,821 --> 00:21:24,621 娘を守るためかもしれない。 えっ? 262 00:21:26,961 --> 00:21:31,933 ところで 達造さんとこの お豊は もう 吉原から戻ってきたのか? 263 00:21:31,933 --> 00:21:36,504 戻ってきてないわよ お豊ちゃんなら…。 264 00:21:36,504 --> 00:21:38,907 おかしいな…。 265 00:21:38,907 --> 00:21:41,743 たとえ 鼠が来たとしても➡ 266 00:21:41,743 --> 00:21:46,581 達造さんなら また 博打で すっちゃうかもね。 267 00:21:46,581 --> 00:21:49,381 そこまで バカじゃないだろう。 268 00:21:54,455 --> 00:21:58,655 四一の半! あ~! 269 00:22:04,966 --> 00:22:07,769 ハ~ハハッ! 270 00:22:07,769 --> 00:22:13,575 若君 辻斬りも 大概になさいませんと。 271 00:22:13,575 --> 00:22:18,413 今更 おじけづくな 宗庵。 博打は 天下のご法度。 272 00:22:18,413 --> 00:22:20,949 さような輩 いくら斬ったところで 罰は当たるまい。 273 00:22:20,949 --> 00:22:27,455 しかし 若君…。 そう申したのは そなたであるぞ。 274 00:22:27,455 --> 00:22:30,124 (ため息) 誰か来る。 275 00:22:30,124 --> 00:22:53,247 ♬~ 276 00:22:53,247 --> 00:22:55,183 あああ…。 277 00:22:55,183 --> 00:22:58,883 うわっ! ああ~っ! 278 00:23:03,758 --> 00:23:06,458 (宗庵)若君…。 279 00:23:12,433 --> 00:23:21,109 ♬~ 280 00:23:21,109 --> 00:23:23,109 美雪殿! 281 00:23:24,779 --> 00:23:28,616 (美雪)田上様 閉じ込められて…。 かような所に 282 00:23:28,616 --> 00:23:33,454 土蔵の鍵を盗んできたのか? 早く戻らねば 大変な事になるぞ。 283 00:23:33,454 --> 00:23:36,224 私は 死んでも構いません。 284 00:23:36,224 --> 00:23:39,894 田上様が 腹を召されると言うなら この私も一緒に! 285 00:23:39,894 --> 00:23:42,230 (田上)何を申すか! 286 00:23:42,230 --> 00:23:47,068 (美雪)田上様は まことに 町人を斬ったのですか?➡ 287 00:23:47,068 --> 00:23:50,405 どうなんです!? 288 00:23:50,405 --> 00:23:53,908 斬ったのは…➡ 289 00:23:53,908 --> 00:23:57,412 若様だ。 若様が!? 290 00:23:57,412 --> 00:24:02,917 (田上)ご公儀に対して 私が身代わりとなったのだ。 291 00:24:02,917 --> 00:24:05,586 これも 武士の忠義だ。 292 00:24:05,586 --> 00:24:07,522 理不尽な…。 293 00:24:07,522 --> 00:24:12,260 お国元の殿より それを お認めになるご書状が届けば➡ 294 00:24:12,260 --> 00:24:17,098 私は 即刻 腹を切る。 295 00:24:17,098 --> 00:24:20,601 私も 一緒に死にます! 美雪殿! 296 00:24:20,601 --> 00:24:24,105 せめて この場で 一緒に死なせて下さい! 297 00:24:24,105 --> 00:24:27,008 そうか。 そうしてくれるのか! 298 00:24:27,008 --> 00:24:30,008 田上様! 美雪殿! 299 00:24:31,779 --> 00:24:34,682 (田上)では…。 300 00:24:34,682 --> 00:24:43,725 ♬~ 301 00:24:43,725 --> 00:24:45,725 待て! キャッ! 302 00:24:47,562 --> 00:24:52,400 静かにしろ。 何やつだ? くせ者! 303 00:24:52,400 --> 00:24:57,238 チュウ チュウ。 チュウ チュウと鳴くのは 鼠か! 304 00:24:57,238 --> 00:25:02,410 チュウギ チュウギと鳴くのは お侍ですか? 305 00:25:02,410 --> 00:25:04,345 何! 306 00:25:04,345 --> 00:25:09,283 それが 本当に忠義なら 報われるんですけどね。 307 00:25:09,283 --> 00:25:11,419 どういう事だ? 308 00:25:11,419 --> 00:25:15,590 あの茶碗を割ったのは あの町人じゃありませんぜ。 309 00:25:15,590 --> 00:25:19,927 何? あの町人が斬られる時➡ 310 00:25:19,927 --> 00:25:23,431 あなたは その場にいたんですか? 311 00:25:23,431 --> 00:25:31,305 いや… 私は 廊下に控え 声だけを聞いていた。 312 00:25:31,305 --> 00:25:36,878 ≪(弥兵衛)娘は 何も知りません。 割れた茶碗を見てもございません。 313 00:25:36,878 --> 00:25:44,051 ≪(若君)主は 何を申したいのじゃ?➡ 314 00:25:44,051 --> 00:25:48,556 何じゃ? その目は。 無礼者! 315 00:25:48,556 --> 00:25:50,556 ≪(斬る音) 316 00:25:58,566 --> 00:26:04,566 おい 鼠 聞いているのか? おい! 317 00:26:07,742 --> 00:26:11,245 気になるな…。 318 00:26:11,245 --> 00:26:18,245 美雪殿 死ぬのは しばし 待とう。 はい。 319 00:26:20,588 --> 00:26:25,088 はあ… 俺は 何をやってるんだか。 320 00:26:29,297 --> 00:26:36,297 若君。 しからば 私は これにて ごめん。 321 00:26:40,708 --> 00:26:45,008 (若君)宗庵! はっ? 322 00:26:47,381 --> 00:26:54,889 宗庵… 初めて 人を斬った時から 怖いのだ。 323 00:26:54,889 --> 00:27:02,563 時折 訳もなく 手が震え あの茶碗も壊してしまったのだ。➡ 324 00:27:02,563 --> 00:27:08,069 その怖さを拭うには また 人を斬るしかない。 325 00:27:08,069 --> 00:27:12,940 そういうふうにしたのも 宗庵 そなただぞ。 326 00:27:12,940 --> 00:27:21,616 承知しております。 若君 それは 不安から来るものにございます。 327 00:27:21,616 --> 00:27:28,456 若君が 殿様になられるまで その不安は あります。 328 00:27:28,456 --> 00:27:33,027 いや しかし 殿様になられましても➡ 329 00:27:33,027 --> 00:27:36,364 この宗庵が おそばにおらねば➡ 330 00:27:36,364 --> 00:27:40,234 その不安を拭い去る事は できますまいが…。 331 00:27:40,234 --> 00:27:45,873 ああ 分かっておる。 ずっと そばにいてもらわねば困る。 332 00:27:45,873 --> 00:27:51,679 (宗庵)ならば 何も ご案じ召さるな。 333 00:27:51,679 --> 00:27:55,583 どうか ごゆるりと お休み下さいませ。 334 00:27:55,583 --> 00:28:00,221 ゆるりとなど…。 335 00:28:00,221 --> 00:28:06,394 また… また 怖い夢を見るかもしれん。 336 00:28:06,394 --> 00:28:17,894 ♬~ 337 00:28:20,574 --> 00:28:24,078 う~ん! 338 00:28:24,078 --> 00:28:26,078 (猫の鳴き声) 339 00:28:28,249 --> 00:28:31,752 おはよう! おはよう! 340 00:28:31,752 --> 00:28:34,522 おはよう! (悲鳴) 341 00:28:34,522 --> 00:28:40,022 おう。 こいつは ここの住人か? どうだい? 342 00:28:43,030 --> 00:28:44,966 達造さん! 343 00:28:44,966 --> 00:28:48,703 身内は いるか? 344 00:28:48,703 --> 00:28:51,703 お稲さん! あそこんちの亭主かい? 345 00:28:56,043 --> 00:28:58,043 あんた! 346 00:28:59,914 --> 00:29:05,720 辻斬りだ。 辻斬り? 347 00:29:05,720 --> 00:29:10,057 徳五郎親分。 甘酒屋…。 348 00:29:10,057 --> 00:29:15,229 へえ。 ここは お前の住んでる へい。 長屋か。 349 00:29:15,229 --> 00:29:20,401 この辻斬りは 博打 やってる者ばかり 狙いやがる。 350 00:29:20,401 --> 00:29:24,271 役人が いまひとつ 力が入らねえのも そのせいでえ。 351 00:29:24,271 --> 00:29:29,410 バカが…。 バカが! バカが! 352 00:29:29,410 --> 00:29:38,519 (お稲の泣き声) 353 00:29:38,519 --> 00:29:46,394 ♬~ 354 00:29:46,394 --> 00:29:49,864 宗庵 誰か来るぞ。 355 00:29:49,864 --> 00:30:23,764 ♬~ 356 00:30:23,764 --> 00:30:27,568 え~い! いけません! 357 00:30:27,568 --> 00:30:31,906 ♬~ 358 00:30:31,906 --> 00:30:33,841 お逃げ下さい! ああ! 359 00:30:33,841 --> 00:30:55,129 ♬~ 360 00:30:55,129 --> 00:31:00,267 茶の湯の先生とは 思えませんね。 やっぱり あの時の…。 361 00:31:00,267 --> 00:31:06,941 ハハハハハハハハ! こしゃくな小娘! 362 00:31:06,941 --> 00:31:10,811 覚悟! 宗庵! 363 00:31:10,811 --> 00:31:14,548 若君に取り入って 家督を継いだ折には➡ 364 00:31:14,548 --> 00:31:18,119 側近にでもしてもらおうって 寸法か。 365 00:31:18,119 --> 00:31:23,290 辻斬りを教え込むとは 不粋も 度が過ぎるぜ。 366 00:31:23,290 --> 00:31:25,626 お前 何者だ? 367 00:31:25,626 --> 00:31:29,964 弥兵衛さんから 茶碗のかけらを預かった者だ。 368 00:31:29,964 --> 00:31:31,899 何!? 369 00:31:31,899 --> 00:31:37,238 あの茶碗を割ったの 若君だろ? それで 泣きつかれたか? 370 00:31:37,238 --> 00:31:41,909 お国元の殿が 江戸に戻るまでに なんとかしろとでも? 371 00:31:41,909 --> 00:31:44,411 そこで あんたは考えた。 372 00:31:44,411 --> 00:31:48,282 その茶碗を あんたの一存で 人に貸したとなれば➡ 373 00:31:48,282 --> 00:31:53,420 若君は 安泰だ。 そこで あんたは まず➡ 374 00:31:53,420 --> 00:31:56,223 割れた茶碗を 弥兵衛さんに貸すため➡ 375 00:31:56,223 --> 00:31:58,623 焼き継ぎをした。 376 00:32:01,061 --> 00:32:05,900 弥兵衛さんに 茶会を開くよう 勧めたのも あんただってな。 377 00:32:05,900 --> 00:32:10,104 茶碗を取りに来た 娘の おすがさんを 辻斬りが襲い➡ 378 00:32:10,104 --> 00:32:12,940 茶碗も その者に奪われたと 思わせれば➡ 379 00:32:12,940 --> 00:32:16,577 あんたの もくろみは 功を成すはずだった。 380 00:32:16,577 --> 00:32:18,946 たくらみに気付いた 弥兵衛さんは➡ 381 00:32:18,946 --> 00:32:22,783 その事を 全て のみ込み 謝りに行き➡ 382 00:32:22,783 --> 00:32:28,589 その弥兵衛さんを あんたと若君は その場で斬り殺すしかなかった。 383 00:32:28,589 --> 00:32:33,060 弥兵衛さんの無念を ここで晴らします! 384 00:32:33,060 --> 00:32:35,963 よせ! 385 00:32:35,963 --> 00:32:38,499 俺たちは 役人じゃない。 386 00:32:38,499 --> 00:32:41,402 あんたを殺さないし 訴えもしない。 387 00:32:41,402 --> 00:32:43,402 兄さん! 388 00:32:45,239 --> 00:32:50,744 一つだけ 俺たちの願いを かなえてくれれば➡ 389 00:32:50,744 --> 00:32:53,781 あんたは 安泰だ。 390 00:32:53,781 --> 00:32:56,083 その願いとは? 391 00:32:56,083 --> 00:33:01,422 それは 追って知らせる。 今宵は 去れ。 392 00:33:01,422 --> 00:33:03,422 去れ! 393 00:33:23,677 --> 00:33:27,548 兄さん どういう事? どうして 私たちで成敗できないの? 394 00:33:27,548 --> 00:33:32,386 俺たちの役目は 弥兵衛さんが望むとおりに➡ 395 00:33:32,386 --> 00:33:38,726 おすがさんの心の傷を癒やす事だ。 396 00:33:38,726 --> 00:33:56,744 ♬~ 397 00:33:56,744 --> 00:34:00,581 あの茶碗は 初めから割れていた? 398 00:34:00,581 --> 00:34:05,085 そうです。 その事に気付いた弥兵衛さんは➡ 399 00:34:05,085 --> 00:34:13,594 謝るにしろ 訴えるにしろ 死は免れないと考えた。 400 00:34:13,594 --> 00:34:18,594 けど 死ぬのは 自分一人でいいと思ったんです。 401 00:34:22,102 --> 00:34:28,442 うん? おい 弥兵衛。 何じゃ? これは。 402 00:34:28,442 --> 00:34:30,778 かけらが 1つ足りんぞ。 403 00:34:30,778 --> 00:34:35,215 それは 人に預けてございます。 (宗庵)何!? 404 00:34:35,215 --> 00:34:40,721 娘は 何も知りません。 割れた茶碗を見てもございません。 405 00:34:40,721 --> 00:34:45,021 どうか それだけは… それだけは お信じ下さいませ! 406 00:34:48,395 --> 00:34:52,695 主は 何を申したいのじゃ? 407 00:34:57,104 --> 00:35:01,575 何じゃ? その目は。 408 00:35:01,575 --> 00:35:03,575 無礼者! 409 00:35:05,746 --> 00:35:08,082 若君! 410 00:35:08,082 --> 00:35:10,082 とりゃ~! 411 00:35:12,586 --> 00:35:18,926 おすがさんの命だけは 守ろうとしたんですよ。 412 00:35:18,926 --> 00:35:23,764 それに 自分の死は 断じて おすがさんのせいではないと➡ 413 00:35:23,764 --> 00:35:26,100 いつか知らせるために➡ 414 00:35:26,100 --> 00:35:30,800 そのかけらを 俺たちに預けたんだと思います。 415 00:35:35,209 --> 00:35:55,529 (泣き声) 416 00:35:55,529 --> 00:36:20,254 ♬~ 417 00:36:20,254 --> 00:36:22,254 うわ~っ! 418 00:36:26,059 --> 00:36:29,359 うわっ! あっ! あ~っ! 419 00:36:31,765 --> 00:36:35,035 あ~っ! 420 00:36:35,035 --> 00:36:37,035 ああ~っ! 421 00:36:41,909 --> 00:36:46,380 弥兵衛さん あんたから預かった この10両➡ 422 00:36:46,380 --> 00:36:49,080 大事に使わせてもらうぜ。 423 00:36:58,892 --> 00:37:02,763 おいおい 聞いたか? 鼠小僧が 小判を 町に ばらまいたってな。 424 00:37:02,763 --> 00:37:07,067 甘酒屋 何 言ってんだ! 今頃。 それで 町は 朝から大騒ぎよ! 425 00:37:07,067 --> 00:37:09,570 拾いたかったな オラも! 426 00:37:09,570 --> 00:37:13,740 何でも 読み売りの版元に 鼠小僧が 自分がやったと➡ 427 00:37:13,740 --> 00:37:16,777 文を投げ込んだらしいよ。 そういや その読み売りが➡ 428 00:37:16,777 --> 00:37:20,614 今度は 千鳥ヶ淵かもしれねえって 言ってたな。 (太助)ホントかよ! 429 00:37:20,614 --> 00:37:22,749 行ってみっか? いつなんだよ? 430 00:37:22,749 --> 00:37:25,185 ひょっとして 今晩辺り また 派手に➡ 431 00:37:25,185 --> 00:37:27,921 まき散らすんじゃないのかい? おう! 432 00:37:27,921 --> 00:37:32,921 騙りじゃねえだろうな? 甘酒屋! へい! 433 00:37:38,532 --> 00:37:42,402 宗庵 こんな刻限に呼び出して 何とする? 434 00:37:42,402 --> 00:37:46,406 若君… 実は➡ 435 00:37:46,406 --> 00:37:52,906 これを 若君に届けるようにと 文が来たのですが…。 436 00:37:55,549 --> 00:38:00,888 では それは まこと 若君の…。 437 00:38:00,888 --> 00:38:02,823 誰が…。 438 00:38:02,823 --> 00:38:06,994 若君 私は しばらく 江戸を離れます。 439 00:38:06,994 --> 00:38:09,930 私と若君が一緒にいては なりませぬ。 440 00:38:09,930 --> 00:38:11,932 逐電致すのか!? 441 00:38:11,932 --> 00:38:15,569 逃げるのではありません。 ほとぼりが冷めるまで…。 442 00:38:15,569 --> 00:38:19,072 私には 逃げ場がない! 逃げ場がないんだ! 443 00:38:19,072 --> 00:38:21,272 これを見よ! 444 00:38:25,579 --> 00:38:29,750 私を置いて 逃げるなら…➡ 445 00:38:29,750 --> 00:38:32,653 そちを斬る。 若君! 446 00:38:32,653 --> 00:38:37,124 そちを斬れば 茶碗の事も 辻斬りの事も➡ 447 00:38:37,124 --> 00:38:39,593 誰も分からぬようになるのだ! 若君! 448 00:38:39,593 --> 00:38:43,363 あ~っ! 若君! 449 00:38:43,363 --> 00:38:49,870 (花火の音) 450 00:38:49,870 --> 00:38:54,808 若君 お静まりを! 死ね~! や~っ! 451 00:38:54,808 --> 00:38:57,744 キャ~ッ! 何だ? 何だ? 果たし合いか? 452 00:38:57,744 --> 00:39:01,214 旦那! 怪しいやつ! 身柄を押さえよ! 453 00:39:01,214 --> 00:39:04,885 へい! とっつかまえろ! 454 00:39:04,885 --> 00:39:06,920 こら! 神妙にしやがれ! 455 00:39:06,920 --> 00:39:10,691 お~! 危ねえ! 456 00:39:10,691 --> 00:39:14,227 (花火の音) 457 00:39:14,227 --> 00:39:18,398 危ねえ! 危ねえ 危ねえ! 危ねえじゃねえかよ この野郎! 458 00:39:18,398 --> 00:39:22,269 この野郎! あ~ 離せ! 459 00:39:22,269 --> 00:39:25,469 引っ立てい! 連れてけや! 460 00:39:29,409 --> 00:39:32,179 おう! (ため息) 461 00:39:32,179 --> 00:39:34,848 (花火の音) 462 00:39:34,848 --> 00:39:38,518 (歓声) 463 00:39:38,518 --> 00:39:42,356 (お染)粋だね! (太助)確かにな~! 464 00:39:42,356 --> 00:39:46,026 (与平)つまり あれが小判か! お~ 違えねえ! 465 00:39:46,026 --> 00:39:48,528 鼠小僧の花火だ! 466 00:39:48,528 --> 00:39:52,699 花火代 高かったんじゃないの? 467 00:39:52,699 --> 00:39:58,372 これは 弥兵衛さんへの お焼香だ。 468 00:39:58,372 --> 00:40:02,242 おすがさんは 番頭さんたちと 力を合わせて➡ 469 00:40:02,242 --> 00:40:07,381 父親が残した あのお店を 守っていくって言ってたわ。 470 00:40:07,381 --> 00:40:10,217 そうか。 471 00:40:10,217 --> 00:40:14,888 しかし 子を思って 殺される親もいれば➡ 472 00:40:14,888 --> 00:40:20,060 子を思わずに 殺される親もいるか…。 473 00:40:20,060 --> 00:40:23,360 親にも いろいろだな。 474 00:40:28,402 --> 00:40:34,741 子は 親を選べないからね。 475 00:40:34,741 --> 00:40:39,441 鼠小僧は 子を選ぶのかしら? 476 00:40:42,082 --> 00:40:47,782 (花火の音) 477 00:41:01,935 --> 00:41:06,273 次郎吉さん お父っつぁんは 死んだのに➡ 478 00:41:06,273 --> 00:41:09,573 どうして 私を身請けする事ができたの? 479 00:41:12,612 --> 00:41:16,283 実はな お豊…➡ 480 00:41:16,283 --> 00:41:21,788 鼠小僧が来たんだよ。 鼠小僧が!? 481 00:41:21,788 --> 00:41:26,960 私 鼠小僧さんに どうやって お礼をしたらいいの? 482 00:41:26,960 --> 00:41:31,798 鼠小僧に お礼するなら ただ一つ。 483 00:41:31,798 --> 00:41:35,669 それは? 484 00:41:35,669 --> 00:41:39,969 全て 忘れてやるこった。 485 00:41:45,746 --> 00:41:47,746 はい。 486 00:41:52,252 --> 00:41:54,552 はあ~! 487 00:41:57,424 --> 00:41:59,359 人が斬られた! 私は 医者です。 488 00:41:59,359 --> 00:42:01,928 下手人を見つけたのは 誰だ? お豊です。 489 00:42:01,928 --> 00:42:03,864 町人に 夫は斬られたのですか? 490 00:42:03,864 --> 00:42:06,099 お家騒動が 持ち上がっているみたいだから。 491 00:42:06,099 --> 00:42:08,435 あっ 虫! 492 00:42:08,435 --> 00:42:10,370 お豊は まだ 良安先生のとこかい? 493 00:42:10,370 --> 00:42:13,106 お豊が危ない! 494 00:42:13,106 --> 00:42:15,442 鼠小僧を お連れしました。 495 00:42:15,442 --> 00:42:22,783 ♬「傷を負った瞳 そこに安らぎはないのか」 496 00:42:22,783 --> 00:42:26,653 ♬「涙のそばで生きるのか」 497 00:42:26,653 --> 00:42:31,491 ♬「ひとりで抱えながら」 498 00:42:31,491 --> 00:42:39,065 ♬「終わらない悲しみ ひととき忘れてみないか」 499 00:42:39,065 --> 00:42:43,236 ♬「その闇を切り裂いてやる」 500 00:42:43,236 --> 00:42:48,108 ♬「俺の胸で眠れ」 501 00:42:48,108 --> 00:42:52,412 ♬「千年恋慕 咲き乱れよう」 502 00:42:52,412 --> 00:42:57,751 ♬「散りゆくとて 悔いなどない」 503 00:42:57,751 --> 00:43:04,624 ♬「尽き果てるまで ともに生きよう」 504 00:43:04,624 --> 00:43:08,929 ♬「あらがうほど 運命は無情」 505 00:43:08,929 --> 00:43:14,100 ♬「ゆえに固く 結ぶ絆」 506 00:43:14,100 --> 00:43:23,276 ♬「腕に抱いて 交わす契りは」 507 00:43:23,276 --> 00:43:29,076 ♬「とこしえの愛」