1 00:00:36,969 --> 00:00:39,269 ふぅ…。 2 00:00:52,151 --> 00:01:03,328 ♬~ 3 00:01:03,328 --> 00:01:08,167 お豊 そば屋で働くのは 慣れたかい? 4 00:01:08,167 --> 00:01:11,069 うん。 女将さんが とってもいい人で。 5 00:01:11,069 --> 00:01:14,573 次郎吉さんの頼みだから 無理して 雇ってくれたようだけど…。 6 00:01:14,573 --> 00:01:18,744 その女将さん 次郎吉さんに惚れてるのかね? 7 00:01:18,744 --> 00:01:24,016 よく分かんない そういう事は。 そのうち分かるよ お豊にもさ。 8 00:01:24,016 --> 00:01:29,888 (せきこみ) ほら 変な事 言うから…。 9 00:01:29,888 --> 00:01:36,962 貧しくとも いい人に惚れられたら 女は 幸せになれるんだからね。 10 00:01:36,962 --> 00:01:38,997 何 言ってるの。 11 00:01:38,997 --> 00:01:43,302 それより 私は 自分で 稼げるようになりたいわ。 12 00:01:43,302 --> 00:01:46,872 そしたら おっ母さんの病気だって 治せるし…。 13 00:01:46,872 --> 00:01:49,241 それに 私が ここに いられるのは➡ 14 00:01:49,241 --> 00:01:52,177 鼠小僧さんがいてくれた おかげだもの。 15 00:01:52,177 --> 00:01:54,980 (くしゃみ) 16 00:01:54,980 --> 00:01:58,717 ゴロゴロしてると 体 冷やすわよ。 17 00:01:58,717 --> 00:02:01,253 たまには 甘酒でも 売りに行ったら どう? 18 00:02:01,253 --> 00:02:03,655 それじゃ もっと 体 冷やすだろ。 19 00:02:03,655 --> 00:02:05,991 飲めばいいのよ 自分で。 20 00:02:05,991 --> 00:02:08,260 体を温めるために 売るんでしょ? 21 00:02:08,260 --> 00:02:13,999 それじゃ 稼ぎになんねえだろ。 それじゃ どうやって稼ぐのよ? 22 00:02:13,999 --> 00:02:16,799 うるさいな…。 23 00:02:18,503 --> 00:02:23,375 お豊ちゃんには 働かせといて! 変な言い方するな! 24 00:02:23,375 --> 00:02:27,875 あっ お豊ちゃんといえば…。 25 00:02:30,215 --> 00:02:34,486 誰かいたわよ 家の前に。 お豊の家の前に? 26 00:02:34,486 --> 00:02:40,792 そう。 じっと見てた。 何だか 怪しげな若い男。 27 00:02:40,792 --> 00:02:45,464 ああ… どっかの虫でも ついたんだろ。 28 00:02:45,464 --> 00:02:48,967 虫か…。 29 00:02:48,967 --> 00:02:53,472 虫も 鼠よりは 動くみたいね。 30 00:02:53,472 --> 00:02:56,141 鼠は…➡ 31 00:02:56,141 --> 00:03:00,479 おとなしいに越した事はねえ。 32 00:03:00,479 --> 00:03:09,679 ♬~ 33 00:03:15,494 --> 00:03:19,364 よっ 次郎吉さん! どうも! 34 00:03:19,364 --> 00:03:22,834 ごめんよ! おう! おう 甘酒屋! 35 00:03:22,834 --> 00:03:25,737 いらっしゃい 次郎吉さん。 でも 今 いっぱいで…。 36 00:03:25,737 --> 00:03:28,937 (客)お~い まだか? は~い! 37 00:03:32,511 --> 00:03:35,211 ここ いいかい? 38 00:03:42,187 --> 00:03:46,792 何だい? みんな この人の事が 気になってたのか。 39 00:03:46,792 --> 00:03:49,828 そういや 見かけねえ顔だな ねえさん。 40 00:03:49,828 --> 00:03:54,132 話してやがる! ふだんは 俺たちより無口なのに! 41 00:03:54,132 --> 00:03:57,169 何にする? この人と同じの。 42 00:03:57,169 --> 00:04:01,006 盛りね。 盛り1丁! ≪(お染)はいよ! 43 00:04:01,006 --> 00:04:04,142 名前は? どっから来なすった? 44 00:04:04,142 --> 00:04:07,012 何ですか? 女が一人 こういう所で➡ 45 00:04:07,012 --> 00:04:09,715 そばを すすってるのが そんなに珍しいですか? 46 00:04:09,715 --> 00:04:14,853 珍しいね。 あんたほどの いい女は この辺りじゃ見かけねえからな。 47 00:04:14,853 --> 00:04:17,489 ケッ! 言いやがら! チクショー! 48 00:04:17,489 --> 00:04:20,392 (せきばらい) 何が珍しいんだい? 49 00:04:20,392 --> 00:04:22,661 お~ 女将 盛りそばね。 50 00:04:22,661 --> 00:04:25,330 この辺じゃ いい女を見かけないって…➡ 51 00:04:25,330 --> 00:04:28,233 次郎吉さんの目は 節穴? はあ? 52 00:04:28,233 --> 00:04:30,168 女将! 無理 無理! 53 00:04:30,168 --> 00:04:32,137 その人に対抗したって! うるさい! 54 00:04:32,137 --> 00:04:36,942 千草です。 へえ~。 女将 千草さんだって。 55 00:04:36,942 --> 00:04:40,712 何が 千草だ! どうせ 私は ドクダミだよ! 56 00:04:40,712 --> 00:04:42,647 ドクダミは 薬草ですよ。 57 00:04:42,647 --> 00:04:45,283 匂いが きついから 毒草かと思われますが➡ 58 00:04:45,283 --> 00:04:47,319 毒を矯める なおす事から➡ 59 00:04:47,319 --> 00:04:49,788 ドクダミと呼ばれるように なったんです。 60 00:04:49,788 --> 00:04:51,823 何か 私の事を褒めてんだか➡ 61 00:04:51,823 --> 00:04:54,126 けなしてんだか よく分かんないんだけど…。 62 00:04:54,126 --> 00:04:57,162 こんなに おいしいおそばを 食べたのは 久しぶりです。 63 00:04:57,162 --> 00:05:03,962 あら そう? いい人ね! これからも どうぞ ごひいきに。 64 00:05:06,638 --> 00:05:09,474 やっぱり そばは 江戸に限るわね。 65 00:05:09,474 --> 00:05:12,511 ねえさん 江戸に来るのは 久しぶりかい? 66 00:05:12,511 --> 00:05:16,248 しばらく 離れていたんです。 最近 戻ってきて…。 67 00:05:16,248 --> 00:05:19,151 そうかい。 68 00:05:19,151 --> 00:05:21,653 何だい!? 69 00:05:21,653 --> 00:05:24,353 エイホ エイホ エイホ! 70 00:05:27,325 --> 00:05:30,228 次郎吉さん お待たせ! 71 00:05:30,228 --> 00:05:32,528 はい どうぞ! 72 00:05:36,435 --> 00:05:40,305 何してやがんだ? 平三! 73 00:05:40,305 --> 00:05:44,309 エイホ エイホ エイホ エイホ! 74 00:05:44,309 --> 00:05:48,447 あっ 女将 今の駕籠かき まだ来てるのかい? 75 00:05:48,447 --> 00:05:52,951 そうなんだよ。 すっかり お豊ちゃんに ご執心みたいで。➡ 76 00:05:52,951 --> 00:05:56,288 悪い虫が つかなきゃいいけど…。 77 00:05:56,288 --> 00:06:02,160 (でんでん太鼓の音) 78 00:06:02,160 --> 00:06:05,297 ♬~ 79 00:06:05,297 --> 00:06:16,297 ♬~ 80 00:06:24,316 --> 00:06:26,585 人が斬られた! 81 00:06:26,585 --> 00:06:29,321 えっ!? 行くぞ! 82 00:06:29,321 --> 00:06:32,524 何? 何? えっ? どこ!? 83 00:06:32,524 --> 00:06:36,224 あんたも やじ馬か? 私は 医者です! 84 00:06:39,931 --> 00:06:43,802 人が斬られたところを見るなんて 私は 嫌い。 85 00:06:43,802 --> 00:06:47,138 ああ…。 人を斬って 思いを遂げるやつは➡ 86 00:06:47,138 --> 00:06:49,608 もっと嫌いだ。 87 00:06:49,608 --> 00:06:51,908 ≪(物音) 88 00:06:58,283 --> 00:07:01,786 あんた 今 人を斬ってきたな? 89 00:07:01,786 --> 00:07:06,124 逃げも隠れもせぬ。 騒ぎ立てるな。 90 00:07:06,124 --> 00:07:09,060 それなら その刀を 捨ててもらおうか。 91 00:07:09,060 --> 00:07:16,301 それはならぬ! 危害は加えぬ。 安心致せ。 92 00:07:16,301 --> 00:07:19,337 あんた 侍か? 93 00:07:19,337 --> 00:07:23,108 見てのとおり 侍ではない。 94 00:07:23,108 --> 00:07:25,644 なぜ 人を斬った? 95 00:07:25,644 --> 00:07:28,480 しくじった…。 えっ? 96 00:07:28,480 --> 00:07:33,752 ここの者か? いや 俺は ただの客だ。 97 00:07:33,752 --> 00:07:38,952 それなら ここの主人に 謝っといてくれぬか。 98 00:07:41,927 --> 00:07:44,627 汚して すまぬと。 99 00:07:58,276 --> 00:08:01,313 もう 果ててしまった。 (定吉)よっ どいた どいた! 100 00:08:01,313 --> 00:08:04,082 ごめんよ! あっ 徳五郎の親分。 101 00:08:04,082 --> 00:08:06,882 死んでるね。 何だ これ? 102 00:08:09,287 --> 00:08:12,324 おい! お前 そこで 何してんでえ? 103 00:08:12,324 --> 00:08:14,459 私は 医者です。 104 00:08:14,459 --> 00:08:17,362 脈を診ていましたが 亡くなられています。 105 00:08:17,362 --> 00:08:22,133 医者だと? 女の分際で! 106 00:08:22,133 --> 00:08:25,470 そば屋なら いいのか? 何を!? 107 00:08:25,470 --> 00:08:29,341 おい。 どこの者でえ? 108 00:08:29,341 --> 00:08:33,612 良安の娘です。 徳五郎親分。 えっ!? 109 00:08:33,612 --> 00:08:37,082 おうおう! リョウアンだか タクアンだか知らねえが➡ 110 00:08:37,082 --> 00:08:39,918 何を 勝手な事してくれたん…。 バカ野郎 お前! 111 00:08:39,918 --> 00:08:42,253 お前 医者の良安先生 知らねえのか!? 112 00:08:42,253 --> 00:08:44,255 どうも すいません! 俺は 良安先生には➡ 113 00:08:44,255 --> 00:08:47,926 死ぬほど 世話になったんだよ! 親分 医者に 死ぬほど➡ 114 00:08:47,926 --> 00:08:50,595 世話になったら まずいでしょ! うるせえ この野郎! バカ野郎! 115 00:08:50,595 --> 00:08:53,098 あ… あの~➡ 116 00:08:53,098 --> 00:08:58,436 あっしが存じてる あなた様は まだ こんなに ちっちゃい頃で…。 117 00:08:58,436 --> 00:09:01,740 修学先から戻り 父の跡を継ぐ事にしました。 118 00:09:01,740 --> 00:09:06,578 そうでござんしたか。 いや しかし こいつが 仏となっちゃ➡ 119 00:09:06,578 --> 00:09:09,948 こっからは あっしらの出番で…。 なあ おい! 120 00:09:09,948 --> 00:09:12,217 へい…。 下手人なら 向こうにいたぜ。 121 00:09:12,217 --> 00:09:14,317 あ~ そうでござんしたか。 …って 何だ てめえ この野郎! 122 00:09:16,788 --> 00:09:39,044 ♬~ 123 00:09:39,044 --> 00:09:41,413 ≪こっちで…。 124 00:09:41,413 --> 00:09:45,917 おう 次郎吉! げ… 下手人は どこでえ? 125 00:09:45,917 --> 00:09:48,753 向こうで…。 えっ? 126 00:09:48,753 --> 00:09:51,656 えっ? あら? うん? 127 00:09:51,656 --> 00:09:54,626 あららららら。 128 00:09:54,626 --> 00:09:57,462 あら。 定 おい。 129 00:09:57,462 --> 00:10:00,265 ありゃりゃりゃ~。 生きてんのか? 130 00:10:00,265 --> 00:10:04,135 こりゃ 完全に死んでやすね。 うわ~ すげえな。 131 00:10:04,135 --> 00:10:08,606 お豊 こんなとこに いたのか。 えっ? ええ…。 132 00:10:08,606 --> 00:10:11,643 こいつが下手人か? そのようで。 133 00:10:11,643 --> 00:10:14,412 次郎吉。 何だ 知り合いか? 134 00:10:14,412 --> 00:10:16,481 うわ~っ! 135 00:10:16,481 --> 00:10:20,618 台所が血まみれじゃないよ! どうすんのよ~! 136 00:10:20,618 --> 00:10:24,456 謝られたって 女将に謝ってたぜ。 しかたがないじゃないよ! 137 00:10:24,456 --> 00:10:27,792 どうすんだよ! 商売 上がったりだよ! 138 00:10:27,792 --> 00:10:30,462 どうすんだよ~! うるせえんだよ! 139 00:10:30,462 --> 00:10:32,964 気持ちは分かるが 黙ってろ! 話が聞けねえだろ! 140 00:10:32,964 --> 00:10:35,800 どけどけ! どけ! 何事だ? 徳五郎! 141 00:10:35,800 --> 00:10:40,138 表に しかばね 放ったままだぞ。 なんと 下手人が ここに…。 142 00:10:40,138 --> 00:10:45,009 もう どうすんだよ! 全く もう! だから うるせえんだよ! 143 00:10:45,009 --> 00:10:47,312 うるさいのは お前だ! あっ どうも…。 144 00:10:47,312 --> 00:10:50,815 早崎の旦那 下手人は ここで 自刃しました。 145 00:10:50,815 --> 00:10:55,687 あ~あ 人まで雇ったのにさ! おまんまの食い上げだよ! 146 00:10:55,687 --> 00:10:58,990 うるさい! 下手人を見つけたのは 誰だ? 147 00:10:58,990 --> 00:11:01,025 俺と お豊です。 148 00:11:01,025 --> 00:11:07,165 お豊 気分でも悪いか? まあ 無理もねえが…。 149 00:11:07,165 --> 00:11:10,068 (早崎)その時の様子を 有体に話せ。 150 00:11:10,068 --> 00:11:12,068 へい。 151 00:11:15,874 --> 00:11:20,345 夫を斬ったのは どんな人ですか? 152 00:11:20,345 --> 00:11:28,219 へい。 からから売りをしてた 町人で そいつが刀で…。 153 00:11:28,219 --> 00:11:32,056 町人に 夫は斬られたのですか? 154 00:11:32,056 --> 00:11:35,827 夫は 剣術の師範を 務めておりましたが…。 155 00:11:35,827 --> 00:11:39,297 町人だから 油断されたんでしょう。 156 00:11:39,297 --> 00:11:43,635 擦れ違いざまに 背中から こう バサッと斬られたようで…。 157 00:11:43,635 --> 00:11:46,571 どんな剣豪でも 刀抜く暇もなけりゃ➡ 158 00:11:46,571 --> 00:11:48,973 太刀打ちできやせん。 159 00:11:48,973 --> 00:11:52,377 その町人が 自ら 命を落としたと? 160 00:11:52,377 --> 00:11:55,346 へい。 近くの そば屋に 逃げ込みましてね➡ 161 00:11:55,346 --> 00:11:58,183 そこに居合わせた この次郎吉って野郎が➡ 162 00:11:58,183 --> 00:12:01,486 最期を見ておりやす。 163 00:12:01,486 --> 00:12:05,990 その人は なぜ 命を? 164 00:12:05,990 --> 00:12:08,660 それは 分かりませんが…➡ 165 00:12:08,660 --> 00:12:14,332 ただ 死ぬ前に そいつは 「しくじった」と…。 166 00:12:14,332 --> 00:12:19,671 「しくじった」? 確かに そう聞こえました。 167 00:12:19,671 --> 00:12:23,842 「しくじった」…。 168 00:12:23,842 --> 00:12:28,313 ご新造様 何か 三河様が➡ 169 00:12:28,313 --> 00:12:34,953 人から恨まれるような事に 心当たりは? 170 00:12:34,953 --> 00:12:39,290 いいえ…。 171 00:12:39,290 --> 00:12:43,895 だとすると 旦那様は 誰かと間違われて➡ 172 00:12:43,895 --> 00:12:48,299 斬られたのかもしれねえな。 173 00:12:48,299 --> 00:12:53,037 あの… 物盗りが目当てでは なかったのでしょうか? 174 00:12:53,037 --> 00:12:55,306 物盗り? 175 00:12:55,306 --> 00:13:01,646 いえ… 夫の懐には 何も残っていなかったもので➡ 176 00:13:01,646 --> 00:13:05,346 金子も持たずに 出かけたのかと…。 177 00:13:07,819 --> 00:13:12,156 下手人は ほかには 何も言わなかったですか? 178 00:13:12,156 --> 00:13:16,494 「しくじった」と言うほかには 何も めぼしい事は…。 179 00:13:16,494 --> 00:13:19,998 おい。 お豊は どうなんでえ? 180 00:13:19,998 --> 00:13:22,567 下手人と 最後まで 2人でいたのは お豊だろ? 181 00:13:22,567 --> 00:13:27,538 何か聞いてねえか? まだ 息があったんじゃねえのか? 182 00:13:27,538 --> 00:13:32,010 さあ。 それはないと思いますが…。 183 00:13:32,010 --> 00:13:34,010 お豊? 184 00:13:39,117 --> 00:13:44,923 (お稲)お豊 まだ 気にしてんのかい? えっ? 185 00:13:44,923 --> 00:13:48,626 目の前で 人に死なれちゃ しかたないけど…➡ 186 00:13:48,626 --> 00:13:52,497 お前には 関わりのない事だ。 (せき) 187 00:13:52,497 --> 00:13:57,035 早く忘れる事だよ。 うん…。 188 00:13:57,035 --> 00:13:59,470 (せき) 189 00:13:59,470 --> 00:14:01,406 (戸をたたく音) 190 00:14:01,406 --> 00:14:05,606 ≪お豊ちゃん? お豊ちゃ~ん。 191 00:14:15,320 --> 00:14:20,158 小袖さん。 大丈夫? 大変な事になったわね。 192 00:14:20,158 --> 00:14:23,061 今 そば屋に寄ったら まだ 騒いでて…。 193 00:14:23,061 --> 00:14:25,496 それで ちょっと寄ってみたの。 194 00:14:25,496 --> 00:14:29,167 何か あったんですか? えっ? 195 00:14:29,167 --> 00:14:33,771 え… あ… いや…。 196 00:14:33,771 --> 00:14:36,571 本当に 大丈夫? 197 00:14:39,644 --> 00:14:42,480 (鳴き声) 198 00:14:42,480 --> 00:14:47,118 お豊ちゃん まだ ひどく動揺してたわよ。 199 00:14:47,118 --> 00:14:49,954 かわいそうに…。 200 00:14:49,954 --> 00:14:56,294 殺された侍は 松沼藩の者らしいが お前 何か聞いてないか? 201 00:14:56,294 --> 00:14:59,797 「何か」って? 噂のようなものだよ。 202 00:14:59,797 --> 00:15:04,135 小袖の通う道場には いろんな侍が出入りしてるだろ。 203 00:15:04,135 --> 00:15:07,805 松沼藩の噂なんて聞いた事ない。 204 00:15:07,805 --> 00:15:10,641 …なら いい。 205 00:15:10,641 --> 00:15:12,577 何か 気になるの? 206 00:15:12,577 --> 00:15:16,147 斬った方は どこの誰だか分からないの? 207 00:15:16,147 --> 00:15:19,650 分からないが 根は 侍だと思う。 208 00:15:19,650 --> 00:15:22,987 それが 町人に成り済ましてまで 斬ったとしたら➡ 209 00:15:22,987 --> 00:15:26,858 同じ藩の人間を狙っていたとも…。 210 00:15:26,858 --> 00:15:30,495 まあ これ以上は 俺には 関わりのない事だけどな。 211 00:15:30,495 --> 00:15:33,765 松沼藩の屋敷って どこにあるの? 212 00:15:33,765 --> 00:15:37,268 上屋敷は 浅草鳥越だ。 213 00:15:37,268 --> 00:15:40,171 あら よく ご存じで。 214 00:15:40,171 --> 00:15:55,286 ♬~ 215 00:15:55,286 --> 00:15:59,123 お豊ちゃん…。 216 00:15:59,123 --> 00:16:02,693 来てくれるのは うれしいんだけど このまんまじゃ➡ 217 00:16:02,693 --> 00:16:07,131 当分 商いもできないだろうし 申し訳ないんだけど➡ 218 00:16:07,131 --> 00:16:12,637 また 雇えるようになったら お願いするからさ。 219 00:16:12,637 --> 00:16:14,672 はい…。 220 00:16:14,672 --> 00:16:18,872 すまないね…。 いいえ。 221 00:16:23,815 --> 00:16:26,317 (戸をたたく音) 222 00:16:26,317 --> 00:16:29,220 お豊ちゃん いる? 223 00:16:29,220 --> 00:16:33,091 お稲さん 開けるよ。 224 00:16:33,091 --> 00:16:35,026 (せき) 225 00:16:35,026 --> 00:16:38,763 兄さん! 兄さん! 226 00:16:38,763 --> 00:16:41,666 小袖 大家のとこで 大八を借りてこい! 227 00:16:41,666 --> 00:16:44,569 どこ行くの? 医者ヘ連れていく。 良安先生の所だ。 228 00:16:44,569 --> 00:16:47,472 バカね。 良安先生なら 去年 亡くなったわよ。 229 00:16:47,472 --> 00:16:51,776 新しい良安が来たんだよ。 さあ。 はい。 230 00:16:51,776 --> 00:17:00,785 ♬~ 231 00:17:00,785 --> 00:17:04,021 あっ 虫! おっ ちょうど よかった。 232 00:17:04,021 --> 00:17:06,991 駕籠屋 お前 名前は? 平三。 233 00:17:06,991 --> 00:17:10,828 平三 いいか? ここに お豊が帰ってきたら➡ 234 00:17:10,828 --> 00:17:14,232 「おっ母さんは 法山寺の 良安先生のとこにいるから」と➡ 235 00:17:14,232 --> 00:17:17,168 そう言うんだ。 分かったか? 236 00:17:17,168 --> 00:17:20,538 頼んだぞ。 よし。 237 00:17:20,538 --> 00:17:24,338 よし。 しっかり押さえろ。 はい。 行くぞ。 238 00:17:40,258 --> 00:17:44,595 労咳ですね。 それも かなり進んでる。 239 00:17:44,595 --> 00:17:48,466 労咳? 肺の病の事よ。 240 00:17:48,466 --> 00:17:52,336 助からないのかい? 241 00:17:52,336 --> 00:17:54,305 この方の お身内は? 242 00:17:54,305 --> 00:17:57,308 お豊だ。 あの そば屋で働いてる娘だ。 243 00:17:57,308 --> 00:18:03,030 ああ…。 次郎吉さん 遊び人のくせに 親切なのね。 244 00:18:03,030 --> 00:18:07,301 人を 見た目で 判断しちゃいけませんよ。 245 00:18:07,301 --> 00:18:12,301 ふ~ん。 兄さんでも 鼻の下が伸びるんだ。 246 00:18:33,094 --> 00:18:35,029 何? 247 00:18:35,029 --> 00:18:40,434 おっ母さんなら 法山寺の 良安先生の所へ運ばれてったよ。 248 00:18:40,434 --> 00:18:44,105 えっ? 誰が? 249 00:18:44,105 --> 00:18:47,905 甘酒屋って呼ばれてる…。 次郎吉さんが? 250 00:18:58,953 --> 00:19:02,823 どうしたんだ? 251 00:19:02,823 --> 00:19:08,523 平三さんは どうして 私の長屋にいたの? 252 00:19:14,302 --> 00:19:21,976 薬草だ。 ずっと これを渡したくて…。 253 00:19:21,976 --> 00:19:24,276 もう遅いな…。 254 00:19:31,652 --> 00:19:36,490 乗ってくれ。 せめて 運ばせてくれ。 255 00:19:36,490 --> 00:19:39,260 さあ 早く! 256 00:19:39,260 --> 00:19:47,935 ♬~ 257 00:19:47,935 --> 00:19:51,272 (泣き声) どうした? 258 00:19:51,272 --> 00:19:55,443 おっ母さんなら 大丈夫だ。 259 00:19:55,443 --> 00:19:57,943 お金を盗ったの…。 260 00:20:01,115 --> 00:20:07,622 昨日 斬られた人が落とした財布を…➡ 261 00:20:07,622 --> 00:20:11,959 盗んだの…。 262 00:20:11,959 --> 00:20:18,466 そんな お金で おっ母さんを助けても➡ 263 00:20:18,466 --> 00:20:21,966 きっと 罰が当たるわ…。 264 00:20:24,805 --> 00:20:30,411 当たらねえ。 罰なんか当たらねえ。 265 00:20:30,411 --> 00:20:33,381 神様が見かねてくれたんだ。 266 00:20:33,381 --> 00:20:35,549 俺も お父っつぁんがいねえ。 267 00:20:35,549 --> 00:20:38,285 おっ母や弟や妹たちが 病気になったら➡ 268 00:20:38,285 --> 00:20:40,354 金を盗むしかねえ。 269 00:20:40,354 --> 00:20:42,990 そんな時に まさか落ちてるか? 270 00:20:42,990 --> 00:20:44,925 神様が くれたんだ! 271 00:20:44,925 --> 00:20:48,496 罰は 当たらねえ! 272 00:20:48,496 --> 00:20:53,334 心配するな。 俺が守る。 273 00:20:53,334 --> 00:21:02,834 ♬~ 274 00:21:04,512 --> 00:21:07,848 おっ母さん! 275 00:21:07,848 --> 00:21:13,354 お豊… すまないね。 276 00:21:13,354 --> 00:21:16,857 大丈夫。 何も心配しないで。 277 00:21:16,857 --> 00:21:20,194 千草先生の言う事を よく聞いてね。 278 00:21:20,194 --> 00:21:24,365 それじゃ 俺は これで。 279 00:21:24,365 --> 00:21:27,034 (お豊)平三さん! 280 00:21:27,034 --> 00:21:29,704 ありがとう。 281 00:21:29,704 --> 00:21:34,475 私 重かったでしょ? いや…。 282 00:21:34,475 --> 00:21:38,646 何だい? ずっと 背負われてきたのか? 283 00:21:38,646 --> 00:21:42,316 俺には 朝飯前だ。 284 00:21:42,316 --> 00:21:44,316 そうだろうな。 285 00:21:46,821 --> 00:21:49,021 じゃあ。 286 00:21:53,627 --> 00:21:57,827 やだ。 あんなに いい虫だとは 思わなかった。 287 00:22:07,675 --> 00:22:10,711 お豊ちゃん。 あんたは もう ここに泊まりなさい。 288 00:22:10,711 --> 00:22:13,547 えっ? いいんですか? いいわよ。 289 00:22:13,547 --> 00:22:17,747 後で 私と 何か食べよう。 よかったな お豊。 290 00:22:21,021 --> 00:22:23,221 はい。 291 00:22:27,194 --> 00:22:30,698 はあ~ おなか すいた…。 292 00:22:30,698 --> 00:22:35,970 帰って 何か作るか。 うん。 293 00:22:35,970 --> 00:22:38,670 平三? 294 00:22:40,474 --> 00:22:44,645 平三! 平三! 平三! 295 00:22:44,645 --> 00:22:47,314 へえ~。 296 00:22:47,314 --> 00:22:51,652 お豊を医者に送ってった 帰りだったんだな? 297 00:22:51,652 --> 00:22:54,989 はい。 だが 辻斬りにしちゃ 念入りだ。 298 00:22:54,989 --> 00:22:57,892 両足を斬られた上に 背中を一突きされ➡ 299 00:22:57,892 --> 00:23:01,328 おまけに 首まで斬られてる。 300 00:23:01,328 --> 00:23:06,167 恨みが籠もってますね こりゃ。 301 00:23:06,167 --> 00:23:08,367 (定吉)親分! 302 00:23:11,005 --> 00:23:14,842 平三! お兄ちゃん! 平三! 303 00:23:14,842 --> 00:23:20,014 平三兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん! 304 00:23:20,014 --> 00:23:32,314 ♬~ 305 00:23:34,295 --> 00:23:37,631 えっ!? 306 00:23:37,631 --> 00:23:41,969 何 これ? ひどい! 307 00:23:41,969 --> 00:23:46,473 小袖 ここに お豊を戻しちゃいけねえ。 308 00:23:46,473 --> 00:23:49,310 うん。 309 00:23:49,310 --> 00:23:55,115 平三さんが!? そんな…。 どうして? 310 00:23:55,115 --> 00:23:58,819 理由は分からない。 ただ お豊ちゃんも➡ 311 00:23:58,819 --> 00:24:01,789 しばらくは 家に戻らない方が いいって 兄さんが。 312 00:24:01,789 --> 00:24:06,493 次郎吉さんが? どうして? 313 00:24:06,493 --> 00:24:12,299 まだ 何も分からないんだけど…。 お願い! 言うとおりにして。 314 00:24:12,299 --> 00:24:15,202 千草先生 お願いできませんか? 315 00:24:15,202 --> 00:24:17,671 ここに置いとくだけなら 大丈夫よ。 316 00:24:17,671 --> 00:24:21,371 道場の帰りに 私も また 様子を見に来ますから。 317 00:24:26,847 --> 00:24:30,147 一体 何に巻き込まれてるの? 318 00:24:41,128 --> 00:24:43,163 いかがでございやしょう? 319 00:24:43,163 --> 00:24:47,902 やはり 知らぬ男だ。 そうですか…。 おい。 320 00:24:47,902 --> 00:24:51,472 まっ 今日にでも 墓場に行く事になりやしょう。 321 00:24:51,472 --> 00:24:54,975 手間をかけた。 へい! 322 00:24:54,975 --> 00:24:59,647 おっ 次郎吉。 旦那 こいつが 自害に立ち会った者です。 323 00:24:59,647 --> 00:25:03,347 お前 いいとこに いやがんな この野郎! 324 00:25:06,153 --> 00:25:11,659 このお方は 松沼藩のご家老様だ。 松沼藩の? 325 00:25:11,659 --> 00:25:14,461 今 三河様を斬った男を ご覧になったが➡ 326 00:25:14,461 --> 00:25:18,165 やはり 見知った者じゃねえとの事でえ。 327 00:25:18,165 --> 00:25:22,336 あの者は 「しくじった」と申したのだな? 328 00:25:22,336 --> 00:25:24,672 はい。 329 00:25:24,672 --> 00:25:30,344 最後に そなたと 2人でおったのか? いえ。 330 00:25:30,344 --> 00:25:33,948 旦那 そば屋には お豊という娘もおりやした。 331 00:25:33,948 --> 00:25:36,317 まあ 2人になったのは その娘の方なんですがね➡ 332 00:25:36,317 --> 00:25:38,886 その時には もう こと切れてたようで…。 333 00:25:38,886 --> 00:25:43,824 おい。 お豊は まだ 良安先生のとこかい? 334 00:25:43,824 --> 00:25:47,661 さあ。 「さあ」じゃねえだろ この野郎! 335 00:25:47,661 --> 00:25:51,799 いや 邪魔をした。 どうも! 336 00:25:51,799 --> 00:25:55,302 どうも! 337 00:25:55,302 --> 00:25:59,807 次郎吉 お前 何の用でえ? 338 00:25:59,807 --> 00:26:04,307 いや もう済みました。 あん? 339 00:26:16,657 --> 00:26:18,692 松沼藩? そう。 340 00:26:18,692 --> 00:26:22,162 浅草なら 米原家のお屋敷とも 近いでしょ? 341 00:26:22,162 --> 00:26:25,833 まあ 屋敷の大きさは 違い過ぎますけどね。 342 00:26:25,833 --> 00:26:29,336 何と言っても 向こうは 大名家ですから。 343 00:26:29,336 --> 00:26:32,606 何か知らない? 344 00:26:32,606 --> 00:26:38,479 もしかしたら その刀で斬りつけた 町人は 武士かもしれません。 345 00:26:38,479 --> 00:26:43,951 武士が 町人に成り済ましていた? 何のために? 346 00:26:43,951 --> 00:26:48,789 忠義を貫くために 武士を捨てる事さえも辞さない。 347 00:26:48,789 --> 00:26:52,960 それも 私のように 武家の 次男や三男に生まれた者なら➡ 348 00:26:52,960 --> 00:26:55,863 そこまでしても お家のために 働くかもしれません。 349 00:26:55,863 --> 00:26:59,133 そこまでする必要があったの? 350 00:26:59,133 --> 00:27:03,971 松沼藩には 今 お家騒動が 持ち上がっているみたいだから。 351 00:27:03,971 --> 00:27:06,807 お家騒動? 352 00:27:06,807 --> 00:27:09,143 (琴音)跡目争いです。 353 00:27:09,143 --> 00:27:11,645 跡目争い? 354 00:27:11,645 --> 00:27:17,451 お殿様には 奥方様のほかにも 側室が 大勢おられますが➡ 355 00:27:17,451 --> 00:27:20,354 とうとう お子には 一人も恵まれず➡ 356 00:27:20,354 --> 00:27:27,127 諦めて お殿様の弟君のご子息を 養子に迎えようとしていた頃➡ 357 00:27:27,127 --> 00:27:31,665 一人の側室が 若子様を産んだのです。 358 00:27:31,665 --> 00:27:35,536 家中では それを 不審に思う者もおりました。 359 00:27:35,536 --> 00:27:39,773 そのお子は…➡ 360 00:27:39,773 --> 00:27:42,743 私の夫の子なのです。 361 00:27:42,743 --> 00:27:46,547 殺された あなたの…? 362 00:27:46,547 --> 00:27:55,122 はい。 その側室には いいなずけが いたのです。 363 00:27:55,122 --> 00:28:00,294 私の夫となった 三河仙八郎が➡ 364 00:28:00,294 --> 00:28:03,330 その いいなずけだったのです。 365 00:28:03,330 --> 00:28:07,167 2人は…➡ 366 00:28:07,167 --> 00:28:11,472 密通していました。 367 00:28:11,472 --> 00:28:16,143 次郎吉とやら ここまで 家の恥をさらしたのは➡ 368 00:28:16,143 --> 00:28:19,813 そなたに 頼みがあっての事です。 369 00:28:19,813 --> 00:28:25,686 その証しを見つけてほしいのです。 証しとは? 370 00:28:25,686 --> 00:28:28,322 財布です。 371 00:28:28,322 --> 00:28:31,658 夫の財布に その証しとなる➡ 372 00:28:31,658 --> 00:28:35,529 側室が 夫に宛てた文が 入っていたはずです。 373 00:28:35,529 --> 00:28:39,766 斬った者は その中身に 気が 付かなかっただけかもしれません。 374 00:28:39,766 --> 00:28:42,803 財布の中に そのような文が…。 375 00:28:42,803 --> 00:28:46,106 そなたが その財布を見ていないとなれば➡ 376 00:28:46,106 --> 00:28:48,509 お豊という娘が 持っているかもしれません。 377 00:28:48,509 --> 00:28:54,615 どうか そのお豊という娘を 私のもとに連れてきて下さい! 378 00:28:54,615 --> 00:28:58,118 お願いです! お豊が財布を? 379 00:28:58,118 --> 00:29:01,021 それが 向こうの手に渡っては もう遅いのです! 380 00:29:01,021 --> 00:29:06,293 向こうとは 殿様の子ではないと 疑ってる者ですね。 381 00:29:06,293 --> 00:29:11,632 それは もしや ご家老が筆頭では? 382 00:29:11,632 --> 00:29:15,969 おい。 お豊は まだ 良安先生のとこかい? 383 00:29:15,969 --> 00:29:19,269 さあ。 いや 邪魔をした。 384 00:29:21,308 --> 00:29:23,243 お豊が危ない! 385 00:29:23,243 --> 00:29:32,920 ♬~ 386 00:29:32,920 --> 00:29:34,922 何なのです? あなた方は! 387 00:29:34,922 --> 00:29:39,259 娘は どこだ? お豊を出せ! 388 00:29:39,259 --> 00:29:44,431 分かったわよ。 先生…。 しかたないでしょ。 389 00:29:44,431 --> 00:29:46,767 こっちよ。 390 00:29:46,767 --> 00:29:58,478 ♬~ 391 00:29:58,478 --> 00:30:00,948 あっ! うわ~っ! お豊ちゃん 逃げて! 392 00:30:00,948 --> 00:30:03,648 おっ母さん! お豊 早く逃げて! 393 00:30:06,620 --> 00:30:08,655 立て! お豊ちゃん! 394 00:30:08,655 --> 00:30:16,129 ♬~ 395 00:30:16,129 --> 00:30:18,632 おのれ! 396 00:30:18,632 --> 00:30:25,505 ♬~ 397 00:30:25,505 --> 00:30:27,705 そこまでだ! 398 00:30:29,343 --> 00:30:33,647 もう やめい! 次郎吉さん。 399 00:30:33,647 --> 00:30:38,485 迷惑をかけて すまなかった 千草さん。 400 00:30:38,485 --> 00:30:44,985 ご家老 捜しているものがあれば それで よろしいでしょう? 401 00:30:50,664 --> 00:30:56,964 お豊。 お前 死んだ者の財布を 持っているのか? 402 00:31:05,846 --> 00:31:08,181 お豊! 403 00:31:08,181 --> 00:31:14,688 ごめんなさい! 私 おっ母さんを治したくて…。 404 00:31:14,688 --> 00:31:37,644 ♬~ 405 00:31:37,644 --> 00:31:43,517 側室が 斬られた侍に 思いを誓った恋文か…。 406 00:31:43,517 --> 00:31:48,288 斬った侍は これが見つからず しくじったと思った。 407 00:31:48,288 --> 00:31:53,588 そこで 自分の正体が ばれぬよう 自害した。 そうですね? 408 00:31:56,496 --> 00:32:00,734 それで満足なはずです。 我々は この事を他言致しません。 409 00:32:00,734 --> 00:32:05,334 だから お豊の事も お見逃し下さい。 410 00:32:07,507 --> 00:32:14,314 よかろう。 しかし この者は 目をやられておる。 411 00:32:14,314 --> 00:32:18,914 治療で使う お酢ですよ。 すぐに治してさしあげます。 412 00:32:22,989 --> 00:32:24,989 あっ ちょっと…。 413 00:32:31,031 --> 00:32:35,802 側室の子を巡って 松沼藩は 2つに割れていたのね。 414 00:32:35,802 --> 00:32:40,602 平三が斬られたのも あの恋文のせいだ。 415 00:32:43,543 --> 00:32:52,343 お豊。 平三は お豊の居場所を 死んでも言わなかったんだ。 416 00:32:58,992 --> 00:33:02,662 お豊…。 417 00:33:02,662 --> 00:33:10,404 (泣き声) 418 00:33:10,404 --> 00:33:33,126 ♬~ 419 00:33:33,126 --> 00:33:37,626 お待たせしました。 連れてきましたよ。 420 00:33:42,836 --> 00:33:48,608 鼠小僧を お連れしました。 421 00:33:48,608 --> 00:33:55,515 次郎吉… そなたが 鼠小僧? 422 00:33:55,515 --> 00:34:01,154 平三を斬ったのは あなたですね? 423 00:34:01,154 --> 00:34:05,659 昨日 あなたは お豊を 捕まえようと 長屋へ行った。 424 00:34:05,659 --> 00:34:07,594 (お豊)何? 425 00:34:07,594 --> 00:34:10,831 おっ母さんなら 法山寺の 良安先生の所へ運ばれてったよ。 426 00:34:10,831 --> 00:34:14,031 しかし そこには 平三がいた。 427 00:34:18,338 --> 00:34:21,007 それで 後をつけたが➡ 428 00:34:21,007 --> 00:34:27,781 たとえ お豊を背負った平三でも その足で追うのは 無理だった。 429 00:34:27,781 --> 00:34:32,652 そこで しかたなく あなたは 帰り道を待ち伏せした。 430 00:34:32,652 --> 00:34:35,288 平三は 一人で帰ってきた。 431 00:34:35,288 --> 00:34:39,125 その平三に お豊の居場所を尋ねたが➡ 432 00:34:39,125 --> 00:34:41,461 平三は 言わなかった。 433 00:34:41,461 --> 00:34:43,396 知らねえ。 434 00:34:43,396 --> 00:34:48,068 知らぬはずがないでしょ! ここを 2人で行くのを見ているんです。 435 00:34:48,068 --> 00:34:51,638 何としても そのお豊という子に 会わなければならないのです! 436 00:34:51,638 --> 00:34:54,338 知らねえもんは 知らねえよ! 437 00:35:00,347 --> 00:35:06,186 なぜ隠す? 言え! 言わぬか! 438 00:35:06,186 --> 00:35:09,189 足を斬りつけて 脅したが➡ 439 00:35:09,189 --> 00:35:13,026 それでも 平三は 何も言わなかった。 440 00:35:13,026 --> 00:35:17,664 そこまでいくと 顔を見られた あなたは➡ 441 00:35:17,664 --> 00:35:22,168 平三を生かしておく訳にも いかなかった。 442 00:35:22,168 --> 00:35:26,006 あの娘のためなら 命も投げ出すのか? 443 00:35:26,006 --> 00:35:27,941 斬られてもよいのか!? 444 00:35:27,941 --> 00:35:31,511 死んでも…➡ 445 00:35:31,511 --> 00:35:35,011 あんたに お豊は渡さない! 446 00:35:36,950 --> 00:35:40,554 愚か者…。 あ~! 447 00:35:40,554 --> 00:35:43,123 ああ~っ! 448 00:35:43,123 --> 00:35:47,994 平三は 最期まで お豊を 一途に思っていた。 449 00:35:47,994 --> 00:35:51,831 その思いを あんたは 憎んだんだろう。 450 00:35:51,831 --> 00:35:58,672 恋文を大事に隠し 一途な思いを 側室に抱き続けていた➡ 451 00:35:58,672 --> 00:36:02,475 自分の夫に対するように。 452 00:36:02,475 --> 00:36:05,512 そんな文がある事を 知っていたのは➡ 453 00:36:05,512 --> 00:36:08,148 あなただけだったはず。 454 00:36:08,148 --> 00:36:14,648 それを 家老に告げ口したのは あなただ。 違いますか? 455 00:36:16,656 --> 00:36:20,527 しかし 夫が殺されたあとでは➡ 456 00:36:20,527 --> 00:36:23,463 そんな 妻の恥となるような恋文を➡ 457 00:36:23,463 --> 00:36:26,666 世間に さらしたくないと 思うようになったか? 458 00:36:26,666 --> 00:36:42,616 ♬~ 459 00:36:42,616 --> 00:36:46,786 お豊の家を捜しても 見つからなかった あの恋文は➡ 460 00:36:46,786 --> 00:36:50,657 ついに 家老の手に渡りましたよ。 黙れ! 461 00:36:50,657 --> 00:36:53,026 私の力にならないと➡ 462 00:36:53,026 --> 00:36:56,796 鼠小僧の正体を あの岡っ引きに知らせるわよ! 463 00:36:56,796 --> 00:37:00,667 あなたも うすうす 感づいてるはずだ。 えっ? 464 00:37:00,667 --> 00:37:03,970 あの恋文を手に入れた 家老にとって➡ 465 00:37:03,970 --> 00:37:06,473 あなたは もはや ただ一人➡ 466 00:37:06,473 --> 00:37:11,811 三河仙八郎殺しの 裏を知る者なんですよ。 467 00:37:11,811 --> 00:37:30,311 ♬~ 468 00:37:40,273 --> 00:38:29,622 ♬~ 469 00:38:29,622 --> 00:38:32,625 はあ。 ああ…。 470 00:38:32,625 --> 00:39:05,291 ♬~ 471 00:39:05,291 --> 00:39:07,491 (小判を投げる音) 472 00:39:24,310 --> 00:39:30,483 おっ母さんも 平三さんのそばに行って…➡ 473 00:39:30,483 --> 00:39:33,887 私は このまま生きてても しょうがない…。 474 00:39:33,887 --> 00:39:39,092 お豊 生きてなきゃ 平三は 悲しむぜ。 475 00:39:39,092 --> 00:39:41,995 おっ母さんだって。 476 00:39:41,995 --> 00:39:46,966 でも どうやって償えばいいか…。 477 00:39:46,966 --> 00:39:52,605 平三さんの事を思い続けるなら 人のために生きる事ね。 478 00:39:52,605 --> 00:39:58,278 あなたが もし望むなら 私のもとで働きなさい。 479 00:39:58,278 --> 00:40:01,578 千草先生…。 480 00:40:07,287 --> 00:40:12,287 誰かのために 一生懸命 生きなさい。 481 00:40:16,296 --> 00:40:18,631 はい…。 482 00:40:18,631 --> 00:40:30,810 ♬~ 483 00:40:30,810 --> 00:40:34,480 (鳴き声) 484 00:40:34,480 --> 00:40:37,150 (せきこみ) 485 00:40:37,150 --> 00:40:40,053 あ~…。 486 00:40:40,053 --> 00:40:44,657 兄さん! 松沼藩のお殿様が 死んじゃったって! 487 00:40:44,657 --> 00:40:47,493 おい 「死んじゃった」って何だよ? 身まかられたとか➡ 488 00:40:47,493 --> 00:40:52,332 もっと丁寧な口きけねえのかよ! そんな事 どうだっていいのよ! 489 00:40:52,332 --> 00:40:54,667 誰が 跡を継ぐのかしらね。 490 00:40:54,667 --> 00:40:58,538 側室の子は あの恋文のせいで 駄目になるのかしら。 491 00:40:58,538 --> 00:41:02,342 それより 私たちは 大丈夫? どうやって➡ 492 00:41:02,342 --> 00:41:05,178 あの恋文を 手に入れたのか それを知ってるのよ。 493 00:41:05,178 --> 00:41:08,214 あの恋文が役に立つとは 限らねえ。 494 00:41:08,214 --> 00:41:12,051 役に立たなきゃ 口封じに 殺されたりもしないさ。 495 00:41:12,051 --> 00:41:14,520 心配するな。 496 00:41:14,520 --> 00:41:17,557 相変わらず のんきなんだから! 497 00:41:17,557 --> 00:41:24,197 おなか すいたから 飯 早くね! おい 飯って何だよ! 498 00:41:24,197 --> 00:41:29,369 はあ~。 はいよ…。 499 00:41:29,369 --> 00:41:55,995 ♬~ 500 00:41:55,995 --> 00:41:59,332 人助けして 罰が当たったら たまんねえや! 501 00:41:59,332 --> 00:42:02,235 火事場から救った親子 今朝方 急に いなくなって…。 502 00:42:02,235 --> 00:42:05,138 もう 長い事 空き家なんですよ。 503 00:42:05,138 --> 00:42:07,206 日頃の行いが悪いから。 はい チ~ン! 504 00:42:07,206 --> 00:42:09,342 また やられたぞ。 鼠? 505 00:42:09,342 --> 00:42:11,277 あれは 鼠の手口じゃないな。 506 00:42:11,277 --> 00:42:13,513 お父っつぁん お父っつぁん! 507 00:42:13,513 --> 00:42:15,848 誰かって? お前と同じ盗っ人よ。 508 00:42:15,848 --> 00:42:23,022 ♬「傷を負った瞳 そこに安らぎはないのか」 509 00:42:23,022 --> 00:42:27,193 ♬「涙のそばで生きるのか」 510 00:42:27,193 --> 00:42:32,031 ♬「ひとりで抱えながら」 511 00:42:32,031 --> 00:42:39,472 ♬「終わらない悲しみ ひととき忘れてみないか」 512 00:42:39,472 --> 00:42:43,343 ♬「その闇を切り裂いてやる」 513 00:42:43,343 --> 00:42:48,648 ♬「俺の胸で眠れ」 514 00:42:48,648 --> 00:42:52,819 ♬「千年恋慕 咲き乱れよう」 515 00:42:52,819 --> 00:42:57,991 ♬「散りゆくとて 悔いなどない」 516 00:42:57,991 --> 00:43:04,864 ♬「尽き果てるまで ともに生きよう」 517 00:43:04,864 --> 00:43:09,168 ♬「あらがうほど 運命は無情」 518 00:43:09,168 --> 00:43:14,507 ♬「ゆえに固く 結ぶ絆」 519 00:43:14,507 --> 00:43:23,516 ♬「腕に抱いて 交わす契りは」 520 00:43:23,516 --> 00:43:29,316 ♬「とこしえの愛」