1 00:00:04,407 --> 00:00:08,277 有森也実さんの「ファミリーヒストリー」。 2 00:00:08,277 --> 00:00:10,213 そこには➡ 3 00:00:10,213 --> 00:00:12,482 離れ離れに なりながらも➡ 4 00:00:12,482 --> 00:00:18,121 家族の絆で結ばれた 歳月がありました。 5 00:00:18,121 --> 00:00:23,793 やっぱ 母 好きだったんだね。 父も母も好きだったんだね。 6 00:00:23,793 --> 00:00:26,762 シンプルでしたね。 お互い すごい好きやったんですね。 7 00:00:26,762 --> 00:00:28,762 私 振り回された…。 8 00:00:33,836 --> 00:01:34,136 ♬~ 9 00:01:38,568 --> 00:01:41,904 (光雨)今のは…。 10 00:01:41,904 --> 00:01:47,604 ♬~ 11 00:01:53,916 --> 00:01:56,752 ♬「あ~ そうだよ」 ♬「よく見りゃ」 12 00:01:56,752 --> 00:02:00,423 ♬「店ざらしでございます」 13 00:02:00,423 --> 00:02:03,326 (次郎吉)なあ これ 切り餅が 1個しか入ってねえじゃねえか。 14 00:02:03,326 --> 00:02:06,095 あ~ そりゃ ついてなかったな。 もっと食べてえなら➡ 15 00:02:06,095 --> 00:02:08,030 もう一杯 買ってくんな。 何だよ それ! 16 00:02:08,030 --> 00:02:10,766 いくら何でも 切り餅が1個だけってのは! 17 00:02:10,766 --> 00:02:13,269 (小袖)兄さん! その辺にしておかないと➡ 18 00:02:13,269 --> 00:02:17,106 器の小さな男だって事が 江戸中に バレちゃうわよ。 19 00:02:17,106 --> 00:02:19,942 誰が 器の小せえ男だ! 20 00:02:19,942 --> 00:02:22,445 お~っ! 毎度あり! 21 00:02:22,445 --> 00:02:25,114 そんなに イライラしないでよ。 22 00:02:25,114 --> 00:02:28,150 そもそも 小袖の買い物が 長すぎるんだ。 そう? 23 00:02:28,150 --> 00:02:32,722 あれやこれやと いつまでも 悩みやがって。 そう? 24 00:02:32,722 --> 00:02:36,592 あっ! ねえ 何だろう? あの 人だかり! 25 00:02:36,592 --> 00:02:39,092 おい 聞いてんのか? 小袖! 26 00:02:43,899 --> 00:02:46,802 今日は やけに 人が集まってるわね。 27 00:02:46,802 --> 00:02:49,238 人気の役者絵でも 入ったんじゃないか? 28 00:02:49,238 --> 00:02:51,173 ちょっと見てっていい? 29 00:02:51,173 --> 00:02:53,576 おいおい 本当に そいつは 見たってのか? 30 00:02:53,576 --> 00:02:56,479 ああ。 何でも 走ってるところを呼び止めて➡ 31 00:02:56,479 --> 00:03:00,750 描かせてもらったそうだ。 えっ? 走ってる時に? 本当かよ。 32 00:03:00,750 --> 00:03:03,586 おう。 こんな格好までしてくれて➡ 33 00:03:03,586 --> 00:03:07,757 随分と調子のいい男だって話だ。 鼠小僧はな! 34 00:03:07,757 --> 00:03:09,757 (2人)えっ!? 35 00:03:15,631 --> 00:03:18,467 なっ! さあさあ さあさあ➡ 36 00:03:18,467 --> 00:03:24,106 ついさっき刷り上がったばかり! 北川光雨作 鼠小僧の錦絵だ! 37 00:03:24,106 --> 00:03:29,979 北川光雨? 知らねえが なかなか 味があるじゃねえか。 38 00:03:29,979 --> 00:03:31,914 なっ だろ だろ? 親父 1枚くれ! 39 00:03:31,914 --> 00:03:35,051 へえ~ かっこつけやがって! 本当だな。 40 00:03:35,051 --> 00:03:37,720 役者気取ってやがるぜ! 41 00:03:37,720 --> 00:03:41,223 しょせん 盗っ人だろ? 42 00:03:41,223 --> 00:03:44,260 おてんとさんの下 出てきてみろっつうんだよな。 43 00:03:44,260 --> 00:03:47,396 (ため息) 44 00:03:47,396 --> 00:03:54,637 ♬~ 45 00:03:54,637 --> 00:03:56,906 あの男か…。 46 00:03:56,906 --> 00:04:00,776 兄さん 心当たりあるの? ああ。 47 00:04:00,776 --> 00:04:04,613 じゃあ 一度 止まって わざわざ 格好をつけたっていうのも➡ 48 00:04:04,613 --> 00:04:07,913 本当だったの? そんな事する訳ねえだろ! 49 00:04:10,086 --> 00:04:14,924 (お染)はい お待ち遠さん。 どうぞ ごゆっくり。 50 00:04:14,924 --> 00:04:17,259 どうも。 ありがとう。 51 00:04:17,259 --> 00:04:21,097 でもさ さっきの絵 結構 兄さんに似てたわよね? 52 00:04:21,097 --> 00:04:26,268 どこ見て言ってんだ? よく見ろ。 俺の方が男前じゃねえか。 53 00:04:26,268 --> 00:04:28,204 そう? 54 00:04:28,204 --> 00:04:31,774 見てみろ。 これじゃ役者じゃねえかよ これ。 55 00:04:31,774 --> 00:04:33,743 (浅吉)鼠小僧 見参! 56 00:04:33,743 --> 00:04:36,379 (せきこみ) 57 00:04:36,379 --> 00:04:40,716 何だよ? 甘酒屋。 派手に せきこみやがって。 58 00:04:40,716 --> 00:04:43,619 (お染)いらっしゃい 親分! それ 何 持ってんだい? 59 00:04:43,619 --> 00:04:48,057 あ? 鼠小僧の錦絵だよ。 今 そこで買ったんだよ。 60 00:04:48,057 --> 00:04:51,560 全く 憎たらしい顔しやがってよ! 61 00:04:51,560 --> 00:04:54,463 (浅吉)親分 せっかく買ったのに 破れちまいますぜ! 62 00:04:54,463 --> 00:04:59,068 (お染)これが あの鼠様かい? 随分と男前じゃないか。 63 00:04:59,068 --> 00:05:03,906 そうか? この手の顔は 意外と スケベな男だと思うぜ。 64 00:05:03,906 --> 00:05:06,742 そうそう。 頭の中で あれやこれやと いろんな事を…。 65 00:05:06,742 --> 00:05:11,580 「やめて 鼠様! 私の何を盗もうと いうの?」っつってな。 66 00:05:11,580 --> 00:05:15,251 (笑い声) やらねえよ そんな事! 67 00:05:15,251 --> 00:05:17,753 (与平 太助 喜作)えっ? 68 00:05:17,753 --> 00:05:22,253 あ… いや そんなやつじゃねえと 思うよ 鼠は。 69 00:05:24,927 --> 00:05:27,430 おい 甘酒屋。 70 00:05:27,430 --> 00:05:32,230 おめえ 随分と 鼠の肩 持つじゃねえ…。 71 00:05:34,870 --> 00:05:38,870 おめえ もしかして…。 72 00:05:40,743 --> 00:05:44,380 オカマか? おめえ オカマなんだろう? 73 00:05:44,380 --> 00:05:48,050 えっ? いや~ 違う 違う! 74 00:05:48,050 --> 00:05:52,555 甘酒屋 親分の言う事に 間違いはねえんだよ。 75 00:05:52,555 --> 00:05:55,391 俺も 前から 怪しいと にらんでたんだよ。 76 00:05:55,391 --> 00:05:59,261 白状しちまった方が 楽になるわよ~。 77 00:05:59,261 --> 00:06:03,065 だから 違うって言ってんだろ! オカマは 悪い事じゃねえんだぞ。 78 00:06:03,065 --> 00:06:05,065 毎度あり! 79 00:06:06,902 --> 00:06:09,572 ありがとうございました。 80 00:06:09,572 --> 00:06:11,607 おっ いらっしゃい! 81 00:06:11,607 --> 00:06:15,744 なあ この鼠の絵を描いた男の事を 尋ねたいんだが…。 82 00:06:15,744 --> 00:06:19,415 あ~ 北川光雨か。 どこに住んでるか知ってるかい? 83 00:06:19,415 --> 00:06:22,251 あ~ 版元に聞いてみねえと 分かんねえな。 84 00:06:22,251 --> 00:06:28,057 あれ? 光雨に何か用かい? いや どんな男かと思ってな。 85 00:06:28,057 --> 00:06:32,695 力はあるんだが… あんまり 客に受けねえんだよな。 86 00:06:32,695 --> 00:06:37,366 あっ でも この鼠小僧の絵は違うぜ。 87 00:06:37,366 --> 00:06:40,035 (お国)次郎吉さん! 88 00:06:40,035 --> 00:06:43,072 お国 千草先生。 89 00:06:43,072 --> 00:06:47,309 (千草)絵を買いに来たんですか? えっ? あ~ いや…。 90 00:06:47,309 --> 00:06:52,047 あっ 千草先生 見て下さい! 鼠小僧の絵が売ってますよ! 91 00:06:52,047 --> 00:06:56,552 あら 珍しいわね。 92 00:06:56,552 --> 00:07:00,352 フフフッ! おかしな格好してますね! 次郎吉さん! 93 00:07:02,424 --> 00:07:05,624 あ~ そうだな。 94 00:07:07,897 --> 00:07:12,768 北川光雨? ええ。 若い絵師らしいんですが…。 95 00:07:12,768 --> 00:07:16,405 私 知ってますよ。 本当かよ? お国。 96 00:07:16,405 --> 00:07:18,340 ええ。 友達に連れられて➡ 97 00:07:18,340 --> 00:07:20,576 絵を見せてもらいに行った事が あります。 98 00:07:20,576 --> 00:07:23,245 忙しかったみたいなので すぐに帰りましたけど。 99 00:07:23,245 --> 00:07:27,917 診療所の近く? 絵師さんが 住んでいたなんて知らなかったわ。 100 00:07:27,917 --> 00:07:30,586 その時に 海の向こうから来たという➡ 101 00:07:30,586 --> 00:07:33,556 すごく鼻の長い獣の絵を 見せてもらいました。 102 00:07:33,556 --> 00:07:39,028 すごいんですよ 鼻が! きっと それは 天竺から来た象ね。 103 00:07:39,028 --> 00:07:45,801 象? あ~ 噂では聞いた事あるが 是非 一度 拝んでみてえもんだ。 104 00:07:45,801 --> 00:07:48,704 へい お待ち! どうも。 105 00:07:48,704 --> 00:07:52,875 その北川光雨という方が どうかなさったんですか? 106 00:07:52,875 --> 00:07:55,210 どうしたって事じゃ ないんですが➡ 107 00:07:55,210 --> 00:07:58,247 少し 気になる事がありまして…。 108 00:07:58,247 --> 00:08:01,383 なあ お国 どこに住んでるか 教えてくれねえか。 109 00:08:01,383 --> 00:08:04,219 次郎吉さん そんなに 象が見たいんですか? 110 00:08:04,219 --> 00:08:07,723 えっ? ああ… まあ そんなとこだ。 111 00:08:07,723 --> 00:08:10,392 どうしても 気になってな。 112 00:08:10,392 --> 00:08:15,264 どうしたんですか? 今日の 次郎吉さん ちょっと変ですよ。 113 00:08:15,264 --> 00:08:18,064 そ… そんな事ないですよ! 114 00:08:26,842 --> 00:08:29,078 (戸をたたく音) (お小夜)光雨さん! 115 00:08:29,078 --> 00:08:31,878 (戸をたたく音) 光雨さん! 116 00:08:35,184 --> 00:08:38,520 また来たのか…。 117 00:08:38,520 --> 00:08:42,358 名は確か… お小夜だったか? 118 00:08:42,358 --> 00:08:46,028 うん。 何度も言っているだろう。 119 00:08:46,028 --> 00:08:50,699 絵が欲しかったら 自分で買いに行く事だ。 120 00:08:50,699 --> 00:08:55,537 うちは貧乏だから 金がねえ…。 121 00:08:55,537 --> 00:08:59,708 それならば 諦めるしかないな。 122 00:08:59,708 --> 00:09:03,908 でも おっ母さんに 元気になってもらいてえ! 123 00:09:05,881 --> 00:09:12,221 お前のおっ母さん 病気なのか? うん。 124 00:09:12,221 --> 00:09:15,557 ラクダの絵には 不思議な力があるって➡ 125 00:09:15,557 --> 00:09:18,594 絵草紙屋のおっちゃんが 言ってたんだ。 126 00:09:18,594 --> 00:09:23,065 だから 光雨さんに描いてもらいてえ! 127 00:09:23,065 --> 00:09:27,865 私の絵には そんな力はないよ。 128 00:09:37,713 --> 00:09:41,213 お小夜が 自分で描けばいい。 129 00:09:46,388 --> 00:09:50,526 でも これ… いいの? 130 00:09:50,526 --> 00:09:54,029 描けたら 私に見せに来な。 131 00:09:54,029 --> 00:09:56,029 うん! 132 00:10:05,040 --> 00:10:06,975 すまねえな。 133 00:10:06,975 --> 00:10:09,378 のぞき見するつもりは なかったんだ。 134 00:10:09,378 --> 00:10:13,248 光雨さん。 誰だ? 135 00:10:13,248 --> 00:10:18,887 俺は 甘酒屋の次郎吉ってもんだ。 次郎吉? 136 00:10:18,887 --> 00:10:23,187 俺の顔に 覚えはないかい? 137 00:10:26,228 --> 00:10:30,899 いや 覚えてなきゃいいんだ。 その方がいい。 138 00:10:30,899 --> 00:10:35,571 それより 絵の一枚ぐらい 描いてやったっていいじゃねえか。 139 00:10:35,571 --> 00:10:41,076 あの子が あんたより ましな絵が 描けるとは思えねえがな。 140 00:10:41,076 --> 00:10:44,747 絵というのは 描いた者の思いが宿る。 141 00:10:44,747 --> 00:10:50,252 私が描いても 意味はない。 そういうもんか…。 142 00:10:50,252 --> 00:10:54,423 けど 大事な商売道具を くれてやるなんて➡ 143 00:10:54,423 --> 00:10:57,326 随分と気前がいいじゃねえか。 144 00:10:57,326 --> 00:11:01,597 私に何か用があって 来たのか? えっ? 145 00:11:01,597 --> 00:11:07,770 あ~ そうだ! 象っていう 獣の絵を見せてくれねえか? 146 00:11:07,770 --> 00:11:09,705 象? ああ。 147 00:11:09,705 --> 00:11:12,441 前に見せてもらったってやつが 鼻がすげえって➡ 148 00:11:12,441 --> 00:11:17,241 大げさに騒ぎやがってよ どうしても見てえんだ。 149 00:11:30,793 --> 00:11:34,062 な… 何だ こいつ! 150 00:11:34,062 --> 00:11:36,565 鼻が長すぎるだろ! 151 00:11:36,565 --> 00:11:39,902 海の向こうには こんな獣がいるのか? 152 00:11:39,902 --> 00:11:42,805 ああ…。 ほかには どんな絵があるんだ? 153 00:11:42,805 --> 00:11:48,610 ちょっと見せてくれよ! あ~ すげえな こりゃ! 154 00:11:48,610 --> 00:11:57,810 ♬~ 155 00:12:06,128 --> 00:12:09,598 そうだ 広之進様 帰りに ちょっと➡ 156 00:12:09,598 --> 00:12:12,434 つきあってほしい所が あるんだけど…。 157 00:12:12,434 --> 00:12:18,240 小袖殿 それは 私を誘ってくれているのですか? 158 00:12:18,240 --> 00:12:22,444 そうだけど…。 分かりました! 159 00:12:22,444 --> 00:12:26,114 男 米原広之進 この命に代えましても➡ 160 00:12:26,114 --> 00:12:29,614 必ずや 小袖殿を楽しませてみせます! 161 00:12:31,286 --> 00:12:34,986 どこに 命 懸けてんのよ…。 162 00:12:39,094 --> 00:12:41,894 はい 毎度あり。 163 00:12:43,932 --> 00:12:47,236 さすがに 一緒にいる時は買えないものね。 164 00:12:47,236 --> 00:12:50,906 えっ? 何でもない。 165 00:12:50,906 --> 00:12:56,411 ねえ 広之進様 この絵を見て 誰か思い出さない? 166 00:12:56,411 --> 00:13:00,749 えっ? この絵を見て… ですか? 167 00:13:00,749 --> 00:13:06,088 う~ん…。 全く 誰も思い浮かびませんね。 168 00:13:06,088 --> 00:13:09,591 あっ もしかして この絵は 判じ絵か何かですか? 169 00:13:09,591 --> 00:13:14,263 違うわよ。 何も思い出さないなら いいわ。 170 00:13:14,263 --> 00:13:18,600 小袖殿は 鼠小僧が好きなのですか? 171 00:13:18,600 --> 00:13:20,936 えっ? 172 00:13:20,936 --> 00:13:25,440 う~ん… そうかもね。 173 00:13:25,440 --> 00:13:29,945 さあ 用も済んだし 行きましょう。 174 00:13:29,945 --> 00:13:35,751 小袖殿の好みが 全くもって分からない…。 175 00:13:35,751 --> 00:13:38,387 お待ち下さい! 176 00:13:38,387 --> 00:13:43,258 光雨さんは 鳥や獣の絵が好きなのか? 177 00:13:43,258 --> 00:13:46,895 ああ。 178 00:13:46,895 --> 00:13:50,565 この鶴も まるで生きてるみてえだ。 179 00:13:50,565 --> 00:13:54,403 これだけの腕があれば すぐに どこぞの大名から➡ 180 00:13:54,403 --> 00:13:59,274 御用絵師にと 声がかかるんじゃねえか? 181 00:13:59,274 --> 00:14:02,577 どうした? 何か悪い事でも言っちまったか? 182 00:14:02,577 --> 00:14:05,414 いや…。 183 00:14:05,414 --> 00:14:11,586 次郎吉さん 私の絵を見て どう思った? 184 00:14:11,586 --> 00:14:15,424 えっ? 185 00:14:15,424 --> 00:14:18,327 俺は 絵の事は分からねえが➡ 186 00:14:18,327 --> 00:14:24,433 とんでもなく うまくて きれいな絵だと思うぜ。 187 00:14:24,433 --> 00:14:26,935 そうか…。 188 00:14:26,935 --> 00:14:33,208 ただ 何となく見てると 切ないっていうか➡ 189 00:14:33,208 --> 00:14:39,908 こう 胸が締めつけられるような そんな気持ちになるな。 190 00:14:45,554 --> 00:14:48,457 あっ いけねえ。 つい 長居しちまったな。 191 00:14:48,457 --> 00:14:51,457 早く帰って 飯の支度しないと。 192 00:14:53,428 --> 00:14:57,728 珍しいもんが見れて 楽しかった。 じゃあ また。 193 00:15:00,902 --> 00:15:05,741 飯の支度? 194 00:15:05,741 --> 00:15:09,077 おかしな男だ…。 195 00:15:09,077 --> 00:15:21,577 ♬~ 196 00:15:29,264 --> 00:15:32,167 (松平)うむ…。 197 00:15:32,167 --> 00:15:34,870 見事じゃ。 198 00:15:34,870 --> 00:15:37,305 (雪友)恐れ入ります。 199 00:15:37,305 --> 00:15:42,878 近々 奥の襖を新しくしようと 思うておる。 200 00:15:42,878 --> 00:15:46,548 また 頼むぞ。 201 00:15:46,548 --> 00:15:49,548 ありがたき幸せ。 202 00:16:14,409 --> 00:16:27,122 ♬~ 203 00:16:27,122 --> 00:16:32,360 孔雀の掛け軸? あ~ あれは 1年ほど前に➡ 204 00:16:32,360 --> 00:16:37,866 殿のために わしが描いたものだ。 それが どうした? 205 00:16:37,866 --> 00:16:43,672 (秋友)いえ。 あまりの美しさに 目を奪われてしまいました。 206 00:16:43,672 --> 00:16:49,478 そうだろう 秋友。 お前が あの孔雀を描くには➡ 207 00:16:49,478 --> 00:16:53,348 恐らく あと10年の修業が 必要だろう。 208 00:16:53,348 --> 00:16:58,553 そうかもしれません。 ですが 珍しいですね。 209 00:16:58,553 --> 00:17:02,057 雪友様が 鳥の絵を描かれたとは…。 210 00:17:02,057 --> 00:17:04,893 初めて拝見致しました。 211 00:17:04,893 --> 00:17:11,666 わしが あの絵を描いたのが そんなに不思議か? 秋友。 212 00:17:11,666 --> 00:17:15,904 いえ 決して そのような事は…。 213 00:17:15,904 --> 00:17:21,776 しかし 孔雀の絵を見ると 思い出してしまうのです。 214 00:17:21,776 --> 00:17:25,076 共に学んだ友の事を…。 215 00:17:30,085 --> 00:17:32,585 失礼致します。 216 00:17:43,632 --> 00:17:46,368 何度も申しているだろう 覚えていないと。 217 00:17:46,368 --> 00:17:48,403 そこを なんとか思い出してくれよ~。 218 00:17:48,403 --> 00:17:51,540 何でもいいんだよ。 ものすげえ垂れ目だったとか➡ 219 00:17:51,540 --> 00:17:54,376 でっけえホクロがあったとかよ。 申し訳ないが➡ 220 00:17:54,376 --> 00:17:57,279 もう 帰ってくれないか。 筆が進まない。 221 00:17:57,279 --> 00:17:59,548 親分 もう諦めましょうよ。 ねっ。 触んじゃねえ この野郎! 222 00:17:59,548 --> 00:18:01,548 また来るぜ。 223 00:18:05,220 --> 00:18:07,889 何で 俺の腰ばっかり触んだよ! 224 00:18:07,889 --> 00:18:12,227 チクショーめ! 結局 何の手がかりもなしか…。 225 00:18:12,227 --> 00:18:15,130 地道に探すしかないですね。 226 00:18:15,130 --> 00:18:18,900 この象の絵が 北川光雨の作品の中では➡ 227 00:18:18,900 --> 00:18:22,404 人気があるそうです。 へえ~。 228 00:18:22,404 --> 00:18:26,741 それで あの…➡ 229 00:18:26,741 --> 00:18:29,778 これ 小袖殿に差し上げます! 230 00:18:29,778 --> 00:18:35,183 えっ? あ… ど… どうも。 でも 何でまた突然? 231 00:18:35,183 --> 00:18:38,853 えっ? 好きではないのですか? 232 00:18:38,853 --> 00:18:43,358 私は てっきり この人の絵が好きなのかと…。 233 00:18:43,358 --> 00:18:48,029 いや 別に そういう訳じゃないんだけど…。 234 00:18:48,029 --> 00:18:50,699 まあ ありがとうございます。 235 00:18:50,699 --> 00:18:54,202 あ~ それで いろいろと調べてみたのですが➡ 236 00:18:54,202 --> 00:18:57,706 北川光雨という絵師は なかなかに波乱万丈な人生を➡ 237 00:18:57,706 --> 00:19:00,706 歩んでおられました。 そうなの? 238 00:19:04,212 --> 00:19:06,881 何で 広之進が象の絵を? 239 00:19:06,881 --> 00:19:11,753 私が 光雨さんの絵が好きだと 思われたみたい。 240 00:19:11,753 --> 00:19:14,756 鼠の絵なんか買うから 勘違いされるんだろ。 241 00:19:14,756 --> 00:19:20,895 広之進様 張り切って 光雨さんの事まで調べちゃって。 242 00:19:20,895 --> 00:19:23,732 光雨さん 1年くらい前まで➡ 243 00:19:23,732 --> 00:19:27,669 三杉三万石 松平家の御用絵師 朝岡雪友の➡ 244 00:19:27,669 --> 00:19:30,905 お弟子さんだったんだってね。 そうなのか。 245 00:19:30,905 --> 00:19:33,675 でも 突然 「お前には才能がない」って➡ 246 00:19:33,675 --> 00:19:37,846 破門を言い渡されたんだって。 破門に? 247 00:19:37,846 --> 00:19:40,682 それを知った 光雨さんの父上は➡ 248 00:19:40,682 --> 00:19:43,018 付け届けが足りないせいだと 思って➡ 249 00:19:43,018 --> 00:19:46,054 心労で倒れてしまったそうなの。 250 00:19:46,054 --> 00:19:52,694 もともと 体が弱かった事もあって それっきり…。 251 00:19:52,694 --> 00:19:55,597 死んじまったのか? うん…。 252 00:19:55,597 --> 00:20:00,897 光雨さん 破門されてから 一人で 絵を描き続けているらしいわよ。 253 00:20:03,204 --> 00:20:09,004 その話 何か裏がありそうだな。 254 00:20:22,223 --> 00:20:24,223 (戸をたたく音) 255 00:20:26,094 --> 00:20:28,094 (戸をたたく音) 256 00:20:30,565 --> 00:20:34,402 何度も言ってるだろ! 覚えていないと! 257 00:20:34,402 --> 00:20:36,738 ひどい言いぐさだな。 258 00:20:36,738 --> 00:20:40,075 一緒に学んだ仲間を もう忘れちまったのか? 259 00:20:40,075 --> 00:20:42,977 しゅ… 秋友! 260 00:20:42,977 --> 00:20:45,277 久しぶりだな。 261 00:20:47,582 --> 00:20:50,251 随分と捜した。 262 00:20:50,251 --> 00:20:54,451 こんな所に住んでいたとはな…。 263 00:20:56,591 --> 00:21:00,462 やはり まだ 絵を続けていたんだな。 264 00:21:00,462 --> 00:21:04,099 共に精進した日々が懐かしい。 265 00:21:04,099 --> 00:21:11,439 そうだな。 お前とは 毎日 張り合うように 絵を描き続けた。 266 00:21:11,439 --> 00:21:17,312 光雨が去ってからは 随分と つまらなくなってしまったものだ。 267 00:21:17,312 --> 00:21:22,784 お前ほどの熱を持った男は いなかったからな。 268 00:21:22,784 --> 00:21:29,457 しかし わざわざ こんな所まで やって来て どうしたんだ? 269 00:21:29,457 --> 00:21:34,729 ああ。 確かめたい事があってな。 270 00:21:34,729 --> 00:21:37,232 確かめたい事? 271 00:21:37,232 --> 00:21:44,739 光雨 お前が破門された少し前 孔雀の絵を描いていたよな? 272 00:21:44,739 --> 00:21:48,610 孔雀? ああ。 273 00:21:48,610 --> 00:21:51,913 (秋友)あの絵 どうした? 274 00:21:51,913 --> 00:21:55,250 雪友様に お預けしたはずだが…。 275 00:21:55,250 --> 00:21:59,587 やはり そうか…。 276 00:21:59,587 --> 00:22:06,461 俺は その孔雀の絵が 殿の書院に飾られているのを見た。 277 00:22:06,461 --> 00:22:09,161 私の孔雀が? 278 00:22:11,099 --> 00:22:18,606 絵には 雪友様の印が押してあった。 279 00:22:18,606 --> 00:22:21,906 雪友様の? 280 00:22:23,945 --> 00:22:26,614 まさか…。 281 00:22:26,614 --> 00:22:29,117 ああ。 282 00:22:29,117 --> 00:22:32,387 私が描いた絵を➡ 283 00:22:32,387 --> 00:22:34,889 自分が描いた絵と偽って➡ 284 00:22:34,889 --> 00:22:37,392 殿に献上したのか? 285 00:22:37,392 --> 00:22:43,198 ああ。 それを悟られたくないから お前を…。 286 00:22:43,198 --> 00:22:45,698 汚い男だ…。 287 00:22:49,571 --> 00:22:53,408 それで…➡ 288 00:22:53,408 --> 00:22:58,913 そんな事で 私は…➡ 289 00:22:58,913 --> 00:23:02,913 私の父上は…。 290 00:23:09,924 --> 00:23:13,595 私の家は➡ 291 00:23:13,595 --> 00:23:19,934 三十俵二人扶持の貧乏侍。 292 00:23:19,934 --> 00:23:25,607 生活は苦しかった。 293 00:23:25,607 --> 00:23:32,413 私が絵師になりたいと言った時➡ 294 00:23:32,413 --> 00:23:39,153 父上は あらゆる手を尽くして➡ 295 00:23:39,153 --> 00:23:45,093 雪友様の弟子にしてくれたんだ…。 296 00:23:45,093 --> 00:23:53,093 しかし 私が破門になって…。 297 00:23:59,407 --> 00:24:02,907 許せぬ…。 298 00:24:07,282 --> 00:24:10,118 光雨? 299 00:24:10,118 --> 00:24:12,587 あの孔雀の絵は➡ 300 00:24:12,587 --> 00:24:15,924 今でも はっきりと 私の脳裏に焼き付いてる。 301 00:24:15,924 --> 00:24:19,761 私は これから あの孔雀と 同じ孔雀を描く。 302 00:24:19,761 --> 00:24:22,263 そんな事をして どうするんだ? 303 00:24:22,263 --> 00:24:26,434 秋友 10日後の朝 裏の神社へ来てくれ。 304 00:24:26,434 --> 00:24:30,939 そこで この孔雀を お前に託す。 何? 305 00:24:30,939 --> 00:24:33,439 それを…。 306 00:24:36,544 --> 00:24:40,415 殿様に差し出してくれないか? 307 00:24:40,415 --> 00:24:43,885 そして 孔雀の掛け軸は➡ 308 00:24:43,885 --> 00:24:49,223 本当は 私が描いたものだと 申し伝えてくれ。 309 00:24:49,223 --> 00:24:52,060 それは…。 頼む! 310 00:24:52,060 --> 00:24:57,865 師に踏みにじられた私の心を…➡ 311 00:24:57,865 --> 00:25:02,236 死んだ父上の無念を…➡ 312 00:25:02,236 --> 00:25:07,236 ここで晴らさねば 私は 前へ進めぬ! 313 00:25:09,978 --> 00:25:13,478 頼む 秋友! 314 00:25:18,252 --> 00:25:26,761 分かったよ。 同じ志を持つ友の頼みだ。 315 00:25:26,761 --> 00:25:30,932 すまない…。 316 00:25:30,932 --> 00:25:36,738 では 次に会うのは 10日後だ。 317 00:25:36,738 --> 00:25:43,878 それまで もう ここには来るな。 誰にも悟られたくはない。 318 00:25:43,878 --> 00:25:46,378 ああ。 319 00:25:49,550 --> 00:25:53,421 秋友。 320 00:25:53,421 --> 00:25:56,424 恩に着る。 321 00:25:56,424 --> 00:26:04,899 光雨 全てが終わったら 共に諸国を巡る旅に出ないか? 322 00:26:04,899 --> 00:26:07,935 思うままに 絵を描きながら。 323 00:26:07,935 --> 00:26:12,240 旅か…。 324 00:26:12,240 --> 00:26:16,577 ああ 悪くないな。 325 00:26:16,577 --> 00:26:21,077 よし 約束だ。 326 00:26:31,125 --> 00:26:49,210 ♬~ 327 00:26:49,210 --> 00:26:53,548 父上 こんな高価なもの…。 328 00:26:53,548 --> 00:26:55,883 絵師になりたいのなら➡ 329 00:26:55,883 --> 00:26:59,383 とにかく たくさん 絵を描かんとな。 330 00:27:01,756 --> 00:27:05,893 まさか 脇差し…。 331 00:27:05,893 --> 00:27:08,563 あの刀を お売りになったのですか? 332 00:27:08,563 --> 00:27:11,899 刀? ああ…。 333 00:27:11,899 --> 00:27:17,405 近頃 あれは錆がひどく 斬れ味も衰えておったからな。 334 00:27:17,405 --> 00:27:22,910 うそだ。 あの脇差しは 昔 父上が武勲をあげられた際➡ 335 00:27:22,910 --> 00:27:27,248 褒美として お上より授けられたもの。 336 00:27:27,248 --> 00:27:32,220 家宝のように 丹念に手入れを なさっていたではありませんか! 337 00:27:32,220 --> 00:27:36,057 そんな事は 気にしなくてよい。 338 00:27:36,057 --> 00:27:41,195 お前は 好きなだけ 絵を描けばいいんだ。➡ 339 00:27:41,195 --> 00:27:45,032 お前の好きなようにな。 340 00:27:45,032 --> 00:27:48,703 父上…。 341 00:27:48,703 --> 00:28:28,903 ♬~ 342 00:29:56,564 --> 00:30:00,201 次郎吉さん…。 大丈夫か? 343 00:30:00,201 --> 00:30:05,039 心配になって来たら このざまだ。 光雨さん 今の男は? 344 00:30:05,039 --> 00:30:09,377 分からない…。 345 00:30:09,377 --> 00:30:12,713 まさか! 346 00:30:12,713 --> 00:30:14,913 光雨さん! 347 00:30:19,053 --> 00:30:22,556 むごい事しやがる。 348 00:30:22,556 --> 00:30:26,427 こいつは 辻斬りの仕業っすね。 349 00:30:26,427 --> 00:30:28,729 (早崎)殺されたばかりだな。 350 00:30:28,729 --> 00:30:32,233 この男を殺した者は まだ この近くにいるはずだ。 351 00:30:32,233 --> 00:30:35,903 徳五郎 辺りをくまなく捜せ! 浅吉は 診療所へ行って➡ 352 00:30:35,903 --> 00:30:38,603 千草先生を連れてこい。 (2人)へい! 353 00:30:40,241 --> 00:30:43,144 (浅吉)あっ 北川光雨! あっ 甘酒屋! 354 00:30:43,144 --> 00:30:46,144 おめえ 何で こんなとこに? 秋友! 355 00:30:49,417 --> 00:30:53,287 秋友! 秋友! 356 00:30:53,287 --> 00:30:57,091 この者は その方の知り合いか? 357 00:30:57,091 --> 00:30:59,593 残念だが 私たちが来た時には➡ 358 00:30:59,593 --> 00:31:02,393 既に こと切れていた。 359 00:31:10,938 --> 00:31:13,975 光雨さん! 360 00:31:13,975 --> 00:31:17,712 光雨さん! 光雨さん! 361 00:31:17,712 --> 00:31:22,116 きっと 雪友だ。 私が 秋友を巻き込んでしまったから…。 362 00:31:22,116 --> 00:31:25,453 どこに行く気だ? 雪友のもとだ! 363 00:31:25,453 --> 00:31:28,356 秋友の敵を取る! 行ったら 光雨さんも➡ 364 00:31:28,356 --> 00:31:30,958 命を狙われるぞ。 365 00:31:30,958 --> 00:31:38,566 それに 殺された友は 本当に あだ討ちを望んでいるのか? 366 00:31:38,566 --> 00:31:40,866 それは…。 367 00:31:44,238 --> 00:31:48,038 俺に 話を聞かせてくれねえか? 368 00:32:13,100 --> 00:32:16,937 では やつは まだ生きているというのか? 369 00:32:16,937 --> 00:32:21,108 ですが 再び 刺客を差し向けてありますので➡ 370 00:32:21,108 --> 00:32:24,608 今夜中には 片がつくかと。 371 00:32:50,071 --> 00:32:54,742 寝込みを襲うなんて 随分 卑怯な事するじゃない。 372 00:32:54,742 --> 00:32:56,777 何? 373 00:32:56,777 --> 00:33:18,432 ♬~ 374 00:33:18,432 --> 00:33:23,304 このような絵があっては 決してならんのだ。 375 00:33:23,304 --> 00:33:26,107 ≪待て。 376 00:33:26,107 --> 00:33:28,042 だ… 誰だ? 377 00:33:28,042 --> 00:33:36,383 ♬~ 378 00:33:36,383 --> 00:33:38,719 貴様 何者だ? 379 00:33:38,719 --> 00:33:42,389 その孔雀は 俺がもらっていく。 380 00:33:42,389 --> 00:33:45,292 なんと? これは 私の…。 381 00:33:45,292 --> 00:33:48,896 北川光雨のだろ? 382 00:33:48,896 --> 00:33:54,401 三杉三万石 松平家の屋敷に あるものと同じくな。 383 00:33:54,401 --> 00:33:56,337 なぜ それを!? 384 00:33:56,337 --> 00:33:58,739 鳴き声が聞こえたんだ。 385 00:33:58,739 --> 00:34:02,610 偽りの印を押された 孔雀のな。 386 00:34:02,610 --> 00:34:05,913 ふざけた事を! 斬れ! 387 00:34:05,913 --> 00:34:34,875 ♬~ 388 00:34:34,875 --> 00:34:41,575 あ… あ…。 頼む! 命だけは… 命だけは…! 389 00:34:43,217 --> 00:34:46,554 愚かな事を…。 390 00:34:46,554 --> 00:34:49,590 殿様からの依頼に 応える事ができず➡ 391 00:34:49,590 --> 00:34:53,427 代わりに 弟子の絵を献上するとは…。 392 00:34:53,427 --> 00:34:55,896 それは…➡ 393 00:34:55,896 --> 00:35:00,734 それは しかたがなかったんだ! 394 00:35:00,734 --> 00:35:03,237 私には…➡ 395 00:35:03,237 --> 00:35:08,409 鳥や獣の絵を描く才がなかった…。 396 00:35:08,409 --> 00:35:11,912 しかし 殿が それを望んだんだ…。 397 00:35:11,912 --> 00:35:16,250 だから 光雨の絵に 手をつけたって訳か。 398 00:35:16,250 --> 00:35:19,286 そして その事が漏れる事を 恐れるあまり➡ 399 00:35:19,286 --> 00:35:22,756 光雨を破門に追いやった。 400 00:35:22,756 --> 00:35:27,595 才ある弟子を切り捨ててまで 殿様に取り入ろうとは➡ 401 00:35:27,595 --> 00:35:31,265 あきれ返る。 402 00:35:31,265 --> 00:35:37,465 自分でも 愚かな事をしたと思っている…。 403 00:35:39,540 --> 00:35:43,711 どうか… どうか…。 何でも致します! 404 00:35:43,711 --> 00:35:48,382 命だけは お助け下さい! どうか… どうか…。 405 00:35:48,382 --> 00:35:53,254 ならば 明日 殿様に うそ偽りなく 全てを話し➡ 406 00:35:53,254 --> 00:35:55,723 しかるべき 罰を受けろ。 407 00:35:55,723 --> 00:36:00,923 はあ…。 必ず そのように致します! 408 00:36:10,738 --> 00:36:12,773 ああ~。 409 00:36:12,773 --> 00:36:14,773 おお…。 410 00:36:31,592 --> 00:36:34,092 (雪友)あっ ああ~! 411 00:36:36,430 --> 00:36:40,034 これは 一体 どういう事じゃ? 412 00:36:40,034 --> 00:36:45,839 今朝になり 掛け軸が2幅に増えておった。 413 00:36:45,839 --> 00:36:51,378 うぬに描かせた この孔雀 なぜ 2枚になっておるのだ? 414 00:36:51,378 --> 00:36:57,178 それは… 私にも分かりません! 415 00:36:58,886 --> 00:37:04,758 ここに 光雨という印が 押されておる。 416 00:37:04,758 --> 00:37:07,561 それは…。 417 00:37:07,561 --> 00:37:12,066 聞けば その方の弟子に➡ 418 00:37:12,066 --> 00:37:17,571 北川光雨という絵師が おったそうだな。➡ 419 00:37:17,571 --> 00:37:19,606 わしには分かる。 420 00:37:19,606 --> 00:37:25,913 この2枚の絵は 同じ絵師によって描かれておる。 421 00:37:25,913 --> 00:37:30,250 果たして その方が描いたものか➡ 422 00:37:30,250 --> 00:37:34,688 それとも 光雨とやらが描いたものか。 423 00:37:34,688 --> 00:37:37,725 もちろん… もちろん 私でございます! 424 00:37:37,725 --> 00:37:41,195 それは まことじゃな? はい! 425 00:37:41,195 --> 00:37:44,098 ならば 自らの筆で 証しを立ててみよ! 426 00:37:44,098 --> 00:37:47,067 えっ? 427 00:37:47,067 --> 00:37:55,042 今 ここで 孔雀の羽根を1枚描いてみよ。 428 00:37:55,042 --> 00:37:59,913 この孔雀を描いたのが まこと うぬならば➡ 429 00:37:59,913 --> 00:38:04,718 同じように描けるであろう。 430 00:38:04,718 --> 00:38:06,918 はい…。 431 00:38:22,136 --> 00:38:29,243 どうした? 手が震えておるぞ。 432 00:38:29,243 --> 00:38:32,443 大丈夫でございます! 433 00:38:37,518 --> 00:38:44,518 よもや わしの目をごまかせると 思うてか? 434 00:38:48,529 --> 00:38:51,865 申し訳ございません! 435 00:38:51,865 --> 00:38:58,205 どうか… どうか お許しを! 436 00:38:58,205 --> 00:39:05,379 よくも わしを愚弄しおったな! 手討ちにしてくれるわ! 437 00:39:05,379 --> 00:39:09,550 殿… 殿 お待ち下さい! 殿 どうか… どうか! 438 00:39:09,550 --> 00:39:13,850 殿 殿 殿! 殿~! 439 00:39:15,722 --> 00:39:21,395 浅蜊~! シジミ~! 440 00:39:21,395 --> 00:39:24,595 あっ おくれ。 へい! 441 00:39:29,570 --> 00:39:32,840 ねえ 兄さん ごはん まだ? 442 00:39:32,840 --> 00:39:37,177 今 作ってるよ。 たまには 小袖が作ったら どうなんだ? 443 00:39:37,177 --> 00:39:42,015 う~ん… また今度ね。 いつも 今度じゃねえか。 444 00:39:42,015 --> 00:39:45,015 (戸をたたく音) は~い! 445 00:39:49,690 --> 00:39:51,625 光雨さん! 446 00:39:51,625 --> 00:39:56,363 次郎吉さん 小袖さん 世話になったな。 447 00:39:56,363 --> 00:40:00,200 私は しばらく 江戸を離れる事にした。 448 00:40:00,200 --> 00:40:04,071 えっ? どうしてだい? 雪友が お手討ちになって➡ 449 00:40:04,071 --> 00:40:07,875 お前の父上と秋友の無念が 晴れたんじゃねえのか? 450 00:40:07,875 --> 00:40:12,575 ああ。 鼠小僧のおかげでな。 451 00:40:15,382 --> 00:40:20,153 御用絵師の誘いがあったんだろ? どうして それを断ったんだ? 452 00:40:20,153 --> 00:40:23,891 それこそが 父上が望んだ事じゃないのか? 453 00:40:23,891 --> 00:40:27,728 私は 破門されてからというもの➡ 454 00:40:27,728 --> 00:40:31,598 雪友を見返すために 絵を描いてきた。 455 00:40:31,598 --> 00:40:36,503 だが… そんな気持ちで 絵を描いても➡ 456 00:40:36,503 --> 00:40:41,742 満足のいく絵が 描けるはずがなかったんだ。 457 00:40:41,742 --> 00:40:46,246 だから 私は いま一度 己を鍛え上げるため➡ 458 00:40:46,246 --> 00:40:51,752 諸国を巡りながら 思うままに 絵を描く事にした。 459 00:40:51,752 --> 00:40:56,924 そうか…。 そいつは残念だな。 460 00:40:56,924 --> 00:41:00,427 これを もらってくれないか? 461 00:41:00,427 --> 00:41:06,767 何だい? これ。 後で開いてくれ。 じゃあな。 462 00:41:06,767 --> 00:41:11,638 光雨さん 一人で大丈夫なの? 463 00:41:11,638 --> 00:41:14,942 一人ではない。 464 00:41:14,942 --> 00:41:19,442 我が友 秋友と一緒だ。 465 00:41:22,282 --> 00:41:24,318 では。 466 00:41:24,318 --> 00:41:38,231 ♬~ 467 00:41:38,231 --> 00:41:42,069 光雨さん 気付いていたのか。 468 00:41:42,069 --> 00:41:46,940 すてきな絵だけど さすがに これは飾れないわね。 469 00:41:46,940 --> 00:41:49,640 そうだな。 470 00:41:56,917 --> 00:42:00,754 鼠小僧が人を殺めたって 町じゅう 大騒ぎよ! 471 00:42:00,754 --> 00:42:02,789 あれは 鼠の仕業じゃねえ。 472 00:42:02,789 --> 00:42:04,925 屋根の上は冷えるでしょう? えっ? 473 00:42:04,925 --> 00:42:07,427 私に任せてよ! 若様が生きておられては…。 474 00:42:07,427 --> 00:42:11,932 若様…。 お前には ここで死んでもらう。 475 00:42:11,932 --> 00:42:13,867 動くな。 476 00:42:13,867 --> 00:42:16,269 滋養をつけないと。 いやいや 俺は…。 477 00:42:16,269 --> 00:42:23,443 ♬「傷を負った瞳 そこに安らぎはないのか」 478 00:42:23,443 --> 00:42:27,614 ♬「涙のそばで生きるのか」 479 00:42:27,614 --> 00:42:32,386 ♬「ひとりで抱えながら」 480 00:42:32,386 --> 00:42:39,726 ♬「終わらない悲しみ ひととき忘れてみないか」 481 00:42:39,726 --> 00:42:43,897 ♬「その闇を切り裂いてやる」 482 00:42:43,897 --> 00:42:48,769 ♬「俺の胸で眠れ」 483 00:42:48,769 --> 00:42:53,073 ♬「千年恋慕 咲き乱れよう」 484 00:42:53,073 --> 00:42:58,412 ♬「散りゆくとて 悔いなどない」 485 00:42:58,412 --> 00:43:05,285 ♬「尽き果てるまで ともに生きよう」 486 00:43:05,285 --> 00:43:09,589 ♬「あらがうほど 運命は無情」 487 00:43:09,589 --> 00:43:14,761 ♬「ゆえに固く 結ぶ絆」 488 00:43:14,761 --> 00:43:23,937 ♬「腕に抱いて 交わす契りは」 489 00:43:23,937 --> 00:43:28,937 ♬「とこしえの愛」